JP2011179471A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、複数の気筒のバルブ開弁特性の切り換えを共用のアクチュエータで行う構成において、バルブ開弁特性切換をそれら複数の気筒間で相違させつつ行うことを可能とする内燃機関の可変動弁装置を提供する。
【解決手段】リンクシャフト50を回転可能に設ける。#4気筒についてのリング部51は切り欠き51aを有していない。一方、#1、2、3気筒についてのリング部51は、切り欠き51aを有している。#1気筒と、#2、3気筒とでは、切り欠き51aの位置およびその大きさが異なる。リンクシャフト50の回転角に応じて、第2リンクアーム48の連結ピン52とリング部51の係脱を切り換えることができる。#1〜4気筒の弁停止に関して1つの電磁ソレノイド56を共用しても、複数の第2リンクアーム48を選択的に変位させて、所望の気筒を弁停止させることが可能となる。
【選択図】図11

Description

この発明は、内燃機関の可変動弁装置に関する。
従来、例えば特表2006−520869号公報には、2種類のカムが設けられたカムキャリアを気筒毎に設け、上記2種類のカムのベース円区間中に、回転駆動されるカム主軸に対して当該カムキャリアを軸方向に移動させることにより、各気筒のバルブ駆動用カムを切り換える内燃機関の可変動弁装置が開示されている。より具体的には、この従来の可変動弁装置では、各カムキャリアの外周面の両端に、螺旋状に形成されたガイド溝をそれぞれ備えている。また、当該ガイド溝に挿脱される駆動ピンを駆動する電動アクチュエータを各ガイド溝に対して備えるようにしている。また、上記従来の可変動弁装置は、直列4気筒型の内燃機関に対して適用されている。
上記従来の可変動弁装置によれば、カムシャフトの軸方向位置が固定された駆動ピンをガイド溝に係合させることで、カムキャリアがその軸方向に変位する。これにより、各気筒のバルブ駆動用カムが切り換わるので、バルブのリフト量を変更することができる。
特表2006−520869号公報 特開平7−119424号公報 特開2002−242628号公報
上記従来の可変動弁装置は、各気筒のバルブの開弁特性を切り換えるために、1本のカムシャフトに対して1気筒につき2つの電動アクチュエータを必要とする。必要とするアクチュエータの数を低減すべく、アクチュエータの搭載数を少なくしつつ各気筒のバルブの開弁特性を切り換えられる可変動弁装置が望まれる。
上記従来の可変動弁装置において、アクチュエータを共用し、アクチュエータの数を削減することが考えられる。具体的には、例えば、上記従来の可変動弁装置において、各気筒のカムキャリアを連結し、単一の電動アクチュエータの作動に伴って全気筒のカムを一括して切り換えられるように構成することが考えられる。しかしながらアクチュエータを共用する構成を採用した場合、全気筒のバルブの開弁特性を一括して同じ特性に切り換えるのではなく一部の気筒を対象としたバルブ開弁特性変更あるいは一部の気筒のみの弁停止(減筒運転)を行うことが、困難となってしまう。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、複数の気筒のバルブ開弁特性の切り換えを共用のアクチュエータで行う構成において、バルブ開弁特性切換をそれら複数の気筒間で相違させつつ行うことを可能とする内燃機関の可変動弁装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の可変動弁装置であって、
少なくとも2つの気筒においてカムとバルブとの間に配置され、前記カムの作用力を前記バルブに伝達する伝達部材と、
前記伝達部材の動作状態を変化させることで、前記少なくとも2つの気筒に設けられた前記バルブの開弁特性を切り換える切換機構と、
を備え、
前記切換機構は、
前記少なくとも2つの気筒で共用され、当該少なくとも2つの気筒における前記伝達部材の動作状態を切り換える際に駆動されるアクチュエータと、
前記アクチュエータの作動に伴って前記少なくとも2つの気筒に設けられた前記伝達部材の動作状態を切り換える切換部材と、
を含み、
前記切換部材は、
前記少なくとも2つの気筒において気筒ごとに備えられ、自身が変位することで前記伝達部材の動作状態を切り換える複数の第1変位部材と、
前記複数の第1変位部材とそれぞれ係合する複数の係合部を備え、前記係合部で係合した前記複数の第1変位部材を前記アクチュエータの作動に伴って変位させ、前記複数の第1変位部材の並びに沿って延びる回転軸を有し、当該回転軸まわりの回転が可能であり、回転角に応じて前記複数の第1変位部材のうち所定の第1変位部材との間で前記係合部との係合/非係合が切り換わる第2変位部材と、
を含むことを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記第2変位部材は、
前記回転軸と直行する方向に第1の大きさを有する第1の部分と、
前記第1の部分の隣に設けられ、前記回転軸と直行する前記方向に前記第1の大きさよりも大きな第2の大きさを有する第2の部分と、
を有し、
前記第2の部分は、前記第1の部分との境界に、前記第2変位部材が前記回転軸まわりに回転することで前記第1変位部材に対する相対位置が変化する切り欠きを有し、
前記係合部は、前記第1変位部材の一部が前記第1の部分に近づき当該一部が前記第2の部分と接することで、前記第1変位部材と前記第2変位部材とを係合させるものであり、
前記第2変位部材の回転角が前記切り欠きと前記第1変位部材の前記一部とが隣接する回転角にあるときに、前記アクチュエータの作動時に、前記第1変位部材の前記一部が前記第2の部分の前記切り欠き内に移動することで、当該第1変位部材と前記第2変位部材とを非係合とさせることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記第2変位部材の前記回転軸まわりの回転方向を制限するラチェット機構を更に備えることを特徴とする。
また、第4の発明は、第3の発明において、
前記可変動弁装置は、前記カムが取り付けられたカムシャフトの外周面に設けられたガイドレールを更に備え、
前記第1変位部材は、
前記ガイドレールに係脱自在なガイド係合部を有し、前記カムシャフトの軸方向に変位可能な主変位部材と、
前記少なくとも2つの気筒において前記主変位部材が備えられていない残りの気筒に備えられ、前記第2変位部材を介して前記主変位部材と連動して変位する副変位部材と、を含み、
前記アクチュエータは、前記ガイド係合部を前記ガイドレールに係合させるための駆動力を発するものであり、
前記アクチュエータの作動時には、前記主変位部材が前記第2変位部材の前記回転軸を中心として回転したうえで前記ガイド係合部と前記ガイドレールとが係合し、
前記ガイド係合部と当該ガイドレールとの前記係合時に生ずる前記主変位部材の変位に伴って、当該主変位部材が備えられた前記気筒の前記伝達部材の動作状態が変化し、前記主変位部材の前記変位に連動する前記副変位部材の変位に伴って、当該副変位部材が備えられた前記残りの気筒の前記伝達部材の動作状態が変化し、
前記ラチェット機構が回転を許容する方向と、前記アクチュエータの作動での前記主変位部材の回転に伴い前記第2変位部材が回転する方向とを一致させたことを特徴とする。
また、第5の発明は、第4の発明において、
前記ガイドレールが設けられた前記カムシャフトの外周面に、前記ガイド係合部が接触している状態で前記カムシャフトが回転したときに前記主変位部材を揺動させる複数の凸部が設けられており、
前記ラチェット機構の回転軸と、前記主変位部材の前記揺動の中心軸とを一致させたことを特徴とする。
第1の発明によれば、第2変位部材の回転角に応じて第1変位部材と係合部の係脱を切り換えることができる。第2変位部材の回転角の制御により、アクチュエータ作動に伴って変位させられる第1変位部材を変更することが可能となる。結果、共用のアクチュエータを用いても、複数の第1変位部材を選択的に使用して、バルブの開弁特性の切り換えを気筒間で相違させつつ行うことが可能となる。
第2の発明によれば、第2変位部材の回転角を調節することで、第1変位部材と第2変位部材の係合と非係合を容易に切り換えることができる。
第3の発明によれば、ラチェット機構を備えることで、第2変位部材の回転角を特定の方向に増加させていくことができる。これにより、第2変位部材の回転角を制御することができる。
第4の発明によれば、アクチュエータが主変位部材をガイドレールに係合させる動作と、第2変位部材のラチェット機構の回転方向とを、共通にすることができる。従って、主変位部材のガイドレール係合動作と、第2変位部材の回転角制御とを、共通のアクチュエータで行うことができる。
