JP2011178678A - アルキル置換ベンゼンジオールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内部に微小管状流路が形成されたマイクロミキサーと内部に微小管状流路が形成された反応容器を用い、アルキルフェノールを含む溶液と過酸化水素を含む溶液とを混合し、酸化反応させることを特徴とするアルキルベンゼンジオールの製造方法。
【選択図】 図10
Description
これらの問題点に対応するため管型反応器を用いて、酸化剤(過酸化水素)を分割添加し、逐次的に酸化反応を進行させる連続反応方法が模索された(例えば特許文献3参照)。しかしながら、前記の技術は、フェノール(例えば、アルキル基を有していないフェノール)の酸化反応では、一定の効果が認められるものの、条件によって、例えば、油溶性のアルキルフェノールと水溶性の過酸化水素のスタティックミキサーを用いた混合が充分進まないため、過酸化水素の転化率が低下し目的物の選択率が低下するといった問題があった。
近年、石油エネルギーの高騰から化学製品の製造方法の抜本的な見直しが迫られてきている。その中で、マイクロリアクターに対する関心が高まってきている。マイクロリアクターは狭い空間で反応を行う装置であり大掛かりな装置の導入も不必要で、投資コスト、製造コストの削減も期待される。また、マイクロリアクターは狭い空間で反応を行うため単位体積あたりの比表面積が大きく、このため反応温度の制御が容易であるという特長を有することが知られている。
本発明で用いるアルキルフェノール類は、特に制限はなく、種々のアルキルフェノール類を用いることができる。また、少なくとも一つのオルソ位に置換基を持ない第1〜3級のアルキル基を有するものであれば、アルキルカテコール類を製造することが可能である。また、アルキル基としては、炭素原子数1〜12のものが好ましい。具体的には、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ノニルフェノール類及びドデシルフェノール類等が挙げられる。そのなかでもブチルフェノール類及びオクチルフェノール類が好ましい。また、特にp−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール及びp−tert−オクチルフェノール等のパラ位がアルキル基で置換されている化合物を用いた場合、アルキルカテーコールを選択的に合成することが可能である。
本発明で用いられる触媒は、特に制限はないが、酸類及びこれらの塩が好ましい。酸類としては、硫酸、過塩素酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の強酸が好ましい。酸類の塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸ベリリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ルビジウム、過塩素酸セシウム、過塩素酸ベリリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸ストロンチウム、過塩素酸バリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸リチウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウム、p−トルエンスルホン酸リチウム、メタンスルホン酸ナトリウム、メタンスルホン酸カリウム、メタンスルホン酸リチウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸カリウム、トリフルオロ酢酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ベリリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム、トリフルオロメタンスルホン酸ストロンチウム及びトリフルオロメタンスルホン酸バリウム等の塩が挙げられる。そのなかでも、硫酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸マグネシウム及び過塩素酸カルシウムが好ましい。なお、これらの触媒は複数を混合して用いてもよい。
マイクロミキサーを用いることにより、流体同士の混合は小さなセグメント同士の混合になるため接触面積が大きくなることから、小さなエネルギーであっても混合が促進され比較的低流量においても油溶性のアルキルフェノールと水溶性の過酸化水素の混合を促進することが可能になる。
