JP2011177968A - インクジェット記録装置及び吸引回復方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズル泡の排除と入込みの防止を両立させることが可能なチャージ吸引を、機構の寸法ばらつき、環境温度などに影響されることなく安定して実行することが可能なインクジェット記録装置および記録ヘッドの回復方法を提供する。
【解決手段】ノズル内に存在する泡をノズルの吐出口から排除するために必要とされる最小の負圧をP1、前記吐出口に印加した際に前記ノズルへのインク供給側から前記ノズルへと新たな泡を引き込ませ得る最小の負圧をP2としたとき、第1の負圧と第2の負圧のうち少なくとも一方の負圧を負圧P1以上かつ負圧P2未満とすることを特徴とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、記録ヘッドに設けられているノズルの吐出口に負圧を印加させてノズル内のインクを吸引することにより、記録ヘッド内のインクを吐出に適した状態へと回復させる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置及び吸引回復方法に関する。
記録ヘッドに設けられた液室およびこれに連通するノズル内のインクを吐出に適した状態に維持するため、ノズル内の増粘したインクや小泡をノズルの吐出口から強制的に吸引・排出させる吸引回復機構を備えたインクジェット記録装置が知られている。吸引回復機構の一般的なしくみは、記録ヘッドのノズルの吐出口が形成されている吐出口面に吸引キャップを密着させ、負圧発生源の駆動によりキャップ内を減圧し、インクを吸引排出するものである。
このような吸引回復機構に用いる負圧発生源として、特許文献1には2つの形態が開示されている。1つは、チューブをハウジング部材により外側から円弧状に規制し、その内側に設けられたコロを回転・移動させながらチューブを押圧し負圧を発生させるチューブポンプである。他の1つは、チューブポンプなどの負圧発生源とキャップとを連通させる経路内に、その流路におけるインクの流通、遮断を切換える弁(以下、チャージ弁と称す)を設けたものである。
前者はチューブポンプにおけるコロの回転・移動によってインクを吸引しながらキャップ内の負圧を上昇させる。そのため、装着当初の記録ヘッドへのインクの充填や記録ヘッド内の増粘したインクを排出させる場合のように、多量のインク吸引に適しているが、負圧の上昇は比較的緩やかである。以下、この形態の吸引回復動作を、コロ吸引と呼ぶ。
後者は、チャージ弁の開放によりチャージ弁とポンプとの間の経路に蓄えられた負圧を一気に開放するものであり、一時的に比較的大きな負圧を得ることができる。負圧はインクの流出とともに急激に減衰するため、排出されるインク量は比較的少ない。以下、チャージ弁を設けた吸引回復機構による吸引回復動作を、チャージ吸引と呼ぶ。このチャージ吸引は、コロ吸引のような緩やかなインク流れではなく、急激な立ち上がりの負圧をノズルに与え、その衝撃によってノズルの吐出口から少量のインクと共にノズル内の小泡を排出することができる。
特許文献1では、チューブポンプの駆動・停止と、チャージ弁の開閉のタイミングを制御することで、上記のコロ吸引と、チャージ吸引とを目的に応じて、適宜実行するものとなっている。例えば、1つの吸引回復実行指令に基づいて、インクタンクから液室までをインク充填するコロ吸引と、ノズル内の小泡を排出するチャージ吸引とを、順次1回ずつ行うことが可能になっている。これによれば、コロ吸引によって記録ヘッドのノズル内に充填されたインク内に、インクの吐出を阻害する小泡が混入していたとしても、これをチャージ吸引によって除去することが可能となる。つまり、チャージ吸引は、ノズル内のインクに混入している小泡を少量のインク排出と共に除去することができ、インク消費量を大幅に増大させずに済むという利点を有している。
特開2008−055788号公報
上記のように、負圧印加前にノズル内に存在していた小泡を排除するという点では優れている。しかしながら、チャージ吸引では負圧が急激に立ち上がるため、負圧印加前には小泡が存在しなかったノズルに、液室あるいはインクタンクから新たな小泡を引き込む、いわゆる「入込み」と称する現象を生じさせることがあるという課題がある。すなわち、チャージ弁開放直後の最大負圧(以下、チャージ負圧)が大きいほどノズル泡の吐出口14からの排出は確実になるが、その反面、液室など上流(ノズルから見てインクタンク側)に留まっていた小泡が吸引の衝撃でいずれかのノズルへ運ばれることがある。この際、チャージ吸引による吸引量が、コロ吸引のように多ければ、液室からノズルに新たに侵入した小泡は、インクと共に吐出口から排出されることとなる。しかし吸引量が少ないチャージ吸引では、ノズルに新たに侵入した小泡が吐出口から排出される前にインクの流れが減速し、小泡がノズル内に留まってしまう。その結果、チャージ吸引後に、予想できない別のノズルに突発的に新たな小泡(入込み泡)が発生することとなる。通常、入込み泡が生じる負圧(P1)は、ノズル泡の排除のためにノズル内のインクを吐出口から排出する負圧(P2)よりも大きい。従って、入込みを防止するためには、チャージ負圧を小さくすればよいが、チャージ負圧が過度に小さければ、チャージ吸引で排出すべきノズル泡の排出が困難になる。安定な回復性を得るためには、チャージ吸引のチャージ圧を、負圧P2と負圧1の間で安定させることが必要である。つまり、チャージ吸引では、ノズル泡の排除と入込み防止の両立が重要な課題である。
