JP2011178723A - 原子内包フラーレン誘導体および原子内包フラーレン誘導体の製造方法ならびに原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法 - Google Patents
原子内包フラーレン誘導体および原子内包フラーレン誘導体の製造方法ならびに原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】金属原子内包フラーレン誘導体を得るとともに、この内包金属原子のフラーレンケージ内の位置を確定する方法を提供する。
【解決手段】金属原子を内包したフラーレンと付加体である遷移金属錯体を反応させることにより、フラーレンケージの内外に炭素原子を挟んで2つの金属原子が存在する金属原子内包フラーレン誘導体を得るとともに内包金属原子の内部での回転を抑制し、容易にX線結晶構造解析による構造を確定できるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】金属原子を内包したフラーレンと付加体である遷移金属錯体を反応させることにより、フラーレンケージの内外に炭素原子を挟んで2つの金属原子が存在する金属原子内包フラーレン誘導体を得るとともに内包金属原子の内部での回転を抑制し、容易にX線結晶構造解析による構造を確定できるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、付加体を用いて金属原子内包フラーレンを化学修飾した原子内包フラーレン誘導体および原子内包フラーレン誘導体の製造方法ならびに原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法に関する。特に、付加体である遷移金属錯体の遷移金属を配位子として金属原子内包フラーレンのケージ炭素に配位させて誘導体を形成するとともに、X線結晶構造解析において金属原子内包フラーレンの回転を抑制して内包金属原子の位置確定を容易ならしめるものである。
フラーレンは、ケージ(籠)状の中空構造をなす炭素同位体であり、例えばバックミンスターフラーレン(C60)では、60個の炭素原子が球形の籠状をなしている。そして、フラーレン内部に金属原子が閉じ込めることができ、この閉じ込められた金属原子内包フラーレンM@C2nは、金属原子からフラーレンケージ(以下では、一部を指して「骨格」と称することがある)への電荷移動により、通常の空フラーレンには見られない構造や磁気的性質を示すことから近年注目を集めている。なお、金属原子内包フラーレンM@C2nで、Mは内包対象の金属原子、C2nは炭素原子2n個からなるフラーレンであり、以下、金属内包フラーレンともいう。
このうちC78、C80、C82などのフラーレンに関しては、主にランタン(La)、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)などの3族元素の金属がケージに内包されたものが合成され、その構造や物性に関して多くの知見が得られつつある。
また、C60の金属原子内包フラーレンに関しては、例えば1族(アルカリ金属)元素の一つであるリチウム(Li)が内包されたリチウム内包C60フラーレン(Li@C60)の生成に関する技術について特許文献1に開示され、Li@C60を含む生成物を得ている。
特許文献1において本願発明者らはプラズマ照射法により内包対象原子等のフラーレンへの内包化を行い、対象原子を内包させたフラーレンを含有する合成物の製造方法と、この合成物を溶媒等で抽出・精製して得られる析出物であるフラーレンベース材料が1個の内包フラーレンの周りに複数の空フラーレンが取り囲んで結合したクラスター構造をなしていることを示した。
すなわち、特許文献1では、フラーレンベース材料及びその材料の製造方法、特に、内包フラーレンを分離精製する方法、及び、内包フラーレンクラスターとその応用に関する技術について開示している。
特許文献1のフラーレンベース材料の製造方法は、内包フラーレンの合成物から、少なくとも、水系溶媒により内包されなかった内包対象原子と内包対象原子の化合物を除去する第一の処理と、内包フラーレンを溶媒に抽出する第二の処理と、再沈法により空のフラーレンを除去する第三の処理を行うことにより、内包フラーレンを含む分子クラスターを分離精製するものである。
すなわち、特許文献1では、フラーレンベース材料及びその材料の製造方法、特に、内包フラーレンを分離精製する方法、及び、内包フラーレンクラスターとその応用に関する技術について開示している。
特許文献1のフラーレンベース材料の製造方法は、内包フラーレンの合成物から、少なくとも、水系溶媒により内包されなかった内包対象原子と内包対象原子の化合物を除去する第一の処理と、内包フラーレンを溶媒に抽出する第二の処理と、再沈法により空のフラーレンを除去する第三の処理を行うことにより、内包フラーレンを含む分子クラスターを分離精製するものである。
このように、内包フラーレンの分離精製を、少なくとも、未反応の内包対象原子の除去工程と、内包フラーレンの溶媒抽出工程と、再沈法による空のフラーレンの除去工程とからなる複合工程により行うことで、溶媒抽出だけでは分離精製が不十分であった内包フラーレンを高純度に精製し、また、合成物から精製して回収できる内包フラーレンの量の収率の向上させている。
そして、合成後の精製処理により得られた、内包フラーレンとしてリチウム原子が内包されたC60が濃縮されたフラーレンベース材料を評価した結果から、
a)溶媒抽出による内包フラーレンの含有量は、試料の重量の多くても7〜8%で、空のフラーレンを除去には限度がある。
b)溶媒抽出した内包フラーレンは単独の分子として存在するのではなく、内包フラーレンの周りに複数の空のフラーレンが集合して取り囲み結合したクラスター構造をなしているものと考えられる。
これは、リチウムなどアルカリ金属自体の酸化還元電位は極めて小さく、電子を放出して周りを強く還元させると共に自らは酸化する傾向を強くもち、内包された状態では電子をアルカリ金属内包フラーレンのケージ側に放つため、ケージ自体が負に帯電するためと考えられる。
そして、合成後の精製処理により得られた、内包フラーレンとしてリチウム原子が内包されたC60が濃縮されたフラーレンベース材料を評価した結果から、
a)溶媒抽出による内包フラーレンの含有量は、試料の重量の多くても7〜8%で、空のフラーレンを除去には限度がある。
b)溶媒抽出した内包フラーレンは単独の分子として存在するのではなく、内包フラーレンの周りに複数の空のフラーレンが集合して取り囲み結合したクラスター構造をなしているものと考えられる。
これは、リチウムなどアルカリ金属自体の酸化還元電位は極めて小さく、電子を放出して周りを強く還元させると共に自らは酸化する傾向を強くもち、内包された状態では電子をアルカリ金属内包フラーレンのケージ側に放つため、ケージ自体が負に帯電するためと考えられる。
なお、特許文献1には、溶液中の生成物の粒径分布を動的光散乱法により測定したものが示してあり、C60の溶液中での粒径分布からC60の径サイズが0.7nmにピークをもっていること、クロロナフタレン溶液中の粒径分布からこの溶液中の粒子の径サイズが4〜6nmにピークをもっていることを述べている。
そして、図19(a)の左側図に示すごとく、単一のC60フラーレン12に1個のリチウム原子が内包されたLi@C60フラーレン11が望みの形態であったが、合成後、水系・酸系溶媒による処理、極性・非極性混合溶媒による処理を経ても、図19(b)及び(c)に示すように、1個のLi@C60フラーレン11の周りを複数のC60フラーレン12が取り囲んだフラーレンクラスター13または14の形態が維持され容易に解体するものではないことが分かった。
本願発明者らは、さらにフラーレンクラスターから空フラーレンを外し、フラーレンとして内包フラーレンのみを有する形態にすることを試みている(国際出願JP2008/052228号公報
すなわち、国際出願JP2008/052228号公報においては、特許文献1記載の処理に代えて、空のフラーレンと内包フラーレンとの結合力を断ちクラスター構造をなすフラーレンベース材料をさらに分離・精製することを行った。
国際出願JP2008/052228号公報では、単離された内包フラーレンを製造する技術が開示しており、内包フラーレンは概ね次に示す工程を有するものとした。
すなわち、
(a)内包フラーレンと、その周囲を取り囲んでなる複数の空のフラーレンとからなるクラスター構造を有する材料を溶媒に導入する工程、
(b)この溶媒中で材料のクラスター構造を分解するとともに内包フラーレンカチオンを形成する工程、
(c)内包フラーレンカチオンの塩を析出させる工程、
(d)溶媒と析出した内包フラーレンカチオンの塩とを分離する工程
すなわち、
(a)内包フラーレンと、その周囲を取り囲んでなる複数の空のフラーレンとからなるクラスター構造を有する材料を溶媒に導入する工程、
(b)この溶媒中で材料のクラスター構造を分解するとともに内包フラーレンカチオンを形成する工程、
(c)内包フラーレンカチオンの塩を析出させる工程、
(d)溶媒と析出した内包フラーレンカチオンの塩とを分離する工程
この結果、クラスター構造を有するフラーレンベース材料を分解することができることを見いだし M@C2nで表わされる単離された内包フラーレンが得られたことを開示している。
本発明者らは、脱電子酸化反応によりクラスター構造をほぐし、リチウム内包C60フラーレンをカチオン塩として得ることに成功した。一例で示したリチウム内包C60フラーレンカチオン(Li@C60 +)塩は、原子内包フラーレン塩の一種である。
