JP2011174209A - 難燃性複合繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿熱処理時に高い接着性を有し、かつ有害成分を用いることなく、難燃化された複合繊維を提供する。
【解決手段】 エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と、他の熱可塑性重合体(B)とを溶融複合紡糸して形成された複合繊維において、
前記複合繊維の表面の少なくとも一部は、エチレン−ビニルアルコール共重合体で構成され、かつ、前記エチレンービニルアルコール共重合体(A)に、ホウ素系難燃剤を0.005〜1.0質量%(対A)加えて溶融複合紡糸することにより形成された複合繊維。
【選択図】なし
【解決手段】 エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と、他の熱可塑性重合体(B)とを溶融複合紡糸して形成された複合繊維において、
前記複合繊維の表面の少なくとも一部は、エチレン−ビニルアルコール共重合体で構成され、かつ、前記エチレンービニルアルコール共重合体(A)に、ホウ素系難燃剤を0.005〜1.0質量%(対A)加えて溶融複合紡糸することにより形成された複合繊維。
【選択図】なし
Description
本発明は、ホウ素系難燃剤を含有させたエチレンービニルアルコール共重合体(A)と他の熱可塑性重合体(B)とを、溶融複合紡糸することにより形成された複合繊維および該複合繊維から構成される繊維集合体に関する。
エチレンービニルアルコール共重合体を用いた繊維構造体として、特開2001−123368号公報(特許文献1)には、湿熱によりエチレン−ビニルアルコール繊維を熱接着させることにより繊維ウェブを固定することが開示されており、さらに、国際公開2007/116676号パンフレット(特許文献2)では、前記エチレン−ビニルアルコール繊維を含むウェブに高温(過熱又は加熱)水蒸気を作用させることで、適度な空隙を保持しながら、繊維同士が部分的に接着するため、軽量かつ低密度であり、通気性及び断熱性に優れた繊維集合体を得る方法が開示されている。
このようにして得られた繊維集合体は、低密度でありながら、極めて高い曲げ応力及び表面硬さを有しているため、このような性能を利用して、通気性、断熱性、吸音性などの性能を要求される用途、例えば建材用ボード、断熱材又は断熱用ボード、通気性ボード、吸音体(遮音壁材、車両用遮音材など)、工作用材料、クッション材、軽量コンテナや仕切り材などに応用できる。
しかし、このようにして得られた繊維集合体は、通気性が高いことに加えて可燃性物質であることから、自動車の内装材、航空機の内壁材、建築材、家具などに利用される場合に、特に重要視されている難燃性が不足するという問題を有しており、難燃性の向上が望まれている。
通常、繊維を難燃化する方法として、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤が用いられているが、これらハロゲン系難燃剤は燃焼時のハロゲンガスの発生に伴う酸性雨の問題を有し、リン系難燃剤は加水分解によるリン化合物流出に伴う湖沼の富栄養化を引き起こすなど、環境や人体へ悪影響を及ぼすという問題を有している。
一方、ホウ素化合物は、燃焼時に溶融遮断層が形成されることで酸素が遮蔽され、難燃効果を発揮することが広く知られている。
更に、ホウ素化合物を含有するエチレンービニルアルコール共重合体の特徴として、特開2001−164059号公報(特許文献3)において、前記重合体を溶融成形した場合、エチレンービニルアルコール共重合体のゲル化を防ぎロングラン性を向上させることが開示されている。
繊維集合体を難燃化する方法として、特開2003−221453号公報(特許文献4)において、有機バインダー、無機粉末及び溶媒からなるスラリーをポリエステル繊維製のボードに圧入、含浸させ、乾燥することにより、剛性及び難燃性を確保することが開示されているが、ポリエステル繊維製のボードにスラリーを圧入する方法は工程が複雑であり、またスラリー注入にも長時間を要し、加工速度を上げるのが困難であるため、安定した品質の確保が困難である。さらに、この方法は、不織布を構成する繊維間に生じた空隙内に無機粉末やバインダーを充填するため、非常に高密度になり、軽量性が低下するという問題を生じる。
また、特許文献2には、繊維集合体を難燃化する方法として、ホウ素系難燃剤を含む水溶液に繊維集合体を含浸させ、ニップローラで絞った後に乾燥することで難燃性成形体を得る方法が開示されているが、この方法も不織布を構成する繊維間に生じた空隙内に難燃剤含有水溶液が充填されるため、非常に高密度になり、軽量性、通気性が低下するという問題を生じる。
そのため、エチレンービニルアルコール共重合体からなる繊維構造体が有する軽量性、通気性、断熱性、吸音性などの特徴を備えつつ、環境への負荷も無く難燃化された繊維集合体を得る手段は知られていなかった。
したがって、本発明の目的は、湿熱処理時に高い接着性を有するエチレンービニルアルコール共重合体が繊維表面に存在し、かつハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤などの有害な難燃剤を用いることなく、高い難燃効果を発揮するホウ素系難燃剤により難燃化された複合繊維を提供することである。
