JP2011183908A - 全駆動型回転体付き車輪及び倒立制御型一輪車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホイール16の周囲の回転体17a,17bに従動傘歯車21a,21bを備え、1つ置きの回転体17aの従動傘歯車21aを第1の回転分配伝達機構22を介して第1の回転体用モータ18で駆動し、残り1つ置きの回転体17aの従動傘歯車21bを第2の回転分配伝達機構23を介して第2の回転体用モータ19で駆動する。制御部13は、前進時、後進時及び斜め方向走行時に右又は左へ方向変換するときは、一の回転体の接地状態が終わりになると共に次の一の回転体の接地状態が始まる、2つの回転体17a,17bが接地状態にある時間帯に、接地状態が終わりになる回転体の周速と、接地状態が始まる回転体の周速とを相違させるように、第1、第2の回転体用モータ18,19の制御を行う。
【選択図】図1
Description
従って、個々の回転体は、ホイールの回転方向に直交する方向に回転するようになっている。そうして、前後方向の走行は、一のモータでホイールを前進回転又は後進回転させて行い、横方向走行は、他のモータでホイールを右回転又は左回転させて行い、斜め方向の走行は、ホイールを回転させると共に全部の回転体を回転させることにより行う。
従来の、全ての回転体を受動回転ではなく能動回転させるタイプの全駆動型回転体付き車輪としては、例えば特許文献1〜4のものが知られている。
すなわち、特許文献1に記載された回転体は、径が両端で小さく中央で大きい樽形であり、所定速度で回転すると、設置位置が異なることによって回転輪の回転速度が連続的に変化する。また、特許文献2に記載された回転体は、半紡錘形であり、設置位置が異なることによって回転輪の回転速度が連続的に変化することに加え、同時に接地する一の回転体の大径端部と他の一の回転体の小径端部との周速が相違し、大径端部から小径端部に乗り換える状態では速度が落ちるので大径端部から小径端部に乗り換える状態がちょうど段差に対応してしまうときは、ロックしてしまい、該段差を乗り越えることができない虞がある。さらに同時に接地する一の回転体の大径端部と他の一の回転体の小径端部との周速が相違することに起因して進行方向が変わってしまう虞もある。
この制御により、前進時又は後進時に右又は左へ方向変換することができる。前進時又は後進時におけるこの制御は、回転体が、半紡錘形であるか、樽形であるか、略短円筒形であるかに関わらず同一に行うものである。
さらに斜め方向走行時に右又は左へ方向変換する指令を入力したときは、2つの回転体が共に接地状態にある時間帯だけ、第1及び第2の回転体用モータのうち、接地状態が始まる回転体を駆動回転させる一方の回転体用モータについて、接地状態が始まる回転体の周速を接地状態が終わりになる回転体の周速に対して相違させる制御を行うことを、第1及び第2の回転体用モータを交番させて適用する。
この構成により、斜め方向走行時に横方向の速度成分を安定させることができ、斜め方向走行から右又は左へ方向変換することができる。
本発明は、第1及び第2の回転体用モータが、ホイール外に備えられる場合とホイール内に備えられる場合の両方を含むものである。第1及び第2の回転体用モータがホイール外に備えられる場合には、第1及び第2の回転体用モータを走行用モータに同期させて回転させることで、第1群及び第2群の回転体を回転させないようにすることができ、第1及び第2の回転体用モータを走行用モータに非同期させて回転させることで、第1群及び第2群の回転体を回転させることができる。
これに対し、第1及び第2の回転体用モータがホイール内に備えられる場合には、走行用モータの回転に関わらず、第1及び第2の回転体用モータを回転させれば、第1群及び第2群の回転体を回転させることができる。この場合には、第1及び第2の回転体用モータへの給電にスリップリングとブラシを用い、かつ、通信により制御を行う。
上記の制御は、第1及び第2の回転体用モータが、モータの回転数に注目すれば、ホイール外に備えられる場合と、ホイール内に備えられる場合とで相違することになるが、回転体の回転に注目すれば、同一制御であることが理解される。
〔第1実施形態〕
