JP2011183322A - 低濃度メタンの除去方法及び低濃度メタンの除去装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被処理ガスGを、熱交換器3の低温流路3aに通じて予熱した後、酸化触媒2に通じ、高温流路3bに通じて反応前の被処理ガスGとの熱交換により熱回収を行った後排出する流路に供給し、低温流路3aに供給される被処理ガスGの一部を、流路における熱交換器3の上流側と下流側とを短絡して設けられた短絡流路7に通じる。短絡流路7に通じる被処理ガスの割合は、被処理ガス中のメタン濃度が低い場合ほど低く、メタン濃度が高い場合ほど高い割合に設定変更する。
【選択図】図1
Description
上記の目的を達成するための、いかなる割合で空気と混合しても可燃範囲に入らない低濃度のメタンを含む被処理ガスからメタンを除去する低濃度メタンの除去方法の特徴構成は、
前記被処理ガスを、熱交換器の低温流路(低温の熱媒が供給され、熱を受ける流路)に通じて予熱した後、酸化触媒に通じてメタンを接触酸化し、熱交換器の高温流路(高温の熱媒が供給され、熱を供給する流路)に通じて反応前の被処理ガスとの熱交換により熱回収を行った後排出する流路に供給し、
前記熱交換器に通じる低温流路、高温流路の少なくともいずれか一方の流路に供給される前記被処理ガスの一部を、前記流路における熱交換器の上流側と下流側とを短絡して設けられた短絡流路に通じる一方、残部を熱交換器に通じる流路における被処理ガス全量に対する、前記短絡流路に通じる被処理ガスの割合を、前記被処理ガス中のメタン濃度が低い場合ほど低く、メタン濃度が高い場合ほど高い割合に設定変更することにある。
本発明の特徴構成によれば、熱交換器を備えて、メタン除去により発生する熱を酸化触媒に導入するガスに回収する構成を採用するに、処理対象の被処理ガスのメタン濃度に応じて、熱交換器を短絡する短絡流路に導く流量割合を変化させることで、酸化触媒の温度を適切に保つようにできる。即ち、例えば、メタン濃度が低い場合には熱交換器を短絡する短絡流路に導く流量割合を低下し、逆にメタン濃度が高い場合には熱交換器を短絡する短絡流路に導く流量割合を増加することにより、酸化触媒入口の温度の変動を抑制することができる。
そして、このような低濃度メタン除去方法に使用する酸化触媒としては、ジルコニアまたはチタニアまたはその混合物からなる担体にイリジウムおよび白金を担持した触媒あるいは、ジルコニアまたはチタニアまたはその混合物からなる担体にパラジウムおよび白金を担持した触媒が好ましい。
これらの触媒は、350℃〜400℃程度の低い温度でもメタンを酸化することができ、硫黄化合物による活性低下が小さいので、熱交換器の容量を大きくする必要がなく、経済性に優れる。
これまで説明してきた、酸化触媒入口の温度が350℃以上であり、酸化触媒出口の温度が550℃以下となる条件で行うことが好ましい。
このような温度条件とすることにより、硫黄化合物の存在下においてもメタンの酸化除去能を良好に維持でき、さらに、酸化触媒の劣化を防止できる。
ここで、350℃は先に説明した許容下限温度の一例であり、550℃は先に説明した許容上限温度の一例である。
これまで説明してきた低濃度のメタンを含む被処理ガスが、炭坑の換気により放出されるガスであることが好ましい。
従来大気中に放出されてきた炭鉱換気ガスを本願に係る低濃度メタンの除去方法を使用して処理することで、地球温暖化防止に寄与できる技術を提供できる。
上記の本発明に係る低濃度メタンの除去方法は、以下の構成の低濃度メタンの除去装置で実施することができる。
即ち、いかなる割合で空気と混合しても可燃範囲に入らない低濃度のメタンを含む被処理ガスからの低濃度メタンの除去装置として、
メタンを接触酸化する酸化触媒を設けるとともに、前記酸化触媒に前記被処理ガスを導入するための送風機、および、前記酸化触媒に通じる前後の低温流路(低温の熱媒が供給され、熱を受ける流路)と高温流路(高温の熱媒が供給され、熱を供給する流路)との間で熱交換をする熱交換器を設け、
さらに、前記熱交換器に通じる低温流路と高温流路との少なくともいずれか一方の流路に対して、前記流路における熱交換器の上流側と下流側とを短絡する短絡流路を設けるとともに、前記被処理ガスの一部を短絡流路に通じる一方、残部を熱交換器に通じる流路に流量調整弁を設け、
前記流路に通じる前記被処理ガス全量に対する前記短絡流路に通じる被処理ガスの割合を、前記被処理ガス中のメタン濃度が低い場合ほど低く、メタン濃度が高い場合ほど高い割合に設定変更する制御手段を設けた構成とできる。
