JP2011174707A - 心筋障害の検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】心筋障害の治療法としては、対症的な治療法で乗り切るしかない現状を鑑み、心筋障害の根本的治療を導入する足がかりとなる検査方法を提供する。
【解決手段】本発明者らは、心筋障害と自己抗体の関係に着目し、鋭意研究を重ねた結果、抗心筋型ジヒドロピリジン受容体抗体および/または抗心筋型リアノジン受容体抗体を指標とする心筋障害の検査方法を完成した。
【選択図】なし

Description

本発明は、心筋障害の検査方法に関する。
我が国ではライフスタイルの欧米化に伴い心疾患による死亡率は年々増加している。また、平均寿命の延長も伴って高血圧症の罹病率、患者数ともに増加している。高血圧が持続すると、心臓、腎臓、脳、血管などに臓器障害が生じることがある。特に心臓においては心肥大、心筋線維化などが起こり、心不全状態となり最終的には死に至らしめる場合がある。しかし、不整脈、心不全、心筋症、心肥大、心筋線維化などの心筋障害の治療方法としては、利尿剤や水分制限、ペースメーカーの植え込みなどで対症的に乗り切るしか無いのが現状である。
心筋障害の検査方法としては、運動負荷試験心電図、ホルター心電図、心臓エコー、心臓カテーテル検査、心筋シンチグラム、心筋トロポニンT検査(血液検査)などが行われている。
重症筋無力症{myasthenia gravis(MG)}は神経筋接合部のシナプス後膜上に存在するニコチン性アセチルコリン受容体{nicotinic acetylcholine receptor (nAChR)}を標的とした自己免疫疾患である。筋力低下や易疲労性といった症状を特徴とし、重症例では呼吸筋麻痺が出現する。合併症として胸腺異常が約80%の患者に見られ、疾患との密接な関係が疑われている。
MGの病因はnAChRに対し、主にIgG1サブクラスの抗nAChR抗体が産生され、nAChRが破壊されて神経筋伝達の障害をおこすことによるといわれている。しかし、抗nAChR抗体価はMGの重症度と一致せず、胸腺腫合併例ではリアノジン受容体{ryandine Receptor (RyR)}、ジヒドロピリジン受容体{dihydropyridine receptor (DHPR)}、titin、interferon-α2、interferon-ω、interleukin-12、に対する自己抗体が高率に陽性となるといわれる。その他、自己抗体の標的となる骨格筋分子としてactin、myosin、α-actinin、actomyosin、rapsynなど多くの報告がなされている。また、本発明者らも胸腺腫合併MGにおいてDHPRがその標的となることを発見している(参照:特許文献1)。
特開2009−92561号公報
近年、MG患者において心筋炎、不整脈、QT延長や心房細動・粗動などの心電図異常、肺性心などの心筋障害が報告されている。しかし、現在のところ心筋障害を起こすメカニズムについて十分な知見は得られていない。
そこで、心筋障害の治療法としては、対症的な治療法で乗り切るしかない現状を鑑み、心筋障害の根本的治療を導入する足がかりとなる検査方法を提供する。
本発明者らは、心筋障害と自己抗体の関係に着目し、鋭意研究を重ねた結果、抗心筋型ジヒドロピリジン受容体抗体および/または抗心筋型リアノジン受容体抗体を指標とする心筋障害の検査方法を完成した。
すなわち、本発明は以下に関する。
1.被験者から得られた試料中の抗心筋型ジヒドロピリジン受容体抗体および/または抗心筋型リアノジン受容体抗体を指標とする心筋障害の検査方法。
2.心筋障害が、不整脈、心不全、心筋症、心肥大、心筋線維化、心筋炎、心房細動、心房粗動、高血圧症から選ばれる少なくとも一を有する疾患である前項1に記載の検査方法。
3.被験者が重症筋無力症または胸腺腫である前項1又2に記載の検査方法。
4.被験者が重症筋無力症または胸腺腫でない場合には、心筋障害の原因を自己抗体であると判定する前項1又2に記載の検査方法。
5.被験者から得られた試料が血清である前項1〜4のいずれか一に記載の検査方法。
