以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のチャットシステムの一実施形態を示す図である。
この図1には、2台のクライアントマシン100,200と1台のサーバマシン300が例示されており、これらクライアントマシン100,200とサーバマシン300は通信網400を介して互いに接続されている。これら2台のクライアントマシン100,200と1台のサーバマシン300は、いずれもコンピュータシステムで構成されている。2台のクライアントマシン100,200はそれぞれが本発明にいうチャット装置としての役割を成し、サーバマシン300は、本発明にいうチャットサーバとしての役割りを成すとともにオブジェクトサーバとしての役割りを兼ねている。
各コンピュータシステム100,200,300(2台のクライアントマシン100,200と1台のサーバマシン300)は、CPU、主記憶装置、ハードディスク、通信用ボード等が内蔵された本体部101,201,301、本体部101,201,301からの指示により表示画面102a,202a,302a上に画像や文字列を表示する表示部102,202,302、コンピュータシステム100,200,300にユーザの指示を入力するためのキーボード103,203,303、表示画面102a,202a,302a上の任意の位置を指定することにより、その指定時にその位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を入力するマウス104,204,304を備えている。
また、各コンピュータシステム100,200,300の本体部101,201,301には、さらに外観上、フロッピィディスク、CDROM(図1には図示せず:図2参照)が装填されるFD装填口101a,201a,301a;CDROM装填口101b,201b,301bを有しており、それらの内部には、それらの装填口101a,101b;201a,201b;301a,301bから装填されたフロッピィディスクやCDROMをドライブしてアクセスする、フロッピィディスクドライブ、CDROMドライブも内蔵されている。
サーバマシン300は、クライアントマシン100,200のホストコンピュータとして働き、クライアントマシン100,200は、サーバマシン300を介して相互に文字情報を交換する。
また、サーバマシン300は、クライアントマシン100,200の間で交わされる会話の話題となるオブジェクトを管理し各クライアントマシン100,200に配信する。さらに、サーバマシン300は、クライアントマシン100,200どうしの間の会話を、配信したオブジェクトに対応づけて保管し、後にいずれかのクライアントマシン100,200からの要求に応じてその要求に対応した会話をそのときの話題となったオブジェクトとともにその要求元のクライアントに送信する。
ここでは、サーバマシン300に装填されるCDROMに本発明にいうチャットオブジェクトコンテンツが記憶されており、このCDROMがCDROM装填口301bから本体部301内に装填され、CDROMドライバによりそのCDROMに記憶されたチャットオブジェクトコンテンツがサーバマシン300のハードディスク内にインストールされる。このサーバマシン300のハードディスク内にインストールされたチャットオブジェクトコンテンツが起動されると、サーバマシン300は、本発明のオブジェクトサーバの一実施形態として動作する。
従って、チャットオブジェクトコンテンツが記憶されたCDROMは、本発明のチャットオブジェクトコンテンツ記憶媒体の一実施形態に相当する。
また、このCDROMに記憶されたチャットオブジェクトコンテンツは、上記のようにしてサーバマシン300のハードディスク内にインストールされるが、そのチャットオブジェクトコンテンツがインストールされた状態のハードディスクも、本発明のチャットオブジェクトコンテンツ記憶媒体の一実施形態に相当する。
さらに、そのチャットオブジェクトコンテンツがフロッピィディスク等にダウンロードされるときは、そのダウンロードされたチャットオブジェクトコンテンツを記憶した状態にあるフロッピィディスク等も、本発明のチャットオブジェクトコンテンツ記憶媒体の一実施形態に相当する。
以下、コンピュータシステムのハードウェア構成について説明するが、ここでは、コンピュータシステム100,200,300の代表としてコンピュータシステム100について説明する。
図2は、図1に示すコンピュータシステムのハードウェア構成図である。
ここには、中央演算処理装置(CPU)111、RAM112、ハードディスクコントローラ113、フロッピィディスクドライブ114、CDROMドライブ115、マウスコントローラ116、キーボードコントローラ117、ディスプレイコントローラ118、および通信用ボード119が備えられており、それらはバス110で相互に接続されている。
