JP2011173148A - 連続鋳造装置並びにこれを用いて製造された鋳造棒及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続鋳造装置1は、溶湯Mが貯溜される保持炉3と、保持炉3に貯溜された溶湯Mが供給されるタンディッシュ7と、一端部側が保持炉3に取り付けられ、他端部側がタンディッシュ7に取り付けられて、保持炉3内の溶湯Mをタンディッシュ7に供給する給湯管6と、を備え、溶湯Mから鋳塊を連続鋳造する。保持炉3とタンディッシュ7と給湯管6とは、溶湯Mが流れる溶湯経路11を形成する。溶湯経路11は、その溶湯経路11中に溶湯Mを濾過するフィルタFを有している。保持炉3には、保持炉3内の溶湯Mを加圧する加圧装置2が設けられている。
【選択図】図1
Description
ここで、開孔度とは、フィルタの網目の縦方向の長さa[mm]と横方向の長さをb[mm]としたときの開孔度A[mm2]であって、
A=a×b
である。
かかる構成によれば、加圧手段の加圧は、1〜100[kPa]であることにより、溶湯全体が適宜な押圧力によって押圧されるため、加圧された分だけ溶湯の流れがより速くなる。
図1に示すように、連続鋳造装置1は、例えば、溶湯経路11を流れる金属の溶湯Mを鋳型9で凝固させて鋳造棒W(鋳塊)を連続鋳造する際に、鋳造棒Wを冷却装置(図示省略)で冷却しながら連続鋳造する装置である。連続鋳造装置1は、それぞれ後記する溶解炉(図示省略)と、保持炉3と、加圧装置2と、給湯管6と、タンディッシュ7と、フィルタFと、鋳型取付盤8と、鋳型9と、搬送装置10とを備えて構成されている。この連続鋳造装置1は、いわゆる横型(水平)であっても、縦型であってもよく、以下、横型の場合を例に挙げて説明する。
前記連続鋳造装置1には、溶解炉(図示省略)で溶融された溶湯Mが、鋳型9で鋳造棒Wに凝固されるまで流れる溶湯経路11が形成されている。溶湯経路11は、溶解炉(図示省略)、保持炉3、給湯管6、タンディッシュ7、鋳型取付盤8、鋳型9の順に溶湯Mが流れるように形成されている。溶湯経路11は、この溶湯経路11中の上部に形成された後記する開口部31a,71aがそれぞれ保護カバー32,72等によって覆われて、略全体が密閉状態に形成されると共に、溶湯Mの流動性を高める前記加圧装置2と、濾過用の前記フィルタFとが設けられて、溶湯Mが浄化された状態で鋳型9に供給されるように設けられている。
溶湯Mは、溶解炉(図示省略)で溶融され溶湯経路11に供給される溶融金属であり、例えば、マグネシウム、マグネシウム合金あるいはアルミニウム合金等からなる。なお、保持炉3に供給される溶湯M中には、一般に、0.数〜2mm程度の大きさの介在物が含まれている。
また、鋳造棒Wは、連続鋳造装置1によって前記溶湯Mを連続鋳造して凝固させた鋳片(鋳塊)であり、例えば、直径が55〜102mm程度の丸棒に鋳造される。
保持炉3は、溶解炉(図示省略)から供給された溶湯Mを所定の温度に保温した状態で一時的に貯溜する炉であり、略密閉容器状に形成されている。保持炉3は、略容器状に形成された保持炉本体31と、この保持炉本体31の上部に形成された開口部31aを閉塞する保護カバー32と、から主に形成されている。保持炉3には、溶解炉(図示省略)から供給される溶湯Mを取り込む給湯口3aと、保持炉3内の溶湯Mをタンディッシュ7に供給する給湯管6と、保持炉本体31に設けられた加圧ガス供給部33に接続された加圧装置2と、が設けられている。保持炉3内の溶湯Mの表面と保護カバー32との間の空間には、溶湯Mを酸化させないカバーガスとしての不活性ガスGが圧縮された状態で注入されて充満されている。このため、保護カバー32及び加圧装置2を備えた保持炉3は、気体加圧式保持炉となっている。給湯口3aは、保護カバー32あるいは保持炉本体31の上部に設けられる。
