JP2011183909A - 全駆動型回転体付き車輪 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホイール11の周囲の複数の回転体12a,12bに従動プーリ13a,12bを備え、ホイール11内に第1の回転分配伝達機構14及び第2の回転分配伝達機構15を備え、中空の車軸16に中空の第1の回転体駆動軸18を通し、さらに第2の回転体駆動軸20を通し、ホイール11を走行用モータ17で駆動し、第1の回転分配伝達機構14を回転体駆動用第1モータ19で駆動し、第2の回転分配伝達機構15を回転体駆動用第2モータ21で駆動する。回転体12a,12bを回転するときは、第1の太陽平歯車14a及び第2の太陽平歯車15aを同一方向に回転しかつホイールに対して相対回転が生じるように、走行用モータ17と回転体駆動用第1モータ19と回転体駆動用第2モータ21とを回転制御する。
【選択図】図1
Description
従って、個々の回転体は、ホイールの回転方向に直交する方向に回転するようになっている。そうして、前後方向の走行は、一のモータでホイールを前進回転又は後進回転させて行い、横方向走行は、他のモータでホイールを右回転又は左回転させて行い、斜め方向の走行は、ホイールを回転させると共に全部の回転体を回転させることにより行う。
従来の、全ての回転体を受動回転ではなく能動回転させるタイプの全駆動型回転体付き車輪としては、例えば特許文献1〜4のものが知られている。
すなわち、特許文献1に記載された回転体は、径が両端で小さく中央で大きい樽形であり、所定速度で回転すると、設置位置が異なることによって回転輪の回転速度が連続的に変化する。また、特許文献2に記載された回転体は、半紡錘形であり、設置位置が異なることによって回転輪の回転速度が連続的に変化することに加え、同時に接地する一の回転体の大径端部と他の一の回転体の小径端部との周速が相違するので、大径端部から小径端部に乗り換える状態では速度が落ちて段差を乗り越えることができない虞がある。
この構成にすると、回転輪の接地位置の径の変化に応じて回転輪による移動速度が変化することがないので、回転輪による移動を安定した速度で行える。
〔第1実施形態〕
図1〜図3に示すように、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1は、ホイール11と、ホイール11を支持する中空な車軸16及び車軸16を駆動する走行用モータ17と、ホイール11の周囲に配列された複数の回転体12a,12bと、を備えている。
この全駆動型回転体付き車輪1は、1つ置きの第1群の各回転体12aを個々に駆動回転するため、1つ置きの第1群の各回転体12aに固定された「従車」としての従動プーリ13aと、第1の太陽平歯車14aの回転を複数の従動プーリ13aに分配伝達する第1の回転分配伝達機構14と、第1の太陽平歯車14aと連結された中空な第1の回転体駆動軸18と、第1の回転体駆動軸18を駆動する回転体駆動用第1モータ19と、を備えている。
さらに、全駆動型回転体付き車輪1は、残り1つ置きの第2群の各回転体12bを個々に駆動回転するため、第2群の各回転体12bに固定された「従車」としての従動プーリ13bと、第2の太陽平歯車15aの回転を複数の従動プーリ13bに分配伝達する第2の回転分配伝達機構15と、第2の太陽平歯車15aと連結された第2の回転体駆動軸20と、第2の回転体駆動軸20を駆動する回転体駆動用第2モータ21と、を備えている。
そして、全駆動型回転体付き車輪1は、各モータの回転制御を行う制御部22と、車軸16に設けられたアブソリュートエンコーダ23と、を備えている。
図2に示すように、各回転体12a,12bは、ホイール11の筒部の外側に配設された複数のブラケット24の各ブラケット間に位置され、ブラケット24により両端支持される軸25により、車軸16を中心とする半径方向に対して交差する軸線を回転中心として回転可能に支持されている。これにより、各回転体12a,12bは、車輪の直進方向に対して直交方向へ回転する。