フロッピィディスクドライブ114、CDROMドライブ115は、図1を参照して説明したように、フロッピィディスク510、CDROM520が装填され、装填されたフロッピィディスク510、CDROM520をアクセスするものである。
また、ここには、ハードディスクコントローラ113によりアクセスされるハードディスク120、マウスコントローラ116により制御されるマウス104、キーボードコントローラ117により制御されるキーボード103、ディスプレイコントローラ118により制御される表示部102、および通信用ボードを介して接続される通信網400も示されている。
図3は、記憶媒体に記憶されたチャットオブジェクトコンテンツの構成を示す概要図である。
この図3において、記憶媒体600は、前述したCD−ROMやハードディスク、フロッピィディスク等を代表的に示すものであり、この記憶媒体600には、オブジェクト記憶部611、オブジェクト配信部612、文字情報記憶部613、および情報送信部614から構成されるチャットオブジェクトコンテンツ610が記憶されている。
ここで、オブジェクト記憶部611は、会話(文字情報の変換)の際の話題を提供するオブジェクト(具体例は後述する)を記憶しておくものであり、サーバマシン300にインストールされた状態においては、そのオブジェクトによっては、そのオブジェクトの修正を受け入れ、オブジェクトが修正されるとその修正前のオブジェクトは残したままその修正されたオブジェクトも記憶するように構成されている。
また、オブジェクト配信部612は、オブジェクト記憶部611に記憶されたオブジェクトを、そのオブジェクトを基に相互に会話を行なおうとしている各クライアントマシンに配信するものである。
また、文字情報記憶部613は、そのチャットオブジェクトコンテンツがサーバマシン300にインストールされた状態において、オブジェクトが配信されたクライアントマシンどうしの間で交換された会話(文字情報)をそのオブジェクトに対応づけて記憶しておくものである。ここで、オブジェクト記憶部611に記憶されたオブジェクトによっては、そのオブジェクトが複数の部品あるいは複数の部分で構成されており、オブジェクト配信部によってそのオブジェクトが配信されたときは会話にあたってそのオブジェクトを構成する複数の部品のうちのある特定の部品が指し示した上で発言が成され、文字情報記憶部613は、その発言を、そのオブジェクトのその指し示された部品に対応づけて記憶する。あるいは、複数の部品あるいは部分に分けられていないオブジェクトであっても、そのオブジェクトの所望の一点を指し示した上で発言し、その発言とその指し示されたオブジェクト上の点とを対応づけて記憶するように構成してもよい。また、オブジェクト記憶部に記憶されたオブジェクト配信部によって配信されたオブジェクトが3次元立体モデルであったときは、各クライアントマシンは、そのオブジェクトを視点等を変えて表示することができ、このときは、文字情報記憶部では、各クライアントマシンでの発言は、そのときにクライアントマシンに表示されていたオブジェクトの表示態様(視点等)に対応付けて記憶される。さらに、オブジェクト記憶部に記憶されオブジェクト配信部によって配信されたオブジェクトがクライアントマシンによって修正されることが許容されたオブジェクトであるときは、上述したように、そのオブジェクトが修正されると修正前のオブジェクトを残したままその修正された態様のオブジェクトもオブジェクト記憶部に記憶されるが、そのときの会話は、その会話が行なわれたときの態様のオブジェクトに対応づけられて文字情報記憶部に記憶される。
さらに、図4に示すチャットオブジェクトコンテンツ610を構成する情報送信部614は、このチャットオブジェクトコンテンツ610がサーバマシン300にインストールされた状態において、いずれかのクライアントマシンから要求があった場合に、その要求に応じて、文字情報記憶部613中の、その要求に応じた文字情報(会話内容)と、その文字情報に対応づけられたオブジェクトを、要求元のクライアントマシンに送信するものである。これにより、そのクライアントマシンでは、過去の会話を、その時のオブジェクトとともに再現することができる。
尚、図3に示すチャットオブジェクトコンテンツ610のうちのオブジェクト記憶部611を除く、オブジェクト配信部612、文字情報記憶部613、および情報送信部614は、本発明のチャットオブジェクト管理プログラムの一実施形態を構成している。ただし、本発明のチャットオブジェクト管理プログラムにいう文字情報記憶部613は、このチャットオブジェクト管理プログラムがサーバマシン300にインストールされた状態において文字情報をサーバマシン300内に記憶させるプログラム部品を指している。
図4は、図1に示すチャットシステムの機能構成図である。