本発明者等は上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ホウ素系難燃剤を含有するエチレンービニルアルコール共重合体(A)と、他の熱可塑性重合体(B)とからなる複合繊維を得ることで、湿熱接着性を有する難燃繊維が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と、他の熱可塑性重合体(B)とを溶融複合紡糸して形成された複合繊維において、
前記複合繊維の表面の少なくとも一部は、エチレン−ビニルアルコール共重合体で構成され、かつ、前記エチレンービニルアルコール共重合体(A)に、ホウ素系難燃剤を0.005〜1.0質量%(対A)加えて溶融複合紡糸することにより形成された複合繊維である。
前記複合繊維の表面の少なくとも一部は、エチレン−ビニルアルコール共重合体で構成され、かつ、前記エチレンービニルアルコール共重合体(A)に、ホウ素系難燃剤を0.005〜1.0質量%(対A)加えて溶融複合紡糸することにより形成された複合繊維である。
さらに本発明は、他の熱可塑性重合体(B)が繊維形成性のポリオレフィン系重合体、ポリエステル系重合体およびポリアミド系重合体の少なくとも1種である上記に記載の複合繊維である。
さらに、本発明は、上記記載の複合繊維において、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が鞘部を構成し、前記他の熱可塑性重合体(B)が芯部を構成している芯鞘型の複合繊維である。
そして本発明は上記の複合繊維から構成される繊維集合体である。本発明において、繊維集合体とは、本発明の複合繊維を含み、複合繊維単独または他の繊維との組み合わせからなる糸、編織物、不織布、ウェブ、フェルト、マットおよびそれらの積層物(ウェブ積層物)等の繊維集合体をいう。かかる繊維集合体は、繊維と繊維との接触点で、湿熱処理により本発明の複合繊維表面にあるエチレン−ビニルアルコール重合体が接着して高い曲げ応力等の機械的性質が付与され実用に供される。
本発明によれば、ホウ素系難燃剤を加えたエチレン−ビニルアルコール共重合体が繊維表面の少なくとも一部を構成するので、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤などの有害な難燃剤を用いることなく、難燃化されるとともに湿熱接着性の複合繊維を提供することができる。この繊維から形成された繊維集合体を湿熱加工することで得られる成形体は、低密度でありながら、極めて高い曲げ応力及び表面硬さを有するとともに、通気性、断熱性、吸音性も有し、かつ、難燃性を有している。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の複合繊維は、あらかじめホウ素系難燃剤が含有されたエチレンービニルアルコール共重合体(A)と、他の熱可塑性重合体(B)を用いて溶融複合紡糸を行い、必要に応じて延伸処理、熱処理等を施すことにより製造することができる。
紡糸時の温度や引取り速度、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件は、目標とする繊度、収縮率等、原綿物性に応じて適宜選択設定することができる。たとえば、エチレンービニルアルコール共重合体(A)と、他の熱可塑性重合体(B)を別々の押出機で溶融して、それらの溶融体を、複合紡糸パックを有する紡糸装置に導入し、紡糸パック内で合流複合させて紡糸することにより複合繊維を製造することができる。その際の各重合体の溶融は、用いる重合体にもよるが、通常300℃以下で行い、紡糸温度としては200〜300℃の範囲内の温度が採用される。紡糸後の工程については、紡糸捲取り後、必要に応じて延伸してもよく、目標とする繊度や強度、伸度特性等に応じて、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件を適宜設定することが望ましい。
本発明の複合繊維は、あらかじめホウ素系難燃剤が含有されたエチレンービニルアルコール共重合体(A)と、他の熱可塑性重合体(B)を用いて溶融複合紡糸を行い、必要に応じて延伸処理、熱処理等を施すことにより製造することができる。
紡糸時の温度や引取り速度、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件は、目標とする繊度、収縮率等、原綿物性に応じて適宜選択設定することができる。たとえば、エチレンービニルアルコール共重合体(A)と、他の熱可塑性重合体(B)を別々の押出機で溶融して、それらの溶融体を、複合紡糸パックを有する紡糸装置に導入し、紡糸パック内で合流複合させて紡糸することにより複合繊維を製造することができる。その際の各重合体の溶融は、用いる重合体にもよるが、通常300℃以下で行い、紡糸温度としては200〜300℃の範囲内の温度が採用される。紡糸後の工程については、紡糸捲取り後、必要に応じて延伸してもよく、目標とする繊度や強度、伸度特性等に応じて、延伸温度、延伸倍率、熱処理温度等の諸条件を適宜設定することが望ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体において、エチレン単位の含有量(共重合割合)は、例えば、10〜60モル%、好ましくは20〜55モル%、さらに好ましくは30〜50モル%程度である。エチレン単位がこの範囲にあることにより、湿熱接着性を有するが、熱水溶解性はないという特異な性質が得られる。