第5の発明によれば、ラチェット機構による回転方向の制限と主変位部材の揺動とによって、第2変位部材を一方向に回転させていくことができる。従って、カムシャフト上の複数の凸部をいくつ乗り越えさせたかに応じて主変位部材の揺動回数を調節し、第2変位部材の回転角を制御することができる。
本発明の実施の形態1の内燃機関の可変動弁装置の全体構成を概略的に示す図である。 本発明の実施の形態1の内燃機関の可変動弁装置の全体構成を概略的に示す図である。 図1に示す可変動弁装置における#4気筒の周辺の構成を表した斜視図である。 図1に示す可変動弁装置における#2、3気筒の周辺の構成を表した斜視図である。 図2に示す構成において、カムシャフトおよびロッカーアームを非表示とした斜視図である。 可変動弁装置における#4気筒の周辺の構成を示す部分断面図である。 本発明の実施の形態1の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態1の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態1の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態1の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態1の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態1の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態2の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態2の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態3の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態3の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。 ラチェット機構の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態4の内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を示す図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の可変動弁装置10が設置されている様子を、内燃機関の構成とともに模式的に示す図である。
実施の形態1にかかる可変動弁装置10には、後述するように、気筒間で弁停止状態を相違させることのできる機構(以下「可変気筒休止機構」とも称す)が備えられている。可変気筒休止機構によれば、複数の気筒のバルブ開弁特性の切り換えを共用のアクチュエータで行う構成において、バルブの開弁特性の切り換えを気筒間で相違させつつ行うことができる。以下の説明では、可変動弁装置10の基本構成、切換機構の構成、ディレー機構の構成と動作を述べ、次いで実施の形態1における可変気筒休止機構の構成および動作を説明する。
[可変動弁装置の弁稼動・弁停止の構成]
(可変動弁装置の基本構成)
図2は、本発明の実施の形態1の内燃機関の可変動弁装置10の全体構成を概略的に示す図である。より具体的には、図2は、ロッカーシャフト22の軸線と切換ピン36、38、44の軸線とを含む平面で、可変動弁装置10の一部(ロッカーアーム18、20およびロッカーシャフト22)を切断して表した部分断面図である。ここでは、本実施形態の内燃機関は、4つの気筒(#1〜#4)を有し、#1→#3→#4→#2の順で爆発行程が行われる直列4気筒型エンジンであるものとする。また、内燃機関の個々の気筒には、2つの吸気バルブと2つの排気バルブとが備わっているものとする。そして、図2に示す構成は、各気筒に配設された2つの吸気バルブ、或いは2つの排気バルブを駆動する機構として機能するものとする。
本実施形態の可変動弁装置10は、カムシャフト12を備えている。カムシャフト12は、図示省略するクランクシャフトに対してタイミングチェーンまたはタイミングベルトによって連結され、クランクシャフトの1/2の速度で回転するように構成されている。カムシャフト12には、1気筒当たり1つの主カム14と1つの副カム16とが形成されている。
主カム14は、カムシャフト12と同軸の円弧状のベース円部14aと、当該ベース円の一部を半径方向外側に向かって膨らませるように形成されたノーズ部14bとを備えている。また、本実施形態では、副カム16は、ベース円部のみを有するカム(ゼロリフトカム)として構成されている。また、図2に示すように、内燃機関の各気筒には、第1ロッカーアーム18と第2ロッカーアーム20とが1つずつ隣接して備えられている。各気筒のロッカーアーム18、20は、1本のロッカーシャフト22によって回転(揺動)自在に支持されている。尚、カムシャフト12およびロッカーシャフト22は、カムキャリア(或いはシリンダヘッド)24によって支持されている。
図3は、図2に示す可変動弁装置10における#4気筒の周辺の構成を表した斜視図である。図4は、図2に示す可変動弁装置10における#2、3気筒の周辺の構成を表した斜視図である。尚、#1気筒に関する可変動弁装置10の構成は、#2、3気筒に関する可変動弁装置10の構成と同一のものである。また、#4気筒に関する可変動弁装置10の構成と#1〜#3気筒に関する可変動弁装置10の構成とは、後述するガイドレール54および電磁ソレノイド56の配置の有無、第1リンクアーム46であるか或いは第2リンクアーム48であるかの相違、およびリンクシャフト50のリング部51の切り欠き51aの構成以外については、基本的に同一である。
図3、4に示すように、ロッカーアーム18、20は、主カム14の作用力をバルブ26に伝達する伝達部材として、カム14、16とバルブ26との間に介在している。第1ロッカーアーム18には、主カム14と接することができる位置に、カムローラ28が回転自在に取り付けられている。第1ロッカーアーム18は、ロッカーシャフト22に取り付けられたコイルスプリング(図示省略)によって、カムローラ28が主カム14と常に当接するように付勢されている。上記のように構成された第1ロッカーアーム18は、主カム14の作用力と上記コイルスプリングの付勢力との協働により、ロッカーシャフト22を支点として揺動するようになる。
図2に示すように、2つのバルブ26を駆動するための第2ロッカーアーム20は、第1ロッカーアーム18を取り囲むようにして一体的に構成されている。また、第2ロッカーアーム20には、主カム14のベース円区間中において副カム16と接することができる位置に、パッド部20aが設けられている。また、バルブ26は、バルブスプリング30によって閉弁方向に付勢されている。以上のような構成によって、主カム14の作用力は、ロッカーアーム18、20を介して2つのバルブ26へ伝達できるようになっている。これにより、バルブ26は、カム14の作用力とバルブスプリング30の付勢力とを利用して開閉することができる。
(切換機構の構成)
図2に示すように、可変動弁装置10は、第1ロッカーアーム18と第2ロッカーアーム20とが連結した連結状態(後述する図6(A)参照)と、その連結が解除された非連結状態(後述する図6(B)参照)とを切り換えるための切換機構32を備えている。可変動弁装置10は、このような切換機構32を備えることによって、主カム14の作用力が第1ロッカーアーム18を介して第2ロッカーアーム20に伝達される状態(上記連結状態)と、当該作用力が第2ロッカーアーム20に伝達されない状態(上記非連結状態)とを切り換えて、バルブ26の開弁特性を弁稼動状態と弁停止状態との間で切り換えることができるようになっている。
以下、上記切換機構32の詳細な構成について説明する。
図5は、図3に示す構成において、カムシャフト12およびロッカーアーム18、20を非表示とした斜視図である。より具体的には、図5(A)は、上記連結状態であって主カム14がカムローラ28を押動していない状態を示し、図5(B)は、上記非連結状態であって主カム14がカムローラ28を押動している状態を示している。
図2に示すように、カムローラ28の支軸として機能するブッシュ34の内部には、カムローラ28と同心の第1ピン孔34aが形成されており、第2ロッカーアーム20の内部には、第1ピン孔34aに対応する位置に、2つの第2ピン孔20bL、20bRが形成されている。これらのピン孔34a、20bL、20bRの中心は、ロッカーアーム18、20の回転中心であるロッカーシャフト22を中心とする同じ円弧状に配置されている。そして、カムローラ28が主カム14のベース円部14aと当接し、かつ、パッド部20aが副カム16のベース円部と当接している時に、第1ピン孔34aの位置と第2ピン孔20bL、20bRの位置とが一致するようになっている。
