JP2009263240A - 過酢酸の製造方法及び該過酢酸を用いたエポキシ化合物の製造方法 - Google Patents

過酢酸の製造方法及び該過酢酸を用いたエポキシ化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アセトアルデヒドを安全に酸化して過酢酸を得、それを用いて引き続き高収率、高選択的で安全にエポキシ化合物を連続化も可能な製造方法により提供する。
【解決手段】アセトアルデヒドと酸素ガスを含有する気体とを微小反応器を用いて反応させて過酢酸を製造し、前記反応を溶媒及び/または触媒の存在下で行い、前記微小反応器には、マイクロリアクターまたはサイクロン型リアクターを用いる。上記の過酢酸とオレフィンを反応させてエポキシ化合物を得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、過酢酸の製造方法および該過酢酸を用いたエポキシ化合物の製造方法に関する。
従来オレフィンを酸化してエポキシ化合物を得る方法としては、例えば酸化剤として重金属化合物や、硝酸、m−クロロ過安息香酸等を用いて行う方法の他、工業的には過酢酸や過蟻酸等の酸化剤を用いる方法が一般的に行われている。特に過酢酸は酸化剤の価格を加味すると工業的に好ましい酸化剤である。
しかし、過酢酸を用いた反応は危険を伴う為、実際の製造を行う際には特殊な設備が必要となる。また、これらの酸化剤は酸化力が強いうえに、危険性も高くその製造時に従来から爆発等の事故事例が知られている(非特許文献1、2参照)。
化学工学, 第39巻6号312−320(1975) 日化協月報, 昭和49年9月号447−455(1974)
本発明は、過酢酸を用いアセトアルデヒドを安全に酸化して、引き続き高収率、高選択的でエポキシ化合物を連続的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、アセトアルデヒドから過酢酸への酸化反応をマイクロリアクターを用いて混合、反応させることにより、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は具体的態様として以下の[1]から[11]を含む。
[1]アセトアルデヒドと酸素ガスを含有する気体とを微小反応器を用いて反応させることを特徴とする過酢酸の製造方法。
[2]前記反応を溶媒及び/または触媒の存在下で行う[1]に記載の過酢酸の製造方法。
[3]前記微小反応器が、マイクロリアクターである[1]または[2]に記載の過酢酸の製造方法。
[4]前記微小反応器が、サイクロン型リアクターである[1]乃至[3]のいずれか一に記載の過酢酸の製造方法。
[5]前記マイクロリアクターの流路の直径が1μm以上1,500μm以下である[3]に記載の過酢酸の製造方法。
[6][1]乃至[5]のいずれか一に記載の製造方法により製造された過酢酸をオレフィン化合物と反応させてエポキシ化合物を製造することを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
[7]前記オレフィン化合物が以下の構造式で表される化合物である[6]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
Figure 2009263240