チャージ負圧の安定を困難にする要因の1つは、吸引回復機構の、特にチューブ内径のばらつきである。工業的に安定な生産を行うためには、個々のプリンタに採用される吸引経路、例えばチューブには、ある程度の寸法公差が必要である。しかしチューブ径が設計値より大きければ、決められたポンプ回転量に対して大きめのチャージ負圧が発生し、逆にチューブ径が設計値より小さければ、チャージ負圧は小さくなる。そしてチャージ負圧が過多になれば入込みを生じ、チャージ負圧が小さければノズル泡の排除ができない。これを回避する方法として、個々のプリンタの吸引回復機構の性能に適したポンプ回転量をプリンタ個別に設定することが考えられるが、この方法では生産性を著しく損なうことになる。
また、チャージ負圧の安定を困難にする他の要因として、環境温度の変動がある。例えば、負圧を蓄積する中間経路がゴムのような可撓性部材の場合、チャージ負圧は環境温度によるゴム弾性の変化により影響を受ける。本発明者等の検討によれば、中間経路がシリコーンゴムの場合、環境温度が30℃と5℃とでは、チャージ弁開放前の同じ量のポンプ回転量に対して、前者の方がチャージ負圧が大きくなる傾向があった。これは、ゴムが硬化する低温時の方が、負圧蓄積時につぶれ変形したチューブが元の形に戻りにくいため、と考えられる。
本発明は、ノズル泡の排除と入込みの防止を両立させることが可能なチャージ吸引を、機構の寸法ばらつき、環境温度などに影響されることなく安定して実行することが可能なインクジェット記録装置および記録ヘッドの回復方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
すなわち、本発明の第1の形態は、複数のノズルを有する記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行うと共に、前記複数のノズルの吐出口に外部から負圧を印加することによって、前記ノズルの吐出口からインクを吸引する吸引手段を備えたインクジェット記録装置であって、前記吸引手段は、前記吐出口に第1の負圧を印加した後、前記第1の負圧より大きい前記第2の負圧を吐出口に印加することによって前記ノズルの前記吐出口からインクを吸引するよう構成され、前記ノズル内に存在する泡をノズルの吐出口から排除するために必要とされる負圧の最小値をP1、前記吐出口に印加した際に前記ノズルへのインク供給側から前記ノズルへと新たな泡が引き込まれる負圧の最小値をP2としたとき、前記第1の負圧と前記第2の負圧のうち少なくとも一方の負圧を前記負圧P1以上かつ前記負圧P2未満とすることを特徴とする。
本発明の第2の形態は、インクジェット記録装置に用いられる記録ヘッドの吐出性能を回復させるため、前記記録ヘッドに設けられた複数のノズルの吐出口に対し、外部から負圧を印加することによって前記吐出口からインクを吸引する吸引回復方法であって、前記吐出口に第1の負圧を印加する工程と、前記第1の負圧より大きい前記第2の負圧を吐出口に印加する工程と、を備え、前記ノズル内に存在する泡を前記ノズルの前記吐出口から排除するために必要とされる負圧の最小値をP1、前記吐出口に印加した際に前記ノズルへのインク供給側から前記ノズルへと新たな泡が引き込まれる負圧の最小値をP2としたとき、前記第1の負圧と前記第2の負圧のうち少なくとも一方の負圧を前記負圧P1以上かつ前記負圧P2未満とすることを特徴とする。
本発明によれば、環境温度の変動や記録装置本体の個体差などに起因するチャージ負圧のばらつきなどに影響されることなく、チャージ吸引を用いた吸引回復を確実に実行することが可能になる。
本実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。 図1に示した記録ヘッドの構成を示す斜視図である。 図2に示した記録素子基板における吐出口、液路などの配置を示す模式図である。 図2に示した液室とこれに接続されるノズルおよび吐出口を示す説明図である。 本実施形態における吸引回復機構の構成を模式的に示す図である。 本実施形態における制御系の概略構成を示すブロック図である。 第1の実施形態における吸引回復動作の負圧波形を示す図である。 標準プリンタ、強プリンタ、弱プリンタに対し本実施形態のチャージ吸引を実施した際の負圧波形を示す図である。 第1の実施形態におけるチャージ吸引の負圧波形の他の例を示す図である。 第2の実施形態におけるチャージ吸引の負圧波形を示す図である。 第2の実施形態におけるチャージ吸引の負圧波形の他の例を示す図である。 チャージ吸引における過大、適正、過小なチャージ負圧を示す図である。 チャージ吸引前後のノズル泡の発生状態を示す模式図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置ともいう)の概略構成を示す斜視図である。図1に示す記録装置は、記録ヘッド2をキャリッジ1と共に主走査方向(X方向)へと走査させつつ、記録媒体にインクを着弾させて記録を行う、いわゆるシリアル型の記録装置となっている。