JP2011177768A - 内面溝付管及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】管内面に複数の溝を形成する溝加工工程において転動体が管外周を転動する際に、管外面にまくれ込みが発生することを防ぎ、管外面の性状、耐圧強度、拡管時の強度、耐腐食性、品質保証性といった品質において優れた内面溝付管、及び、その製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】
素管1aの外面を管周方向に沿って転動する転動体33で押圧しながら該素管の内面を、管内部に備えた溝付プラグ32に押し付けて該素管1aの内面に複数の溝を形成する溝加工工程31Aを行う内面溝付管の製造方法であって、前記素管の外面に、平滑処理を施す外面平滑化処理工程11Aを行い、前記外面に平滑処理を施した素管に対して前記溝加工工程31Aを行う。
【選択図】図2

Description

この発明は、冷凍機や空調機器などの熱交換器に用いられる内面溝付管及びその製造方法に関する。
冷凍機や空調機器などの熱交換器に用いられる伝熱管には、伝熱性の向上を図るために、管内面に多数の螺旋状のフィンを平行に形成した内面溝付管が多く使用されている。
内面溝付管の製造には、特許文献1に開示の「内面溝付き管の加工装置」のように、素管を縮径する縮径部と、管内面に複数の溝を形成する溝加工部とを備えた製造装置が用いられることが多い。
特許文献1における「内面溝付き管の加工装置」は、縮径部を、縮径ダイスとフローティングダイスとで構成し、溝加工部を、複数の転造ボールからなる転造部と、外周に溝が切られている溝プラグとで構成している。
内面溝付管は、縮径工程と、溝加工工程とを経て製作することができる。
縮径工程では、素管を縮径ダイスにより縮径する工程である。溝加工工程では、複数の転造ボール(転動体)が管外周を転動しながら管外面を押圧し、管内部に備えた溝プラグに管内面を押し付けて、該管内面に複数の溝を形成する工程である。
しかし、溝加工工程においては、複数の転造ボールが管外周を押圧しながら転動する際に、転造ボールの押圧力、管のサイズや材質などの加工条件によって、素管に、著しい外面まくれ込みが発生してしまうという難点を有する。
詳しくは、図6(a)に示すように、転造ボール33は、管外面の通過直前の管肉を押し上げながら素管100aの外周を転動するため、素管100aの外面に傷101が存在していた場合、図6(b)〜(d)に示すように、転造ボール33が傷101のある部分を通過する際に、傷101が周方向に引き伸ばされることで著しい外面まくれ込みが発生する。
このような外面まくれ込みは、管外面において管軸方向に伸びた傷に沿って、互いに平行に複数あらわれるため、管外面が鱗状となる現象が確認されており(図9参照)、このような内面溝付管は、管外面の性状を含めた品質の点で難点があった。
一方、伝熱管には、銅や銅合金などの銅系材料が使用されてきたが、多種多様な溝形状に対応するため優れた加工性や軽量化が要求されるなどに伴い、アルミニウムやアルミニウム合金などのアルミニウム系材料によるものも実用化が望まれている。
例えば、アルミニウム系材料の中でも伝熱管加工に適した3000番系などのアルミニウム合金は銅に比べて軟質であるため、このようなアルミニウム合金製の素管を用いて溝加工を行った場合、銅製の素管と比べて管外面に外面まくれ込みが特に顕著に発生し易く、深い傷になる。
これらの傷は深いものでは管外面から0.2mmに達し、外観に悪影響を及ぼすばかりか品質保証できないレベルに達してしまう。
例えば、品質保証の観点から内面溝付管に対して非接触欠陥検出方法、過流探傷試験などの従来より行っている品質検査を行った場合、傷や穴あき等が大きなノイズ源となり、精密な品質検査を行なうことが困難になるという難点を有する。