6.検査方法が、免疫沈降法、ウェスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、ELISA法、RIA法、凝集法、およびこれらの変法から選ばれるいずれか一の方法である、前項1〜5のいずれか一に記載の検査方法。
7.前項1〜6のいずれか一に記載の検査方法に用いる試薬を含む検査用キット。
8.心筋型ジヒドロピリジン受容体もしくはその断片および/または心筋型リアノジン受容体もしくはその断片を含む前項7に記載の検査用キット。
本発明の検査方法により、新たな心筋障害の検査方法を提供できた。
特に、被験者が重症筋無力症または胸腺腫でない場合には、心筋障害の原因を免疫系の関与(自己抗体の存在)であると判定できる。この判定結果により、心筋障害の治療方法が、対症的治療ではなく、根本的治療につなげることができる。特に、亜急性期から慢性期の心筋障害(不整脈、心不全、心筋症など)での免疫関与を明らかにして、免疫治療を導入する足がかりとなる検査方法である。
心筋由来タンパク質分画及び骨格筋由来タンパク質分画を抗原としたイムノブロットである。胸腺腫合併MGおよび胸腺腫非合併MGの血清ではそれぞれのモノクローナル抗体と同じ分子量の位置にバンドが検出されたことを示す。左に分子量(kD)を示す。
本発明は、被験者から得られた試料中の抗心筋型ジヒドロピリジン受容体抗体および/または抗心筋型リアノジン受容体抗体を指標とする心筋障害の検査方法に関する。以下に、該検査方法の詳細を記載する。
リアノジン受容体(RyR)は分子量約565 kD(約5,000アミノ酸残基)からなり、4量体を形成してCa2+放出チャネルを構成している筋小胞体膜上のタンパク質である。なお、RyRは、1-3の3つのサブタイプがあり、互いに65%程度の配列相同性を持つ{竹島浩. リアノジン受容体と結合膜構造: Folia Pharmacol. Jpn. 121,203-210(2003)}。主に骨格筋には1型、心筋には2型が存在している。
RyRはどのサブタイプも細胞質のCa2+濃度上昇によって活性化される性質をもち、Ca2+誘発性Ca2+放出{Ca2+-induced Ca2+ release (CICR)}現象の中心的役割を担う。
心筋ではジヒドロピリジン受容体(DHPR)を介するCa2+流入によってCICR機構が働き、RyRからのCa2+動員がおこって心筋の収縮が開始される。一方、骨格筋の場合はCICR機構を強固に抑制しても収縮が阻害されないとの報告や細胞外にCa2+が存在しない状況下においても脱分極刺激に応じて筋小胞体よりCa2+放出が誘導され、筋収縮が観察されるとの報告があることから、Ca2+放出の制御にはCICR機構が必須ではないとの認識が一般的である 。
ジヒドロピリジン受容体(DHPR)は、横行小管(T管)膜の最深部にある筋小胞体末端膨大部と連結するタンパク質で、電位センサーとして機能し、リアノジン受容体と興奮収縮連関の単位を構成する。すなわち、神経から放出されたアセチルコリンを筋アセチルコリン受容体が受容すると、ナトリウムイオンが筋内に流入し、活動電位が発生する。この活動電位によってT管が脱分極すると、DHPR体から筋小胞体にあるリアノジン受容体にシグナルが伝わり、カルシウムイオンが放出されて筋収縮が起きる。
DHPRにはさらにサブタイプがあり、主に心筋では α1C (Cav1.2とも呼ばれる) が存在するのに対し、骨格筋ではα1S (Cav1.1とも呼ばれる)が存在する{栗原崇, 田邊勉. 電位依存性Ca2+チャネル: 蛋白質 核酸 酵素. 43, 1579-1588 (1998)}。
また、電位依存性Ca2+チャネル{voltage-gated calcium channel (VGCC)}は、α1,α2-δ,β,γの数個のサブユニットから構成されるCa2+選択性を有するイオンチャネルである。最も重要なチャネル形成部を含むのは α1サブユニットであり、発現部位や膜電位依存性などの機能の違いからL、N、P/Q、R、Tタイプに分けられる。DHPRはL型VGCCをさす。
本願発明の検査方法の指標である抗心筋型ジヒドロピリジン受容体抗体は、心筋に存在するジヒドロピリジン受容体(DHPR)に対する抗体であって、α1C型DHPR(以下、DHPRα1Cと称する場合がある)を標的とする抗体(以下、抗DHPRα1C抗体と称する場合がある)である。本抗体はDHPRα1Cを標的とするものであれば、その断片化されている抗体、変異もしくは修飾されている抗体であってもよい。
