以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に、伝送システムの省電力制御装置の一実施形態を示す。
図1に示した伝送システムにおいて、親局装置に相当する局側光回線終端装置(OLT)210には、m個のカプラ#1〜#mが接続されている。そして、これらのカプラ#1〜#mには、それぞれn個の加入者側光回線終端装置(ONU)220が、子局装置として接続されている。図1に示した例では、各ONU220を、対応するカプラの機番と番号1〜nとを組み合わせた機番を添え字として付して示している。以下の説明では、個々のONUを区別せずに総称する場合には、単に、ONU220と称する。なお、図1においては、ONU22011について詳細構成を示した。他のONU220も、図1に示したONU22011と同様の構成を備えている。
OLT210は、制御信号送出部211とトラヒック送受信部212とを備えている。トラヒック送受信部212には、各カプラ#1〜#mに対応して、通信ユニットに相当するPON−インタフェース(PIF)2131〜213mが備えられている。これらのPIF2131〜213mには、電源供給部214によって電源電力が供給されている。また、制御信号送出部211によって送出される制御信号は、トラヒック送受信部212により、宛先となるONU220に送信される。
ONU220は、トラヒック送受信部221と電力制御部222とを備えている。電力制御部222に備えられた制御信号検出部223は、トラヒック送受信部221に到来した制御信号を検出する。そして、制御信号で示される指示に応じて、スイッチ225を操作することにより、電源供給部224からトラヒック送受信部221への電力供給を制御する。スイッチ225は、例えば、トラヒック送受信部221に備えられた送信回路へ電源供給部224から電力を供給する経路を、制御信号検出部223からの指示に応じて開閉するように形成することができる。
OLT210に備えられた制御信号送出部211は、トラヒック監視部215とトラヒック監視テーブル216と待機子局検出部217と再開子局検出部218と制御信号生成部219とを備えている。トラヒック監視部215は、各ONU220を経由するトラヒックを論理リンク(logical link)ごとに監視する。この監視によって得られたトラヒックの状態を示す情報は、各論理リンクを識別するための論理リンクID(LLID)に対応してトラヒック監視テーブル216に格納される。
図2に、トラヒック監視テーブルの例を示す。図2に示した例では、各論理リンクに対応するトラヒックの状態を示す情報として、その論理リンクがサービスの提供に使用中であるか否かを示すサービス状態が格納されている。また、トラヒック監視テーブル216は、図2に示したように、各論理リンクが収容されているONU220の機番および当該ONU220が運用中であるか待機中であるかを示す情報を格納することができる。
また、図3に、制御信号送出動作を表す流れ図を示す。図3に示した例では、制御信号送出部211は、例えば、各ONU220に順次に注目し、注目したONU220が待機状態へ移行すべき条件あるいは運用状態を再開すべき条件を満たすか否かを判定する。
トラヒック監視部215は、注目しているONU220に収容されている各論理リンクのトラヒックを監視することにより、各論理リンクがサービスの提供に使用中であるか否かを判定する(ステップ301)。そして、この判定結果に基づいて、論理リンクIDに対応してトラヒック監視テーブル216に格納されたサービス状態が更新される(ステップ302)。
ステップ302において、注目しているONU220に収容された論理リンクのいずれかのサービス状態が変化した場合に(ステップ303の肯定判定)、再開子局検出部218あるいは待機子局検出部217による処理が開始される。
ONU220が現在待機中でない場合に(ステップ304の否定判定)、待機子局検出部217は、トラヒック監視テーブル216を参照して、注目しているONU220に収容されている全ての論理リンクによるサービスの提供が停止中であるか否かを判定する(ステップ305)。
例えば、図2に示した例では、機番#12のONU220に収容されている論理リンクID#12(1)のサービス状態が使用中から停止中に更新され、このONU220に収容されている全ての論理リンクのサービス状態が停止中となっている。このように、注目しているONU220の全論理リンクが停止中となっていることを検出したときに(ステップ305の肯定判定)、待機子局検出部217は、このONU220を待機状態とする条件を満たす待機子局として検出する。そして、このONU220の機番が、検出された待機子局を示す情報として制御信号生成部219に通知される。
この通知に応じて、制御信号生成部219は、通知に含まれる機番で指定されたONU220に対して、電力供給を停止して待機状態に移行する旨を指示するための制御信号を生成する(ステップ306)。生成された制御信号は、トラヒック送受信部212を介して、待機子局として検出されたONU220に送出される。また、このとき、制御信号生成部219は、上述した制御信号の宛先となったONU220に対応してトラヒック監視テーブル216に格納されているONU状態情報を待機中に更新して(ステップ307)、処理を終了する。そして、次のONU220に注目した処理が開始される。
一方、図2において、ONU機番#11に対応して示したように、サービス状態が使用中の論理リンクと停止中の論理リンクとが混在している場合は、ステップ305の否定判定となり、注目しているONU220についての処理はそのまま終了される。そして、次のONU220に注目した処理が開始される。
また一方、図2において、ONU機番#mnに対応して示したように、注目しているONU220の状態が待機中である場合は、図3のステップ304の肯定判定となる。この場合に、再開子局検出部218は、注目しているONU220に終了されている論理リンクのいずれかによるサービス提供が再開されたと判断して、このONU220を待機状態から運用状態とする条件を満たす再開子局として検出する。そして、このONU220の機番が、検出された再開子局を示す情報として制御信号生成部219に通知される。