保護カバー32は、保持炉本体31の開口部31aを閉塞して保持炉3内を密閉状態にし、保持炉本体31内の溶湯Mが大気と接触して酸化するのを防止するための蓋体である。保護カバー32は、保持炉本体31の開口部31aの上部に開閉可能に設けられている。保護カバー32は、例えば、耐食性、耐熱性に優れているステンレス鋼製等の板状部材からなる。その保護カバー32には、給湯管6が挿通される設置孔32aが設けられている。
加圧装置2は、保持炉3内の溶湯Mを加圧する加圧手段であり、例えば、保持炉3内の溶湯Mの表面を圧縮ガスで押圧する装置である。加圧装置2は、気体加圧方式の加圧手段からなる。以下、気体加圧方式の加圧装置2を使用した場合を例に挙げて説明する。
加圧装置2は、例えば、気体を圧縮する圧縮機21と、この圧縮機21を制御する制御装置22と、圧縮機21及び制御装置22を駆動させるための電源23と、を備えて構成されている。加圧装置2の加圧は、溶湯Mの種類等によって相違するが、1〜100[kPa]である。
給湯管6は、保持炉3内の溶湯Mをタンディッシュ7に供給するための配管であり、一端側に保持炉側開口部6aを有し、他端側にタンディッシュ側開口部6bを有している。この給湯管6は、保持炉3とタンディッシュ7との間を繋ぐ配管であり、保持炉側開口部6aが保持炉3内の下部に配置され、タンディッシュ側開口部6bがタンディッシュ7内の上部に配置されている。保持炉3内において、給湯管6は、保持炉3の天井面を形成する保護カバー32の設置孔32aから垂下した状態に配置され、下端の保持炉側開口部6aが、酸化膜が形成される溶湯Mの表層と、スラッジが溜まる溶湯M中の底層との間の位置に配置されている。その給湯管6は、例えば、内径が80mmのステンレス鋼管あるいは鋼管からなる。
フィルタFは、溶湯M中の介在物が、タンディッシュ7から鋳型9側(下流側)へ流れるのを阻止したり、介在物を取り除いたりするための濾過機である。このフィルタFは、例えば、ステンレス鋼等の金属製の網目状のものからなる。フィルタFは、網目の開孔度Aが2〜70×10−2[mm2]の大きさに形成されて、設定された大きさ以上の大きさの介在物がこのフィルタFを通過するのを阻止している。フィルタFは、例えば、二層以上に積層されて、表面張力の効果が得られるようになっている。このフィルタFは、複数の金網状の部材を重ねた積層構造のフィルタボックスからなり、タンディッシュ7の中央部を二つに区画して仕切った状態に配置されている。
タンディッシュ7は、保持炉3から供給された溶湯Mを保温した状態で一時的に貯溜する炉である。タンディッシュ7は、略容器状に形成されたタンディッシュ本体71と、このタンディッシュ本体71の上部の開口部71aを閉塞する保護カバー72と、から主に形成された密閉状の容器からなる。タンディッシュ7には、このタンディッシュ7内の溶湯Mを濾過するフィルタFと、フィルタFを保持するフィルタガイド73,73と、鋳型9をタンディッシュ7の外側側壁に取り付けるための鋳型取付盤8と、が設けられている。なお、このタンディッシュ7内の溶湯Mも、タンディッシュ7が給湯管6を介して保持炉3に連通していることにより、前記加圧装置2によって溶湯Mが加圧された状態になっている。
保護カバー72は、タンディッシュ本体71の開口部71aを開閉自在に閉塞してタンディッシュ7内を密閉状態にするための蓋部材である。保護カバー72は、タンディッシュ本体71内の溶湯M上の空間に不活性ガスGを充満させた密閉空間にすることにより、溶湯Mが大気と接触して酸化するのを防止している。保護カバー72は、例えば、耐食性、耐熱性等に優れているステンレス鋼製等の板状部材からなる。保護カバー72には、前記給湯管6を設置するための設置孔72aが設けられている。
