JP2011177687A - ウェブの乾燥方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エアナイフから噴射されるエアによって液滴を残さず、かつ高速で無駄な工程を経ることなくウェブを乾燥することができるウェブの乾燥方法及びその装置を提供する。
【解決手段】本発明の乾燥装置38は、フィルム12が洗浄工程又はリンス工程を経た直後、液体槽62に浸漬しているロール88を介して、フィルム12を鉛直方向上向き搬送することで、液体槽62の表面の液体64がフィルム12とともに上昇し、液膜90がフィルム12に形成される。そして、エアナイフ94からのエアをこの液膜90の頂点91付近に噴射することで、エアナイフ94を利用した乾燥を効率良く行うことができる。
【選択図】 図7
【解決手段】本発明の乾燥装置38は、フィルム12が洗浄工程又はリンス工程を経た直後、液体槽62に浸漬しているロール88を介して、フィルム12を鉛直方向上向き搬送することで、液体槽62の表面の液体64がフィルム12とともに上昇し、液膜90がフィルム12に形成される。そして、エアナイフ94からのエアをこの液膜90の頂点91付近に噴射することで、エアナイフ94を利用した乾燥を効率良く行うことができる。
【選択図】 図7
Description
本発明は、液体によって洗浄されたプラスチックフィルム等のウェブを連続搬送しながら乾燥するウェブの乾燥方法及びその装置に係り、特にFPD分野、エレクトロニクス分野、及び光学用分野に使用されるウェブの乾燥方向及びその装置に関する。
プラスチックフィルムは、FPD(Flat Panel Display)分野、エレクトロニクス分野、及び光学用分野等、様々な分野で使用されている。FPD分野、エレクトロニクス分野に使用されるプラスチックフィルムは、製膜、塗工、貼合等の工程を経て部材、プロセス材として使用される。その製造工程は、終始クリーン環境下での取り扱いが必須であり、埃、繊維、フィルム片等の塵芥の製品への混入や付着等の欠陥、及びそれらに起因するキズ、押し跡等の物理的欠陥が厳重に品質管理されている。また、これらの欠陥の発生頻度に対する市場の要求基準も急速に厳しくなってきている。更に、欠陥の程度についても、従来では問題とされなかった非常に微細な欠陥が許容されなくなってきており、改善が求められている。
このような欠陥問題を解消するため、近年ではプラスチックフィルムを薬液、及び/又はリンス液によって洗浄し、プラスチックフィルムに付着している塵芥を除去する取り組みが行なわれている。また、洗浄時に使用する洗浄液やリンス液がプラスチックフィルムに付着するため、その液の水滴をプラスチックフィルムから除去するための乾燥工程がプラスチックフィルムの洗浄工程に組み込まれている。
乾燥工程では、温風を使用して乾燥したり、エアナイフを使用してウェブに付着した水滴を吹き飛ばしたりする除去方法が取られている。エアナイフはウェブが連続的に搬送されている進行方向に対して傾斜角を有し、連続的に搬送されているウェブは、エアナイフの先端部である噴射用スリット(ノズル)から噴射されたエアによって表面の水滴が吹き飛ばされ、乾燥が行なわれる。
特許文献1では、乾燥手段として温風を吹き付ける光学用プラスチックフィルムの洗浄・乾燥方法が提案されている。
特許文献2では、主に半導体基板の洗浄・乾燥に関する発明が開示されている。特許文献2によれば、コンベア式で基板を傾斜搬送するとともに、基板に付着した液滴が乾燥する前に基板上に洗浄水を吹き付けて水膜を形成させた後、エアナイフからエアを基板に噴射して基板を乾燥させる方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2のように傾斜搬送方式で移動しながらエアナイフを用いて基板の乾燥を行うと、リンス槽と乾燥槽のエアナイフとの間にはある程度の距離が有り、基板の表面へ供給された洗浄水の大部分は乾燥を行う前に傾斜した基板の表面から流れ出てしまう。そして、基板の表面にはわずかな水が小さな粒(液滴)となって残る。そして、残った液滴が、エアナイフから噴射されたエアによって基板の表面を移動するが、液滴が小さくなるほど吹き付けによる除去は困難になるという問題があった。更に液滴が移動した跡が筋状の斑となって残り、品質上の問題があった。