さらに、好ましい形態のマイクロミキサーシステムとして、前記アルキルフェノール類と過酸化水素とをそれぞれ別々の流路に流通させ、前記両方の流路の出口で混合するものであるマイクロミキサーを用いて混合した後、さらに、流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることで混合を促進するものであるマイクロミキサーが好ましい。流路をさらに縮流することによる乱流効果により混合をさらに促進することができる。
そして、図3に示すようにそれらの供給口および排出口が、化学反応用デバイス1の端面15b、15c、側面15d、15eの各領域に分散して配置され、それら領域に、アルキルフェノールを含む流体(図2においてδがアルキルフェノール含む流体の液流れを示す)、過酸化水素(図2においてεが過酸化水素を含む流体の液流れを示す)、温調流体(図2においてγが温調流体の流れを示す)を流すためのコネクタ30とジョイント部31とからなる継手部32がそれぞれ連結されている。また、前記出口混合は化学反応デバイス1の端面15cとコネクタ30によって形成される空間33にてアルキルフェノールを含む流体と過酸化水素を含む流体が合流することより達成される。
化学反応用デバイス1の平面視形状は図示のような長方形とは限定されず、正方形状、または端面15b、15c間よりも側面15d、15e間が長い長方形状としてもよいが、以下では簡単のために図示形状に即して、端面15bから端面15cに向かう方向を、化学反応用デバイス1のプロセスプレートと温調プレートの長手方向と称し、側面15dから側面15eに向かう方向を化学反応用デバイス1のプロセスプレートと温調プレートの短手方向と称することにする。
そして、図6に示すようにそれらの供給口および排出口が、化学反応用デバイス2の端面16b、16c、側面16d、16eの各領域に分散して配置され、それら領域に、アルキルフェノール含む流体と過酸化水素を含む流体(図5においてαが液流体を示す)、温調流体(図5においてγが温調流体を示す)、さらに必要に応じて有機溶剤を流すためのコネクタ30とジョイント部31とからなる継手部32がそれぞれ連結されている。
化学反応用デバイス2の平面視形状は図示のような長方形とは限定されず、正方形状、または端面16b、16c間よりも側面16d、16e間が長い長方形状としてもよいが、以下では簡単のために図示形状に即して、端面16bから端面16cに向かう方向を、化学反応用デバイス2のプロセスプレートと温調プレートの長手方向と称し、側面16dから側面16eに向かう方向を化学反応用デバイス2のプロセスプレートと温調プレートの短手方向と称することにする。
ここで、内部に微小管流路が形成された反応容器は伝熱性反応容器であることが好ましい。流路比表面積がバッチ反応釜よりも大きいため伝導伝熱速度が速くアルキルフェノールの酸化反応により生じる発熱の制御や中間体として反応液中に生成するケトンパーオキサイドを安全に取り扱うことが可能になる。
ここで、該流体の流路内の移動をレイノルズ数10より大きい値でコントロールすることによりアルキルフェノールと過酸化水素とを含有する反応流体の混合性が著しく低下せず、その結果、短時間に反応が起こらずに生産効率が悪くなるといった不具合が防止でき、滞留時間が長くならないで反応が終了することから好ましい。また、レイノルズ数300以上にコントロールすることは装置上困難である。
ここで、D(流路の内径)(m)、u(平均流速)(m/s)、ρ(流体密度)(kg/m3)、μ(流体粘度)(Pa・s)である。
本発明の製造方法で用いる反応容器としては熱交換機能を有し、且つ、微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mm2となる空隙サイズを有する微小管状流路を有するものが好ましく、その他の要件については特に制限はない。このような反応容器としては、例えば、化学反応用デバイスとして用いられる部材中に前記流路(以下、単に「微小流路」ということがある)が設けられた反応容器等が挙げられる。
以下、本発明で用いる内部に微小管状流路が形成された反応容器について、具体的に説明する。図7は、混合液を流す微小管状流路を配設したプレートと、混合液との間で熱交換が行われる流体を流す流路を配設したプレートが交互に積層してなる反応容器で、微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mm2となる空隙サイズを有する微小管状流路を有する反応容器(化学反応用デバイス3)の概略構成例である。
各複数のプロセスプレート、温調プレートは、プロセスプレート、温調プレートを同一方向に交互に重ねて積層され、互いに固着、積層されている。
図10の製造装置の反応容器40において、図7、および図8、9に記載の化学デバイス3を反応容器の一部として流路を介しいくつか接続することにより滞留時間を制御することができる。また、反応容器40と冷却用熱交換器70の間に反応容器の一部として流路を接続することにより滞留時間を制御することができる。流路は単なる管やパイプ形状のものでも構わない。流路は油浴等に浸漬させたり、リボンヒーターを巻きつけたりすることにより温度を制御させることができる。