R1〜R6の置換基はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基から選ばれる。
[8]前記使用するオレフィン化合物がポリフェノールのポリアリルエーテルである[6]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
[9]前記過酢酸とオレフィン化合物の反応をマイクロリアクターを用いて行う[6]乃至[8]のいずれか一に記載のエポキシ化合物の製造方法。
[10]前記マイクロリアクターの流路の直径が1μm以上1,500μm以下である[9]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
本発明では、アセトアルデヒドを原料として過酢酸を製造し、それを酸化剤として用いてオレフィンを酸化することにより、高収率、高選択的かつ安全に目的の過酢酸およびそれを用いてエポキシ化合物を得ることができる。また、本発明によれば、バイオエタノールから合成することの可能なアセトアルデヒドを原料とした過酢酸を用いることが可能なために、地球環境に非常にやさしい製造方法である。
過酢酸の製造
本発明の製造方法において用いられるアセトアルデヒドについては特に制約はない。バイオエタノールを原料として脱水素反応、または脱水素酸化反応により合成したアセトアルデヒドを用いた方が、炭酸ガスの増加の問題もなく、地球環境的にも好ましい方法になりうる。
本発明において微小反応器とはリアクターの体積が小さいものを指しており、ステンレスチューブの細いもの等を用いる場合も微小反応器に含まれるが、ステンレスやガラスの板に回路が形成されたいわゆるマイクロリアクターを好適に使用できる。
マイクロリアクターとは、2以上の流入路および1以上の流出路並びに該2以上の流入路が合流する空間を有するものであって、合流空間につながる流入路の口径が、0.01μm〜3000μm程度、より好ましくは1μm〜1500μmであるものをいう。なお、マイクロリアクターの形状等については特に制限はなく、公知のもの、例えばMikroglas(独)社製マイクロリアクターを使用でき、T字型マイクロリアクターやY字型マイクロリアクターなどいかなる形状のものを用いてもよいし、合流後にステンレスチューブやテフロン(登録商標)チューブにより反応領域を確保してもよい。微小反応器のチャネルは、円柱状や角柱状であってもよく、断面積の大きさとしては円形換算で好ましくは1〜1500μmの直径を有し、より好ましくは10〜1000μm、さらに好ましくは、20〜500μmである。長さについては反応性も加味して必要な滞留時間が確保できるように決めればよい。
本発明においてマイクロリアクターを用いて過酢酸を製造する場合第1の流入路に液状のアセトアルデヒド有機溶媒溶液を、第2の流入路に酸素ガスを含有する反応ガスを各々供給し、合流空間で両者を反応させて過酢酸を得ることができる。
マイクロリアクター等の微小反応器にアセトアルデヒドを供給する場合には、アセトアルデヒドの沸点が低いので溶媒を用いたほうが好ましい。用いることの出来る溶媒としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルのようなエステル系の溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系の溶剤、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素系の溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素系の溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系の溶剤、アセトニトリルのようなニトリル系溶剤が挙げられる。これらの中でも副生物の酢酸の沸点よりも低い溶剤が好ましく、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、エタノール等の溶剤が好ましい。
マイクロリアクター等の微小反応器に供給するアセトアルデヒドはあまりに濃度が高いと揮発性が高くなりすぎるし、転化率を上げるために必要な酸素量が多くなりすぎるので好ましくない。一方あまりに濃度が低いと反応速度が遅くなるので好ましくない。従ってアセトアルデヒドを溶媒を用いて供給する際溶液中のアセトアルデヒド濃度としては10から60質量%、より好ましくは20から50質量%であることが望ましい。
また、アセトアルデヒドから過酢酸への反応は無触媒でも進行しなくはないが、重金属触媒を用いたほうが好ましい。このような触媒としてはコバルト、鉄、銅、ルテニウム、セリウムの金属塩があるが、特にコバルト塩、鉄塩が好ましい。これらの塩は溶媒に溶解して用いるので溶媒に溶解するものであれば特に限定はない。例えば、酢酸エチルを溶媒として用いる場合には、アセチルアセトンの塩が溶解性の点で有利であるが、酢酸を溶媒として用いる場合は酢酸塩、硝酸塩、塩化物、硫酸塩等も使用できる。これらの使用量としてはあまりに過剰に用いると過酢酸を酢酸まで分解してしまうし、反応速度も速くなり危険である。そのために0.01mol/L以下、より好ましくは0.001mol/L以下の濃度で反応を実施することが好ましい。