図1,図2は、第1実施形態に係る全駆動型回転体付き車輪を示す。この全駆動型回転体付き車輪1は、倒立制御型一輪車に適用した場合を示すもので、運転者Mが跨いで座りかつ両足を着地できる高さに調整可能なサドル11を有する。このサドル11は車体フレーム12の頂部に備えている。サドル11は、図1において左端11aが車両前方側、右端11bが車両後方側である。図2に示すように、車体フレーム12は、中程より上部が筒状に形成され、この筒状の車体フレーム12内に、制御部13と、バッテリ14と、走行用モータ15と、を収容している。図2〜図4に示すように、車体フレーム12は、下部に、走行用モータ15により駆動回転されるホイール16と、ホイール16の周囲に配列され車輪の直進方向に対して直交方向へ回転する複数の回転体17a,17bとからなる車輪部分、及びホイール16の両側に備えられ1つ置きの第1群の回転体17aを駆動回転するための第1の回転体用モータ18及び残り1つ置きの第2群の回転体17bを駆動回転するための第2の回転体用モータ19を収容している。車体フレーム12は、下端両側部に一対のステップ121を備え、各ステップ121には下面より突出して補助輪122を備えている。全駆動型回転体付き車輪1は、倒立制御していないときは2つの補助輪122を含む3点支持で起立状態に維持される。
第1の回転分配伝達機構22は、第1の太陽傘歯車22aと、第1の太陽傘歯車22aの周囲に配設され第1の太陽傘歯車22aと噛み合う複数の遊星傘歯車22bと、各遊星傘歯車22bと同軸一体に設けられた原動傘歯車22cとからなり、原動傘歯車22cが従動傘歯車21aと噛み合っている。第1の太陽傘歯車22aと、遊星傘歯車22bの軸は、ホイール16に軸支されている。
第2の回転分配伝達機構23は、第2の太陽傘歯車23aと、第2の太陽傘歯車23aの周囲に配設され第2の太陽傘歯車23aと噛み合う複数の遊星傘歯車23bと、各遊星傘歯車23bと同軸一体に設けられた原動傘歯車23cとからなり、原動傘歯車23cが従動傘歯車21bと噛み合っている。第2の太陽傘歯車23aと遊星傘歯車23bの軸は、ホイール16に軸支されている。
制御部13は、CPUと、プログラムを格納しているROMと、速度演算部131と、パルス出力部132と、走行用モータ15と第1の回転体用モータ18と第2の回転体用モータ19に対応するモータドライバ133,134,135と、ジャイロセンサ136と、を備えている。速度演算部131は、アブソリュートエンコーダ24から出力された信号を入力して車体の速度を逐次検出する。パルス出力部132は、アブソリュートエンコーダ24から出力された角度信号を入力して車輪の位相を演算し、この位相と速度演算部131で演算した速度に基づいて所定パターンの変速回転となるようにパルスを出力する。
図1に示すように、全駆動型回転体付き車輪1は、倒立制御していないときは2つの補助輪122を含む3点支持で前傾斜に起立した状態に維持され、運転者Mがサドル11に座り車体フレーム12の上端後部に備えた起動スイッチ25をオンにすると、倒立制御を開始し、図1に示すように自立する。
図1,図2に示すように、全駆動型回転体付き車輪1では、倒立制御の開始後、運転者Mが両足をステップ121に乗せて希望移動方向に上半身を傾けて体重移動すると、体重移動の方向に車体フレーム12が傾き、ジャイロセンサ136が傾き方向と傾き角と傾き角速度とを極めて短時間ごとに計測して検出信号を制御部13に送る。
そして、全駆動型回転体付き車輪1は、制御部13が、車両の前後方向の倒立制御と左右方向の倒立制御とを同時に行いながら、さらにホイール16の回転と回転体17a,17bの回転を選択的に行うように、走行用モータ15と第1及び第2の回転体用モータ18,19の駆動制御を行うことで、図5に示すように、方向変換を含む全方向移動となる走行を行うことができる。
さらに、制御部13は、車体を傾かせる体重移動の姿勢を戻さずに変更することにより、前進方向中、後進方向中、横方向への走行中及び斜め四方への走行中に、矢印A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1,D2,E1,E2,F1,F2,G1,G2,H1,H2で示すように、それぞれ左右に方向変換できるように、モータの駆動制御を行う。
制御部13は、図34に対応するデータ及びこのデータに照合するプログラムを有している。
制御部13は、ジャイロセンサ136から得られた体重移動方向の角度値を、図34に示す3つの指示線に沿って、前後方向の移動速度、横移動速度及び方向変換速度を合成し、制御部13に指示することで、体重移動の姿勢に基づいて自然な運転制御が実現でき、また余分なセンサを省くことができる。