第1の回転分配伝達機構14は、第1の太陽平歯車14aと、第1の太陽平歯車14aの周囲に配設され第1の太陽平歯車14aと噛み合う複数の遊星平歯車14bと、各遊星平歯車14bと同軸一体に設けられた第1の中間傘歯車14cと、第1の中間傘歯車14cに噛み合う第2の中間傘歯車14dと、第2の中間傘歯車14dと同軸一体に設けられた原動プーリ14eと、原動プーリ14eと従動プーリ13aとに巻き掛けられたベルト14fとからなる。第1の回転分配伝達機構14を構成するこれらの歯車とプーリは、ホイール11に軸支されている。原動プーリ14eと従動プーリ13aには、タイミング歯車を用い、ベルト14fにはタイミングベルトを用いるのが好ましい。
第2の回転分配伝達機構15は、第2の太陽平歯車15aと、第2の太陽平歯車15aの周囲に配設され第2の太陽平歯車15aと噛み合う複数の遊星平歯車15bと、各遊星平歯車15bと同軸一体に設けられた第1の中間傘歯車15cと、第1の中間傘歯車15cに噛み合う第2の中間傘歯車15dと、第2の中間傘歯車15dと同軸一体に設けられた原動プーリ15eと、原動プーリ15eと従動プーリ13bとに巻き掛けられたベルト15fとからなる。第2の回転分配伝達機構15を構成するこれらの歯車とプーリは、ホイール11に軸支されている。原動プーリ15eと従動プーリ13bには、タイミング歯車を用い、ベルト15fにはタイミングベルトを用いるのが好ましい。
この構成のため、回転ギアボックス28bは、走行用モータ17の動力で回転されることはなく、回転体駆動用第1モータ19の動力で回転される。
この回転に、回転体駆動用第1モータ19の駆動による、回転ギアボックス28bの車軸16と同一方向の回転が加わると、第1の回転体駆動軸18が、回転ギアボックス28bの回転数分だけ、車軸16と回転数を相違して回転される。回転ギアボックス28bの回転方向が車軸16の回転方向と同一であれば、第1の回転体駆動軸18が車軸16よりも多く回転し、この多い回転数により第1群の回転体12aを例えば右回転する。また、回転ギアボックス28bの回転方向が車軸16の回転方向と異なる方向であれば、第1の回転体駆動軸18が車軸16よりも少なく回転し、この少ない回転数により第1群の回転体12aを例えば左回転する。
この回転に、回転体駆動用第2モータ21の駆動による、回転ギアボックス29bの車軸16と同一方向の回転が加わると、第2の回転体駆動軸20が、回転ギアボックス29bの回転数分だけ、車軸16と回転数を相違して回転される。回転ギアボックス29bの回転方向が車軸16の回転方向と同一であれば、第2の回転体駆動軸20が車軸16よりも多く回転し、この多い回転数により第2群の回転体12bを例えば右回転する。また、回転ギアボックス29bの回転方向が車軸16の回転方向と異なる方向であれば、第2の回転体駆動軸20が車軸16よりも少なく回転し、この少ない回転数により第2群の回転体12bを例えば左回転する。
パルス出力部222は、アブソリュートエンコーダ23から出力された車輪角度信号を入力して車輪の位相を演算しこの位相と速度演算部221で演算した速度に基づいて所定パターンの変速回転となるようにパルスを出力する。モータドライバ223,224,225は、走行用モータ17と回転体駆動用第1モータ19と回転体駆動用第2モータ21に対応する。
また、制御部22は、操縦ハンドルからの右横方向又は左横方向の走行を指令するものであり、従って、ホイール11を回転しないで回転体12a,12bを右回転又は左回転させる必要があるときは、走行用モータ17の回転制御を行うと共に、回転体駆動用第1モータ19と回転体駆動用第2モータ21とを同一方向にかつ平均回転速度が同一となるように、位相を異ならせた変速回転制御を行う。
制御部21は、回転体12a,12bの回転数を変化させかつ位相を異ならせた制御を行う。
図4において、Aグループの速度グラフは第1群の回転体12aの回転数の変化を示しており、Bグループの速度グラフは第2群の回転体12bの回転数の変化を示している。図4から分かるように、第1群の回転体12aの回転数の変化と第2群の回転体12bの回転数の変化について、いずれも、接地位置の径の変化に関わらず周速が所定速度になるように、大きい径で回転数が小さく、小さい径で回転数が大きくなる、第1群の回転体12a及び第2群の回転体12bを変速制御する。