アセトアルデヒドを酸化するために酸素ガスを含む反応ガスを用いるが、爆発限界を加味すると反応ガス中の酸素ガスの濃度は10体積%以下、より好ましくは7体積%以下で供給することが望ましい。この際酸素ガスは窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスやメタン等の有機ガスと混合して使用できるが、特に工業的な価格からいくと窒素ガスと混合することが好ましい。また、酸素ガス源に関しても純酸素ではなく空気を用いることも出来る。
酸素ガスとアセトアルデヒドの反応比率については酸素ガス過剰のほうがアセトアルデヒドの転化率を上げることが出来るが、危険性も増大する。また、酸素ガスが少なすぎる場合には過酢酸とアセトアルデヒドが反応して酢酸を副生する反応の割合が増すので好ましくない。従って、酸素ガスとアルデヒドのモル比としては、1:1から0.1:1、より好ましくは0.7:1から0.2:1が望ましい。
また、酸素ガスを含有する反応ガスと、アセトアルデヒドをマイクロリアクターに供給する際の供給方法についても特に限定されず公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、気体側は調圧弁でコントロールした後、マスフローコントローラー等を経由して、液体側は液体クロマトグラフィー用の送液ポンプや、シリンジポンプ等、一定の流量で送液できるものを採用することができる。
これらを混合した後の送ガス、送液速度については、特に限定されないが、流速が速すぎると、反応混合物の反応器内での滞留時間が短すぎて反応が十分に進行しない恐れがあり、逆に低すぎると反応混合物の反応器内での滞留時間が長すぎて副反応を生じ、過酢酸の選択率が低下する恐れがある。具体的には、例えば内径が1300μm、長さ300mm程度のリアクターの場合には滞留時間1秒〜60分程度、好ましくは30秒〜30分程度となるように流速を調整すれば良い。
前述の通りマイクロリアクター等の微小反応器へは液状のアセトアルデヒド有機溶媒溶液と酸素ガス含有の反応ガスを供給するが、ここでの拡散は非常に重要であり、マイクロリアクターによる混合が非常に効果的である。中でも図1に示すようなサイクロン型リアクターを用いることは特に効果的である。
このサイクロン型リアクターとは、何層かに積層された厚さ150〜1000μm のマイクロチップを用い、パターンがサイクロン状(竜巻状)になるようにして混合、反応に使用することを可能にしたもので、サイクロンの本体直径は2000〜10000μm で、工業的に普及しているサイクロンをマイクロレベルにし、流路径、入口、出口径も10〜2000μm であるものであり、気液混合に非常に向いた反応器である。図1において1はガス供給口、図2は液体供給口、3は生成物取り出し口。4は熱交換用の冷熱媒の流入出口である。
また、アセトアルデヒドと酸素ガスとの反応温度も重要である。あまりに低温であると生成した過酢酸とアセトアルデヒドとの反応物で非常に不安定で爆発性に富むアセトアルデヒドモノパーアセテートが蓄積してしまう。一方、あまりに高温であると過酢酸がさらに分解して酢酸が生成したり、副反応として燃焼反応や場合によっては反応暴走が起きてしまう。そのために反応は0℃から100℃、より好ましくは20℃から50℃で実施することが望ましい。反応系を冷却、加熱する場合には、例えば微小反応器本体を直接ペルチェ素子による冷加熱を行ったり、冷熱媒を送液した配管やリボンヒーターを巻き付ける等の方法を採用すればよく、また、微小反応器本体を所定の温度に設定したウォーターバスや冷熱媒の入ったオイルバス中に浸す方法を採用してもよい。
反応圧力としては、あまりに高圧にすると微小反応器の設計が大変になるし、低圧だと反応速度が遅くなるので、1気圧から50気圧、より好ましくは2気圧から30気圧が望ましい。
ここで過酢酸の生成溶液はマイクロリアクターから出た後、常圧から減圧下で、未反応のアセトアルデヒドと溶剤の一部を回収した後、そのまま次のエポキシ化合物製造工程に使用することが出来る。
エポキシ化合物の製造
本発明のエポキシ化合物の製造に用いられるオレフィン化合物とは、分子中に不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物であれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、鎖状および環状のオレフィン類、H2C=CH−X−OH(式中、Xは炭化水素基を表す。)で示される不飽和アルコール類、脂肪族、芳香族アルコールのアリルエーテル、フェノール類のアリルエーテルおよび、テルペン類(ただし、分子中に芳香環のみを有するものおよび分子中に炭素−炭素二重結合を含まないものを除く。)などが挙げられる。
鎖状および環状のオレフィン類としては、分子内に炭素−炭素二重結合を有する化合物であれば特に限定されず公知のものを使用することができる。なお、鎖状および環状のオレフィン類は分子中に分岐構造を有していても良い。具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、ヘキセン、シクロヘキセン等が挙げられる。
