JP4832347B2 - 自動車内装材のためのモールド加工用表面部材 - Google Patents

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Description

本発明は自動車内装材のためのモールド加工用表面部材に関する。
自動車の内装を構成する天井、カーペット、トリム類、シートカバー等の自動車内装材には、石油系プラスチック短繊維を使用したニードルパンチ不織布がよく使用されている。しかし、石油系プラスチックは難分解性であるため、ゴミ処理問題等、循環型社会を実践する上で大きな障害となっている。また、焼却時に発生する二酸化炭素は地球温暖化の原因となっている。加えて、原料が石油由来であるため、化石資源の枯渇の問題が懸念されている。そのような状況の中、安全上、強度や耐久性を必要とするために自動車内装材に使用されている石油系プラスチック短繊維ニードルパンチ不織布においても、その代替、使用量低減が検討されている。代替短繊維ニードルパンチ不織布に使用する繊維として、具体的には、トウモロコシなどの植物資源を原料とするポリ乳酸繊維の使用が検討されている。しかし、ポリ乳酸繊維は、従来の合成繊維よりも強度、耐久性が劣っている。また、染色等の湿熱処理による重合度の低下が大きく、これによっても強度の低下が生じるという問題がある。このため、従来のポリ乳酸繊維は、強度、耐久性、耐磨耗性、モールド加工時の耐熱性が要求される自動車内装材として使用することには制限があるのが現状である。
特許文献1では、ポリ乳酸の耐久性を上げるためにカルボジイミドなどの末端封鎖剤によりポリマーの末端を封鎖し耐加水分解性を向上させることが提案されている。しかしながら、このポリ乳酸を使用した繊維では、加水分解を促進する末端基の数を減らすことはできるが、ポリ乳酸のみを使用する繊維であるため、耐久性(耐湿熱分解性)の向上効果は不十分である。また、モールド加工時の熱処理でポリ乳酸繊維が溶融し加工できない事態が発生している。
特許文献2には、ポリ乳酸と他の成分とからなる複合繊維として、ポリ乳酸が単繊維の表面の全部又は一部を形成し、他の成分としてのポリエチレンテレフタレート等のポリエステルを芯部に用いた複合繊維が提案されている。しかしながら、この繊維は、ポリ乳酸成分が繊維の外周部を占めポリ乳酸成分を接着成分するバインダー繊維であるため、強度、耐久性が要求される自動車内装材の用途で好適に使用可能なものではない。
特許文献3に記載されているところの、芯部がポリ乳酸、鞘部がポリエステルで構成されているポリエステル芯鞘複合繊維を、自動車内装材のためのニードルパンチ不織布に使用することも検討されている。このものについては、強度、耐久性、モールド加工時の耐熱性においては実用に足るレベルの製品が得られることが確認されている。しかし、耐磨耗性については、芯鞘型複合構造であるために耐磨耗試験で芯鞘割れが発生し、自動車内装材としては実用に足るレベルではないことが確認されている。
特開2001−261797号公報 特開平11−279841号公報 特開2004−353161号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、ポリ乳酸を使用した繊維を構成繊維とする不織布を使用しながらも、強度、耐久性(耐湿熱分解性)、耐磨耗性、及び特にモールド加工時の耐熱性に優れ、自動車の内装材として好適に使用することが可能な、自動車内装材のためのモールド加工用表面部材を提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、次の(1)〜(3)を要旨とするものである。
自動車の内装材のためのモールド加工用表面部材であって、複数の不織ウェブが積層されてニードルパンチにより一体化されており、前記内装材において、自動車内に露出する第1の表層と、この第1の表層とは反対側の第2の表層とを有し、これら第1及び第2の表層は、これら第1及び第2の表層の短繊維不織ウェブを構成する繊維を形成する重合体として芳香族ポリエステルを含みかつポリ乳酸を含まないものであり、第1の表層と第2の表層との間に単数または複数の中間短繊維不織ウェブが積層されており、この中間短繊維不織ウェブの少なくとも1つは、この中間短繊維不織ウェブを構成する繊維を形成する重合体としてポリ乳酸を含むものであることを特徴とする自動車内装材のためのモールド加工用表面部材。
)ポリ乳酸は、L−乳酸および/またはD−乳酸を含むものであり、融点が120℃以上であり、融解熱が10J/g以上であることを特徴とする(1)の自動車内装材のためのモールド加工用表面部材。
)芳香族ポリエステルの全酸成分の70モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分であることを特徴とする(1)または(2)の自動車内装材のためのモールド加工用表面部材。
