JP2011181285A - 非水電解質二次電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高容量で電池の膨れを抑制し得たに優れた非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】リチウムニッケル複合酸化物(LixNi1-yMyOz、0.9<x≦1.1、0≦y≦0.7、1.9≦z≦2.1、MはAl、Co、Mnの少なくとも一種を含む)と、導電剤と、結着剤と、を含む正極合剤層を正極集電体上に形成する正極合剤層形成工程と、正極合剤層が形成された正極集電体を圧延する圧延工程と、露点が−20℃以下で且つ二酸化炭素分圧が0.01気圧以上の雰囲気に、圧延後の正極合剤層が形成された正極集電体を12〜48時間放置し、二酸化炭素ガスと反応させる二酸化炭素ガス反応工程と、を備えることを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】リチウムニッケル複合酸化物(LixNi1-yMyOz、0.9<x≦1.1、0≦y≦0.7、1.9≦z≦2.1、MはAl、Co、Mnの少なくとも一種を含む)と、導電剤と、結着剤と、を含む正極合剤層を正極集電体上に形成する正極合剤層形成工程と、正極合剤層が形成された正極集電体を圧延する圧延工程と、露点が−20℃以下で且つ二酸化炭素分圧が0.01気圧以上の雰囲気に、圧延後の正極合剤層が形成された正極集電体を12〜48時間放置し、二酸化炭素ガスと反応させる二酸化炭素ガス反応工程と、を備えることを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、非水電解質二次電池の改良に関する。
非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるため、携帯機器の駆動電源として広く利用されているが、近年、携帯電話、ノートパソコン等の移動情報端末の高機能化が急速に進展しており、一層高容量の電池が求められるようになった。
従来、非水電解質二次電池の正極活物質としては、コバルト酸リチウムが用いられていたが、これに代えて、リチウムニッケル複合酸化物を用いると、コバルト酸リチウムを用いた場合よりも放電容量を高めることができる。このため、リチウムニッケル複合酸化物を非水電解質二次電池用正極活物質として利用する技術への期待が高まっている。
リチウムニッケル複合酸化物の合成には、リチウム源として水酸化リチウム等のアルカリ性リチウム化合物が用いられているが、良質なリチウムニッケル複合酸化物を合成するためには、リチウムニッケル複合酸化物に含ませるリチウム量よりも多くのリチウム源を用いる必要がある。このため、リチウムニッケル複合酸化物表面に、リチウム源に起因するアルカリ性リチウム化合物が残存しやすい。このアルカリ性リチウム化合物は反応性が高く、空気中の水分や炭酸ガスと反応して、リチウム炭酸化合物(LiHCO3、Li2CO3)が生じる。Li2CO3は安定な化合物であるが、LiHCO3は不安定な化合物であり、高温条件等において分解して炭酸ガスを発生させ易い。このため、LiHCO3がリチウムニッケル複合酸化物表面に存在していると、高温条件で保存する場合等に、このLiHCO3が分解して炭酸ガスを発生させて、電池を大きく膨らませてしまうという問題があった。
リチウムニッケル複合酸化物を用いた非水電解質二次電池に関する技術としては、特許文献1〜3が挙げられる。
特許文献1にかかる技術は、リチウムニッケル複合酸化物を不活性ガス雰囲気中で200〜1500℃に加熱したとき、発生する炭酸ガス量を用いてリチウムニッケル複合酸化物を選別して使用する技術である。この技術によると、低コストで高性能な非水電解質二次電池を歩留まり高く提供できるとされる。
しかし、この技術は、リチウムニッケル複合酸化物の性質を変化させるものではない。
特許文献2にかかる技術は、リチウム化合物と、ニッケル化合物と、リチウムおよびニッケル以外の金属の化合物とを含む混合物を、酸素含有ガス雰囲気下で600〜850℃で焼成し、次いで400℃以下で二酸化炭素ガスとを接触させる技術である。この技術によると、安全性に優れ、かつ充電容量が大きく、取扱が容易な複合ニッケル酸リチウムが得られるとされる。
特許文献3にかかる技術は、リチウム化合物とニッケル化合物とを混合して、350〜800℃で焼成し、二酸化炭素ガスを含む雰囲気下で解砕してニッケル酸リチウムを作製する技術である。この技術によると、ニッケル酸リチウムを正極活物質として用いて、密度が大きく、限られた電池缶容積に充填できる活物質量を多くできる正極が得られるとされる。
本発明者は、上記特許文献2,3の技術について研究を行ったところ、高容量な電池を得るために充填密度を高めた場合には、電池の膨れが大きくなることを知った。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、高密度充填を行っても電池の膨張を抑制し得た非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための非水電解質二次電池の製造方法にかかる本発明は、リチウムニッケル複合酸化物(LixNi1-yMyOz、0.9<x≦1.1、0≦y≦0.7、1.9≦z≦2.1、MはAl、Co、Mnの少なくとも一種を含む)と、導電剤と、結着剤と、を含む正極合剤層を正極集電体上に形成する正極合剤層形成工程と、正極合剤層が形成された正極集電体を圧延する圧延工程と、露点が−20℃以下で且つ二酸化炭素分圧が0.01気圧以上の雰囲気に、圧延後の正極合剤層が形成された正極集電体を12〜48時間放置し、二酸化炭素ガスと反応させる二酸化炭素ガス反応工程と、を備えることを特徴とする。