なお、制御部13に対し方向変換を指示する指示器を備えてもよい。図1では、制御部13に対し方向変換を指示する指示器として、サドル11の左端(車両前方端)11aにポテンショメータ30が備えられている。ポテンショメータ30は、左右に揺動する指示レバー30aと、指示レバー30aを中央位置に戻すばねとを有し、指示レバー30aを右又は左へ揺動することにより、このレバーを傾きに応じ右方向又は左方向に変換支持信号を制御部13に出力する。図2では、制御部13に対し方向変換を指示する指示器として、左右一対のステップ121に一対の感圧センサ31a、31bを備えていて、足裏で感圧センサ31a又は31bを押圧すると、右方向又は左方向に変換支持信号を制御部13に出力する。
運転者Mが、車両が停止状態となる垂直姿勢から、図5において、車両1に関し、矢印Aの前進方向又は矢印Bの後進方向へ体重移動した姿勢をとると、矢印Aの前進方向又は矢印Bの後進方向に走行させることができる。
この制御部13は、回転体17a,17bが回転を行わず、ホイール16が前進回転又は後進回転するように、モータ制御を行う。
さらに、この実施形態では、走行用モータ15が巻掛機構を介してホイール16を減速回転し、第1及び第2の回転体用モータ18,19が第1,第2の太陽傘歯車22a,23aを直動回転する構成であるから、巻掛機構の減速比を仮に1:3であるとすれば、制御部13は、走行用モータ15の3回転と、第1及び第2の回転体用モータ18,19の1回転と、が同期するように制御する。
なお、運転者Mが、垂直姿勢に一度戻すと、車両は停止状態になる。
運転者Mが、車両の前進方向A又は後進方向Bへ体重移動した姿勢から、車両が停止状態になる垂直姿勢に一度戻すことなく、斜め走行方向へ体重移動する姿勢に変えると、図5の矢印Aの前進方向又は矢印Bの後進方向の走行から、矢印A1もしくはB1の右方向、又は矢印A2又はB2の左方向へ方向変換させることができる。
制御部13は、運転者Mが上記体重移動姿勢を変えたことに対応し、ジャイロセンサ136から入力する制御指令に基づいた演算の結果として、図5に示す、前進方向A又は後進方向Bの走行から、矢印A1もしくはB1の右方向、又は矢印A2又はB2の左方向へ方向変換させる制御内容を導出し、以下のような制御を行う。
一の回転体(図において右から2番目の回転体17a)の接地状態が終わりになると共に、次の一の回転体(図において右から3番目の回転体17b)の接地状態が始まる状態を示している。1つ置きの第1群の回転体17aは第1の回転体用モータ18によって図7中の第1の速度グラフとなるように駆動回転される。また、残り1つ置きの第2群の回転体17bは第2の回転体用モータ19によって図7中の第2の速度グラフとなるように駆動回転される。図6に示すように、右から1番目の回転体17bが、接地状態が終わりになる回転体であり、右から2番目の回転体17aが、接地状態が始まる回転体であるとき、該2つの回転体が共に接地状態にある時間に対応して、接地状態が終わりになる右から2番目の回転体17aを間欠回転(山形p1の部分)する。次に、右から2番目の回転体17aが、接地状態が終わりになる回転体であり、右から3番目の回転体17bが、接地状態が始まる回転体であるとき、該2つの回転体が共に接地状態にある時間に対応して、接地状態が終わりになる右から3番目の回転体17bを間欠回転(山形p1の部分)する。こうして、次々に2つの回転体が同時に接地状態になる毎に、第1及び第2の回転体用モータ18,19を交番して間欠駆動させることにより、第1群の回転体17aと第2群の回転体17bとを交番して間欠回転させ、方向変換を行うことができる。
なお、ここでは、接地状態が始まる回転体の周速がゼロ(回転停止)であり、接地状態が終わりになる回転体を右回転又は左回転させる構成であるが、接地状態が終わりになる回転体の周速がゼロ(回転停止)であり、接地状態が始まる回転体を右回転又は左回転させる構成としてもよい。
図7(a),(b)では、図6を用いて説明したように、接地状態が始まる回転体を瞬時回転することを繰り返して右へ方向変換する(図5の矢印A1,B1の方向変換)ところを示している。
図8(a),(b)では、図6を用いて説明したように、接地状態が始まる回転体を瞬時回転することを繰り返して左へ方向変換(図5の矢印A2,B2の方向変換)するところを示している。
図9,図10は、図6を用いた説明以外の方向変換を示している。
図9(a),(b)では、接地状態が終わりになる回転体を瞬時回転することを繰り返して右へ方向変換するところを示している。
図10(a),(b)では、接地状態が終わりになる回転体を瞬時回転することを繰り返して左へ方向変換するところを示している。