ここで一般的に塩(えん)とは、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)とがイオン結合した化合物のことである。身近な代表例としては食塩(化学記号NaCl、イオン結合した化合物、つまり塩であることを強調してNa+Cl−とも記す)がある。よって、原子内包フラーレン塩とは、原子内包フラーレンのカチオン(陽イオン)もしくはアニオン(陰イオン)を含む塩をいっている。
本発明者らは、脱電子酸化反応によりクラスター構造をほぐし、リチウム内包C60フラーレンをカチオン塩として得ることに成功した。一例で示したリチウム内包C60フラーレンカチオン(Li@C60 +)塩は、原子内包フラーレン塩の一種である。
ここで一般的に塩(えん)とは、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)とがイオン結合した化合物のことである。身近な代表例としては食塩(化学記号NaCl、イオン結合した化合物、つまり塩であることを強調してNa+Cl−とも記す)がある。よって、原子内包フラーレン塩とは、原子内包フラーレンのカチオン(陽イオン)もしくはアニオン(陰イオン)を含む塩をいっている。
すなわち、M@C2nで表される単離された内包フラーレンが得られたこと、この単離された内包フラーレンの、LDI−TOF−MSでのこの内包フラーレンのピーク強度に対する他のフラーレンのピーク強度比がポジティブモードで0.5%以下、ネガティブモードで50%以下であるものであることを示した。なお、「単離」を、質量スペクトルで見たとき単一のピークを与える状態、あるいは他を圧倒するようなピークを有する略単独に分離された状態という意味で用いた。
ところで、フラーレンの産業への応用のアプローチとして、高純度のフラーレン精製しこれを用いるものと、フラーレンの誘導体を合成しこれを用いるものの大きく2つある。
そして、非特許文献1にも記載があるように、空のフラーレンと同じケージをもつ原子内包フラーレンとを比べたとき一般に溶媒に溶けにくいとされ、種々の手法によるフラーレンの誘導体化が試みられている(特許文献2、特許文献3)。
特許文献2と特許文献3は、同一の出願人になるもので、機能材料又は超電導材料またエレクトロニクス材料又は医薬品材料として有用な金属内包フラーレン化合物と誘導体に関する技術が開示されている。
そして、非特許文献1にも記載があるように、空のフラーレンと同じケージをもつ原子内包フラーレンとを比べたとき一般に溶媒に溶けにくいとされ、種々の手法によるフラーレンの誘導体化が試みられている(特許文献2、特許文献3)。
特許文献2と特許文献3は、同一の出願人になるもので、機能材料又は超電導材料またエレクトロニクス材料又は医薬品材料として有用な金属内包フラーレン化合物と誘導体に関する技術が開示されている。
特許文献2では、金属内包フラーレンに側鎖を導入した新規な金属内包フラーレン化合物が開示され、ここでは、金属内包フラーレンに所定構造のジシリラン誘導体又はジゲルミラン誘導体を反応させることで金属内包フラーレンに官能基を付加して上記有用性が期待される新規な金属内包フラーレン化合物を製造している。
また、特許文献3では、金属内包フラーレンのメチレン付加化合物とその製法が開示されている。ここでは、金属内包フラーレンに所定構造のジアゾメタンまたは置換ジアゾメタンを環化付加させた後に脱窒素反応させることで金属内包フラーレンに官能基を付加して上記有用性が期待される新規な金属内包フラーレン誘導体を製造している。
特許文献2および特許文献3では、内包金属原子としてランタノイド元素、アクチノイド元素、遷移元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素が挙げられている。
また、特許文献3では、金属内包フラーレンのメチレン付加化合物とその製法が開示されている。ここでは、金属内包フラーレンに所定構造のジアゾメタンまたは置換ジアゾメタンを環化付加させた後に脱窒素反応させることで金属内包フラーレンに官能基を付加して上記有用性が期待される新規な金属内包フラーレン誘導体を製造している。
特許文献2および特許文献3では、内包金属原子としてランタノイド元素、アクチノイド元素、遷移元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素が挙げられている。
ところで、空のフラーレンではケージを構成する不飽和C=C結合部分が遷移金属に配位し、金属錯体を形成することが知られている(非特許文献2)。これに関する類推から、金属原子内包フラーレンも遷移金属に配位可能であると予想される。
そして、金属内包フラーレンが遷移金属に配位して得られる錯体はフラーレン骨格を介した内包金属原子と遷移金属原子の相互作用により、特異な化学的性質・電気的性質・磁気的性質などを発現すると期待されるが、金属原子内包フラーレンが配位した遷移金属錯体の合成例は見当たらない。
そして、金属内包フラーレンが遷移金属に配位して得られる錯体はフラーレン骨格を介した内包金属原子と遷移金属原子の相互作用により、特異な化学的性質・電気的性質・磁気的性質などを発現すると期待されるが、金属原子内包フラーレンが配位した遷移金属錯体の合成例は見当たらない。
フラーレンの化学と物理 篠原、齋藤著 1997年 名古屋大学出版会
AccumulatingEvidence for the Selective Reactively of the 6-6 Ring Fusion of C60.Preparationand Structure of ( η-C60)Ir(CO)Cl(PPh3)2/5C6H6 (Alan L. Balch, Vincent J.Catalano, Joong W. Lee / Inorganic Chemistry, Vol. 30, No. 21, 1991 AmericanChemical Society ,3980-3981)
非特許文献1に記載されているように、Li@C60の存在・生成は、電磁スペクトル観察や質量分析などで確認されている。しかし、特許文献1で示したように、合成物中の内包フラーレンは、空のC60フラーレンが周囲を包みこんだ状態のいわゆるクラスター状になっており、クラスター構造ではなく単離された純粋なLi@C60を手に取る量(重量でミリグラムオーダー)で安定的に得ることができず、特性を詳細に測定・評価するに至っていなかった。
これに対して、本発明者らになる未公開の既出願、国際出願JP2008/052228号公報とこの技術を基に開発された特願2009−208532号公報において、国際出願JP2008/052228号公報に開示したように、本発明者らは、脱電子酸化反応によりクラスター構造をほぐし、リチウム内包C60フラーレンをカチオン塩として得ることに成功した。このリチウム内包C60フラーレンカチオン(Li@C60 +)塩は、原子内包フラーレン塩の一種である。
上述したように原子内包フラーレン塩とは、原子内包フラーレンのカチオン(陽イオン)またはアニオン(陰イオン)を含む塩であり、Li@C60PF6(塩であることを強調してLi@C60 +PF6 −とも記す)、Li@C60SbCl6などが具体的な代表例である。
これに対して、本発明者らになる未公開の既出願、国際出願JP2008/052228号公報とこの技術を基に開発された特願2009−208532号公報において、国際出願JP2008/052228号公報に開示したように、本発明者らは、脱電子酸化反応によりクラスター構造をほぐし、リチウム内包C60フラーレンをカチオン塩として得ることに成功した。このリチウム内包C60フラーレンカチオン(Li@C60 +)塩は、原子内包フラーレン塩の一種である。
上述したように原子内包フラーレン塩とは、原子内包フラーレンのカチオン(陽イオン)またはアニオン(陰イオン)を含む塩であり、Li@C60PF6(塩であることを強調してLi@C60 +PF6 −とも記す)、Li@C60SbCl6などが具体的な代表例である。
本発明者らは、国際出願JP2008/052228号公報に記載した脱電子酸化して得た原子内包フラーレン塩の典型例であるLi@C60SbCl6をさらに分離・精製するため、昇華法やHPLC法を試みた。しかし、十分な成果を得るに至らなかった。
すなわち、Li@C60SbCl6は分解し易く加熱による昇華法での精製は不適切であると分かった。また、従来内包フラーレンの製造に用いられるHPLC手法をそのまま適用したとき、Li@C60塩や同カチオンがカラムから排出されなかった。この原因として、Li@C60塩や同カチオンがHPLCカラム内の固定相に強くに吸着されたまま保持されて脱離され難かったためと推測した。
また、得られた原子内包フラーレン塩は、低純度、低回収率などという処理工程上の不都合があった。
さらに、特願2009−208532号公報において、塩置換でより高純度の[Li@C60]+[PF6]−塩得ることができたが、応用検討にとって重要な種々の溶液に対する溶解性が十分とはいえない不都合があった。
すなわち、Li@C60SbCl6は分解し易く加熱による昇華法での精製は不適切であると分かった。また、従来内包フラーレンの製造に用いられるHPLC手法をそのまま適用したとき、Li@C60塩や同カチオンがカラムから排出されなかった。この原因として、Li@C60塩や同カチオンがHPLCカラム内の固定相に強くに吸着されたまま保持されて脱離され難かったためと推測した。
また、得られた原子内包フラーレン塩は、低純度、低回収率などという処理工程上の不都合があった。
さらに、特願2009−208532号公報において、塩置換でより高純度の[Li@C60]+[PF6]−塩得ることができたが、応用検討にとって重要な種々の溶液に対する溶解性が十分とはいえない不都合があった。