リチウムニッケル複合酸化物は、リチウム源として、通常水酸化リチウム等のアルカリ性リチウム化合物を用いており、リチウム源に起因するアルカリ性リチウム化合物がリチウムニッケル複合酸化物表面に残存しやすい。これらのアルカリ性リチウム化合物が空気中の水分や二酸化炭素と反応すると、リチウム炭酸化合物(LiHCO3、Li2CO3)が生じる。リチウム炭酸化合物うち、Li2CO3は安定な化合物であり、電池を高温条件で保存しても非水電解質と反応することがなく、電池を膨らせることがない。これに対し、LiHCO3はLi2CO3よりも不安定な化合物であり、電池を高温条件で保存すると非水電解質と反応して分解し、分解ガスによって電池が膨れてしまう。ここで、リチウムニッケル複合酸化物を含む正極を、二酸化炭素ガスを含む雰囲気に放置することにより、アルカリ性リチウム化合物と二酸化炭素等との反応により、LiHCO3よりもLi2CO3を優先して生成させるようにできるので、電池を高温保存したときの膨れが小さくなる。
また、体積エネルギー密度を高めるために圧延を行うと、リチウムニッケル複合酸化物粒子が割れ、これによりリチウムニッケル複合酸化物表面に存在するアルカリ性リチウム化合物量が増加する。このアルカリ性リチウム化合物によるLiHCO3生成を防止するため、圧延工程後においてリチウムニッケル複合酸化物と二酸化炭素ガスとを反応させる。
また、放置する雰囲気ガスの露点が高くなると、雰囲気ガスに含まれる水分量が増加し、リチウムニッケル複合酸化物に含まれるリチウムイオンと水分とが反応して生成する水酸化リチウム量が増加する。これにより、LiHCO3生成量もまた増加し、電池の膨れを大きくさせる。このため、二酸化炭素と反応させる雰囲気の露点は−20℃以下とする。より好ましくは、二酸化炭素と反応させる雰囲気の露点を−40℃以下とする。
また、雰囲気ガスに含まれる二酸化炭素が少ないと、Li2CO3を優先して生成させにくくなる。このため、雰囲気ガスの二酸化炭素分圧は、0.01気圧以上となるようにする。より好ましくは二酸化炭素分圧を0.01〜0.5気圧とし、さらに好ましくは二酸化炭素分圧を0.01〜0.1気圧とする。なお、1気圧は101325Paとする。
また、反応時間が長くなると、水酸化リチウムが十分に二酸化炭素と反応できるが、リチウムニッケル複合酸化物に含まれるリチウムイオンと二酸化炭素との反応もまた多くなり、LiHCO3生成量が増加してしまう。両者のバランスを考慮すると、反応時間は12〜48時間とする。
上記課題を解決するための非水電解質二次電池にかかる本発明は、正極活物質を有する正極合剤層が形成された正極と、負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を備える非水電解質二次電池において、前記正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物(LixNi1-yMyOz、0.9<x≦1.1、0≦y≦0.7、1.9≦z≦2.1、MはAl、Co、Mnの少なくとも一種を含む)からなり、前記正極合剤を不活性ガス雰囲気で300℃に加熱したときに発生する炭酸ガス量が、正極活物質1g当り60μmol以下であることを特徴とする。
正極合剤を不活性ガス雰囲気で300℃に加熱したときに発生する炭酸ガス量が、正極活物質1g当り60μmol以下に規制されていれば、高温保存した場合の電池の膨れを顕著に小さくできる。
上記に説明したように、本発明によると、炭酸ガスの発生による電池の膨張を抑制し得た非水電解質二次電池を提供できるという顕著な効果を奏する。
本発明を実施するための形態を、実施例を用いて詳細に説明する。なお、本発明は下記の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
〈正極の作製〉
ニッケルと、コバルトと、アルミニウムと、を共沈させて、ニッケルコバルトアルミニウム水酸化物を得た。これに水酸化リチウムを添加し、700℃で焼成して、コバルト、アルミニウム含有リチウムニッケル複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)を得た。
〈正極の作製〉
ニッケルと、コバルトと、アルミニウムと、を共沈させて、ニッケルコバルトアルミニウム水酸化物を得た。これに水酸化リチウムを添加し、700℃で焼成して、コバルト、アルミニウム含有リチウムニッケル複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)を得た。
なお、上記コバルト、アルミニウム含有リチウムニッケル複合酸化物に含まれる元素量は、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分析)により分析した。