キャリッジ1は、装置本体に設けられたガイド軸に沿ってキャリッジモータの駆動力により主走査方向へと往復移動する。このキャリッジ1には、記録ヘッド2が着脱可能に搭載され、さらに記録ヘッド2にはインクを供給するインクタンク3が着脱可能に保持される。インクタンク3としては、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクを収納した独立のインクタンクが用意されており、それぞれが記録ヘッド2に対して着脱可能となっている。なお、本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエローを用いているが、本発明はこの3色のインクを使用する場合に限定されるものではない。前記3色の中の2色以下のインクを用いる場合、あるいは前記3色以外のインクを用いる場合にも本発明は適用可能である。
また、記録ヘッド2は、図2に示すように、記録素子基板211、フレキシブル配線基板212、支持基板213,流路形成部材214などを有している。記録素子基板211は、シリコン基板に、インクを吐出するための複数の記録素子と、各記録素子に電力を供給する電気配線とが成膜技術によって形成されている。さらに、記録素子基板211には、記録素子に複数のインク流路(ノズル)と、各ノズルの端部に形成された複数の吐出口とがフォトリソグラフィー技術により形成されている。記録素子基板211の裏面(吐出口が形成されている面の反対側の面)には、各ノズルにインクを供給するためのインク供給口が形成されている。この記録素子基板211は、支持基板2に接着固定されており、記録素子基板211のインク供給口と支持基板213内に配列された空間とにより、インクを保持する液室15が図3および図4に示すように構成されている。
図3は、記録素子基板211に設けられた、液室15C,15M,15Y,15Cとこれに連通するノズルに形成されている吐出口14L,14M,14Sを示している。また図4は図3に示した液室と、各色のインクに対応したノズルと、ノズルの一端部に形成されている吐出口とを拡大して示す説明図である。図3に示すように、記録素子基板211には、Cインク液室15C、Mインク液室15M、Yインク液室15Yが設けられている。また、Cインク液室15CおよびMインク液室15Mには、それぞれ開口面積の異なる3種類の吐出口14L,14M,14Sがノズルを介して連通している。
図4に示すように、Cインク液室15CとMインク液室15Mには、液室15の片側に5plの液滴を吐出するための幅広のノズル12Lが複数形成され、各ノズル12Lの端部に形成されている吐出口14Lによって吐出口群LGが形成されている。また、液室15の反対側には1pl液滴を吐出するためのノズル12Sが形成され、その端部に形成されている吐出口14Sによって吐出口群MSが形成されている。さらに、液室15の反対側には、2pl液滴を吐出するためのノズル12Mが形成され、その端部に形成されている吐出口14Mによって吐出口群MGが形成されている。ノズル12S及び12Mは、ノズル12Mよりも小さい幅に形成されており、ノズル12Sの流路長はノズル12Mの流路長よりも長い。また、各吐出口14L,14M,14Sの開口面積は、14L>14M>14Sの関係となっている。従って、ノズル内でのインクの流抵抗は、ノズル12L>12L>12Sの関係となっている。このように、本実施形態に用いる記録ヘッドは、同一液室に吐出量の異なる、すなわち流抵抗が異なるノズルが混在して接続される記録ヘッド(非対称ノズルヘッド)となっている。
本実施形態におけるインクジェット記録装置には、キャリッジ1に搭載された記録ヘッドの吐出性能の維持および回復を行うための吸引回復機構20が、図1に示すように記録ヘッド2の往復走査経路の一方の端部に設けられている。
図5は、吸引回復機構20の構成を模式的に示す図である。ここに示す吸引回復機構20は、上記のような非対称ノズルヘッドのC、M、Yの3色のノズルを、1つの吸引キャップにて同時に吸引回復するのに適したものであり、次のような構成を有する。すなわち、吸引回復機構2は、記録ヘッド2の吐出口が形成されている面(吐出口面)2aに対して当接、離間が可能なキャップ26と、チューブポンプ22(負圧発生手段)と、チューブポンプ22とキャップ26とを連結するインク経路23とを有する。また、吸引回復機構20のインク経路23には、チューブポンプ22とキャップ26との連通、遮断を切換えるチャージ弁26が連結されている。さらに、キャップ26には吐出口面との当接状態においてキャップ26と吐出口面とによって形成される空間を大気に連通させる大気連通弁25がチューブ25aを介して連結されている。チューブポンプ22は、円弧形状をなすハウジング22aの内面に沿って配置された可撓性を有するチューブ22bと、モータの駆動力によって回転する回転体22と、この回転体22の周面に等間隔に配置された複数(ここでは3個)のコロ27と、を有する。コロ27は、回転体22と共にチューブ22bを押し潰しながら転動し、チューブ内のインクあるいは空気を廃インク収納部へと送り出し、チューブ22bおよびこれに連結されているインク経路23内に負圧を発生させる。
