以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両に搭載される水冷式多気筒エンジン(内燃機関)において同エンジンを冷却する冷却システムとして具体化している。図1は、本システムの概要を示す構成図である。
図1において、エンジン10は、シリンダブロック11とシリンダヘッド12とを有しており、それらには各々冷却媒体としての冷却水を流通させるためのウォータジャケットが形成されている。シリンダブロック11のウォータジャケットが、同シリンダブロック11内に冷却水を流通させるシリンダブロック冷却通路13に相当し、シリンダヘッド12のウォータジャケットが、同シリンダヘッド12内に冷却水を流通させるシリンダヘッド冷却通路14に相当する。
本実施形態では、シリンダブロック冷却通路13とシリンダヘッド冷却通路14とが並列に設けられ、ゆえにシリンダブロック11とシリンダヘッド12とが別系統で冷却されるようになっている。
エンジン10の各冷却通路13,14には冷却水を循環させるための循環経路20が接続されている。この循環経路20は、例えば金属製又は合成樹脂製の配管部材により構成されている。循環経路20は、エンジン10(各冷却通路13,14)に対する冷却水の流入側の経路であって二経路に分岐されている入口側経路21と、シリンダブロック冷却通路13からの冷却水の流出側の経路であるシリンダブロック出口側経路22と、シリンダヘッド冷却通路14からの冷却水の流出側の経路であるシリンダヘッド出口側経路23とを有している。入口側経路21の分岐前位置(集合部分)にはウォータポンプ24が設けられている。ウォータポンプ24は、エンジン10の回転により駆動される機械式ウォータポンプであり、このウォータポンプ24の駆動により循環経路20内を冷却水が循環する。
シリンダブロック出口側経路22には、当該出口側経路22内を流れる冷却水の流量を調整する流量調整弁26が設けられている。また、シリンダヘッド出口側経路23は二経路に分岐されており、その分岐位置には、当該出口側経路23内を流れる冷却水の流量を調整する機能と、二方の分岐経路23a,23bのいずれに冷却水を流すかを切り替える切替機能とを有する流量調整弁27が設けられている。二つの分岐経路23a,23bのうち一方の分岐経路23aには、冷却水を外気により冷却するラジエータ28が設けられている。また、他方の分岐経路23bには、車載空調装置における熱源となるヒータコア31と、EGR装置32を通過するEGRガスを冷却するEGRクーラ33とが直列に設けられている。分岐経路23bは、ラジエータ28を迂回するバイパス通路である。分岐経路23bに冷却水が流れる場合、シリンダヘッド冷却通路14から流出した冷却水は、流量調整弁27→ヒータコア31→EGRクーラ33の順に流れるようになっている。
なお、本実施形態では、シリンダヘッド出口側経路23が「第1経路」に、シリンダブロック出口側経路22が「第2経路」に相当する。また、流量調整弁27が「第1調整手段」に、流量調整弁26が「第2調整手段」に相当する。
ヒータコア31は、その内部を通過する冷却水と車室内に送風される空気との熱交換によりその送風空気を暖める熱交換器であり、冷却水の熱を放出する放熱源に相当する。この場合、車室内を暖房する暖房要求に応じてヒータコア31において熱交換(冷却水の放熱)が実施される。
EGR装置32は、エンジン10から排出される排気の一部をEGRガスとして吸気系に再循環させるEGR手段に相当し、EGRガスを流通させるEGR配管とEGRガス量を調整するEGR弁とを有している。EGRクーラ33は、EGR配管の途中に設けられ、EGRガスを冷却液と熱交換させる熱交換器として機能する。EGRクーラ33は、例えば細い長い管状の伝熱管(熱交換パイプ)が複数並列的に設けられ、これら伝熱管内をEGRガスが流れ、伝熱管の外側を冷却水が流れる構成となっている。
シリンダブロック出口側経路22とシリンダヘッド出口側経路23とは、ラジエータ28やヒータコア31、EGRクーラ33よりも下流側において一経路に集約され、その下流側で入口側経路21に接続されるようになっている。循環経路20において、エンジン10の入口側(詳しくは、ウォータポンプ24の上流側)には、冷却水の温度を検出する水温センサ35が設けられている。