また、炭素−炭素二重結合を複数有する化合物もエポキシ樹脂としての使用を考えると有用であり、このような化合物としては、1,5−ヘキサジエン1,7−オクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、4−ビニルシクロヘキセン、3−シクロヘキセンカルボン酸アリル、1−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸アリル、3−シクロヘキセニルメチル−3’−-シクロヘキセンンカルボキシレート、1−メチル−3−シクロヘキセニルメチル−1’−メチル−3’−-シクロヘキセンンカルボキシレート、2−メチル−4−シクロヘキセニルメチル−2’−メチル−4’−-シクロヘキセンンカルボキシレート、2−フェニル−4−シクロヘキセニルメチル−2’−フェニル−4’−-シクロヘキセンンカルボキシレートが挙げられる。
前記不飽和アルコール類としては、炭素数3以上で、かつ分子内に炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有するアルコール類であれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、2−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ペンテン−1−オール、2−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、4−ヘキセン−1−オール、3−ヘキセン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール、5−ヘプテン−1−オール、4−ヘプテン−1−オール、3−ヘプテン−1−オール、3−ヘプテン−1−オール、2−ヘプテン−1−オール、7−オクテン−1−オール、6−オクテン−1−オール、5−オクテン−1−オール、4−オクテン−1−オール、3−オクテン−1−オール、2−オクテン−1−オールなどの一級アルコール、3−ブテン−2−オール、4−ペンテン−2−オール、4−ペンテン−3−オール、3−ペンテン−2−オール、5−ヘキセン−2−オール、5−ヘキセン−3−オール、4−ヘキセン−2−オール、4−ヘキセン−3−オール、3−ヘキセン−2−オール、6−ヘプテン−2−オール、6−ヘプテン−3−オール、6−ヘプテン−4−オール、5−ヘプテン−2−オール、5−ヘプテン−3−オール、5−ヘプテン−4−オール、4−ヘプテン−2−オール、4−ヘプテン−3−オール、7−オクテン−2−オール、7−オクテン−3−オール、7−オクテン−4−オール、6−オクテン−2−オール、6−オクテン−3−オール、6−オクテン−4−オール、5−オクテン−2−オール、5−オクテン−3−オール、4−オクテン−2−オールなどの二級アルコール、3−プロペン−1,1−ジメチル−1−オール、4−ブテン−1,1−ジメチル−1−オール、3−ブテン−1,1−ジメチル−1−オール、4−ヘプテン−1,1−ジメチル−1−オール、4−ヘプテン−1,1−ジメチル−1−オール、3−ヘプテン−1,1−ジメチル−1−オール、2−ヘプテン−1,1−ジメチル−1−オールなどの三級アルコールが挙げられる。
脂肪族、芳香族アルコールのアリルエーテル、フェノール類のアリルエーテルとしては、例えばジアリルエーテル、アリル−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ベンジルエーテル、p−キシレングリコールジアリルエーテル、ハイドロキノンジアリルエーテル、ビスフェノール−Aのジアリルエーテル、ビスフェノール−Fのジアリルエーテル、ノボラックフェノール樹脂のようなポリフェノールのポリアリルエーテル等がある。
テルペン類としては、特に限定されず、分子中に芳香環のみを有するものおよび分子中に炭素−炭素二重結合を含まないものを除く公知のものを使用することができる。なお、本発明で、テルペン類とは、(C58)x(xは自然数)の組成の炭化水素および当該炭化水素から導かれる含酸素化合物ならびに、含有する二重結合の数が異なり不飽和度を異にするものをいう。具体的には、テルペン炭化水素、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド、テルペンケトン、その他の化合物などが挙げられる。テルペン炭化水素としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、β−シトロネロール、ゲラニオールなどが挙げられる。
これらのオレフィン化合物の中でも、特にシクロヘキセン骨格をもつものや芳香族のアリルエーテル類がこれらのオレフィン化合物を原料として得られるエポキシ樹脂の機械的物性、耐熱性のバランスに優れた系が多いため好ましく、具体的には以下の構造式(1)、構造式(2)、構造式(4)、構造式(5)、構造式(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009263240