各クライアントマシン100,200には、オブジェクトや文字情報の送受信を管理するチャットクライアント151,251と、文字情報やその他必要な情報を操作に応じて入力する操作部152,252と、画像を表示する表示部153,253とが備えられている。
ここで、チャットクライアント151,251は、ハードウェア上は、図2に示す通信用ボード119やCPU111等から構成され、操作部152,252は、ハードウェア上は、キーボード103、キーボードコントローラ117、マウス114、およびマウスコントローラ116等から構成され、表示部153,253は、ハードウェア上は、表示部102やおよびディスプレイコントローラ118等から構成されている。
また、サーバマシン300には、クライアントマシンどうしの間の会話(文字情報の交換)の話題を提供するオブジェクトを記憶しておくオブジェクト記憶部352と、クライアントマシンどうしの間の会話をオブジェクトに対応付けて記憶する文字情報記憶部353と、辞書や各種の関連情報が記憶された辞書・関連情報記憶部354(本発明にいうデータベースの一例)と、それらをアクセスしたり、クライアントマシンどうしの間の会話(文字情報の交換)を仲介したり、クライアントマシンにオブジェクトを配信したりするためのチャットサーバ351を備えている。
ここで、オブジェクト記憶部352、文字情報記憶部353、および辞書・関連情報記憶部354は、サーバマシン300に内蔵されたハードディスク内に構成され、チャットサーバ351は、ハードウェア上は、サーバマシン300のCPUやその他の要素から構成されている。
クライアントマシンどうしで会話をしようとするとき、それらの会話のグループを形成する複数のクライアントマシンのうちの1台が、サーバマシンに対し、これから行なおうとしている会話の話題に対応したオブジェクトを配信するよう要求する。
すると、サーバマシン300では、オブジェクト記憶部352からその要求に応じたオブジェクトが読み出され、チャットサーバ351により、これからそのオブジェクトを話題として会話を行なおうとしているグループ内の複数のクライアントマシンに対し、その読み出されたオブジェクトが配信される。ここでは、図4に示す2台のクライアントマシン100,200がそのオブジェクトの配信を受けたものとする。
そのオブジェクトが配信されてきた2台のクライアントマシン100,200では、それらのクライアントマシン100,200の各チャットクライアント151,251でそのオブジェクトが受信され、各表示部153,253にそのオブジェクトが視覚情報として表示される。各クライアントマシン100,200では、各表示部153,253にオブジェクトが表示された状態で、操作部152,252が操作されて文字情報に入力され、入力された文字情報は自分の表示部153,253に表示されるほか、各チャットクライアント251,252からチャットサーバ351を仲介させて会話グループの他のクライアントマシンに送信される。会話グループ内の自分以外のクライアントマシンからサーバマシンを経由して送信されてきた文字情報は自分のチャットクライアント151,251で受信され、表示部153,253に表示される。
このようにして、会話グループを構成する複数のクライアントマシン100,200は、表示部153,253に共通の話題としてのオブジェクトを表示した状態で、相互に文字情報の交換(会話)を行なう。交換された文字情報は、サーバマシン300のチャットサーバ351により、クライアントマシン100,200に配信したオブジェクトに対応づけて文字情報記憶部353に記憶される。
クライアントマシンどうしの間で交換される文字情報には、辞書・関連情報記憶部354に記憶された辞書や各種の関連情報のアドレスを含ませることができ、そのアドレスを含む文字情報を受け取った側のクライアントマシンは、自分の操作部の操作によりそのアドレスを指定することによって、そのアドレスにある情報の入手を指示することができ、その指示がなされると、チャットクライアントは、サーバマシンに対し、そのアドレスの情報を送信するよう要求する。すると、サーバマシンは、その要求を受けて辞書・関連情報記憶部354からその要求のあったアドレスの情報を読み出し、要求元のクライアントマシンに向けて送信する。
こうすることにより、クライアントマシンどうしの間で、操作部を操作して直接に入力した文字情報のみでなく、その他の幅広い情報を参照しながら会話を行なうことができる。