ここで、図6に基づき本実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動を制御する制御系の概略構成を説明する。同図において、CPU200は演算、判別、制御などの処理を行う制御手段としてのCPUであり、後述の各部の制御やデータ処理などを行う。ROM201には、CPU200によって実行する処理のプログラムやデータなどが格納されている。また、RAMには、CPU200における処理を実行する際のワークエリアおよび種々の入力データを格納するエリアが設けられている。
CPU200には、記録ヘッド2のノズルからインクを吐出させるための吐出エネルギー発生素子(記録素子)を駆動するためのヘッド駆動回路2D、及び各部の駆動源となるモータの駆動回路が接続されている。すなわち、CPU200は、モータ駆動回路203D,204D,205Dを制御し、前述の吸引回復ポンプを駆動するポンプモータ205、キャリッジモータ203、給紙モータ204の駆動を制御する。また、CPU200には、大気連通弁21及びチャージ弁25の開閉駆動を行うための駆動回路21D,25Dがそれぞれ接続されている。以上の制御系は、インクジェット記録装置の装置本体に搭載されている。さらに、CPU200は、インターフェース回路208を介してパーソナルコンピュータなどのホスト装置210に接続されており、ホスト装置と本体部との間で記録に関する情報の授受を行う。
記録動作に際し、インクジェット記録装置の装置本体では、ホスト装置210からインターフェース回路208を介して送信された記録データを受信し、その記録データを一旦プリントバッファに格納する。この後、CPU200は、格納した記録データに基づきヘッド駆動回路2D、モータ駆動回路203、204等を駆動し、記録ヘッドからのインクの吐出、およびキャリッジの駆動、および記録媒体の搬送などの動作を制御して、記録媒体に画像を記録する。さらに、記録ヘッドのノズルの吐出性能の維持、回復を行うため、CPU200は弁駆動回路21D,25Dおよびモータ駆動回路205Dを制御して大気連通弁21,チャージ弁25およびポンプモータ205の駆動を制御する。以下、この吸引回復動作について説明する。
吸引回復機構20によって、記録ヘッド2あるいはインクタンク3を装着した当初は、インクタンク3から記録ヘッド2へと比較的多くのインクを移動させる必要がある。この場合には、吸チャージ弁21を開いた状態でチューブポンプ22を駆動するコロ吸引を行う。また、ノズル内のインクに含まれた小泡(ノズル泡)を少量のインクと共に排出する場合には、チャージ弁21を用いたチャージ吸引を行う。チャージ吸引では、まず、チャージ弁21を閉じた状態でチューブポンプ22を駆動し、所定のポンプ駆動量により排気あるいはインクの排出を行い、インク経路23における中間経路23bに負圧を蓄える。この後、チャージ弁21を開放することにより、キャップ26内には急激な負圧が印加され、記録ヘッド2の吐出口からノズル内のインクが排出され、これと共にノズル内に存在していた小泡(ノズル泡)も排出される。チャージ弁開放の約150ms後には大気開放弁25が開放され、キャップ26内は大気圧に戻る。
なお、インク経路23のうち、チャージ弁21とキャップ26とを連通させるインク経路は内径1mmの可撓性チューブ23aで構成される。またチューブポンプ22とチャージ弁21を連通させる経路は、内径3mm、肉圧1mm、ゴム硬度60°のシリコーンチューブ23bで接続される。このシリコーンチューブ23b(中間経路とも言う)がチャージ弁21の開放前に負圧を蓄えるスペースとなる。但し、使用するチャージ負圧によっては、中間経路23を構成する可撓性チューブがチューブ内の負圧に負けて潰れた状態に変形する。しかし、チャージ弁21が開かれると、インクの吸引に伴い中間経路内の負圧が大気圧に近づき、同時に潰れたチューブも復元する。
インクタンクから供給されるインクは25℃にて約2.5mPa・sの粘度を有する。3種類の各ノズルは各々600dpiの密度で配列されており、1液室あたり512本のノズルが設けられている。また、記録ヘッド2では、図4に示す3種類のノズル12L,12M,12Sの中で、ノズル12Sの流抵抗が最も大きく、ノズル12Lの流抵抗が最も小さい。そして、コロ吸引でインクを比較的低速で多量に排出した場合、吸引によるインク流は流れやすい経路に偏る性質がある。このため、流抵抗が小さいためにインクが流れ易いノズル12L内に存在するノズル泡は、インクをキャリアとして容易に外部へと排出される。また逆に、ノズル12Sは流抵抗が大きくインク流が少ないため、そこに滞留するノズル泡も動きにくく排出されにくい。これに対し、チャージ吸引では、全てのノズルに衝撃的な負圧が印加されるため、流抵抗の差による影響をコロ吸引ほど受けず、ノズル内のノズル泡を少量のインクと共に吐出口14から排出することができる。但し、図12のようにチャージ吸引においてP2以上の過大な負圧を印加した場合、図13(a)のようにチャージ吸引前にはノズル泡16が存在していなかったノズルに、図13(b)のように液路側から新たにノズル泡16が引き込まれ、残留する現象が生じる。これが、いわゆる入込みである。なお、図13において、P2はチャージ吸引によって入込みが発生しない負圧の最大値を示し、P1はノズル内に存在しているノズル泡を排出可能な負圧の最小値を示している。つまり、この負圧P1未満ではチャージ吸引を行ってもノズル泡をノズル内から排出することはできない。そこで本実施形態では、チャージ吸引を行う前にノズル内に存在する既存のノズル泡の排出と、入込みの防止とを両立させることが可能な吸引回復動作を行う。以下、この吸引回復動作について説明する。