このような問題を解消するために特許文献2では、事前に液滴に洗浄水を吹き付け、大きな液膜としてから、エアナイフからのエアによって乾燥を実施している。しかしながら、この乾燥方法であると、基板を乾燥する前に洗浄液を再度吹き付ける工程や装置を付加する必要があるので、工程、設備が複雑化するという問題があった。
一方、特許文献1の如く温風による乾燥方法は、プラスチックフィルムを低速で搬送する場合には乾燥可能であるが、非常に時間がかかるうえ、ウェブのように連続的に高速で搬送しながら洗浄・乾燥を行う場合は、乾燥しきれないという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、エアナイフから噴射されるエアによって液滴を残さず、かつ高速で無駄な工程を経ることなくウェブを乾燥することができるウェブの乾燥方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明のウェブの乾燥方法は、前記目的を達成するために、ウェブを搬送しながら液体槽の液体に通過させ、該液体槽を通過した前記ウェブを搬送しながら乾燥させる乾燥工程を備えたウェブの乾燥方法において、前記乾燥工程は、前記ウェブを前記液体槽から鉛直方向に上昇させる工程と、上昇中の前記ウェブに対してエアを、エアナイフから下向きに所定角度傾けて吹き付ける工程とを備えていることを特徴とする。
本発明のウェブの乾燥装置は、前記目的を達成するために、ウェブを搬送しながら液体槽の液体に通過させ、該液体槽を通過した前記ウェブを搬送しながら乾燥させる乾燥手段を備えたウェブの乾燥装置において、前記乾燥手段は、前記ウェブを前記液体槽から鉛直方向に上昇させる上昇搬送部と、上昇搬送中の前記ウェブに対してエアを下向きに所定角度傾けて吹き付けるエアナイフとを備えていることを特徴とする。
本発明のウェブの乾燥方法においては、前記ウェブに前記エアを吹き付ける位置は、前記ウェブに付着した前記液体の液膜が該ウェブとともに上昇する力と、前記液膜が重力により降下しようとする力とが均衡する位置に設定されることが好ましい。
本発明のウェブの乾燥装置においては、前記エアナイフから前記ウェブに前記エアを吹き付ける位置は、前記ウェブに付着した前記液体の液膜が該ウェブとともに上昇する力と、前記液膜が重力により降下しようとする力とが均衡する位置に設定されることが好ましい。
本発明のウェブの乾燥方法においては、前記ウェブに前記エアを吹き付ける位置は、前記ウェブの搬送速度に対応して変更されることが好ましい。
本発明のウェブの乾燥装置においては、前記エアナイフは、高さ可変手段によって高さ位置が可変されることにより、前記ウェブに前記エアを吹き付ける位置が変更されることが好ましい。
本発明は、上記目的を達成するために、ウェブを鉛直方向に上昇させる工程と、上昇中のウェブに対してエアナイフからエアを噴射してウェブを乾燥させる工程とによって構成される。
ウェブが洗浄工程又はリンス工程(液体槽)を経た直後、その工程の液体に浸漬されているロールを介してウェブを鉛直方向に上向き搬送としてからエアナイフから噴射されるエアによってウェブを乾燥する。ウェブを鉛直方向に上向き搬送させる特徴により、液体槽の表面の液体がウェブとともに上昇し、ウェブには必然的に液膜が形成される。この液膜の形成によって効率的にエアナイフを利用した乾燥を行うことができる。
また、エアナイフはウェブが上昇する途中に設置され、エアナイフからのエアはウェブの進行方向と反対向きの下向きに噴射される。
エアナイフの設置場所としては、液膜がウェブとともに上昇する力と、重力により降下しようとする力とが均衡する液膜の頂点付近に、エアを噴射可能な位置であることが好ましい。更にこの頂点位置は、搬送速度に依存するため、エアナイフを上下方向に移動可能とし、搬送速度に対応した位置にエアナイフを設置可能とすることが好ましい。