ここで、サーバマシンのオブジェクト記憶部352に記憶されているオブジェクトによっては、そのオブジェクトが複数の部分あるいは複数の部品から構成されるものが存在し、会話の開始にあたってそのようなオブジェクトが各クライアントマシンに配信されると、各クライアントマシンの表示部にそのオブジェクトが表示され、文字情報の入力にあたっては、その表示されたオブジェクトの一点がマウス103でピッキングされ、それによってそのオブジェクトのそのピッキングされた部分あるいは部品が指定され、その上で文字情報が入力される。こうすることにより、1つのオブジェクトの中でも、話題がそのピッキングされた部分あるいは部品にさらに絞り込まれることになる。この場合、サーバマシン300では、クライアントマシンで入力された文字情報を文字情報記憶部313に記憶させるにあたっては、その配信したオブジェクトの、そのピッキングされた部分に対応づけて記憶される。
このとき、オブジェクトが複数の部品からなり、それら複数の部品が例えばツリー構造に体系づけられていたときは、各部品に対応づけられて入力された文字情報も同一のツリー構造に体系づけて記憶するなど、文字情報を、オブジェクトの構造と同一の構造に体系付けて記憶しておくことが好ましい。そうすることにより、後になってその会話を再現するときに、オブジェクト部品あるいは部分との対応関係の把握が容易となり、必要な情報を一層容易に抽出することができる。
また、サーバマシンのオブジェクト記憶部352に記憶されているオブジェクトによっては、表示態様を変更することのできるオブジェクトが存在する。例えばそのオブジェクトが製品の3次元立体モデルであった場合に、その3次元立体モデルをどの視点から見るかにより、表示態様が変更されることになる。例えばこのような表示態様の変更が可能なオブジェクトがオブジェクト記憶部352から読み出されて各クライアントマシンに配信され、各クライアントマシンの表示部に表示されると、各クライアントマシンのうちの現在発言権を得ているクライアントマシンでは、その操作部の操作により、表示部に表示されているオブジェクトの表示態様を変更することができる。現在発言権を得ているクライアントマシンの操作部の操作によりその表示部に表示されているオブジェクトの表示態様が変更されると、その新たな表示態様を表わす情報がサーバマシンを経由して他のクライアントマシンにも伝達され、全てのクライアントマシンの表示部に表示されるオブジェクトの表示態様がその新たな表示態様に変更される。
この場合、サーバマシンの文字情報記憶部353には、各クライアントマシンで入力された文字情報が、その文字情報が入力された時点におけるオブジェクトの表示態様と対応づけられて記憶される。
また、本実施形態には、例えばある製品の未だ完成されていない取扱説明書等の文書をオブジェクトとして取り扱い、会話を行ないながらその文書を完成させていくという用途も存在する。
このときには、オブジェクト記憶部352には、先ずは最初に作成された未完成のオブジェクトが記憶されており、そのオブジェクトが読み出されてチャットサーバ351によりクライアントマシンに配信され、各クライアントマシンの表示部には、先ずはその未完成のオブジェクトが表示される。この場合、少なくとも1台のクライアントマシンはそのオブジェクトを修正する権限を有し、他のクライアントマシンとの間で会話を行ないながら、そのオブジェクトを修正する必要を感じたときはこのオブジェクトの修正が行なわれる。そのオブジェクトの修正が行なわれると、その修正後のオブジェクトがサーバマシンに伝達され、そのサーバマシンのオブジェクト記憶部352に記憶される。このとき、本実施形態では、修正前のオブジェクトも消去されずにそのまま記憶された状態が保たれ、クライアントマシンで入力された会話は、その会話が行われたときのオブジェクトに対応づけられて記憶される。
このようにしてサーバマシンの文字情報記憶部353に記憶された文字情報は、いずれかのクライアントマシンからの要求に応じて読み出され、その要求元のクライアントマシンに送信される。このとき、その要求に応じた文字情報のみではなく、その文字情報が対応付けられているオブジェクト、あるいはオブジェクトの部分ないし部品、あるいはオブジェクトの表示態様等も読み出され文字情報と一緒に要求元のクライアントマシンに送信される。こうすることにより、その要求元のクライアントマシンでは、そのときの会話が、そのときのオブジェクトと対応づけられて、あるいはそのオブジェクトの話題としていた部分あるいは部品と対応づけられて、あるいはそのオブジェクトの表示態様に対応づけられて表示され、そのときの会話の内容をより深く理解することができ、また必要な情報の抽出が容易となる。
尚、本実施形態では、サーバマシン300が、クライアントマシン相互間で交わされる文字情報の交信を仲介すると共にオブジェクトの配信も行なっているが、文字情報の交信の仲介とオブジェクトの配信は別々のマシンが分担して行なってもよい。
以下、これまで説明した実施形態における具体例および他の実施形態の具体例について説明する。
図5は、クライアントマシンの表示部に表示された表示画面の一例を示す図である。