制御部13は、右へ方向変換する1つのパターンと、左へ方向変換する1つのパターンと、を有する制御を行う。
運転者Mが、車両が停止状態となる垂直姿勢から、図5の矢印Eの右斜め前方向、矢印Fの左斜め前方向、矢印Gの右斜め後方向、矢印Hの左斜め後方向、の4方向のいずれか一方向へ体重移動する姿勢をとると、該体重移動した姿勢に一致した斜め方向に走行させることができる。
位相を相違させた変速制御を行うのは、回転体17a,17bが半紡錘形であることに起因する矢印E〜Hの各斜め方向の走行を行う場合の不都合(後述する)を解消するためである。
制御部13は、図11(d)に示す、線J及び線Kの、線Iと相違する回転数の部分LとNを作り出すときは、アブソリュートエンコーダ24の角度信号と関係させて、変化のパターンに対応したモータ駆動用信号を作り出して、各モータに対応するモータドライバ133,134,135のそれぞれに出力する。
制御部13は、第1の回転体用モータ18に対する変速回転と、第2の回転体用モータ19に対する変速回転とを同じパターンでかつ回転体1つ分の位置ずれした位相を持たせて回転制御する。
運転者Mがサドル11に座って上半身を傾けることにより、車体フレーム12の傾き方向をジャイロセンサ136が正確に検出できる。よって、制御部13は、このジャイロセンサ136からの信号に基づいて、車体フレーム12が任意の傾き方向に走行する制御が可能である。制御部13は、ホイール16の回転に対し、第1,第2の太陽傘歯車22a,23aが制御指令信号に応じた所定割合の相対回転を生じるように、走行用モータ15と、第1及び第2の回転体用モータ18,19の駆動を制御することにより、車体フレーム12が傾く任意の方向に走行する制御ができる。
複数の回転体17a,17bが半紡錘形であるため、ホイール16が回転すれば、回転体17a,17bの接地位置の直径が絶えず変化することになる。このため、もしも複数の回転体17a,17bを一定速度で回転駆動すると、回転体17a,17bの接地位置の直径変化に起因して斜め方向走行時の横方向移動成分の速度が絶えず変化し、乗り心地が悪くなる。また、複数の回転体17a,17bが半紡錘形であるため、接地走行する一の回転体から他の一の回転体に乗り移る瞬間は、一の回転体の小径端部から他の一の回転体の大径端部に乗り移る瞬間である。もしも、複数の回転体17a,17bを一定速度で回転すると、一の回転体の小径端部の周速と、他の一の回転体の大径端部の周速とが相違するので、横方向移動成分の速度が不連続となって最も大きく変化し、直交方向が変化すると共に、乗り心地が一層悪くなる。
これにより、一の回転体の小径端部から他の一の回転体の大径端部に乗り移る瞬間においても、周速に変化が生じず、斜め方向走行時の横方向移動成分の速度が安定し、かつ直交方向の変化もなく、良い乗り心地を保障できる。
なお、運転者Mが、垂直姿勢に一度戻すと、車両は停止状態になる。
運転者Mが、図5の矢印E〜Hのいずれか一の斜め方向に走行している体重移動姿勢から、車両が停止する垂直姿勢に一度戻すことなく、車両前側もしくは車両側方側、又は車両後側又はもしくは車両側方側へ体重移動する姿勢に変えると、図5の矢印E〜Hの各右斜め方向の走行から矢印E1,F1,G1,H1に示す右方向又は矢印E2,F2,G2,H2に示す左方向へ方向変換させることができる。
図13中の速度グラフに対応するパルス出力パターンは、図13中の速度グラフの回転を実行する。図13中の速度グラフの特徴は、接地状態が終わりになる回転体(図において右から2番目の回転体17a)と、接地状態が始まる回転体(図において右から3番目の回転体17b)である2つの回転体が、共に接地状態にある時間に対応して、接地状態が始まる回転体を間欠増速回転(山形p2の部分)する。次に、2つの回転体が、共に接地状態になるときも、同様に共に接地状態にある時間に対応して、接地状態が始まる回転体を間欠増速回転(山形p2の部分)する。
こうして、次々に第1群の回転体と第2群の回転体を交番して間欠増速回転させ、接地状態が始まる回転体の周速と接地状態が終わりになる回転体の周速とを相違させることにより、方向変換を行うことができる。なお、間欠増速回転ではなくて、間欠減速回転であってもよい。さらに、間欠増速回転又は間欠減速回転を、接地状態が終わりになる回転体に対して生じさせるようにしてもよい。
図14(c)では、接地状態が始まる回転体を瞬時増速回転することを繰り返して右へ方向変換する(図5の矢印Eの方向から矢印E2の方向変換)ところを示している。