また、従来のフラーレンに金属が内包された金属内包フラーレンの誘導体に関する特許文献2および特許文献3においても、開示技術に係るフラーレンが限定されかつ内包についての結果についてはMS(質量分析スペクトル)とNMRであり、内包の証明のみならず、内包原子の位置すら明示されておらず、応用検討の始発材料として見たとき十分明瞭な素性を有するとは言いがたいものであった。
また、特許文献1に開示されているように金属原子内包フラーレン自体の物性による凝集力によって周りに別の化学種がまとわりついたクラスター状をなしていることがこれらでも予想されるため、通常の処理では金属原子内包フラーレン単体に分離することが困難であり金属内包フラーレンと対応する誘導体の合成・入手は困難である。
また、特許文献1に開示されているように金属原子内包フラーレン自体の物性による凝集力によって周りに別の化学種がまとわりついたクラスター状をなしていることがこれらでも予想されるため、通常の処理では金属原子内包フラーレン単体に分離することが困難であり金属内包フラーレンと対応する誘導体の合成・入手は困難である。
実際、これらの金属原子内包フラーレンでは、フラーレンが結晶中でも回転しているため内包されている金属原子(以下、内包金属原子という。)の位置が定まらず、その構造を決定するには実験室系で用いられるX線装置の103〜106倍もの高輝度な放射光(例えば財団法人高輝度光科学研究センターのシンクロトロン放射光実験施設であるSPring−8)などの大掛かり強力なX線源でより特別な装置が必要となる(非特許文献1:8−(2)金属内包フラーレンの分子構造)(非特許文献3:内包証明発表)。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は金属原子内包フラーレン誘導体とその製造方法を提供するとともに、SPring8などの強力なX線源を用いなくても結晶構造解析を行い内包金属原子の位置を確定する方法を提示し、応用研究などにおいて構造等の特性がより明確な研究始発材料を提供することができる原子内包フラーレン誘導体および原子内包フラーレン誘導体の製造方法ならびに原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法を提供することである。
上記目的を達成するため本発明者は、遷移金属錯体で化学修飾した金属原子内包フラーレン誘導体では結晶中でのフラーレン骨格の自由回転が抑制することができ、フラーレン骨格の精密な構造が明らかにできるのではと考えた。
すなわち、金属は一般に炭素よりも電気陽性であるため、M@C2nでは電子が内包金属原子からフラーレン骨格へ移動することによる電荷移動により、内包金属原子が正に、フラーレン骨格が負にそれぞれ分極した構造を採ると考えられる。また一方、遷移金属錯体と結合したフラーレン上の炭素原子は遷移金属からの電子供与によって負電荷を帯びると考えられる。したがって、遷移金属錯体で化学修飾した金属原子内包フラーレン誘導体では、正電荷を帯びた内包金属原子は、この金属錯体が結合し負電荷を帯びた炭素原子に引き寄せられるのではないかと考えた。
すなわち、金属は一般に炭素よりも電気陽性であるため、M@C2nでは電子が内包金属原子からフラーレン骨格へ移動することによる電荷移動により、内包金属原子が正に、フラーレン骨格が負にそれぞれ分極した構造を採ると考えられる。また一方、遷移金属錯体と結合したフラーレン上の炭素原子は遷移金属からの電子供与によって負電荷を帯びると考えられる。したがって、遷移金属錯体で化学修飾した金属原子内包フラーレン誘導体では、正電荷を帯びた内包金属原子は、この金属錯体が結合し負電荷を帯びた炭素原子に引き寄せられるのではないかと考えた。
そこで、リチウム内包フラーレンのカチオン塩[Li@C60](PF6)(株式会社イデアルスターより供給)を用いて遷移金属錯体付加物の合成を行なう中で、イリジウム錯体と反応させることによりリチウム内包フラーレンカチオンと対応する誘導体を与えることを見出した。さらに、この誘導体結晶のX線結晶構造解析により、結晶中ではイリジウムの結合したフラーレン骨格の炭素原子の反対側に内包リチウム原子が局在化することを確認し、前記課題を解決した。
請求項1に係る発明は、被内包対象原子がフラーレンに内包された原子内包フラーレンの原子内包フラーレン誘導体において、遷移金属錯体が、前記原子内包フラーレンの前記フラーレンケージの炭素原子と配位結合してなることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項2に係る発明は、前記遷移金属錯体の遷移金属と前記被内包対象原子とが、前記フラーレンケージの炭素原子を挟んでフラーレンの内外に存在させるようにしたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項3に係る発明は、前記遷移金属錯体が長周期表の5,6周期から選ばれた一遷移金属に係る錯体であり、前記被内包対象原子が長周期表の1族(アルカリ金属)または2族(アルカリ土類金属)に属する典型元素から選ばれたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項4に係る発明は、前記遷移金属錯体が、有機基を有する配位子(→例えばIr錯体ではPPh3)をもつとともに、前記原子内包フラーレンとの配位結合により酸化数が増加することを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項5に係る発明は、前記遷移金属錯体がイリジウム(Ir)錯体、ロジウム(Rh)錯体、白金(Pt)錯体またはパラジウム(Pd)錯体からなる群より選択される一の遷移金属錯体であり、前記原子内包フラーレンがアルカリ金属を内包したフラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項6に係る発明は、前記イリジウム(Ir)錯体がバスカ錯体Ir(CO)Cl(PPh3)2であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項7に係る発明は、前記ロジウム(Rh)錯体がウィルキンソン錯体RhCl(PPh3)3であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項8に係る発明は、錯体が配位した原子内包フラーレン誘導体において、原子内包フラーレン誘導体の結晶が、付加された前記錯体で前記原子内包フラーレンの回転を抑制して前記内包原子の位置が得られていることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項9に係る発明は、遷移金属錯体が配位した原子内包フラーレン誘導体において、
原子内包フラーレン誘導体の結晶が、設けられた前記遷移金属錯体で前記原子内包フラーレンの回転が抑制されて前記内包原子の位置が得られることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項2に係る発明は、前記遷移金属錯体の遷移金属と前記被内包対象原子とが、前記フラーレンケージの炭素原子を挟んでフラーレンの内外に存在させるようにしたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項3に係る発明は、前記遷移金属錯体が長周期表の5,6周期から選ばれた一遷移金属に係る錯体であり、前記被内包対象原子が長周期表の1族(アルカリ金属)または2族(アルカリ土類金属)に属する典型元素から選ばれたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項4に係る発明は、前記遷移金属錯体が、有機基を有する配位子(→例えばIr錯体ではPPh3)をもつとともに、前記原子内包フラーレンとの配位結合により酸化数が増加することを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項5に係る発明は、前記遷移金属錯体がイリジウム(Ir)錯体、ロジウム(Rh)錯体、白金(Pt)錯体またはパラジウム(Pd)錯体からなる群より選択される一の遷移金属錯体であり、前記原子内包フラーレンがアルカリ金属を内包したフラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項6に係る発明は、前記イリジウム(Ir)錯体がバスカ錯体Ir(CO)Cl(PPh3)2であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項7に係る発明は、前記ロジウム(Rh)錯体がウィルキンソン錯体RhCl(PPh3)3であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項8に係る発明は、錯体が配位した原子内包フラーレン誘導体において、原子内包フラーレン誘導体の結晶が、付加された前記錯体で前記原子内包フラーレンの回転を抑制して前記内包原子の位置が得られていることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項9に係る発明は、遷移金属錯体が配位した原子内包フラーレン誘導体において、
原子内包フラーレン誘導体の結晶が、設けられた前記遷移金属錯体で前記原子内包フラーレンの回転が抑制されて前記内包原子の位置が得られることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
請求項10に係る発明は、付加させた錯体で原子内包フラーレンの回転を抑制して前記内包原子の位置を得るようにしたことを特徴とする原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法である。