この表示画面は、会話表示部710と、オブジェクト表示部720と、発言者表示部730と、操作ボタン表示部740とに分かれている。会話表示部710には、今回の会話のうちの最新のものから遡っていくつかの会話が表示され、オブジェクト表示部720は、今話題にしているオブジェクトが表示され、発言者表示部730には会話の発言者が表示され、操作ボタン表示部740には各種の操作ボタンが表示されている。
ここでは、オブジェクト表示部720には、複数の部品から構成されたある製品の3次元モデルが表示されており、操作ボタン表示部740に表示された「拡大」、「縮小」、「回転上下」、「回転左右」の各操作ボタンをマウス操作するとマウス操作している間、表示されているオブジェクトが、それぞれ、順次拡大表示され、順次縮小表示され、上下に回転し、および左右に回転する。操作ボタンの操作を終了すると、その終了した時点の表示態様のオブジェクトが表示された状態となる。
図6は、図5の表示画面が表示された状態における操作の手順を示したフローチャートである。図5とともにこの図6を参照して説明を続ける。
先ず、発言しようとするクライアントは、マウス操作により、操作ボタン表示部740中の、図5に「発言」の文字が付された吹き出し発言開始ボタンを押す(ステップa1)。これにより、他のクライアントが発言中でなければ、発言権を得ることができる。
次に、マウス操作より、吹き出しの表示位置が設定される(ステップa2)。具体的にはオブジェクト表示部720に表示されたオブジェクトの所望の部品上にマウスカーソルを移動させマウスボタンを操作することによりその部品を指定する。そうすると、その部品を指し示すと共にその中に文字情報を入力することのできる枠(ここではこれを‘吹き出し’と称している)が表示される。
この吹き出しが表示された後、オブジェクトの表示態様が変更された場合は、その吹き出しとその吹き出しにより指し示された部品の表示位置との相対関係が変化しないよう、部品の表示位置の変化に伴って吹き出しも移動するなど、適切な処理がなされる。
その吹き出しの中には、そのクライアントマシンに対応してあらかじめ登録されているユーザIDが表示され、そのユーザIDの表示に続いて、キーボード操作により発言内容が書き込まれる(ステップa3)。
この発言内容には、例えば図5に例示されている<yamada.buhin.temp01>のような、図4に示すサーバマシン中の辞書・関連情報記憶部354のアドレス情報を含ませることが出きる。このようにして吹き出しの内部に発言内容を書き込んだ後、その書き込んだ結果を送信するよう指示する(ステップa4)。具体的には、マウス操作により、図5の表示画面中の操作ボタン表示部740の「送信」ボタン押す。すると、その吹き出しの内部の発言内容と、表示されているオブジェクトの、その吹き出しによって指し示されている部品を特定する情報がサーバマシンを経由して他の各クライアントマインに配信され、この共通のオブジェクトを表示して会話を行なっている全てのクライアントマシンに図5に示すような同一の画面が表示される。
今回の発言内容は、吹き出しの内部のみでなく、会話表示部710にも表示され、発言者表示部730には今回の発言の発言者が追加される。
また、サーバマシンは、今回の発言内容の送信を受けて、その文字情報記憶部353(図4参照)に、その送信されてきた発言内容を、その発言内容に対応した吹き出しによって指し示された部品、および今の時点におけるオブジェクトの表示態様に関連づけて記憶する。
図7は、会話中に図4に示す辞書・関連情報記憶部354のアドレスを埋め込む方法を示したフローチャートである。
ここでは、相手に知らせようとするデータを検索するために、データの検索条件が入力され、その検索の実行が依頼される。具体的には、例えばあるモータの特性を発言内容に加えようとするときは、そのモータの型式を検索条件として入力し、図5の操作ボタン表示部740中の「実行」ボタンを押す。すると、サーバマシンに対しその検索条件による検索が依頼される。サーバマシンではその検索条件に該当するデータが抽出されて依頼元のクライアントマシンに送信され、その依頼元のクライアントマシンでは、その表示部に、抽出されたデータとそのデータが格納されたアドレスとが一覧表の形式で表示される。抽出されたデータの中に所望のデータが存在していたときは、そのデータのアドレスが発言テキストの中に埋め込まれる(ステップb3)。
このときサーバマシンでは、辞書・関連情報記憶部354から抽出したデータは図示しないキャッシュメモリに格納される(ステップb4)。これにより、後の引用の際の高速化が図られている。
図5に戻って説明を続ける。
