JP2011179454A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車室8を暖房すべくブロワ17が駆動されている状態にあって、エンジン1の冷間時には非冷間時よりもウォータポンプ3の吐出流量が低減される。このように吐出流量が低減されると、第2冷却水回路を循環する冷却水がより長い時間をかけて排熱回収器2を通過するようになり、同排熱回収器2から出た冷却水の温度が高くなる。そして、この温度の高くなった冷却水がヒータコア6にて車室8に供給される空気との間で熱交換される。ここでも、上記吐出流量低減によって上記冷却水がより長い時間をかけてヒータコア6を流れるようになることから、同冷却水から上記ブロワ17の駆動によりヒータコア6を通過する空気に対しより多くの熱が渡される。
【選択図】図1
Description
請求項1記載の発明によれば、車室の暖房要求があるときには、ブロワの駆動を通じてヒータコアに空気を流して同空気とヒータコアを通過して循環する冷却水回路の冷却水との間で熱交換を行い、その熱交換により昇温された空気が車室に供給される。そして、ポンプ制御部により、車室を暖房すべくブロワが駆動されている状態にあって、エンジンの冷間時には同エンジンの非冷間時よりもポンプの冷却水の吐出流量が低減される。この場合、冷却水回路を循環する冷却水の流速が遅くなり、同冷却水がより長い時間をかけて排熱回収器を通過するようになることから、エンジンの排気から排熱回収器に供給される単位時間当たりの熱量が一定であるとしても、同排熱回収器から出た冷却水の温度が上記ポンプの吐出流量低減前に比べて高くなる。そして、このように温度の高くなった冷却水がヒータコアにて車室に供給される空気との間で熱交換される。ここでも、上記ポンプの吐出流量低減によって上記冷却水がより長い時間をかけてヒータコアを流れるようになることから、同冷却水から上記ブロワの駆動によりヒータコアを通過する空気に対しより多くの熱が渡されることになる。従って、エンジンの冷間時に車室の暖房要求があるとき、上記ヒータコアを通過した後の空気、言い換えれば車室に供給される空気の温度を高めることができ、同空気にさらされる車室内の乗員の体感温度低下を抑制することができる。
以下、本発明を車両の制御装置に具体化した第1実施形態を、図1〜図6に従って説明する。
ウォータポンプ3の吐出流量に関しては、通常、同吐出流量の下限値値が定められており、エンジン1出口付近の冷却水の温度(冷却水温thw1)が高くなるほど、上記下限値に対しより多くなるよう制御される。なお、上記下限値に関しては、例えば、エンジン1からの発熱量が多くなるエンジン高負荷運転時にエンジン1の内部を通過する冷却水の流量が同エンジン1の温度上昇を抑制することの可能な値となるよう予め定められる。
(1)車室8を暖房すべくブロワ17が駆動されている状態にあって、エンジン1の冷間時には、同エンジン1の非冷間時よりもウォータポンプ3の吐出流量が低減される。これにより、ブロワ17の駆動によりヒータコア6を通過した空気、言い換えれば車室8に供給される空気の温度を高めることができ、同空気にさらされる車室8内の乗員の体感温度低下を抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態を図7に基づき説明する。
この実施形態は、エンジン1の冷間時におけるウォータポンプ3の吐出流量の低減に合わせてブロワ17の風量を低減する際、そのブロワ17の駆動により車室8内に供給される空気の温度を車室8の暖房に必要な値に保持しつつ、同空気の量を可能な限り多く確保できるようにしたものである。
W1 :冷却水からヒータコアに供給される単位時間当たりの熱量
CpW:冷却水の比熱
ΔH :冷却水温thw2と空気温thaとの温度差
R :ヒータコアを通過する冷却水の流量
式(1)で用いられる比熱CpWは、ヒータコア6を通過する冷却水の比熱であって、同冷却水における不凍液(ロングライフクーラント)の濃度、及び同冷却水の温度に基づき算出される。なお、冷却水における不凍液の濃度としては予め定められた運用上の規定値を用いることができ、ヒータコア6を通過する冷却水の温度としては冷却水温thw2を用いることができる。また、式(1)で用いられる温度差ΔHは、ヒータコア6入り口の冷却水温thw2とヒータコア6入り口の空気温thaとの差で表される値である。更に、式(1)で用いられる流量Rは、ヒータコア6を通過する冷却水の流量であって、ウォータポンプ3の電気負荷等に基づき推定して算出される。