本実施例では流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーとして図1に示す構造のプロセスプレート5、8をマイクロミキサーとして用いた。また、流れ方向で流路断面積が縮小された流路により混合を促進するものであるマイクロミキサーとしては図4に示す構造のプロセスプレート14をマイクロミキサーとして用いた。マイクロミキサーの構造としては、プレート8の上にプレート5を積層したマイクロミキサー積層体の上下に温調プレート3を積層した化学反応用デバイスと、プレート14の上下に温調プレート3を積層した化学反応用デバイスとを直列につないだ構造を用いた。具体的には、アルキルフェノールの有機溶剤溶液をプレート5の流路20に過酸化水素と触媒の混合液をプレート8の流路21に導入しそれぞれの流体をプレート出口で合一させた。その後、更に、プレート14の流路22を通過させることで分子末端にアルキルフェノールの有機溶剤溶液と過酸化水素と触媒の混合液とをさらに混合させた。プロセスプレート5,8,14、温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚はプレート5、14が0.4mm、プレート8が1mmである。反応流路21の断面寸法は幅1.0mm×深さ0.5mm、温調流路6の断面寸法は幅1.2mm×深さ0.5mm、反応流路20の断面寸法は幅6mm×深さ0.2mm、反応流路22の断面寸法は幅広部で幅4mm×深さ0.2mm、縮流部で幅0.2mm×深さ0.2mmである。
本実施例では図7に示す構造の反応容器用デバイスを用いた。構造としては、プロセスプレート2と温調プレート3とを交互に積層した構造である。プロセスプレートには流路4が形成されており、また、温調プレートには温調流路6が形成されている。
反応容器用デバイスはドライエッチング加工により反応流路4が5本形成されたプロセスプレート2枚と同じくエッチング加工により温調流路6が5本形成された温調プレート3枚が交互に積層されている。プロセスプレート2と温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚は1mmである。反応流路4と温調流路6の断面寸法はともに幅1.2mm×深さ0.5mmである。
図11に記載された製造装置を用い調製を行った。図11においてスタティックミキサー及び反応器の大きさは、スタティックミキサーが4.0mm×36mm、第1反応塔が16.1mm×1008mm、第2反応塔が21.4mm×1224mm、第3反応塔が27.2mm×720mm、および第4反応塔が41.7mm×780mmであった。
反応後系内に残存する過酸化水素のモル数をメトラー・トレド株式会社製滴定装置(METTLER DL25 Titrator)を用い、酸化還元滴定で分析し、式(2)に従って過酸化水素転化率を求めた。
過酸化水素転化率=〔(供給した過酸化水素のモル数−反応後系内に残存する過酸化水素のモル数)/供給した過酸化水素のモル数〕×100(モル%)・・・・式(2)
生成したアルキル置換ベンゼンジオールを株式会社島津製作所製ガスクロマトグラフ(Shimazu GC−14A)により定量分析し、式(3)に従ってアルキル置換ベンゼンジオール選択率(対過酸化水素)を計算した。
アルキル置換ベンゼンジオール選択率(対過酸化水素)=〔(生成したアルキル置換ベンゼンジオールのモル数)/(供給した過酸化水素のモル数)〕×100(モル%)
・・・・(3)
生成したアルキル置換ベンゼンジオール及び他の副生物をガスクロトグラフィー及び東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8220GPC)により定量分析し、式(4)に従ってアルキル置換ベンゼンジオール選択率(対転化アルキルフェノール)を計算した。
・・・・(4)
図10に示す製造装置において、マイクロミキサー、化学反応デバイスを10個、内径2.17mm、長さ30mのチューブを直列に繋いだ装置を用いてパラ−t−ブチルフェノール(PTBP)と60%過酸化水素との反応を行った。プランジャーポンプ65及び66を用いて、第一のタンク62中にPTBPとMIBKとをモル比10/1で仕込み、温度を110℃で溶解させた。第二のタンク63中に60%過酸化水素、過塩素酸、ピロリン酸をモル比1/0.0045/0.0023の比率で仕込んだ。プランジャーポンプ65及び66の回転数を設定し、全体の流量が50g/分、PTBPと過酸化水素の供給比率がモル比10/1となるように流した。