他のクライアントマシンからサーバマシンを経由して送信されてきた発言テキスト中に、例えば図5に示す<yamada.buhin.temp01>のようなアドレスが埋め込まれていたときに、このアドレスのデータを参照しようとするときは、このアドレスをマウス操作でダブルクリックする。すると、サーバマシンにこのアドレスのデータを送信するよう要求が出され、サーバマシンは、上述したようにしてキャッシュメモリに格納されているデータの中からそのアドレスのデータをその要求元のクライアントに送信する。その要求元のクライアントの表示部には、そのデータが表示された画面が現われ、そのデータを確認することができる。
尚、図5の説明では、吹き出しの内部に発言内容を書き込む旨説明したが、多数のクライアントマシン間で会話を行なう場合、いちいち吹き出しを表示するのは煩らわしい場合もあり、そのときは、吹き出しを表示しないモード、あるいは吹き出しを表示してもその吹き出し内には発言者のユーザIDのみ表示しその吹き出しの内部には発言内容自体は表示せず、会話表示部710にのみ表示するモードに移行することができるように構成しておいてもよい。
以上のようにして会話が進むと、図4のサーバマシン中の文字情報記憶部353には、発言内容が順次蓄積される。
図5の操作ボタン表示部740の「キャンセル」ボタンを押すと、この図5に示す画面から抜け、他のモードに移行することができる。
同一のオブジェクトに関する会話は、一旦終了した後であっても、再度立ち上げて続行することもでき、1つのオブジェクトに関し長期間に亘る会話が蓄積されることもある。
次に、以上のようにして蓄積された発言内容を後になって再現するときの再現方法の具体例について説明する。
図8は、発言内容の検索画面の一例を表わした図、図9は、発言内容の検索結果画面の一例を表わした図である。
図8の検索画面を表示した状態において、オブジェクト名、会話の開始日時、会話の終了日時、発言者、キーワード(部品名等)が入力される。ここでは、それぞれ‘磁気ディスク#1’,‘99/01/01’,‘99/12/31’,‘田中or佐藤’‘モータorアーム’が入力されている。
このような入力を行なった後「検索」ボタンを押すと、この入力した条件に従って図4のサーバマシン中の文字情報記憶部353が検索される。尚、図8の「キャンセル」ボタンは、この図8の表示画面から抜け出すためのボタンである。
検索の結果、合致する発言が検出されると、図9に示すような検索結果画面が表示される。ここにはその検索条件に合致する会話と、その会話の際に指定された部品と、発言者とを示す一覧表、およびその会話でのオブジェクトが表示される。
各発言を詳細に再現しようとするときは、その再現しようとする発言をダブルクリックする。そうすると、その発言が行なわれたときの状況を詳細に再現した画面が表示される。
図10は、図9の‘田中’の発言の詳細再現画面、図11は、図9の‘佐藤’の発言の詳細再現画面である。
ここでは、吹き出しによる、部品を指し示した状態や、オブジェクトの表示態様も、その発言の時と全く同一に再現される。
ここで、図10,図11の「前」ボタンを押すと、現在表示されている発言に対する直前の発言の画面に移行し、「次」ボタンを押すと、現在表示されている発言に対する直後の発言の画面に移行する。「キャンセル」ボタンはこの画面から抜け出るための操作ボタンである。
本実施形態では、このようにオブジェクトを表示して会話を行なうようにしたため、実際に組み立てられた、そのオブジェクトに相当する製品等を目の前に置いて議論を行なっているのとほぼ同等の議論を行なうことができ、また、その議論の様子を後で忠実に再現し、必要な情報を容易に相当することができる。
次に、図1〜図4に示す実施形態において、文書(ドキュメント)をオブジェクトとした場合の具体例について説明する。
図12は、文書をオブジェクトとした時の表示画面例を示す図、図13は、その処理フローを示す図である。
ここでは先ず、それまでのモードから文書レビューモードへ移行し、前述と同様にして文書オブジェクトの配信を要求するなどの準備が行なわれる(ステップc1)。
次に、各クライアントマシンの操作者はチャット対象のドキュメントデータに対して議論したい個所をクリックして吹き出しを表示させ(ステップc2)、コメントを書き込み(ステップc3)、書き込んだ結果の送信が行なわれる(ステップc4)。するとマウス位置情報と発言内容がサーバへ送信され、そのサーバは参加者全員にその情報を配信する。また、コメントが発行された位置、すなわち表示された文書ドキュメント上の、マウス操作により指定された位置は適当な色で着色されて表示される(ステップc5)。このために各参加者はコメントが発行された位置を容易に認識することができる。また、コメントをクリックすることにより、コメントをツリー状に付加することもできる。
また、一定の権限を所有する参加者はコメントを削除することもできる(ステップc6)。特にコメントが修正要望等の場合、権限のある参加者は修正要望を受理して修正するかあるいは修正不要であると決定することができる。修正が必要であると判断したときはドキュメントに修正を加え、当該修正コメントを削除する。このプロセスを経て、修正要望がなくなった時点でドキュメントの各参加者による承認がリアルタイムで実現される。