このリチウムニッケル複合酸化物を、室温(25℃)、露点−40℃、二酸化炭素が体積当り10%の環境下で、24時間保管した。
〈正極合剤層形成工程〉
正極活物質としての上記コバルト、アルミニウム含有リチウムニッケル複合酸化物95質量部と、導電剤としての炭素粉末2.5質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2.5質量部と、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、を混合して正極活物質ペーストとした。この正極活物質ペーストをアルミニウム製の正極集電体(厚み20μm)の両面にドクターブレード法により塗布し、乾燥して、正極集電体上に正極合剤層を形成した。
正極活物質としての上記コバルト、アルミニウム含有リチウムニッケル複合酸化物95質量部と、導電剤としての炭素粉末2.5質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2.5質量部と、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、を混合して正極活物質ペーストとした。この正極活物質ペーストをアルミニウム製の正極集電体(厚み20μm)の両面にドクターブレード法により塗布し、乾燥して、正極集電体上に正極合剤層を形成した。
〈圧延工程〉
この後、圧縮ローラーを用いて正極合剤(正極活物質+導電剤+結着剤)密度が3.5g/mlとなるように圧延し、正極板を作製した。
この後、圧縮ローラーを用いて正極合剤(正極活物質+導電剤+結着剤)密度が3.5g/mlとなるように圧延し、正極板を作製した。
〈二酸化炭素ガス反応工程〉
密閉容器内の雰囲気ガスを真空排気し、容器体積当り10%の二酸化炭素ガス及び90%のドライエアー(二酸化炭素分圧が0.1気圧)を導入し(密閉容器内の雰囲気ガスの露点は−40℃)、24時間放置して、正極を得た。なお、密閉容器内の温度は25℃、密閉容器内の気圧は1気圧(101325Pa)とした。
密閉容器内の雰囲気ガスを真空排気し、容器体積当り10%の二酸化炭素ガス及び90%のドライエアー(二酸化炭素分圧が0.1気圧)を導入し(密閉容器内の雰囲気ガスの露点は−40℃)、24時間放置して、正極を得た。なお、密閉容器内の温度は25℃、密閉容器内の気圧は1気圧(101325Pa)とした。
〈負極の作製〉
負極活物質としての天然黒鉛95質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量部と、N−メチルピロリドンとを混合して負極活物質ペーストとした。この負極活物質ペーストを銅製の負極集電体(厚み18μm)の両面に塗布し、乾燥した。この後、圧縮ローラーを用いて圧延して、負極を作製した。
負極活物質としての天然黒鉛95質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量部と、N−メチルピロリドンとを混合して負極活物質ペーストとした。この負極活物質ペーストを銅製の負極集電体(厚み18μm)の両面に塗布し、乾燥した。この後、圧縮ローラーを用いて圧延して、負極を作製した。
〈電極体の作製〉
上記正極及び負極を、ポリプロピレン製微多孔膜からなるセパレータを介して巻回し、その後プレスすることにより、扁平電極体を作製した。
上記正極及び負極を、ポリプロピレン製微多孔膜からなるセパレータを介して巻回し、その後プレスすることにより、扁平電極体を作製した。
〈非水電解質の調整〉
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比3:7(25℃)で混合し、電解質塩としてのLiPF6を1.0M(モル/リットル)となるように溶解して、非水電解質となした。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比3:7(25℃)で混合し、電解質塩としてのLiPF6を1.0M(モル/リットル)となるように溶解して、非水電解質となした。
〈電池の組み立て〉
樹脂層(ポリプロピレン)/接着剤層/アルミニウム合金層/接着剤層/樹脂層(ポリプロピレン)の5層構造から成るシート状のラミネート材を用意した。この後、このアルミラミネート材を折り返されてして底部を形成し、カップ状の電極体収納空間を形成した。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、上記扁平電極体と上記非水電解質とを、上記収容空間に挿入した。この後、外装体内部を減圧してセパレータ内部に非水電解質を含浸させ、外装体の開口部を封止して、高さ62mm、幅35mm、厚み3.6mmの実施例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