マイクロミキサー、反応容器用デバイス、内径2.17mm、長さ30mのチューブ、冷却用熱交換器、背圧弁へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることにより、t−ブチルカテコールの製造を行った。なお、マイクロミキサー内では、温調装置にて、120℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路に連続して流し、(PTBP及びMIBK)と(60%過酸化水素、過塩素酸およびピロリン酸)の混合を行い、反応容器デバイスでは、温調装置にて、120℃の温調流体を温調プレートの温調流路に連続して流し、内径2.17mm、長さ30mのチューブではチューブ全体を120℃に加温したオイルバスに浸漬し、それぞれの加温を行った。冷却用熱交換器69では温調装置70にて、120℃の温調流体を連続して流した。排圧弁71にて管内圧を2MPaにて行った。反応混合液の密度を1000kg/m3、粘度1mPa・sとして反応容器内のレイノルズ数は100、滞留時間は2.6分であった。
得られた反応液の分析を行ったところ、過酸化水素転化率が98.0%、TBC選択率(対過酸化水素)が65.6%、TBC選択率(対転化PTBP)が81.7%であった。比較的高い選択率でTBCを得ることができた。
図10に示す製造装置において、マイクロミキサー、化学反応デバイスを10個、内径2.17mm、長さ30mのチューブを直列に繋いだ装置を用いて実施例1と同様の操作により全体の流量70g/分、それぞれの原料が所定のモル比になるように流した。マイクロミキサー、反応容器デバイス、内径2.17mm、長さ30mのチューブ、冷却用熱交換器、背圧弁へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることにより、t−ブチルカテコールの製造を行った。反応混合液の密度を1000kg/m3、粘度1mPa・sとして反応容器内のレイノルズ数は140、滞留時間は1.8分であった。
図10に示す製造装置において、マイクロミキサー、化学反応デバイスを10個、内径2.17mm、長さ30mのチューブを直列に繋いだ装置を用いて実施例1と同様の操作により全体の流量30g/分、それぞれの原料が所定のモル比になるように流した。マイクロミキサー、反応容器デバイス、内径2.17mm、長さ30mのチューブ、冷却用熱交換器、背圧弁へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることにより、t−ブチルカテコールの製造を行った。反応混合液の密度を1000kg/m3、粘度1mPa・sとして反応容器内のレイノルズ数は60、滞留時間は4.3分であった。
得られた反応液の分析を行ったところ、過酸化水素転化率が99.2%、TBC選択率(対過酸化水素)が64.4%、TBC選択率(対転化PTBP)が79.1%であった。比較的高い選択率でTBCを得ることができた。
図10に示す製造装置において、マイクロミキサー、化学反応デバイスを10個、内径2.17mm、長さ30mのチューブを直列に繋いだ装置を用いてパラ−t−ブチルフェノール(PTBP)と60%過酸化水素との反応を行った。プランジャーポンプ65及び66を用いて、第一のタンク62中にPTBPとMIBKとをモル比10/1で仕込み、温度を110℃で溶解させた。第二のタンク63中に60%過酸化水素、過塩素酸ナトリウム、ピロリン酸をモル比1/0.0030/0.0027の比率で仕込んだ。プランジャーポンプ65及び66の回転数を設定し、全体の流量が15g/分、PTBPと過酸化水素の供給比率がモル比10/1となるように流した。マイクロミキサー、反応容器用デバイス、内径2.17mm、長さ30mのチューブ、冷却用熱交換器、背圧弁へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることにより、t−ブチルカテコールの製造を行った。なお、マイクロミキサー内では、温調装置にて、120℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路に連続して流し、(PTBP及びMIBK)と(60%過酸化水素、過塩素酸およびピロリン酸)の混合を行い、反応容器デバイスでは、温調装置にて、120℃の温調流体を温調プレートの温調流路に連続して流し、内径2.17mm、長さ30mのチューブではチューブ全体を120℃に加温したオイルバスに浸漬し、それぞれの加温を行った。冷却用熱交換器69では温調装置70にて、120℃の温調流体を連続して流した。排圧弁71にて管内圧を2MPaにて行った。反応混合液の密度を1000kg/m3、粘度1mPa・sとして反応容器内のレイノルズ数は30、滞留時間は8.6分であった。
得られた反応液の分析を行ったところ、過酸化水素転化率が64.7%、TBC選択率(対過酸化水素)が43.6%、TBC選択率(対転化PTBP)が70.0%であった。比較的高い選択率でTBCを得ることができた。
