JP2011174499A - スプライン伸縮軸、およびスプライン伸縮軸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中間軸5は、軸方向X1に移動可能に嵌合された内軸35および筒状の外軸と、内軸35の外周に設けられた外スプライン38と、外軸の内周に設けられた内スプラインと、外スプライン38に設けられた樹脂被膜40とを備えている。樹脂被膜40は、凹部としての複数の区画溝42によって複数の区画領域43に区画されている。複数の区画溝42は、内軸35の製造用中間体に樹脂被膜が成形された後、レーザーを用いて形成されたものである。
【選択図】図4
Description
この発明は、かかる背景のもとになされたものであり、スティックスリップを防止することができるスプライン伸縮軸、および当該スプライン伸縮軸の製造方法を提供することを目的とする。
また、各上記区画領域は、多角形形状をなし、摺動方向(D1、D2)に関する各上記区画領域の端部に角部(243a、243b、343a、343b、443a)が配置されている場合がある(請求項3)。この場合、外および内スプラインを軸方向に摺動させるときに、各区画領域の一部(摺動方向に指向する角部)に他の部分よりも大きな応力(せんだん応力)が加わって角部の滑りが他の部分の滑りよりも先に発生する。また、この角部の滑りを起点として区画領域全体の滑りが発生する。したがって、区画領域全体に均一に応力が加わる場合よりも小さな荷重で区画領域全体の滑りを発生させることができる。すなわち、各区画領域の角部を摺動方向に向けることにより、スプライン歯面の静摩擦係数を低下させて、比較的小さな荷重でスプライン伸縮軸を伸縮させることができる。これにより、外および内スプライン間でのスティックスリップをより確実に防止することができる。
なお、上記において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
図1は、本発明の第1実施形態に係るスプライン伸縮軸が適用された中間軸5を有する車両用操舵装置1の概略構成図である。
図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結された操舵軸3と、操舵軸3に自在継手4を介して連結されたスプライン伸縮軸としての中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有する転舵軸としてのラック軸8とを備えている。ピニオン軸7およびラック軸8を含むラックアンドピニオン機構によって、転舵機構A1が構成されている。また、ラック軸8は、車体側部材9に固定されたハウジング10によって、車両の左右方向に沿う軸方向(紙面とは直交する方向)に移動可能に、支持されている。図示はしないが、ラック軸8の各端部は、対応するタイロッドおよび対応するナックルアームを介して対応する転舵輪に連結されている。
図2に示すように、中間軸5は、中間軸5の軸方向X1に移動可能に嵌合された内軸35および筒状の外軸36を備えている。内軸35の一端には、自在継手6が連結されている。内軸35は、芯金37の一部に合成樹脂を被覆させて形成されたものである。図3に示すように、内軸35は、芯金37と、芯金37の外周に被覆された樹脂被膜40とを含む。内軸35の外周には、外スプライン38が設けられている。
図4および図5を参照して、樹脂被膜40の少なくともスプライン歯面41を形成する部分P1には、芯金37に向かって凹む凹部としての複数の区画溝42が形成されている。図4に示すように、この実施形態では、樹脂被膜40の全体に複数の区画溝42が形成されている。したがって、樹脂被膜40全体が、複数の区画溝42によって、複数の区画領域43に区画されている。各区画溝42は、中間軸5の軸方向X1または中間軸5の周方向Z1に直線状に延びており、樹脂被膜40は、格子状に細分化されている。また、図5に示すように、中間軸5の軸方向X1に隣接する区画溝42の間隔は一定であり、中間軸5の周方向Z1に隣接する区画溝42の間隔は一定である。したがって、各区画領域43は、大きさの等しい長方形形状に形成されている。
図6は、中間軸5の製造方法の一例を説明するための図解図である。図6における(a)〜(e)は、それぞれ、中間軸5の製造方法の途中工程を示す図解図である。以下では、図6を参照して、中間軸5の製造方法の一例について説明する。