G :減量値
W1 :冷却水からヒータコアに供給される単位時間当たりの熱量
TR :ヒータコアでの冷却水と空気との間での熱交換効率
ΔT1:空気温thaと目標吹き出し空気温Xthaとの温度差の絶対値
CpA:ヒータコアを通過する空気の比熱
式(2)で用いられる熱交換効率TRは、ヒータコア6を通過する冷却水から同ヒータコア6を通過する空気への熱の伝達効率を表し、ヒータコア6を通過する冷却水の流量R、及びブロワ17の風量に応じて変化する値である。この熱交換効率TRは、ヒータコア6を通過する冷却水の熱が同ヒータコア6を通過する空気に対し100%伝達される場合には「1」とされ、その熱の伝達効率の低下に伴い上記「1」という値に対し徐々に大きい値となってゆく。そして、熱交換効率TRは、上記「1」以上という範囲で、ヒータコア6を通過する冷却水の流量R及びブロワ17の風量に基づき、それらに対応した値となるよう可変設定される。また、式(2)で用いられる比熱CpAは、ヒータコア6を通過する空気の比熱、言い換えれば車室8内の空気の比熱であって、車室8内の空気の実際の温度を表す空気温thaに基づき算出される。
(3)エンジン1の冷間時におけるウォータポンプ3の吐出流量の低減に合わせてブロワ17の風量が減量値Gまで低減される際、そのときのブロワ17の風量に関しては上記熱量W1が小さい値となるほど少なくされ、逆に上記熱量W1が大きい値となるほど多くされることとなる。ここで、仮にブロワ17の風量が一定という条件のもとでは、上記熱量W1が小さい値になるほど、ヒータコア6にて冷却水との間で熱交換を行った後の空気の温度が低くなる。従って、上述したように、熱量W1が小さい値となるほど上記減量値Gを小さい値としてブロワの風量を少なくすることで、同熱量W1が小さい値であることに起因してヒータコア6にて冷却水との間で熱交換を行った後の空気の温度、すなわち車室8に供給される空気の温度が低くなることを抑制できる。また、上記熱量W1がある程度大きい値であるときには、ヒータコア6にて冷却水との間で熱交換を行った後の空気の温度が低くなりにくいため、車室8の暖房を効果的に行ううえでブロワ17の風量をある程度多くし、上記空気の温度を車室8の暖房に必要な値に保持しつつ、車室8に供給される空気の量を可能な限り多くすることが好ましい。この点、上記熱量W1がある程度大きい値であるときには、上記減量値Gもそれに対応した比較的大きい値となるため、ブロワの風量が過度に少なくなることが抑制される。以上により、車室8内に供給される空気の温度を車室8の暖房に必要な値に保持しつつ、同空気の量を可能な限り多く確保することができ、それによって車室8の暖房を効果的に行うことができるようになる。
次に、本発明の第3実施形態を図8に基づき説明する。
この実施形態は、エンジン1の冷間時にウォータポンプ3の吐出流量の低減に合わせてブロワ17の風量を低減している最中に、車室8内に供給される空気の温度が急低下することを抑制しつつ、同空気の量を可能な限り多く確保できるようにしたものである。
J :第2冷却水回路を循環する冷却水から車室に供給可能な熱量
HV:第2冷却水回路の冷却水の熱容量
ΔH:冷却水温thw2と空気温thaとの温度差
式(3)で用いられる熱容量HVは、第2冷却水回路の冷却水を単位温度上昇させるために必要な熱量を表し、同冷却水の比熱CpW及び第2冷却水回路内に存在する冷却水の量(設計値)に応じて定まる値である。また、温度差ΔHは、上述したようにヒータコア6入り口の冷却水温thw2とヒータコア6入り口の空気温thaとの差で表される値である。
W2:冷却水からヒータコアに供給する単位時間当たりの熱量
J:第2冷却水回路を循環する冷却水から車室に供給可能な熱量
t:エンジン冷間状態の予測継続時間
