JP2014513041A - フェノールおよびフェノールエーテルのヒドロキシル化方法 - Google Patents

フェノールおよびフェノールエーテルのヒドロキシル化方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、フェノールおよびフェノールエーテルを過酸化水素を用いてヒドロキシル化する方法に関する。本発明は、特定的には、フェノールを過酸化水素を用いてヒドロキシル化する方法に関する。フェノールまたはフェノールエーテルを、酸触媒の存在下で、前記フェノールまたはフェノールエーテルを過酸化水素と反応させることにより、ヒドロキシル化する本発明の方法は、過酸化水素の転化率を最小限に抑えることを可能にする条件下で、フェノールまたはフェノールエーテルを過酸化水素水溶液と、混合装置内で混合することと、その後、前記の反応混合物をピストン流れ反応器内に入れ、ヒドロキシル化物質の生成を導く反応が起き、酸触媒が、混合装置内および/またはピストン流れ反応器内に送られることとを含むことを特徴とする。

Description

本発明は、フェノールおよびフェノールエーテルを過酸化水素でヒドロキシル化する方法に関する。
本発明は、さらに詳細には、フェノールを過酸化水素でヒドロキシル化する方法に関する。
本発明の以下の説明において、用語「フェノール物質」は、フェノールまたはフェノールエーテルを意味することを優先することなく、使用される。
過酸化水素でフェノールをヒドロキシル化する反応は、2種の異性体、すなわち1,4−ジヒドロキシベンゼンまたはヒドロキノン(HQ)と1,2−ジヒドロキシベンゼンまたはピロカテコール(PC)の生成をもたらす。
本明細書において、用語「ジフェノール」は、ヒドロキノンおよびピロカテコールを意味する。
ヒドロキノンは、エラストマー中での重合防止剤、酸化防止剤として、または合成中間体として多くの分野で利用される生成物である。別の分野での利用は、写真技術である。
ピロカテコールも、殊にエラストマー、オレフィン、ポリオレフィン、またはポリウレタン中での重合防止剤または酸化防止剤として、もしくは鞣し剤として広範囲に利用される生成物でもある。
ピロカテコールは、その錯化性のため、殊に電子分野におけるキレート剤として使用され、また腐食防止剤としても使用される。
ピロカテコールは、また、様々な合成、殊に芳香剤、化粧品、薬剤および殺虫剤の合成において、中間体としても働く。
ヒドロキノンおよびピロカテコールは、大規模に製造される大量消費生成物でもある。
従って、製造規模が付与されると、それらの製造方法が、特に生成効率、エネルギー効率および収率の点で、理論上最適であることが、重要である。
ヒドロキノンおよびピロカテコールは、従来、酸触媒、強プロトン酸または酸性の固体触媒(例えば、TS−1)の存在下で、過酸化水素でフェノールをヒドロキシル化することにより、生成されている。
前記ジフェノールを調製する公知の手段のひとつは、仏国特許第2 071 464号明細書に従って、強プロトン酸(例えば、硫酸、クロロ硫酸または過塩素酸もしくはスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはフェノールスルホン酸))の存在下で、過酸化水素でフェノールのヒドロキシル化を実施することである。仏国特許第2 944 012号明細書に従って、この反応は、少なくとも2種の強酸(一方は、強プロトン酸で、他方は超酸である)の混合物を用いることにより、さらに向上される。
過酸化水素は、水溶液の形態で使用される。
市販の過酸化水素溶液は、約30%の濃度を有するが、水の存在が反応を減速させるので、その濃度の過酸化水素溶液は、反応に不利益をもたらし、この水は後に除去されなければならないので、エネルギーバランスにおいて不利益をもたらす。
さらに高濃度の過酸化水素溶液に頼ることが望まれるが、しかし、過酸化水素の濃度が高くなるほど、爆発のリスクが増すので、工業規模で高濃度の過酸化水素溶液を使用することは困難である。
米国特許第5 026 925号明細書は、強酸(例えば、過塩素酸または硫酸)の存在下でのフェノールのヒドロキシル化反応は、殊にその収率を向上させうることを教示する。これに関して、前記特許は、触媒を変えること(特に、硫黄または二酸化セレンの使用)を推奨する。米国特許第5 026 925号明細書は、また、過酸化水素水溶液を用いて反応を実施することが可能であると示唆する。しかしながら、例証される水溶液は、85%までの過酸化水素を含んでなる場合があり、それは、市販品のグレードではない。
さらに、フェノールは、常に、過酸化水素の量に対してかなり過剰に使用される。従って、過酸化水素/フェノールのモル比は、一般的に、0.01〜0.3の範囲である。
かなり過剰のフェノールの存在は、反応の終点で、フェノールを再利用するために、反応媒質からフェノールを分離する必要がある。
この余分なコストは、フェノールの転化率が高くなるほど、比例的に増大して削減される。
しかしながら、フェノールのヒドロキシル化反応が、従来使用されている混合装置(例、撹拌反応器または撹拌反応器のカスケード等)で実施される場合、良好な反応性能を確保するために、フェノールの転化率は、比較的に低く(5%未満)保たれる。フェノールの転化率が、増大して15〜20%に達する場合、得られるジフェノールの収率は、半分になる。具体的には、連続した酸化反応のため、殊にジフェノールの減成反応を介して、副産物の濃度が増大するので、ジフェノールの収率が低くなる。
ヒドロキノンおよびピロカテコールの選択性および/または収率を維持することにより、フェノールの転化率を増大させることは、それ故に非常に有利である。
従って、本発明の目的は、物質収支およびエネルギー効率の観点から、ヒドロキノンおよびピロカテコールを調製する改善された方法を提供することである。
フェノールまたはフェノールエーテルをヒドロキシル化するため、強プロトン酸触媒の存在下で、前記フェノールまたはフェノールエーテルを過酸化水素と反応させることによる、本発明の主題を構成する方法が、現在判明されており、その方法は、過酸化水素の転化率を最小限に抑えるような条件下で、混合装置内においてフェノールまたはフェノールエーテルを過酸化水素溶液と混合した後、前記の反応混合物をピストン流れ反応器内に導入し、ヒドロキシル化生成物の形成をもたらす反応を起こすことを備え、酸触媒は、混合装置内および/またはピストン流れ反応器内に導入されることを特徴とする。
本発明の方法は、試薬の混合が起こる混合装置と反応が実施されるピストン流れ反応器とを順次一体にした装置で、実施される。
本発明の方法の第一の特徴に従って、試薬の混合は、ピストン流れ反応器の流れに逆らって、前記ピストン流れ反応器と別個の装置で起こり、それにより、その方法の安全性を増大させることが可能となる。
従って、その濃度が30重量%〜90重量%、好ましくは30%〜70%の範囲であるさらに高濃度の過酸化水素水溶液を使用することが可能である。具体的には、過酸化水素の導入が直接ピストン流れ反応器に実施されない事実は、フェノール物質の供給に関連して生じる事態の際に、安全性を提供する。具体的には、その方法が高濃度の過酸化水素溶液を伴う場合やフェノール系物質の導入を中止した際に、反応媒質に過酸化水素が蓄積される場合があり、過酸化水素が爆発しやすくなる条件を満たすだろう。
本発明の方法の第二の特徴に従って、フェノール系物質のヒドロキシル化反応は、本質的にピストン流れ反応器内で実施され、それにより、ヒドロキシル化反応が撹拌反応器のカスケード内で実施される方法と比較すると、選択性が増大される。具体的には、続いての反応を限定するため、良好な選択性が、得られた。
本発明の方法の別の利点は、フェノール系物質の転化率が、増大して、例えば、5%〜15%、優先的には5%〜10%の範囲に及び、その結果、再利用される残留フェノール系物質の量が低減されるので、エネルギー消費を下げることが可能になることである。
さらに、各々試薬を導入する手段、生成物を除去する手段、さらに試薬を混合する装置、プロセスパラメーターを制御する装置が配備されている完全な撹拌反応器のカスケードと比較すると、ピストン流れ反応器に連結された混合装置1台のみが存在する事実は、嵩が小さく、そして稼働コスト、エネルギーコストおよび投資コストが削減される利点を示す。
本発明の別の利点は、反応収率の増大をもたらすことである。
本発明の一実施形態は、図1の形態において添付の図面において例証される。
使用される装置は、2つのアセンブリーからなる。
第一アセンブリーは、試薬を導入する手段と混合する手段とが配備された反応器(1)を含んでなる。
第二アセンブリーは、ピストン流れ反応器(2)を含んでなる。
反応器(1)の出口で、反応混合物が得られ、その反応混合物は、ピストン流れ反応器(2)内に導入される。
本発明の方法は、液相で実施されるが、本発明は、気相を除外しない。
反応器(2)の出口で、ヒドロキシル化されたフェノール系物質が得られる。
本発明の方法の第一の特徴に従って、フェノール系物質の混合および過酸化水素溶液の混合が、混合装置(1)内で実施される。酸触媒は、この反応器内におよび/またはピストン流れ反応器内に導入されてもよい。
混合作業は、この工程中に反応が開始しないように或いは反応が殆ど開始しないように、実施される。
従って、過酸化水素の転化率が、25モル%未満、好ましくは0.5モル%〜25モル%、尚さらに優先的には0.5モル%〜15モル%であることが望まれる。
所望の過酸化水素の転化率を達成するために、この混合作業の温度は、70℃以下、好ましくは45℃〜70℃であるように有利に選択される。
本発明の方法の別の特徴に従って、反応は、本質的にピストン流れ反応器(2)内で実施される。