請求項11に係る発明は、原子内包フラーレンのフラーレンケージの炭素原子に遷移金属錯体を配位させ、前記フラーレンケージの外側の前記遷移金属錯体から供給される電子により偏在した電荷の影響で前記フラーレン内に生成される静電場に前記内包原子を束縛するとともに、前記原子内包フラーレン自体の回転を、フラーレンケージの配位子とされた前記遷移金属錯体のアンカー効果で抑制するようにして得るようにしたことを特徴とする原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法である。
請求項12に係る発明は、Ir錯体 、バスカ錯体/Rh錯体 、ウィルキンソン錯体/Pt錯体などの遷移金属錯体が溶解された第一溶媒と、被内包対象原子がフラーレンに内包された原子内包フラーレン塩が溶解されるとともに、前記第一溶媒と相溶性を有する第二溶媒とを混合する混合工程と、前記混合後の混合溶媒から静置により析出物を沈殿させる静置・沈殿工程と、前記析出物をろ過して残渣物を得るろ過工程と、前記ろ過により得られた残渣物を乾固する工程とを有し、前記遷移金属錯体を、前記原子内包フラーレンのフラーレン骨格の炭素原子と配位結合させてなる誘導体を形成させるようにしたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項13に係る発明は、前記遷移金属錯体が長周期表の5,6周期から選ばれた一遷移金属に係る錯体であり、前記被内包対象原子が長周期表の1族(アルカリ金属)または2族(アルカリ土類金属)に属する典型元素から選ばれたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項14に係る発明は、前記遷移金属錯体が有機基を有する配位子(→例えばIr錯体ではPPh3)をもち、前記原子内包フラーレンとの配位結合により前記遷移金属錯体の酸化数が増加することを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項15に係る発明は、前記遷移金属錯体がイリジウム(Ir)錯体、ロジウム(Rh)錯体、白金(Pt)錯体またはパラジウム(Pd)錯体からなる群より選択される一の遷移金属錯体であり、前記原子内包フラーレンがアルカリ金属を内包したフラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項16に係る発明は、前記イリジウム(Ir)錯体がバスカ錯体Ir(CO)Cl(PPh3)2であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項17に係る発明は、前記ロジウム(Rh)錯体がウィルキンソン錯体RhCl(PPh3)3であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項11に係る発明は、原子内包フラーレンのフラーレンケージの炭素原子に遷移金属錯体を配位させ、前記フラーレンケージの外側の前記遷移金属錯体から供給される電子により偏在した電荷の影響で前記フラーレン内に生成される静電場に前記内包原子を束縛するとともに、前記原子内包フラーレン自体の回転を、フラーレンケージの配位子とされた前記遷移金属錯体のアンカー効果で抑制するようにして得るようにしたことを特徴とする原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法である。
請求項12に係る発明は、Ir錯体 、バスカ錯体/Rh錯体 、ウィルキンソン錯体/Pt錯体などの遷移金属錯体が溶解された第一溶媒と、被内包対象原子がフラーレンに内包された原子内包フラーレン塩が溶解されるとともに、前記第一溶媒と相溶性を有する第二溶媒とを混合する混合工程と、前記混合後の混合溶媒から静置により析出物を沈殿させる静置・沈殿工程と、前記析出物をろ過して残渣物を得るろ過工程と、前記ろ過により得られた残渣物を乾固する工程とを有し、前記遷移金属錯体を、前記原子内包フラーレンのフラーレン骨格の炭素原子と配位結合させてなる誘導体を形成させるようにしたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項13に係る発明は、前記遷移金属錯体が長周期表の5,6周期から選ばれた一遷移金属に係る錯体であり、前記被内包対象原子が長周期表の1族(アルカリ金属)または2族(アルカリ土類金属)に属する典型元素から選ばれたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項14に係る発明は、前記遷移金属錯体が有機基を有する配位子(→例えばIr錯体ではPPh3)をもち、前記原子内包フラーレンとの配位結合により前記遷移金属錯体の酸化数が増加することを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項15に係る発明は、前記遷移金属錯体がイリジウム(Ir)錯体、ロジウム(Rh)錯体、白金(Pt)錯体またはパラジウム(Pd)錯体からなる群より選択される一の遷移金属錯体であり、前記原子内包フラーレンがアルカリ金属を内包したフラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項16に係る発明は、前記イリジウム(Ir)錯体がバスカ錯体Ir(CO)Cl(PPh3)2であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項17に係る発明は、前記ロジウム(Rh)錯体がウィルキンソン錯体RhCl(PPh3)3であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
請求項1の発明によれば、遷移金属錯体で化学修飾した本発明の金属内包フラーレン誘導体が得られ、原料である金属内包フラーレンに比べて溶媒に対する溶解度が高く、原料材料として使いやすい利点がある。また、遷移金属錯体とフラーレン骨格の結合形成は可逆となりうるため、元の金属内包フラーレンに戻すことが可能である。これらの応用により、遷移金属錯体で化学修飾した金属内包フラーレン誘導体を用いて、フラーレン骨格の新しい分子変換反応の開発が期待される。
請求項10、11の原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法によれば、内包金属原子の内部での回転を抑制し、容易にX線結晶構造解析による構造を確定できる。
本発明によれば、金属原子内包フラーレン誘導体とその製造方法を提供するとともに、SPring8などの強力なX線源を用いなくても結晶構造解析を行い内包金属原子の位置を確定する方法が実現できる。本発明によれば、応用研究などにおいて構造等の特性がより明確な研究始発材料を提供できる原子内包フラーレン誘導体および原子内包フラーレン誘導体の製造方法ならびに原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法を提供することができる。
請求項10、11の原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法によれば、内包金属原子の内部での回転を抑制し、容易にX線結晶構造解析による構造を確定できる。
本発明によれば、金属原子内包フラーレン誘導体とその製造方法を提供するとともに、SPring8などの強力なX線源を用いなくても結晶構造解析を行い内包金属原子の位置を確定する方法が実現できる。本発明によれば、応用研究などにおいて構造等の特性がより明確な研究始発材料を提供できる原子内包フラーレン誘導体および原子内包フラーレン誘導体の製造方法ならびに原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法を提供することができる。
本発明の原子内包フラーレン誘導体は、請求項1に記載するように、被内包対象原子がフラーレンに内包された原子内包フラーレンの原子内包フラーレン誘導体において、遷移金属錯体が、前記原子内包フラーレンの前記フラーレンケージの炭素原子と配位結合してなることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体である。
本発明の原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法は、請求項10に記載するように、付加させた錯体で原子内包フラーレンの回転を抑制して前記内包原子の位置を得るようにしたことを特徴とする原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法である。
また、請求項11記載するように、原子内包フラーレンのフラーレンケージの炭素原子に遷移金属錯体を配位させ、前記フラーレンケージの外側の前記遷移金属錯体から供給される電子により偏在した電荷の影響で前記フラーレン内に生成される静電場に前記内包原子を束縛するとともに、前記原子内包フラーレン自体の回転を、フラーレンケージの配位子とされた前記遷移金属錯体のアンカー効果で抑制するようにして得るようにしたことを特徴とする原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法である。
本発明の原子内包フラーレン誘導体の製造方法は、請求項12に記載するように、Ir錯体 、バスカ錯体/Rh錯体、ウィルキンソン錯体/Pt錯体などの遷移金属錯体が溶解された第一溶媒と、被内包対象原子がフラーレンに内包された原子内包フラーレン塩が溶解されるとともに、前記第一溶媒と相溶性を有する第二溶媒とを混合する混合工程と、前記混合後の混合溶媒から静置により析出物を沈殿させる静置・沈殿工程と、前記析出物をろ過して残渣物を得るろ過工程と、前記ろ過により得られた残渣物を乾固する工程とを有し、前記遷移金属錯体を、前記原子内包フラーレンのフラーレン骨格の炭素原子と配位結合させてなる誘導体を形成させるようにしたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