ECU40は、CPUや、ROM、RAM等のメモリよりなる周知のマイクロコンピュータを備えて構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態等に応じて本システムの各種制御を実施する。具体的には、ECU40には、上述の水温センサ35以外に、エンジン回転速度を検出する回転速度センサ41や、吸気管内圧力等をエンジン負荷として検出する負荷センサ42、EGR配管においてEGRクーラ33の出口側の温度(出口ガス温)を検出するガス温センサ43、外気温を検出する外気温センサ44、外気の湿度を検出する湿度センサ45、排気の空燃比を検出する排気センサ46が接続されており、これら各センサの検出信号がECU40に逐次入力される。そして、ECU40は、それら入力した各種検出信号に基づいて、流量調整弁26,27の開度調整による流量制御を実施する。特に本実施形態では、シリンダブロック出口側経路22とシリンダヘッド出口側経路23とが各々個別の経路となっており、ECU40は、これらの経路ごとに冷却水の流量を制御する。
ところで、例えばエンジン10の冷間始動など、冷却水の水温が低い場合に冷却水をEGRクーラ33に流通させると、EGRガスがEGRクーラ33により過剰に冷却されて、EGRガス中の水分が凝縮することが考えられる。そして、その凝縮水の発生に起因してEGR配管やEGRバルブ等の各種金属部品の腐食が生じること等が懸念される。そこで本実施形態では、EGRクーラ33における凝縮水の発生の可能性を判定し、凝縮水発生の可能性有りと判定された場合に、EGRクーラ33に対する冷却水の流量制限を行うこととし、その制限された流量になるように流量調整弁27による流量制御を実施する。
次に、ECU40により実施される冷却水の流量制御について説明する。図2は、冷却水流量制御の手順を示すフローチャートであり、本処理はECU40により所定周期で繰り返し実施される。なおここでは、シリンダヘッド出口側経路23(EGRクーラ33が設けられている経路)に流れる冷却水の流量制御について説明する。ちなみに、シリンダブロック出口側経路22(EGRクーラ33が設けられていない経路)に流れる冷却水の流量は、冷却水温などのエンジン運転状態に基づき制御され、例えば冷却水温が所定の暖機完了温度(例えば80℃)以上になっている状態で、冷却水温が高いほど流量が大きくなるように流量制御が実施されるとよい。
図2において、ステップS11では、エンジン運転状態に基づいて要求流量を算出する。このとき、エンジン運転状態としてのエンジン回転速度とエンジン負荷(トルク)とに基づいて基本要求流量が算出され、その基本要求流量に対して水温補正が行われた結果として要求流量が算出される。より具体的には、図3に示す関係に基づいて、エンジン回転速度が大きいほど、又はエンジン負荷(トルク)が大きいほど、流量が多くなるようにして基本要求流量が算出される。また、図4に示す関係に基づいて、冷却水温が大きいほど、数値が大きくなるようにして水温係数が算出される。ここで、エンジン10が暖機完了の状態になっていなくても早期にEGRを実施したいという要望があり、例えば60℃(暖機完了前の温度)以上の温度範囲においてシリンダヘッド出口側経路23に冷却水が流通されるようになっている。そして、基本要求流量と水温係数との乗算により最終の要求流量が算出される。
続くステップS12では、外気温と湿度とに基づいて、EGRガスで凝縮水が発生する凝縮温度を算出する。このとき、図5に示す関係に基づいて、湿度が大きいほど、又は外気温が高いほど、高い温度になるようにして凝縮温度が算出される。ステップS13では、ガス温センサ43の検出結果に基づいて、EGRクーラ33の出口側の温度(出口ガス温)を算出する。
その後、ステップS14では、ステップS13で算出した出口ガス温がステップS12で算出した凝縮温度よりも低いか否かを判定する。そして、出口ガス温<凝縮温度であれば、ステップS15に進み、ガード流量の算出を実施する。ここでは、ガード流量として、ステップS11で算出した要求流量を高流量側で制限するための上限ガード流量(上限ガード値)と、低流量側で制限するための下限ガード流量(下限ガード値)とを算出することとしており、水温、外気温、湿度を算出パラメータとしてこれら各ガード流量を算出する。