まず、記録ヘッド2の液室とノズルの双方にインクを充填する場合の吸引回復動作について説明する。このような吸引回復動作を必要とする状況としては、未使用の記録ヘッド2を装着した場合、新たなインクタンクに交換した場合、あるいは記録動作が長期に亘って休止していた場合、などがある。このような状況にある場合には、まず、コロ吸引によって波形Wとなる負圧を印加することによってインクタンク3から液室15およびノズルにインクを充填する。このコロ吸引の後、負圧波形がWcaとなる負圧を印加するチャージ吸引A(第1のチャージ吸引)と、負圧波形がWcbとなる負圧を印加するチャージ吸引Bとを行うことによって、ノズルからインクと共にノズル泡を排出させる。
図7の負圧波形Wca,Wcbに示すように、チャージ吸引Aによって印加される負圧は、チャージ吸引Bによって印加される負圧よりも低い負圧となっている。そして、チャージ吸引Aとチャージ吸引Bとによって印加する負圧のうち、少なくとも一方の負圧は、ノズル内に存在しているノズル泡を排出可能な最小の負圧P1以上、かつチャージ吸引によって入込みが発生しない最大の負圧P2未満に定められている。このため、チャージ吸引前に発生している気泡をノズルから確実に排除できると共に、入込み現象の発生も抑えることが可能になり、ノズル内のインクを吐出に支障を来たすことのない適正な状態に保つことができる。以上のように、記録ヘッド2の液室とノズルの双方にインクを充填する場合には、1つの吸引回復動作としてコロ吸引と、2種類のチャージ吸引A,Bの合計3回の吸引動作を順次行う。この一連の吸引回復動作は、CPU200が1つの吸引回復動作指令を受けてモータ駆動回路205D、弁駆動回路25D,21Dなどを介してポンプモータ205、チャージ弁25および大気連通弁21などを制御することにより実行される。
一方、液室までの充填が確保されている状態で1〜2本程度の少数のノズルに不吐出が生じた場合、1つの吸引回復動作として、図7(b)に示すような負圧波形Wcaのチャージ吸引Aと、負圧波形Wcbのチャージ吸引Bとを順次行い、ノズル泡の排出を行う。すなわち、この吸引回復では、図7(a)のようなコロ吸引は行わず、図7(b)に示すようなチャージ吸引Aとチャージ吸引Bのみを行う。この図7(b)に示すチャージ吸引A,Bは、図7(a)に示すチャージ吸引A,Bと同様であり、ノズル泡の排出は同様に行うことができる。さらに、この図7(b)に示す吸引回復では、図7(a)に示す吸引回復に比べ、吸引排出されるインク量を少なくすることができ、インク消費量は低減される。
ノズル泡を排出するために必要な最小の負圧P1、入込みを生じる最小の負圧P2は記録ヘッドのノズル構成、インク粘度、および回復機構などにより各々決定される。ある系の負圧P1、P2を知るためには、例えば下記の手順を用いればよい。
まず、キャップ26とチャージ弁21の間の吸引チューブに圧力センサを設ける。この場合、圧力センサはそれを設けることでポンプとキャップ間の吸引状態に影響しないように三股フィッテイングなどを用い注意深くセットする必要がある。
次に、ノズルおよび液室15にインクを充填し、ノズルの顕微鏡観察や印字によりノズル泡が存在することを確認する。チャージ負圧は、チャージ弁開放前のポンプ回転量を変えることで変動させることができる。チャージ吸引の際のポンプ回転量を様々に選び、ノズル泡を排出し得る最も小さなチャージ負圧を確認しこれを負圧P1とする。
以上の実験を反復し、チャージ負圧を徐々に大きくして行くと、負圧P1以上でノズル泡を排除可能でかつ入込みがない安定な負圧領域になる。さらにチャージ吸引の際のポンプ回転量を増してチャージ負圧を増大させると、入込みが生じる負圧に到達する。ここで、入込みが生じる最も小さな負圧をP2とする。従って、ここで設定したP2以上の負圧のチャージ吸引では、入込み現象がみられることとなる。
本実施形態のチャージ吸引の特徴は、1つの吸引回復動作の中で、チャージ負圧の大きいチャージ吸引の後に、チャージ負圧の小さいチャージ吸引を行うことで、個々の吸引回復機構がもつ吸引性能の差によらず安定したノズル泡の排除性能が得られることにある。以下、図1を参照しつつ、チャージA,チャージBそれぞれのチャージ負圧の適切な設定手順を説明する。なお、ここでは、負圧P1,P2は各々28KPa、43KPaとする。
一般に、吸引回復機構の中間経路23の内径には、記録装置毎にばらつきがあり、ポンプが同じ駆動を行っても、中間経路にて発生するチャージ負圧には差が生じる。例えば、中間経路23の内径が比較的小さな吸引回復機構を有する記録装置(プリンタ)では、所定のポンプ駆動を行った後のチャージ負圧はやや小さい。また中間経路23の内径が比較的大きな吸引回復機構を有する記録装置(プリンタ)は、所定のポンプ駆動を行った後のチャージ負圧はやや大きくなる。ここでは、前者を弱プリンタ、後者を強プリンタと呼ぶことにする。また両者の中間の排気性能をもつ記録装置(プリンタ)を標準プリンタと呼ぶ。