また、管外面に生じた傷の深さは、耐圧強度を考慮して設計上、耐圧肉厚から引かなくてはならないため、同じ外径の下で同じ耐圧強度を得ようとすると、より肉厚の製品にしなければならず圧力損失が増大してしまうという難点を有する。
さらに、熱交換装置の効率は、使用エネルギーと冷却能力の比で表されるため、圧力損失増加に伴い、熱交換サイクルの主な動力源のコンプレッサー出力が増大すると、熱交換装置全体の効率の低下につながるという難点も有する。
その他にも、管の耐食性についても肉厚にて保証しているので、傷によって有効耐食肉厚が減少する事で耐食性の劣る管になってしまう。
さらには、熱交換器作成時の拡管工程において管の強度不足から割れを生じてしまうという難点も有する。
従って、アルミニウム系材料の素管を用いた場合、管外面の性状を含めた品質の点で難点が生じるため、この点が伝熱管として用いる上での障害になっていた。
特開平8−192219号公報
そこでこの発明は、溝加工工程において転動体が管外周を転動する際に、管外面にまくれ込みが発生することを防ぎ、管外面の性状、耐圧強度、拡管時の強度、耐腐食性、品質保証性といった品質において優れた内面溝付管、及び、その製造方法の提供を目的とする。
本発明は、素管の外面を管周方向に沿って転動する転動体で押圧しながら該素管の内面を、管内部に備えた溝付プラグに押し付けて該素管の内面に複数の溝を形成する溝加工工程を行う内面溝付管の製造方法であって、前記素管の外面に、平滑処理を施す外面平滑化処理工程を行い、前記外面に平滑処理を施した素管に対して前記溝加工工程を行うことを特徴とする。
この発明の態様として、前記外面平滑化処理工程を、素管における、少なくとも伝熱管として使用する長さ部分の管外面に対して傷深さを0.01mm以下とする平滑処理を施す工程とすることができる。
またこの発明の態様として、前記素管を、アルミニウム系材料で構成することができる。
さらにまた、この発明の態様として、前記外面平滑化処理工程を、管外面の研磨処理を行なう素管外面研磨処理工程とすることができる。
また本発明は、管外面に対して平滑処理を施した素管を構成し、該素管の内面に複数の溝を形成した構成の内面溝付管であることを特徴とする。
この発明の態様として、前記素管を、少なくとも伝熱管として使用する長さ部分の管外面に対して傷深さが0.01mm以下となる平滑処理を施した管として構成することができる。
さらにまた、この発明の態様として、前記素管を、管外面を研磨した構成とすることができる。
また本発明は、管内面に複数の溝を形成した内面溝付管の製造に用いる素管であって、少なくとも伝熱管として使用する長さ部分の管外面に対して傷深さを、0.01mm以下とする平滑処理を施した構成であることを特徴とする。
本発明の内面溝付管の製造方法は、前記溝加工工程の前に、素管を縮径する縮径工程を行なってもよい。この場合、前記外面平滑化処理工程は、前記縮径工程の前に行なってもよく、或いは、前記溝加工工程と前記縮径工程との間に行なってもよい。
また、本発明の内面溝付管の製造方法では、溝加工工程後の内面溝付管の管外面の歪み等を滑らかに整形する仕上げ工程を行なってもよいが、該仕上げ工程は必須の工程ではないものとする。
前記外面平滑化処理工程では、素管の外面に傷深さが0.01mm以上の傷ができるだけ少なくなるよう管外面に対して平滑処理を施すことが好ましい。
前記伝熱管として使用する長さ部分とは、前記製造方法により製造した内面溝付管に対して、さらに拡管などの工程を経た後で熱交換器に組み込まれ、実際に最終加工品として使用される伝熱管の管軸方向の長さ部分を示す。
すなわち、平滑処理を施す工程は、内面溝付管の製造過程で引き抜かれる素管の全長に亘って施す必要はない。
前記外面平滑化処理工程では、前記素管外面研磨処理工程に限らず、電解液や特殊な薬剤により管外面を溶解させる、或いは、粉末体、液状体を管外面の傷に含浸させるなどして平滑化してもよい。
素管外面研磨処理工程では、研磨装置により自動で行なってもよく、また、研磨工具やヤスリを用いて手作業で行なってもよい。