具体的には、水温に関しては図6の(a)、(b)の関係を用い、外気温及び湿度に関しては図7の関係を用いて、上限ガード流量及び下限ガード流量を算出する。図6の(a)によれば、水温が低いほど上限ガード流量が小さい値に設定され、図6の(b)によれば、水温が低いほど下限ガード流量が大きい値に設定される。これは、水温が低いほど(すなわちエンジン10の冷間の程度が大きいほど)、高流量側及び低流量側でそれぞれ制限を強くしていることを意味する。また、図7によれば、外気温が高いほど、又は湿度が大きいほど、ガード補正値が大きい値として算出される。これは、外気温が高いほど、又は湿度が大きいほど、高流量側及び低流量側でそれぞれ制限を強くしていることを意味する。
その後、ステップS16では、ヒータコア31において冷却水の放熱が行われている状況であるか否かを判定する。そして、ヒータコア31が放熱状態になっていればステップS17に進み、ヒータコア31が放熱状態になっていなければステップS19に進む。
ステップS17では、ステップS11で算出した要求流量がステップS15で算出した上限ガード流量よりも大きいか、又はステップS11で算出した要求流量がステップS15で算出した下限ガード流量よりも小さいかを判定する。そして、要求流量≦上限ガード流量、かつ要求流量≧下限ガード流量であれば、そのまま本処理を終了する。この場合、ステップS11で算出した要求流量により冷却水の流量制御が実施される。また、要求流量>上限ガード流量であるか、又は要求流量<下限ガード流量であれば、ステップS18に進み、要求流量を上限ガード流量又は下限ガード流量で制限する。この場合、制限された流量で冷却水の流量制御が実施される。
また、ステップS19では、ステップS11で算出した要求流量がステップS15で算出した上限ガード流量よりも大きいか否かを判定する。そして、要求流量≦上限ガード流量であれば、そのまま本処理を終了する。この場合、ステップS11で算出した要求流量により冷却水の流量制御が実施される。また、要求流量>上限ガード流量であれば、ステップS20に進み、要求流量を上限ガード流量で制限する。この場合、制限された流量で冷却水の流量制御が実施される。
図8は、エンジン10の冷間始動時における冷却水流量制御をより具体的に説明するためのタイムチャートである。なお、図8では、シリンダヘッド側流量のガード流量として上限ガード流量のみを示している。
図8では、タイミングt1で車両のIGスイッチ(始動スイッチ)がオンされ、エンジン10が始動される。このとき、水温は例えば10℃であり、エンジン10の運転開始に伴い徐々に上昇する。そして、水温が所定値(本実施形態では60℃)に達すると、流量調整弁27が開放されることでシリンダヘッド出口側経路23において冷却水の流通が開始される(タイミングt2)。このタイミングt2では、EGRクーラ33の出口ガス温<凝縮温度になっているとしており、上限ガード流量の算出が行われている。そして、上限ガード流量に対して要求流量が上回っていることから、シリンダヘッド側流量の高流量側の制限が実施されている(t2〜t3の斜線部分)。
その後、水温の上昇に応じて上限ガード流量が増加し、タイミングt3で要求流量≦上限ガード流量になると、流量制限が解除される。
なお、タイミングt4では水温が暖機完了温度(例えば80℃)に達し、流量調整弁26が開放されることでシリンダブロック冷却通路13において冷却水の流通が開始される。タイミングt4以降において、シリンダブロック出口側経路22に流れる冷却水の流量は、冷却水温に基づき、冷却水温が高いほど流量が大きくなるように制御が実施される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
上記構成によれば、凝縮水発生の可能性有りと判定された場合に、EGRクーラ33に流れる冷却水について要求流量に対する流量制限が実施される。これにより、EGRクーラ33において凝縮水の発生が抑制される。その結果、EGRクーラ33での凝縮水発生による不都合を解消することができる。
冷却水の上限ガード流量(流量制限値)を設定し、凝縮水発生の可能性有りと判定された場合に、要求流量と上限ガード流量との比較に基づいて高流量側の流量制限を実施する構成とした。EGRクーラ33に対する冷却水の流量が過剰に多いと、凝縮水が発生し易くなる。この点、要求流量と上限ガード流量との比較に基づいて高流量側が流量制限されるため、凝縮水の発生を好適に抑制できる。補足すると、循環流量が高流量であるほど冷却水の熱容量が大きく、エンジン10の入口側と出口側との温度差が小さくなる(エンジン10での温度上昇幅が小さくなる)。そのため、EGRクーラ入口における冷却水温度が低くなり、EGRクーラ33での過冷却による凝縮水の発生が懸念されるが、上記のとおり高流量側が流量制限されることで、エンジン10での温度上昇幅を大きくし、EGRクーラ入口における冷却水温度を高くすることができる。これにより、凝縮水の発生を好適に抑制できる。