図10に示す製造装置において、マイクロミキサー、化学反応デバイスを10個、内径2.17mm、長さ30mのチューブを直列に繋いだ装置を用いて実施例4と同様の操作により全体の流量50g/分、それぞれの原料が所定のモル比になるように流した。マイクロミキサー、反応容器デバイス、内径2.17mm、長さ30mのチューブ、冷却用熱交換器、背圧弁へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることにより、t−ブチルカテコールの製造を行った。なお、マイクロミキサー内では、温調装置にて、120℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路に連続して流し、(PTBP+MIBK)と(60%過酸化水素+過塩素酸ナトリウム+ピロリン酸)の混合を行い、反応容器デバイスでは、温調装置にて、120℃の温調流体を温調プレートの温調流路に連続して流し、内径2.17mm、長さ30mのチューブではチューブ全体を150℃に加温したオイルバスに浸漬し、それぞれの加温を行った。反応混合液の密度を1000kg/m3、粘度1mPa・sとして反応容器内のレイノルズ数は100、滞留時間は2.6分であった。
得られたt−ブチルカテコールの収率の測定を行ったところ、過酸化水素転化率が72.9%、TBC選択率(対過酸化水素)が40.7%、TBC選択率(対転化PTBP)が82.3%であった。比較的高い選択率でTBCを得ることができた。
図11に示す製造装置において、プレミキサー(内径17.3mm×長さ150mm、スタティックミキサー84)、および、内径21.7mm×長さ1008mm、内径27.2mm×長さ1224mm、42.7mm×720mm、48.6mm×780mmの4本のスタティックミキサーが順に直列に連結された管型反応器装置(85、86,87,88)を用いて、パラ−t−ブチルフェノール(PTBP)と60%過酸化水素との反応を行った。
第一のタンク80中にPTBPとMIBKとをモル比20/1で仕込み、温度PTBPの融点以上に暖めることによりPTBPを溶解させた。
第二のタンク81中に60%過酸化水素、過塩素酸、ピロリン酸をモル比1/0.0020/0.0020の比率で仕込んだ。プランジャーポンプ80及び81の回転数を設定し、全体の流量が15g/分、PTBPと過酸化水素の供給比率がモル比10/1となるようにプレミキサー84に導き、次いで4本の管型反応器装置(85、86、87、88)に流通させた。
前記4本の管型反応器装置では、温調装置にて、それぞれ102℃、125℃、125℃、125℃になるように温調流体を温調流路に連続して流し、それぞれの加温を行い、製品受容器に導いた。
得られたt−ブチルカテコールの収率の測定を行ったところ、過酸化水素転化率が95%、TBC選択率(対過酸化水素)が50.5%、TBC選択率(対転化PTBP)が63.3%であった。
図11に示す製造装置において、プレミキサー、および4本の管型反応器装置を用いて比較例1と同様の操作により全体の流量が167g/分、滞留時間10分になるように、それぞれの原料が所定のモル比になるように流した。
得られたt−ブチルカテコールの収率の測定を行ったところ、過酸化水素転化率が91.3%、TBC選択率(対過酸化水素)が46.1%、TBC選択率(対転化PTBP)が70.0%であった。
ε・・・・・過酸化水素を含有する流体
γ・・・・・温調流体
5・・・・・・第1プレート(プロセスプレート)
5a・・・・・第1プレートの面
5b・・・・・第1プレートの端面
5c・・・・・第1プレートの端面
5d・・・・・第1プレートの側面
5e・・・・・第1プレートの側面
3・・・・・・第3プレート(温調プレート)
3a・・・・・第3プレートの面
3b・・・・・第3プレートの端面
3c・・・・・第3プレートの端面
3d・・・・・第3プレートの側面
3e・・・・・第3プレートの側面
6・・・・・・断面凹溝形状の温調流路
6a・・・・・断面凹溝形状の主流路
6b・・・・・断面凹溝形状の供給側流路
6c・・・・・断面凹溝形状の排出側流路
8・・・・・・第2プレート(プロセスプレート)
8a・・・・・第2プレートの面
8b・・・・・第2プレートの端面
8c・・・・・第2プレートの端面
8d・・・・・第2プレートの側面
8e・・・・・第2プレートの側面
14・・・・・第4プレート(プロセスプレート)
14a・・・・第4プレートの面
14b・・・・第4プレートの端面
14c・・・・第4プレートの端面
14d・・・・第4プレートの側面
14e・・・・第4プレートの側面
15・・・・・化学反応用デバイス1
15b・・・・化学反応用デバイス1の端面
15c・・・・化学反応用デバイス1の端面
15d・・・・化学反応用デバイス1の側面
15e・・・・化学反応用デバイス1の側面