(R1〜R6の置換基はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基から選ばれる。)
Figure 2009263240

(R7、R8、R9、R10、R11はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、R12は水素原子、メチル基またはフェニル基、または構造式(3)のR15で表され、R13は炭素数2〜8のアルキレン基またはシクロアルキレン基であり、R14は炭素数が1〜10のアルキル基、アリール基、アルケニル基のいずれかであり、nは0〜5の整数を表す。)
Figure 2009263240

(R16は炭素数2〜8よりなるアルキレン基またはシクロアルキレン基であり、R17は炭素数が1〜10のアルキル基、アリール基、アルケニル基のいずれかであり、mは0〜5の整数を表す)。
Figure 2009263240

(R18、R19はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)。
Figure 2009263240

(R20、R21はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)。
Figure 2009263240

(R22、R23はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Lは1〜6の整数を表す)。
これらのオレフィン化合物は単独でも用いることが出来るが、併用することも可能である。
後工程での精製を考えるとこの工程で更に有機溶媒を用いないほうが好ましいが、粘度低下や液状化を目的としてオレフィンを有機溶媒に溶解して用いることも出来る。このような溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル等のシアン化物、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコール等のグリコール類、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラハイドロキノンのようなエーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル溶媒、およびこれらの混合物を例示することができるが、特に過酢酸の製造工程で用いた溶媒と同一であることが好ましく、両工程を共通で使用できる溶媒としては酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル等のエステル系の溶剤、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン系の溶剤が好ましい。
エポキシ化工程は、マイクロリアクター等の微小反応器による生成した過酢酸溶液とオレフィン化合物を混合して反応させる。反応熱が激しいために、除熱を十分とることが出来るような反応器を用いることが好ましい。このような反応器としては、通常の撹拌型のリアクターも使用できるがマイクロリアクターを使用することがより好ましい。
マイクロリアクターを使用する場合には、系外で過酢酸とオレフィン化合物を混合すると反応暴走を起こし制御不能となることがあるので、マイクロリアクターに別々にフィードしてマイクロリアクター内で混合することが望ましい。
なお、マイクロリアクターは、前述の過酢酸の製造と同様のものを使用することができる。
エポキシ化工程では、反応温度は、特に限定されないが、通常、室温〜150℃程度、好ましくは室温〜100℃で行えばよい。
また、オレフィン化合物と、過酢酸をマイクロリアクターに供給する際の送液方法についても特に限定されず公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、液体クロマトグラフィー用の送液ポンプや、シリンジポンプ等、一定の流量で送液できるものを採用することができる。
オレフィン化合物と過酢酸の混合物をマイクロリアクターに供給する際の送液速度については、特に限定されない。送液速度が速すぎると、反応混合物のマイクロリアクター内での滞留時間が短すぎて反応が十分に進行しない恐れがあり、逆に低すぎると反応混合物のマイクロリアクター内での滞留時間が長すぎて副反応を生じ、エポキシ化合物の選択率が低下する恐れがある。具体的には、例えば内径が1,000μm、長さ300mm程度のリアクターの場合には滞留時間1秒〜60分程度、好ましくは30秒〜30分程度となるように流速を調整すれば良い。
このようにして得られた反応物は、蒸留、再結晶等の公知の精製方法により精製され、目的とするエポキシ化合物が得られる。
図2に本発明の製造方法を例示するが、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できることは言うまでもない。
以下、実施例によって本発明を更に詳述するが、本発明はこれによって何等制限を受けるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものとする。
(実施例1)
内径1mm、長さ3mのステンレスチューブを反応管に用い、触媒としてCo(acac)2(アセチルアセトナトコバルト)2mmol/L含んだアセトアルデヒドの10質量%酢酸エチル溶液を、プランジャーポンプを用いて0.4g/minの速度で、また酸素ガス:窒素ガス=1:9の混合ガスをマスフローコントローラーを経由して、酸素で0.01mol/minの速度で反応管に供給した。なお、反応管は35℃の水槽に漬け調圧弁により3MPaにコントロールした。10分間反応させて、捕集した反応液を分析して2.83gの過酢酸が確認できた(収率41%)。なお、過酢酸の分析は、酢酸50ccに試料を溶解し、10%ヨウ化カリウム水溶液20mlを加えて直ちに0.1NNa223で滴定することにより実施した。
(実施例2)
実施例1と同様の操作で得られた過酢酸溶液を、エバポレーターを用いて室温で酢酸エチルを過酢酸濃度が約40質量%になるように部分的に留去した。この際過酢酸溶液中に残存する未反応アルデヒドも合わせて除去された。次に、内径0.26mm、長さ60cmのステンレスチューブを用いて、チューブポンプを用いて前記過酢酸の酢酸エチル溶液を0.02g/min、3−シクロヘキセニルメチル−3’−シクロヘキセンンカルボキシレートを0.005g/minで送液した。なお、反応管は35℃の水槽につけた。反応を2時間行い生成液を分析したところ、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが、79%の収率で得られた。
(比較例1)
3−シクロヘキセニルメチル−3’ −シクロヘキセンンカルボキシレート5.0gを氷冷したフラスコに入れ、40質量%過酢酸の酢酸水溶液(三菱ガス化学製)12gを30分かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、0℃で30分撹拌した後反応液を分析したところ、転化率は98%で(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの収率は45%、モノオキサイドの収率は25%であり、これ以外にエポキシが酢酸により開環した高沸分がガスクロマトグラーフィーで多数検出された。
比較例1では酢酸濃度が高く、エポキシと酢酸が反応した副生物の生成割合が高いのに対し、実施例2では比較例1で生成された高沸副生物は生成していない。これより実施例2のほうが比較例1より選択性のよい反応であることがわかる。
本発明では、過酢酸を用いることにより、高収率、高選択的に目的のエポキシ化合物を得ることができる。過酢酸およびエポキシ化合物の製造は微小反応器を用いて行うことができるので安全であるため発明の利用価値は高い。
本発明において使用することができるサイクロン型リアクターの構成概略図である。 本発明の製造方法の一実施例のフローを示す図である。