本願発明の検査方法の指標である抗心筋型リアノジン受容体抗体は、心筋に存在するリアノジン受容体(RyR)に対する抗体であって、RyR2を標的とする抗体(以下、抗RyR抗体と称する場合がある)である。本抗体は心筋のRyR2を標的とするものであれば、その断片化されている抗体、変異もしくは修飾されている抗体であってもよい。
心筋障害は、心筋に異常が生じて、心臓の形や働きに異常が生じた状態である。
本願発明の検査対象である心筋障害とは、心筋の障害であれば特に限定されるものではないが、例えば、不整脈、心不全、心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症等)、心筋線維化、心筋炎、心房細動、心房粗動、心肥大、高血圧症等などが挙げられる。
本願発明で用いられる試料は、被験者から得られた心筋を含む抽出物であり、特に限定されない。例えば、血液(血漿、血清)、肺分泌物等を利用できる。特に、簡便に検査することを考慮すれば、血液、特に血清を使用することが好ましい。試料は検査方法に応じて適宜調製される。
被験者は、ヒトを含む哺乳類を対象とする。例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ特に競馬ウマを含む。
本発明の検査方法により抗DHPRα1C抗体および/または抗RyR2抗体の存在が確認された場合、または抗体の量(抗体価等を含む)が健常人より有意に高い場合は心筋障害があると判定される。
さらに、本発明の検査方法により心筋障害と判定された場合には、心筋障害の原因を免疫系の関与(自己抗体の存在)と考えられる。特に、被験者が重症筋無力症または胸腺腫でない場合には、心筋障害の原因は免疫系の関与(自己抗体の存在)の可能性が高い。
これにより、前記被験者の心筋障害の治療に免疫療法を導入することができる。なお、免疫治療は、対症治療とは異なり、心筋障害の根本的治療方法となる。
本発明の検査方法は、抗DHPRα1C抗体および/または抗RyR2抗体の存在または濃度を検査する方法であり、その方法は、当該技術分野で用いられている方法であれば特に限定されるものではない。
好適には免疫学的方法を用いて検出することができる。例えば、免疫沈降法、ウェスタンブロット法(イムノブロット法)、ドットブロット法、スロットブロット法、ELISA法、RIA法、凝集法(例えば、ラテックス凝集法)、およびこれらの変法が挙げられる。
ELISA/RIA(あるいはこれらの変法)用試料は、例えば、回収した血清をそのまま使用するか、緩衝液で適宜希釈したものを用いる。
ウエスタンブロット用(電気泳動用)試料は、例えば、血清をそのまま使用するか、緩衝液で適宜希釈して、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動用の2−メルカプトエタノールを含むサンプル緩衝液(シグマ社製等)と混合したものを用いる。
ドット/スロットブロット用試料は、例えば、血清そのもの、又は緩衝液で適宜希釈したものを、ブロッティング装置を使用するなどして、直接メンブレンへ吸着させたものを用いる。
本発明の抗DHPRα1C抗体および/または抗RyR2抗体の検出方法として、サンドイッチELISAに基づく以下の方法が例示される。
1)まず、アッセイプレートにDHPRα1CまたはRyR2に対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体をコートし、
2)ヒトまたは他の哺乳動物由来のDHPRα1C、RyR2またはそれらの断片をプレート上の抗体に結合させ、
3)患者血清、必要に応じて二次抗体、発色基質をプレートに添加し、吸光度を測定する。
サンドイッチELISAは、抗体価を数値化できるため治療前後など経時的変化の観察や患者間の比較がしやすい、という点で優れている。
上記した免疫学的方法で用いられる抗体は、公知の方法にしたがって調製できるし、市販のものを用いてもよい。
抗体は、常法により、抗原となるタンパク質、あるいはそのアミノ酸配列から選択される任意のポリペプチドを用いて動物を免疫し、該動物生体内に産生される抗体を採取、精製することによって得ることができる。