樹脂層(ポリプロピレン)/接着剤層/アルミニウム合金層/接着剤層/樹脂層(ポリプロピレン)の5層構造から成るシート状のラミネート材を用意した。この後、このアルミラミネート材を折り返されてして底部を形成し、カップ状の電極体収納空間を形成した。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、上記扁平電極体と上記非水電解質とを、上記収容空間に挿入した。この後、外装体内部を減圧してセパレータ内部に非水電解質を含浸させ、外装体の開口部を封止して、高さ62mm、幅35mm、厚み3.6mmの実施例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例2)
密閉容器に導入するガスを、容器体積当り1%の二酸化炭素ガス及び99%のドライエアー(密閉容器内の雰囲気ガスの露点は−40℃、二酸化炭素分圧が0.01気圧)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2に係る電池を作製した。
密閉容器に導入するガスを、容器体積当り1%の二酸化炭素ガス及び99%のドライエアー(密閉容器内の雰囲気ガスの露点は−40℃、二酸化炭素分圧が0.01気圧)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2に係る電池を作製した。
(実施例3)
密閉容器に導入するガスを、容器体積当り5%の二酸化炭素ガス及び95%のドライエアー(密閉容器内の雰囲気ガスの露点は−40℃、二酸化炭素分圧が0.05気圧)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例3に係る電池を作製した。
密閉容器に導入するガスを、容器体積当り5%の二酸化炭素ガス及び95%のドライエアー(密閉容器内の雰囲気ガスの露点は−40℃、二酸化炭素分圧が0.05気圧)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例3に係る電池を作製した。
(実施例4)
密閉容器に導入するガスを、容器体積当り50%の二酸化炭素ガス及び50%のドライエアー(密閉容器内の雰囲気ガスの露点は−40℃、二酸化炭素分圧が0.5気圧)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例4に係る電池を作製した。
密閉容器に導入するガスを、容器体積当り50%の二酸化炭素ガス及び50%のドライエアー(密閉容器内の雰囲気ガスの露点は−40℃、二酸化炭素分圧が0.5気圧)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例4に係る電池を作製した。
(実施例5)
正極合剤密度を3.3g/mlとしたこと以外は、上記実施例2と同様にして、実施例5に係る電池を作製した。
正極合剤密度を3.3g/mlとしたこと以外は、上記実施例2と同様にして、実施例5に係る電池を作製した。
(実施例6)
正極合剤密度を3.3g/mlとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例6に係る電池を作製した。
正極合剤密度を3.3g/mlとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例6に係る電池を作製した。
(実施例7)
正極合剤密度を3.3g/mlとしたこと以外は、上記実施例4と同様にして、実施例7に係る電池を作製した。
正極合剤密度を3.3g/mlとしたこと以外は、上記実施例4と同様にして、実施例7に係る電池を作製した。
(実施例8)
密閉容器内の雰囲気ガスの露点を−20℃としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例8に係る非水電解質二次電池を作製した。
密閉容器内の雰囲気ガスの露点を−20℃としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例8に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例9)
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に12時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例9に係る電池を作製した。
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に12時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例9に係る電池を作製した。
(実施例10)
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に48時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例10に係る電池を作製した。
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に48時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例10に係る電池を作製した。
(実施例11)
焼成後のリチウムニッケル複合酸化物を二酸化炭素含有雰囲気に保管しなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例11に係る電池を作製した。