素管外面研磨処理工程では、バフ研磨、ラッピング研磨、ショットブラストなど研磨方法は特に限定しない。
前記アルミニウム系材料には、アルミニウム材、アルミニウム合金材、又は、該アルミニウム材、若しくは、該アルミニウム合金材のクラッド材を含む。
前記素管は、前記アルミニウム系材料に限らず、例えば、銅系材料など熱伝導性に優れた金属であれば特に限定しない。
前記転動体は、例えば、転造ボールに限らず、ローラ、さらに、転造ボールとローラとを併用して構成することもできる。
この発明によれば、溝加工工程において転動体が管外周を転動する際に、管外面にまくれ込みが発生することを防ぎ、管外面の性状、耐圧強度、拡管時の強度、耐腐食性、品質保証性といった品質において優れた内面溝付管、及び、その製造方法を提供することができる。
特に、アルミニウム系材料であっても上述した品質において優れた内面溝付管、及び、その製造方法を提供することができる。
本実施形態の内面溝付管の製造に用いる製造装置の構成説明図。 本実施形態の内面溝付管の製造方法のフロー説明図。 管外面の傷の測定方法を説明する説明図。 テープ剥がし試験後の本実施形態の内面溝付管の管外面部分の写真。 本実施形態の内面溝付管の管外面部分の拡大断面写真。 外面まくれ込み発生の様子を模式的に示した説明図。 テープ剥がし試験後の比較例の内面溝付管の管外面部分の写真。 比較例の内面溝付管の管外面部分の拡大断面写真。 比較例の内面溝付管の管外面部分の拡大正面写真。
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
本実施形態の内面溝付管の製造方法は、図1、及び、図2に示すように、素管1cの外面を管周方向に沿って転動する転動体としての複数の転造ボール33で押圧しながら該素管1cの内面を、管内部に備えた溝付プラグ32に押し付けて該素管1cの内面に複数の溝を形成する溝加工工程31Aとを行う内面溝付管1eの製造方法である。さらに、前記素管1aの外面に、平滑処理を施す外面平滑化処理工程(11A)を行い、前記外面に平滑処理を施した素管1cに対して前記溝加工工程31Aを行う製造方法である。
前記外面平滑化処理工程(11A)は、素管1aの外面に対して研磨処理を行なう素管外面研磨処理工程11Aであり、該研磨処理によって、素管1aにおける、少なくとも伝熱管として使用する長さ部分の管外面に対して傷深さを0.01mm以下としている。
本実施形態の内面溝付管の製造装置10について図1を用いて詳述する。
なお、図1は、素管1a〜1cを引抜き方向Xへ引抜きながら本実施形態における内面溝付管1e(,1d)を製造する製造装置10の断面図である。
前記製造装置10は、引抜き方向Xの上流側から下流側に沿って順に縮径部21、溝加工部31、仕上げ加工部41を配設し、さらに下流側に、引抜き装置51を備え、これら構成により素管1a〜1cを連続加工して内面溝付管1eを製造している。
前記縮径部21は、通過する素管1bを縮径するための円筒状のダイス22と、該ダイス22で絞り込まれた素管1bの内周が押し付けられるよう素管1bの内部に挿入したフローティングプラグ23とを備えている。
前記ダイス22は、上流側部分が上流側へ向けて大径となるよう円錐状に開口したダイス孔22aを有している。
さらに、フローティングプラグ23は、下流側部分に下流側へ向けて小径となる円錐状の外周面を有している。
これにより、ダイス22とフローティングプラグ23とは、これらの間に素管1bを挟み込むようにして互いに係合している。
また、前記溝加工部31は、外周に複数の螺旋状溝32aが形成された溝付プラグ32と、複数の転造ボール33を備えている。
前記溝付プラグ32は、素管1cの内部に挿入され、前記フローティングプラグ23に対して連結棒34を介して独立して回動自在に連結されている。前記複数の転造ボール33は、自転、及び、軸回りに公転しながら転動し、素管1cの管外側において該素管1cを押圧するようそれぞれ管周方向において等分配して備えている。