S303の処理が行われた後、ヒータコア6入り口の空気温thaと目標吹き出し空気温Xthaとの差の絶対値が温度差ΔT1として求められる(S304)。そして、上記熱量W2及び上記温度差ΔT1の他、ヒータコア6を通過する冷却水から同ヒータコア6を通過する空気への熱の伝達効率を表す熱交換効率TR、及びヒータコア6を通過する空気の比熱CpA(車室8内の空気の比熱)に基づき、以下の式(5)を用いて減量値Gが算出される(S305)。
G :減量値
W2 :冷却水からヒータコアに供給する単位時間当たりの熱量
TR :ヒータコアでの冷却水と空気との間での熱交換効率
ΔT1:空気温thaと目標吹き出し空気温Xthaとの温度差の絶対値
CpA:ヒータコアを通過する空気の比熱
上記式(5)から分かるように、熱量W2が小さい値となるほど減量値Gは小さい値に設定され、同熱量W2が大きい値となるほど減量値Gは大きい値に設定される。また、温度差ΔT1が大きい値となるほど減量値Gは小さい値に設定され、同温度差ΔT1が小さい値となるほど減量値Gは大きい値に設定される。従って、エンジン1の冷間時におけるウォータポンプ3の吐出流量の低減に合わせてブロワ17の風量が減量値Gまで低減される際、そのときのブロワ17の風量に関しては上記熱量W2が小さい値となるほど少なくされ、逆に上記熱量W2が大きい値となるほど多くされることとなる。また、上記ブロワ17の風量に関しては、上記温度差ΔT1が大きい値になるほど少なくされ、逆に上記温度差ΔT1が小さい値となるほど多くされるようにもなる。
(5)エンジン1の冷間時におけるウォータポンプ3の吐出流量の低減に合わせてブロワ17の風量が減量値Gまで低減される際、そのときのブロワ17の風量に関しては上記熱量W2が小さい値となるほど少なくされ、逆に上記熱量W2が大きい値となるほど多くされることとなる。ここで、仮にブロワの風量が一定という条件のもとでは、予測継続時間t全体に亘って冷却水からヒータコア6に熱を供給する際に同冷却水からヒータコア6に供給可能な単位時間当たりの熱量W2に対し、ブロワ17の風量が多くなり過ぎるおそれがある。この場合、エンジン1の冷間状態の継続中(予測継続時間tの経過中)に、第2冷却水回路の冷却水が有する車室8に供給可能な熱量Jを同車室8の暖房に使い切ってしまい、その時点でブロワ17の駆動により車室8に供給される空気の温度が急低下する。従って、上述したように、上記単位時間当たりの熱量W2が小さい値となるほど上記減量値Gを小さい値としてブロワ17の風量を少なくすることで、同熱量W2が小さい値であることに起因してエンジン1の冷間状態の継続中に車室8に供給される空気の温度が急低下することを抑制できる。また、上記単位時間当たりの熱量W2がある程度大きい値であるときには、車室8の暖房を効果的に行うためにブロワ17の風量をある程度多くしても、エンジン1の冷間状態の継続中に第2冷却水回路の冷却水が有する車室8に供給可能な熱量Jを同車室8の暖房に使い切ってしまい、車室8に供給される空気の温度が急低下することは生じにくい。この点、上記単位時間当たりの熱量W2がある程度大きい値であるときには、上記減量値Gもそれに対応した比較的大きい値となるため、ブロワ17の風量が過度に少なくなることが抑制される。以上により、エンジン1の冷間状態の継続中に車室8内に供給される空気の温度が急低下することを抑制しつつ、車室8を暖房するための空気の量を可能な限り多く確保することができ、それによって車室8の暖房を効果的に行うことができるようになる。
次に、本発明の第4実施形態を図9に基づき説明する。
この実施形態は、エンジン1の冷間時にウォータポンプ3の吐出流量の低減が行われるとき、それによって車室8の暖房性能がかえって低下するようになることを抑制できるようにしたものである。