本発明の原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法は、請求項10に記載するように、付加させた錯体で原子内包フラーレンの回転を抑制して前記内包原子の位置を得るようにしたことを特徴とする原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法である。
また、請求項11記載するように、原子内包フラーレンのフラーレンケージの炭素原子に遷移金属錯体を配位させ、前記フラーレンケージの外側の前記遷移金属錯体から供給される電子により偏在した電荷の影響で前記フラーレン内に生成される静電場に前記内包原子を束縛するとともに、前記原子内包フラーレン自体の回転を、フラーレンケージの配位子とされた前記遷移金属錯体のアンカー効果で抑制するようにして得るようにしたことを特徴とする原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法である。
本発明の原子内包フラーレン誘導体の製造方法は、請求項12に記載するように、Ir錯体 、バスカ錯体/Rh錯体、ウィルキンソン錯体/Pt錯体などの遷移金属錯体が溶解された第一溶媒と、被内包対象原子がフラーレンに内包された原子内包フラーレン塩が溶解されるとともに、前記第一溶媒と相溶性を有する第二溶媒とを混合する混合工程と、前記混合後の混合溶媒から静置により析出物を沈殿させる静置・沈殿工程と、前記析出物をろ過して残渣物を得るろ過工程と、前記ろ過により得られた残渣物を乾固する工程とを有し、前記遷移金属錯体を、前記原子内包フラーレンのフラーレン骨格の炭素原子と配位結合させてなる誘導体を形成させるようにしたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法である。
以下、使用する用語について説明する。上述したものについても必要に応じ再掲した。
(フラーレン、原子内包フラーレン)
フラーレンとは、12個の五員環と2個以上の六員環からなる、実際上C60以上のサイズの球殻状に閉じた一般式C2n(2n≧60)で表わされる一群の炭素分子の総称である。具体例としては、C60、C70、C76、C82、C90、C96などがあるがこれらに限定されるものではない。
フラーレンは炭素原子の五員環と六員環からなる三次元の閉じた球形分子である。
原子内包フラーレンは、フラーレンの球殻内に原子(以下Mで表わす)を閉じ込めた構造の、一般式M@C2n(2n≧60)で表わされる分子の総称である。ここでMは、単一もしくは複数の原子またはそれらを含む原子団であり、かならずしも単一の原子でなくてもよい。
(フラーレン、原子内包フラーレン)
フラーレンとは、12個の五員環と2個以上の六員環からなる、実際上C60以上のサイズの球殻状に閉じた一般式C2n(2n≧60)で表わされる一群の炭素分子の総称である。具体例としては、C60、C70、C76、C82、C90、C96などがあるがこれらに限定されるものではない。
フラーレンは炭素原子の五員環と六員環からなる三次元の閉じた球形分子である。
原子内包フラーレンは、フラーレンの球殻内に原子(以下Mで表わす)を閉じ込めた構造の、一般式M@C2n(2n≧60)で表わされる分子の総称である。ここでMは、単一もしくは複数の原子またはそれらを含む原子団であり、かならずしも単一の原子でなくてもよい。
(原子内包フラーレン塩)
一般的に塩(えん)とは、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)とがイオン結合した化合物のことである。身近な代表例としては食塩(化学記号NaCl、イオン結合した化合物つまり塩であることを強調してNa+Cl−とも記す)がある。
原子内包フラーレン塩とは、原子内包フラーレンのカチオン(陽イオン)もしくはアニオン(陰イオン)を含む塩である。イオンの価数は1もしくは1以上である。Li@C60PF6(塩であることを強調してLi@C60 +PF6 −とも記す)、Li@C60SbCl6などが具体的な代表例であるが、これらに限定されるものではない。
一般的に塩(えん)とは、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)とがイオン結合した化合物のことである。身近な代表例としては食塩(化学記号NaCl、イオン結合した化合物つまり塩であることを強調してNa+Cl−とも記す)がある。
原子内包フラーレン塩とは、原子内包フラーレンのカチオン(陽イオン)もしくはアニオン(陰イオン)を含む塩である。イオンの価数は1もしくは1以上である。Li@C60PF6(塩であることを強調してLi@C60 +PF6 −とも記す)、Li@C60SbCl6などが具体的な代表例であるが、これらに限定されるものではない。
(分離・精製の対象物質)
本発明において、対象物質は原子内包フラーレン塩としたが、一般的な塩であれば原子内包フラーレン塩に限定することなく本発明すなわち電解質添加移動相を用いるHPLC法による分離・精製方法は適用可能である。
(電解質)
電解質とは、溶媒中に溶解した際に、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)に電離する物質のことである。一般的には、酸、塩基または塩(えん)のような物質である。
本発明において、対象物質は原子内包フラーレン塩としたが、一般的な塩であれば原子内包フラーレン塩に限定することなく本発明すなわち電解質添加移動相を用いるHPLC法による分離・精製方法は適用可能である。
(電解質)
電解質とは、溶媒中に溶解した際に、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)に電離する物質のことである。一般的には、酸、塩基または塩(えん)のような物質である。
(電解質の種類)
電解質の種類としては、移動相の溶媒に可溶であれば特にこだわらない。以下、電解質を構成するカチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)の例を具体的に列挙するが、これらに限定するものではない。
電解質の種類としては、移動相の溶媒に可溶であれば特にこだわらない。以下、電解質を構成するカチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)の例を具体的に列挙するが、これらに限定するものではない。
カチオン(陽イオン)の例として、プロトン(H+)、アルカリ金属カチオン(Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+)、その他の金属カチオン(Ag+、Tl+、)、アンモニウムカチオン(NH4 +)、有機アンモニウムカチオン(第1級ないし第4級)(CH3NH3 +、(C2H5)3NH+、(C4H9)4N+=TBA(Tetrabutlyammonium)+)、アンモニウム以外のオニウムカチオン((CH3)3S+、(C4H9)4P+、(C6H5)4P+、(C6H5)4As+、(C6H5)4Sb+)
アニオン(陰イオン)の例の例として、ハロゲンアニオン(Cl−、Br−、I−)、その他の無機アニオン(SCN−、NO3 −、ClO4 −)、含ホウ素アニオン(B(C4H9)4 −、B(C6H5)4 −)、アルキルスルホン酸(CH3SO3 −)、アリルスルホン酸(p−CH3C6H4SO3 −)、含フッ素アニオン(BF4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −、C4H9SO3 −、N(CF3SO2)2 −、C(CF3SO2)3 −)、含塩素アニオン(SbCl6 −、PCl6 −)、その他の有機アニオン(CH3CO2 −、CH3CO3 −、C2H5CO3 −、C2H5O−)
(電解質濃度)
移動相溶媒に添加する電解質の濃度は、溶媒1L(リットル)に対し1mmol(1mmol/l)以上が望ましい。不足する(濃度が低い)と原子内包フラーレン塩がHPLCから排出されにくくなる。
移動相溶媒に添加する電解質の濃度は、溶媒1L(リットル)に対し1mmol(1mmol/l)以上が望ましい。不足する(濃度が低い)と原子内包フラーレン塩がHPLCから排出されにくくなる。
(移動相溶媒)
移動相の溶媒は、分離・精製する対象物質を変質することなく溶解でき、かつHPLCの移動相として使用できる溶媒であればよい。好ましくは、比誘電率が10以上の溶媒から選ぶ。分離・精製の対象物質が原子内包フラーレン塩であり高極性溶媒つまり比誘電率の大きな溶媒に溶け易いためである。比誘電率が10以上の溶媒の数例を以下に列挙(数値が比誘電率)するが、これらに限定するものではない。
例を挙げれば、N−メチルアセトアミドC3H7NO 179.0、ホルムアミドCH3NO 111.0、ジメチルスルホキシドC2H6OS 47.24、アセトニトリル(ANと略記)C2H3N 36.64、メタノール 33.0、エタノール 25.3、アセトン 21.01、o−ジクロロベンゼンC6H4Cl2(ODCBと略記) 10.12、である。
移動相溶媒として、二種類以上の溶媒からなる混合溶媒でもよい。この場合も、比誘電率が実質的に10以上の混合溶媒が好ましい。