この目的のため、前記反応器の温度は、混合装置の温度よりも高い。その温度は、70℃超、好ましくは75℃〜200℃、そしてさらに優先的には75℃〜150℃であるように選択される。
好適な実施形態に従って、反応器は、管状反応器またはカラム反応器である。
本発明の以下の説明において、用語「管状反応器」は、管の形態における反応器を意味し、用語「カラム反応器」は、円形断面の垂直反応器を意味する。
用語「ピストン流れ」は、その流れに垂直な平面において、全ての流体流が、均一の速度で移動する一定方向の流れと定義する。このような流れにおいて、半径方向の混合は、完全であるが、軸方向の混合は存在しない。実際には、これらの条件は、流れが乱流である際に満たされると考えられる。
レイノルズ数が5000以上である場合、優先的にはレイノルズ数が、10,000を超える場合に、流れは、乱流であると評価される。流れが乱流でない場合、半径方向の混合は、完全ではなく、軸方向の逆混合が存在しうる。この場合において、約5000未満、さらに優先的には2000未満のレイノルズ数に対して、管状反応器またはカラム反応器は、バッフルが搭載されるおよび/または構築される。
レイノルズ数の定義は、
Figure 2014513041
[式中、
pは、流体の単位体積当たりの質量(kg/m3)であり、
vは、流量(m/s)であり、
dは、反応器の直径(m)であり、
μは、動粘性率(Pa.s)である]であると想起され、
一般的に、Reは、1〜1,000,000である。
図3〜5は、本発明の方法に使用されうるピストン流れ反応器の型式を示す。
本発明の手段のさらに詳細な説明は、以下の本発明の説明に示される。
本発明を実施するための装置の概略図である。 反応温度をステージ化するようにピストン流れ反応器が組み込まれている本発明の方法の変形形態を実施するのに適切な装置の概略図である。 同軸管から形成される管状反応器の略図である。 カラム形態における反応器の略図である。 束にして組み合わせた管を含んでなる多管状反応器の略図である。
記載される方法は、フェノールまたはフェノールエーテルのヒドロキシル化反応を実施することを企図する。
芳香核は、少なくとも1つのヒドロキシル基もしくは1つのエーテル官能基を担持する。
本発明の方法は、フェノールとフェノールエーテルの両方に適用し、フェノールおよびフェノールエーテルは、本明細書において、「フェノール系物質」と呼ばれる。
本発明の方法は、フェノールまたはフェノールエーテルのヒドロキシル化に適切であるだけでなく、置換されたフェノールまたはフェノールエーテルにも適切である。
用語「置換されたフェノールまたはフェノールエーテル」は、芳香環の水素原子の1つが、1つまたは複数の置換基と置換されたフェノールまたはフェノールエーテルを意味する。
一般的に、用語「数個の置換基」は、芳香核当り4個未満の置換基と定義する。
本発明の反応を妨げない限り、任意の置換基が存在しうる。
従って、本発明の方法は、一般式(I)
Figure 2014513041
[式中、
Aは、ベンゼン環またはナフタリン環を表し、
1は、水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を表し、
2は、水素原子または1個もしくは複数の同一または異なる置換基を表し、
nは、芳香環当りの置換基の数で、4以下の数である]のフェノール系物質に適用されるのに適切である。
式(I)において、基OR1は、R1が水素原子以外である場合、エーテル基である。
芳香環当りの置換基の数は、可変であり、一般的に4以下であり、好ましくは0、1、2または3である。
置換基の好適な例は、式(Ia)で示される。
従って、本発明の方法は、Aがベンゼン環を表す式(I)に相当するフェノール系物質(さらに詳細には、一般式(Ia)
Figure 2014513041
[前記式中、
nは、0〜4、好ましくは0、1、または2に等しい数であり、
1は、水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を表し、
2は、同一でも異なってもよく、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはハロアルキル基もしくはペルハロアルキル基を表す]で表される)に適切である。
本発明の方法は、優先的には式(Ia)[式中、nは、0または1であり、R1は、水素原子もしくは1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、R2は、水素原子もしくは1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基またはアルコキシ基を表す]に相当する物質に適用される。
式(I)および(Ia)において、用語「アルキル」は、直鎖もしくは分岐のC1−C15、好ましくはC1−C10そして尚さらに優先的にはC1−C4の炭化水素ベースの鎖を意味する。好適なアルキル基の例は、殊に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよびt−ブチルである。
用語「アルコキシ」は、基アルキル−O−を意味し、式中、用語「アルキル」は、上述の意味を有する。アルコキシ基の好適な例は、メトキシ基またはエトキシ基である。
用語「シクロアルキル基」は、C3-8の単環式環状炭化水素ベースの基、好ましくはシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基を意味する。
用語「アリール基」は、単環式または多環式の芳香族基、好ましくはC6−C20の単環式もしくは二環式基、好ましくはフェニルもしくはナフチルを意味する。基が、多環式である場合、つまり基が複数の環式核を含んでなる場合、環式核は、対になって縮合されても、δ結合を介して対になって結合されてもよい。(C6−C18)アリール基の例は、殊にフェニルおよびナフチルである。
用語「アラルキル」は、C7−C12の単環式芳香環、好ましくはベンジルを担持する直鎖または分岐の炭化水素ベースの基を意味し、脂肪族鎖は、1または2個の炭素原子を含んでなる。
用語「ハロアルキル基」は、1個もしくは複数の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子と置換された上述のアルキル基を意味する。
用語「ペルハロアルキル基」は、1〜10個の炭素原子と、3〜21個のハロゲン原子(好ましくはフッ素、そしてさらに詳細にはトリフルオロメチル基)とを含んでなるアルキル基を意味する。
用語「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素と定義する。
本発明の方法に使用されうる式(I)のフェノール系物質の例証として、さらに詳細には、
nが0である式(I)に相当するフェノール系物質(例、フェノールまたはアニソール等)
nが1である式(I)に相当するフェノール系物質(例、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、メチルサリチラート、2−クロロフェノール、3−クロロフェノールまたは4−クロロフェノール等)
nが2である式(I)に相当するフェノール系物質(例、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3−ジクロロフェノール、2,5−ジクロロフェノール、2,6−ジクロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールまたは3,5−ジ−tert−ブチルフェノール等)
nが3である式(I)に相当するフェノール系物質(例、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリクロロフェノールまたは2,3,6−トリクロロフェノール等)
Aがナフタリン環を表す式(I)に相当するフェノール系物質(例、1−ヒドロキシナフタリン等)が挙げられる。
上述のフェノール系物質の中で、優先的にはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、アニソール、フェネトール、2−メトキシフェノール(グアイコール)または2−エトキシフェノール(グエトール)が使用される。
本発明の方法は、フェノールからヒドロキノンおよびピロカテコールを調製するのに特に最適である。
強酸である酸触媒が、本発明の方法に使用される。本発明において、用語「強酸」は、水中でのpKaが−0.1未満、好ましくは−1.0未満である酸を意味する。
pKaは、水が溶媒として使用される場合、酸/塩基対のイオン解離定数であるとして定義される。
この定義に相当する酸の中で、過酸化水素での酸化に関して安定である酸を使用することは好ましい。
さらに詳細には、ハロゲン化または未ハロゲン化のオキシ酸(例、硫酸、リン酸、ピロ硫酸、過塩素酸等)、脂肪族または芳香族スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタリンジスルホン酸)、ハロスルホン酸(例、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、ビス−トリフルオロメタンスルホンイミドまたはトリフルオロメタンスルホン酸等)が挙げられる。
上述の酸の中で、硫酸、過塩素酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸およびビス−トリフルオロメタンスルホンイミドを使用するのが好ましい。
本発明の方法の一変形形態に従って、強プロトン酸として、国際公開第2009/150 125号パンフレットに記載されるヒドロキシ芳香族スルホン酸を使用することが可能である。
本発明の方法に優先的に使用されるヒドロキシ芳香族スルホン酸の好適な例として、以下の式