焼成後のリチウムニッケル複合酸化物を二酸化炭素含有雰囲気に保管しなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例11に係る電池を作製した。
(比較例1)
密閉容器に導入するガスを、露点が−40℃のドライエアー(二酸化炭素分圧が0.0003気圧)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
密閉容器に導入するガスを、露点が−40℃のドライエアー(二酸化炭素分圧が0.0003気圧)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例2)
密閉容器内に放置しなかった(二酸化炭素ガスと反応させなかった)こと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
密閉容器内に放置しなかった(二酸化炭素ガスと反応させなかった)こと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例3)
正極合剤密度を3.3g/mlとしたこと以外は、上記比較例2と同様にして、比較例3に係る非水電解質二次電池を作製した。
正極合剤密度を3.3g/mlとしたこと以外は、上記比較例2と同様にして、比較例3に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例4)
密閉容器内の雰囲気ガスの露点を0℃としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例4に係る非水電解質二次電池を作製した。
密閉容器内の雰囲気ガスの露点を0℃としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例4に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例5)
密閉容器内の雰囲気ガスの露点を10℃としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例5に係る非水電解質二次電池を作製した。
密閉容器内の雰囲気ガスの露点を10℃としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例5に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例6)
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に6時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例6に係る電池を作製した。
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に6時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例6に係る電池を作製した。
(比較例7)
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に120時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例7に係る電池を作製した。
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に120時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例7に係る電池を作製した。
(比較例8)
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に240時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例8に係る電池を作製した。
二酸化炭素ガスを含む密閉容器内に240時間放置したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例8に係る電池を作製した。
〔炭酸ガス量の測定〕
上記実施例1〜11、比較例1〜8と同じ条件で正極を作製し、正極合剤層から正極合剤を剥がし取り、アルゴン雰囲気としたSUS製反応管中に入れ、それを電気炉にて300℃で30分熱処理し、発生した炭酸ガス量をガスクロマトグラフィーにて測定(以降は熱分解―ガスクロマトグラフィーと称する)した。なお、ガスクロマトグラフィーには、島津製作所社製GC−14Bを用いた。この結果を下記表1に示す。
上記実施例1〜11、比較例1〜8と同じ条件で正極を作製し、正極合剤層から正極合剤を剥がし取り、アルゴン雰囲気としたSUS製反応管中に入れ、それを電気炉にて300℃で30分熱処理し、発生した炭酸ガス量をガスクロマトグラフィーにて測定(以降は熱分解―ガスクロマトグラフィーと称する)した。なお、ガスクロマトグラフィーには、島津製作所社製GC−14Bを用いた。この結果を下記表1に示す。
〔高温保存試験〕