ここで、エチレンービニルアルコール共重合体におけるエチレン単位の含有量が10モル%よりも少なくなる、すなわちビニルアルコール単位の含有量が90モル%よりも多くなると、繊維化する際の曳糸性が不良となって紡糸または延伸時に単糸切れ、断糸が多くなるという問題が生じる。また、他の熱可塑性重合体とからなる複合繊維において、他の熱可塑性重合体としてポリエチレンテレフタレートのような高融点重合体を使用した場合、通常250℃以上の紡糸温度に設定するが、その場合にエチレン単位の割合が10モル%よりも少ないとエチレンービニルアルコール共重合体の耐熱性が不充分となるためゲル化し、良好な複合繊維が得られなくなる。更に、得られた複合繊維のエチレンービニルアルコール共重合体が低温の水で容易に膨潤−ゲル化してしまい、一度水に濡れたら形態が変化してしまうという問題もある。
一方、エチレン単位の割合が60モル%を超えると、ビニルアルコール単位、すなわち水酸基の割合が必然的に少なくなるため、吸湿性が低下し、湿熱による繊維融着が発現し難くなるため、実用性のある繊維集合体を得ることが困難となる。
エチレンービニルアルコール共重合体におけるビニルアルコール単位の鹸化度は、例えば、90〜99.99モル%程度であり、好ましくは95〜99.98モル%、さらに好ましくは96〜99.97モル%程度である。鹸化度が小さすぎると、熱安定性が低下し、熱分解やゲル化によって安定性が低下する。一方、鹸化度が大きすぎると、繊維自体の製造が困難となる。
エチレンービニルアルコール共重合体の粘度平均重合度は、必要に応じて選択できるが、例えば、200〜2500、好ましくは300〜2000、さらに好ましくは400〜1500程度である。重合度がこの範囲にあると、紡糸性と湿熱接着性とのバランスに優れる。
通常、繊維を難燃化すための難燃剤として、慣用の無機系難燃剤や有機系難燃剤や、汎用され且つ難燃効果の高いハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤が用いられているが、ハロゲン系難燃剤は燃焼時のハロゲンガスの発生に伴う酸性雨の問題を有し、リン系難燃剤は加水分解によるリン化合物流出に伴う湖沼の富栄養化の問題を有している。従って、本発明では、難燃剤としては、これらの問題を回避し、高い難燃性を発揮できる点から、ホウ素系難燃剤を用いる。
エチレンービニルアルコール共重合体(A)に含有されるホウ素系難燃剤としては、ホウ酸またはその金属塩、例えばホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)、縮合ホウ酸(塩)(ピロホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、八ホウ酸又はこれらの金属塩ななど)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)などが挙げられる。これらのホウ素系難燃剤は、含水物(例えば、含水四ホウ酸ナトリウムであるホウ砂など)であってもよい。これらのホウ素系難燃剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ホウ素系難燃剤を含むエチレンービニルアルコール共重合体は、エチレンと酢酸ビニルを重合して得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体に、ホウ素系難燃剤を含む水溶液を含浸させることで得られる。なお、その際、前記水溶液中のホウ素系難燃剤の濃度がホウ素換算で0.1〜50mmol/Lであることが、適応な量のホウ素系難燃剤をエチレン−ビニルアルコール共重合体中に含有させることが出来て好適である。
ホウ素系難燃剤の含有量は、ホウ素換算でエチレンービニルアルコール共重合体(A)の質量に対し、0.005〜1.0%であることが必要で、好ましくは0.01〜0.5%であり、より好ましくは0.05%〜0.2%であり、ホウ素系難燃剤の含有量が0.005%未満では難燃の効果が得られず、一方1.0%を超えた場合、溶融紡糸においてゲル化が進み紡糸性が悪化するため好ましくない。
本発明に用いる他の熱可塑性重合体(B)として、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性エラストマーなどのエチレン−ビニルアルコール共重合体以外の熱可塑性重合体が用いられる。上記のなかでも、特に耐熱性、繊維形成性及び寸法安定性の点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはポリアミド系樹脂を用いることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好ましく、これらのポリオレフィン系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリアルキレン(炭素数2〜4)アリレート系樹脂などの芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、特に、PETなどのポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレンテレフタレート単位の他に、他のジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、4,4′−ジフェニルカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など)やジオール(例えば、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)で構成された単位を20モル%以下程度の割合で含んでいてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6−12などの脂肪族ポリアミドおよびその共重合体、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどが好ましい。これらのポリアミド系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