さらに、制御部22は、回転体駆動用第1モータ19に対する変速回転と、回転体駆動用第2モータ21に対する変速回転とを同じパターンでかつ1つの回転体の位置ずれ分だけの位相を持たせて回転制御する。
制御部22は、ROMに、回転体駆動用第1モータ19に関する1回転分の回転数の変化のパターンを有していると共に、回転体駆動用第2モータ21に関する1回転分の回転数の変化のパターンを有していて、アブソリュートエンコーダ23の角度信号と関係させて、変化のパターンに対応したモータ駆動用信号を作り出し、モータドライバ224,225のそれぞれに出力する。
さらに、制御部22は、同時に接地状態となる2つの回転体12a,12bのうちの、一の回転体の大径部分と他の一の回転体の小径部分とが同じ周速になるように、第1群の回転体12aの回転と第2群の回転体12bの回転とが位相を異なるように、回転体駆動用第1モータ19の回転と回転体駆動用第2モータ21の回転について位相制御を行う。
次に、本発明の全駆動型回転体付き車輪の第2実施形態について説明する。
図5に示すように、第2実施形態では、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1と比較して、第1の回転体駆動軸18及び第2の回転体駆動軸20のホイール側端部から先の回転伝達機構が相違している一方、回転体駆動用第1モータ19が第1の回転体駆動軸18を駆動する回転伝達機構及び回転体駆動用第2モータ21が第2の回転体駆動軸20を駆動する回転伝達機構については相違しない。
従って、第2実施形態の全駆動型回転体付き車輪2の構成要素について、第1実施形態の全駆動型回転体付き車輪1の構成要素と同一のものについては同一符号を付して説明を省略する。
第1の回転分配伝達機構31は、第1の太陽傘歯車31aと、第1の太陽傘歯車31aの周囲に配設され第1の太陽傘歯車31aと噛み合う複数の遊星傘歯車31bと、各遊星傘歯車31bと同軸一体に設けられた第1の中間傘歯車31cと、第1の中間傘歯車31cに噛み合う第2の中間傘歯車31dと、第2の中間傘歯車31dと同軸一体に設けられた原動平歯車31eとからなり、原動平歯車31eが従動歯車30aと噛み合っている。第1の回転分配伝達機構31を構成するこれらの歯車は、ホイール11Aに軸支されている。
第2の回転分配伝達機構32は、第2の太陽傘歯車32aと、第2の太陽傘歯車32aの周囲に配設され第2の太陽傘歯車32aと噛み合う複数の遊星傘歯車32bと、各遊星傘歯車32bと同軸一体に設けられた第1の中間傘歯車32cと、第1の中間傘歯車32cに噛み合う第2の中間傘歯車32dと、第2の中間傘歯車32dと同軸一体に設けられた原動平歯車32eとからなり、原動平歯車32eが従動歯車30bと噛み合っている。第2の回転分配伝達機構32を構成するこれらの歯車は、ホイール11Aに軸支されている。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
(1)上記実施形態では、1輪の全駆動型回転体付き車輪について説明したが、本発明は、前輪が2輪、後輪が2輪の4輪車において、前輪又は後輪の2輪を駆動輪とする全駆動型回転体付き車輪にも適用される。
また、前輪が2輪、後輪が2輪の4輪車において、後輪の2輪を別々のモータで直結駆動すると共に、モータの回転を巻掛機構を介して動力分岐し各側の前輪に伝達する構造の4輪駆動車を構成し、前輪に本発明の全駆動型回転体付き車輪を適用する場合も含まれる。この場合には、図1の走行用モータ17は後輪に直結したモータが該当する。
(2)上記実施形態では、従動プーリ13a,13bが回転体12a又は12bの中央部に固定されているが、従動プーリ13a,13bが回転体12a又は12bの端部に固定されている場合も本発明に含まれる。