上記実施例1〜11、比較例1〜8と同じ条件で電池を作製し、これらの電池に対して、定電流1.0It(650mA)で電圧が4.2Vとなるまで充電し、その後定電圧4.2Vで電流が0.02It(13mA)となるまで充電した(以上の作業は全て25℃条件で行った)。この充電状態の電池を80℃の恒温槽内で3時間保存し、保存前後の電池厚みを測定した。そして、電池の膨れ率を以下の式により算出した。この結果を下記表1に示す。
膨れ率(%)=厚み増加量÷初期厚み×100
上記実施例1〜11、比較例1〜8と同じ条件で電池を作製し、これらの電池に対して、定電流1.0It(650mA)で電圧が4.2Vとなるまで充電し、その後定電圧4.2Vで電流が0.02It(13mA)となるまで充電した(以上の作業は全て25℃条件で行った)。この充電状態の電池を80℃の恒温槽内で3時間保存し、保存前後の電池厚みを測定した。そして、電池の膨れ率を以下の式により算出した。この結果を下記表1に示す。
膨れ率(%)=厚み増加量÷初期厚み×100
上記表1から、活物質段階で二酸化炭素と反応させ、合剤密度が3.5g/mlの正極を用い、露点が−40℃、二酸化炭素分圧が0.1気圧の雰囲気で24時間反応させた実施例1は、二酸化炭素発生量が40μmol/g、膨れ率が7%であり、活物質段階で二酸化炭素と反応させてないこと以外は実施例1と同じである実施例11は、二酸化炭素発生量が46μmol/g、膨れ率が10%であり、極板段階で二酸化炭素含有雰囲気での反応を行っていない比較例2の二酸化炭素発生量70μmol/g、膨れ率24%よりも二酸化炭素発生量が少なく、膨れ率が小さいことがわかる。
このことは、次のように考えられる。本実施例では、リチウムニッケル複合酸化物作製に用いるリチウム源が水酸化リチウムであり、リチウム源に起因するアルカリ性リチウム化合物がリチウムニッケル複合酸化物表面に残存しやすい。また、体積エネルギー密度を高めるために圧延を行うと、リチウムニッケル複合酸化物粒子が割れ、これによりリチウムニッケル複合酸化物表面に存在するアルカリ性リチウム化合物量が増加する。アルカリ性リチウム化合物が空気中の水分や二酸化炭素と反応すると、リチウム炭酸化合物(LiHCO3、Li2CO3)が生じる。このリチウム炭酸化合物うち、Li2CO3は安定な化合物であり、200〜400℃の加熱ではほとんど二酸化炭素を発生させず、また電池を高温条件で保存しても非水電解質と反応することがない。これに対し、LiHCO3はLi2CO3よりも不安定な化合物であり、300℃の加熱により分解して二酸化炭素ガスを発生させ、また電池を高温条件で保存すると非水電解質と反応して二酸化炭素ガスを発生させ、電池を膨らせる。ここで、リチウムニッケル複合酸化物を二酸化炭素ガスを含む雰囲気に放置することにより、水酸化リチウムと二酸化炭素との反応生成物をLi2CO3が優先させるようにできる。実施例1、11では、圧延後に新たに表面に存在するようになったアルカリ性リチウムを反応させてLi2CO3とすることができるが、比較例2では圧延後に新たに表面に存在するようになったアルカリ性リチウムを反応させることができないので、比較例2では二酸化炭素発生量が増加し、膨れ率が大きくなる。
また、実施例1のほうが実施例11よりも二酸化炭素発生量が少なく、膨れ率が小さいことから、より好ましくは焼成後のリチウムニッケル複合酸化物に対しても二酸化炭素処理を行う。
また、上記表1から、密閉容器内雰囲気の露点が異なる実施例1,8、比較例4,5を比較すると、露点が高くなるに伴い二酸化炭素発生量が増加し、且つ膨れ率が大きくなる傾向にあることがわかる。
このことは、次のように考えられる。露点が高くなると、密閉容器内の雰囲気ガスに含まれる水分量が増加する。このため、リチウムニッケル複合酸化物に含まれるリチウムイオンと水分とが反応して生成する水酸化リチウム量が増加する。このため、水酸化リチウム等のアルカリ性リチウム化合物と二酸化炭素との反応により生成するLiHCO3量も増加するので、膨れ率が大きくなる。このため、二酸化炭素と反応させる雰囲気の露点は−20℃以下であることが好ましく、−40℃以下であることがより好ましい。
また、上記表1から、密閉容器内雰囲気の二酸化炭素分圧が異なる実施例1〜4、比較例1を比較すると、二酸化炭素分圧が0.1気圧以下の範囲(実施例1〜3、比較例1)では二酸化炭素分圧が高くなるに伴い二酸化炭素発生量が減少し、且つ膨れ率が小さくなる傾向にあることがわかる。これに対し、二酸化炭素分圧が0.5気圧(実施例4)となると、二酸化炭素分圧が0.1気圧(実施例3)の場合よりもわずかに二酸化炭素発生量が増加し、且つ膨れ率がわずかに大きくなっていることがわかる。
このことは、次のように考えられる。二酸化炭素分圧が高くなると、水酸化リチウムと二酸化炭素とが反応する際にLi2CO3が優先して生成しやすくなる。これにより、300℃加熱による二酸化炭素発生量が減少し、保存時の電池膨れが小さくなる。しかしながら、二酸化炭素分圧が高くなりすぎると、二酸化炭素がリチウムニッケル複合酸化物に含まれるリチウムイオンとも反応するようになるため、加熱による二酸化炭素発生量が増加し、膨れ率が大きくなる。このため、二酸化炭素分圧は0.01気圧以上であることが好ましく、0.01〜0.5気圧であることがより好ましく、0.01〜0.1気圧であることがさらに好ましい。