この通知に応じて、制御信号生成部219は、通知に含まれる機番で指定されたONU220に対して、電力供給を再開して運用状態に移行する旨を指示するための制御信号を生成する(ステップ308)。生成された制御信号は、トラヒック送受信部212を介して、待機子局として検出されたONU220に送出される。また、このとき、制御信号生成部219は、上述した制御信号の宛先となったONU220に対応してトラヒック監視テーブル216に格納されているONU状態情報を運用中に更新して(ステップ309)、処理を終了する。そして、次のONU220に注目した処理が開始される。
上述したようにして、トラヒック監視部215による監視結果に基づいて、待機状態に移行させる条件あるいは運用状態を再開させる条件を満たすONU220をそれぞれ検出し、検出したONU220に適切な制御信号を送出することができる。
制御信号生成部219は、例えば、IEEE802.3ahで規定されているOAM PDU(Operation Administration Maintenance Protocol Data Unit)のデータ部分を拡張した制御フレームを制御信号の送出に利用することができる。
図4に、制御信号のフレームフォーマットの例を示す。図4(a)に示した例では、上述したOAM PDUのデータパディング部分の2バイトに、OLT210と各ONU220との間でONU220の電力供給を制御するための制御コードを割り当てている。また、図4(b)に、制御コードと制御指示および応答の内容との対応例を示した。
このような制御信号を適用する場合には、制御信号生成部219は、検出したONU220のMACアドレスを宛先アドレスに設定し、データパディング部の先頭の2バイトに待機への移行あるいは運用の再開を指示する制御コードを設定する。また、この場合に、各ONU220の制御信号検出部223は、トラヒック送受信部221に到来したOAM PDUのデータ部分を参照することにより、OLT210からの制御指示を検出することができる。
そして、制御信号検出部223は、待機状態への移行を指示する制御コードを検出したときに、スイッチ225を操作して、トラヒック送受信部221の送信回路への電力供給を停止する。逆に、運用再開を指示する制御コードを検出したときに、制御信号検出部223は、トラヒック送受信部221の送信回路への電力供給が再開されるようにスイッチ225を操作する。このような操作を行うことにより、ONU220を経由するトラヒックが停止しているときにONU220で消費される電力を大幅に抑制するとともに、トラヒックが再開した際に、迅速にONU220を稼動させることができる。
図5に、ONUの電力供給制御動作を説明するシーケンス図を示す。なお、図5に示した例では、各ONU#11〜#mnを経由するトラヒックは、網掛けを付した帯で示される。また、符号「待機中」が付されたブロック矢印は、対応するONUが待機中である期間を示している。例えば、図5に示したONU#mnは、図5に示した期間のはじめにおいて既に待機中となっている。
図5に示した例では、符号S(1)で示した時点で、ONU#12を経由するトラヒックがなくなっている。このとき、OLT210に備えられた制御信号送出部211により、上述したようにして、ONU#12を経由する全ての論理リンクによるサービスの停止が検出される(S(2))。これに応じて、ONU#12を待機状態に移行させる制御信号が生成され(S(3))、この制御信号がONU#12を宛先として送信される(S(4))。そして、この制御信号を受け取ったONU#12では、制御信号検出部223によりスイッチ225が操作され、トラヒック送受信部221の送信回路への電力供給が停止される(S(5))。このようにして、電力供給が停止された後は、このONU#12は、待機中となる。
一方、図5に示した例では、符号S(6)で示した時点で、待機中となっているONU#mnに収容される論理リンク(LLID#mn(k))へのトラヒックがOLT210に到来している。このトラヒックの検出に応じて、上述した論理リンクを経由するサービスの再開が検出され(S(7))、この論理リンクを収容するONU#mnの運用を再開させる制御信号が生成される(S(8))。そして、この制御信号がOLT210によって送信され(S(9))、ONU#mnに到達したときに、ONU#mnの制御信号検出部223によりスイッチ225が操作され、トラヒック送受信部221の送信回路への電力供給が再開される(S(10))。このようにして、電力供給が再開された後は、このONU#mnは、運用中となる。
このように、OLT210に備えた制御信号送出部211と、ONU220に備えた電力制御部222とを備えた省電力制御装置により、子局として接続された各ONU220の電力供給状態を、親局であるOLT210側で集約して管理することができる。
なお、ONU220を経由するトラヒックによるサービスの停止に応じて、当該ONU220への電力供給を完全に停止する制御を行うことも可能である。また、各ONU220が、上述した制御信号の受信に応じて、応答信号を返すように構成することもできる。図4(b)に示した例では、待機状態移行指示および運用再開指示に応じて、それぞれ移行が正常に完了した旨の応答および異常終了した旨の応答を示す制御コードが定義されている。また、OLT210側に、このような応答を示す制御コードを受け取ったときに、制御コードで示される応答内容に応じて、エラー処理などを行う仕組みを備えることもできる。
また、省電力制御装置の制御信号送出部の機能の一部を、親局装置の外部に設けた別の装置に分担することもできる。また、子局装置の運用状態に関する情報を、親局装置の運用制御に利用することも可能である。
以下の実施形態では、制御信号送出部の機能の一部を、親局装置とは別に設けた省電力監視装置に分担した例を説明する。また、親局装置に備えられる複数の通信ユニットの運用状態を、これらの通信ユニットに対向している子局装置の運用状態に応じて制御する方法についても併せて説明する。
(実施形態2)
図6に、伝送システムの省電力制御装置の別実施形態を示す。なお、図6に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図6に示した実施形態では、制御信号送出部のトラヒック監視部215が、OLT210に備えられている。一方、制御信号送出部のトラヒック監視テーブル216と待機/再開子局検出部242および制御信号生成部219は、省電力監視装置240に備えられている。なお、待機/再開子局検出部242は、図1に示した待機子局検出部217および再開子局検出部218に相当する。そして、OLT210と省電力監視装置240との間で情報の授受を行うために、OLT210に監視装置インタフェース(I/F)231が設けられ、省電力監視装置240には、OLTインタフェース(I/F)241が設けられている。