更に、第1ピン孔34aには、円柱状の切換ピン36が移動自在に挿入されている。また、一方(図2における左側)の第2ピン孔20bLには、切換ピン36と当接する円柱状の切換ピン38が移動自在に挿入されている。切換ピン38が挿入された第2ピン孔20bLでは、第1ロッカーアーム18と反対側の端部がキャップ40によって閉塞されている。そして、第2ピン孔20bLの内部には、切換ピン38を第1ロッカーアーム18の方向(以下、「切換ピンの進出方向」と称する)に向けて付勢するリターンスプリング42が配置されている。より具体的には、リターンスプリング42は、実装された状態において、第1ロッカーアーム18側に向けて切換ピン38を常時付勢するように設定されている。
また、他方(図2における右側)の第2ピン孔20bRには、切換ピン36と当接する円柱状の切換ピン44が移動自在に挿入されている。更に、#4気筒においては、第2ロッカーアーム20の側方に、切換ピン44と当接するアーム部46aを有する第1リンクアーム46が配置されている。第1リンクアーム46は、ロッカーシャフト22によって支持されている。一方、#1〜3気筒においては、第2ロッカーアーム20の側方に、切換ピン44と当接するアーム部48aを有する第2リンクアーム48が配置されている。第2リンクアーム48は、ロッカーシャフト22によって支持されている。
第2リンクアーム48に対する第1リンクアーム46の相違点は、次の通りである。すなわち、第1リンクアーム46のアーム部46aの先端には、カムシャフト12の周面に向けて突き出し可能な位置に突起部46bが設けられている。また、第1リンクアーム46におけるアーム部46aの反対側の端部には、後述する電磁ソレノイド56により押圧される押圧面46cが設けられている。
図2に示すように、ロッカーシャフト22は、中空状に形成されている。ロッカーシャフト22の内部には、リンクシャフト50が挿入されている。リンクシャフト50は、#4気筒に配置される第1リンクアーム46と、#1〜#3気筒に配置される第2リンクアーム48とを、ロッカーシャフト22の軸方向に連動して変位可能とするために備えられたシャフトである。より具体的には、リンクシャフト50は、第4気筒に配置された第1リンクアーム46と第3気筒に配置された第2リンクアーム48とが取り付けられた第1リンクシャフト50aと、第2気筒に配置された第2リンクアーム48と第1気筒に配置された第2リンクアーム48とが取り付けられた第2リンクシャフト50bとに分割されている。
なお、第1リンクシャフト50aと第2リンクシャフト50bとは、後述するディレー機構60を介して連結されている。
また、図2に示すように、リンクシャフト50およびそれが挿入されたロッカーシャフト22は、リンクアーム46、48の内部を貫通している。そして、各気筒のリンクアーム46、48は、後述するように連結ピン52によって第1リンクシャフト50a或いは第2リンクシャフト50bと係合可能に構成されている。
また、図2、3に示すように、カムシャフト12において、第1リンクアーム46に設けられた突起部46bと対向する部位には、円柱状に形成された円柱部12aが形成されている。円柱部12aの外周面には、周方向に延びる螺旋状のガイドレール54が形成されている。ここでは、ガイドレール54は、螺旋状の溝として形成されている。
また、切換機構32は、突起部46bをガイドレール54に係合(挿入)させるための駆動力を発するアクチュエータとして、電磁ソレノイド56を備えている。電磁ソレノイド56は、ECU(Electronic Control Unit)58からの指令に基づいてデューティ制御されるようになっている。ECU58は、内燃機関の運転状態を制御するための電子制御ユニットである。電磁ソレノイド56は、その駆動軸56aが第1リンクアーム46の押圧面46cをガイドレール54に向けて押圧可能な位置において、カムキャリア(或いはシリンダヘッド)24に固定されているものとする。
また、ガイドレール54における螺旋の向きは、その内部に突起部46bが挿入された状態でカムシャフト12が図2に示す所定の回転方向に回転する場合に、第1リンクアーム46、当該第1リンクアーム46に連動するリンクシャフト50、および、当該リンクシャフト50により駆動される第2リンクアーム48を、図2における左方向に変位させられるように設定されている。より具体的には、この図2における左方向とは、第1リンクアーム46および第2リンクアーム48のそれぞれがリターンスプリング42の付勢力に抗しながら切換ピン36、38、44をその退出方向(上記切換ピンの進出方向の逆方向)に押し退けて、第1リンクアーム46および第2リンクアーム48がロッカーアーム18、20に近づくようになる方向である。
図6は、可変動弁装置10における#4気筒の周辺の構成を示す部分断面図である。より具体的には、図6(A)は、連結状態にある可変動弁装置10を示し、図6(B)は、非連結状態にある可変動弁装置10を示している。
図6(A)における第1リンクアーム46の位置、すなわち、リターンスプリング42の付勢力によって切換ピン36がピン孔34a、20bRの双方に挿入され、かつ切換ピン38がピン孔34a、20bLの双方に挿入された状態となっている時の第1リンクアーム46の位置を、「変位端Pmax1」と称する。この変位端Pmax1に第1リンクアーム46が位置している時には、第1ロッカーアーム18と第2ロッカーアーム20とが上記連結状態となる。そして、図6(B)における第1リンクアーム46の位置、すなわち、切換ピン36、38、44がリンクアーム46、48からカムシャフト12の回転力を利用した力を受けることによって、切換ピン36、38、44がそれぞれ第1ピン孔34aおよび第2ピン孔20bL、20bRのみに挿入された状態となっている時の第1リンクアーム46の位置を、「変位端Pmax2」と称する。すなわち、この変位端Pmax2に第1リンクアーム46が位置している時には、第1ロッカーアーム18と第2ロッカーアーム20とが上記非連結状態となる。
本実施形態では、カムシャフト12の軸方向におけるガイドレール54の始端54aの位置は、第1リンクアーム46が上記変位端Pmax1に位置する時の突起部46bの位置と一致するように設定されている。そして、カムシャフト12の軸方向におけるガイドレール54の終端54bの位置は、第1リンクアーム46が上記変位端Pmax2に位置する時の突起部46bの位置と一致するように設定されている。つまり、本実施形態では、ガイドレール54によって突起部46bが案内される範囲内で、第1リンクアーム46が変位端Pmax1からPmax2の間で変位可能となるように構成されている。
更に、ガイドレール54には、第1リンクアーム46が変位端Pmax2に達した後における終端54b側の所定区間として、カムシャフト12の回転に伴ってガイドレール54が徐々に浅くなる浅底部54cが設けられている。また、第1リンクアーム46には、押圧面46cの一部を切り欠いて凹状に形成された切欠部46dが設けられている。押圧面46cは、第1リンクアーム46が変位端Pmax1からPmax2に変位する間、駆動軸56aと当接した状態が維持されるように設けられている。そして、切欠部46dは、第1リンクアーム46が上記変位端Pmax2に位置している状態において、上記浅底部54cの作用によって突起部46bが円柱部12aの表面に取り出された時に、駆動軸56aと係合可能な部位に設けられている。そして、上記切欠部46dは、突起部46bがガイドレール54に挿入される方向に第1リンクアーム46が回転するのを規制可能であって、第1リンクアーム46が変位端Pmax1に向けて移動するのを規制可能な態様で、駆動軸56aと係合するように形成されている。
以上説明したように、切換ピン36、38、44、リターンスプリング42、第1リンクアーム46、第2リンクアーム48、リンクシャフト50(50a、50b)、連結ピン52、ガイドレール54、および、ECU58により通電が制御される電磁ソレノイド56によって、上記切換機構32が構成されている。
(ディレー機構の構成)
図2に示すように、ディレー機構60は、#2気筒と#3気筒との間において、リンクシャフト50の途中に介在している。言い換えれば、配置場所が隣接する複数の気筒(#1および#2気筒)からなる第1気筒群と、配置場所が隣接する複数の気筒(#3および#4気筒)からなる第2気筒群とを有し、第1気筒群に所属する#1および#2気筒に関して主カム14の共通ベース円区間が存在し、かつ第2気筒群に所属する#3および#4気筒に関して主カム14の共通ベース円区間が存在するように爆発順序が設定された本実施形態の内燃機関において、ディレー機構60は、第1気筒群と第2気筒群との間において、リンクシャフト50の途中に介在している。