Figure 2014513041
[前記式中、
xは、1、2または3、好ましくは1または2であり、
yは、1または2であり、
zは、0〜4の数であり、好ましくは0、1または2であり
Mは、水素、ナトリウムまたはカリウム原子を表し、
Rは、1〜4個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルコキシ基、もしくはカルボキシル基を表す]に相当する酸が挙げられる。
本発明の方法に使用されるのに適切である酸の中で、さらに詳細には、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、スルホン化ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシベンゼンジスルホン酸、ジヒドロキシベンゼンジスルホン酸、ヒドロキシトルエンスルホン酸、ヒドロキシナフタリンスルホン酸、およびヒドロキシナフタリンジスルホン酸、そしてそれらの混合物が挙がられる。
ヒドロキシベンゼンスルホン酸の中で、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸または5−スルホサリチル酸、またはそれらの混合物を使用するのが好ましいだろう。
使用されるジヒドロキシベンゼンスルホン酸の好適な例として、ヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)、ピロカテコール(1,2−ジヒドロキシベンゼン)およびレソルシノール(1,3−ジヒドロキシベンゼン)のスルホン化の結果として生成されるスルホン酸が挙げられる。
好適なジヒドロキシベンゼンジスルホン酸は、5,6−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、4,6−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸および2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸である。
スルホヒドロキシ芳香族酸は、固体または液体の形態で、或いはその濃度が、5重量%〜95重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の範囲である水溶液として、入手可能である。
本発明の方法の別の変形形態に従って、国際公開第2010/115 784号パンフレットに記載のように、少なくとも2種の強プロトン酸の混合物を使用することが可能である。
混合物は、各々特定のpKa値を有する2種の酸(A)および(B)を含んでなり、酸(B)は、酸(A)よりもかなり強い酸である。
前記混合物は、
硫酸のpKaより大きいかもしくは等しいpKa(S)および4以下でかつ0以上の、硫酸に対するΔpKa(S)を有する強酸(A)と、
超酸から選択される別の酸(B)とを含んでなる。
酸(A)は、硫酸のpKaより大きいかもしくは等しいpKa(S)を有し、(S)は、有機溶媒を表し、有機溶媒は、ニトロベンゼンである。
酸(B)は、超酸であり、超酸は、硫酸のpKa(S)よりも小さいpKa(S)を有すると定義される。
pKa(S)は、溶媒(S)中での酸/塩基対のイオン解離定数として定義される。
酸のpKaは、ニトロベンゼン(S)である溶媒中で実施される電位差測定を参照して、規定され、その測定プロトコルは、国際公開第2010/115 784号パンフレットの実施例の前に記載されている。
前記混合物に使用される酸は、pKaの差、ΔpKaにより限定され、pKaの差は、同一溶媒での選択した酸のpKaと硫酸のpKaとの差に相当する。
使用される酸(A)は、4以下で0以上の、硫酸に対するΔpKa(S)を有する。
尚さらに優先的には、酸(A)は、3以下で0以上の、硫酸に対するΔpKa(S)を有する。
殊に記載されうる酸(A)の例として、硫酸、脂肪族または芳香族スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびナフタリンスルホン酸)が挙げられる。
酸(A)の別の種類は、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、スルホン化ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシベンゼンジスルホン酸、ジヒドロキシベンゼンジスルホン酸、ヒドロキシトルエンスルホン酸、ヒドロキシナフタリンスルホン酸およびヒドロキシナフタリンジスルホン酸、そしてそれらの混合物類である。
上述の酸の中で、好適な酸は、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、ヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)のスルホン化、ピロカテコール(1,2−ジヒドロキシベンゼン)のスルホン化およびレソルシノール(1,3−ジヒドロキシベンゼン)のスルホン化の結果として生成したスルホン酸、5,6−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、4,6−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸および2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸である。
殊に記載されうる酸の他の例として、ペルハロ酢酸(例、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸等)が挙げられる。
酸の混合物の第二成分(B)に関して、それは、超酸(つまり硫酸のpKa(S)よりも小さいpKa(S)を有する酸)であり、従って、超酸は、マイナスのΔpKaを有する。
下限は、臨界的ではないが、一般的に、ニトロベンゼン中でのΔpKaは、−12以下である。
優先的に選択される超酸は、−0.1以下、そして好ましくは−8以上のΔpKaを有する。
記載されうる超酸(B)の例として、過塩素酸、ハロスルホン酸(例、フルオロスルホン酸またはクロロスルホン酸等)、ペルハロアルカンスルホン酸、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸が挙げられる。
同様に記載されうる超酸(B)として、特に、トリフルオロメタンスルフィン酸、ビス−トリフルオロメタンスルホンイミドが挙げられる。
優先的に選択される酸(A)と(B)の対として、過塩素酸と硫酸、過塩素酸と4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸と4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ビス−トリフルオロメタンスルホンイミドと4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸の対が挙げられうる。
様々な酸の混合物中の割合は、大きく変わってもよい。
従って、使用されうる混合物は、
60モル%〜95モル%、好ましくは80モル%〜95モル%の酸(A)と、
5モル%〜40モル%、好ましくは5モル%〜20モル%の酸(B)とを含んでなる。
酸の各百分率は、検討中の酸のモル数と2種の酸(A)と(B)の合計のモル数の比(百分率として表す)を表す。
混合物に使用される酸は、固体または液体の形態で、或いはその濃度が、5重量%〜95重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の範囲でありうる水溶液として、市販されている。
強プロトン酸または酸の混合物は、フェノール系物質のモル数に対して当量のプロトン数の比で表される量で、本発明の方法で使用され、その比は、有利には0.002%〜0.15%の範囲である。従って、前記モル比は、優先的には、0.01%〜0.07%で選択される。
本発明の方法の別の変形形態に従って、フェノール系物質のヒドロキシル化が、助触媒の存在下で実施され、助触媒は、ケトン化合物、さらに詳細には式(II)
a−CO−X−Rb (II)
[式(II)中
aおよびRbは、同一でも異なってもよく、1〜30個の炭素原子を含有する炭化水素ベースの基を表し、もしくは一緒に二価基を形成し、1個もしくは複数のハロゲン原子もしくは反応条件の下で安定である官能基で置換されてもよく
Xは、原子価結合、−CO−基、−CHOH基または基−(R)n−を表し、Rは、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し、そしてnは、1〜16から選択される整数である]に相当するケトン化合物である。
式(II)において、RaおよびRbは、さらに詳細には
直鎖または分岐のアルキル基、
直鎖または分岐のアルケニル基、
4〜6個の炭素原子を含有するシクロアルキル基またはシクロアルケニル基、
単環式または多環式アリール基(後者の場合、オルト−縮合またはオルト−およびペリ−縮合を一緒に形成する環、或いは、原子価結合により一緒に結合する環)
アリールアルキルまたはアリールアルケニル基を表し、
aおよびRbは、3〜5個の炭素原子を含有するアルキレンまたはアルケニレン基を一緒に形成してもよく、低炭素縮合を伴うアルキル基で、或いは4〜6個の炭素原子を含有するシクロアルキル基またはシクロアルケニル基で置換されてもよく、アルキレンまたはアルケニレン基の2〜4個の炭素原子は、1または2個のベンゼン環(ヒドロキシルおよび/または低炭素縮合を伴うアルキルおよび/またはアルコキシ基の1〜4個で置換されてもよい)の一部を形成することもある。