本発明の自動車内装材のためのモールド加工用表面部材は、ポリ乳酸を含んだ繊維を使用しながらも、芳香族ポリエステルを含みかつポリ乳酸を含まない繊維を特定の位置に配置したものであることにより、すなわち、自動車内に露出する表層がこの表層を構成する繊維を形成する重合体として芳香族ポリエステルを含みかつポリ乳酸を含まないものであることにより、強度、耐久性(耐湿熱分解性)、耐磨耗性に優れたものとすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の自動車内装材のためのモールド加工用表面部材は、ニードルパンチ短繊維不織布にて構成されており、複数の短繊維不織ウェブによる積層構造を呈している。この表面部材において、自動車内に露出する表層は、この表層を構成する繊維を形成する重合体として芳香族ポリエステルを含みかつポリ乳酸を含まないものである。また自動車内に露出する表層以外の中間短繊維不織ウェブは、この中間短繊維不織ウェブを構成する繊維を形成する重合体としてポリ乳酸を含むものである。このような構成であるのは、ポリ乳酸にて形成された繊維は脆いため、表面部材における自動車内に露出する表層にポリ乳酸繊維が存在する場合は、実用に足るレベルの表面部材が得られないためである。
加えて、表面部材における自動車内に露出する表層にポリ乳酸繊維が存在する場合は、この表面部材をモールド加工に供する際の熱処理でポリ乳酸繊維が溶融して、加工が不可能になる。このため、モールド加工に供されるためには、両側の表層において、この表層の構成繊維を形成する重合体として芳香族ポリエステルを含みかつポリ乳酸を含まないものであることが必要である。したがって、構成繊維を形成する重合体としてポリ乳酸を含む短繊維不織ウェブは、両側の表層を形成する短繊維不織ウェブどうしの間に挟みこまれた状態で配置されることが必要である
本発明の自動車内装材のためのモールド加工用表面部材は、重合体としてポリ乳酸を含む繊維を用いたものでありながら、芳香族ポリエステルを含みかつポリ乳酸を含まない繊維を表層に配したものであるため、表面部材全体の強度、耐久性(耐湿熱分解性)、耐磨耗性、および特にモールド加工時の耐熱性に優れたものとなる。よって、これらの諸特性を備えた、自動車内装材のためのモールド加工用表面部材とすることができる。
本発明のモールド加工用表面部材に含まれる繊維に使用されるポリ乳酸(PLA)は、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体、あるいはこれらのブレンド体であることが好ましい。そして、ポリ乳酸は、上記のようにL−乳酸とD−乳酸が単独で用いられているもの、もしくは併用されているものであるが、中でも融点が120℃以上、融解熱が10J/g以上であるものが耐熱性の点で好ましい。
ポリ乳酸のホモポリマーであるL−乳酸やD−乳酸の融点は約180℃であるが、D−乳酸とL−乳酸との共重合体の場合は、いずれかの成分の割合を10モル%程度とすると、融点はおよそ130℃程度となる。さらにいずれかの成分の割合を18モル%以上とすると、融点が120℃未満、融解熱が10J/g未満となって、ほぼ完全に非晶性の性質となる。このような非晶性のポリマーとなると、製造工程において特に熱延伸し難くなり、高強度の繊維が得られ難くなるという問題が生じたり、繊維が得られたとしても耐熱性に劣ったものとなったりする。
そこで、ポリ乳酸としては、ラクチドを原料として重合する時のL−乳酸やD−乳酸の含有割合で示されるL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが、82以上/18以下であるのものが好ましく、90以上/10以下であるものがより好ましく上、95以上/5以下であるものがいっそう好ましい。ポリ乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体である場合において、ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられる。中でもヒドロキシカプロン酸又はグリコール酸を用いることがコスト面から好ましい。
ポリ乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体の場合において、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとしては、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
このようにポリ乳酸に他の成分を共重合させる場合は、ポリ乳酸を80モル%以上とすることが好ましい。80モル%未満であると、共重合ポリ乳酸の結晶性が低くなって、融点120℃未満、融解熱10J/g未満となりやすい。
ポリ乳酸の分子量に関しては、分子量の指標として用いられる、ASTM D−1238法に準じ、温度210℃、荷重21.2N(2160g)で測定したメルトフローレートが、1〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは5〜50g/10分である。メルトフローレートをこの範囲とすることにより、強度、湿熱分解性が向上する。