凝縮水発生の可能性有りと判定され、かつヒータコア31が放熱状態であると判定された場合に、要求流量と上限ガード流量及び下限ガード流量との比較に基づいて高流量側及び低流量側の流量制限を実施する構成とした。循環経路20においてエンジン冷却通路(シリンダヘッド冷却通路14)の下流側にヒータコア31が設けられ、さらにその下流側にEGRクーラ33が設けられている構成では、冷却水の循環流量が少なく冷却水の熱容量が小さい場合に、エンジン10での温度上昇幅が大きくなる一方、放熱源となるヒータコア31での温度低下幅が大きくなる。そのため、エンジン10での受熱とヒータコア31での放熱とのバランスによっては、EGRクーラ入口における冷却水温度が低くなり過ぎてしまい、EGRクーラ33での過冷却が生じるおそれがある。この点、上記構成では、ヒータコア31が放熱状態になっている場合に、高流量側及び低流量側の両方が制限されるため、循環流量が過剰に多くなることだけでなく、循環流量が過剰に少なくなることも規制できる。これにより、やはり凝縮水の発生を好適に抑制できる。
エンジン10が冷えているほど(冷間の程度が大きいほど)、上限ガード流量を小さくして高流量側の流量制限を強くするとともに、下限ガード流量を大きくして低流量側の流量制限を強くするようにした。この場合、エンジン10が冷えているほど、EGRクーラ入口における冷却水温度が低くなるが、循環流量を制限することで、EGRクーラ入口における冷却水温度の低下の抑制を図ることができる。
EGRクーラ33の出口ガス温と凝縮温度との比較により凝縮水の発生の可能性を判定する構成としたため、実際のEGRガスの状況に応じて適正な凝縮判定を実施できる。また、外気温と湿度とに基づいて凝縮温度を算出する構成としたため、凝縮温度を適正に求めることができ、ひいては凝縮水の発生の有無を適正に判定できる。
互いに別経路となるシリンダブロック出口側経路22とシリンダヘッド出口側経路23とを有し、個々に冷却水の流量制御が実施される構成とした。エンジン10においてシリンダブロック冷却通路13とシリンダヘッド冷却通路14とが各々独立して設けられている構成では、シリンダヘッド12側を比較的低温にしておくことはノッキング抑制の観点からして望ましいが、シリンダヘッド冷却通路14に繋がるシリンダヘッド出口側経路23にEGRクーラ33が設けられている構成では、シリンダヘッド12の低温化に伴いEGRクーラ33での過冷却が生じやすくなる。この点、上記のとおりシリンダブロック冷却通路13とシリンダヘッド冷却通路14とについて各々独立して冷却水の流量制御が実施され、さらにシリンダヘッド冷却通路14(EGRクーラ33が接続されている方の冷却通路)についてEGRクーラ33での過冷却が抑制されるため、ノッキング抑制を図りつつ、凝縮水の発生による不都合の抑制を図ることができる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・上記実施形態では、エンジン10の冷間始動時に冷却水の流量制限を実施する構成としたが、これ以外に、例えばエンジン10でのノッキング抑制のためにシリンダヘッド12を低温化している場合に冷却水の流量制限を実施する構成としてもよい。具体的には、ECU40が、エンジン10の暖機期間が終了した後も、冷却水温(エンジン出口水温)を例えば60℃程度に保持する低温化制御を実施する。そして、その低温化制御の実施に際して、EGRクーラ33での過冷却を抑制する。ECU40による制御の手順を図9に示す。
図9において、ステップS21では、シリンダヘッド12の低温化制御が実施されているか否かを判定する。低温化制御が実施されている状態が「所定の低温状態」に相当する。そして、低温化制御の実施状態でなければ、ステップS22に進んで、エンジン運転状態(エンジン回転速度、負荷、水温等)に基づいて通常制御用の要求流量を算出し、低温化制御の実施状態であれば、ステップS23に進んで、エンジン運転状態(エンジン回転速度、負荷、水温等)に基づいて低温化制御用の要求流量を算出する。なお、低温化制御用の要求流量は、通常制御用の要求流量よりも多めになっている。