本発明のウェブの乾燥方法及びその装置は、液体槽にロールを設置してウェブを鉛直方向に上向きに搬送することにより、液体槽で水平方向に搬送されていたウェブを、上昇させ空気中に搬送することが可能となる。
また、ウェブを鉛直方向に上向きに搬送させることで、液体槽から空気中に移動してきたウェブ上の液滴は重力により下方向に降下する効果をもたらす。また同時に、液体槽の表面の液体はウェブとともに上昇する効果が働く。特に、搬送速度が高いほど液体槽の表面の液体はウェブとともに上昇し、ウェブ上に液膜を形成する。
この効果を利用することで、ウェブに液膜を良好に形成することができ、特許文献2の如く洗浄液を基板に再度吹き付けて液膜を形成させるという無駄な工程、設備は不要になり、エアナイフを利用した乾燥を効率良く行うことができる。また、ウェブに液膜を形成することにより、液滴が移動した跡が筋状の斑となってウェブに残ることを避けることができる。更に、搬送速度が高いほど液膜を形成し易いため、低速に限らず高速でもウェブの乾燥が十分可能となる。
更に詳述すると、乾燥を行うエアナイフはウェブが上昇する途中に設置され、エアはウェブの進行方向と反対向き、かつ所定角度傾斜した下向きに噴射される。これにより、エアは確実に液膜に当たるため、大きなエネルギーを必要とせず効率的に乾燥を行うことができる。また、液膜がウェブとともに上昇する力と、重力により降下しようとする力が均衡する液膜の頂点付近に、エアナイフのエアを噴射することを特徴とする本発明は、液膜の頂点付近にエアを噴射することで、液滴の動くエネルギーが少ない場所、及び液量も過度に多くないため、エアナイフによる効率的な乾燥を行うことができる。更に、液膜の頂点は搬送速度に依存するため、エアナイフの上下位置を変更できるように、例えば、鉛直方向に配設したレールによってエアナイフを上下動自在に設けることにより、瞬時に適切な乾燥位置にエアナイフを移動させることが可能となる。
本発明のウェブの乾燥方法及びその装置によれば、エアナイフから噴射されるエアによって液滴を残さず、かつ高速で無駄な工程を経ることなくウェブを乾燥することができる。
以下、添付図面に従って本発明に係るウェブの乾燥方法及びその装置の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態のウェブの乾燥装置38が組み込まれたフィルムの塗布装置40の全体構成を示すブロック図である。
このフィルムの塗布装置40は、プラスチックフィルム(以下、フィルムと記載する)12の搬送方向上流側から下流側に向けて、フィルムロールの巻出部42、乾燥装置38を備えた洗浄・乾燥ユニット10、塗工部44、乾燥部(塗工後の乾燥部)46、及び巻取部48が順に配置されて構成されている。巻出部42より巻き出されたシート状のフィルム12は、搬送ローラ14、16によって洗浄・乾燥ユニット10に搬入される。
洗浄・乾燥ユニット10は、連続走行中のフィルム12に向けて洗浄液を噴射する2台のノズル36、36と、洗浄したフィルム12をエアによって乾燥させる、実施の形態の乾燥装置38とを備えている。図1の洗浄・乾燥ユニット10では、ノズル36が上流側と下流側とに2台配置され、その後段に乾燥装置38が1台配置された構成例を示しているが、これらの台数はこれに限定されるものではない。例えば、ノズル36が3台、乾燥装置38が2台配置された構成でもよい。これらのノズル36、36と乾燥装置38とは、カバー50によって覆われており、1ユニットとして構成されている。
なお、図1では、フィルム12を複数のローラ18、20、22、24、26、28に巻回させることにより、フィルム12を上方に向けて水平方向に蛇行搬送させながら洗浄、乾燥させる洗浄・乾燥ユニット10を示しているが、図1は構成の概略を示したブロック図である。実際の構成は、フィルム12を水平に向けて上下方向に蛇行搬送させながら洗浄、乾燥する構成である。