鋳型取付盤8は、鋳型9をタンディッシュ7に固定するための部材であり、タンディッシュ本体71内の溶湯Mが吐出される前記溶湯供給口(図示省略)が設けられた外壁と、鋳型9との間に介在されている。鋳型取付盤8は、例えば、耐熱性の略リング状の部材からなり、一端側(上流側)がタンディッシュ本体71の溶湯供給口(図示省略)に連通した状態にタンディッシュ7に固定され、他端側(下流側)が鋳型9の注入口(図示省略)に連通した状態に鋳型9に固定されている。
鋳型9は、タンディッシュ7の溶湯供給口から型内に供給された溶湯Mを冷却しながらこの鋳型9から送り出すことによって、所定の形状に成型する冷却鋳型であり、例えば、棒状の鋳造棒Wを連続鋳造する略筒状の型面を有している。この鋳型9は、例えば、熱伝導率の高い銅製、アルミニウム合金、ステンレス鋼、あるいは、黒鉛製ものからなる。鋳型9には、例えば、この鋳型9及び鋳造棒Wを強制的に一次冷却するウォータジャケットや二次冷却する冷却水噴射ノズル装置等からなる冷却装置(図示省略)と、鋳型9の鋳造面に潤滑剤を供給して鋳造棒Wが鋳造面の焼き付くのを防止する潤滑剤供給装置(図示省略)と、が設けられている。略筒状の鋳型9の上流側開口端は、タンディッシュ7の溶湯供給口に連通している。
搬送装置10は、鋳型9から鋳造棒Wを引き出して搬送する装置であり、例えば、電動モータ(図示省略)によって回転される複数のローラ10a,10b等を備えている。搬送装置10は、例えば、鋳型9の開口端の近傍の下側から鋳造棒Wが送られる鋳造方向に沿って、鋳造棒Wの下側に敷設するように複数配置されたローラ10aと、このローラ10aに対向して上側に配置されたローラ10bと、を備えて構成されている。
次に、本発明の実施形態に係る連続鋳造装置1並びにこれを用いて製造されたマグネシウムまたはマグネシウム合金用鋳造棒及びその製造方法の作用を説明する。
図1に示すように、連続鋳造装置1で鋳造棒Wを連続鋳造する場合は、まず、溶解炉(図示省略)で溶融された溶湯Mを保持炉3内に供給する。次に、加圧装置2の電源23をONして圧縮機21を駆動させて、圧縮された不活性ガスGを保持炉3内の溶湯Mの上方空間に送り込んで、保持炉3内の溶湯Mを加圧する(保持炉3に設けた加圧手段により加圧する工程)。この場合、例えば、アルゴンガスからなる不活性ガスGは、空気よりも比重が重いので、たとえ、保持炉3内の上部空間に空気が残っていたとしても、空気が上部空間の上層に流動し、不活性ガスGが下層に集まる。
溶湯Mが通過するフィルタFは、開孔度A(網目の通湯経路)が微細であったとしても、前記加圧装置2の加圧で、単位時間当たりの通湯量が増加されて、溶湯Mがスムーズに流動する。このため、フィルタFによる介在物の除去能力が向上されて効率よく濾過することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。以下、前記実施形態の変形例を説明する。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
以下、図3及び図4を参照して第1変形例を説明する。
前記実施形態で説明した図1に示す加圧装置2は、保持炉3内の溶湯Mを加圧するものであればよく、さらに、図3に示すように、例えば、電磁ポンプ方式のポンプPであってもよく、また、加圧装置2とポンプPを併設しても、どちらか一方を設けても構わない。
この場合、ポンプPは、保持炉3内の溶湯Mを移送するポンプ装置であり、例えば、給湯管61の保持炉側開口部61aの外周部に設けられた電磁ポンプからなる。ポンプPは、不図示の配線によって制御装置22を介して電源23に接続されている。