この修正後のドキュメントデータはサーバマシン中のオブジェクト記憶部に記憶されるが、そのとき、修正前のドキュメントデータが消去されないようにしておく。そうすることにより、後で発音内容を再現するにあたり、修正前のドキュメントに基づく発言はその修正前のドキュメントとともに再現することができる。
次に、これまで説明した実施形態とは異なる各種の実施形態の具体例について説明する。尚、以下に説明する各種の実施形態においては、以上に説明した実施形態と共通の部分、あるいは、そこからの変更が自明な部分については説明は省略し、各実施形態の特徴点を中心に説明する。
図14は、授業や講義とチャットシステムとを連携させたシステムの概念図である。
ここには、チャットサーバと複数のチャットクライアントが通信網を介して接続されている。ここに示す複数のチャットクライアントは教師の端末と生徒の端末とに役割りが分かれている。
図15は、このシステムにおける表示画面の一例を示す図、図16はこのシステムにおける処理フローを示す図である。
教師が教材オブジェクトを開き(ステップd1)、その教材に対する意見、感想、回答等を促すメッセージを入力する(ステップd2)。各生徒は、教師からのメッセージに応じて自分の考えなどをチャット形式で入力する(ステップd3)。
各端末から入力した発言は、各端末の表示部に同一に表示される。
ここでは、複数の端末からの発言の同時入力が許容されており、したがって教室での挙手による発言と異なり、発言しようと思う者全員が発言することができる。
その発言に対して教師や他の生徒がさらにコメントを加えることにより、活発な議論が行なわれる(ステップd4)。
それらの発言等は教材オブジェクトとリンクして保存され、教材の検討や、生徒の適正分析等に利用される(ステップd5)。
図17は、仮想店舗とチャットシステムとを結合させた仮想店舗システムにおける表示画面例を示す図である。
この例の場合、図1に示す通信網400はインターネットの通信網であり、サーバマシン300も1台のクライアントマシンとしての作用を兼ねたものである。
利用者は仮想店舗に入ると各商品について質問したり要望を出したりすることができる。従来は電子メール等で質問するのが普通であったがログイン者の欄に「店員1」というような形式で表示することにより、利用者はあたかも本当の店舗に入って担当者と会話をしているようなリアリティを感じることができ、かつ電子メールを使用する場合と異なり、即座の返答が得られることが期待できる。また、通常の店舗では店員の方から用向きを聞いたり店員に話しかけたりするのは遠慮がちな人間にとっては負担に感じる面があるが、チャット形式にすることにより、売る側と買う側のコミュニケーションが活発化される効果も期待できる。
また、仮想店舗側で顧客からの質問に対して質問のパターン毎に自動応答用のデータベースを備えており、データベース上に存在しているの質問に対してはデータベース上に用意された回答テキストをチャット形式でリアルタイムに自動応答することができる。また、全てのチャットのログをすべて保存しておき、頻繁な質問とそれに対する回答を自動応答用のデータベースに追加することも可能である。また、要望のログを分析することにより、マーケッティングのデータとして活用することもできる。
図18は、この仮想店舗システムにおける処理フローを示す図である。
利用者側のクライアントマシンの表示画面上に、図17に示すような商品オブジェクト800を表示すること等の準備が行なわれた後、店員待機メッセージ810が表示され(ステップe1)、利用者からのメッセージ待ちの状態となる(ステップe2)。
利用者がメッセージを入力しそのメッセージが店舗側のマシンで受信されると(ステップe3)、その店舗側のマシンは、自分のマシン内のデータベース(DB)にその利用者からのメッセージに対応する質問が登録されているか否かを検索し(ステップe4)、登録されていたときはその質問と対にして登録されている回答テキストを利用者に送信し、利用者側ではその回答テキストが画面表示される(ステップe5)。一方、店舗側のマシン内のデータベースに利用者からのメッセージに対応する質問が登録されていなかったときは、その店舗側のマシンはブザー等によりその店舗側の人間に利用者からのメッセージに対応するように要求する(ステップe6)。その店舗側の人が利用者からの質問に対する回答を入力すると、その回答メッセージが利用者側に送信されて画面表示される(ステップe7)。
以上の、利用者と店舗との間で交わされた会話の内容は、そのときのオブジェクトに対応づけて保存され(ステップe8)、これにより商品売買にあたっての会話のデータベースが構築され、それを元に自動回答のデータベースを充実することができ、また、後の顧客対策、拡販戦略等に反映させることができる。