本発明の以下の説明において、用語「低炭素縮合のアルキル基」は、一般的に1〜4個の炭素原子を含有する直鎖または分岐のアルキル基を意味する。
上述の炭化水素ベースの基は、1個もしくは複数の、好ましくは1〜4個の、低炭素縮合のアルキル基で、もしくは官能基(例、ヒドロキシル基、低炭素縮合のアルコキシ基、ヒドロキシカルボニル基またはアルキル基中に1〜4個の炭素原子を含有するアルキルオキシカルボニル基、ニトリル基、スルホ基またはニトロ基で、或いは1個もしくは複数のハロゲン原子(殊に、塩素および臭素))で置換されてもよい。
好ましくはRaおよびRbは、さらに詳細には、
1〜10個の炭素原子を含有する直鎖または分岐のアルキル基、
2〜10個の炭素原子を含有する直鎖または分岐のアルケニル基、
4〜6個の炭素原子を含有するシクロアルキルまたはシクロアルケニル基、
1個〜4個のアルキルおよび/またはヒドロキシルおよび/またはアルコキシ基で任意選択的に置換されたフェニル基、
脂肪族部分に1(または2)〜10個の炭素原子、尚さらに詳細には1(または2)〜5個の炭素原子を含有するフェニルアルキルまたはフェニルアルケニル基を表し、
aとRbは一緒に、低炭素縮合を伴う1〜4個のアルキル基で任意置換された、3〜5個の炭素原子を含有するアルキレンまたはアルケニレン基を形成してもよい。
従って、最も詳細には、式(II)[式中、RaおよびRbは、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝のアルキル基を表す]に相当するジアルキルケトン型のケトン化合物を用いる。
式(II)に相当する全てのケトン化合物の中で、優先的に選択されるケトン化合物は、式(II)[式中、RaおよびRbは、任意に置換されたフェニル基を表す]に相当するケトン化合物である。
前記ケトン化合物は、以下の式(IIa)
Figure 2014513041
[前記式(IIa)中、
cおよびRdは、同一でも異なってもよく、水素原子または置換基、好ましくは電子供与基を表し、
1およびn2は、同一でも異なってもよく、0、1、2または3に等しい数を表し、
−CO基を担持する2個の炭素原子に対してαに位置する2個の炭素原子は、原子価結合もしくは−CH2−基を介して一緒に結合されてもよく、従って、ケトン環を形成し、ケトン環は、飽和でも不飽和でもよい]で表しうる。
本発明の酸性条件下で反応しないような置換基が、選択される。その置換基は、優先的には、電子供与基である。
用語「電子供与基」は、Jerry MarchによるAdvanced Organic Chemistry,第9章,243および244ページ(1985)の論文においてH.C.Brownにより定義された基を意味する。
本発明に使用されるのに適切である置換基の例は、以下の
1〜4個の炭素原子を含有する直鎖または分枝のアルキル基、
フェニル基、
1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキル鎖またはフェニル基を含んでなるアルコキシ基、
ヒドロキシル基、
フッ素原子である。
本発明の使用に特に適切なケトン化合物の例として、最も詳細には、一般式(IIa)[式中、RcおよびRdは、同一でも異なってもよく、水素原子、または好ましくは4,4’位の上述の置換基を表し、n1およびn2は、同一でも異なってもよく、0または1である]に相当するケトン化合物が挙げられる。
式(IIa)[式中、RcおよびRdは、同一でも異なってもよく、好ましくは3,3’位または4,4’位の、水素原子、メチル、エチル、tert−ブチルまたはフェニル基、メトキシまたはエトキシ基、ヒドロキシル基を表す]に相当するケトン化合物が、優先的に使用される。
本発明の方法に使用されうるケトンの特定な例として、さらに詳細には
ベンゾフェノン、
2−メチルベンゾフェノン、
2,4−ジメチルベンゾフェノン、
4,4’−ジメチルベンゾフェノン、
2,2’−ジメチルベンゾフェノン、
4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、
4−ヒドロキシベンゾフェノン、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、
4−ベンゾイルビフェニルが挙げられる。
使用されるケトン化合物の量は、ケトン化合物のモル数とフェノール系化合物のモル数との比によって表され、0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜2%の範囲であってよい。
本発明の方法に従って、フェノールまたはフェノールエーテルは、強プロトン酸および任意選択的にはケトンの存在下で、過酸化水素と反応される。
本発明に従って使用される過酸化水素は、水溶液または有機溶液の形態であってもよい。
水溶液は、より手軽に市販されているので、水溶液を使用するのが好ましい。
過酸化水素水溶液の濃度は、それ自体は臨界ではないが、反応媒質中に可能な限り少量の水を導入するように、選択される。少なくとも20重量%、好ましくは20%〜90重量%のH22濃度を有する過酸化水素水溶液が、一般的に使用される。
30%〜90%、好ましくは30%〜70%の範囲のH22重量濃度を有する過酸化水素水溶液が、有利に選択される。
過酸化水素の量は、式(I)の物質1モル当りH220.5モルまでの範囲に及びうる。
しかしながら、工業的に許容し得る収率を得るために、0.01〜0.3、好ましくは0.03〜0.10の範囲の、過酸化水素/フェノール系物質のモル比を用いるのが好ましい。
水の量は、反応速度に影響するので、水の存在を最小限に抑えるのが好ましく、水は、殊に使用される試薬によって、反応媒質に導入されてよい。
20重量%未満、好ましくは10重量%未満の媒質の初期の含水率が、優先的に選択されるのが望ましい。
表示される水の重量含有率は、式(I)の物質/過酸化水素/水の混合物に対して、表される。
この初期の含水率は、試薬(殊に過酸化水素)と共に導入された含水率に相当する。
本発明の方法の一変形形態は、殊にヒドロキシル化生成物の収率が低いフェノールの場合、金属イオンが、本発明の方法の正確な進行に害を及ぼすので、媒質に存在する金属イオンを錯化する薬剤を加えることにある。それゆえに、金属イオンの作用を抑制することは、好ましい。
ヒドロキシル化の進行に害を及ぼす金属イオンは、遷移金属イオンであり、さらに詳細には、鉄、ニッケル、銅、クロム、コバルト、マンガンおよびバナジウムイオンである。
金属イオンは、使用される試薬(殊に出発物質)および装置によって、導入される。これらの金属イオンの作用を抑制するためには、過酸化水素に対して安定な1種もしくは複数の錯化剤の存在下で、反応を実施することは十分であり、錯化剤は、存在する強酸で分解されることができない錯体を付与し、その金属は、もはやいかなる化学活性も発揮できない。
使用されうる錯化剤の例は、殊に様々なリン酸(例えば、オルトリン酸、メタ−リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸)、ホスホン酸(例、(1−ヒドロキシエチリデン)ジホスホン酸、ホスホン酸、エチルホスホン酸またはフェニルホスホン酸等)が挙げられる(それらに限定されない)。
使用されうる上述の酸のエステルとして、さらに詳細には、モノアルキルまたはジアルキルホスファート、モノシクロアルキルまたはジシクロアルキルホスファート、もしくはモノアルキルアリールまたはジアルキルアリールオルトホスファート(例えば、エチルまたはジエチルホスファート、ヘキシルホスファート、シクロヘキシルホスファートまたはベンジルホスファート)が、挙げられる。
錯化剤の量は、反応媒質の金属イオン含有率に応じて変わる。
上限が存在しないのは明らかであるが、存在する錯化剤の量は、金属イオンを錯化するのに必要である量に対してかなり過剰であってよい。一般的に、反応媒質の0.01重量%〜2重量%、好ましくは0.01重量%〜0.3重量%を示す量が、使用に適切である。
ヒドロキシル化方法は、一般的に試薬に由来する溶媒(例えば、過酸化水素のための溶媒)を除いて、いかなる溶媒をも用いないで、実施される。
反応は、しかしながら、有機溶媒中で実施されてもよい。
使用される溶媒は、過酸化水素の存在下で安定でなければならない。
塩素化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、テトラクロロメタンおよびジクロロエタン)等のような無極性溶媒が挙げられる。
さらに極性溶媒、殊にエーテル(例えば、スルホランまたは1,2−ジメトキシエタン)、さらにアセトニトリル、2−メチルグルタロニトリル、アジポニトリルおよびジメチルカーボネートを使用してもよい。
本発明の方法の理解を容易にするために、図1を参照されたい。図1は、本発明の方法の工程を概略的に示すが、しかしながら、それに本発明の範囲を限定することはない。
本発明の方法に従って、試薬の混合の第一工程を混合装置(1)において実施する。
第一クラスの混合装置は、機械的撹拌反応器に関与する。その反応器は、一般的に、平面もしくは楕円形の基部を有する鉛直円筒形である。
この反応器は、試薬を導入する手段、加熱手段、撹拌システム、および底面もしくは上面に反応混合物を取り出すシステムが配備されている。反応器は、また、温度や圧力を測定するための装置も配備されている。
混合は、材料移送や熱伝達の点で良好な性能品質を有する反応器内で、実施される。
撹拌システムは、図1に示してないが、回転撹拌機であってもよい。
記載しうる撹拌機の例として、特に、垂直パドルまたは傾斜パドル、もしくはマリンインペラー(marine impeller)或いは任意の可動式「水中翼」を有するタービンが挙げられる。
第二クラスの混合装置は、外部ループに関与する。外部ループのポンプを用いて、機械的撹拌器であろうとなかろうと、反応器の一部もしくは全ての内容物のループにおける循環により、反応媒質の混合が起こる。