図6に示した制御信号送出部では、OLT210に備えられたトラヒック監視部215による監視結果は、監視装置I/F231を介して省電力監視装置240に渡される。この監視結果は、省電力監視装置240に備えられたOLTI/F241を介して、トラヒック監視テーブル216に格納される。そして、待機/再開検出部242は、トラヒック監視テーブル216に格納された監視結果に基づいて、実施形態1と同様にして待機子局および再開子局を検出する。そして、対応する制御信号が、制御信号生成部219によって生成される。生成された制御信号は、OLTI/F241および監視装置I/F231を介してトラヒック送受信部212に渡され、宛先として指定されたONU220に送出される。
図7に、ONUの電力供給制御動作を説明するシーケンス図を示す。なお、図7に示した例では、各ONU#11〜#mnを経由するトラヒックは、網掛けを付した帯で示される。また、符号「待機中」が付されたブロック矢印は、対応するONUが待機中である期間を示している。例えば、図5に示したONU#mnは、図7に示した期間のはじめにおいて既に待機中となっている。
図7に示した例では、符号S(1)で示した時点で、OLTに備えられたトラヒック監視部215により、ONU#12を経由するトラヒックがなくなったことが検出される(S(2))。そして、その旨の監視結果が、OLT210に備えられたトラヒック監視部215から省電力監視装置240に渡される(S(3))。これに応じて、子局管理部242により、図3に示したステップ302からステップ305と同様の処理が行われ、ONU#12を経由する全ての論理リンクによるサービスの停止が検出される(S(4))。次いで、省電力監視装置240の子局管理部242により、ONU#12を待機状態に移行させる制御信号が生成される(S(5))。この制御信号は、OLTを介して、サービスが停止したことが検出されたONU#12に送信される(S(6))。そして、この制御信号を受け取ったONU#12では、制御信号検出部223によりスイッチ225が操作され、トラヒック送受信部221の送信回路への電力供給が停止される(S(7))。このようにして、電力供給が停止された後は、このONU#12は、待機中となる。
一方、図7に示した例では、符号S(8)で示した時点で、待機中となっているONU#mnに収容される論理リンク(LLID#mn(k))へのトラヒックがOLT210に到来したことが検出される(S(9))。そして、トラヒックが再開した旨の監視結果が、省電力監視装置に渡される(S(10))。これに応じて、子局管理部242により、図3に示したステップ302からステップ304と同様の処理が行われ、上述した論理リンクを経由するサービスの再開が検出される(S(11))。次いで、子局管理部242により、この論理リンクを収容するONU#mnの運用を再開させる制御信号が生成される(S(12))。この制御信号は、OLTを介して、サービスが停止したことが検出されたONU#mnに送信される(S(13))。そして、この制御信号を受け取ったONU#mnの制御信号検出部223によりスイッチ225が操作され、トラヒック送受信部221の送信回路への電力供給が再開される(S(14))。このようにして、電力供給が再開された後は、このONU#mnは、運用中となる。
このように、伝送システムの省電力制御装置に備えられる制御信号送出部の機能の一部をOLT210とは別の省電力監視装置240に分担した構成を適用した場合にも、親局装置側で子局装置の電力供給を集約して管理することができる。
図6に示した省電力監視装置240は、更に、ユニット状態判定部243と指示作成部247とを備えている。このユニット状態判定部243は、制御信号送出部から送出される制御信号に基づいて、OLT210に備えられた各PIF2131〜213mに接続されたn個のONU220の全てが待機状態となっているか否かを判定する。
図6に示したユニット状態判定部243は、制御情報抽出部244と、運用状態テーブル245と、状態変化検出部246とを備えている。制御情報抽出部244は、制御信号生成部219によって生成される制御信号を受け取り、この制御信号から宛先となるONU220を特定する情報および上述した制御コードとを含む制御情報を抽出する。また、制御情報抽出部244は、抽出した制御情報に基づいて、運用状態テーブル245に、各ONU220の機番に対応して、そのONUの運用状態を格納する。状態変化検出部246は、例えば、運用状態テーブル245が更新されるごとに、運用状態テーブル245を参照し、後述するようにして、運用状態を変更する条件を満たしたPIF213を検出する。
図8に、運用状態テーブルの例を示す。なお、図8の例では、各PIF2131〜213mの機番#1〜#mに対応して、それぞれが運用状態であるか待機状態であるかを示す情報と、対向しているONUの機番およびそれぞれの運用状態が保持されている。なお、各ONU220の機番の代わりに、個々のONU220の識別情報としてMACアドレスを用いることもできる。また、各ONU220の運用状態を示す情報は、トラヒック監視テーブル216から取得することもできる。
また、図6に示した指示作成部247は、ユニット状態判定部243による判定結果に基づいて、各PIF2131〜213mの動作モードを運用モードあるいは待機モードに設定するための制御指示を作成する。作成された制御指示は、OLTI/F241および監視装置I/F231を介してOLT210に備えられたモード設定部232に渡され、各PIF2131〜213mの動作モードの設定に用いられる。
図9に、PIFへの電力供給制御を表す流れ図を示す。図9に示した例では、制御信号が生成されるごとに、この制御信号の宛先となるONU220に対向するPIF213が待機モードへの移行あるいは待機モードから運用モードへの移行のための条件を満たすか否かを判定している。
制御信号生成部219によって制御信号が生成され、この制御信号がOLTI/F241を介してOLT210に送出されるときに、制御情報抽出部244は、制御信号に含まれる宛先のMACアドレスおよび制御コードを抽出する(ステップ311)。そして、制御情報抽出部244は、抽出したMACアドレスで示されるONU220の機番に対応して運用状態テーブル245に格納されている運用状態情報を、制御コードに応じて更新する(ステップ312)。例えば、ONU#21向けの制御信号から待機状態への移行指示を表す制御コードが抽出された場合は、制御情報抽出部244により、当該ONU#21の運用状態が待機状態に更新される(図8参照)。また、ONU#1n向けの制御信号から運用状態への移行指示を表す制御コードが抽出された場合は、制御情報抽出部244により、当該ONU#1nの待機状態が運用状態に更新される(図8参照)。