図19は、地図データとチャットシステムとの連携システムの概念図、図20は、その連携システムにおける表示画面例を示す図である。
地図データ提供者は、ある地域の店舗データ等を含む地図データをネットワーク上に公開する。利用者は地図上のデータをクリックして、ある店舗を利用したときの体験談等をチャットする。ここで提供者は明らかに中傷や誹謗といった性質の発言は削除する権限を有している。こういったチャットのログと地図データとを融合し、データベース化することにより、地図提供者は自分が提供する地図データに建造物に対する利用者の感想等を付加価値として付け加えることができ、かつ利用者はある地域の豊富な情報を得ることができる。こうして得られた情報は情報付き地図等の出版物への素材とすることができる。
図21は、図19の連携システムの処理フローを示す図である。
先ず、地図提供者はネットワーク上に2次元もしくは3次元の地図を公開し、インターネット上で閲覧可能とする(ステップd1)。その地図を閲覧したインターネット利用者は、自分の端末から、コメントをつけ加えたい建造物をクリックし、吹き出しを表示させる(ステップf2)。次に、利用者は、その吹き出しに対して当該建造物の感想等を記述する。発言は公開にも非公開にもできる(ステップf3)。また、地図提供者は、発言の内容が不適切であれば、削除もしくは非公開に変更できる(ステップf4)。このようにして集めた発言内容は建造物とリンクしてデータベース化される。データは地図に付加することも当該建造物関係者に配布することも可能である(ステップf5)。
次にチャットシステムによる消費者主導の擬似オークションシステムの例について説明する。
従来の一般消費者がインターネット上で商品を購入する場合は、ユーザが検索サイト等から、商品を供給しているサイト等を検索し、ネットワーク上でのページを移動した上で商品の検討を行う必要がある。これは消費者にとってかなり面倒な作業であり、一般の消費者がインターネット上で商取引を行う場合の1つの障碍となっている。
図22は、この障碍を除去する、オークションシステムとチャットシステムとが連携されたビジネスモデルの例を示す図、図23は、図22に示すビジネスモデルにおける表示画面例を示す図である。
本ビジネスモデルは複数種類の商品を扱う複数の商品供給者と、消費者と、両者の仲介をするショッピングサイト提供者から構成される。
ここでは、ショッピングサイト提供者が会話を仲介するチャットサーバの役割りをなし、商品提供者側の端末がオブジェクトを提供するオブジェクトサーバの役割をなす。このように、ここに示す例では、チャットサーバとオブジェクトサーバとが分離され、商品提供者側の端末がオブジェクトサーバを兼ねていることになる。
一般消費者は購入を希望するものをオブジェクトとして指定してチャット形式で発言する。オブジェクトは一般的なカテゴリ(車、マンション、パソコン、スーツ)等であり、発言テキストには付帯情報(好きな色、現在の居住地、スペック、身体のサイズ等)が含まれる。ショッピングサイト提供者は、指定されたオブジェクトをキーにして、発言テキストを該当する商品提供者に同報送信する。この時点で消費者主導でのオークションが開始される。各商品提供者は受信したテキストを元にキーワードを探し、商品情報データベースを検索し、適切な商品情報をテキストと当該商品提供者が所有するデータ(2次元もしくは3次元イメージ等)へのリンクをリアルタイムに自動送信する。あるいは適切な商品情報が検索されなかった場合は待機していた人員が回答を編集して返信する。消費者は返信されたリンクを参照し、商品提供者が提示した豊富な情報を自分で検索等の操作をせずに自動的にたどることができる。こうして消費者は、リアルタイムに、かつ複数の商品提供者から情報を受け取ることができる。
図24には、図22に示すビジネスモデルにおける処理フローを示す図である。
先ず、消費者は購買希望の製品を大まかにチャット形式で発言する(ステップg1)、サイト提供者は、これに応じて、チャットのオブジェクトからデータを該当提供者に同報送信する(ステップg2)。商品提供者は、受信したメッセージに該当する商品リストを自分のデータベースから検索する(ステップg3)。その検索に成功したときは、商品提供者は、その検索により得られた商品リストをデータベースへのリンクとともに返信する(ステップg6)。一方、その検索に失敗したときは、商品提供者は、商品リストを手動で編集し(ステップg5)、その商品リストをデータベースへのリンクとともに返信する(ステップg6)。
商品提供者と消費者は、その後、その商品をオブジェクトとして参照しながら、その商品の売買に向けてチャット(会話)を行なう(ステップg7)。
このようなビジネスモデルを構築すると、ネットワークでの商品検索の手間を大幅に削減することができる。