塗工部44は、洗浄・乾燥ユニット10の出口近傍に配置されている。洗浄・乾燥ユニット10の出口から搬出されたフィルム12は、一対のローラ30、32に巻回されることにより、そのローラ30、32の間で張力が付与され、この状態で塗工部44の不図示のノズルから塗料が塗布される。
塗工部44を通過したフィルム12は、乾燥部46に搬入され、ここで乾燥された後、乾燥部46からローラ34を介して巻取部48に巻き取られる。
ノズル36による洗浄対象物は、フィルム12の表裏面に付着した数μmという非常に微細な埃、フィルム片、汚れである。ノズル36は、連続走行中のフィルム12の表裏面の少なくとも一方の面側に洗浄液を吐出することにより、少なくとも一方の面に沿った水流を形成し、この水流によってフィルム12を洗浄する構造である。洗浄液は絶えず連続的にノズル36に供給されている。
図2は、ノズル36の第1の構成例を示したものである。図2(a)はノズル36の斜視図であり、図2(b)はノズル36を側面から見た一部の拡大断面図である。なお、図2のノズル36は、フィルム12の片面に対向配置されて片面を洗浄するノズルであるが、両面を洗浄する場合には、同構成のノズル36がフィルム12を挟んで上下に対向配置されて構成される。
ノズル36は、矩形状に構成された1枚の板状体53からなる。この板状体53の上面には、洗浄液が供給される供給口52が開口され、板状体53の下面には、洗浄液をフィルム12の片面に吐出する吐出口55が開口されている。供給口52と吐出口55は、同形状で連通されており、矢印で示すフィルム12の搬送方向に対して直交する方向に形成されたスリット状開口部である。また、スリット状開口部の長さは、フィルム12の幅よりも若干短く設定されている。更に、板状体53とフィルム12との隙間54の高さDは、0.25mm以下であることが好ましい。これにより、板状体53の吐出口55からフィルム12に向けて吐出された洗浄液は、隙間54においてフィルム12の面に沿った流れに変更される。
特に、板状体53とフィルム12との隙間54の高さDが0.25mm以下である場合、0.25mm以下の狭い隙間54で洗浄液の流速が大きな速度勾配を持つようになるので、隙間54には、フィルム12の面に平行で且つ流速の速い平行流が発生する。この水流のエネルギーによって、数μmという非常に微細な埃、フィルム片、汚れでもフィルム12から除去することが可能となる。
なお、このノズル36によれば、フィルム12に対し平行な水流によって、フィルム12に付着した塵芥に下記式(富樫他,機械学会)で表される水平方向の力が働き、塵芥を除去することから、フィルム12へのダメージを抑え効果的に塵芥を除去することができる。
〔数1〕の〔Fdet〕は塵芥に働く力、〔d〕は塵芥の直径、〔u〕は水流の速度、〔η〕は水の粘度係数、〔c〕は補正係数を表している。
図3は、ノズル36の第2の構成例を示した要部構造図である。このノズル36は、外部から洗浄液が供給される供給口52aと、供給口52aに供給された洗浄液の圧力を減圧するための絞り52bと、減圧された洗浄液をフィルム12の洗浄面に吐出する吐出口52cとが、板状体53に備えられることによって構成されている。
なお、図3のノズル36は、絞り52bを複数の穿孔によって構成したものであり、フィルム12の長手方向の長さを短くすることが可能である。
図4は、図3のノズル36の簡易モデルと洗浄液圧力分布との関係を示した説明図である。同図を説明にあたり、フィルム12は上流側及び下流側のローラによって適度な張力が付与された状態で搬送されていることを前提としている。ノズルの供給口52aに供給される洗浄液の圧力をPsとすると、洗浄液の圧力は絞り52bを通過することで減圧され、吐出口52cでは圧力Piとなる。そして、洗浄液は、隙間54においてフィルム12の面に沿って流動し、フィルム12を洗浄した後、ノズルのフィルム入口53a及び出口53b付近において圧力Poとなる。隙間54で生じている圧力によって板状体53からフィルム12を引き離そうとする力(図4の三角形Piの面積)が発生する。