以下では、例として強プリンタ、弱プリンタのチャージ負圧の差異が標準プリンタに対して±10%、レンジで約20%の場合の、チャージ吸引の実施手順を説明する。
本実施形態のチャージ吸引の設定は、標準プリンタにおいて行い、図8(a)に示すように、チャージ吸引Aの負圧を40KPa、チャージ吸引Bの負圧を33KPaとする。チャージ吸引の負圧はチャージ弁開放前のポンプ回転量などを変えることで制御する。強プリンタ、弱プリンタのチャージ負圧は、標準プリンタに対する負圧の±10%の差異を反映して、図8(b),(c)に記載した数値になる。すなわち、強プリンタにおいては、チャージ吸引Bの負圧が38KPa、弱プリンタにおいては、チャージ吸引Aの負圧は36KPaとなり、これらの負圧は、いずれもP1以上、P2未満の値となる。
上記のように、標準プリンタにおいては、チャージ吸引A、Bともに負圧P1とP2の間にあるため、ノズル泡は入込みを生じることなく排出される。なお、この場合には、チャージ吸引Aによってノズル泡が排除されてしまい、チャージ吸引Bの実施前にはノズル泡が存在しない可能性が高い。しかし、チャージ吸引Bを行っても弊害はない。
一方、強プリンタでは、チャージ吸引Aの負圧が、入込み負圧P1を超えるため、入込みを生じる。しかし、続くチャージ吸引Bにて、入込み泡が排除されるため、ノズル内のインクは吐出に適した良好な状態になる。また、弱プリンタでは、チャージ吸引Aにて入込みを生じずにノズル泡を排出するため、チャージ吸引Bにおける負圧がP1未満の負圧であったとしても、ノズル内にノズル泡が存在することはない。
以上のように本実施形態では、強いチャージ吸引Aと比較的弱いチャージ吸引Bのいずれか一方の負圧が、P1以上P2未満の範囲にあるように設定し、チャージ吸引A、チャージ吸引Bの順に吸引する。これにより、吸引回復機構の性能差を補った良好なチャージ吸引回復が可能となる。同時に、プリンタの吸引回復機構に性能差があってもプリンタ個別にポンプ駆動量を調整する必要がなく、プリンタの生産性を向上させることができる。
また、長期間プリンタが放置された場合、記録ヘッド内のインクが増粘するなどして負圧P1が大きくなり、弱プリンタのチャージ吸引Bによる負圧の印加では、ノズル泡の排出効果が期待できなくなることも考えられる。しかし、この場合にも、チャージ吸引Bに先行して実施されるチャージ吸引Aのチャージ負圧は、P1以上となっているため、このチャージ吸引Aによってノズル内からはノズル泡が排出される。従って、プリンタの回復信頼性に支障を来すことはない。
また、チャージ吸引Aのチャージ負圧が入込み発生負圧P2以上である場合、ノズルには入込によって新たに小泡(以下、入込み泡ともいう)が生じる可能性があるが、連続する2つのチャージ吸引の時間間隔A,Bが短ければ、入込み泡の排出には有利である。一般に、ノズルに連通する吐出口からの水分蒸発によりノズル内のインクは、インクタンクのインクより増粘した状態にある。しかし入込みが生じるということは、ノズル内に入込み泡と共にインクタンクから新しい低粘度のインクが再充填されることを意味する。インクが低粘度であれば、比較的小さなチャージ負圧でノズル泡(ここでは、入込み泡)を排出することができ、入込み負圧P1に対してチャージ負圧に十分なマージンを確保することができる。例えば、本実施形態のように、チャージ吸引Aとして、ノズル泡を排出するために25〜45KPa程度の負圧を印加する記録ヘッドでは、チャージ吸引Aとチャージ吸引Bの時間間隔を3分以内とすることが好ましい。より好ましい時間間隔は、1分以内である。
本実施形態では、チャージ吸引回復を実施する際に、チューブポンプ22の停止、チャージ弁21の開放、大気連通弁25の開放の順に行い、図7および図8に示す波形の負圧を印加するようにした。しかし、これ以外の手順として、チューブポンプ22の駆動を継続したままチャージ弁21を開放する方法を用いてもよい。
また大気開放弁25の開放時刻をチャージ弁の開放より200〜1000ms程度あるいはそれ以上に遅らせ、チャージ吸引による衝撃的な吸引を行った後の負圧の減小カーブを比較的緩やかにして、チャージ吸引のインク排出量を調整することも可能である。
また、図9に示すように3つ以上のチャージ吸引を同一の吸引回復動作の中で連続して行うことも考えられる。図9に示す負圧の波形は、記録装置の環境温度が常温である場合に印加する負圧の波形である。図9(a)は、入込み発生負圧P2(=42KPa)以上の負圧(ここでは、42KPa)を発生させるチャージ吸引A(第1の吸引)を2回行った後、入込み泡を排除する負圧(38KPa)を印加するチャージ吸引B(第2の吸引)を行う例を示している。これによれば、未使用状態で長期間放置され、ノズル内のインクが非常に増粘した場合にも、ノズル内のインクを新鮮な低粘度のインクに置換することが可能になり、より確実にノズル泡を排除することが可能になる。
また、チャージ吸引を3回行う他の例としては、図9(b)に示すように、負圧大(=45KPa)、負圧中(=39KPa)、負圧低(=36KPa)の3種類の負圧を印加するチャージ吸引を行うことも可能である。この場合、負圧大は本発明におけるチャージ吸引A(第1の負圧)に相当し、負圧中と負圧小はチャージ負圧B(第2の負圧)に相当する。