図15(b)では、接地状態が始まる回転体を瞬時増速回転することを繰り返して右へ方向変換(図5の矢印Fの方向から矢印F1の方向変換)するところを示している。
図15(c)では、接地状態が終わりになる回転体を瞬時増速回転することを繰り返して左へ方向変換(図5の矢印Fの方向から矢印F2の方向変換)するところを示している。
図16(b)では、接地状態が終わりになる回転体を瞬時増速回転することを繰り返して右へ方向変換(図5の矢印Gの方向から矢印G1の方向変換)するところを示している。
図16(c)では、接地状態が始まる回転体を瞬時増速回転することを繰り返して左へ方向変換(図5の矢印Gの方向から矢印G2の方向変換)するところを示している。
図17(b)では、接地状態が始まる回転体を瞬時増速回転することを繰り返して右へ方向変換(図5の矢印Hの方向から矢印H1の方向変換)するところを示している。
図17(c)では、接地状態が終わりになる回転体を瞬時増速回転することを繰り返して左へ方向変換(図5のHの方向から矢印H2の方向変換)するところを示している。
なお、制御部13は、図14〜図17において、瞬時増速回転に替えて瞬時減速回転にするパターンを有していてもよい。この場合には、個々の図における方向変換が逆になる。
運転者Mが、車両が停止状態となる垂直姿勢から、図5で車両1に関し矢印Cの右横方向又は矢印Dの左横方向へ体重移動した姿勢をとると、車両1を矢印Cの右横方向又は矢印Dの左横方向に走行させることができる。
運転者Mが、図5で車両1に関し矢印Cの右横方向又は矢印Dの左横方向へ体重移動した姿勢から、車両が停止状態になる垂直姿勢に一度戻すことなく、体重移動の姿勢をさらに後方又は前方に変えると、図5の矢印Cの右横方向及び矢印Dの左横方向の走行から、矢印C1もしくはD1の右方向、又は矢印C2又はD2の左方向へ方向変換させることができる。
制御部13は、運転者Mが上記体重移動姿勢を変えたことに対応し、ジャイロセンサ136から入力する制御指令に基づいた演算の結果として、図5に示す、前進方向A又は後進方向Bの走行から、矢印A1もしくはB1の右方向、又は矢印A2又はB2の左方向へ方向変換させる制御内容を導出し、回転体17a,17bに車輪の前進方向又は後進方向の回転を加えて方向変換させる制御を行うように構成されている。
さらにその上に、倒立制御を行いながら、前後左右、斜め四方の全方向に移動できるだけでなく、方向変換を自由に制御できる全駆動型回転体付き車輪並びに倒立制御型一輪車を実現している。上記説明から分かるように、方向変換を自由に制御できる前提の技術として、1つ置きの第1群の各回転体17aと、残り1つ置きの第2群の各回転体17bとを、走行用モータ15とは別の2つのモータで個々に駆動回転させる技術の実現が必要であり、ホイールの小さなスペースに第1の回転分配伝達機構22と、第2の回転分配伝達機構23とを備えたことで実現できたものである。
図19は、第2実施形態の全駆動型回転体付き車輪を示す。この第2実施形態の全駆動型回転体付き車輪2は、全ての回転体を個別に駆動回転するために、1つ置きの第1群の各回転体17aの内部空間に位置して固定された「従車」としての従動ハイポイド歯車21cが備えられ、この従動ハイポイド歯車21cに原動ハイポイド歯車22dが噛み合わされ、残り1つ置きの第2群の各回転体17bの内部空間に位置して固定された「従車」としての従動ハイポイド歯車21dが備えられ、この従動ハイポイド歯車21dに原動ハイポイド歯車23dが噛み合わされていることが、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1と比較して相違する。また、第1の太陽平歯車22aと第2の太陽平歯車23aの向きが、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1と比較して反対になっている。その他の構成については、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1と相違しない。
従って、第2実施形態の全駆動型回転体付き車輪2の構成要素について、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1の構成要素と同一のものについては同一符号を付し、説明を省略する。また、第2実施形態の全駆動型回転体付き車輪2の作用効果についても、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1と同一であるので、説明を省略する。