本発明の複合繊維の横断面構造としては、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型又は多層貼合型、放射状貼合型、ランダム複合型などが挙げられる。これらの横断面構造のうち、接着性の点から、エチレンービニルアルコール共重合体を少なくとも繊維表面の一部に有していればよいが、全表面を長さ方向に連続して占める構造である芯鞘型構造(すなわち、鞘部が湿熱接着性樹脂で構成された芯鞘型構造)が好ましい。
そして、本発明の複合繊維の断面形状はどのようなものであってもよく、円形または異形の形状とすることができる。異形断面の場合は、例えば偏平形、楕円形、三角形〜八角形等の角形、T字形、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)、3〜8葉形等の多葉形等の任意の形状とすることができ、それらの中空断面状などであってもよい。
また、本発明の複合繊維は、モノフィラメント等の長繊維、ステープル等の短繊維のいずれの形態でもよく、本発明の複合繊維から構成される繊維集合体は、フィラメント糸、紡績糸、本発明の複合繊維と天然繊維、半合成繊維、他の合成繊維との混繊糸や混紡糸、合撚糸等のいずれの形態でもよい。更に本発明の複合繊維からなる繊維集合体は、それらの繊維や糸からなる編織物、ウェブ、不織布、フェルト、マット、最終的な衣類、タオル等の繊維製品のいずれでの形態でもよい。本発明の複合繊維は、湿熱処理されて、これらの繊維集合体における繊維間の接触点で複合繊維表面のエチレン−ビニルアルコール共重合体が接着して、繊維集合体に曲げ応力増大等の機械的性質が付与されて実用に供される。
エチレンービニルアルコール共重合体と熱可塑性重合体(B)の割合(質量比)は、構造(例えば、芯鞘型構造)に応じて選択でき、エチレンービニルアルコール共重合体が表面に存在すれば特に限定されないが、例えば、エチレンービニルアルコール共重合体/熱可塑性重合体(B)=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜15/85、さらに好ましく60/40〜20/80程度である。エチレンービニルアルコール共重合体の割合が90%を超えると、繊維の強度を確保し難く、エチレンービニルアルコール共重合体の10%未満であると、繊維表面の長さ方向に連続してエチレンービニルアルコール共重合体を存在させるのが困難となり、湿熱接着性が低下する。
本発明の複合繊維の平均繊度は、用途に応じて、例えば、0.1〜100dtex程度の範囲から選択でき、好ましくは0.5〜30dtex、更に好ましくは1〜10dtexである。平均繊度がこの範囲にあると、繊維の強度と湿熱接着性の発現とのバランスに優れる。平均繊度が0.1dtex未満の場合、繊維の強度が低下するため、繊維集合体とした際、実用的な機械的強度を得ることが出来ず好ましくない。また、平均繊度が100dtexを超える場合、繊維として十分な表面積を確保することが出来ず、湿熱接着性を発揮することが出来ず好ましくない。
本発明の複合繊維を含む繊維集合体は、複合繊維単独、又は二種以上の複合繊維と他の繊維との組み合わせから成り、他の繊維としては、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの芳香族ポリエステル繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612などの脂肪族ポリアミド系繊維、半芳香族ポリアミド系繊維、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなどの炭素数2〜4のオレフィンから構成されるポリオレフィン繊維など)、アクリル系繊維(アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などのアクリロニトリル単位を有するアクリロニトリル系繊維など)、ポリビニル系繊維(ポリビニルアセタール系繊維など)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体の繊維など)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体などの繊維)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、セルロース系繊維(例えば、レーヨン繊維、アセテート繊維など)などが挙げられ、用途に応じて適宜選択して使用できる。
軽量性よりも硬さや曲げ強度などの機械的特性を重視する場合には、吸湿性の高い親水性繊維、例えば、ポリビニル系繊維やセルロース系繊維、特に、セルロース系繊維を使用するのが好ましい。セルロース系繊維には、天然繊維(木綿、羊毛、絹、麻など)、半合成繊維(トリアセテート繊維などのアセテート繊維など)、再生繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル(例えば、登録商標名:「テンセル」など)など)が含まれる。これらのセルロース系繊維のうち、例えば、レーヨンなどの半合成繊維が好適に使用でき、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む湿熱接着性繊維と組み合わせると、湿熱接着性繊維との親和性が高いため、収縮が進むとともに、接着性も向上し、本発明の中では相対的に高密度で機械的特性の高い成形体が得られる。