状態変化検出部246は、制御信号の宛先ONU220に対向するPIF213の機番に対応して運用状態テーブル245に保持されているPIF213の運用状態情報を参照し、当該PIF213が待機中であるか否かを判定する(ステップ313)。
当該PIF213が運用中である場合に(ステップ313の否定判定)、状態変化検出部246は、このPIF213に対向している各ONU220に対応して運用状態テーブル245に保持された運用状態情報を参照する。
図8に示した例では、ONU#21向けの制御信号に応じて、このONU#21の運用状態が待機状態に更新され、これにより、PIF#2に対向する全てのONU#21〜#2nが待機状態となることが示される。このように、対向する全てのONUの運用状態が待機状態となっている場合に(ステップ314の肯定判定)、状態変化検出部246は、そのPIF213は、運用モードから待機モードへ移行するための条件を満たすと判断する。この判断結果を受けて、指示作成部247は、例えば、動作モードを待機モードに設定する旨の情報と設定対象のPIF213を指定する機番とを含む設定指示を作成し、OLTI/F241を介してOLT210に送出する(ステップ315)。次いで、指示作成部247は、この設定対象のPIF213に対応して運用状態テーブル245に保持された運用状態情報を「待機中」に更新する(ステップ316)。その後、処理は終了する。
一方、対向するONU220のいずれかに対応して「運用中」である旨の運用状態情報が運用状態テーブル245に保持されている場合は、ステップ314の否定判定となる。この場合に、状態変化検出部246は、当該PIF213は待機モードへの移行条件を満たしていないと判断し、ステップ315,316をスキップして、処理を終了する。
このように、図6に示した省電力制御装置では、運用状態テーブル245に集約した各ONU220の運用状態情報に基づいて、対向している全てのONU220が待機中となったPIF213に対して、待機モードへの変更を指示する制御指示が送られる。この制御指示は、OLT210の監視装置I/F231を介してモード設定部232に渡され、このモード設定部232により、指定されたPIF213を待機モードに設定する操作が行われる。
このようにして、対向している全てのONU220が待機中となったときに、これに連動してPIF213を待機モードに切り換えることにより、このPIF213によって消費される電力を低減することができる。これにより、サービスの提供に利用されていないONU220への電力供給を制限することで得られる省電力効果に加えて、OLT210の消費電力も抑制することができるので、伝送システム全体としての消費電力を更に低減させることができる。
次に、上述したようにしてPIF213を待機状態に移行させた後に、このPIF213の運用を再開させる制御について説明する。
図8に示した例では、このONU#m1の運用を再開させる制御信号に応じて、このONU#m1の待機状態が運用状態に更新されている。このとき、このONU#m1に対向するPIF#mに対応して運用状態テーブル245に保持されている運用状態情報は、このPIF#mが待機中であることを示している。このように、制御信号の宛先のONU220に対向するPIF213が待機中である場合に(ステップ313の肯定判定)、状態変化検出部246は、当該PIF213は、待機モードから運用モードに切り換える条件を満たしていると判断する。
この判断結果を受けて、指示作成部247は、例えば、動作モードを運用モードに設定する旨の情報と設定対象のPIF213を指定する機番とを含む設定指示を作成し、OLTI/F241を介してOLT210に送出する(ステップ317)。次いで、指示作成部247は、この設定対象のPIF213に対応して運用状態テーブル245に保持された運用状態情報を「運用中」に更新する(ステップ318)。その後、処理は終了する。
このようにして、対向しているONU220のいずれかが運用中に切り換えられるのに連動して、PIF213の動作モードを待機モードから運用モードに切り換えることができる。
ところで、GE−PONシステムを移動通信システムに適用した構成などでは、例えば、個々のONUを経由するトラヒックは、そのONUが接続された基地局装置の稼動状態に依存する。しかしながら、ONU単体の省電力化を目的とした従来の省電力化技術では、移動通信システムの基地局管理システムのような外部のシステムによって管理されている情報を利用して、GE−PONシステム内の各ONUの稼動制御に反映することはできない。
以下の実施形態では、伝送システムと関連をもつ外部システムと連携して、伝送システムの省電力化を図る方法について説明する。
(実施形態3)
図10に、伝送システムの省電力制御装置の別実施形態を示す。なお、図10に示した構成要素のうち、図1および図6に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図10において、OLT210と複数のONU220とを備えた伝送システムは、各ONU22011〜220mnに対応する基地局BTS#11〜BTS#mnと、IP化対応基地局制御装置(IP−RNC)201とを接続している。なお、IP−RNC201は、基地局監視制御システム202の制御を受けている。
図10に示した省電力監視装置240は、図6に示したトラヒック管理テーブル216および待機/再開検出部242に代えて、連携待機/再開検出部250を備えている。この連携待機/再開検出部250は、監視システムインタフェース(I/F)251と運用制御情報解析部252と運用管理テーブル253とを備えている。
運用制御情報解析部252には、監視システムI/F251を介して基地局監視制御システム202から基地局BTS#11〜BTS#mnに対する運用制御情報が渡されている。運用管理テーブル253には、基地局BTSの機番とONU220の機番との対応関係が格納されている。運用制御情報解析部252は、この対応関係に基づいて、運用制御情報を解析し、基地局BTSの停波に連携して待機状態に移行させるONU220あるいは稼動に応じて運用状態を再開させるONU220を検出する。