ディレー機構60は、ロッカーシャフト22内に配置されている。より具体的には、ディレー機構60は、第2リンクシャフト50bに当接する当接部62aを一端に有するディレー機構内リンクシャフト(以下、「第3リンクシャフト」と称する)62を備えている。当接部62aは、他の部位に比して大きな径で形成されている。また、第3リンクシャフト62の他端側の部位は、中空状に形成された第1リンクシャフト50aの内部に挿入されている。
また、ディレー機構60は、第3リンクシャフト62の当接部62aと、第1リンクシャフト50aにおけるディレー機構60側の端部との間でバネ長さが規定されるディレー機構スプリング64を備えている。更に、第1リンクシャフト50aにおいて第3リンクシャフト62の挿入を受ける部位には、長穴66が形成されている。この長穴66には、第3リンクシャフト62に圧入されたストローク制限ピン68が係合しており、第3リンクシャフト62は、ストローク制限ピン68が長穴66によって規制される範囲内で軸方向に移動可能になっている。このようなストローク制限ピン68と長穴66とによって第3リンクシャフト62のストロークを制限することで、第1リンクアーム46からの第1リンクシャフト50aの駆動力が発せられていない場合に、ディレー機構スプリング64のバネ荷重が以下に示す適切な初期セット荷重に設定された状態でディレー機構60を保持することができる。
本実施形態では、全気筒のロッカーアーム18、20を連結状態から非連結状態に一括して切り換える際にディレー機構60を円滑に作動させられるようにするために、ディレー機構スプリング64のバネ荷重が、#1および#2気筒に配置されるリターンスプリング42のバネ荷重の合計値よりも大きく、かつ、ロッカーアーム18、20の揺動時(バルブ26のリフト時)に切換ピン36、38とピン孔34a、20bL、20bRとの間に生ずる摩擦力(摺動抵抗)よりも小さくなるように設定されている。
[可変動弁装置の弁稼動・弁停止の切換動作]
次に、本実施形態の可変動弁装置10の動作(弁稼動状態と弁停止状態との間でのバルブ26の開弁特性の切り換え動作)について説明する。
(弁稼動状態時)
先ず、弁稼働状態時には、電磁ソレノイド56の駆動がOFFとされており、これにより、第1リンクアーム46は、カムシャフト12から離れた状態で、リターンスプリング42の付勢力を受けて、変位端Pmax1に位置している。この状態では、図6(A)に示すように、第1ロッカーアーム18と第2ロッカーアーム20とが切換ピン36、38を介して連結されている(上記連結状態)。その結果、主カム14の作用力が第1ロッカーアーム18から第2ロッカーアーム20を介して双方のバルブ26に伝達されるようになる。このため、主カム14のプロフィールに従って、通常のバルブ26のリフト動作が行われるようになる。
(弁停止制御時)
弁停止動作は、例えば、内燃機関のフューエルカット要求等の所定の弁停止動作の実行要求がECU58によって検知された際に行われる。爆発順序が#1→#3→#4→#2の順となる本実施形態の内燃機関では、#3および#4気筒に関して主カム14の共通ベース円区間(バルブ26がリフトしていない区間)が存在する。弁停止動作の要求が出された場合には、上記共通ベース円区間が到来するタイミングで、電磁ソレノイド56への通電が開始される。その結果、第1リンクアーム46がロッカーシャフト22を中心として回転する。このように第1リンクアーム46が回転すると、突起部46bがガイドレール54と係合する。その結果、突起部46bがガイドレール54によって案内されることでカムシャフト12の回転力を利用して、第1リンクアーム46が変位端Pmax2に向けて移動するようになる。そして、ガイドレール54からの第1リンクアーム46の駆動力が連結ピン52および第1リンクシャフト50aを介して#3気筒の第2リンクアーム48に伝達されることで、第1リンクアーム46に連結された第1リンクシャフト50aおよび第1リンクシャフト50aに連結された#3気筒の第2リンクアーム48が、第1リンクアーム46に連動して変位するようになる。
第1リンクアーム46が変位端Pmax2に達した後の動作は、#3および#4気筒と#1および#2気筒との間で相違する。先ず、#3および#4気筒に関しては、第1リンクシャフト50aの変位に伴って切換ピン36、38がそれぞれピン孔34a、20bL内に戻されるので、第1ロッカーアーム18と第2ロッカーアーム20とが直ちに非連結状態となる。その結果、主カム14の作用力が第1ロッカーアーム18から第2ロッカーアーム20に伝達されなくなる。また、第2ロッカーアーム20が当接する副カム16はゼロリフトカムである。このため、主カム14の作用力が伝達されなくなった第2ロッカーアーム20には、バルブ26を駆動するための力が与えられなくなる。その結果、主カム14の回転に関係なく、第2ロッカーアーム20が静止状態となるので、バルブ26のリフト動作が閉弁位置で停止した状態となる。
上記のように、#3および#4気筒に関する共通ベース円区間で第1リンクアーム46を変位させた場合には、#3および#4気筒を担う第1リンクシャフト50aは変位可能になる。一方、上記共通ベース円区間では、#1または#2気筒の少なくとも一方の第1ロッカーアーム18が主カム14によって揺動動作させられている。このため、#1および#2気筒のうちの第1ロッカーアーム18が揺動動作中である気筒では、主カム14により駆動される第1ロッカーアーム18とバルブスプリング30からの付勢力を受ける第2ロッカーアーム20の両者によるせん断力が切換ピン36、38に作用する。その結果、切換ピン36、38とピン孔34a、20bL、20bRとの間に生ずる摩擦力(摺動抵抗)が第1ロッカーアーム18の非揺動動作時に比して大きくなる。ディレー機構スプリング64のバネ荷重は、既述したように、ロッカーアーム18、20の揺動時(バルブ26のリフト時)に切換ピン36、38とピン孔34a、20bL、20bRとの間に生ずる摩擦力(摺動抵抗)よりも小さくなるように設定されている。従って、上記のように第1リンクアーム46の変位に伴って第1リンクシャフト50aが変位する際には、第2リンクシャフト50bは、未だ第1リンクシャフト50aの変位に連動して変位せずにディレー機構スプリング64が縮んだ状態となる。
ディレー機構60においてディレー機構スプリング64が縮んでいる状態において、#1気筒の第1ロッカーアーム18の揺動動作(バルブ26のリフト動作)が終了すると、#1および#2気筒に関する主カム14の共通ベース円区間が到来する。この共通ベース円区間が到来した状態では、#1または#2気筒において切換ピン36、38とピン孔34a、20bL、20bRとの間に生ずる摩擦力が小さくなる。また、ディレー機構スプリング64のバネ荷重は、既述したように、#1および#2気筒に配置されるリターンスプリング42のバネ荷重の合計値よりも大きくなるように設定されている。従って、第1および第2気筒を担う第2リンクシャフト50bの変位がディレー機構60によって遅れさせられたうえで行われるようになる。その結果、第2リンクシャフト50bの変位に伴う第1および第2気筒の第2リンクアーム48の変位に伴って、切換ピン36、38がそれぞれピン孔34a、20bL内に戻されるので、第1ロッカーアーム18と第2ロッカーアーム20とが直ちに非連結状態となる。その結果、#1および#2気筒に関しても、主カム14の回転に関係なく、第2ロッカーアーム20が静止した状態となるので、バルブ26のリフト動作が閉弁位置で停止状態となる。
(弁停止状態を保持するための動作)
第1リンクアーム46が変位端Pmax2に達すると、ガイドレール54の浅底部54cの作用によって、第1リンクアーム46がカムシャフト12(ガイドレール54)から離れる方向に回転させられるようになる。そして、電磁ソレノイド56によって駆動され続けている駆動軸56aが切欠部46dに一致するようになるまで第1リンクアーム46が更に回転すると、駆動軸56aと当接する第1リンクアーム46側の部位が押圧面46cから切欠部46dへと切り替わる。その結果、駆動軸56aが切欠部46dと係合することで、第1リンクアーム46は、突起部46bがカムシャフト12から離れた状態で、かつ、駆動軸56aによってリターンスプリング42の付勢力を受け止めている状態で保持されるようになる。これにより、第1ロッカーアーム18と第2ロッカーアーム20とが非連結とされた状態、すなわち、弁停止状態が維持されるようになる。
(弁復帰動作時)