前記仕上げ加工部41では、整形ダイス41を備え、該整形ダイス41のダイス孔41aを内面溝付管1dが通過することにより、例えば、前記溝加工部31における転造ボール33の押圧により生じた管外面の歪みを取り除き、管外面を滑らかに整形する加工を行っている。
前記引抜き装置51は、巻取りドラム52および巻取り用のモータM1を備え、該モータM1の回転駆動により内面溝付管1eを引張りながら巻取りドラム52に巻き付けている。
前記製造装置10を用いた本実施形態の内面溝付管1eの製造方法について図2を用いて詳述する。
素管外面研磨処理工程11Aでは、素管1aの管外面の傷深さが0.01mm以下となるまで管周全体に対して研磨を施す。
研磨処理は、溝加工工程31Aの前の素管1aの管外面に対して研磨工具やヤスリを用いて手作業で行なってもよく、或いは、研磨装置により自動で行なってもよい。
さらに、素管外面研磨処理工程11Aでは、前記引抜き装置51により素管1aを引抜き方向Xへ引抜きながら連続加工する工程の一部として素管1aに対して研磨処理を行なってもよく、或いは、素管1aを引抜きながら連続加工する前の別工程で素管1aに対して研磨処理を行なってもよい。
上述したように素管1aを連続加工する工程の一部として該素管1aに対して研磨処理を行なう場合、例えば、縮径部21の上流側に、図1中仮想線で示すように素管外面研磨部11を設置することで、素管1aの外面に対して研磨処理を自動で行なうことができる。
さらにこの場合、素管外面研磨部11は、図示しないが、例えば、柔軟な基布に砥粒を付着させた研磨部と、該研磨部を素管1aに押し当てた状態に保持し、適宜、回転、又は、スライドさせながら素管外面を研磨する可動部とで構成することができる。
続いて縮径工程21Aでは、素管1bをダイス22で絞り込んでフローティングプラグ23に管内面を押し付けて素管1bを縮径する。
溝加工工程31Aでは、溝付プラグ32、及び、複数個の転造ボール33により素管1cを縮径するとともに、複数個の転造ボール33が管周を転動しながら溝付プラグ32に管内面を押し付けて、該管内面に所定のリード角、及び、高さを有する螺旋状の複数の溝を形成する。
最後に、整形加工工程41Aでは、整形ダイス41により内面溝付管1dに対して所定の外径に仕上げるための整形を行うことにより、本実施形態の内面溝付管1eを得ることができる。
上述した製造方法により、以下のような様々な作用、効果を得ることができる。
内面溝付管1eの製造方法では、素管1aの外面に、平滑処理を施す素管外面研磨処理工程11A(外面平滑化処理工程)を行い、前記外面に平滑処理を施した素管1cに対して溝加工工程31Aを行うため、該溝加工工程31Aにおいて転造ボール33が管外周を転動する際に、傷が周方向に引き伸ばされるという、いわゆる外面まくれ込みの発生を防止することができる。
これにより、素管1aの外面に存在していた傷が深くなったり、傷の数が増えることを防ぐことができ、管外面の性状、耐圧強度、拡管時の強度、耐腐食性、品質保証性といった品質において優れた内面溝付管1eを得ることができる。
しかも、溝加工部31に変更、改良を加えたり、溝加工工程31Aで要する加工時間が増えることがなく、既存の溝加工部31、溝加工工程31Aのままで、上述したように内面溝付管1eの品質の向上を図ることができる。
また、前記素管外面研磨処理工程11Aでは、素管1aにおける、少なくとも伝熱管として使用する長さ部分の管外面に対して、傷深さを0.01mm以下とすることで、まくれ込みの発生をより一層、防ぐことができ、内面溝付管1eの上述した性能、品質を格段に向上させることができる。
また、上述したように、内面溝付管1eの製造方法では、素管1aの外面に、平滑処理を施す素管外面研磨処理工程11Aを行い、前記外面に平滑処理を施した素管1aに対して前記溝加工工程31Aを行う方法である。