つまり、図10に示した省電力監視装置240では、上述した各部により、外部の装置と連携して待機状態に移行させる子局を検出する連携待機検出部および外部の装置と連携して運用状態を再開させる子局を検出する連携再開検出部の機能が実現されている。
そして、運用制御情報解析部252による解析結果に基づいて、制御信号生成部219により、指定されたONU220を待機状態に移行させる制御信号あるいは運用状態を再開させる制御信号が生成される。
この制御信号は、上述した実施形態2と同様にして、宛先のONU220に伝送される。そして、宛先のONU220から返された応答は、OLT210の監視装置I/F231および省電力監視装置240のOLTI/F241を介して応答収集部254に渡される。この応答収集部254は、受け取った応答に基づいて、ONU220における待機状態への移行あるいは運用状態の再開が完了したことを確認し、そのONU220の機番に対応して運用管理テーブル253に格納された運用状態情報を更新する。
図11に、運用管理テーブルの例を示す。図11に示した例では、ONU220の機番に対応して、これらのONU220に対向しているPIF213の機番とそのPIF213の運用状態を示す情報が保持されている。
また、図12に、BTS運用制御に連携した制御信号送出動作を表す流れ図を示す。
運用制御情報解析部252は、監視システムI/F251を介して運用制御情報を受け取ると(ステップ321)、まず、運用管理テーブル253を参照して、運用制御情報で指定された基地局BTSに対応するONU220の機番を特定する(ステップ322)。
次いで、ステップ323,324において、運用制御情報解析部252は、運用制御情報が基地局BTSを稼動させる指示であるか、あるいは停波させる指示であるかを判定する。
受け取った運用制御情報が、基地局BTSへの停波指示であった場合に(ステップ324の肯定判定)、運用制御情報解析部252は、ステップ322で特定したONU220を連携待機子局として検出する(ステップ325)。このとき、運用制御情報解析部252は、検出したONU220の機番および待機状態に移行させる旨を制御信号生成部219に通知する。これに応じて、制御信号生成部219により、指定されたONU220を宛先とする制御信号が生成され、この制御信号がOLT210を介して宛先のONU220に送出される(ステップ326)。
一方、受け取った運用制御情報が、基地局BTSへの稼動指示であった場合に(ステップ323の肯定判定)、運用制御情報解析部252は、ステップ322で特定したONU220を連携再開子局として検出する(ステップ327)。このとき、運用制御情報解析部252は、検出したONU220の機番および運用状態を再開させる旨を制御信号生成部219に通知する。これに応じて、制御信号生成部219により、指定されたONU220を宛先とする制御信号が生成され、この制御信号がOLT210を介して宛先のONU220に送出される(ステップ328)。
いずれの場合も、処理はステップ329に進んで制御信号の宛先のONU220からの完了応答の受信を待つ。そして、応答収集部254が完了応答を受信したときに(ステップ329の肯定判定)、応答内容に応じて運用管理テーブル252を更新して(ステップ330)、処理を終了する。
なお、ステップ323およびステップ324によって、受け取った運用制御情報が停波指示でも稼動指示でもないとされた場合に(ステップ324の否定判定)、運用制御情報解析部252は、そのまま処理を終了する。
図13に、BTSの停波制御とONUの電力供給制御の連携を説明するシーケンス図を示す。また、図14に、BTSの稼動制御とONUの電力供給制御の連携を説明するシーケンス図を示す。なお、図13、図14に示した例では、符号「待機中」が付されたブロック矢印は、対応するONUあるいはBTSが待機中である期間を示している。また、符号「稼動中」が付されたブロック矢印は、対応するBTSが稼動中である期間を、符号「運用中」が付されたブロック矢印は、対応するONUが運用中である期間をそれぞれ示している。
図13に示した例では、符号S(1)で示した時点で、基地局監視制御システムからIP−RNCにBTS#11を停波させる旨の運用制御情報が渡され、これに応じて、IP−RNCにより、指定されたBTS#11を停波させるための処理が行われる(S(2))。そして、このBTS#11を宛先としてIP−RNCからBTS停波指示が送出され(S(3))、これに応じて、BTS#11において停波処理が行われる(S(4))。
また、このとき、同様の運用制御情報が基地局監視制御システムから省電力監視装置に渡され(S(5))、これに応じて、上述した運用制御情報解析部252による運用制御情報解析処理が行われる(S(6))。そして、この解析結果に基づいて、制御信号生成部219により、BTS#11に対応するONU#11を待機状態に移行させる制御信号が生成され(S(7))、この制御信号がOLTを介してONU#11に送出される(S(8))。
この制御信号を受け取ったONU#11では、実施形態1において説明したようにして、トラヒック送受信部221の送信回路への電力供給が停止される(S(9))。このようにして、電力供給が停止された後は、このONU#11は、待機中となる。なお、このとき、ONU#11により、待機状態への移行が完了した旨の完了応答が送出され、この完了応答は、OLTによって省電力監視装置に中継される(S(10))。そして、中継された完了応答に基づいて、応答収集部254により、運用管理テーブル253の更新が行われる(S(11))。
一方、図14に示した例では、基地局監視制御システムからIP−RNCにBTS#14を稼動させる旨の運用制御情報が渡されるのに先立って、基地局監視制御システムから省電力監視装置に同様の運用制御情報が渡される(S(1))。これに応じて、上述した運用制御情報解析部252による運用制御情報解析処理が行われる(S(2))。そして、この解析結果に基づいて、制御信号生成部219により、BTS#14に対応するONU#14の運用を再開させる制御信号が生成され(S(3))、この制御信号がOLTを介してONU#14に送出される(S(4))。