また、正極合剤密度が異なる実施例1、2、4、比較例2のグループと、実施例5〜7、比較例3のグループと、を比較すると、正極合剤密度が大きい実施例1、2、4、比較例2のグループの方が正極合剤密度が小さい実施例5〜7、比較例3のグループよりも二酸化炭素発生量が大きく、膨れ率が大きい傾向にあることがわかる。
このことは、次のように考えられる。正極合剤密度を大きくするためには、より高い圧力で圧延を行う必要があり、これによりリチウムニッケル複合酸化物粒子が割れるので、リチウムニッケル複合酸化物粒子内部に存在していた水酸化リチウムの一部が粒子表面に現れるようになる。これにより水酸化リチウムと二酸化炭素との反応生成物量が増加するので、二酸化炭素発生量が増加し、膨れ率が大きくなる。
また、二酸化炭素との反応時間が異なる実施例1,9,10、比較例6〜8を比較すると、反応時間が24時間以下の範囲(実施例1、9、比較例6)では二酸化炭素との反応時間が長くなるに伴い二酸化炭素発生量が減少し、且つ膨れ率が小さくなる傾向にあることがわかる。これに対し、反応時間が48時間以上(実施例10、比較例7,8)となると、二酸化炭素発生量が増加し、且つ膨れ率が大きくなる傾向にあることがわかる。
このことは、次のように考えられる。反応時間が長くなると、水酸化リチウムが十分に二酸化炭素と反応できるが、リチウムニッケル複合酸化物に含まれるリチウムイオンと二酸化炭素との反応もまた多くなる。両者のバランスを考慮すると、反応時間は12〜48時間であることが好ましい。
また、300℃に加熱した場合における二酸化炭素発生量が、正極活物質1gあたり60μmol以下であれば、膨れ率を17%以下と小さくできることがわかる。
(追加事項)
二酸化炭素と反応させる雰囲気温度は、10〜50℃とすることが好ましい。また、二酸化炭素分圧は、0.01気圧以上とすることが好ましく、0.01〜0.5気圧とすることがより好ましく、0.01〜0.1気圧とすることがさらに好ましい。
二酸化炭素と反応させる雰囲気温度は、10〜50℃とすることが好ましい。また、二酸化炭素分圧は、0.01気圧以上とすることが好ましく、0.01〜0.5気圧とすることがより好ましく、0.01〜0.1気圧とすることがさらに好ましい。
以上に説明したように、本発明によると、高容量で高温保存特性に優れた非水電解質二次電池を実現することができる。よって、産業上の利用可能性は大きい。
Claims (3)
- リチウムニッケル複合酸化物(LixNi1-yMyOz、0.9<x≦1.1、0≦y≦0.7、1.9≦z≦2.1、MはAl、Co、Mnの少なくとも一種を含む)と、導電剤と、結着剤と、を含む正極合剤層を正極集電体上に形成する正極合剤層形成工程と、
正極合剤層が形成された正極集電体を圧延する圧延工程と、
露点が−20℃以下で且つ二酸化炭素分圧が0.01気圧以上の雰囲気に、圧延後の正極合剤層が形成された正極集電体を12〜48時間放置し、二酸化炭素ガスと反応させる二酸化炭素ガス反応工程と、
を備えることを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。 - 請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極の製造方法において、
前記二酸化炭素ガス反応工程における雰囲気ガスの露点が−40℃以下である、
ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。 - 正極活物質を有する正極合剤層が形成された正極と、負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を備える非水電解質二次電池において、
前記正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物(LixNi1-yMyOz、0.9<x≦1.1、0≦y≦0.7、1.9≦z≦2.1、MはAl、Co、Mnの少なくとも一種を含む)からなり、
前記正極合剤を不活性ガス雰囲気で300℃に加熱したときに発生する炭酸ガス量が、正極活物質1g当り60μmol以下である、
ことを特徴とする非水電解質二次電池。
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JP2010043446A JP2011181285A (ja) | 2010-02-26 | 2010-02-26 | 非水電解質二次電池及びその製造方法 |
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WO2012090368A1 (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-05 | パナソニック株式会社 | 非水電解質二次電池およびその製造方法 |
CN112736287A (zh) * | 2020-12-25 | 2021-04-30 | 惠州亿纬创能电池有限公司 | 一种电极润湿方法、电极和电池 |
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2010
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