(6)ウォータポンプ3の冷却水の吐出流量の低減は、第2冷却水回路の冷却水が有する車室8に供給可能な熱量Jが上述した所定値未満であるときに限って行われる。従って、同熱量Jが所定値以上であれば、ウォータポンプ3及びブロワ17の通常駆動(通常の吐出流量制御及び風量制御)により車室8に暖房のための空気を供給したとしても、同空気の温度を十分に高めることができ、車室8内の乗員の体感温度が低下することはない。仮に、こうした状況のもとでウォータポンプ3の冷却水の吐出流量の低減が行われたとすると、車室8内に供給される空気の温度が通常より高められるようにはなるものの、ブロワ17の風量が通常よりも低減されることによって車室8の暖房性能がかえって低下することになりかねない。しかし、上記熱量Jが所定値以上であるときには、ウォータポンプ3の冷却水の吐出流量の低減が行われることはないため、ウォータポンプ3及びブロワ17が通常どおりの駆動、すなわち通常のウォータポンプ3の吐出流量制御及びブロワ17の風量制御が実行されることになり、上述した車室8の暖房性能の低下が生じることはない。
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・上記各実施形態において、エンジン1の冷間時に必ずしもエンジン1内部の冷却水の通過を禁止する必要はない。
・第1実施形態において、ブロワ17の風量を減量値Gまで低減することに関しては必ずしも実行する必要はない。
・第3実施形態において、式(5)での熱量W2の温度差ΔT1いよる除算を省略してもよい。
Claims (7)
- エンジンや排熱回収器を熱源として昇温する冷却水がポンプの駆動によりヒータコアを通過して循環する冷却水回路と、前記ヒータコアを通過する冷却水との間で熱交換された空気を車室に供給するブロワとを備える車両の制御装置において、
前記車室を暖房すべく前記ブロワが駆動されている状態にあって、前記エンジンの冷間時には同エンジンの非冷間時よりも前記ポンプの冷却水の吐出流量を低減するポンプ制御部を備える
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1記載の車両の制御装置において、
前記ポンプ制御部により前記ポンプの冷却水の吐出流量が低減されているとき、前記車室に空気を供給する前記ブロワの風量を定められた減量値まで低減するブロワ制御部を更に備える
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 前記ブロワ制御部は、前記冷却水から前記ヒータコアに供給される単位時間当たりの熱量を求め、その単位時間当たりの熱量が小さい値となるほど前記減量値を小さい値に設定する
請求項2記載の車両の制御装置。 - 前記ブロワ制御部は、前記冷却水回路の冷却水が有する前記車室に供給可能な熱量、及び前記エンジンの冷間状態が継続される時間の予測値である予測継続時間に基づき、前記予測継続時間全体に亘って前記冷却水から前記ヒータコアに熱を供給する際に前記冷却水から前記ヒータコアに供給する単位時間当たりの熱量を求め、その単位時間当たりの熱量が小さい値となるほど前記減量値を小さい値に設定する
請求項2記載の車両の制御装置。 - 前記ブロワ制御部は、前記車室内の実際の温度と前記ブロワの駆動により前記車室に供給される空気の温度の目標値との温度差を求め、その温度差が大きい値となるほど前記減量値を小さい値に設定する
請求項4記載の車両の制御装置。 - 前記ポンプ制御部は、前記冷却水回路の冷却水が有する前記車室に供給可能な熱量が所定値未満であるときに限って前記ポンプの冷却水の吐出流量の低減を行い、
前記所定値は、前記ポンプ及び前記ブロワの通常駆動により前記車室に暖房のための空気を供給したときに同空気の温度を前記車室内の温度に対し暖房に必要な値だけ高くすることの可能な前記熱量の最小値に設定される
請求項2記載の車両の制御装置。 - 請求項1記載の車両の制御装置において、
前記エンジン及び前記ヒータコアを通って冷却水を循環させる第1冷却水回路と、
前記エンジンを通過させずに前記排熱回収器及び前記ヒータコアを通って冷却水を循環させる第2冷却水回路と、
閉弁に応じて前記第1冷却水回路の冷却水の前記エンジン内部の通過を禁止するとともに、開弁に応じて前記第1冷却水回路の冷却水と前記第2冷却水回路の冷却水とを混合させるバルブと、
前記エンジンの冷間時には前記バルブを閉弁させ、同エンジンの非冷間時には前記バルブを開弁させるバルブ制御部と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
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