16・・・・・化学反応用デバイス2
16b・・・・化学反応用デバイス2の端面
16c・・・・化学反応用デバイス2の端面
16d・・・・化学反応用デバイス2の側面
16e・・・・化学反応用デバイス2の側面
1・・・・・化学反応用デバイス3
1b・・・・化学反応用デバイス3の端面
1c・・・・化学反応用デバイス3の端面
1d・・・・化学反応用デバイス3の側面
1e・・・・化学反応用デバイス3の側面
2・・・・・第1プレート(プロセスプレート)
2a・・・・第1プレートの面
2b・・・・第1プレートの端面
2c・・・・第1プレートの端面
2d・・・・第1プレートの側面
2e・・・・第1プレートの側面
3・・・・・第2プレート(温調プレート)
3a・・・・第2プレートの面
3b・・・・第2プレートの端面
3c・・・・第2プレートの端面
3d・・・・第2プレートの側面
3e・・・・第2プレートの側面
4・・・・・断面凹溝形状の流路
p0・・・・所定間隔
w0・・・・・幅
d0・・・・・深さ
L・・・・・・流路長さ
30・・・・・コネクタ
31・・・・・ジョイント部
32・・・・・継手部
40・・・・・反応容器(化学反応デバイス3)
61・・・・・化合物(A)(アルキルフェノールを含む流体)
62・・・・・第1のタンク
63・・・・・化合物(B)(過酸化水素を含む流体)
64・・・・・第2のタンク
65・・・・・プランジャーポンプ
66・・・・・プランジャーポンプ
67・・・・・マイクロミキサー
68・・・・・温調装置
69・・・・・冷却用熱交換器
70・・・・・温調装置
71・・・・・排圧弁
72・・・・・受け容器
73・・・・・マイクロミキサー
79・・・・・実施例で用いた樹脂の製造装置を模式的に示す概略構成図
80・・・・・比較例で用いた樹脂の製造装置を模式的に示す概略構成図
Claims (10)
- 内部に微小管状流路が形成されたマイクロミキサーと内部に微小管状流路が形成された反応容器を用い、アルキルフェノールを含む溶液と過酸化水素を含む溶液とを混合し、酸化反応させることを特徴とするアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
- 内部に微小管状流路が形成されたマイクロミキサーが、2液が混合可能な構造と流れ方向で流路径が縮小された構造とを有することを特徴とする請求項1記載のアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
- 内部に微小管状流路が形成されたマイクロミキサーにおいて、アルキル置換フェノールを含む溶液と過酸化水素を含む溶液とを温度80℃〜150℃の範囲で混合させることを特徴とする請求項1または2記載のアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
- 内部に微小管流路が形成された反応容器が内部に微小管流路が形成された伝熱性反応容器である請求項1記載のアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
- 反応容器内の微小管流路での流体のレイノルズ数を10〜300に連続的にコントロールする請求項1〜4の何れか1項記載のアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
- 内部に微小管流路が形成された反応容器においてアルキルフェノールを含む溶液と過酸化水素を含む溶液とを温度80℃〜160℃の範囲で酸化反応させることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載のアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
- 前記アルキルフェノールを含む溶液がケトンを含有する溶液である請求項1記載のアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
- 前記ケトンが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン及びベンゾフェノンからなる群からなる1種以上の化合物である請求項7記載ののアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
- ケトンの配合の割合が、過酸化水素とケトンのモル比〔(過酸化水素)/(ケトン)〕が0.05〜5である請求項7記載ののアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
- アルキル置換フェノールが、4−アルキルフェノールである請求項1〜9の何れか1つに記載のアルキル置換ベンゼンジオールの製造方法。
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