このため、前記素管1aを、例えば、アルミニウム材、アルミニウム合金材、又は、該アルミニウム材、若しくは、該アルミニウム合金材のクラッド材などのアルミニウム系材料で構成した場合も同様に、管外面にまくれ込みが発生することがなく、上述した性能、品質において優れた内面溝付管1eを提供することができる。
よって、アルミニウム系材料の特性を活かして軽量な伝熱管を得ることができ、また、加工性に優れるというアルミニウム系材料の特性を活かして優れた製造効率で内面溝付管1eを製造することができる。
さらには、銅、銅合金などの従来から用いられている材質に加え、アルミニウム系材料も内面溝付管1eを製造する上での材料選択に加えることができ、材料選択の幅を広げることができる。
よって、本発明により、用途、材料コストの観点から最適な材料を選択することが可能となり、例えば、材料コストの変動による影響を緩和することもできる。
さらにまた、素管外面研磨処理工程11Aのように、管外面の研磨処理によって素管1aの外面を平滑にすることで、素管1aの外面を物理的、機械的に平滑化することができ、例えば、素管1aの外面の傷深さが0.01mm以下の平滑面など研磨の度合いに応じて所望の平滑面を確実に得ることができる。
(加工実験)
続いて、様々な素管(材料管)を用いて内面溝付管を作製し、上述した製造方法の有効性を検証する加工実験を行なった。
本加工実験では、表1に示すとおり、予め素管外面研磨処理工程11Aを経た素管として、実施例1,2の2本の素管1b(1b1,1b2)を用意し、素管外面研磨処理工程11Aを経ていない素管として、比較例1から3の3本の素管100a(100a1,100a2,100a3)を用意した。
さらに、本加工実験では、実施例1,2の素管1b、及び、比較例1から3の
素管100aのそれぞれに対して、順に上述した製造方法、すなわち、縮径工程
21A、溝加工工程31A、仕上げ工程41Aとを行い内面溝付管を作製した。
なお、これら内面溝付管を作製する加工実験をそれぞれ実験No1から5とした。
実施例1,2の素管1b、及び、比較例1から3の素管100aは、いずれも外径がφ20mm、肉厚が0.6mm、材質がA303であるアルミ管を用い、外径がφ10mm、肉厚が0.5mmの内面溝付管を作製するものとする。
実験条件として、実施例1,2の素管1b、及び、比較例1から3の素管100aの管外面の最大傷深さ、及び、傷の数は、表1に示すとおりである。
ここで、管外面の最大傷深さは、図3(a)に示すように、縮径工程21Aの前の素管100a(,1b)の断面を観察し、素管100a(,1b)の外面から傷の先端に垂直な線を下ろして該外面から傷先端に至る半径方向の距離を傷深さdと定義して測定して行なった。管外面の傷の数は、上述した傷深さの定義のとおり測定した傷の深さdが0.01mm以上の傷をカウントした数である。
詳しくは、素管の管外面の最大傷深さと傷の数に関して、比較例1から3の素管100aについては、上述したようにいずれも予め素管外面研磨処理工程11Aを経ていないことから、管外面には、0.01mm以上の傷が多数存在し、最大傷深さが0.01mmより大きくなっている。
これに対して実施例1,2の素管1bの管外面は、いずれも素管外面研磨処理工程11Aを経ていることから、管外面には、0.01mm以上の傷が、なし、或いは、僅かであり、最大傷深さが0.01mmより深い傷が存在しない。
なお、実施例2の素管100a2は、0.01mm以上の傷の数が3つカウントされたが、最大傷深さが0.01mmであることから、これら3つの傷の深さは、いずれも0.01mmであることがわかる。
また、本加工実験に用いる前記製造装置10としては、溝付プラグ32は、外径がφ9mm、溝深さが0.20mm、管軸方向に対する螺旋溝のリード角が30°のものを用いた。
本加工実験では、実験結果として、内面溝付管の管外面の傷、及び、外面まくれ込みを観測するとともに、渦流探傷試験により内面溝付管の品質を評価した。