弁停止状態から弁稼動状態に戻すための弁復帰動作は、例えば、フューエルカットからの復帰要求等の所定の弁復帰動作の実行要求がECU58によって検知された際に行われる。このような弁復帰動作は、所定のタイミングで電磁ソレノイド56への通電をOFFとすることで開始される。電磁ソレノイド56への通電がOFFとされると、第1リンクアーム46の切欠部46dと駆動軸56aとの係合が解かれることになる。その結果、リターンスプリング42の付勢力に抗して切換ピン36、38をピン孔34a、20bL内に留めておく力が消滅することになる。これにより、リターンスプリング42の付勢力によって切換ピン36、38がその進出方向に移動し、第1ロッカーアーム18と第2ロッカーアーム20とが切換ピン36、38を介して連結された状態、すなわち、主カム14の作用力によってバルブ26のリフト動作が可能な状態に復帰することになる。また、リターンスプリング42の付勢力によって切換ピン36、38がその進出方向に移動するのに伴って、切換ピン44を介して、第1リンクアーム46(並びにそれに連動するリンクシャフト50および第2リンクアーム48)が変位端Pmax2から変位端Pmax1に戻されるようになる。
本実施形態の可変動弁装置10によれば、電磁ソレノイド56への通電のON、OFFとカムシャフト12の回転力とリターンスプリング42の付勢力とを利用して、第1リンクアーム46の軸方向位置を変位端Pmax1からPmax2の間で移動させることで、第1リンクアーム46が搭載された#4気筒において弁稼動状態と弁停止状態との間でバルブ26の動作状態を切り換えることが可能となり、また、第1リンクアーム46と連動する第1リンクシャフト50aおよび第2リンクアーム48を介して、#3気筒においても弁稼働状態と弁停止状態との間でバルブ26の動作状態を切り換えることが可能となる。更に、可変動弁装置10は、第1および第2気筒に対する共通ベース円区間が到来するまで第2リンクシャフト50bの変位を遅延させるディレー機構60を備えている。このため、電磁ソレノイド56の作動時に少なくとも一方においてバルブ26がリフト中となる#1および#2気筒に関しても、当該共通ベース円区間の到来時に、#3および#4気筒に対して遅れを伴って弁稼働状態と弁停止状態との間でバルブ26の動作状態を切り換えることが可能となる。
[可変気筒休止機構の構成および動作]
以下、図7乃至12を用いて、本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の可変動弁装置における、可変気筒休止機構の構成を説明する。
図7(a)は、第2リンクアームとリンクシャフト50とを、ロッカーシャフト22を透視して示した斜視図である。図7(b)は、図7(a)に示した構成を、リンクシャフト50の軸方向に沿って切断した断面を示している。
なお、実施の形態1ではリンクシャフト50を回転させる機構を有しているものとする。このような回転機構は、例えば、電動モータなどのアクチュエータを用いて実現し、ECU58との接続によりリンクシャフト50の回転角を所望角度に制御可能としておく。
図7(b)に示すように、実施の形態1では、リンクシャフト50が、リング部51を有している。リング部51は、リンクシャフト50の途中で部分的に太くなった(肉厚の)部分である。リング部51は、連結ピン52を挟むように個々の連結ピン52の位置に2つずつ備えられている。リンクシャフト50がその軸方向に変位(スライド)するとき、リング部51と連結ピン52とが接することで、リンクシャフト50の変位方向へと連結ピン52に力が加わる。
図8は、実施の形態1にかかる第2リンクアーム48およびリンクシャフト50の連結位置の構成を説明するための斜視図である。図8では、ロッカーシャフト22を透視して示しており、ロッカーシャフト22内におけるリンクシャフト50の構成が目視できるように図示している。
図8に示すように、実施の形態1では、リング部51に、切り欠き51aが設けられている。切り欠き51aは、少なくとも、連結ピン52よりも大きく形成されている。リンクシャフト50を軸回りに回転させた場合、切り欠き51aがこれに伴って回転する。リンクシャフト50aの回転角を切り欠き51aと連結ピン52とがちょうど隣接する角度とした場合には、リンクシャフト50をスライドさせたとき、リング部51と連結ピン52とが干渉しない。
切り欠き51aは、リング部51の外周の一部を切り抜くことで形成されている。切り欠き51aの大きさは、リング部51の中心角における何度までを切り抜くかに応じて変わる。例えば、中心角を120度として切り欠き51aを設けた場合には、リング部51の3分の1が切り抜かれ、中心角を90度として切り欠き51aを設けた場合には、リング部51の4分の1が切り抜かれる。
図9および図10は、リンクシャフト50と連結ピン52との係合と非係合の切り換えの様子を説明するための模式図である。図9(a)は、切り欠き51aと連結ピン52とが隣接しない角度にリンクシャフト50の回転角が設定されている場合を示す。図9(a)の状態でリンクシャフト50が変位(スライド)させられた場合には、リング部51が連結ピン52とが係合して、連結ピン52がリンクシャフト50のスライド方向へと押圧される。一方、図9(b)は、切り欠き51aと連結ピン52とがちょうど隣接する角度にリンクシャフト50の回転角が設定されている場合を示す。図9(b)の状態でリンクシャフト50が変位(スライド)させられた場合には、リング部51は切り欠き51aの存在によって連結ピン52と干渉しない。すなわち、リング部51と連結ピン52は係合することなく、連結ピン52はリンクシャフト50のスライドとは無関係にその位置に留まる。
図9のようにリング部51が連結ピン52とが係合して連結ピン52がリンクシャフト50のスライド方向へと押圧された場合には、第1リンクアーム46、第2リンクアーム48のうちその係合状態にある連結ピン52を有するリンクアームが、リターンスプリング42の付勢力に抗しながら切換ピン36、38、44をその退出方向(上記切換ピンの進出方向の逆方向)に押し退けて、第1リンクアーム46および第2リンクアーム48がロッカーアーム18、20に近づく。一方、上記の切り欠き51aによってリング部51が連結ピン52とが係合しないときには、リンクシャフト50がスライドしたとしても、その非係合状態にある連結ピン52を備える第1リンクアーム46や第2リンクアーム48は、リンクシャフト50の変位に伴って変位することはない。
図11は、実施の形態1にかかる可変動弁装置を4気筒内燃機関に適用した場合における、実施の形態1の可変気筒休止機構の動作を示す斜視図である。図11における各気筒#1〜4の配置は図2の気筒配置と対応している。
図11(a)〜(c)から判るように、#4気筒についてのリング部51は切り欠き51aを有していない。一方、#1、2、3気筒についてのリング部51は、切り欠き51aを有している。ただし、#1気筒と、#2、3気筒とでは、切り欠き51aの位置(リンクシャフト50の回転角に対する位置)およびその大きさ(切り欠きの中心角)が異なっている。
#2、3気筒については、各気筒の2つのリング部51のうち紙面右側のリング部51が、それぞれ、同じ回転角位置に、同じ中心角(大きさ)の切り欠き51aを有している。#2、3気筒についての切り欠き51aは、いずれも、約4分の3程度までリング部51を切り欠いた程度の大きさを有している。また、#1気筒についてもリング部51が切り欠き51aを有しているが、#1気筒にかかる切り欠き51aは#2、3気筒の切り欠き51aよりも中心角が小さく、概ね4分の1〜3分の1にリング部51を切り欠いた程度の大きさを有している。
上記の構成によれば、#4気筒の連結ピン52については、リンクシャフト50の回転角によらずに常にリング部51との係合が成立する。一方、#1、2、3気筒の連結ピン52については、リンクシャフト50を特定の回転角に位置させることで、切り欠き51aの存在によって、リング部51との間の係合を解除(つまり非係合に)することができる。
図11(a)は、全ての気筒において、リング部51と連結ピン52の係合が成立している状態を示している。図11(a)の状態においては、電磁ソレノイド56の作動、ガイドレール54への突起部46bの係合、および第1リンクアーム46の変位に伴って生ずるリンクシャフト50のスライドによって、全ての気筒において弁停止を行うことができる。
図11(b)は、#1、2、3気筒において、リング部51と連結ピン52の係合を解除している状態を示している。すなわち、リンクシャフト50の回転角を変更することによって、#1、2、3気筒において切り欠き51aと連結ピン52とが隣接させられた状態を示している。この状態では、リンクシャフト50のスライドに伴って、#4気筒の弁停止は行われるものの、#1、2、3気筒の弁停止は行われない。この場合には、#1、2、3気筒を稼動させたL3運転(3気筒運転)に減筒して内燃機関を運転することができる。