ポリ乳酸の耐久性を高める目的で、ポリ乳酸に、脂肪族アルコール、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、エポキシ化合物などの末端封鎖剤を添加してもよい。
本発明の目的を損なわない範囲であれば、必要に応じて、ポリ乳酸に、熱安定剤、結晶核剤、艶消剤、顔料、耐光剤、耐候剤、滑剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、可塑剤、染料、界面活性剤、難燃剤、表面改質剤、各種無機及び有機電解質、その他類似の添加剤を添加してもよい。
本発明のモールド加工用表面部材に含まれる繊維に使用される芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートを主体としたポリエステルが挙げられる。このポリエステルは、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸や、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸や、ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン等を共重合していてもよい。
芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分が全酸成分の70モル%以上であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸成分が全酸成分に対して70モル%未満であると、芳香族ポリエステルの耐湿熱分解性、耐候性などが低下しやすくなる。
ポリ乳酸の場合と同様に、芳香族ポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲であれば、必要に応じて、熱安定剤、結晶核剤、艶消剤、顔料、耐光剤、耐候剤、滑剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、可塑剤、染料、界面活性剤、難燃剤、表面改質剤、各種無機及び有機電解質、その他類似の添加剤を添加することができる。
次に、本発明の自動車内装材のためのモールド加工用表面部材を構成する繊維の形態について説明する。本発明においては、たとえば一種類のポリ乳酸と一種類の芳香族ポリエステルとをそれぞれ単独で使用して単相形態のポリ乳酸繊維、芳香族ポリエステル繊維を形成し、これらの繊維を単独で使用したり混繊状態で使用したりすることによって、短繊維不織ウェブを構成することができる。
あるいは、同種もしくは異種のポリ乳酸を複合した複合繊維や、同種もしくは異種の芳香族ポリエステルを複合した複合繊維によって、短繊維不織ウェブを構成することもできる。この場合は、上述したモールド成形時に熱処理を行い、複合繊維における低融点成分を溶融させて使用することもできる。
本発明において使用する繊維の断面形状は、任意である。すなわち、丸断面に限定されるものではなく、扁平断面、多角形断面、多葉形断面、ひょうたん形断面、アルファベット形(T形、Y形等)断面、井形断面等の各種の異形のものであってもよい。また、これらの形状において中空部を有するものでもよい。
その他として、捲縮数は5個/25mm〜25個/25mmであることが好ましく、捲縮率は5〜30%であることが好ましい。繊度(単糸繊度)は1〜100dtexであることが好ましく、繊維長は5〜150mm程度であることが好ましい。ただし、これらに限定されるものではない。
本発明の自動車内装材のためのモールド加工用表面部材は、ポリ乳酸繊維と芳香族ポリエステル繊維のみの使用でもよいが、本発明の目的を損なわない範囲で他の繊維を混用してもよい。混用する他の繊維としては、ナイロン、アクリル、アラミド等の合成繊維や、ビスコース、キュプラ、ポリノジック等のレーヨン系繊維や、リヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維や、絹、綿、麻、羊毛その他の獣毛繊維等の天然繊維などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、下記の実施例、比較例における各物性値の測定方法及び評価方法は、次のとおりである。
(1)ポリ乳酸のメルトフローレート値(g/10分):前記のように、ASTM D−1238法に準じ、温度210℃、荷重21.2N(2160g)で測定した。
(2)芳香族ポリエステル及びポリ乳酸の相対粘度:フェノールと四塩化エタンの等質量混合物を溶媒とし、ウベローデ粘度計を使用して、試料濃度0.5g/100cc、温度20℃の条件で測定した。
(3)芳香族ポリエステル及びポリ乳酸の融点(℃)、ポリ乳酸の融解熱(J/g):パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−2型を使用し、昇温速度20℃/分の条件で測定した。