ステップS22の実施後はそのまま本処理を終了し、ステップS23の実施後はステップS12に進む。なお、ステップS12以降は、上述の図2と同様の処理であり、説明は割愛する。
エンジン10が所定の低温状態にある場合には、EGRクーラ入口の水温が低温になりがちであり、EGRクーラ33での過冷却抑制の必要がある。この点、エンジン10が所定の低温状態にあると判定された場合に循環流量の制限を実施する構成としたため、必要に応じた流量制限を実施できる。
・エンジン10の空燃比に基づいてガード流量(流量制限値)を設定する構成としてもよい。具体的には、図10の(a)に示すように、排気センサ46により検出される空燃比がリッチであるほど上限ガード流量を小さい値に設定し、図10の(b)に示すように、空燃比がリッチであるほど下限ガード流量を大きい値に設定する。つまり、空燃比がリッチである場合には、排気中の水蒸気量が多くなり、凝縮水の発生の可能性が高まることから、上限ガード流量を小さくするか、又は下限ガード流量を大きくして流量制限を強めにする。これにより、凝縮水の発生を適正に抑制できる。
・冷却システムの構成は図1に示すものに限られず、以下のように変更して具体化することが可能である。
(1)図1では、シリンダヘッド出口側経路23にヒータコア31とEGRクーラ33とを設けていたが、図11ではこの構成を変更し、シリンダブロック出口側経路22にヒータコア31とEGRクーラ33とを設けている。この場合、流量調整弁26の開度調整によりEGRクーラ33に流れる冷却水の流量が制御される。
(2)図12では、エンジン10の冷却通路として、シリンダブロック11からシリンダヘッド12へと冷却水を流す冷却通路51が設けられている。つまり、エンジン10において、シリンダブロック冷却通路とシリンダヘッド冷却通路とが直列に設けられている。そして、シリンダヘッド12の通路出口に出口側経路52が接続され、その出口側経路52に流量調整弁53が設けられている。出口側経路52にヒータコア31とEGRクーラ33とが設けられており、流量調整弁53の開度調整によりEGRクーラ33に流れる冷却水の流量が制御される。なお、エンジン10の冷却通路において冷却水が流れる順序は、図12とは逆に、シリンダヘッド12→シリンダブロック11の順であってもよい。
(3)図1では、シリンダヘッド出口側経路23にヒータコア31とEGRクーラ33とを設けていたが、図13ではこの構成を変更し、シリンダブロック出口側経路22にヒータコア31を設けるとともに、シリンダヘッド出口側経路23にEGRクーラ33を設ける構成としている。
・上記実施形態では、冷却水(冷却媒体)の熱を放出する熱交換器としてヒータコア31を用いたが、これを変更し、同熱交換器として、潤滑油を暖めるオイルウォーマを用いてもよい。この場合、例えば図1に示すシリンダヘッド出口側経路23において、ヒータコア31に代えてオイルウォーマが設けられる。
・上記実施形態では、ガス温センサ43の検出結果に基づいて、EGRクーラ33の出口側の温度(出口ガス温)を算出する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、エンジン入口水温、エンジン回転速度、負荷、EGRガス量、冷却水の要求流量といった算出パラメータに基づいて、出口ガス温を算出することが可能である。この場合、エンジン入口水温が高いほど、エンジン回転速度が大きいほど、負荷が大きいほど、EGRガス量が多いほど、冷却水の要求流量が少ないほど、出口ガス温を高い温度に算出するとよい。なお、冷却水の循環経路においてEGRクーラ33の上流側にヒータコア31が設けられる構成では、上記算出パラメータとして外気温を加えるとよい。外気温が高いほど、出口ガス温を高い温度に算出する。また、冷却水の循環経路においてEGRクーラ33の上流側にオイルウォーマが設けられる構成では、上記算出パラメータとして油温を加えるとよい。油温が高いほど、出口ガス温を高い温度に算出する。
・上記実施形態では、ウォータポンプを機械式ウォータポンプとしたが、これを変更し、電動式ウォータポンプを用いてもよい。ウォータポンプを流量調整手段とし、そのウォータポンプの駆動を制御することで流量制御を行う構成としてもよい。
・上記実施形態では、冷却媒体として冷却水を用いたが、これに代えて、冷却媒体としてオイルなど、他の流体を用いることも可能である。