図11(c)は、#1、4気筒ではリング部51と連結ピン52が係合しており、#2、3気筒ではリング部51と連結ピン52が非係合となっている状態を示している。すなわち、リンクシャフト50の回転角を変更することによって、#2、3気筒においてのみ、切り欠き51aと連結ピン52とが隣接させられた状態を示している。この場合には、#2、3気筒を稼動させたL2運転(2気筒運転)に減筒して内燃機関を運転することができる。
以上説明したように、実施の形態1によれば、リンクシャフト50の回転角に応じて、第2リンクアーム48の連結ピン52とリング部51の係脱を切り換えることができる。リンクシャフト50の回転角の制御により、電磁ソレノイド56の作動に伴って変位させられる第2リンクアーム48を選択することが可能となる。その結果、#1〜4気筒の弁停止に関して1つの電磁ソレノイド56を共用しても、複数の第2リンクアーム48を選択的に変位させて、所望の気筒を弁停止させることが可能となる。
実施の形態1によれば、リンクシャフト50の回転角を調節することで、第2リンクアーム48とリンクシャフト50の係合と非係合を容易に切り換えることができる。
尚、上述した実施の形態1においては、主カム14が前記第1の発明における「カム」に、第1ロッカーアーム18および第2ロッカーアーム20が前記第1の発明における「伝達部材」に、電磁ソレノイド56が前記第1の発明における「アクチュエータ」に、切換ピン36、38、44、リンクアーム46、48、およびリンクシャフト50(50a、50b)が、前記第1の発明における「切換部材」に、それぞれ相当している。
また、上述した実施の形態1においては、リンクアーム46、48が前記第1の発明における「第1変位部材」に、リンクシャフト50(50a、50b)が前記第1の発明における「第2変位部材」に、それぞれ相当している。
また、上述した実施の形態1においては、リンクシャフト50に設けられたリング部51の各々が、前記第1の発明における「係合部」に、相当している。
また、上述した実施の形態1においては、2つのリング部51に挟まれたリンクシャフト50の外周面が、前記第2の発明における「第1の部分」に、リング部51が、前記第2の発明における「第2の部分」に、切り欠き51aが、前記第2の発明における「切り欠き」に、連結ピン52が、前記第2の発明における「前記第1変位部材の一部」に、それぞれ相当している。
[実施の形態1の変形例]
(可変気筒休止機構の構成)
実施の形態1では、リンクシャフト50を、ロッカーシャフト22の内部において回転自在となるように構成している。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、リンクシャフト50がロッカーシャフト22の外部に設けられる構成でも良い。
また、実施の形態1では、軸部材であるリンクシャフト50をその中心軸まわりに回転自在に配置している。そして、リンクシャフト50の回転角に応じた切り欠き51aの位置変化を利用して、連結ピン52に対する係脱を実現している。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。つまり、本発明における「第2変位部材」は、必ずしも中心軸まわりに360度の回転が自在な軸部材に限られない。リンクアーム46、48が並ぶ方向に延びる所定の軸を基準として、その軸の周りに自身を回転させることができるものであれば良く、360度の回転も必ずしも必要ではない。このため、リンクアーム46、48が並ぶ方向に延びる所定の軸を基準として第2変位部材が「回動」あるいは「揺動」とも表現できる動作をする場合には、このような動作も本発明の「回転」に含まれる。また、「第2変位部材」の外形についても、必ずしもリンクシャフト50のように細身の棒状の物体に限定されるものではない。
また、リング部51も円に限らず楕円やあるいは種々の多角形であってもよい。また、連結ピン52も必ずしも円柱形状に限らない。
なお、実施の形態1では、一定の太さのリンクシャフト50に対して、これよりも直径が大きいリング部51を取り付ることにより、連結ピン52との係合用の構成を設けている。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。一定の太さのリンクシャフト50の外周面に窪み(溝)を設けてもよい。この窪みのリンクシャフト50の軸方向における大きさを、リンクシャフト50の回転角に応じて異ならしめることで、リング部51の切り欠き51aの有無と同じ機能を発揮させることができる。具体的には、当該窪みを、所定の回転角においては連結ピン52の直径と概ね一致する大きさを有し、他の所定の回転角においては連結ピン52の直径に比して十分に大きくなる形状に設けても良い。
なお、この変形例においては、リンクシャフト50に設けられた窪みの各々が、前記第1の発明における「係合部」に、相当している。
また、実施の形態1では、図11に示すように全気筒停止、L3運転、L2運転を切り換え可能な構成とした。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。減筒のバリエーションも、切り欠き51aを何れの気筒に対してどの回転角に設けるかによって、任意に設定することができる。具体的には、例えば図12に示す例では、リンクシャフト50の回転角すなわちリング部51の中心角を3つの区間に分けてL0(弁停止)、L2、L3と減筒のバリエーションを割り当てている。このような割り当てを、リンクシャフト50の回転角と対応付けつつ、中心角の分割数をいくつにするのかという点や、回転角が何度のときに何れの気筒を減筒するのかといって点を勘案した上で定めればよい。例えば4パターンの組み合わせを実現したい場合には、リング部51を4つの区間に分割すればよい。
なお、図11で#2、3気筒についての切り欠き51aからもわかるように、ここでいう「切り欠き」は、リンクシャフト50の軸回りに180度以上大きく開口するような切り欠きも含む。
なお、実施の形態1では、図2や図11で最も右側の気筒(#4気筒)については、電磁ソレノイド56の作動を伝えてリンクシャフト50の変位させる役割があるため、切り欠き51aを設けていない。
(切換部材の構成)
実施の形態1では、切換ピン36、38、44、リンクアーム46、48、およびリンクシャフト50(50a、50b)が、前記第1の発明における「切換部材」に相当している。しかしながら、本発明はこれに限られない。下記のような変形が可能である。
例えば、伝達部材に相当するロッカーアームをロッカーシャフトによって回転自在に支持させる構成において、アクチュエータの作動に伴うリンクシャフト50の変位に伴って、ロッカーシャフト上においてロッカーアームがロッカーシャフトの軸方向に変位し、これにより、ロッカーアームに当接するカムが切り換わることでロッカーアームの動作状態が切り換わるものであってもよい。このような構成の場合にも、実施の形態1におけるリング部51と連結ピン52との間で連結を切換可能な機構(以下、簡略に「連結切換機構」とも称す)と同様の機能を発揮するように、リンクシャフト50の回転角に応じて、リンクシャフト50と係合するロッカーアームが切り換わるように構成すればよい。
或いは、例えば、カムに当接するローラを有するロッカーアームを備える構成において、アクチュエータの作動に伴うリンクシャフト50の変位に伴って、ロッカーアーム上においてローラがその支軸の軸方向に変位し、これにより、ローラに当接するカムが切り換わることでロッカーアーム(伝達部材)の動作状態が切り換わるものであってもよい。このような構成の場合にも、実施の形態1におけるリング部51と連結ピン52との間の連結切換機構と同様の機能を発揮するように、支軸の軸方向へと変位するローラがリンクシャフト50の回転角に応じて選択的に切り換わるように構成すればよい。
或いは、例えば、伝達部材に相当するロッカーアームをロッカーシャフトによって回転自在に支持させる構成において、アクチュエータの作動に伴って本発明の切換部材に相当するロッカーシャフト自身がその軸方向に変位し、これにより、ロッカーアームに当接するカムが切り換わることでロッカーアームの動作状態が切り換わるものであってもよい。このような構成の場合にも、実施の形態1におけるリング部51と連結ピン52との間の連結切換機構と同様の機能を発揮するように、ロッカーシャフトの回転角に応じて、ロッカーアームとの係合と非係合とを切り換えるように構成すればよい。