ここで、フィルム12がノズルの板状体53に接近すると、フィルム12と板状体53との間の流路抵抗が大きくなり吐出口52cの圧力PiがPi+ΔPiへ上昇し、板状体53からフィルム12を引き離そうとする力が三角形Pi+ΔPiへと増加する。これに対して、フィルム12が板状体53から離れた場合には、板状体53からフィルム12を引き離そうとする力が減少する。よって、フィルム12の上下に板状体53、53を対向配置することによって、板状体53とフィルム12との間の距離が自動的に維持される。
図5は、ウェブの洗浄装置60の第1の構成例を示した全体斜視図である。この洗浄装置60は、実施の形態の乾燥装置38の前段に配置されるものである。また、洗浄装置60に使用されるノズル36は、図2〜図4に示したノズル36であれば適用可能である。
図5に示す洗浄装置60では、ノズル36を液体槽62の内部に配置するとともに、液体槽62に貯留された液体64中に浸漬配置している。
液体64は、気体(空気)と比較して比重が大きく粘性も高いため、ノズル36を液体64に浸漬配置することにより、ノズル36の入口53a(図4参照)及び出口53bから排出された洗浄液は、液体64によってその運動エネルギーが分散される。これにより、この洗浄装置60によれば、ノズル36の入口53a、出口53bからの洗浄液の飛散を防止することができる。
図6は、ウェブの洗浄装置70の第2の構成例を示した全体斜視図である。この洗浄装置70のノズル36も同様に、図2〜図4に示したノズル36であれば適用可能である。
図6の洗浄装置70は、ノズル36の入口53a(図4参照)が液体槽72に連通され、出口53bが液体槽74に連通されている。そして、入口53aが液体槽72に貯留された液体76に浸漬され、出口53bが液体槽74に貯留された液体78に浸漬されている。この洗浄装置70も図5に示した洗浄装置60と同様に、ノズル36の入口53a、出口53bからの洗浄液の飛散を防止することができる。
図5、図6に示した洗浄装置60、70において、ノズル36から噴射される洗浄液と液体64、76、78は同一の液体であり、例えば純水が使用されている。このため、液体64、76、78をノズル36と液体槽62、72、74との間で循環させる循環手段を設けることが好ましい。ノズル36の洗浄液と液体槽62、72、74内の液体64、76、78とを同一の液体とすることにより、循環手段によってその液体をノズル36と液体槽62、72、74との間で循環使用することができる。
循環手段の一例として図5の洗浄装置60には、パイプ80、ポンプ82、フィルタ84からなる液体の循環装置が備えられている。
洗浄装置60の液体槽62は、ノズル36が浸漬配置される立方体形状の本体部62aと、本体部62aの下部に一体的に設けられたホッパ部62bとから構成される。ホッパ部62bの底部62cには、前述の循環装置を構成するパイプ80の一端部が連結されており、パイプ80にはポンプ82、フィルタ84が取り付けられている。また、パイプ80の他端部は、ノズル36に洗浄液を供給する一対のパイプ86、86に連結されている。
ノズル36によるフィルム12の洗浄中において、ノズル36からフィルム12に噴射された洗浄液は、数μmという非常に微細な埃、フィルム片、汚れ等の塵芥を伴ってノズル36の入口53a、出口53bから液体槽62の液体64中に流入する。そして、液体64に混入した塵芥は、ホッパ部62bに沿って沈降していくとともに、循環装置のポンプ82を駆動することにより、ホッパ部62bの底部62cからパイプ80に液体64とともに吸引される。そして、塵芥は、液体64とともにポンプ82によってパイプ80内を圧送されて、ポンプ82の後段(前段でもよい)に配置されたフィルタ(ミクロピュア フィルターカートリッジMPXタイプ(ポリプロピレン濾材):株式会社ロキテクノ製)84を通過することにより液体64から取り除かれる。これにより、塵芥が除去された液体64のみが、パイプ80から一対のパイプ86、86を介してノズル36に供給される。従って、このような循環装置を洗浄装置60(70)に設けることにより、ノズル36から噴射される洗浄液を常にクリーンな状態に維持することができ、洗浄中のフィルム12への塵芥の再付着を防止することができる。