第三クラスの混合装置は、回転部を除いて、一方に動力ミキサー、他方に静的ミキサーのように公知のミキサーを一体化する。
動力ミキサーの系統において、横流ジェットミキサー、衝撃ジェットミキサー、TまたはYミキサー、多層積層型ミキサー、またはエジェクタが挙げられる。
「静的」ミキサーに関して、静的ミキサー(Sulzer SMX, Kenics等)、ビーズまたは粒子、金属性もしくはセラミック気泡等のバルク層等の様々な内部物(interiors)が列挙されうる。
これらの全てのミキサーは、送り込まれる流体の流れを、下流に分けることにより、或いは小規模の構造体を作りだすことにより、物質を互いに交換させる。これらの構造体は、試薬の流れの間の接触表面を増大させる。
熱伝達のための交換表面は、反応器内に存在するコイルまたはプレートを用いて、或いはジャケットに循環している熱交換流体を介して、増大しうる。
記載されうる熱交換流体として、特に、水、水蒸気または適切な有機溶媒(例えば、芳香族エーテル(例、ジフェニルエーテルおよび/またはベンジルエーテル等)、シリコーン油、パラフィンおよび/またはナフテン油、石油蒸留残渣等)が挙げられる。
ピストン流れ反応器の反応温度を高めることにより、反応時間が減少し、所与の流量での反応器の体積が減少し、同時に化学反応の実施を維持し、つまり、過酸化水素およびフェノールの高転化率と、フェノールまたはフェノールエーテルで開始するヒドロキシル化生成物に対する高い選択性とを維持することが、驚くべきことに見出された。反応時間の低減は、熱交換器型の工業用ピストン流れ反応器を使用することを可能にする。
本発明の一変形形態に従って、ピストン流れ反応器は、20kW/(m3K)以上、好ましくは100kW/(m3K)以上、さらに好ましくは200〜20,000kW/(m3K)のHS/V比[式中、Hは、包括的な熱伝達係数W/(m3K)を表し、Sは、熱交換の表面積(m2)を表し、Vは、反応体積(m3)を表す]を有する。200〜4000kW/(m3K)のHS/V比を有するピストン流れ反応器を使用するのが好ましい。
典型的には、ジャケット付き管状反応器、カレンダー型の熱交換管状反応器またはプレート型の熱交換反応器を使用してもよい。プレート型の熱交換反応器として、仏国特許出願第2 823 995号明細書、米国特許出願公開第2004/0 109 798号明細書、仏国特許出願第2 880 967号明細書、国際公開第2002/085 511号パンフレット、米国特許出願公開第2006/0 159 600号明細書、および欧州特許第1 562 699号明細書に記載されるAlfa−Lavalの技術、Marbond (商標)Hex Reactorを有するChart and BHR Groupの技術(殊に国際公開第02/37047号パンフレットおよび国際公開第02/058 840号パンフレットに記載される)、およびHeatric IP PCRの技術が挙げられうる。国際公開第2011/117 540号パンフレット(Rhodia)も挙げられ、それは、殊に、熱交換流体を含んでなるチャンバに配置される1台もしくは複数の管状反応器が配備されたピストン流れ熱交換反応器を記載する。記載されうる熱交換流体として、特に、水、水蒸気または適切な有機溶媒(例えば、芳香族エーテル(例、ジフェニルエーテルおよび/またはベンジルエーテル等)、シリコーン油、パラフィンおよび/またはナフテン油、石油蒸留残渣等)が挙げられる。
実用の観点から、フェノール(3)および過酸化水素溶液(4)を混合装置(1)内に導入する。
錯化剤および/または溶媒が存在する場合、錯化剤および/または溶媒は、例えば、フェノール中に導入されてもよい。
ピストン流れ反応器の(5)、任意選択的に(6)の上面に、触媒を導入する。
(5)および(6)に、触媒を断片的に導入してもよい。
様々な試薬を徐々に、好ましくは連続して導入し、それらの導入速度は、ポンプにより調節される。
上述のように、試薬の混合物を獲得し、図1は、図1に示される再循環ループを確立することにより、混合物の生成を例証する。
反応混合物の一部は、反応器の底面(7)で取り出された後、(8)で反応器内に導入される。混合物の強制循環は、ポンプ(不図示)により、確保される。
上述のように、混合は、反応を最小限に抑えるような条件下で、実施される。
従って、温度が70℃以下、好ましくは45℃〜70℃になるように、温度を選択する。
反応を大気圧で実施するのは有利であるが、高圧も構想されうる。例えば、5〜10バールの圧力は、使用に適切でありうる。
不活性雰囲気下で(例えば、窒素下で、またはアルゴン下で)、この工程を実施するのは有利であり、殊にコスト削減のため、窒素が好ましい。
混合装置内の反応媒質の滞留時間および温度は、前記装置内の過酸化水素の選択された転化率に適正でなければならない。
次に、反応混合物は、重力流れによって、または例えばポンプ(通常、遠心ポンプ)を用いて強制循環によって、反応器(1)から反応器(2)へと通過する。
本発明の方法に従って、ヒドロキシル化反応に関する第二工程は、ピストン流れ反応器(2)内で実施される。
反応器は、(10)で入る反応混合物と(11)で離れる反応生成物とを循環させる管(9)からなる。
通常、反応器は、3より大きい長さ/直径の比を有するだろう。それは、殊に、4〜30、特に5〜10の長さ/直径の比を有する管状反応器であってよい。
有利にも、管状反応器は、低バルクを有するように実施され、例えば管状反応器が押し返される場合、ピストンの性質を増大させるのを可能にする。
反応器の材料は、特に限定されない。反応器の材料は、反応条件下で不活性であるように、選択されるだろう。一般的に、ステンレス鋼反応器が選択されるだろう。
管状反応器は、一般的に水平に配置される。
しかしながら、空間制約に適合するために、鉛直にもしくは傾斜して配置される反応器を提供することも構想してもよい。
有利にも、1つもしくは複数の多孔プレートが、反応器のこの断面の流体の良好な均質性を確保するように、試薬注入口の近くに配置されている。
有利にも、管状反応器は、カラム形態である。管状反応器は、試薬注入口と反応混合物の出口パイプとが配備されている。
試薬は、標準の手段(例えば、ポンプ、さらに詳細には遠心ポンプまたは容積ポンプ)を介して送り込まれる。
原理上は、試薬が液相だけに作用するのが好ましい。
管状反応器は、バッフルが配備されてもよい。
反応器内のバッフルの存在は、反応器の全断面の至る所で反応混合物の均質性を確保する乱流を作りだす。バッフルは、従って、レイノルズ数5000未満の場合を含めて、ピストン流れの性質の維持を可能にする。
バッフルの材料は、反応条件下で、反応混合物に関して化学的に不活性であるならば、重要ではない。一般的に、バッフルは、ガラス、金属(殊にステンレス鋼)、炭素、ポリマーまたはセラミック等の材料で作製される。
様々なタイプのバッフルが、構想されうる。それらは、殊に、
バルクバッフル(bulk baffle)(例えば、リング、スツール、ボールまたはシリンダーの形態で、中空の小さな物体からなり、反応器の全てまたは一部が、バッフルで充填されている)、
構造化バッフル:ピン、静的ミキサー、シケインである。
バッフルは、試薬注入口の近くの反応器内に配置されるのが好ましい。
鉛直に配置された反応器の場合、バッフルは、反応器の全上面に沿って配置されるのが好ましい。所定位置にバッフルを保つように、例えばクロス梁の形態で、適切な支持体を提供することが必要である。
正確な角度で配置され、複雑な様式で位置する導羽根を備える混合要素からなる静的ミキサー型の搭載が、特に好適である。この型の搭載は、例えば、SMVおよびSMXの名前で、Sulzer社により、販売されている。
これらのバッフルの説明に関して、Chemical Engineeringにより2003年5月に発行された論文“Don’t Be Baffled By Static Mixers”を参照されてもよい。
実用的な観点から、レイノルズ数が2000を超える場合、優先的には5000を超える場合に、それ自体に折り返されて、水平または鉛直に配置されるバッフルを有さない線形管が、選択される。
レイノルズ数が5000未満である場合、バッフルを有さない反応器は、それを構造化することにより、使用されうる。例えば、螺旋または曲がり/直線の連続の形態に、管状反応器をそれ自体に折り返すことは可能であり、この構造は、バッフルを部分的に配備してもよい。管の各々の曲がりの後に、等しい長さ(例えば、2つの連続的な曲がりの間に位置する管の直線長さの全てまたは一部を超えて、管の直径の3〜6倍)のバッフルの断面が挿入される。
添付の図3〜5は、ピストン流れ反応器として使用されうる装置の型を例証する。
図3は、同軸管から形成される管状反応器を示す。
従って、反応器は、(19)で入る反応混合物と(20)で出る反応生成物とを循環させる管(14)からなる。
熱交換は、ジャケット(15)内を循環する熱交換流体によって提供され、熱交換流体は、(17)で入り、(18)で出る。管は、各曲がり(16)の後に充填断面を含んでもよい。
図4は、(23)で入り(24)で出る熱交換流体が循環されるジャケット(22)または任意の同等の手段を配備したカラム形態(21)での反応器を示す。
カラムは、バッフル(25)を配備する。
反応混合物は、(26)で導入され、生成物は、(27)で出る。
図5によって示される管状反応器が鉛直の多管式カレンダー熱交換器型である場合を、本発明が除外していないことは、言及されるべきである。
管状反応器は、反応混合物の導入ゾーン(28)、中央ゾーン(29)および試薬出口ゾーン(30)を備える。中央ゾーンは、一連の並列管(31)を備え、各管は、注入口ゾーンに現れる注入口と、出口ゾーンに現れる出口とを備える。