一方、軽量性を重視する場合には、吸湿性の低い疎水性繊維、例えば、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、特に、諸特性のバランスに優れるポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維など)を使用するのが好ましい。これらの疎水性繊維をエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む湿熱接着性繊維と組み合わせると、軽量性に優れた成形体が得られる。
本発明の繊維(又は繊維集合体)は、さらに、慣用の添加剤、例えば、安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、微粒子、着色剤、帯電防止剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、繊維中に含まれていてもよく、繊維集合体表面に担持されていてもよい。
前述のように、本発明の複合繊維から形成された繊維集合体に、湿熱処理が施されて繊維集合体を構成する繊維の接触点に接着が導入されるが、湿熱処理は、繊維集合体を水に含浸し、次いで含水繊維集合体を約100℃に加熱することにより、または高温水蒸気を適用することにより行うことが出来る。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は何等これらに限定されるものではない。
<ホウ素含有量>
試料50mgを酸素フラスコ燃焼法により完全燃焼させ、得られた燃焼灰分を1mol/L硝酸水溶液10mLに溶解させた。前記溶液を用いて、高周波プラズマ発光分析(ジャーレルアッシュ製ICP発光分析装置IRISAP)によりホウ素化合物の含有量をホウ素元素換算値で得た。
<繊度>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて評価した。
<繊維長>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.4.1)」に準じて評価した。
<捲縮数 個>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.12.1)」に準じて評価した。
<限界酸素指数(LOI値)>
JIS L1091 E−1「繊維製品の燃焼性試験方法(8.5)」に準じて評価した。
試料50mgを酸素フラスコ燃焼法により完全燃焼させ、得られた燃焼灰分を1mol/L硝酸水溶液10mLに溶解させた。前記溶液を用いて、高周波プラズマ発光分析(ジャーレルアッシュ製ICP発光分析装置IRISAP)によりホウ素化合物の含有量をホウ素元素換算値で得た。
<繊度>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて評価した。
<繊維長>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.4.1)」に準じて評価した。
<捲縮数 個>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.12.1)」に準じて評価した。
<限界酸素指数(LOI値)>
JIS L1091 E−1「繊維製品の燃焼性試験方法(8.5)」に準じて評価した。
実施例1
(1)エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
(1)エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
実施例2
(1)エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量0.009%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
(1)エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量0.009%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
実施例3
(1)エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量0.8%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
(1)エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量0.8%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
実施例4
(1)エチレン含有量24モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
(1)エチレン含有量24モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