一方、洗浄装置60、70において、液体槽62、72、74に配置されるロール(エアーターンバー:BELLMATIC株式会社製)88は多孔質部材によって構成されている。また、このロール88には、ロール88に圧縮エアを供給するエア供給装置が連結されている。このエア供給装置からロール88に圧縮エアを供給し、この圧縮エアをロール88の表面から噴出させる。この噴出したエアによってロール88に巻回されるフィルム12がロール88に対して非接触で支持されている。
これにより、ロール88とフィルム12との接触による、フィルム12の磨耗によって生じる塵芥の発生を防止することができ、液体槽62、72、74の液体64、76、78、及び洗浄水が前記塵芥によって汚染されることを防止することができる。
ところで、洗浄装置60、70の後段には、図7、図8に示す乾燥装置38が配置されている。図7は乾燥装置38の側面図であり、図8は乾燥装置38の正面図である。なお、これらの図において、液体槽62(74)の構成は簡略化して示している。また、この乾燥装置38については、図5、図6に示した洗浄装置60(70)と関連性があるため洗浄装置60(70)と組み合わせてその構成を説明する。
フィルム12は、洗浄装置60(70)の液体槽62(74)に貯留されている液体64(78)から排出される。フィルム12を液体槽62(74)から鉛直方向に直角に方向を変えて排出するために、液体槽62(74)にはロール88が浸漬されている。液体槽62(74)内で水平方向に搬送されてきたフィルム12はロール88を介して、鉛直方向上向きに方向が変更されて搬送される。上方向に搬送されたフィルム12には、液体64(78)を通過したことにより液膜90が形成されるとともに液滴92が付着されているため、上昇搬送中のフィルム12に向けてエアナイフ94からエアを噴射し、液膜90の乾燥、及び液滴92の除去を行う。エアナイフ94は、フィルム12を挟んで両側に、かつフィルム12の搬送方向に対してそのノズルが直交方向に向くように配置されている。
フィルム12としては、前述したプラスチックフィルムのほか、膜、基板、金属箔等のウェブを使用することも可能である。フィルム12の形状は特に限定されるものではないが、シート状で反物となっているものが望ましい。また、搬送ガイドに乗せた短辺状のものでも適用できる。フィルム12の搬送方法としてはロールに巻回して搬送する形態が望ましいが、コンベアを用いたガイド搬送でも適用できる。フィルム12の搬送速度は、特に限定しないが、1〜200m/minが望ましい。つまり、低速搬送、高速搬送でもよい。
液体槽62(74)についても特に限定されるものではないが、液体槽62(74)からフィルム12が上昇した際、例えばリンス液の液膜を形成するためにも、フィルム12を完全に浸漬する槽であることが好ましい。リンス液としては、乾燥後に異物が残存しないためにも前述の如く純水を用いることが好ましい。しかしながら、洗浄を主としない場合の乾燥では、純水に代えて薬液等を使用できる。
液体槽62(74)の液体64(78)に浸漬されたロール88は、フィルム12の搬送方向を変更できるものであればよく、回転するか否か、また、フィルム12に接触するか否かについては問わない。なお、上記実施例では、非接触のロール88を例示している。
エアナイフ94を用いた乾燥には、搬送されるフィルム12に対して逆向きにエアを噴射することが望ましい。そのエアの入射角度はフィルム12の面に対して15°〜60°の範囲が望ましく、特に30〜45°の範囲がより好ましい。フィルム12からエアナイフ94のノズルまでの距離としては、10mm以内が好ましい。エアナイフ94に供給される圧力は,そのエアナイフ94の仕様によるが、0.1MPa程度が望ましい。