図20は、第3実施形態の全駆動型回転体付き車輪を示す。この全駆動型回転体付き車輪3は、ホイール16の外周に配設される回転体17a,17bが摩擦車として構成され、各回転体17a又は17bに押し付けられる原摩擦車22g又は23gがホイール16内に備えられ、フリクションドライブによる回転伝達が行われる構成が、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1と相違する。
従って、第3実施形態の全駆動型回転体付き車輪2の構成要素について、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1の構成要素と同一のものについては同一符号を付し、説明を省略する。また、第3実施形態の全駆動型回転体付き車輪2の作用効果についても、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1と同一であるので、説明を省略する。
図21は、第4実施形態の全駆動型回転体付き車輪を示す。この全駆動型回転体付き車輪4は、第1の回転体用モータ18と第2の回転体用モータ19とがホイール16内に備えられ、モータ18,19に給電する給電手段27が、ホイール16を支持する中空の車軸20fに固定された2つのスリップリング27a及び各スリップリングに摺接するブラシ27aを含んで構成されている。ホイール16内にはスレーブ制御部28が備えられ、スレーブ制御部28には、第1及び第2の回転体用モータ18,19を駆動するモータドライバ281,282が備えられる。制御部13とホイール16内に備えられたスレーブ制御部28は、車軸20fの中心孔の車体側フレーム側に配置された送信部29aと車軸20fの中心孔のホイール側に配置された受信部29bとの間で電波通信又は光通信を行うことにより、第1の回転体用モータ18と第2の回転体用モータ19の回転制御を行う。
従って、第3実施形態の全駆動型回転体付き車輪2の構成要素について、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1の構成要素と同一のものについては同一符号を付し、説明を省略する。
図22は、第5実施形態の全駆動型回転体付き車輪を示す。この全駆動型回転体付き車輪5は、全ての回転体を個別に駆動回転するために、1つ置きの第1群の各回転体17aの内部空間に、「従車」としての従動ハイポイド歯車21cが備えられ、この従動ハイポイド歯車21cに原動ハイポイド歯車22dが噛み合わされ、残り1つ置きの第2群の各回転体17bの内部空間に、「従車」としての従動ハイポイド歯車21dが備えられ、この従動ハイポイド歯車21dに原動ハイポイド歯車23dが噛み合わされている。この構成は、第2実施形態と同一である。
従って、第5実施形態の全駆動型回転体付き車輪5の構成要素について、第4実施形態の全駆動型回転体付き車輪4の構成要素と同一のものについては同一符号を付し、説明を省略する。全駆動型回転体付き車輪5の作用効果は、全駆動型回転体付き車輪4の作用効果と同様であるので説明を省略する。
図23は、第6実施形態の全駆動型回転体付き車輪を示す。この全駆動型回転体付き車輪6は、ホイール16の周囲に配列された回転体が、径が大きい樽形の回転体17cと、径の小さい樽形の回転体17dとを交互に配列し、かつ、回転体17dの径が小さい端部の一部を、隣接の回転体17cの径が大きい端部に入り込ませた状態に備えている。
図26(a)と(b)は、前進方向又は後進方向の走行状態から左へ方向変換するところを示している。
この全駆動型回転体付き車輪6の制御部は、図27に示すように、斜め方向に走行する場合には、回転体17cが第1の速度グラフで示す変速回転を行い、回転体17dが第2の速度グラフで示す変速回転を行うようにモータ制御を行う。これによって、回転体17cと回転体17dの接地部分の周速が一定になり、斜め方向に走行する場合の横移動成分が一定になり、安定した速度を保つ。
図30は、第7実施形態の全駆動型回転体付き車輪を示す。この全駆動型回転体付き車輪7は、ホイール16の周囲に配列された回転体が、同一径の樽形であり、図示していないが、1つ置きの第1群の回転体17eを駆動回転するための第1の回転体用モータ及び第1の回転分配伝達機構と、残り1つ置きの第2群の回転体17fを駆動回転する第2の回転体用モータ及び第2の回転分配伝達機構は、図3、図19、図20、図21、図22に示す構成のいずれかが採用されているものとする。