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、摺動方向に関する各区画領域の端部に角部が配置されていることである。より具体的には、各区画領域が、摺動方向に指向する角部を含み、各区画領域の所定の角部(摺動方向に指向する角部に相当)が、同じ区画領域に設けられた他の角部よりも摺動方向に指向して配置されている。図7を参照して説明すると、複数の区画溝242は、中間軸205の軸方向X1に対して例えば45度で斜めに交差する方向に沿って形成されており、各区画領域243は、大きさの等しい四角形形状に形成されている。図7に示すように、各区画領域243の1つの角部243a(摺動方向に指向する角部に相当)は、同じ区画領域243に設けられた他の3つの角部よりも摺動方向D1に指向して配置されている。また、図7に示すように、各区画領域243の1つの角部243b(摺動方向に指向する角部に相当)は、同じ区画領域243に設けられた他の3つの角部よりも摺動方向D2に指向して配置されている。
この第3実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、複数の区画領域が、複数の異なる大きさの区画領域を含むことである。より具体的には、例えば、複数の区画領域343は、大きさが相対的に大きい複数の大区画領域343cと、大きさが相対的に小さい複数の小区画領域343dと、大区画領域343cと小区画領域343dの中間程度の大きさの複数の中区画領域343eとを含む。また、複数の区画溝342は、中間軸305の軸方向X1に対して例えば45度で斜めに交差する方向に沿って形成されており、各区画領域343は、長方形形状または四角形形状に形成されている。各区画領域343は、摺動方向D2に指向する角部343aと、摺動方向D1に指向する角部343bとを含む。
この第4実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、摺動方向に応じてスプライン歯面441に加わる摺動抵抗が変化するように、樹脂被膜40が複数の区画領域443に区画されていることにある。より具体的には、略正三角形形状の複数の凹部49が例えばレーザを用いて樹脂被膜40に形成されており、これらの凹部49によって樹脂被膜40が複数の区画領域443に区画されている。複数の区画領域443は、例えば、それぞれ大きさの等しい正三角形形状に形成されている。また、複数の区画領域443は、例えば、スプライン歯面441内において中間軸405の軸方向X1および中間軸405の周方向Z1に規則的に配列されている。
また、上述の第1実施形態では、車両用操舵装置1が、操舵軸3に操舵補助力を付与する、いわゆるコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置である場合について説明したが、車両用操舵装置1の形式はこれに限られない。すなわち、車両用操舵装置1は、例えば、ピニオン軸7に操舵補助力を付与する、いわゆるピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置であってもよいし、ラック軸8に操舵補助力を付与する、いわゆるラックアシスト式の電動パワーステアリング装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (5)
- 軸方向に移動可能に嵌合された内軸および筒状の外軸と、
上記内軸の外周に設けられた外スプラインと、
上記外軸の内周に設けられた内スプラインと、
上記外スプラインおよび上記内スプラインの少なくとも一方に設けられた樹脂被膜とを備え、
上記樹脂被膜の少なくともスプライン歯面を形成する部分は、凹部によって複数の区画領域に区画されているスプライン伸縮軸。 - 請求項1において、上記複数の区画領域は、上記凹部としての溝によって格子状に区画されてなるスプライン伸縮軸。
- 請求項1または2において、各上記区画領域は、多角形形状をなし、摺動方向に関する各上記区画領域の端部に角部が配置されているスプライン伸縮軸。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記複数の区画領域は、複数の異なる大きさの区画領域を含むスプライン伸縮軸。
- 互いに軸方向に相対移動可能にスプライン嵌合された内軸および筒状の外軸を備えるスプライン伸縮軸の製造方法において、
上記内軸の製造用中間体および上記外軸の製造用中間体の少なくとも一方のスプラインに樹脂被膜を成形する工程と、
レーザー、ウォータジェットまたは圧縮エアーの何れかを用いて、上記樹脂被膜に凹部を形成し、上記樹脂被膜の少なくともスプライン歯面を形成する部分を複数の領域に区画する工程と、を含むスプライン伸縮軸の製造方法。
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