(32)で入り、(33)で出る熱交換流体は、管の周りのカレンダー(36)内で循環する。
反応混合物は、(34)で導入され、生成物は、(35)で出る。
管は、バッフルが配備されていても、されていなくてもよい。
プロセスパラメーターの観点から、前記反応器(2)の温度は、混合装置の温度よりも高い。反応器の温度は、70℃超、好ましくは75℃〜200℃、さらに優先的には75℃〜150℃であるように選択される。
本発明の方法において、ヒドロキシル化反応の温度は、温度調節をするのに従来から使用される手段を用いて温度を調節することにより、殊にジャケット内の熱交換流体を循環させることにより、上述の温度範囲に維持されている。
一実施形態において、反応器は、等温反応器である。
図1は、単に例証する目的の為、等温反応器を示す。反応器の温度は、ジャケットを介して熱交換流体を循環させることにより、提供され、熱交換流体は、(12)で導入され、(13)で出る。
別の実施形態において、反応器は、反応媒質の温度ステージを有し、様々な熱ゾーンを有する反応器である。
ステージの数は、例えば2〜100、好ましくは2〜10の範囲に及んでもよい。
各ステージにおける温度は、過酸化水素の所望の転化率に従って、決定される。
図2は、単に例証する目的の為、ステージ化された反応器を示す。各ステージでの異なる温度は、ジャケット内の熱交換流体を、異なる温度で循環させることにより、確保される。熱交換流体は、(12a)および(12b)で各ステージに入り、(13a)および(13b)で各々出る。
各ゾーンの温度ステージおよび滞留時間は、反応性能品質(転化率および収率)に適正であるように確定される。
この測定は、J. Villermauxによる出版物(Genie de la reaction chimique;conception et fonctionnement des reacteurs[化学反応技術:反応器の設計および動作]、;J.Villermaux;Tec&Doc Lavoisier;1993)またはO. Levenspielによる出版物(Chemical Reaction Engineering; 2nd edition;Wiley Int.;1972)に準拠して、されてもよい。
本発明に係る方法おける温度ステージは、異なる温度で維持される一連の管状反応器からなる装置において、実施され得る。
反応は、有利にも大気圧で実施されるが、上述のように、高圧力も構想されてもよい。
この工程は、不活性雰囲気下で、有利にも実施されうる。
本発明は、本発明を例証する実施例により、さらに詳細に説明されるだろうが、しかしながらそれを限定しない。
実施例において、以下の略語は、以下のような意味を有する。
過酸化水素の転化率(DCH2O2)は、転化した過酸化水素のモル数と導入した過酸化水素のモル数の比に相当する。
フェノールの転化率(DCphenol)は、転化したフェノールのモル数と導入したフェノールのモル数の比に相当する。
ジフェノールの反応収率(RYdiphenols)は、生成したジフェノール(ピロカテコール+ヒドロキノン)のモル数と導入した過酸化水素のモル数の比に相当する。
ピロカテコールの反応収率(RYpyrocatechol)は、生成したピロカテコールのモル数と導入した過酸化水素のモル数の比に相当する。
ヒドロキノンの反応収率(RYhydroquinone)は、生成したヒドロキノンのモル数と導入した過酸化水素のモル数の比に相当する。
(TYdiphenols)のジフェノールの選択性は、生成したジフェノール(ピロカテコール+ヒドロキノン)のモル数と変換した過酸化水素のモル数の比に相当する。
比PC/HQは、ピロカテコールのモル数とヒドロキノンのモル数の比により、定義される。
比較例1
ピロリン酸(フェノールに対して400質量ppm)を含有するフェノール100g/h(1.06モル/h)と、70重量%(つまり、0.0605モル/h)の過酸化水素2.94g/hと、過塩素酸(フェノールに対して250モルppm)とを、ジャケットと、4つの傾斜パドル、上昇コンデンサー(ascending condenser)、窒素注入口および反応媒質を90℃に維持するための温度調節装置を有する型の撹拌システムとが配備された、連続モードでの300mLの反応器に、ポンプを用いて供給する。
滞留時間70分を有するように調整された一定反応体積を有するように、試薬注入口の流量に出口流量を合わせる。
安定化時間(約3時間)後、高性能の液体クロマトグラフィーにより、生成したジフェノールを分析し、電位差測定により、過酸化水素を分析する。
その結果を表(I)に示す。
比較例2
フェノール(フェノールに対して400質量ppmの割合でピロリン酸を含有する)、過酸化水素および触媒を、300mLの全体積を有する3つのガラス反応器のカスケード内に、同時にそして連続して導入する。
各ジャケット付き反応器には、4つの傾斜パドル、温度調節システム、上昇コンデンサー、および窒素注入口を有する型の機械的撹拌システムが配備されている。
フェノール100g/h(1.06モル/h)と、70重量%(つまり、0.0605モル/h)の過酸化水素2.94g/hと、過塩素酸(フェノールに対して250モルppm)とをポンプを用いて、導入する。
全滞留時間70分を有するように調整された一定反応体積を有するように、試薬注入口の流量に出口流量を合わせる。
反応器は、全て同一温度(90℃)である。
安定化時間(約3時間)後、高性能の液体クロマトグラフィーにより、生成したジフェノールを分析し、電位差測定により、過酸化水素を分析する。
3番目の反応器で得られた結果を表(I)に示す。
実施例3
以下、
フェノールに対して400質量ppmの割合でピロリン酸を含有するフェノール100g/h(1.06モル/h)、
フェノールに対して250モルppmの割合での過塩素酸、
70重量%の過酸化水素(つまり、0.0605モル/hの過酸化水素)2.94g/hを、60℃で連続して、ポンプを用いて、4つの傾斜パドル、上昇コンデンサー、窒素注入口、および温度調節システムを有する型の撹拌システムが配備されている、作用体積30mLを有するジャケット付き反応器に導入する。
この反応器の滞留時間は、20分である。
この反応器の反応媒質を、全体積115mL(長さ=255mm、直径=24mm)を有する、Sulzer SMXミキサーを搭載したジャケット付き管状反応器に、ポンプを用いて続けて導入し、その温度を90℃に設定する。
安定化時間(約3時間)後、高性能の液体クロマトグラフィーにより、生成したジフェノールを分析し、電位差測定により、過酸化水素を分析する。
管状反応器の出口で得られた結果を表(I)に示す。
Figure 2014513041
この表は、本発明の実施例3と比較例1および2を比較することにより、実施例1および2よりも高い反応進行に対して、同じ滞留時間対して、ジフェノールの収率は、実施例3において高いので、本発明の装置(撹拌反応器+ピストン反応器)においてフェノールのヒドロキシル化反応を実施する利点を実証する。
比較例4
フェノール(ピロリン酸を含有する)、過酸化水素および触媒を、全体積500mLを有する3つのガラス反応器のカスケード内に、同時に連続して、導入する。
各ジャケット付き反応器には、4つの傾斜パドル、温度調節システム、上昇コンデンサー、および窒素注入口を有する型の機械的撹拌システムが配備されている。
フェノール(フェノールに対して400質量ppmの割合でピロリン酸を含有する)165g/hと、70重量%の過酸化水素4.8g/hと、過塩素酸(フェノールに対して250モルppm)とをポンプを用いて、送り込む。
全滞留時間67分を有するように調整された一定反応体積を有するように、試薬注入口の流量に出口流量を合わせる。
反応器は、全て同一温度(110℃)である。
安定化時間(約3時間)後、高性能の液体クロマトグラフィーにより、生成したジフェノールを分析し、電位差測定により、過酸化水素を分析する。
3番目の反応器で得られた結果を表(II)に示す。
実施例5
以下、
フェノールに対して400質量ppmの割合でピロリン酸を含有するフェノール165g/h、
フェノールに対して250モルppmの割合での過塩素酸、
70重量%の過酸化水素6.5g/hを、60℃で連続して、ポンプを用いて、4つの傾斜パドル、上昇コンデンサー、窒素注入口、および加熱装置を有する型の撹拌システムが配備されている、作用体積30mLを有するジャケット付き反応器に導入する。
この反応器の滞留時間は、10分である。
この反応器の反応媒質を、全体積115mL(長さ=255mm、直径=24mm)を有する、Sulzer SMXミキサーを搭載したジャケット付き管状反応器に、ポンプを用いて続けて導入し、その温度を110℃に設定する。
安定化時間(約3時間)後、高性能の液体クロマトグラフィーにより、生成したジフェノールを分析し、電位差測定により、過酸化水素を分析する。
管状反応器の出口で得られた結果を表(II)に示す。
Figure 2014513041
この表は、H22に対して表されたジフェノールの選択性が、5%のフェノール転化率を有する撹拌反応器のカスケードにおいて方法を実施しても、7%のフェノール転化率を有する、管状ピストン反応器に連結された撹拌反応器を用いて方法を実施しても(その他の点では稼働条件を同じにする)、同等であることを示す。
本発明に従って使用される装置(撹拌反応器+管状ピストン反応器)は、撹拌反応器のカスケードの収率と同等の収率を維持すると同時に、より高いフェノール転化率を目標に設定することを可能とする。
比較例6
フェノール(ピロリン酸を含有する)、過酸化水素および触媒を、全体積500mLを有する3つのガラス反応器のカスケード内に、同時に連続して、導入する。