この全駆動型回転体付き車輪7の制御部は、図32に示すように、斜め方向へ走行する場合には、回転体17eが第1の速度グラフで示す変速回転を行い、回転体17fが第2の速度グラフで示す変速回転を行うようにモータ制御を行う。これによって、回転体17eと回転体17fの接地部分の周速が一定になり、斜め方向へ走行する場合の横移動成分が一定になり、安定した速度を保つ。
図33は、第8実施形態の全駆動型回転体付き車輪を示す。この全駆動型回転体付き車輪8は、ホイール16の周囲に配列された回転体が、同一径の樽形であり、図示していないが、1つ置きの第1群の回転体17gを駆動回転するための第1の回転体用モータ及び第1の回転分配伝達機構と、残り1つ置きの第2群の回転体17hを駆動回転する第2の回転体用モータ及び第2の回転分配伝達機構は、図3、図19、図20、図21、図22に示す構成のいずれかが採用されているものとする。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載した技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
(1)上記実施形態では、全駆動型回転体付き車輪を倒立制御型一輪車について説明したが、本発明は、前輪が2輪、後輪が2輪の4輪車において、前輪又は後輪の2輪を駆動輪として適用する場合も含まれる。
また、前輪が2輪、後輪が2輪の4輪車において、後輪の2輪を別々のモータで直結駆動すると共に、モータの回転を巻掛機構を介して動力分岐し各側の前輪に伝達する構造の4輪駆動車を構成し、前輪に本発明の全駆動型回転体付き車輪を適用するようにしてもよい。この場合には、図1の走行用モータ15は後輪に直結したモータが該当する。
(2)回転体に従動プーリを備えると共にホイール内に太陽歯車の回転を分配伝達される原動プーリを備え、従動プーリと原動プーリとに無端巻掛体を巻掛けした構成も、本発明に含まれる。
11…サドル、
12…車体フレーム、
13…制御部、
14…バッテリ、
15…走行用モータ、
16…ホイール、
17a〜17h…回転体、
18…第1の回転体用モータ、
19…第2の回転体用モータ、
20…回転伝達機構、
21a…従動傘歯車(従車)、
21b…従動傘歯車(従車)、
21c…従動ハイポイド歯車、
21d…従動ハイポイド歯車、
22…第1の回転分配伝達機構、
22a…第1の太陽平歯車、
23…第2の回転分配伝達機構、
23a…第2の太陽平歯車、
24…アブソリュートエンコーダ、
M…運転者、
Claims (10)
- 車体フレームに回転可能に支持されかつ車体フレームに支持される走行用モータにより駆動回転されるホイールと、
ホイールの周囲に備えられ車輪外周円の円弧を形成する周面を有し回転体用モータの回転動力を伝達されて車輪の直進方向に対して直交方向へ駆動回転される複数の回転体と、
上記走行用モータ及び上記回転体用モータの回転を制御する制御部と、
を備えた全駆動型回転体付き車輪において、
上記複数の回転体は、1つ置きの第1群の各回転体が第1の回転体用モータの回転動力を個々に伝達され、残り1つ置きの第2群の各回転体が第2の回転体用モータの回転動力を個々に伝達される構成であり、
上記制御部は、前進時、後進時及び斜め方向走行時のうち、少なくとも前進時に右又は左へ方向変換する指令を入力したときは、一の回転体の接地状態が終わりになると共に次の一の回転体の接地状態が始まり、該2つの回転体が共に接地状態にある時間帯に、上記接地状態が終わりになる回転体の周速と上記接地状態が始まる回転体の周速とを相違させるように、上記第1及び第2の回転体用モータの制御を行う構成であることを特徴とする、全駆動型回転体付き車輪。 - 前進時又は後進時に右又は左へ方向変換する指令を入力した場合には、
制御部は、2つの回転体が共に接地状態にある時間帯だけ、前記第1及び第2の回転体用モータのうち、前記接地状態が始まる回転体を駆動回転させる一方の回転体用モータについて、該接地状態が始まる回転体の周速を前記接地状態が終わりになる回転体の周速に対して相違させる制御を行うことを、第1及び第2の回転体用モータを交番させて適用することを特徴とする、請求項1記戴の全駆動型回転体付き車輪。 - 前記複数の回転体が、前記半紡錘形に形成されているか、又は前記径の大きい樽形と径が小さい樽形とが交互に配列されていて、径が小さい端部の一部が隣接する回転体の径の大きい端部に入り込んだ状態にかつ径が小さい端部の一部が隣接する回転体の径の大きい端部に入り込んだ状態に備えられた構成である場合には、
前記制御部は、