また、上述した実施の形態1においては、4つの気筒を有する内燃機関の全気筒に配置された2つのバルブ26の開弁特性を一括して切り換える可変動弁装置10を例に挙げて説明を行った。しかしながら、本発明における可変動弁装置は、少なくとも2気筒に設けられたバルブの開弁特性を一括して切り換えるものであれば、必ずしも全気筒に配置されたバルブを一括して切り換えるものに限定されない。すなわち、3気筒以上を有する内燃機関の少なくとも2気筒からなる一部気筒のバルブの開弁特性を一括して切り換える装置として構成されたものであってもよい。
(副カムの構成)
また、上述した実施の形態1においては、副カム16がゼロリフトカムとして構成されている例について説明を行ったが、本発明における副カムは、ゼロリフトカムに限られない。すなわち、例えば上記可変動弁装置10の構成の場合には、主カム14よりも小さなリフトが得られるようにするノーズ部を備える副カムであってもよい。このような副カムを備える構成によれば、バルブのリフト量(およびまたは作用角)を主カムおよび副カムによって2段階に切り換えることが可能となる。
(アクチュエータの構成)
また、上述した実施の形態1においては、螺旋状の溝形状に形成されたガイドレール54に対して電磁ソレノイド56を利用して第1リンクアーム46を係合させることにより、弁稼動状態から弁復帰状態に切り換える際のリンクシャフト50の駆動力を得るようにし、更に、電磁ソレノイド56と第1リンクアーム46との係合を解除して弁停止状態から復帰する際のリンクシャフト50の駆動力として、リンクシャフト50に生ずるリターンスプリング42の付勢力を利用している。しかしながら、本発明において切換部材を変位させるアクチュエータは、これに限定されず、例えば、電動モータによって切換部材として機能するリンクシャフトを駆動するものであってもよい。
また、上述した実施の形態1においては、突起部46bをガイドレール54に係合させるための駆動力を発するアクチュエータとして、電磁ソレノイド56を備えるようにしている。これにより、応答性に優れたアクチュエータを利用して、バルブ26の開弁特性を切り換えることができる。しかしながら、本発明におけるアクチュエータは、これに限定されるものではなく、例えば、油圧駆動式のアクチュエータであってもよい。
また、上述した実施の形態1においては、4つの気筒を有する内燃機関の各気筒に配置された2つのバルブ26を駆動する可変動弁装置10を例に挙げて説明を行った。しかしながら、本発明における可変動弁装置は、少なくとも2気筒に設けられたバルブの開弁特性を切り換えるものであればよい。例えば、2気筒以上を有する内燃機関の全気筒のバルブを駆動する装置として、或いは、3気筒以上を有する内燃機関の少なくとも2気筒からなる一部気筒のバルブを駆動する装置として構成されたものであればよい。
また、実施の形態1では、直列4気筒内燃機関について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。複数の気筒を備える内燃機関であれば同様に適用可能であり、気筒の配列も例えばV6、V8の内燃機関でも適用可能である。少なくとも2気筒に設けられたバルブの開弁特性を切り換えるものであればよいからである。
なお、実施の形態1ではディレー機構60を設けたが、ディレー機構60を設けない構成であってもよい。
実施の形態2.
実施の形態2のハードウェア構成は、実施の形態1の構成と同様とする。実施の形態2は、実施の形態1における弁停止気筒からの復帰動作に関する。
弁停止(L0運転)から例えばL2運転などの減筒運転へと変化させる際に、全ての気筒について一旦弁復帰をしてからでないと減筒運転に入れないとすると、タイムラグが生じてしまう。これによりドライバビリティが悪化したり、全気筒についての休止・復帰の切換は大きなトルクショックを招くおそれがある。
そこで、実施の形態2では、そのような場面において、下記に述べるようにして実施の形態1の有する可変気筒休止機構の利点を活用する。図13は、弁停止中におけるリンクアーム48とリンクシャフト50との係合状態を示す斜視図である。実施の形態2では、弁停止中にリンクシャフト50を回転させることによって、切り欠き51aを回転させる。運転を復帰させたい気筒について切り欠き51aを連結ピン52の隣まで回転させることで、リング部51によって変位させられていたリンクアームを弁復帰側へと戻すことができる。この一連の様子を図14(a)〜(c)に示している。これにより、弁停止から復帰し、その後燃焼を再開させる。これにより、弁停止中から、直接、減筒状態での運転を再開することができる。なお、このとき、可変気筒は増やす方向とすることが好ましい。
ECU58上における具体的処理としては、例えば、弁停止期間中(より具体的には電磁ソレノイド56の作動によりリンクシャフト50が変位している期間中)に、減筒運転で運転を再開すべき所定条件の成立が認められた場合には、ECU58は、リンクシャフト50の回転角をその所定条件に応じた減筒数となる角度に制御する。たとえば、図11(a)における弁停止状態から、L3運転での復帰が必要となった場合には、リンクシャフト50を図11(b)の状態まで回転させる。
なお、全気筒で弁停止の状態から、一度に全気筒で弁復帰をさせた場合には、トルクショックが大きくなる。そこで、上記のように減筒からの復帰を行う利益がある。また、通常の弁停止時にフェールが起こりスライド不可状態が発生した場合、実施の形態2にかかるを用いて弁復帰をし退避走行を行うことができる。
実施の形態3.
実施の形態1にかかる構成においてリンクシャフト50を回転させるためには、何らかのシャフト回転用機構が必要となる。この機構を、例えば新たなアクチュエータを追加したり大型或いは複雑な構成で実現したりすると、コスト悪化や、搭載スペース増大を招いてしまう。そこで、実施の形態3では、これらの問題点に鑑み、リンクシャフト50の回転用の機構を改良することとした。
図15は、実施の形態3にかかるリンクシャフト50の回転用機構を示す断面図である。図16は、図15における破線部を拡大した図である。実施の形態3では、リンクシャフト50にラチェット機構が備えられている。
すなわち、リンクシャフト50の外周面に、爪部100が設けられている。この爪部100が押さえ爪102と噛み合うことにより、リンクシャフト50を一定方向にのみ回転させていくことができる。なお、図17は、ラチェット機構の模式的な概念図である。
図15に示すようにリンクアーム46に対し電磁ソレノイド56が矢印方向に突き出した場合、リンクアーム46はリンクシャフト50の回転軸を軸として揺動する。リンクアーム46の揺動に付随してリンクシャフト50が回転するとき、上記のラチェット機構の存在によって、リンクアーム46の一方の方向の揺動時にはリンクシャフト50が回転するものの、リンクアーム46の逆方向の揺動時には押さえ爪102によってリンクシャフト50は固定される。
具体的には、実施の形態1では、リンクアーム46の突起部46bがガイドレール54側に突き出すようにリンクアーム46が回転(揺動)するときにはリンクシャフト50が回転しないように(つまり爪部100が押さえ爪102に引っ掛からないように)、ラチェット機構の回転規制方向を設計する。逆に、突起部46bがガイドレール54から離れるようにリンクアーム46が回転(揺動)する場合には、ラチェット機構でリンクシャフト50を固定する。これにより、電磁ソレノイド56の突き出しに応じて、リンクシャフト50を回転させることができる。なお、変化させたい回転角に応じて、突き出し量を調節してもよい。
以上説明したように、実施の形態2によれば、ラチェット機構を備えることで、リンクシャフト50の回転角を特定の方向に増加させていくことができる。これにより、リンクシャフト50の回転角を制御することができる。
そして、実施の形態2によれば、電磁ソレノイド56がリンクアーム46をガイドレール54に係合させる動作と、リンクシャフト50のラチェット機構の回転方向とを、共通にすることができる。従って、リンクアーム46のガイドレール54への係合動作と、リンクシャフト50の回転角制御とを、共通のアクチュエータで行うことができる。また、リンクアーム46の揺動軸とリンクシャフト50の回転軸とが共通であるため、それらの軸が異なる場合に比して、全体の寸法を小さく抑えることができる。
なお、上述した実施の形態2においては、爪部100および押さえ爪102が、前記第3の発明における「ラチェット機構」に相当している。
なお、上述した実施の形態2においては、突起部46bが前記第4の発明における「ガイド係合部」に、第1リンクアーム46が前記第4の発明における「主変位部材」に、第2リンクアーム48が前記第4の発明における「副変位部材」に、それぞれ相当している。
なお、ラチェット機構の回転規制方向は、上記の実施の形態3の向きに限定されるものではなく、実施の形態3と反対にしてもよい。
実施の形態4.