なお、上記実施形態ではチャージ吸引動作として、インク吐出口に対し、異なる負圧を2回または3回印加する場合を例に採り説明した。しかしながら、チャージ吸引における負圧を複数回印加する場合、その回数は特に2回または3回に限定されるものではない。すなわち、強いチャージ吸引Aと比較的弱いチャージ吸引Bのいずれか一方の負圧を、P1以上P2未満の範囲にあるように設定し、チャージ吸引A、チャージ吸引Bの順にチャージ吸引を実行するようにすれば、チャージ吸引を4回以上行うことも可能である。また、本実施形態における効果は、吸引回復機構20の中間経路23が非可撓性のチューブであっても同様に得ることができる。
以上のように、本実施形態によれば、チャージ吸引によってノズルからノズル泡を確実に排除することが可能であるため、廃インク量を抑えることが可能となり、ランニングコストの低減を図ることができる。従って、一つの液室に多数のノズルが配列された記録ヘッド、例えば、ノズル配列長さが1インチ以上である長尺な記録ヘッドに対し、本実施形態における吸引回復は極めて有効である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態においても、図1ないし図6の構成を備えるものとする。
この第2の実施形態は、1つの吸引回復動作の中で、環境温度に影響を受けない確実な回復を行うものである。すなわち、インクジェット記録装置では、環境温度によってインク粘度や吸引回復機構のチューブの復元力などが変動し、これが吸引回復性能に変動を来すことがある。そのため、本実施形態では、所定のチャージ負圧を印加するチャージ吸引Aの後、これより小さいチャージ負圧を印加するチャージ吸引Bを実施することにより温度環境の変化などに影響されることのない、安定した吸引回復性能を実現するものとなっている。
以下、図10を参照しつつこの第2の実施形態におけるチャージ負圧の適切な設定手順を説明する。
まず、この第2の実施形態において使用する記録装置の温度環境の変動による吸引回復性能の変化の例を説明する。この第2の実施形態における記録装置では、インクジェット記録装置を正常に動作させることが可能な環境温度範囲を5〜30℃とし、粘度がやや大きいインクを使用するものとする。そのためノズル泡を排出するために必要な最小のチャージ負圧P1は、やや大きな負圧に設定することが必要となる。ここでは、一例として34KPaの負圧をP1とする。また、入込みの発生は、チャージ吸引時のインクへの衝撃で泡がノズルへのインク供給側(液室側)から流入することが原因であるため、多少のインク粘度差は入込みの発生負圧P2には大きく変わらない。従って、入込み泡が生じ始めるチャージ負圧P2は、42〜43KPaとすればよい。
図5に示す吸引回復機構20における中間経路23のチューブがチューブ内の負圧に負けて潰れた状態に変形する場合、そのチューブの復元力はチャージ負圧の大きさに影響を及ぼすと考えられる。例えば、常温環境下ではチューブがチャージ弁の開放時に瞬発的に復元するのに対し、低温環境下ではゴム硬度が高まるため、潰れたチューブの復元が遅くなる。このため図5に示す吸引回復機構20では、低温環境下においてチャージ負圧が若干低下する。
本実施形態の記録ヘッドにおいて、ノズル12S内のノズル泡を排除するために必要とされる最小のチャージ負圧P1は、インクが増粘する5℃(最低環境温度)の下では、34KPaであった。また、常温ではインク粘度が低下するため、必要とされるチャージ負圧P1は34KPaより小さくなるが、吸引回復機構としては、上記のような低温環境下での使用も考慮して、少なくともP1=34KPaを得られるようにポンプ駆動条件を設定する必要がある。
また、入込み泡が生じる最小の負圧P2は、環境温度によってインクの粘度が変動したとしても、前述のように入込みの発生負圧P2に大差はなく5〜30℃において42〜43KPaであった。一方、同一駆動条件で吸引回復機構20を駆動した場合、5℃におけるチャージ負圧は、常温(25〜30℃)におけるチャージ負圧より約11〜12%小さくなった。
以上のような温度環境による吸引回復性能の変化に鑑み、この第2の実施形態では、チャージ吸引Aとチャージ吸引Bを実施するための駆動条件を以下のように定める。すなわち、先行して実施するチャージ吸引Aについては、環境温度が5℃である場合に得られるチャージ負圧が、図10に示すP1(=42KPa)とP2(=34KPa)の間の40KPaとなるように吸引回復機構の駆動条件(ポンプモータの速度)を定める。また次に実施するチャージ吸引Bについては、常温においてP1とP2の間の値となる38KPaのチャージ負圧が得られるように吸引回復機構の駆動条件を定める。
吸引回復機構20では、チャージ吸引Aおよびチャージ吸引Bそれぞれのチャージ負圧は、いずれも環境温度に対してほぼ同じ比率で増減する。従って、上記のような駆動条件で吸引回復機構を駆動した場合、5℃ではチャージ吸引AとチャージBのいずれも、チャージ負圧が常温より約11〜12%小さくなり、常温、低温それぞれにおける各チャージ負圧は図10に示すような数値になった。