(4)ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比):超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液との等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichiral OA6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(5)単繊維繊度(dtex):JIS L−1015 正量繊度A法に準じて測定した。
(6)単繊維強度(cN/dtex):JIS L−1015に規定される引張強さの標準時試験法に従って測定した。
(7)単繊維捲縮数(個/25mm)、捲縮率(%):JIS L−1015 捲縮の捲縮数及び捲縮率に準じて測定した。なお、150℃乾熱処理後の捲縮数は、複合繊維を2mg/dtexの荷重下で150℃、15分間熱処理した後に測定した。
(8)表面部材の強力(N/50mm幅):JIS L−1906 一般長繊維不織布の標準時試験に準じて測定した。
強力が500N/50mm幅以上のものを、実用に足るレベルであると評価した。
(9)表面部材の耐湿熱分解性(%):試料を50℃、95%相対湿度の条件下で1000時間保持し、処理前の強力に対する処理後の強力の比を次式にて算出することにより耐湿熱分解性を求めた。なお、これらの強力は、前記の(8)にしたがって測定した。
耐湿熱分解性=(処理後強力/処理前強力)×100
耐湿熱分解性が70%以上のものを、実用に足るレベルであると評価した。
(10)表面部材の耐磨耗性:JIS L−1096 磨耗強さC法(テーバ形法)に準じて、荷重を500g、回転の数を300回として磨耗試験を実施した。実施後の試料の表面状態を目視で確認して、JIS L−1906に規定される限度写真と比較して等級付けを行い、下記の基準で評価した。
◎:5級以上
○:4級を超え5級未満
×:4級以下
(11)表面部材のモールド加工時の耐熱性:円錐形で先端が丸く形成されたピストンと、これに対応する凹部(径120mm、深さ80mm)とからなる金型を準備した。また50cm×25cmの大きさの試料を準備し、これを保持枠の内部に固定した。
そして保持枠の内部に固定された試料を保持枠とともに190℃の高温雰囲気のもとに60秒間おき、その後ただちに試料を保持枠とともに金型の凹部を覆うように固定し、この状態で常温のピストンを常温の凹部に向けて加圧することで成形を行った。
ピストンによる加圧を行った後、10秒間放置し、その後に成形試料を保持枠とともに金型から取り出した。そして、成形試料が十分に冷却したことを確認したうえで、これを保持枠から取り外した。
この状態の成形試料の外観を目視により観察して、そのモールド加工時の耐熱性を次の3段階で評価した。
◎:試料が均等に伸び、きれいに成形されており、耐熱性は良好
○:試料に破れはないものの、一部均等に伸びていない部分があり、先端が若干薄くなっているが、耐熱性は良好
×:試料に破れが生じている、もしくは加熱により繊維が溶融し成形が不可能であり、耐熱性は劣る
実施例1
融点が200℃、融解熱が38J/g、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが98.5/1.5(モル比)、メルトフローレート値が23g/10分、相対粘度が1.85のポリ乳酸を用い、紡糸温度220℃で溶融紡糸を行った。紡出糸条を冷却した後、引取速度1000m/分で引き取って未延伸糸条を得た。得られた糸条を集束して33万detexのトウにし、延伸倍率3.2倍、温度60℃で延伸し、温度110℃のヒートドラムで熱処理してから押し込み式クリンパーを使用して機械捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断して、ポリ乳酸短繊維を得た。得られたポリ乳酸短繊維は、繊度(単繊維繊度)が3.3dtexの丸断面形状のものであり、捲縮数11.2個/25mm、捲縮率11.1%、強度3.31cN/dtexであった。
相対粘度が1.305、融点が255℃の芳香族ポリエステルであるPET(全酸成分が芳香族ジカルボン酸成分)を用い、紡糸温度270℃で溶融紡糸を行った。紡出糸条を冷却した後、引取速度1000m/分で引き取って未延伸糸条を得た。得られた糸条を集束して33万detexのトウにし、延伸倍率3.2倍、温度60℃で延伸し、温度160℃のヒートドラムで熱処理してから押し込み式クリンパーを使用して機械捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、芳香族ポリエステル短繊維を得た。得られた芳香族ポリエステル短繊維は、繊度(単繊維繊度)が3.3dtexの丸断面形状のものであり、捲縮数12.2個/25mm、捲縮12.2%、強度4.38cN/dtexであった。
これらのポリ乳酸短繊維と芳香族ポリエステル短繊維とをカード機にかけウェブとした後、第1の芳香族ポリエステルの短繊維ウェブと、ポリ乳酸の短繊維ウェブと、第2の芳香族ポリエステルの短繊維ウェブとを積層したうえでニードルパンチ加工を行い、目付け400g/m、ニードルパンチ数250回/cmの、本発明の自動車内装材のための表面部材を得た。この表面部材は、上層が芳香族ポリエステル短繊維のみから構成され、中層がポリ乳酸短繊維のみから構成され、下層が芳香族ポリエステル短繊維のみから構成された3層の積層構造を呈したものであり、上層、中層、下層の目付は、それぞれ、150g/m、100g/m、150g/mであった。