実施の形態3にかかるリンクシャフト50の回転機構を用いる場合、電磁ソレノイド56の突き出し量に応じて、リンクシャフト50の回転角度が決まる。しかしながら、突き出し量が少ないなどの理由により高応答な回転動作を実現することが困難な場合が想定される。また、回転角度の規制もしがたい。
そこで、実施の形態4では、次に述べるようにして、リンクシャフト50の回転機構の更に改良された形態を提供する。図18は、カムシャフト12のガイドレール54位置における断面図と、ガイドレール54の外周まわりの展開図を概念に示した図とを、それぞれ示す。なお、図18に示した実施の形態4の構成では、便宜上、実施の形態1の構成(図2や図6参照)と比較してガイドレール54の形状が左右逆になっている。図18のガイドレール54を用いた場合には、カムシャフト12の回転方向を実施の形態1の場合と反対向きとすることで、実施の形態1と同様にリンクシャフト50を変位させることができる。この相違点については、ガイドレール54の設計時に適宜に選定すればよく、ガイドレール54の形状を実施の形態1の構成と同じにしてもよい。
ガイドレール54の外周周りの展開図において、斜線を付した部分には、凹凸部104が設けられている。凹凸部104には、カムシャフト12の回転方向に並ぶ複数の山(凸部)が設けられている。凹凸部104にリンクアーム46の突起部46bが接しつつカムシャフト12が回転することで、リンクアーム46を揺動させることができる。突起部46bが1つの山を乗り越えるたびにリンクアーム46で一回の揺動が生ずるので、いくつの山を乗り越えさせたかに応じて、揺動回数を調節することができる。実施の形態3にかかるラチェット構造により、リンクシャフト50はリンクアーム46の揺動に応じてその揺動角度だけ回転するので、揺動回数を調節することによりリンクシャフト50の回転角を制御することができる。
なお、上述した実施の形態4においては、凹凸部104のそれぞれの山が、前記第5の発明における「複数の凸部」に相当している。
10 可変動弁装置
12 カムシャフト
12a 円柱部
14 主カム
14a ベース円部
14b ノーズ部
16 副カム
18 ロッカーアーム
20 ロッカーアーム
20a パッド部
20bL ピン孔
20bR ピン孔
22 ロッカーシャフト
26 バルブ
28 カムローラ
30 バルブスプリング
32 切換機構
34 ブッシュ
34a ピン孔
36 切換ピン
38 切換ピン
40 キャップ
42 リターンスプリング
44 切換ピン
46 リンクアーム
46a アーム部
46b 突起部
46c 押圧面
46d 切欠部
48 リンクアーム
48a アーム部
50 リンクシャフト
50a リンクシャフト
50b リンクシャフト
51 リング部
52 連結ピン
54 ガイドレール
54a 始端
54b 終端
54c 浅底部
56 電磁ソレノイド
56a 駆動軸
58 ECU(Electronic Control Unit)
60 ディレー機構
62 リンクシャフト
62a 当接部
64 ディレー機構スプリング
66 長穴
68 ストローク制限ピン
100 爪部
102 押さえ爪
104 凹凸部
Pmax1 変位端
Pmax2 変位端

Claims (5)

  1. 少なくとも2つの気筒においてカムとバルブとの間に配置され、前記カムの作用力を前記バルブに伝達する伝達部材と、
    前記伝達部材の動作状態を変化させることで、前記少なくとも2つの気筒に設けられた前記バルブの開弁特性を切り換える切換機構と、
    を備え、
    前記切換機構は、
    前記少なくとも2つの気筒で共用され、当該少なくとも2つの気筒における前記伝達部材の動作状態を切り換える際に駆動されるアクチュエータと、
    前記アクチュエータの作動に伴って前記少なくとも2つの気筒に設けられた前記伝達部材の動作状態を切り換える切換部材と、
    を含み、
    前記切換部材は、
    前記少なくとも2つの気筒において気筒ごとに備えられ、自身が変位することで前記伝達部材の動作状態を切り換える複数の第1変位部材と、
    前記複数の第1変位部材とそれぞれ係合する複数の係合部を備え、前記係合部で係合した前記複数の第1変位部材を前記アクチュエータの作動に伴って変位させ、前記複数の第1変位部材の並びに沿って延びる回転軸を有し、当該回転軸まわりの回転が可能であり、回転角に応じて前記複数の第1変位部材のうち所定の第1変位部材との間で前記係合部との係合/非係合が切り換わる第2変位部材と、
    を含むことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 前記第2変位部材は、
    前記回転軸と直行する方向に第1の大きさを有する第1の部分と、
    前記第1の部分の隣に設けられ、前記回転軸と直行する前記方向に前記第1の大きさよりも大きな第2の大きさを有する第2の部分と、
    を有し、
    前記第2の部分は、前記第1の部分との境界に、前記第2変位部材が前記回転軸まわりに回転することで前記第1変位部材に対する相対位置が変化する切り欠きを有し、
    前記係合部は、前記第1変位部材の一部が前記第1の部分に近づき当該一部が前記第2の部分と接することで、前記第1変位部材と前記第2変位部材とを係合させるものであり、
    前記第2変位部材の回転角が前記切り欠きと前記第1変位部材の前記一部とが隣接する回転角にあるときに、前記アクチュエータの作動時に、前記第1変位部材の前記一部が前記第2の部分の前記切り欠き内に移動することで、当該第1変位部材と前記第2変位部材とを非係合とさせることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  3. 前記第2変位部材の前記回転軸まわりの回転方向を制限するラチェット機構を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  4. 前記可変動弁装置は、前記カムが取り付けられたカムシャフトの外周面に設けられたガイドレールを更に備え、
    前記第1変位部材は、
    前記ガイドレールに係脱自在なガイド係合部を有し、前記カムシャフトの軸方向に変位可能な主変位部材と、
    前記少なくとも2つの気筒において前記主変位部材が備えられていない残りの気筒に備えられ、前記第2変位部材を介して前記主変位部材と連動して変位する副変位部材と、を含み、
    前記アクチュエータは、前記ガイド係合部を前記ガイドレールに係合させるための駆動力を発するものであり、
    前記アクチュエータの作動時には、前記主変位部材が前記第2変位部材の前記回転軸を中心として回転したうえで前記ガイド係合部と前記ガイドレールとが係合し、
    前記ガイド係合部と当該ガイドレールとの前記係合時に生ずる前記主変位部材の変位に伴って、当該主変位部材が備えられた前記気筒の前記伝達部材の動作状態が変化し、前記主変位部材の前記変位に連動する前記副変位部材の変位に伴って、当該副変位部材が備えられた前記残りの気筒の前記伝達部材の動作状態が変化し、
    前記ラチェット機構が回転を許容する方向と、前記アクチュエータの作動での前記主変位部材の回転に伴い前記第2変位部材が回転する方向とを一致させたことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  5. 前記ガイドレールが設けられた前記カムシャフトの外周面に、前記ガイド係合部が接触している状態で前記カムシャフトが回転したときに前記主変位部材を揺動させる複数の凸部が設けられており、
    前記ラチェット機構の回転軸と、前記主変位部材の前記揺動の中心軸とを一致させたことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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