各ジャケット付き反応器には、4つの傾斜パドル、温度調節システム、上昇コンデンサーおよび窒素注入口を有する型の機械的撹拌システムが配備されている。
フェノール(フェノールに対して400質量ppmの割合でピロリン酸を含有する)90g/hと、70重量%の過酸化水素2.6g/hと、過塩素酸(フェノールに対して400モルppm)をポンプを用いて、送り込む。
全滞留時間115分を有するように調整された一定反応体積を有するように、試薬注入口の流量に出口流量を合わせる。
反応器は、全て同一温度(92℃)である。
安定化時間(約5時間)後、高性能の液体クロマトグラフィーにより、生成したジフェノールを分析し、電位差測定により、過酸化水素を分析する。
3番目の反応器で得られた結果を表(III)に示す。
実施例7
以下、
フェノールに対して400質量ppmの割合でピロリン酸を含有するフェノール234g/h、
フェノールに対して400モルppmの割合での過塩素酸、
70重量%の過酸化水素9.2g/hを、60℃で連続して、ポンプを用いて、4つの傾斜パドル、上昇コンデンサー、窒素注入口および加熱装置を有する型の撹拌システムが配備されている、作用体積30mLを有するジャケット付き反応器に導入する。
この反応器の滞留時間は、8分である。
この反応器の反応媒質を、全体積330mL(長さ=350mm、直径=35mm)を有し、4つの独立したジャケット付きゾーン(各々長さ、78mm、116mm、78mm、78mmを有し、連続的な温度、75℃−80℃−92℃−107℃を有する)を有する、Sulzer SMXミキサーを搭載した管状反応器に、ポンプを用いて続けて導入する。
安定化時間(約5時間)後、高性能の液体クロマトグラフィーにより、生成したジフェノールを分析し、電位差測定により、過酸化水素を分析する。
管状反応器の出口で得られた結果を表(III)に示す。
Figure 2014513041
この表は、ピストンモードで機能し約7%のフェノール転化率での温度ステージを有する、撹拌反応器と管状反応器を備える、本発明の装置で方法を実施することにより、H22に対して表されたジフェノールの選択性が、5%のフェノール転化率を有し92℃の等温で作動する撹拌反応器のカスケードにおいてよりも良好になることを示す。
実施例8
以下、
フェノール18,240kg/h、
フェノールに対して400モルppmの割合での過塩素酸、
70重量%の過酸化水素720kg/hを、60℃で連続して、ポンプを用いて、4つの傾斜パドル、上昇コンデンサー、窒素注入口、および温度調節器を有する型の撹拌システムが配備されている、ジャケット付きの3m3反応器に導入する。
滞留時間は、10分である。
この反応器の反応媒質を、Sulzer SMX静的ミキサーを搭載した、全体積8.5m3(長さ=11m、直径=1m)を有する、ジャケット付き管状反応器に、ポンプを用いて吸い上げ、その温度を110℃に設定する。
管状反応器の出口で、試料を取り出し、高性能の液体クロマトグラフィーにより、生成したジフェノールを分析し、電位差測定により、過酸化水素を分析する。
管状反応器の出口で得られた結果を表(IV)に示す。
Figure 2014513041
実施例9
本実施例において、ミキサー(Tミキサー)として働き、316Lステンレス鋼のジャケット付きピストン流れ反応器に接続されるT形状の継手を備える反応器を使用する。このようなピストン流れ反応器は、特許出願、国際公開第2011/117 540号パンフレットに記載されている。
反応器出口の、5絶対バール、風袋計測のフラップ弁は、反応媒質を常に液相で維持することを可能にする。Tミキサーは、Swagelokよりに製造されている標準の継手(1/16インチ)であり、50℃(電気抵抗)に維持されている。ピストン流れ反応器は、管−カレンダー型で、内容積7ml、内径1/8インチを有する。
使用された管状反応器は、内径1/8インチを有する管であり、それらの長さを滞留時間に応じて調整した。実用的に当接ジョイント巻き(abut−jointed turns)とコンパクトなコイルを得るように、この管を巻いた。管を加熱する/冷却するために、熱交換流体を循環させるチャンバに、このコイルを封じ込めた。熱交換流体の循環およびその温度の制御は、サーモスタットで調整される循環浴により、確保された。管状反応器は、ピストン流れ型である。管状反応器は、完全に撹拌されるカスケード反応器(0.2〜10g.min-1の流量)60超に相当する。反応媒質において165℃の温度を維持するように、47V50シリコーン油の流れを介して、この反応器を加熱する。
フェノールを液体に保つように、50℃まで加熱された注入押出機を介して、4.8g.min-1の流量で、フェノールをTミキサーに送り込む。この同一の流れは、230モルppmの割合での均質の触媒(過塩素酸HClO4)と、さらに200質量ppmの濃度でリン酸をも含有する。70w/w%の過酸化水素水溶液をTミキサーの他方のバーに(反対方向にまたは頭対尾に)、12g.h-1の流量で送り込む。
このような条件下で、不変状態(permanent regime)(5分離して2つの試料によって検出)に到達した後20分、反応器の滞留時間は、1.2分であり、以下の成果
22の転化率=97モル%、
22に対するヒドロキノンおよびカテコールの選択性=74モル%、
フェノールに対するヒドロキノンおよびカテコールの選択性=84モル%、
カテコール/ヒドロキノンのモル比=1.68を得て、
w/w%は、試料の総重量に対する重量%を意味する。
実施例10
316Lステンレス鋼のジャケット付きピストン流れ反応器に接続されている、C276 Hastelloyマイクロミキサーを本実施例に使用する。反応器出口の、5絶対バール、風袋計測のフラップ弁は、反応媒質を常に液相に維持することを可能にする。マイクロミキサーは、ドイツの会社IMMにより、SuperFocus Interdigital Micromixer SFIMM−V2の名称で製造され、絶縁されて、50℃(電気抵抗)に維持される。ピストン流れ反応器は、実施例9のピストン流れ反応器と同一である。反応媒質において165℃の温度を維持するように、47V50シリコーン油の流れを介して、この反応器を加熱する。フェノールを液体に保つように、50℃まで加熱された注入押出機を介して、1.2g.min-1の流量で、フェノールをマイクロミキサーに送り込む。この同一の流れは、230モルppmの割合での均質の触媒(過塩素酸HClO4)と、さらに200質量ppmの濃度でリン酸をも含有する。70w/w%の過酸化水素水溶液をマイクロミキサーに、3g.h-1の流量で別々に送り込む。
このような条件下で、不変状態(5分離して2つの試料によって検出)に到達した後20分、反応器の滞留時間は、約5分であり、以下の成果、
22の転化率=100モル%、
22に対するヒドロキノンおよびカテコールの選択性=74モル%、
フェノールに対するヒドロキノンおよびカテコールの選択性=83モル%、
カテコール/ヒドロキノンのモル比=1.68を得る。
実施例11
本実施例は、プレート型の熱交換反応器に関する。装置は、316Lステンレス鋼のプレート型の熱交換反応器に接続されるT形状の継手(Tミキサー)を備えてもよい。熱交換流体の循環およびその温度の制御は、サーモスタットで調整される循環浴により、確保されうる。反応器出口の、5絶対バール、風袋計測のフラップ弁は、反応媒質を常に液相で維持することを可能にする。Tミキサーは、Swagelokよりに製造されている標準の継手(1/8インチ)である。
直径約2mmのチャネルを有する3つのエッチングプレートを含む熱交換器反応器(内容積37ml、交換表面0.074m2)を使用し得る。比熱交換係数は、約8000kW.m-3.K-1である。反応媒質において145℃の温度を維持するように、熱交換流体(47V50シリコーン油)を循環させる2つの「ユーティリティ」プレートの間に、3つのプレートの各々を配置する。フェノールを液体に保つように、50℃まで加熱され、50℃に維持されるヘッドを有するポンプを介して、0.65kg.h-1の流量で、フェノールをTミキサーに送り込む。この同一流れは、230モルppmの割合での均質の触媒(過塩素酸HClO4)と、さらに200質量ppmの濃度でリン酸をも含有してもよい。70w/w%の過酸化水素水溶液をTミキサーの他方のバーに向流式で、26g.h-1の流量で、圧力下で注入押出機を介して送り込むことができる。
このような条件下で、不変状態に到達した後20分、プレート型の熱交換反応器の滞留時間は、3.3分で、温度プロファイルは、著しく平坦で、以下の成果
22の転化率=98モル%、
22に対するヒドロキノンおよびカテコールの選択性=76モル%、
フェノールに対するヒドロキノンおよびカテコールの選択性=87モル%、
カテコール/ヒドロキノンのモル比=1.61を得るだろう。
実施例12
実施例11と同じ装置を使用してもよく、フェノールの流量3,6kg.h-1、70w/w%の過酸化水素水溶液の流量144g.h-1で、圧力下でピストンポンプを介して、Tミキサーに別々に注入される。
このような条件下で、不変状態に到達した後20分、プレート型の熱交換反応器の滞留時間は、0.6分で、温度プロファイルは、著しく平坦で、以下の成果
22の転化率=69モル%、
22に対するヒドロキノンおよびカテコールの選択性=83モル%、
フェノールに対するヒドロキノンおよびカテコールの選択性=93モル%、
カテコール/ヒドロキノンのモル比=1.62を得るだろう。

Claims (24)