(3)上記実施形態では、半紡錘形状に形成された回転体12a,12bを用いたが、樽形の回転体を用いた場合も本発明の範囲に含まれる。特許文献1に示された固定式車輪の樽形の回転体を駆動する改造では、回転体の数が多いので、ホイール11の小さなスペースに収まる、二重に回転を分配伝達する機構が必要であり、本発明が適用可能である。同一径の樽形の回転体を複数用いた場合には、制御部は、回転体が、上記ホイールの回転時に接地部分の周速が所定速度になるように、接地位置の直径に応じた変速制御する。回転体は、直径の大きさから、両端で高速、中央で低速になる。特許文献4の図22に示された固定式車輪の樽形の回転体を駆動する改造についても、本発明が適用可能である。この場合は、1つ置きの樽形の回転体が小径、残り1つ置きの樽形の回転体が大径であり、小径の樽形の回転体の端部の一部が大径の樽形の回転体の端部に入り込んでいる。このため、小径の樽形の回転体と大径の樽形の回転体の端部とでは、同一の変速回転で駆動すると周速が相違するので、本発明の二重に回転を分配伝達する機構で変速回転制御と位相制御を行う。
11…ホイール、
12a,12b…回転体、
13a,13b…従動プーリ(従車)、
14…第1の回転分配伝達機構、
14a…第1の太陽平歯車(第1の太陽歯車)、
15…第2の回転分配伝達機構、
15a…第2の太陽平歯車(第2の太陽歯車)、
16…車軸、
17…走行用モータ、
18…第1の回転体駆動軸、
19…回転体駆動用第1モータ、
20…第2の回転体駆動軸、
21…回転体駆動用第2モータ、
22…制御部、
23…アブソリュートエンコーダ、
28…第1の差動遊星歯車機構、
28a…ウオーム、
29…第2の差動遊星歯車機構、
29a…ウオーム、
31…第1の回転分配伝達機構、
31a…第1の太陽傘歯車(第1の太陽歯車)、
32…第2の回転分配伝達機構、
32a…第2の太陽傘歯車(第2の太陽歯車)、
F…車体フレーム、
Claims (2)
- ホイールと、
上記ホイールの周囲に車輪の直進方向に対して直交方向へ回転可能に備えられた複数の回転体と、
各回転体に固定された従車と、
上記ホイール内に備えられた第1の太陽歯車を含み該第1の太陽歯車の回転を上記複数の回転体のうち、1つ置きの第1群の回転体に固定された従車に分配伝達する第1の回転分配伝達機構と、
上記ホイール内に備えられた第2の太陽歯車を含み該第2の太陽歯車の回転を残り1つ置きの第2群の回転体に固定された従車に分配伝達する第2の回転分配伝達機構と、
車体フレームに回転可能に支持され上記ホイールを支持する中空の車軸と、
上記車体フレームに備えられ上記車軸を回転する走行用モータと、
上記車軸に通され上記ホイール側の端部が上記第1の太陽歯車に固定連結されていると共に、上記車体フレーム側の端部が入力回転を出力回転として伝達しかつウオームからの回転を出力回転に加算又は減算して伝達する第1の差動遊星歯車機構に接続された中空の第1の回転体駆動軸と、
上記車体フレームに備えられ上記ウオームを回転する回転体駆動用第1モータと、
上記第1の回転体駆動軸に通され上記ホイール側の端部が上記第2の太陽歯車に固定連結されていると共に、上記車体フレーム側の端部が入力回転を出力回転として伝達しかつウオームからの回転を出力回転に加算又は減算して伝達する第2の差動遊星歯車機構に接続された第2の回転体駆動軸と、
上記車体フレームに備えられ上記ウオームを回転する回転体駆動用第2モータと、
上記走行用モータと上記回転体駆動用第1モータ及び上記回転体駆動用第2モータの回転制御を行う制御部と、
を備えてなる、全駆動型回転体付き車輪。 - 前記回転体が、車輪外周円の円弧を形成する周面を有し、かつ樽形形状に形成されているか、または車輪の前進回転方向の前側端部の直径が後側端部の直径よりも小さい半紡錘形状に形成されていて、径の小さい端部の一部が隣接する回転体の径の大きい端部に入り込んだ状態に備えられ、
前記制御部が、前記複数の回転体のうち1つ置きの上記第1群の回転体と、残り1つ置きの上記第2群の回転体とに分かれて別々に同一方向に前記回転数変化をするように回転制御し、かつ、同時に接地状態となる2つの回転体のうちの、一の回転体の大径部分と他の一の回転体の小径部分とが、車輪の直進方向に対して直交方向へ回転する同じ周速になるように、上記第1群の回転体の回転と上記第2群の回転体の回転とが位相を異ならせて回転制御する構成である、請求項1に記載の全駆動型回転体付き車輪。
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