この制御信号を受け取ったONU#14では、実施形態1において説明したようにして、トラヒック送受信部221の送信回路への電力供給が再開される(S(5))。このようにして、電力供給が再開された後は、このONU#14は、運用中となる。なお、このとき、ONU#14により、運用再開が完了した旨の完了応答が送出され、この完了応答は、OLTによって省電力監視装置に中継される(S(6))。そして、中継された完了応答に基づいて、応答収集部254により、運用管理テーブル253の更新が行われる(S(7))。
図14に示した例では、基地局監視制御システムは、省電力監視装置に運用制御情報を送出してから所定の時間後に、IP−RNCに同様の運用制御情報を渡している(S(8))。これに応じて、IP−RNCにより、指定されたBTS#14を稼動させるための処理が行われる(S(9))。そして、このBTS#14を宛先としてIP−RNCからBTS稼動指示が送出され(S(10))、これに応じて、BTS#14において稼動処理が行われる(S(11))。なお、上述したように、省電力監視装置に運用制御情報を渡してからIP−RNCに同様の運用制御情報を渡すまでの時間を予め設定しておく代わりに、省電力監視装置からBTSの稼動制御を開始するのに適切なタイミングの指定を受けることもできる。例えば、連携再開子局として検出されたONU220から運用再開完了を示す完了応答を受け取ったときに、省電力監視装置からその旨を基地局監視制御システムに通知することができる。
このようにして、各BTS#11〜#mnとIP−RNC201とを接続する伝送システムに含まれる個々のONU22011〜220mnへの電力供給を、それぞれのONU220に対応するBTSの稼動/停波に連携して制御することができる。このような連携制御を実現したことにより、移動通信システムに組み込まれたGE−PONシステムを含めて、移動通信システム全体としての省電力化を図ることが可能となる。更に、実施形態2において説明したように、ONU220の運用状態に基づいて、OLT210内部のPIF213の動作モードを制御することにより、より一層の省電力効果を得ることができる。
GE−PONのように、親局装置が複数の子局装置を集約する構成の伝送システムは、企業内の部署ごとなどに設けられたLANをWANに接続するための伝送システムとして用いられる場合もある。以下の実施形態では、このような伝送システムに好適な省電力制御装置について説明する。
(実施形態4)
図15に、伝送システムの省電力制御装置の別実施形態を示す。なお、図15に示した構成要素のうち、図1、図6および図10に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図15において、OLT210と複数のONU220とを備えた伝送システムは、各ONU22011〜220mnに対応するLAN#11〜LAN#mnと、WAN203とを接続している。
また、図15に示した省電力監視装置240は、監視端末インタフェース(I/F)256を介して、監視端末255から、例えば、企業内の部署を指定して、その部署に設置されたLANの運用状態に応じた運用制御指示を受け取る。この運用制御指示は、待機/再開指示検出部257の制御指示解析部258に渡される。運用管理テーブル259には、各部署を識別する部署IDとその部署に設置されたLANとの対応関係を示す情報が保持されている。制御指示解析部258は、運用管理テーブル259に保持された情報と受け取った運用制御指示とに基づいて、LANに対する運用制御指示の実行に伴って待機状態に移行させるONU220あるいは運用状態を再開させるONU220を検出する。
図16に、運用管理テーブルの例を示す。図16に示した例では、例えば、部署IDSc#1に対応して、LAN−ID#1、#2、#3が運用管理テーブル259に格納されている。また、これらのLAN−ID#1、#2、#3にそれぞれ対応して、ONU220の機番#11、#12、#13とそれぞれの運用状態が運用管理テーブル259に格納されていることが示されている。なお、図16の例では、機番#11〜#1mで示されたONU22011〜2201mとこれらのONU220に対向するPIF2131との対応関係と、そのPIF2131の運用状態もあわせて示されている。
このような運用管理テーブル259を用いれば、例えば、部署を指定して待機状態への移行を指示する運用制御指示に応じて、この部署に設置された複数のLANに対応するONUをまとめて待機状態へ移行させる子局装置として検出することができる。同様に、部署を指定して運用を再開する旨を指示する運用制御指示に応じて、この部署に設置された複数のLANに対応するONUをまとめて運用を再開する子局装置として検出することができる。このように、図15に示した伝送システムの省電力制御装置では、制御指示解析部258と運用管理テーブル259とにより、待機指示検出部および再開指示検出部の機能が実現されている。
また、図17に、運用制御指示に応じた制御信号送出動作を表す流れ図を示す。なお、図17に示したステップのうち、図12に示したステップと同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
制御指示解析部258は、監視端末I/F257から、例えば、制御対象の部署を示す部署IDと制御内容を示す指示コードを含む運用制御指示を受信する(ステップ331)。これに応じて、制御指示解析部258は、まず、運用管理テーブル259を参照して、部署IDで指定された部署に設置されたLANに対応するONU220の機番を検索する(ステップ332)。
例えば、運用制御指示で、部署IDSc#1が制御対象として指定されている場合に、制御指示解析部258は、ステップ332において、運用管理テーブル259から、この部署IDSc#1に対応して格納されたONU220の機番#1、#2、#3を得る。
次いで、制御指示解析部258は、運用制御指示に含まれる指示コードに基づいて、この運用制御指示が待機移行指示であるか、それとも、運用再開指示であるかを判別する(ステップ333,334)。
運用制御指示に、待機状態に移行する旨の指示コードが含まれていた場合に(ステップ334の肯定判定)、制御指示解析部258は、検索したONU220の機番を待機状態に移行させる子局装置として制御信号生成部219に通知する(ステップ335)。このとき、制御指示解析部258は、検索したONU220の機番をまとめて制御信号生成部219に渡すことができる。例えば、部署IDSc#1について待機状態に移行する旨の運用制御指示が入力された場合に、制御指示解析部258は、部署IDSc#1に対応する3つのONU220の機番#11、#12、#13をまとめて制御信号生成部219に渡すことができる。