エアナイフ94の設置場所としては、液膜90がフィルム12とともに上昇する力と、重力により降下しようとする力とが均衡する液膜90の頂点91付近に、エアを噴射するように設置することが好ましい(図8のA位置)。これは液体槽62(74)の液面に近接した位置でエアナイフ94による乾燥を行おうとすると、液面から上昇する液膜90の面積が大きいため、大きな風量・風圧が必要となるからである。また、液膜90の頂点91を大きく越えた場所でエアナイフ94による乾燥を行おうとすると、従来の課題と同様に、液膜は表面から流れ、液滴となってしまうと同時に、液膜及び液滴の線速度も上がり、効率的な乾燥が困難となるためである。
また、フィルム12の搬送速度に応じて、液膜90の頂点91は上下に移動するため、エアナイフ94を上下に移動自在にガイドするレール96、96が取り付けられている。このレール96、96は、搬送されるフィルム12の幅方向両側に鉛直方向に設置されており、エアナイフ94の両端部がレールに移動自在に取り付けられている。
レール96は、エアナイフ94が取り付けられるものであればよく、容易に移動、設置できることが望ましい。このようなレールでなくても、エアナイフ94の上下位置を段階的に変更可能な構造を有する機構であれば適用できる。また、エアナイフ94の上下方向における移動範囲は、フィルム12の搬送速度に依存するため、対応能力を高くするためにも、水面から上部ロール98のまであることが望ましい。また取り付けられるエアナイフ94は複数連設された構造のものでも構わない。
〔実施例〕
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
厚さ38μmのPET製フィルムを、巻出しロールと巻取ロールを用いた搬送装置に取り付け連続搬送した。PET製フィルムは、純水が含まれるリンス槽を水平方向に搬送し、その後、ロールを介して、鉛直方向上向きに搬送方向を変え、乾燥工程に搬入した。
フィルム搬送速度を15m/minに設定してフィルム搬送を行うと、フィルムとともにリンス槽水面より上昇した純水は液膜を形成した。その液膜の頂点は水面より約200mmの位置で安定した。そこでエアナイフの位置を水面より約200mmに設置した。エアナイフのノズルとフィルムとの距離を5mm、エアナイフのエア噴射角度を45°、噴射エアの圧力を0.1MPaとし試験を行った。この場合、単位面積中に含まれた液滴面積はほとんどなく、乾燥率は90%以上であった。
比較例として、フィルム搬送速度を15m/minに設定し、エアナイフのノズルとフィルムとの離離を5mm、エアナイフのエア噴射角度を45°、噴射エアの圧力を0.1MPaについては同等とし、エアナイフの設置位置を変更できる装置より、エアナイフ位置を水面より約450mmに設定した。
フィルム搬送速度を15m/minに設定してフィルムを搬送すると、フィルムとともにリンス槽水面より上昇した純水は液膜を形成したが、搬送距離が進むに従って、液膜は重力で落ち、小さな液滴となり、純水はエアナイフ設置位置に到達した。このときの乾燥率は30%であった。
比較例においては、フィルム表面に液膜を形成したが、液膜の大部分は乾燥を行う前に重力により流れ出てしまい、表面には小さな液滴のみ残った状態となり、これにより液滴の線速度は上がり、また液滴が小さくなることで吹き付け除去が困難になったため、乾燥率が落ちた。
以上の如く、実施例の乾燥方法によれば液体によって液膜をフィルムに形成し、その頂点にエアナイフを移動させ、頂点にエアを噴射して乾燥を行うことで、比較例と比較してフィルムを効率良く乾燥することができた。