また、公知の方法(例えば、K hler and Milstein, Nature 256, 495-497, 1975; Kennet, R. ed., Monoclonal Antibody p.365-367, 1980, Prenum Press, N.Y.)にしたがって、特異的抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることによりハイブリドーマを樹立し、これよりモノクローナル抗体を得ることもできる。
検出に用いられる抗原あるいは前記抗体作製用の抗原は、ヒトまたは他の哺乳動物由来のDHPRα1C、RyR2またはそれらの断片を利用できる。さらに、抗原には、DHPRα1C、RyR2またはそれらの断片の少なくとも6個の連続した部分アミノ酸配列からなるポリペプチド(エピトープ部分のポリペプチド)、あるいはこれらに任意のアミノ酸配列や担体が付加された誘導体、変異体等を含む。
なお、検出に用いられる抗原は、哺乳動物の心筋の粗抽出液を用いてもよい。粗抽出液を用いると抗原入手が容易であり、抗原の立体構造を保持できる。
前記抗原は、DHPRα1C、RyR2、それらの断片を遺伝子操作により宿主細胞に産生させることによって得ることができる。具体的には、DHPRα1C、RyR2、それらの断片のcDNA配列を発現可能なベクターに導入し、該ベクターを宿主細胞に導入して発現させる。
二次抗体は、該抗体を直接標識するか又は特異的に認識する標識三次抗体と協同で検出に用いられる。
前記標識の種類として好ましいものは、酵素(アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼ)又はビオチンであるが、これらに限定されない。
標識三次抗体(又は標識ストレプトアビジン)としては、予め標識された抗体(又はストレプトアビジン)が、各種市販されている。
なお、RIAの場合は125I等の放射性同位元素で標識された抗体を用い、測定は液体シンチレーションカウンター等を用いて行う。
上記標識された酵素等の活性を検出することにより、抗原の発現量が測定される。アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼで標識する場合、これら酵素の触媒により発色する基質や発光する基質が市販されている。
発色する基質を用いた場合、ウエスタンブロット法やドット/スロットブロット法を利用すれば、目視で検出できる。ELISA法では、市販のマイクロプレートリーダーを用いて各ウェルの吸光度を測定し、定量することが好ましい。また上述の抗体作製に使用した抗原の希釈系列を調製し、これを標準抗原試料として他の試料と同時に検出操作を行い、標準抗原濃度と測定値をプロットした標準曲線を作成することにより、他の試料中の抗原濃度を定量することも可能である。
一方、発光する基質を使用した場合は、ウエスタンブロット法やドット/スロットブロット法においては、X線フィルム又はイメージングプレートを用いたオートラジオグラフィーや、インスタントカメラを用いた写真撮影により検出することができる。
また、デンシトメトリーやモレキュラー・イメージャーFxシステム(バイオラッド社製)等を利用した定量も可能である。
さらに、ELISA法で発光基質を用いる場合は、発光マイクロプレートリーダー(例えば、バイオラッド社製等)を用いて酵素活性を測定する。
さらに、本発明は、上記検査方法に用いる試薬を含む検査用キットに関する。本キットは、好ましくは、DHPRα1Cもしくはその断片、または、RyR2もしくはその断片、並びにそれらの両方を含む。当該抗原またはその断片は、例えば、検査対象の抗体との親和性を向上させるため、安定化のために変異体、修飾体などであってもよい。
前記DHPRα1Cもしくはその断片またはRyR2もしくはその断片の由来は、ヒトDHPRα1C抗体またはヒトRyR2抗体が検出可能であれば特に限定されない。ヒト以外の哺乳動物組織の抽出物でもよい。
また、ヒトDHPRα1CまたはヒトRyR2あるいはそれらのエピトープを含む断片、もしくはこれらと同じアミノ酸配列を有する組換え型ヒトDHPRα1CまたはRyR2あるいはそのエピトープを含む断片であることが好ましい。これらは、上述した方法により作製することができる。