移動相の溶媒は、分離・精製する対象物質を変質することなく溶解でき、かつHPLCの移動相として使用できる溶媒であればよい。好ましくは、比誘電率が10以上の溶媒から選ぶ。分離・精製の対象物質が原子内包フラーレン塩であり高極性溶媒つまり比誘電率の大きな溶媒に溶け易いためである。比誘電率が10以上の溶媒の数例を以下に列挙(数値が比誘電率)するが、これらに限定するものではない。
例を挙げれば、N−メチルアセトアミドC3H7NO 179.0、ホルムアミドCH3NO 111.0、ジメチルスルホキシドC2H6OS 47.24、アセトニトリル(ANと略記)C2H3N 36.64、メタノール 33.0、エタノール 25.3、アセトン 21.01、o−ジクロロベンゼンC6H4Cl2(ODCBと略記) 10.12、である。
移動相溶媒として、二種類以上の溶媒からなる混合溶媒でもよい。この場合も、比誘電率が実質的に10以上の混合溶媒が好ましい。
本発明の原子内包フラーレン誘導体に関して測定に用いた機器は、以下である。
1.NMR:核磁気共鳴装置Bruker AVANCE−300
2.IR:フーリエ変換赤外分光光度計 HORIBA FT−730
3.UV−vis:紫外可視分光光度計 Shimadzu MultiSpec−1500
4.高分解能質量分析装置:四重極フーリエ変換質量分析計 Bruker Daltonics ApexIII
5.有機元素分析装置:CHN分析装置 ヤナコ JM−10
6. 単結晶X線回折装置:イメージングプレート単結晶自動X線構造解析装置 RIGAKU R−AXIS−RAPID
7.すべての実験操作は窒素もしくはアルゴン雰囲気下で、シュレンク管を用いて行なった。
8.略号の説明
Ph=C6H5=フェニル基
o−DCB=C6H4Cl2=オルトジクロロベンゼン
1.NMR:核磁気共鳴装置Bruker AVANCE−300
2.IR:フーリエ変換赤外分光光度計 HORIBA FT−730
3.UV−vis:紫外可視分光光度計 Shimadzu MultiSpec−1500
4.高分解能質量分析装置:四重極フーリエ変換質量分析計 Bruker Daltonics ApexIII
5.有機元素分析装置:CHN分析装置 ヤナコ JM−10
6. 単結晶X線回折装置:イメージングプレート単結晶自動X線構造解析装置 RIGAKU R−AXIS−RAPID
7.すべての実験操作は窒素もしくはアルゴン雰囲気下で、シュレンク管を用いて行なった。
8.略号の説明
Ph=C6H5=フェニル基
o−DCB=C6H4Cl2=オルトジクロロベンゼン
実施例1:[(η2−Li@C60)IrCl(CO)(PPh3)2](PF6)の合成
(a)リチウム内包フラーレンの塩[Li@C60](PF6)(6.0mg、5.7μmol)と、イリジウム錯体IrCl(CO)(PPh3)2(10.8mg、13.8μmol)をシュレンク管に入れ、o−DCB(5mL)を加えた。この混合物を5分間超音波撹拌したところ、濃茶色溶液が得られた。
(b)不溶性の不純物をメッシュ径(0.45)μmのメンブレンフィルターでろ過して取り除いた後、クロロホルム3mLおよびベンゼン8mLを加えて10日間静置したところ、黒色結晶が析出した。
(c)この黒色結晶をろ過によって回収し、クロロホルム1mLで3回洗浄後、乾燥することによって表題化合物[(η2−Li@C60)IrCl(CO)(PPh3)2](PF6)をo−DCB、クロロホルムおよびベンゼンを結晶溶媒として含む黒色結晶として得た(8.9mg、4.7mmol、収率82%)。
(d)得られた生成物について1H NMR、7Li NMR、31P NMR、IR、UV−visの測定、高分解能質量分析、元素分析を行なった。
(a)リチウム内包フラーレンの塩[Li@C60](PF6)(6.0mg、5.7μmol)と、イリジウム錯体IrCl(CO)(PPh3)2(10.8mg、13.8μmol)をシュレンク管に入れ、o−DCB(5mL)を加えた。この混合物を5分間超音波撹拌したところ、濃茶色溶液が得られた。
(b)不溶性の不純物をメッシュ径(0.45)μmのメンブレンフィルターでろ過して取り除いた後、クロロホルム3mLおよびベンゼン8mLを加えて10日間静置したところ、黒色結晶が析出した。
(c)この黒色結晶をろ過によって回収し、クロロホルム1mLで3回洗浄後、乾燥することによって表題化合物[(η2−Li@C60)IrCl(CO)(PPh3)2](PF6)をo−DCB、クロロホルムおよびベンゼンを結晶溶媒として含む黒色結晶として得た(8.9mg、4.7mmol、収率82%)。
(d)得られた生成物について1H NMR、7Li NMR、31P NMR、IR、UV−visの測定、高分解能質量分析、元素分析を行なった。
本実施例1に係る想定される反応式を(化1)に示す。リチウム内包フラーレン塩と、イリジウム錯体とが室温でo−DCB溶媒中で反応し、イリジウム錯体付加のリチウム内包フラーレン誘導体カチオンが形成されるというものである。なお、対イオンとしてPF6アニオンが存在する。
1H NMR (300MHz,o−DCB−d4,SiMe4):7.04(s,CHCl3), 7.24(s,benzene),7.29(t,3JHH=7.8Hz,6H,PPh),7.31(t,3JHH=8.4Hz,12H,PPh),7.66(m,12H,PPh)ppm.
7Li NMR(117MHz,o−DCB−d4,LiCl):−11.6(s)ppm.
31P NMR(121MHz,o−DCB−d4,H3PO4):−142.9(sept,1JPF=711Hz,PF6),−8.1(s,PPh3)ppm.
IR(o−DCB):νCO2025cm−1.
UV−vis(o−DCB,5.2x10−5M):λmax(ε)581nm(1.2x104M−1cm−1).
HRMS(ESI,positive)m/z Calcd for [(η2−Li@C60)Ir(CO)Cl(PPh3)2]+:1507. 1242. Found: 1507.1248.
Anal. Calcd for C107H39.5Cl4F6IrLiOP3:C,67.41;H,2.09;N,0.00. Found:C,67.75;H,2.31;N,0.00.
7Li NMR(117MHz,o−DCB−d4,LiCl):−11.6(s)ppm.
31P NMR(121MHz,o−DCB−d4,H3PO4):−142.9(sept,1JPF=711Hz,PF6),−8.1(s,PPh3)ppm.
IR(o−DCB):νCO2025cm−1.
UV−vis(o−DCB,5.2x10−5M):λmax(ε)581nm(1.2x104M−1cm−1).
HRMS(ESI,positive)m/z Calcd for [(η2−Li@C60)Ir(CO)Cl(PPh3)2]+:1507. 1242. Found: 1507.1248.
Anal. Calcd for C107H39.5Cl4F6IrLiOP3:C,67.41;H,2.09;N,0.00. Found:C,67.75;H,2.31;N,0.00.
上記結果と、単結晶X線回折測定により得られた分子構造を図1に示す。
図1に示すように、フラーレンの6員環におけるC=C結合炭素であるC(3)とC(4)のぞれぞれが配位子であるIrと結合している。そして、フラーレンケージ内の対応する位置にLi原子が偏在するとともに、ケージ自体が変形を受けていることが分った。
フラーレンケージ径(6−6結合間):(3.48 Å)
フラーレン―Ir中心軸でのフラーレン中心からケージまでの長さ(歪み):(3.67 Å)
フラーレンとLi原子の中心間距離:(1.55 Å)
図1に示すように、フラーレンの6員環におけるC=C結合炭素であるC(3)とC(4)のぞれぞれが配位子であるIrと結合している。そして、フラーレンケージ内の対応する位置にLi原子が偏在するとともに、ケージ自体が変形を受けていることが分った。
フラーレンケージ径(6−6結合間):(3.48 Å)
フラーレン―Ir中心軸でのフラーレン中心からケージまでの長さ(歪み):(3.67 Å)
フラーレンとLi原子の中心間距離:(1.55 Å)
図2について説明する。
[(η2−Li@C60)IrCl(CO)(PPh3)2](PF6)
1H NMR(300MHz,o−DCB−d4,SiMe4):7.04(s,CHCl3),7.24(s,benzene),7.29(t,3JHH=7.8Hz,6H,PPh),7.31(t,3JHH=8.4Hz,12H,PPh),7.66(m,12H,PPh)ppm.
1H NMRスペクトル:トリフェニルホスフィン(PPh3)に帰属されるシグナルから、原料のIrCl(CO)(PPh3)2とは異なった化合物が生成していることが確認できる。
[(η2−Li@C60)IrCl(CO)(PPh3)2](PF6)
1H NMR(300MHz,o−DCB−d4,SiMe4):7.04(s,CHCl3),7.24(s,benzene),7.29(t,3JHH=7.8Hz,6H,PPh),7.31(t,3JHH=8.4Hz,12H,PPh),7.66(m,12H,PPh)ppm.
1H NMRスペクトル:トリフェニルホスフィン(PPh3)に帰属されるシグナルから、原料のIrCl(CO)(PPh3)2とは異なった化合物が生成していることが確認できる。
図3について説明する。
7Li NMR(117MHz,o−DCB−d4,LiCl):−11.6(s)ppm.
7Li NMRスペクトル:−11.6ppmと通常のリチウムカチオンよりも高磁場にシグナルが観測されることから、リチウムがフラーレン骨格内部に存在していることがわかる。また、原料のLi@C60とは異なった位置にシグナルを与えることから、Li@C60にイリジウム錯体が結合していることが示唆される。
7Li NMR(117MHz,o−DCB−d4,LiCl):−11.6(s)ppm.