実施例5
(1)エチレン含有量56モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
(1)エチレン含有量56モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
実施例6
(1)エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
(1)エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリプロピレンから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
比較例1
(1)エチレン含有量48モル%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
(1)エチレン含有量48モル%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なった。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させ冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察すると、繊維間の接触点で融着が確認できた。
比較例2
エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量1.5%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出したところ、断糸が多発し捲取るに到らなかった。
エチレン含有量48モル%、およびホウ酸含有量1.5%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出したところ、断糸が多発し捲取るに到らなかった。
比較例3
エチレン含有量9モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出したところ、断糸が多発し捲取るに到らなかった。
エチレン含有量9モル%、およびホウ酸含有量0.1%から成るエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートから成る熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出したところ、断糸が多発し捲取るに到らなかった。
比較例4
(1)エチレン含有量70モル%、およびホウ酸含有量0.1質量%からなるエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートからなる熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行った。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させて冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察したところ、繊維間での融着が確認されなかった。
(1)エチレン含有量70モル%、およびホウ酸含有量0.1質量%からなるエチレンービニルアルコール共重合体(A)を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートからなる熱可塑性重合体(B)を芯成分として、複合紡糸装置を用いて、丸断面口金にて、紡糸温度240℃、複合比率(A/B)=50/50(重量比)で芯鞘型に接合して紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、引取ローラーを介してボビンに捲き取った。
(2)次いで、この捲取糸を延伸温度80℃にて、延伸倍率2倍で熱延伸し、油剤浴にて油剤を付与後、機械捲縮付与処理を施した。機械捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮付与装置等の捲縮付与装置を用いて行った。捲縮付与処理に引き続き、繊維を100℃の熱風で乾燥した後、51mmにカットすることで単糸繊度5.8dtex、捲縮数15個/25mmの短繊維を得た。紡糸性、延伸性ともに良好であった。
(3)次に、上記(2)で得た繊維の限界酸素指数(LOI値)を測定した。結果を表1に示す。
(4)さらに、上記(2)で得た繊維を用いて、目付150g/m2のニードルパンチ不織布を作製し、得られた不織布を100℃の沸騰水中に浸漬させて、不織布が浮き上がらないようにネットで抑えながら1分間湿熱処理をした。熱処理後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させて冷却固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃で乾燥した。得られた不織布の内部の状況を光学顕微鏡で観察したところ、繊維間での融着が確認されなかった。
比較例5
比較例1により得られた繊維を用いて、目付700g/m2のカードウエブを作製し、このカードウエブを、蒸気噴射ノズルが設置されたベルトコンベアに移送した。次いで、
この蒸気噴射ノズルから高温水蒸気をカードウエブの厚さ方向に向けて噴出し、繊維集合体を得た。得られた繊維集合体は、ボード状の形態を有し、一般的な不織布に比べ非常に硬く、また、形態保持性も良好であった。