このように本実施形態では、常温時にチャージ吸引Bのチャージ負圧がP1以上P2未満の値となり、低温時にチャージ吸引Aのチャージ負圧がP1以上P2未満の値になるように吸引回復機構の駆動条件を定めている。このため、低温ではチャージ吸引Aにて、入込みを生じずにノズル泡を排出することができる。また、常温では、チャージ吸引Aの負圧が増加して入れ込み負圧P2を超えるため、入込みが生じる。しかし、続いて実施されるチャージ吸引Bでは、チャージ負圧がP1以上P2未満となるため、入込み泡は排出され、インク吐出に適した良好なインク状態を維持することができる。
また、チャージ吸引A、Bそれぞれのチャージ負圧は、環境温度によってインク経路を構成するチューブのゴム強度が変化することによって、いずれも一定の比を保ったまま変動する。従って、この低温時のチャージ吸引A、常温時のチャージ吸引Bそれぞれのチャージ負圧をP1以上P2未満に設定することで、5〜30℃の環境温度において、チャージ吸引A、Bのいずれか一方は、必ずP1とP2の間のチャージ負圧値をとることができる。これにより本実施形態における記録装置は、正常使用温度の範囲である5〜30℃全域において、入込みを生じずにノズル泡を排出することが可能となる。
また、前述の第1の実施形態において説明した弱プリンタが5℃の低温環境で使用された場合には、チャージ負圧の低下が懸念される。しかし図11に示すように、5℃の温度環境下においてチャージ負圧が10%程度減少しても、チャージ吸引Aが負圧P1とP2の間にあるように設定されているので、吸引回復性能に支障を来すことはない。
1 インクジェット記録装置
2 記録ヘッド
11 ヒータ
12 ノズル
14 吐出口
15 液室
16 ノズル泡
17 入込み泡
20 吸引回復機構
21 チャージ弁
22 チューブポンプ
23 中間経路
24 シリコーンチューブ
25 大気開放弁
26 吸引キャップ

Claims (7)

  1. 複数のノズルを有する記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行うと共に、前記複数のノズルの吐出口に外部から負圧を印加することによって、前記ノズルの吐出口からインクを吸引する吸引手段を備えたインクジェット記録装置であって、
    前記吸引手段は、前記吐出口に第1の負圧を印加した後、前記第1の負圧より大きい前記第2の負圧を吐出口に印加することによって前記ノズルの吐出口からインクを吸引するよう構成され、
    前記ノズル内に存在する泡を前記ノズルの前記吐出口から排除するために必要とされる負圧の最小値をP1、前記吐出口に印加した際に前記ノズルへのインク供給側から前記ノズルへと新たな泡が引き込まれる負圧の最小値をP2としたとき、前記第1の負圧と前記第2の負圧のうち少なくとも一方の負圧を前記負圧P1以上かつ前記負圧P2未満とすることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記第1の負圧と前記第2の負圧のうちいずれか一方の負圧のみが前記負圧P1以上かつ前記負圧P2未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記第1の負圧および前記第2の負圧が、前記負圧P1以上かつ前記負圧P2未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記第1の負圧を前記吐出口に対して複数回印加した後、前記第2の負圧を印加することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記吸引手段は、前記インクジェット記録装置を正常に動作させることが可能な環境温度範囲の中の最低環境温度において前記負圧P1以上かつ前記負圧P2未満となる負圧を前記第1の負圧として印加すると共に、前記最低環境温度より高い所定の環境温度において前記第2の負圧が前記負圧P1以上かつ前記負圧P2未満となる負圧を前記第1の負圧として印加することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記吸引手段は、1つの回復動作指令に応じて前記吐出口に第1の負圧を印加した後、前記第2の負圧を前記吐出口に印加することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  7. インクジェット記録装置に用いられる記録ヘッドの吐出性能を回復させるため、前記記録ヘッドに設けられた複数のノズルの吐出口に対し、外部から負圧を印加することによって前記吐出口からインクを吸引する吸引回復方法であって、
    前記吐出口に第1の負圧を印加する工程と、
    前記第1の負圧より大きい前記第2の負圧を吐出口に印加する工程と、を備え、
    前記ノズル内に存在する泡をノズルの前記吐出口から排除するために必要とされる最小の負圧をP1、前記吐出口に印加した際に前記ノズルへのインク供給側から前記ノズルへと新たな泡が引き込まれる負圧の最小値をP2としたとき、前記第1の負圧と前記第2の負圧のうち少なくとも一方の負圧を前記負圧P1以上かつ前記負圧P2未満とすることを特徴とする吸引回復方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014054756A (ja) * 2012-09-12 2014-03-27 Canon Inc 液体吐出ヘッド

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