この構成を採用することで、高いメタン除去性能が得られるとともに、触媒の性能を比較的長期に渡って維持でき、先に説明したと同様の作用・効果を得ることができる。
酸化触媒2としては、ジルコニアまたはチタニアまたはその混合物からなる担体にイリジウムおよび白金を担持した触媒あるいは、ジルコニアまたはチタニアまたはその混合物からなる担体にパラジウムおよび白金を担持した触媒が好ましい。これらの触媒は、350℃〜400℃程度の低温でもメタンを酸化除去することができるとともに、硫化水素や二酸化硫黄などの硫黄化合物が共存しても活性低下が小さい。
図3に、ジルコニア担体(BET比表面積 17 m2/g)にIr 3wt%とPt 2wt%を担持した触媒(粒径 約1 mm, 1.45g)に、炭坑換気ガスを模擬したガス(CH4 1000 ppm, O2 20%, H2O 3%、残部N2)を120 l/hの流量で流通した(ガス時間あたり空間速度(GHSV) 80,000 h-1に相当)際のメタン除去率の温度依存性を示す。初期活性では、350℃で50%のメタン除去率が得られており、触媒入口温度が350℃程度あれば十分反応が開始することがわかる。引き続いて、硫黄化合物(CH3SH 1.5 ppm + H2S 1.5 ppm)を添加して400℃で反応を継続し、20および60時間経過後のメタン除去率を測定すると、活性は若干低下したものの、350℃で38%(20時間後)、35%(60時間後)のメタン除去率が得られ、硫黄化合物が共存しても活性の低下は小さかった。硫黄化合物をSO2 3 ppmに変えてもほぼ同様の結果であり(図4)、硫黄化合物の形態によらず、ジルコニア担体にIrとPtを担持した触媒が高いメタン除去性能を示すことが確認された。
図5および図6に、アルミナ担体(γ型、BET比表面積 125 m2/g)にPd 3wt%とPt 2wt%を担持した触媒(粒径 約1 mm, 1.45g)について、同様にメタン除去性能を評価した結果を示す(GHSV 63,000 h-1に相当)。従来、VOC酸化に用いられてきたPdやPtをアルミナ担体に担持した触媒は、初期活性はジルコニア担体にIrとPtを担持した触媒と同程度であり、本願の低濃度メタンの除去装置に使用できるが、硫黄化合物の共存により短期間でメタン除去性能を失う欠点もある。
図7に、チタニア担体にIr 3wt%とPt 2wt%を担持した触媒(粒径 約1 mm, 1.45g)について、同様にメタン除去性能を評価した結果を示す(GHSV 50,000 h-1に相当)。初期活性では、350℃で90%のメタン除去率が得られ、SO2の共存する条件で60時間経過後でも、59%のメタン除去率が得られた。
図8に、ジルコニア担体にPd 3wt%とPt 2wt%を担持した触媒(粒径 約1 mm, 1.45g)について、同様にメタン除去性能を評価した結果を示す(GHSV 80,000 h-1に相当)。初期活性では、400℃で83%のメタン除去率が得られ、硫黄化合物の共存する条件で60時間経過後でも、400℃では52%のメタン除去率が得られた。触媒入口温度を400℃以上とすれば、硫黄化合物が共存しても、本触媒は有効に作用する。
酸化触媒2の使用量は、少なすぎる場合には、有効なメタン除去性能が得られないが、多すぎても経済的に不利となるので、ガス時間当たり空間速度(GHSV)で1,000〜200,000h-1となる量を使用することが好ましく、20,000〜100,000h-1程度とすることがより好ましい。
本発明で用いる熱交換器3は、気体−気体間の熱交換が可能で圧力損失が低く抑えられる限り、その形式を問わないが、通常はコンパクト熱交換器3として知られるプレート・アンド・フィン式の熱交換器、あるいは回転式蓄熱型熱交換器が好ましい。使用する熱交換器の伝熱面積は、適宜選択できるが、通常炭坑換気ガスの排出量に対し、NTUが5〜15程度となるような熱交換器3を選定するのが好ましい。
本発明で用いるメタン濃度の検知手段4は、十分な応答性および安定性を有する限り、その形式を問わないが、たとえば、非分散赤外式メタン濃度計や、酸化錫などの半導体式ガスセンサなどが使用できる。
本発明の低濃度メタンの除去方法は、熱交換器3に通じてメタンを含有する被処理ガスGを予熱した後、メタンを接触酸化する酸化触媒2に通じ、再び熱交換器3に通じて反応前のガスとの熱交換により熱回収を行うとともに、熱交換器3を短絡して設けられた短絡流路7に前記被処理ガスの一部を通じ、前記被処理ガスのメタン濃度に応じて、前記短絡流路7に導く流量割合を、前記メタン濃度が低い場合の流量割合に対してメタン濃度が高い場合の流量割合を増加させる形態で変化させることを特徴とする。