Claims (10)

  1. アセトアルデヒドと酸素ガスを含有する気体とを微小反応器を用いて反応させることを特徴とする過酢酸の製造方法。
  2. 前記反応を溶媒及び/または触媒の存在下で行う請求項1に記載の過酢酸の製造方法。
  3. 前記微小反応器が、マイクロリアクターである請求項1または2に記載の過酢酸の製造方法。
  4. 前記微小反応器が、サイクロン型リアクターである請求項1乃至3のいずれか一に記載の過酢酸の製造方法。
  5. 前記マイクロリアクターの流路の直径が1μm以上1,500μm以下である請求項3に記載の過酢酸の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一に記載の製造方法により製造された過酢酸をオレフィン化合物と反応させてエポキシ化合物を製造することを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
  7. 前記オレフィン化合物が以下の構造式で表される化合物である請求項6に記載のエポキシ化合物の製造方法。
    Figure 2009263240

    R1〜R6の置換基はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基から選ばれる。
  8. 前記使用するオレフィン化合物がポリフェノールのポリアリルエーテルである請求項6に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  9. 前記過酢酸とオレフィン化合物の反応をマイクロリアクターを用いて行う請求項6乃至8のいずれか一に記載のエポキシ化合物の製造方法。
  10. 前記マイクロリアクターの流路の直径が1μm以上1,500μm以下である請求項9に記載のエポキシ化合物の製造方法。
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