本発明に用いられるプラスチックフィルムは、ウェブ状のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファンフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテルフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリシクロオレフィンフィルム、アクリルフィルム等の熱可塑性樹脂フィルム、及びこれらのプラスチックフィルムの少なくとも片面に、塗布、塗工、貼合、印刷などの処理を施した多層フィルムを挙げることができる。透過率が高く、高いフィルム均一性が求められるトリアセチルセルロースフィルム、ポリエステルフィルム、ポリシクロオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルムを用いた場合に、塵芥等に起因した欠点の確認が容易であるため、効果が大きい。
洗浄対象とするフィルム12の厚さは、5〜2000μm、好ましくは15〜500μm、特に好ましくは20〜200μmの範囲から任意に選択できる。
以上、本発明のウェブの洗浄装置の実施の形態を、図面に基づいて説明したが、本発明は図面に記載した形態に限定されるものではなく、各図面に記載した構成を適宜組み合わせる等、本発明の特徴を逸脱しない範囲においてその構成を適宜変更することができる。
本発明のウェブの乾燥方法及びその装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイ、有機ELディスプレイ、SED、CRT等に代表される各種電子ディスプレイ分野における部材、プロセス材として使用される機能性光学用プラスチックフィルムの乾燥に好適に適用できる。
10…洗浄・乾燥ユニット、12…プラスチックフィルム、14、16…搬送ローラ、18、20、22、24、26、28、30、32、34…ローラ、36…ノズル、38…乾燥装置、44…塗工部、46…乾燥部、48…巻取部、50…カバー、60…洗浄装置、62…液体槽、64…液体、70…洗浄装置、72…液体槽、74…液体槽、76…液体、78…液体、80…パイプ、82…ポンプ、84…フィルタ、86…パイプ、88…ロール、90…液膜、92…液滴、94…エアナイフ、96…レール、98…上部ロール
Claims (6)
- ウェブを搬送しながら液体槽の液体に通過させ、該液体槽を通過した前記ウェブを搬送しながら乾燥させる乾燥工程を備えたウェブの乾燥方法において、
前記乾燥工程は、前記ウェブを前記液体槽から鉛直方向に上昇させる工程と、上昇中の前記ウェブに対してエアを、エアナイフから下向きに所定角度傾けて吹き付ける工程とを備えていることを特徴とするウェブの乾燥方法。 - 前記ウェブに前記エアを吹き付ける位置は、前記ウェブに付着した前記液体の液膜が該ウェブとともに上昇する力と、前記液膜が重力により降下しようとする力とが均衡する位置に設定される請求項1に記載のウェブの乾燥方法。
- 前記ウェブに前記エアを吹き付ける位置は、前記ウェブの搬送速度に対応して変更される請求項1又は2に記載のウェブの乾燥方法。
- ウェブを搬送しながら液体槽の液体に通過させ、該液体槽を通過した前記ウェブを搬送しながら乾燥させる乾燥手段を備えたウェブの乾燥装置において、
前記乾燥手段は、前記ウェブを前記液体槽から鉛直方向に上昇させる上昇搬送部と、上昇搬送中の前記ウェブに対してエアを下向きに所定角度傾けて吹き付けるエアナイフとを備えていることを特徴とするウェブの乾燥装置。 - 前記エアナイフから前記ウェブに前記エアを吹き付ける位置は、前記ウェブに付着した前記液体の液膜が該ウェブとともに上昇する力と、前記液膜が重力により降下しようとする力とが均衡する位置に設定される請求項4に記載のウェブの乾燥装置。
- 前記エアナイフは、高さ可変手段によって高さ位置が可変されることにより、前記ウェブに前記エアを吹き付ける位置が変更される請求項4又は5に記載のウェブの乾燥装置。
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- 2010-03-03 JP JP2010046760A patent/JP2011177687A/ja active Pending
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