なお、実施例および比較例においては、上層が第1の表層、下層が第2の表層、中層が中間不織ウェブを示す。
実施例2
目付を、上層、中層、下層の順に、100g/m、200g/m、100g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2の、本発明の自動車の内装材のための表面部材を得た。
実施例3
目付を、上層、中層、下層の順に、50g/m、300g/m、50g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3の、本発明の自動車の内装材のための表面部材を得た。
比較例1
上層が芳香族ポリエステル短繊維のみから構成され、中層が芳香族ポリエステル短繊維のみから構成され、下層がポリ乳酸短繊維のみから構成された3層の積層構造とし、目付を、上層、中層、下層の順に、100g/m、100g/m、200g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、比較例1の、本発明の自動車の内装材のための表面
部材を得た。
比較例2
上層が芳香族ポリエステル短繊維のみから構成され、中層がポリ乳酸短繊維のみから構成され、下層がポリ乳酸短繊維のみから構成された3層の積層構造とし、目付を、上層、中層、下層の順に、100g/m、100g/m、200g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、比較例2の、本発明の自動車の内装材のための表面部材を得た。
比較例3
上層が芳香族ポリエステル短繊維のみから構成され、中層が芳香族ポリエステル短繊維のみから構成され、下層がポリ乳酸短繊維のみから構成された3層の積層構造とし、目付を、上層、中層、下層の順に、150g/m、150g/m、100g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、比較例3の、本発明の自動車の内装材のための表面部材を得た。
比較例
上層がポリ乳酸短繊維のみから構成され、中層が芳香族ポリエステル短繊維のみから構
成され、下層が芳香族ポリエステル短繊維のみから構成された3層の積層構造とし、目付
を、上層、中層、下層の順に、100g/m、150g/m、150g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、比較例の表面部材を得た。
実施例1〜3、および比較例1〜4の表面部材についての評価結果は、表1に示すとおりであった。
表1から明らかなように、実施例1〜3のモールド加工用表面部材は、強力、耐久性(耐湿熱分解性)、耐磨耗性、モールド加工時の耐熱性とも実用に足るレベルであった。
比較例1〜3モールド加工用表面部材は、強力、耐久性(耐湿熱分解性)、耐磨耗性とも実用に足るレベルであった。しかし、ポリ乳酸繊維の一部が下層に露出していたため、熱成形時にポリ乳酸繊維が溶融してしまい、モールド加工時の耐熱性は良好とはいえないものであった。このため、モールド加工を施した自動車内装材のための表面部材として使用できないものであった。
比較例モールド加工用表面部材は、ポリ乳酸繊維の一部が上層に露出していたため、熱成形時にポリ乳酸繊維が溶融してしまってモールド加工時の耐熱性が良好とはいえないものであるうえに、耐磨耗性も劣っており、自動車内装材のためのモールド加工用表面部材として使用できるものではなかった。
Figure 0004832347

Claims (3)

  1. 自動車の内装材のためのモールド加工用表面部材であって、複数の不織ウェブが積層されてニードルパンチにより一体化されており、前記内装材において、自動車内に露出する第1の表層と、この第1の表層とは反対側の第2の表層とを有し、これら第1及び第2の表層は、これら第1及び第2の表層の短繊維不織ウェブを構成する繊維を形成する重合体として芳香族ポリエステルを含みかつポリ乳酸を含まないものであり、第1の表層と第2の表層との間に単数または複数の中間短繊維不織ウェブが積層されており、この中間短繊維不織ウェブの少なくとも1つは、この中間短繊維不織ウェブを構成する繊維を形成する重合体としてポリ乳酸を含むものであることを特徴とする自動車内装材のためのモールド加工用表面部材。
  2. ポリ乳酸は、L−乳酸および/またはD−乳酸を含むものであり、融点が120℃以上であり、融解熱が10J/g以上であることを特徴とする請求項1記載の自動車内装材のためのモールド加工用表面部材。
  3. 芳香族ポリエステルの全酸成分の70モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分であることを特徴とする請求項1または2記載の自動車内装材のためのモールド加工用表面部材。
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