これに応じて、制御信号生成部219により、通知された機番で特定される各ONU220を宛先として、当該ONU220を待機状態に移行させる制御信号がそれぞれ生成され、これらの制御信号がOLT210を介して送出される(ステップ336)。
一方、運用制御指示に、運用状態に移行する旨の指示コードが含まれていた場合に(ステップ333の肯定判定)、制御指示解析部258は、検索したONU220の機番を運用状態に移行させる子局装置として制御信号生成部219に通知する(ステップ337)。このとき、制御指示解析部258は、検索したONU220の機番をまとめて制御信号生成部219に渡すことができる。
これに応じて、制御信号生成部219により、通知された機番で特定される各ONU220を宛先として、当該ONU220を運用状態に移行させる制御信号がそれぞれ生成され、これらの制御信号がOLT210を介して送出される(ステップ338)。
上述したステップ336あるいはステップ338において制御信号が送出された後、応答収集部254により、上述した実施形態3と同様にしてONU220側からの応答に基づいて運用管理テーブル259を更新する処理が行われる(ステップ329,330)。その後、監視端末255から入力される運用制御指示に対応する処理が終了する。
図15に示した伝送システムの省電力制御装置では、複数のLANが設置された部署を示す部署IDを制御対象として指定することにより、これらのLANに対応するONU220の運用状態を一括して制御することができる。
図18に、複数のONUの電力一括制御動作を説明するシーケンス図を示す。なお、図18に示した例では、符号「待機中」が付されたブロック矢印は、対応するONUが待機中である期間を示している。また、符号「運用中」が付されたブロック矢印は、対応するONUが運用中である期間をそれぞれ示している。
図18の例では、例えば、部署IDSc#1で示される部署に設置されたLANの運用が停止された際などに、システムの管理者によって監視端末255が操作され、部署IDSc#1を指定して待機状態にこうする旨の運用制御指示が入力される(S(1))。
そして、この運用制御指示が、省電力監視装置の制御指示解析部258によって解析され(S(2))、上述した部署に設置されたLANに対応する3台のONU#11,#12,#13に待機状態への移行を指示する制御信号が生成される(S(3))。そして、これらの制御信号は、OLTを介してそれぞれの宛先に送出され(S(4))、これに応じて、ONU#11,#12,#13において、電力供給を停止する処理が行われる(S(6))。また、ONU#11,#12,#13から返された完了応答は、OLTを介して省電力監視装置に渡される(S(7))。そして、これらの完了応答が、応答収集部254によって収集されたときに、運用管理テーブル259が更新され(S(8))、ONU#11,#12,#13の運用状態が運用管理テーブル259に反映される。また、このようにして、ONU#11,#12,#13が待機状態に移行したことが確認された後に、例えば、応答収集部254が、監視端末I/F256を介して、待機状態への移行が完了したことを監視端末255に通知することもできる(S(9))。
なお、監視端末255から入力される運用制御指示は、個別のLAN−IDを指定して待機状態への移行あるいは運用状態への移行を指示するものであってもよい。この場合は、指定されたLAN−IDに対応するONU220を宛先とする制御信号が生成され、生成された制御信号がOLT210を介して宛先のONU220に送出される。
ところで、複数の子局装置を親局装置が集約する構成の伝送システムは、地下街などに設置される小型基地局装置を基地局制御装置に接続するための伝送システムとして用いられる場合がある。そして、地下街の通路や店舗内などに設置される小型基地局装置の運用スケジュールは、通路の開放時間帯や店舗の営業時間帯に応じて予め決定しておくことが可能である。
以下の実施形態では、予め決定されたスケジュールに従って伝送システムの運用状態を制御する方法について説明する。
(実施形態5)
図19に、伝送システムの省電力制御装置の別実施形態を示す。なお、図19に示した構成要素のうち、図1、図6、図10および図15に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図19に示したGE−PONシステムは、地下街の通路や店舗内などに設けられた小型基地局装置(μBTS)#11〜#mnをIP−RNC201に接続している。GE−PONシステムに備えられた各ONU22011〜220mnは、それぞれの符号に付された添え字に対応する機番が付されたμBTSに対向して設置されている。
図19に示した省電力監視装置240は、図15に示した監視端末I/F256および制御指示解析部258に代えて、スケジュール保持部261とスケジュール管理部262とを備えている。スケジュール管理部262は、後述するようにして、スケジュール保持部261に保持されたスケジュール情報および運用管理テーブル259に保持された情報とに基づいて、待機状態に移行させるONU220および運用を再開させるONU220を特定する。
スケジュール管理部262によって特定されたONU220の識別情報を受け取って、制御信号生成部219は、指定されたONU220を待機状態あるいは運用状態に移行させる制御信号を生成する。生成された制御信号は、上述した実施形態2−4と同様に、OLT210を介して、宛先のONU220に送信される。また、制御信号の受信に応じて各ONU220から返される応答は、上述した実施形態3,4と同様にして、OLT210を介して省電力監視装置240の応答収集部254で収集され、運用管理テーブル259の更新に供される。また、このようにして更新された運用管理テーブル259に基づいて、ユニット状態判定部243および指示作成部247により、実施形態3と同様にして、OLT210に備えられたPIF213の運用/待機状態の制御が行われる。
次に、スケジュール情報および運用状態情報に基づいて、待機状態に移行させるONU220あるいは運用を再開させるONU220を特定する処理について説明する。
図20に、スケジュール保持部の例を示す。また、図21に、運用管理テーブルの例を示す。更に、図22に、スケジュール情報に基づく制御信号送出動作を表す流れ図を示す。