詳しくは、実施例1,2の内面溝付管1e(1e1,1e2)、及び、比較例1から3の内面溝付管101a(101a1,101a2,101a3)の管外面の傷の観測では、溝加工工程31Aの後の内面溝付管の断面において、図3(b)に示すような傷102,103の先端に管外面から垂直な線を下ろして該管外面から傷先端に至る半径方向の距離を傷深さdと定義して測定した。
また、管外面の傷の数は、上述した傷深さの定義のとおり測定した傷の深さが0.01mm以上の傷をカウントした数である。
外面まくれ込みについては、観測された傷のうち外面まくれ込みと判断された傷が存在した管を「×」、観測されなかったものを「○」とした。
なお、内面溝付管には外面まくれ込み以外にも多数の傷が存在するが、外面まくれ込みで生じた傷は、管を断面視した状態で管外面に対して斜めに走っており先が細くなっているという特徴を有しているため、容易に判別できる。例えば、図3(b)中の102は、外面まくれ込みであり、103は、外面まくれ込みではない。
また、前記渦流探傷試験では、先ず実施例、及び、比較例で得られた各内面溝付管1e,101aの管外面に予め意図的に傷をつけておき(これを「基準外面欠陥」という。以下、同じ)、公知の渦流探傷試験機による前記基準外面欠陥の検出の可否を検証した。
この渦流探傷試験では、管外面に発生したまくれ込みが大きく、その数が多い場合、渦流探傷によるノイズが大きくなって、前記基準外面欠陥の検出が困難となることから前記基準外面欠陥の検出の可否が管外面に発生したまくれ込みの大きさ、深さの度合いを示す指標となる。
よって、渦流探傷試験において前記基準外面欠陥を検出できたものを「○」と評価し、検出できなかったものを「×」、条件によって検出できる場合とできない場合があったものを「△」と評価した。
以上の実験条件で加工を行い、結果を比較すると以下の表2のような結果となった。
表2に示すとおり、内面溝付管の外面の最大傷深さに関しては、比較例1から3の内面溝付管101aの場合、いずれも素管100aのときに測定したときよりも最大傷深さが深くなっていた。
これに対して実施例1,2の内面溝付管1eの場合、最大傷深さは、素管1bのときに測定した値と変わらず、傷が深くなっていないことが明らかになった。
さらに、内面溝付管の外面の傷の数に関しては、比較例1から3の内面溝付管101aの場合、いずれも素管100aのときに測定したときよりも数倍に増えていたのに対して実施例1,2の内面溝付管1eの場合、素管1bのときと比較して同じ、或いは、略同じであった。
内面溝付管の外面まくれ込みは、比較例1から3の内面溝付管101aの場合、いずれも「×」との評価結果であったのに対して実施例1,2の内面溝付管1eの場合、いずれも「○」との評価結果となり、外面まくれ込みと判断される傷は観測されなかった。
渦流探傷試験に関しては、比較例1の内面溝付管101a1は、「△」であり、比較例2、3の内面溝付管101a2,101a3は、いずれも「×」との評価結果であったのに対して実施例1,2の内面溝付管1eの場合、いずれも「○」との評価結果となり、外面まくれ込みと判断される傷は確認できなかった。
さらに、上述した観測、試験以外にも、実施例1、比較例3の各内面溝付管1e1,101a3の管外面に貼り付けたテープを剥がしたときの管外面の性状を観察するテープ剥がし試験を行なった。
テープ剥がし試験に関しては、比較例3の内面溝付管101a3の管外面に貼り付けたテープを剥がしたところ、写真であらわした図7に示すように、テープの粘着力により、管外面は、テープを剥がす際にまくれ込み起き上がりササクレ立った状態となった。このことから比較例3の内面溝付管101a3の管外面には、まくれ込みによる多数の傷が存在することが確認された。
これに対して実施例1の内面溝付管1e1については、管外面に貼り付けたテープを剥がしたところ、写真であらわした図4に示すように、管外面は、ササクレ立ちのない平滑なままであり、このことから実施例1の内面溝付管1e1の管外面には、まくれ込みによる傷が全く存在しないことが確認できた。
最後に、実施例1、比較例3の各内面溝付管1e1,101a3の管外面の性状を観察した。