熱交換器3のNTUを10とし、酸化触媒および接続配管で25 kWの放熱損失が生じるものとすると、メタン濃度にかかわらず炭坑換気ガスの全量を熱交換器3に通じる場合には、メタン濃度に対する触媒入口2inおよび出口2outのガス温度は図9に示すように変化する。実際には、酸化触媒入口の温度が350℃以下(図9,11に一点鎖線で示す)に低下すると酸化触媒のメタン除去性能が低下する。一方、酸化触媒出口の温度が550℃を超える(図9,11に二点鎖線で示す)と触媒に回復不可能な劣化が起こるため、実際に安定してメタン除去が可能となるのは、メタン濃度が0.3〜0.4%というごく限られた範囲に過ぎない。
(1)上記の実施の形態では、熱交換器3を短絡する短絡流路7は熱交換器3の低温流路3aに設けたが、熱交換器3の高温流路3bに設けても同様の効果を奏する(図2参照)。ただし、この場合、流量調整弁5は高温にさらされるので、短絡流路7の下流側接続点に設置する方が好ましい場合もある。
(2)メタン濃度の検知手段4は、できるだけ速やかにメタン濃度の変動を検知するという観点からは装置の入口に近接して設置するのが好ましく、被処理ガスのメタン濃度を検知するという意味からは吸引管8に設けるのが好ましい。しかしながら、送風機1出口から熱交換器3入口までの間、あるいは熱交換器3出口から酸化触媒2入口までの間に設けることも可能である。
(3)本発明の低濃度メタンの除去装置には、さらに必要に応じて、酸化触媒入口および酸化触媒出口のガス温度の測定手段を設けてもよい。これにより、メタン濃度の検知手段4に異常を生じた場合でも、より安全に装置を停止することが可能となる。
2:酸化触媒
3:熱交換器
4:メタン濃度の検知手段
5:流量調整弁
6:制御手段
7:短絡流路
8:吸引管
Claims (8)
- いかなる割合で空気と混合しても可燃範囲に入らない低濃度のメタンを含む被処理ガスからメタンを除去する低濃度メタンの除去方法であって、
前記被処理ガスを、熱交換器の低温流路に通じて予熱した後、酸化触媒に通じてメタンを接触酸化し、熱交換器の高温流路に通じて反応前の被処理ガスとの熱交換により熱回収を行った後排出する流路に供給し、
前記熱交換器に通じる低温流路、高温流路の少なくともいずれか一方の流路に供給される前記被処理ガスの一部を、前記流路における熱交換器の上流側と下流側とを短絡して設けられた短絡流路に通じる一方、残部を熱交換器に通じる流路における被処理ガス全量に対する、前記短絡流路に通じる被処理ガスの割合を、前記被処理ガス中のメタン濃度が低い場合ほど低く、メタン濃度が高い場合ほど高い割合に設定変更する低濃度メタンの除去方法。 - 酸化触媒が、ジルコニアまたはチタニアまたはその混合物からなる担体にイリジウムおよび白金を担持した触媒である、請求項1に記載の低濃度メタンの除去方法。
- 酸化触媒が、ジルコニアまたはチタニアまたはその混合物からなる担体にパラジウムおよび白金を担持した触媒である、請求項1に記載の低濃度メタンの除去方法。
- 酸化触媒入口の温度が350℃以上であり、酸化触媒出口の温度が550℃以下となる条件で行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の低濃度メタンの除去方法。
- 低濃度のメタンを含むガスが、炭坑の換気により放出されるガスである請求項1〜4のいずれか一項に記載の低濃度メタンの除去方法。
- いかなる割合で空気と混合しても可燃範囲に入らない低濃度のメタンを含む被処理ガスからの低濃度メタンの除去装置であって、
メタンを接触酸化する酸化触媒を設けるとともに、前記酸化触媒に前記被処理ガスを導入するための送風機、および、前記酸化触媒に通じる前後の低温流路と高温流路との間で熱交換をする熱交換器を設け、
さらに、前記熱交換器に通じる低温流路と高温流路との少なくともいずれか一方の流路に対して、前記流路における熱交換器の上流側と下流側とを短絡する短絡流路を設けるとともに、前記被処理ガスの一部を短絡流路に通じる一方、残部を熱交換器に通じる流路に流量調整弁を設け、
前記流路に通じる前記被処理ガス全量に対する前記短絡流路に通じる被処理ガスの割合を、前記被処理ガス中のメタン濃度が低い場合ほど低く、メタン濃度が高い場合ほど高い割合に設定変更する制御手段を設けた低濃度メタンの除去装置。 - 酸化触媒が、ジルコニアまたはチタニアまたはその混合物からなる担体にイリジウムおよび白金を担持した触媒である、請求項6に記載の低濃度メタンの除去装置。
- 酸化触媒が、ジルコニアまたはチタニアまたはその混合物からなる担体にパラジウムおよび白金を担持した触媒である、請求項6に記載の低濃度メタンの除去装置。
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