図20に示した例では、地下街などに設けられた領域区分を識別する領域ID(Ar#1、Ar#2,…)に対応して、その領域内に設置された小型基地局装置に対向する各ONU220の機番と、個々のONU220を運用状態とする時間帯を示す運用スケジュールが格納されている。スケジュール保持部261には、図20に示すように、例えば、平日と休前日および休日に対応して、それぞれ異なる運用スケジュールを格納しておくこともできる。
また、図21に示した例では、各領域ID(Ar#1、Ar#2、…)に対応して、その領域内に設置された小型基地局装置およびONUの機番と、各ONUの運用状態が格納されている。なお、図21の例では、機番#11〜#1mで示されたONU22011〜2201mとこれらのONU220に対向するPIF2131との対応関係と、そのPIF2131の運用状態もあわせて示されている。
図22に示した例では、スケジュール管理部262は、定期的に、伝送システムに含まれる各ONU220について、順次に、スケジュール保持部261に保持された運用スケジュールと運用管理テーブル259とを参照する(ステップ341,342)。そして、スケジュール管理部262は、注目しているONUの運用スケジュールと、当該ONU220の運用状態を示す運用状態情報とが適合しているか否かを判定する(ステップ343)。
例えば、図20に示した例では、機番#12のONU220に対応して、平日の午前9時30分から運用を開始する旨の運用スケジュールが設定されている。そして、平日の午前9時30分の時点で、機番#12のONU220に対応して、このONU220が待機中である旨が運用管理テーブル259に保持されていた場合に、スケジュール管理部262は、当該ONU220の運用状態情報が運用スケジュールに適合しないと判断する(ステップ343の否定判定)。
この場合に、スケジュール管理部262は、運用スケジュールに基づいて、注目しているONU220の運用を再開するか否かを判定する(ステップ344)。スケジュール管理部262は、現在時刻が運用スケジュールの開始時刻に相当する場合に、当該ONU220の運用を再開すべきと判断する(ステップ344の肯定判定)。そして、このONU220の機番が、運用状態を再開させる対象の運用再開子局を示す情報として制御信号生成部219に通知される(ステップ345)。
このように、スケジュール管理部262が、スケジュール保持部261および運用管理テーブル259を参照して上述した判定処理を行うことにより、運用を再開する条件を満たす子局装置を検出することができる。つまり、図19に示した構成では、スケジュール管理部262により、サービスに使用されない予定の子局装置検出する予定待機検出部、および、サービスの利用が再開される予定の子局装置を検出する予定再開検出部の機能が実現されている。
そして、ステップ345で通知された機番で示されるONU220を宛先として、制御信号生成部219により、運用再開を指示する制御信号が生成され、上述した実施形態と同様にして、OLT210を介して宛先のONU220に送出される(ステップ346)。
一方、現在の時刻が運用スケジュールの終了時刻に相当する場合に、スケジュール管理部262は、当該ONU220を待機状態に移行させるべきと判断する(ステップ344の否定判定)。そして、このONU220の機番が、待機状態に移行させる対象の待機移行子局を示す情報として制御信号生成部219に通知される(ステップ348)。
このように、スケジュール管理部262が、スケジュール保持部261および運用管理テーブル259を参照して上述した判定処理を行うことにより、待機状態へ移行する条件を満たす子局装置を検出することができる。
そして、ステップ348で通知された機番で示されるONU220を宛先として、制御信号生成部219により、待機移行を指示する制御信号が生成され、上述した実施形態と同様にして、OLT210を介して宛先のONU220に送出される(ステップ349)。
上述したようにして運用再開あるいは待機移行を指示する制御信号が送出された後に、応答収集部254により、上述した制御信号の宛先となったONU220からの応答に応じて運用管理テーブル259を更新する処理が行われる(ステップ329,330)。
その後、スケジュール管理部262は、全てのONU220についての処理が完了したか否かを判定する(ステップ347)。また、注目しているONU220に関する運用スケジュールと運用状態情報が一致した場合には、ステップ343の肯定判定として、ステップ347に進む。そして、未処理のONU220がある場合に、スケジュール管理部262は、ステップ347の否定判定としてステップ341に戻り、次のONU220に注目した処理を行う。
このようにして、全てのONU220について、運用スケジュールと運用状態情報とを照合し、不一致があったONU220に対して、運用状態を運用スケジュールに一致させるような制御信号を送出することができる。そして、上述した処理を所定の時間間隔で繰り返すことにより、各ONU220の運用状態を運用スケジュールに従って制御することができる。これにより、地下道の開放時間や店舗の営業時間などに合わせて、地下道や地下街の店舗に設置された小型基地局装置に対向するONU220を運用させ、地下道が閉鎖される時間帯や店舗が閉店されている時間帯には待機させることができる。
このような制御を実現したことにより、例えば、地下道が閉鎖される時間帯や店舗が閉店されている時間帯に、伝送システムによって消費される電力を抑制することができる。
なお、上述した実施形態1−5において説明した伝送システムの省電力制御装置は、GE−PONを適用した伝送システムに限らず、親局装置によって子局装置を集約する構成の伝送システムであれば適用することができる。例えば、集合メディアコンバータに複数の単体型メディアコンバータを接続した構成の伝送システムや、DSLAMに複数のADSLモデムを接続した構成の伝送システムの省電力制御装置としても適用可能である。また、実施形態1−5で説明した制御手法を組み合わせて適用することも可能である。
また、親局装置と子局装置との間に、サービス提供のためのトラヒックを伝送する伝送経路以外に、例えば、監視制御のために、別のアウトバンド回線が用意されている場合がある。このような場合には、上述したアウトバンド回線を利用して、子局装置の電力供給を制御するための制御信号および応答を授受することもできる。
更に、子局装置側でトラヒックの発生に検出して、子局装置を待機状態から運用状態への切り替えを行う技術と組み合わせて、実施形態1−5で説明した省電力制御装置を適用することも可能である。