7Li NMRスペクトル:−11.6ppmと通常のリチウムカチオンよりも高磁場にシグナルが観測されることから、リチウムがフラーレン骨格内部に存在していることがわかる。また、原料のLi@C60とは異なった位置にシグナルを与えることから、Li@C60にイリジウム錯体が結合していることが示唆される。
図4について説明する。
31P NMR(121MHz,o−DCB−d4,H3PO4):−143.1(sept,1JPF=711Hz,PF6),−8.3(s,PPh3)ppm.
31P NMRスペクトル:−143.1ppmのシグナルから陰イオンPF6が存在していることがわかる。また、−8.3ppmのトリフェニルホスフィンに帰属されるシグナルから、原料のIrCl(CO)(PPh3)2とは異なった化合物が生成していることが確認できる。
31P NMR(121MHz,o−DCB−d4,H3PO4):−143.1(sept,1JPF=711Hz,PF6),−8.3(s,PPh3)ppm.
31P NMRスペクトル:−143.1ppmのシグナルから陰イオンPF6が存在していることがわかる。また、−8.3ppmのトリフェニルホスフィンに帰属されるシグナルから、原料のIrCl(CO)(PPh3)2とは異なった化合物が生成していることが確認できる。
図5について説明する。
IR(o−DCB):νCO2025cm−1.
赤外吸収スペクトル:[(η2−Li@C60)IrCl(CO)(PPh3)2](PF6)のカルボニル配位子(CO)の伸縮振動に帰属されるシグナルが2025cm−1に観測された。[(η2−C60)IrCl(CO)(PPh3)2]では同様のカルボニル配位子(CO)の伸縮振動に帰属されるシグナル2011cm−1に観測されている。[Li@C60]+の錯体ではカルボニル配位子(CO)の伸縮振動がC60の錯体よりも高波数に観測されていることから、イリジウム中心の電子密度が減少していることがわかる。これより、[Li@C60]+はC60よりも電子受容性が高いことが示唆される。
IR(o−DCB):νCO2025cm−1.
赤外吸収スペクトル:[(η2−Li@C60)IrCl(CO)(PPh3)2](PF6)のカルボニル配位子(CO)の伸縮振動に帰属されるシグナルが2025cm−1に観測された。[(η2−C60)IrCl(CO)(PPh3)2]では同様のカルボニル配位子(CO)の伸縮振動に帰属されるシグナル2011cm−1に観測されている。[Li@C60]+の錯体ではカルボニル配位子(CO)の伸縮振動がC60の錯体よりも高波数に観測されていることから、イリジウム中心の電子密度が減少していることがわかる。これより、[Li@C60]+はC60よりも電子受容性が高いことが示唆される。
図6について説明する。
UV−vis(o−DCB,5.2x10−5M):λmax(ε)331nm(6.5x104M−1cm−1),439nm(9300M−1cm−1),582nm(5800M−1cm−1).
紫外・可視吸収スペクトル:331nmおよび582nmのシグナルはフラーレン骨格のπ→π*遷移に帰属される吸収帯である。また、439nmのシグナルはイリジウムフラグメントからフラーレン骨格への電荷移動遷移(MLCT:Metal−to−Ligand Charge transfer)に帰属される吸収帯である。このことから、イリジウム錯体とフラーレンが溶液中で結合していることが確認できる。
HRMS(ESI,positive) m/z Calcd for [(η2−Li@C60)Ir(CO)Cl(PPh3)2]+: 1507.1242. Found: 1507.1248.
高分解能マススペクトル:同位体パターンから元素組成が正しいことを確認することができた。
Anal. Calcd for C107H39.5Cl4F6IrLiOP3: C, 67.41; H, 2.09; N, 0.00. Found: C, 67.75; H, 2.31; N, 0.00.
CHN元素分析:粉末を燃焼、分解してH2O、CO2、N2ガスとし、それぞれのガスを熱伝導度検出器で定量し、CHN含有量を測定した。これより元素組成が決定できた。
UV−vis(o−DCB,5.2x10−5M):λmax(ε)331nm(6.5x104M−1cm−1),439nm(9300M−1cm−1),582nm(5800M−1cm−1).
紫外・可視吸収スペクトル:331nmおよび582nmのシグナルはフラーレン骨格のπ→π*遷移に帰属される吸収帯である。また、439nmのシグナルはイリジウムフラグメントからフラーレン骨格への電荷移動遷移(MLCT:Metal−to−Ligand Charge transfer)に帰属される吸収帯である。このことから、イリジウム錯体とフラーレンが溶液中で結合していることが確認できる。
HRMS(ESI,positive) m/z Calcd for [(η2−Li@C60)Ir(CO)Cl(PPh3)2]+: 1507.1242. Found: 1507.1248.
高分解能マススペクトル:同位体パターンから元素組成が正しいことを確認することができた。
Anal. Calcd for C107H39.5Cl4F6IrLiOP3: C, 67.41; H, 2.09; N, 0.00. Found: C, 67.75; H, 2.31; N, 0.00.
CHN元素分析:粉末を燃焼、分解してH2O、CO2、N2ガスとし、それぞれのガスを熱伝導度検出器で定量し、CHN含有量を測定した。これより元素組成が決定できた。
実施例2:[(η2−Li@C60)Pt(PPh3)2](PF6)の合成
(a)リチウム内包フラーレンの塩[Li@C60](PF6)(10.2mg、11.7μmol)のo−DCB/CH3CN溶液(5mL)に白金錯体Pt(PPh3)2(η2−ethylene)(5.8mg、7.7μmol)のo−DCB/CH3CN溶液(5mL)を加えたところ、溶液の色は即座に濃緑色に変化した。この溶液を室温で5日間撹拌した後、減圧下で濃縮し、ヘキサン25mLを加えると濃緑色固体が析出した。
(b)この濃緑色固体をろ過によって回収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:テトラヒドロフラン/ジクロロメタン=1/15)によって精製した。濃緑色のフラクションを回収し、濃縮した溶液にジエチルエーテルを加えると濃緑色固体が析出した。
(c)この濃緑色固体これをろ過によって回収し、乾燥することによって表題化合物[(η2−Li@C60)Pt(PPh3)2](PF6)を濃緑色固体として得た(8.9 mg、収率93%)。
(d)得られた生成物について7Li NMR、31P NMRならびに高分解能質量分析を行なった。
(a)リチウム内包フラーレンの塩[Li@C60](PF6)(10.2mg、11.7μmol)のo−DCB/CH3CN溶液(5mL)に白金錯体Pt(PPh3)2(η2−ethylene)(5.8mg、7.7μmol)のo−DCB/CH3CN溶液(5mL)を加えたところ、溶液の色は即座に濃緑色に変化した。この溶液を室温で5日間撹拌した後、減圧下で濃縮し、ヘキサン25mLを加えると濃緑色固体が析出した。
(b)この濃緑色固体をろ過によって回収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:テトラヒドロフラン/ジクロロメタン=1/15)によって精製した。濃緑色のフラクションを回収し、濃縮した溶液にジエチルエーテルを加えると濃緑色固体が析出した。
(c)この濃緑色固体これをろ過によって回収し、乾燥することによって表題化合物[(η2−Li@C60)Pt(PPh3)2](PF6)を濃緑色固体として得た(8.9 mg、収率93%)。
(d)得られた生成物について7Li NMR、31P NMRならびに高分解能質量分析を行なった。
本実施例2に係る想定される反応式を(化2)に示す。リチウム内包フラーレン塩と、白金錯体とが室温でo−DCB/CD3CN混合溶媒中で反応し、白金錯体付加のリチウム内包フラーレン誘導体カチオンが形成されるというものである。なお、対イオンとしてPF6アニオンが存在する。
参考として、以下のデータを得た。
7Li NMR(117MHz,o−DCB/CD3CN,LiCl):−10.1(s)ppm.
31P NMR(121MHz,o−DCB/CD3CN,H3PO4):−143.4(sept,1JPF=708Hz,PF6),24.1(s,1JPPt=3967Hz,PPh3)ppm.
HRMS(ESI,positive) m/z Calcd for [(η2−Li@C60)Pt(PPh3)2]+:1357.1041. Found: 1357.1037.
本結果から白金錯体付加のリチウム内包フラーレン誘導体カチオンでも、図1と同様の、Ir錯体がPt錯体に置き換わった構造をなしていると考えることができる。
すなわち、フラーレンの6員環におけるC=C結合炭素であるC(3)とC(4)のぞれぞれが配位子であるPtと結合している。そして、フラーレンケージ内の対応する位置にLi原子が偏在していることが了解できる。
7Li NMR(117MHz,o−DCB/CD3CN,LiCl):−10.1(s)ppm.