前記斜め方向走行時には、上記回転体の接地位置の直径が変化しても接地位置の直径部分の周速が所定速度になるように上記第1及び第2の回転体用モータを変速制御し、かつ一の回転体の大径端部と他の一の回転体の小径端部とが同時に接地状態のときに大径端部の周速と小径端部の周速とが一致するように上記第1及び第2の回転体用モータを位相を異ならせて変速制御し、
さらに該斜め方向走行時に右又は左へ方向変換する指令を入力したときは、前記2つの回転体が共に接地状態にある時間帯だけ、前記第1及び第2の回転体用モータのうち、前記接地状態が始まる回転体を駆動回転させる一方の回転体用モータについて、該接地状態が始まる回転体の周速を前記接地状態が終わりになる回転体の周速に対して相違させる制御を行うことを、第1及び第2の回転体用モータを交番させて適用することを特徴とする、請求項1又は2記戴の全駆動型回転体付き車輪。 - 前記複数の回転体が同一の大きさの樽形である場合には、
前記制御部は、前記斜め方向走行時には、前記回転体の接地位置の直径が変化しても接地位置の直径部分の周速が所定速度になるように、前記第1及び第2の回転体用モータを変速制御し、さらに該斜め方向走行時に右又は左へ方向変換する指令を入力したときは、前記2つの回転体が共に接地状態にある時間帯だけ、前記第1及び第2の回転体用モータのうち、前記接地状態が始まる回転体を駆動回転させる一方の回転体用モータについて、該接地状態が始まる回転体の周速を前記接地状態が終わりになる回転体の周速に対して相違させる制御を行うことを、第1及び第2の回転体用モータを交番させて適用することを特徴とする、請求項1又は2記戴の全駆動型回転体付き車輪。 - 前記複数の回転体が、同一の大きさの略短円筒形である場合には、
前記制御部は、前記第1及び第2の回転体用モータを定速制御し、さらに該斜め方向走行時に右又は左へ方向変換する指令を入力したときは、前記2つの回転体が共に接地状態にある時間帯だけ、前記第1及び第2の回転体用モータのうち、前記接地状態が始まる回転体を駆動回転させる一方の回転体用モータについて、該接地状態が始まる回転体の周速を前記接地状態が終わりになる回転体の周速に対して相違させる制御を行うことを、第1及び第2の回転体用モータを交番させて適用することを特徴とする、請求項1又は2記戴の全駆動型回転体付き車輪。 - 前記複数の回転体に対し個々に回転を与える回転手段は、
各回転体に固定された従車と、
前記ホイール内に備えられた第1の太陽歯車を含み第1の太陽歯車の回転を上記複数の回転体のうち、1つ置きの第1群の回転体に固定された上記従車に分配伝達する第1の回転分配伝達機構と、
前記ホイール内に備えられた第2の太陽歯車を含み第2の太陽歯車の回転を残り1つ置きの第2群の回転体に固定された上記従車に分配伝達する第2の回転分配伝達機構と、
を備えてなることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の全駆動型回転体付き車輪。 - 前記複数の回転体に対し個々に回転を与える回転手段は、
前記ホイール内に備えられた第1の太陽歯車を含み第1の太陽歯車の回転を、上記複数の回転体のうち1つ置きの第1群の回転体に対し、フリクションドライブにより分配伝達する第1の回転分配伝達機構と、
前記ホイール内に備えられた第2の太陽歯車を含み第2の太陽歯車の回転を、残り1つ置きの第2群の回転体に対し、フリクションドライブにより分配伝達する第2の回転分配伝達機構と、
を備えてなることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の全駆動型回転体付き車輪。 - 前記第1及び第2の回転体用モータが前記ホイール外に備えられていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の全駆動型回転体付き車輪。
- 前記第1及び第2の回転体用モータが前記ホイール内に備えられていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の全駆動型回転体付き車輪。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の全駆動型回転体付き車輪を備え、前記制御部が、前記走行用モータに対して車両の前後方向の倒立制御を行うと共に、前記第1及び第2の回転体用モータに対して車両の横方向の倒立制御を行う構成でなる、倒立制御型一輪車。
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