前記した各種抗体あるいはその断片は、適当な標識によりラベル(例えば、酵素標識、放射性標識、蛍光標識等)されていてもよいし、ビオチン等により適当に修飾されていてもよい。
また、前記抗体あるいはその断片は、適当な支持体に固相化されていてもよいし、あるいは固相化可能なように別個に支持体がキットに含まれていてもよい。
そのような支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド等のタンパク質を付着可能な合成樹脂、ガラス、ニトロセルロース、セルロース、及びアガロース製の支持体、あるいはゲル型支持体を使用することができる。支持体の形態は特に限定されないが、極小球あるいはビーズ(例えば"ラテックス"ビーズ)などの微粒子、微量遠心チューブなどのチューブ(内壁)、マイクロタイタープレート(ウェル)等の形態で提供される。
本発明のキットは、上記した構成要素のほか、必要に応じて、ラベル体の検出のための試薬、反応用緩衝液、酵素、基質等、本発明の実施に必要な他の要素を含んでもよい。
本発明の理解を深めるために、以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(イムノブロットによる患者血清中の抗RyR2抗体および抗DHPRα1C抗体の検出)
血清中の心筋型であるRyR2およびDHPRα1C に対する抗体の存在の確認並びに骨格筋型であるRyR1およびDHPRα1S との反応性の比較のため、心筋由来タンパク質分画及び骨格筋由来タンパク質分画を抗原としたイムノブロットを行い、それぞれのモノクローナル抗体と同じ分子量の位置にバンドが検出されるかを調べた。
1. 対象
試料は、患者より同意を得て採血し、その血清を使用した。
MG患者24名(胸腺腫合併14名、正常胸腺10名)、MG非合併胸腺腫 8名、疾患コントロール群6名{筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ギラン・バレー症候群(GBS)、他}並びに正常コントロール群10名の血清を使用した。
2. ウサギからの抗原抽出
ウサギ(10週齢、2.02 kg、メス、Healthy Kbs : JW 日本白色種)の心臓および後肢骨格筋を取り出し、ホモジナイズし、超遠心分離などにより分画し、RyR2、DHPRα1Cを含む心筋抗原タンパク質分画、RyR1、DHPRα1Sを含む骨格筋抗原タンパク質分画を得た。
上記調製したウサギタンパク質分画を緩衝液に混合し95℃で5分間加熱した後電気泳動した。泳動したタンパク質はPVDFメンブレン (Invitrogen) に転写した。ブロッキング、洗浄した後、RyR2、DHPRα1C、RyR1およびDHPRα1Sのモノクローナル抗体(一次抗体)と反応させた。
モノクローナル抗体は、マウス抗1型リアノジン受容体モノクローナル抗体 (LifeSpan Biosciences, Inc., Seattle, WA)、マウス抗2型リアノジン受容体モノクローナル抗体(Affinity Bio Reagents, Rockford, IL)、マウス抗ジヒドロピリジン受容体α1Sサブユニットモノクローナル抗体(SIGMA-ALDRICH Inc.,Saint Louis, Missouri, USA) 及びウサギ抗ジヒドロピリジン受容体α1Cサブユニットポリクローナル抗体(abcam,東京)を使用した。
前記メンブレンを洗浄した後、HRP標識二次抗体を反応させた。二次抗体は、HRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体 (MP Biomedicals -Cappel Products, Costa Mesa, CA, USA) 及びHRP標識抗ウサギ抗体(MP Biomedicals -Cappel Products, Costa Mesa, CA, USA)を使用した。メンブレンを洗浄した後、シグナルの検出を行った。
上記検出結果は以下の通りである。
MGおよび胸腺腫の血清においてバンドが検出された(図1)。
MGおよび胸腺腫の血清の陽性率を下記表1に記載する。