31P NMR(121MHz,o−DCB/CD3CN,H3PO4):−143.4(sept,1JPF=708Hz,PF6),24.1(s,1JPPt=3967Hz,PPh3)ppm.
HRMS(ESI,positive) m/z Calcd for [(η2−Li@C60)Pt(PPh3)2]+:1357.1041. Found: 1357.1037.
本結果から白金錯体付加のリチウム内包フラーレン誘導体カチオンでも、図1と同様の、Ir錯体がPt錯体に置き換わった構造をなしていると考えることができる。
すなわち、フラーレンの6員環におけるC=C結合炭素であるC(3)とC(4)のぞれぞれが配位子であるPtと結合している。そして、フラーレンケージ内の対応する位置にLi原子が偏在していることが了解できる。
本発明の金属内包フラーレン誘導体は、遷移金属錯体がフラーレン骨格に結合することによりフラーレン骨格内部の静電場や電子軌道分布が変化し、内包金属の位置や動的挙動の制御が可能となる。また、遷移金属錯体で化学修飾したこの新しい金属内包フラーレン誘導体の特性を利用して、分子スイッチなどの機能性材料への応用が期待できる。
11,12 フラーレン
13,14 フラーレンクラスター
301 真空チャンバ、
302 真空ポンプ、
303 電磁コイル、
304 オーブン、
305 ノズル、
306 加熱基板、
307 プラズマ流、
310 堆積基板、
308 オーブン、
309 ノズル、
310 堆積基板、
311 合成物、
312 バイアス電圧の印加装置、
313 加熱フィラメント
13,14 フラーレンクラスター
301 真空チャンバ、
302 真空ポンプ、
303 電磁コイル、
304 オーブン、
305 ノズル、
306 加熱基板、
307 プラズマ流、
310 堆積基板、
308 オーブン、
309 ノズル、
310 堆積基板、
311 合成物、
312 バイアス電圧の印加装置、
313 加熱フィラメント
Claims (17)
- 被内包対象原子がフラーレンに内包された原子内包フラーレンの原子内包フラーレン誘導体において、
遷移金属錯体が、前記原子内包フラーレンの前記フラーレンケージの炭素原子と配位結合してなることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体。 - 前記遷移金属錯体の遷移金属と前記被内包対象原子とが、前記フラーレンケージの炭素原子を挟んでフラーレンの内外に存在させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の原子内包フラーレン誘導体。
- 前記遷移金属錯体が長周期表の5,6周期から選ばれた一遷移金属に係る錯体であり、前記被内包対象原子が長周期表の1族のアルカリ金属または2族のアルカリ土類金属に属する典型元素から選ばれたことを特徴とする請求項1記載の原子内包フラーレン誘導体。
- 前記遷移金属錯体が、有機基を有する配位子(→例えばIr錯体ではPPh3)をもつとともに、前記原子内包フラーレンとの配位結合により酸化数が増加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の原子内包フラーレン誘導体。
- 前記遷移金属錯体がイリジウム(Ir)錯体、ロジウム(Rh)錯体、白金(Pt)錯体またはパラジウム(Pd)錯体からなる群より選択される一の遷移金属錯体であり、前記原子内包フラーレンがアルカリ金属を内包したフラーレンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の原子内包フラーレン誘導体。
- 前記イリジウム(Ir)錯体がバスカ錯体Ir(CO)Cl(PPh3)2であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする請求項5記載の原子内包フラーレン誘導体。
- 前記ロジウム(Rh)錯体がウィルキンソン錯体RhCl(PPh3)3であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする請求項5記載の原子内包フラーレン誘導体。
- 錯体が配位した原子内包フラーレン誘導体において、
原子内包フラーレン誘導体の結晶が、付加された前記錯体で前記原子内包フラーレンの回転を抑制して前記内包原子の位置が得られていることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体。 - 遷移金属錯体が配位した原子内包フラーレン誘導体において、
原子内包フラーレン誘導体の結晶が、設けられた前記遷移金属錯体で前記原子内包フラーレンの回転が抑制されて前記内包原子の位置が得られることを特徴とする原子内包フラーレン誘導体。 - 付加させた錯体で原子内包フラーレンの回転を抑制して前記内包原子の位置を得るようにしたことを特徴とする原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法。
- 原子内包フラーレンのフラーレンケージの炭素原子に遷移金属錯体を配位させ、前記フラーレンケージの外側の前記遷移金属錯体から供給される電子により偏在した電荷の影響で前記フラーレン内に生成される静電場に前記内包原子を束縛するとともに、
前記原子内包フラーレン自体の回転を、フラーレンケージの配位子とされた前記遷移金属錯体のアンカー効果で抑制するようにして得るようにしたことを特徴とする原子内包フラーレンの内包原子のケージ内位置確定方法。 - Ir錯体 、バスカ錯体/Rh錯体 、ウィルキンソン錯体/Pt錯体などの遷移金属錯体が溶解された第一溶媒と、被内包対象原子がフラーレンに内包された原子内包フラーレン塩が溶解されるとともに、前記第一溶媒と相溶性を有する第二溶媒とを混合する混合工程と、
前記混合後の混合溶媒から静置により析出物を沈殿させる静置・沈殿工程と、
前記析出物をろ過して残渣物を得るろ過工程と、
前記ろ過により得られた残渣物を乾固する工程とを有し、
前記遷移金属錯体を、前記原子内包フラーレンのフラーレン骨格の炭素原子と配位結合させてなる誘導体を形成させるようにしたことを特徴とする原子内包フラーレン誘導体の製造方法。 - 前記遷移金属錯体が長周期表の5,6周期から選ばれた一遷移金属に係る錯体であり、前記被内包対象原子が長周期表の1族(アルカリ金属)または2族(アルカリ土類金属)に属する典型元素から選ばれたことを特徴とする請求項12記載の原子内包フラーレン誘導体の製造方法。
- 前記遷移金属錯体が有機基を有する配位子(→例えばIr錯体ではPPh3)をもち、前記原子内包フラーレンとの配位結合により前記遷移金属錯体の酸化数が増加することを特徴とする請求項12または13記載の原子内包フラーレン誘導体の製造方法。
- 前記遷移金属錯体がイリジウム(Ir)錯体、ロジウム(Rh)錯体、白金(Pt)錯体またはパラジウム(Pd)錯体からなる群より選択される一の遷移金属錯体であり、
前記原子内包フラーレンがアルカリ金属を内包したフラーレンであることを特徴とする
請求項12乃至14のいずれか1項記載の原子内包フラーレン誘導体の製造方法。 - 前記イリジウム(Ir)錯体がバスカ錯体Ir(CO)Cl(PPh3)2であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項記載の原子内包フラーレン誘導体の製造方法。
- 前記ロジウム(Rh)錯体がウィルキンソン錯体RhCl(PPh3)3であり、前記原子内包フラーレンがリチウム(Li)内包C60フラーレンであることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項記載の原子内包フラーレン誘導体の製造方法。
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JP2014007258A (ja) * | 2012-06-22 | 2014-01-16 | Idea International Co Ltd | 電気二重層キャパシタ用電解液および電気二重層キャパシタ |
JP2017078777A (ja) * | 2015-10-20 | 2017-04-27 | 株式会社三城ホールディングス | 視力矯正機具 |
JP2017140792A (ja) * | 2016-02-12 | 2017-08-17 | 国立大学法人東北大学 | セキュリティーマーカー、情報記録媒体、情報記録媒体の判定装置及び複製装置 |
CN108467413A (zh) * | 2018-03-27 | 2018-08-31 | 北京师范大学 | 基于碗烯的笼状化合物、分子胶囊及其制备方法与应用 |
CN109126875A (zh) * | 2018-09-14 | 2019-01-04 | 洛阳师范学院 | 一种碳60-双齿氮杂环卡宾钯(0)化合物及其制备方法和应用 |
JP2022519216A (ja) * | 2019-08-26 | 2022-03-22 | エルジー・ケム・リミテッド | 触媒組成物およびこれを用いた炭化水素樹脂の製造方法 |
-
2010
- 2010-03-01 JP JP2010044715A patent/JP2011178723A/ja active Pending
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US9653218B2 (en) | 2012-06-22 | 2017-05-16 | Idea International Inc. | Electrolytic solution for electric double-layer capacitor, and electric double-layer capacitor |
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JP2017140792A (ja) * | 2016-02-12 | 2017-08-17 | 国立大学法人東北大学 | セキュリティーマーカー、情報記録媒体、情報記録媒体の判定装置及び複製装置 |
CN108467413A (zh) * | 2018-03-27 | 2018-08-31 | 北京师范大学 | 基于碗烯的笼状化合物、分子胶囊及其制备方法与应用 |
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