  1. フェノールまたはフェノールエーテルのヒドロキシル化の方法であって、水中でのpKa−0.1未満を有する強プロトン酸触媒の存在下で、前記フェノールまたはフェノールエーテルを過酸化水素と反応させる方法で、前記過酸化水素の転化率が最小限に抑えられる条件下で、混合装置内でフェノールまたはフェノールエーテルを過酸化水素溶液と混合する工程と、前記反応混合物が、前記ヒドロキシル化生成物の形成を導く反応が起こるピストン流れ反応器に導入される工程と、前記強プロトン酸触媒が前記混合装置内におよび/または前記ピストン流れ反応器内に、導入される工程とを備えることを特徴とする方法。
  2. 前記混合装置の温度が、70℃以下、好ましくは45℃〜70℃であるように選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記混合装置が、機械的撹拌反応器、好ましくは垂直パドルまたは傾斜パドル、もしくはマリンインペラー(marine impeller)或いは可動式「水中翼」を有するタービン反応器;機械的撹拌反応器であろうとなかろうと、外部ループのポンプを用いて前記反応器の内容物の一部もしくは全てを循環するためのループを有する反応器;動力ミキサー、好ましくは横流ジェット(tangential jet)、衝撃ジェット、またはエジェクタ付きミキサー;静的ミキサー、好ましくは静的ミキサー(Sulzer SMX, Kenics等)、ビーズまたは粒子、金属性もしくはセラミック気泡等のバルク層であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 熱伝達のための交換表面が、前記反応器内に存在するコイルまたはプレートを用いて、またはジャケット内に循環している熱交換流体を介して、増大しうることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. フェノール、過酸化水素溶液、任意選択的に錯化剤および/または溶媒が、前記混合装置内に導入され、前記触媒が、前記混合装置内におよび/または前記ピストン流れ反応器内に導入されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ピストン流れ反応器の前記温度が、70℃超、好ましくは75℃〜200℃、そして優先的には75℃〜150℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ピストン流れ反応器が、3より大きい、好ましくは4〜30、そして尚さらに優先的には5〜10の長さ/直径の比を有する管状反応器であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記ピストン流れ反応器が、水平または鉛直にもしくは傾斜して配置される管状反応器であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記反応器の流れが5000未満のレイノルズ数を有する場合、前記反応器が、バッフルを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記反応器の前記流れが5000以上のレイノルズ数を有する場合、前記反応器が、バッフルを備えないことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記レイノルズ数が5000未満である場合、前記バッフルを備えない反応器は、構造化され、前記構造化された反応器は、部分的にバッフルを配備される場合もありうることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記反応器が、全体的にもしくは部分的にバッフルで充填され、前記バッフルは、例えばリング、スツール、ボールまたはシリンダーの形態で、中空の小さな物体からなるバルクバッフル(bulk baffle)であってよく、或いは前記反応器が、構造化バッフル、ピン、静的ミキサー、シケインを含んでなることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記ピストン流れ反応器が、同軸管から形成されるから管状反応器、カラム形態の反応器、または整列して組み立てられた管を含んでなる管状反応器であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記反応器が、等温反応器または2〜100のステージを含んでなる反応媒質の温度ステージ有する反応器であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記反応温度が、各ステージで異なる温度を有するステージ化された反応器を用いてステージ化され、ジャケット内の熱交換流体を異なる温度で循環させることにより、または異なる温度で維持される一連の管状反応器からなる装置を使用することにより、確保されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 前記フェノール系物質が、一般式(I)
    Figure 2014513041

    [式中、
    Aは、ベンゼン環またはナフタリン環を表し、
    は、水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を表し、
    は、水素原子または1個もしくは複数の同一または異なる置換基を表し、
    nは、芳香環当りの置換基の数で、4以下の数である]に相当することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記フェノール系物質が、前記一般式(Ia):
    Figure 2014513041
    [前記式において、
    nは、0〜4、好ましくは0、1、または2に等しい数であり、
    は、水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を表し、
    は、同一でも異なってもよく、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはハロアルキルもしくはペルハロアルキル基を表す]に相当することを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記フェノール系物質が、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、アニソール、フェネトール、2−メトキシフェノール(グアイコール)または2−エトキシフェノール(グエトール)であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 前記酸触媒が、−0.1未満の水中でのpKaを有する強プロトン酸、またはプロトン酸の混合物であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記酸触媒が、硫酸、過塩素酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ビス−トリフルオロメタンスルホンイミドまたは過塩素酸と硫酸の混合物、過塩素酸と4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸の混合物、トリフルオロメタンスルホン酸と4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸の混合物、ビス−トリフルオロメタンスルホンイミドと4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸の混合物であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. ケトン化合物が加えられ、前記ケトン化合物は、一般式(II)
    −CO−X−R (II)
    [式(II)中
    およびRは、同一でも異なってもよく、1〜30個の炭素原子を含有する炭化水素ベースの基を表し、もしくは一緒に二価基を形成し、1個もしくは複数のハロゲン原子もしくは反応条件の下で安定である官能基で置換されてもよく
    Xは、原子価結合、−CO−基、−CHOH基または基−(R)−を表し、
    Rは、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し、そしてnは、1〜16から選択される整数である]に相当することを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記ケトン化合物が、以下の一般式(IIa)
    Figure 2014513041
    [前記式(IIa)中、
    およびRは、同一でも異なってもよく、水素原子または置換基、好ましくは電子供与基を表し、
    およびnは、同一でも異なってもよく、0、1、2または3に等しい数を表し、
    −CO基を担持する2個の炭素原子に対してαに位置する2個の炭素原子は、原子価結合もしくは−CH−基を介して一緒に結合されてもよく、従って、ケトン環を形成し、前記ケトン環は、飽和でも不飽和でもよい]に相当することを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 少なくとも20重量%、好ましくは30%〜90重量%、尚さらに優先的には30%〜70重量%のH濃度を有する過酸化水素水溶液が、使用されることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 遷移金属イオンを錯化するための薬剤の存在下で、実施され、前記薬剤が、前記反応条件下で安定であり、リン酸、ピロリン酸、ホスホン酸およびそれらの酸エステルであることを特徴とする請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
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