この繊維集合体を、水100部に対して、ホウ酸20部、ホウ砂25部を加えて調整したホウ素系難燃剤[(株)トラストライフ製、「ファイヤレスB」]に含浸し、ニップローラで絞った後、100℃に調節した熱風乾燥機内で乾燥させ、難燃性成形体を得た。
得られた難燃性成形体について、ガスバーナを用いて燃焼試験を行ったところ、この難燃性成形体に対し、炎を30秒間あてても、表面が炭化して黒く変色するものの、着火には至らず、良好な難燃性を示していた。しかし、難燃剤(固形分)が、成形体の全質量に対して、3.4質量%付着していたため、ホウ素含有量を低減できなかった。
比較例1により得られた繊維を用いて、目付700g/m2のカードウエブを作製し、このカードウエブを、蒸気噴射ノズルが設置されたベルトコンベアに移送した。次いで、
この蒸気噴射ノズルから高温水蒸気をカードウエブの厚さ方向に向けて噴出し、繊維集合体を得た。得られた繊維集合体は、ボード状の形態を有し、一般的な不織布に比べ非常に硬く、また、形態保持性も良好であった。
この繊維集合体を、水100部に対して、ホウ酸20部、ホウ砂25部を加えて調整したホウ素系難燃剤[(株)トラストライフ製、「ファイヤレスB」]に含浸し、ニップローラで絞った後、100℃に調節した熱風乾燥機内で乾燥させ、難燃性成形体を得た。
得られた難燃性成形体について、ガスバーナを用いて燃焼試験を行ったところ、この難燃性成形体に対し、炎を30秒間あてても、表面が炭化して黒く変色するものの、着火には至らず、良好な難燃性を示していた。しかし、難燃剤(固形分)が、成形体の全質量に対して、3.4質量%付着していたため、ホウ素含有量を低減できなかった。
本発明の複合繊維は、あらかじめホウ素系難燃剤が含有されたエチレン−ビニルアルコール共重合体が繊維表面に存在するよう溶融複合紡糸された複合繊維であるため、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤などの有害な難燃剤を用いることなく、難燃化された湿熱接着性の複合繊維を得ることが出来、また、この繊維を含む繊維集合体を湿熱加工することにより、低密度でありながら、極めて高い曲げ応力及び表面硬さを有するとともに、通気性、断熱性、吸音性も有し、かつ、難燃性を有している成形体を得ることができる。
そのため、通気性、断熱性、吸音性などの性能に加えて難燃性が要求される用途、例えば自動車の内装材、航空機の内壁材、建築材、家具などに利用される建材用ボード、断熱材又は断熱用ボード、通気性ボード、吸音体(遮音壁材、車両用遮音材など)、工作用材料、クッション材などに応用できる。
そのため、通気性、断熱性、吸音性などの性能に加えて難燃性が要求される用途、例えば自動車の内装材、航空機の内壁材、建築材、家具などに利用される建材用ボード、断熱材又は断熱用ボード、通気性ボード、吸音体(遮音壁材、車両用遮音材など)、工作用材料、クッション材などに応用できる。
本発明によれば、環境や人体に悪影響を及ぼす有害成分を用いることなく、難燃化された湿熱接着性の複合繊維を製造することができる。
さらに本発明の複合繊維から構成される繊維集合体は、通気性、断熱性、吸音性などの性能に加えて難燃性が要求される用途のための基材として利用でき、具体的には自動車の内装材、航空機の内壁材、建築材、家具などに利用される建材用ボード、断熱材又は断熱用ボード、通気性ボード、吸音体(遮音壁材、車両用遮音材など)、工作用材料、クッション材などに有効に利用できる。
さらに本発明の複合繊維から構成される繊維集合体は、通気性、断熱性、吸音性などの性能に加えて難燃性が要求される用途のための基材として利用でき、具体的には自動車の内装材、航空機の内壁材、建築材、家具などに利用される建材用ボード、断熱材又は断熱用ボード、通気性ボード、吸音体(遮音壁材、車両用遮音材など)、工作用材料、クッション材などに有効に利用できる。
以上、本発明の好ましい実施態様を例示的に説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に開示した本発明の範囲及び精神から逸脱することなく多様な修正、付加及び置換ができることが理解可能であろう。
Claims (4)
- エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と、他の熱可塑性重合体(B)とを溶融複合紡糸して形成された複合繊維において、
前記複合繊維の表面の少なくとも一部は、エチレン−ビニルアルコール共重合体で構成され、かつ、前記エチレンービニルアルコール共重合体(A)に、ホウ素系難燃剤を0.005〜1.0質量%(対A)加えて溶融複合紡糸することにより形成された複合繊維。 - 前記他の熱可塑性重合体(B)が、繊維形成性のポリオレフィン系重合体、ポリエステル系重合体およびポリアミド系重合体の少なくとも1種である請求項1に記載の複合繊維。
- 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が鞘部を構成し、前記他の熱可塑性重合体(B)が芯部を構成している芯鞘型の複合繊維である請求項1に記載の複合繊維。
- 請求項1または請求項2に記載の複合繊維を含む繊維集合体。
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- 2010-02-25 JP JP2010040667A patent/JP2011174209A/ja active Pending
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