詳しくは、比較例3の内面溝付管101a3の管外周部分を断面視したときの性状、及び、管外面を正面視したときの性状は、それぞれ写真であらわした図8、及び、図9に示すとおりである。
図8に示すとおり、比較例3の内面溝付管101a3の管外面には、著しい外面まくれ込みの発生により、素管100a3に存在していた傷が周方向に引き伸ばされた外面まくれ込みによる傷102が確認された。
さらに、図9に示すとおり、比較例3の内面溝付管101a3は、管外面に複数のまくれ込み部分が管軸方向に伸びた状態で互いに平行にあらわれ、鱗状の管外面が確認された。
これに対して、実施例1の内面溝付管1e1の管外周部分を断面視したときの性状は、写真であらわした図5に示すとおりである。
図5に示すとおり、実施例1の内面溝付管1e1の管外面には、0.005mm程度の凹凸が確認されるだけで、外面まくれ込みによる傷は1つも確認できなかった。
このように実施例1、比較例3の各内面溝付管1e1,101a3の管外面の性状の観察のとおり、品質の違いと同様に外観上大きな違いが生じることが分かる。
上述した実験結果より、素管の外面の最大傷深さを0.01mm以下にすることで、従来加工が困難であったアルミ管に対して、溝加工工程31Aにおいて転造ボール33による転造を行っても管外面の溝加工工程31Aの後の傷の深さが深くなったり、数が増えたりすることがなく加工することができた。
従って、上述した内面溝付管の製造方法により、管外面の性状、耐圧強度、拡管時の強度、耐腐食性、品質保証性といった品質を大幅に改善した内面溝付管1eを得ることができることを実証することができた。
本発明は、上述した実施形態に限定せず、様々な実施形態で構成することができる。
この発明の構成と、上述した実施形態との対応において、転動体は、複数の転造ボール33に対応するものとする。
1a,1b,1c…素管
1d,1e…内面溝付管
11A…素管外面研磨処理工程
21A…縮径工程
31A…溝加工工程
33…転造ボール
32…溝付プラグ

Claims (9)

  1. 素管の外面を管周方向に沿って転動する転動体で押圧しながら該素管の内面を、管内部に備えた溝付プラグに押し付けて該素管の内面に複数の溝を形成する溝加工工程を行う内面溝付管の製造方法であって、
    前記素管の外面に、平滑処理を施す外面平滑化処理工程を行い、
    前記外面に平滑処理を施した素管に対して前記溝加工工程を行う
    内面溝付管の製造方法。
  2. 前記外面平滑化処理工程を、素管における、少なくとも伝熱管として使用する長さ部分の管外面に対して傷深さを0.01mm以下とする平滑処理を施す工程とした
    請求項1に記載の内面溝付管の製造方法。
  3. 前記素管を、アルミニウム系材料で構成した
    請求項1、又は、2に記載の内面溝付管の製造方法。
  4. 前記外面平滑化処理工程を、管外面の研磨処理を行なう素管外面研磨処理工程とした
    請求項1から3のいずれかに記載の内面溝付管の製造方法。
  5. 管外面に対して平滑処理を施した素管を構成し、
    該素管の内面に複数の溝を形成した
    内面溝付管。
  6. 前記素管を、少なくとも伝熱管として使用する長さ部分の管外面に対して傷深さが0.01mm以下となる平滑処理を施した構成とする
    請求項5に記載の内面溝付管。
  7. 前記素管を、アルミニウム系材料で構成した
    請求項5、又は、6に記載の内面溝付管。
  8. 前記素管を、管外面を研磨した構成とする
    請求項5から7のいずれかに記載の内面溝付管。
  9. 管内面に複数の溝を形成した内面溝付管の製造に用いる素管であって、
    少なくとも伝熱管として使用する長さ部分の管外面に対して傷深さを、0.01mm以下とする平滑処理を施した
    素管。
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