RyR2の陽性検体数は、胸腺腫合併MGで14例中8例(57.1 %)、胸腺腫非合併MGで10例中3例(30.0 %)、であった。RyR2に対するバンドはMGを発症していない胸腺腫からは検出されなかった。
また、DHPRα1Cに対するバンドが検出された検体数は、胸腺腫合併MGで14例中3例(21.4 %)、胸腺腫非合併MGで10例中3例(30.0 %)、胸腺腫で8例中3例(37.5 %)、であった。
以上により、MG患者およびMG非合併胸腺腫の患者において自己抗体(抗RyR2抗体および/または抗DHPRα1C抗体)を持つ患者が存在することが示された。
さらに、心筋型および骨格筋型RyRまたはDHPRに対する自己抗体の関係を下記表2に示した。
胸腺腫合併MG群、胸腺腫非合併MG群およびMG非合併胸腺腫群の合計32例中、心筋型のみ陽性の検体がRyRで2例、DHPRで7例存在した。
また、骨格筋のみ陽性の検体がRyRで3例、DHPRで6例存在した。
RyR、DHPRともに骨格筋のみ、もしくは心筋のみに反応する検体が存在した結果を得た。該結果は、RyR1とRyR2に交叉反応する自己抗体だけでなく、RyR1とRyR2にそれぞれ単独で反応する自己抗体が存在することが示された。さらに、DHPRα1CとDHPRα1Sにそれぞれ単独で反応する自己抗体の存在も示された。
以上により、骨格筋型RyR1に対する自己抗体とは異なる、心筋型RyR2に対する自己抗体が存在することを確認した。さらに、骨格筋型DHPRα1Sに対する自己抗体とは異なる、心筋型DHPRα1Cに対する自己抗体が存在することを確認した。
心筋型抗体(RyR2およびDHPRα1C)が検出された患者17例において心電図異常、高血圧を呈していたものが10例存在した。各患者の自己抗体検出結果と臨床所見の関連性を下記表3に示す。また、異常の内容としては、心電図所見において期外収縮を示す患者が多かった。
下記表3の結果より、心筋型RyR2、DHPRα1Cに対する自己抗体の存在により、心筋障害を生じる可能性がある。さらに、心筋型RyR2、DHPRα1Cに対する自己抗体を検出することにより現時点では明らかになっていない心筋障害の悪化・進行を予測することもできる。
さらに、心筋型DHPRに対する自己抗体と心電図異常の関係を下記表4に示した。
心筋型DHPRに対する自己抗体陽性の胸腺腫合併MG群の3例中3例で心電図異常を確認した。
心筋型DHPRに対する自己抗体陽性の胸腺腫非合併MG群の3例中1例で心電図異常を確認した。
心筋型DHPRに対する自己抗体陽性のMG非合併胸腺腫群の3例中1例で心電図異常を確認した。
以上により、心筋型DHPRに対する自己抗体は、胸腺腫合併MG、MG及びMG非合併胸腺腫患者の心筋障害の指標(検査マーカー)とすることができる。
本発明は、新規な心筋障害の検査方法を提供する。

Claims (8)

  1. 被験者から得られた試料中の抗心筋型ジヒドロピリジン受容体抗体および/または抗心筋型リアノジン受容体抗体を指標とする心筋障害の検査方法。
  2. 心筋障害が、不整脈、心不全、心筋症、心肥大、心筋線維化、心筋炎、心房細動、心房粗動、高血圧症から選ばれる少なくとも一を有する疾患である請求項1に記載の検査方法。
  3. 被験者が重症筋無力症または胸腺腫である請求項1又2に記載の検査方法。
  4. 被験者が重症筋無力症または胸腺腫でない場合には、心筋障害の原因を自己抗体であると判定する請求項1又2に記載の検査方法。
  5. 被験者から得られた試料が血清である請求項1〜4のいずれか一に記載の検査方法。
  6. 検査方法が、免疫沈降法、ウェスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、ELISA法、RIA法、凝集法、およびこれらの変法から選ばれるいずれか一の方法である、請求項1〜5のいずれか一に記載の検査方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一に記載の検査方法に用いる試薬を含む検査用キット。
  8. 心筋型ジヒドロピリジン受容体もしくはその断片および/または心筋型リアノジン受容体もしくはその断片を含む請求項7に記載の検査用キット。
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