このように、保持炉3内の給湯管61に、保持炉3内の溶湯Mを移送するポンプPを設ければ、ポンプPの移送力で溶湯Mの流れに勢いを付けてタンディッシュ7に送り込むことができるので、溶湯Mは流れが速くなり、容易にフィルタFを通過できるようになる。
前記実施形態で説明した給湯管6(図1参照)は、前記ポンプPを設けたことによって、図3に示すように、ポンプPを保持するフランジ部61cを有する給湯管61にする。
また、前記実施形態では、フィルタFをタンディッシュ7内に一箇所に設けた場合を例に挙げて説明したが、図3に示すようにフィルタFは、例えば、溶湯経路11中の適宜な個所に単独で若しくは複数で設けても構わない。
フィルタFは、例えば、上流側フィルタFaと、中流側フィルタFbと、下流側フィルタFcとを備え、溶湯経路11において互いに離間させて配置されている。
中流側フィルタFbは、タンディッシュ7内の溶湯Mに浸った状態にある給湯管61のタンディッシュ側開口部61bを閉塞するように配置されている。この中流側フィルタFbは、給湯管61からタンディッシュ7内に入り込む溶湯M中の介在物を除去するのに適している。
このようにすれば、フィルタFの介在物除去能力をさらに向上させて、高品質の鋳造棒Wを得ることができる。このように、フィルタFを複数個所に設けたとしても、加圧装置2またはポンプPによって溶湯Mが加圧されているので、フィルタFをスムーズに透過する。
前記実施形態で説明したフィルタF(図1参照)は、溶湯M中の介在物を取り除いて濾過できるものであればよく、例えば、図4に示すネット状のフィルタF1であってもよく、その形状は特に限定されない。ネット状のフィルタF1は、保持炉3中の介在物が保持炉側開口部62aから給湯管62内に入り込むのを規制するためのフィルタ機能を有する部材であり、例えば、全体が網目状に形成された籠状のものからなる。ネット状のフィルタF1は、このネット状のフィルタF1の上端部を、取付用ブラケット(図示省略)で給湯管62の外壁または保持炉3の内壁に固定することによって固定される。ネット状のフィルタF1は、例えば、ステンレス鋼等によって形成されている。
このため、保持炉3から保持炉3の下流側の溶湯経路11に流れる介在物がネット状のフィルタF1によって除去されるので、溶湯Mを浄化することができる。
また、図3に示すように、タンディッシュ7内には、溶湯Mの状態を検出するセンサSを設けてもよい。この場合、センサSは、例えば、タンディッシュ7内の溶湯Mの貯湯量を検出したり、溶湯Mの温度を検出したりするための検出器であり、制御装置22に電気的に接続されている。保護カバー72には、センサSを設置するためのセンサ設置孔72bを穿設する。
このようにすれば、センサSによって、流動する溶湯Mの状態を検知しながら加圧装置2を制御し、加圧装置2の加圧力を溶湯Mの状態に合わせて調整することが可能となる。
図5は、本発明の実施形態に係る連続鋳造装置の第2変形例を示す要部概略図である。
前記第1変形例で説明したポンプP(図3参照)は、保持炉3内の溶湯Mを給湯管63内に送り込んで移送するものであればよく、電磁ポンプに限定されるものではない。つまり、ポンプPは、図5に示すように、電動方式のメカニカルポンプP1等のその他の方式のものであっても構わない。例えば、メカニカルポンプP1の場合には、給湯管63に内設されて溶湯Mを下流側に送るための羽根車P1aと、この羽根車P1aに連結された回転軸P1bと、この回転軸P1bを回転駆動させるモータユニットP1cと、このモータユニットP1cに不図示の配線によってポンプ用制御装置を介して接続されたポンプ用電源とから構成されている。
給湯管63には、保持炉側開口部63aの近傍にメカニカルポンプP1に羽根車P1aを設置するポンプ設置部63cが形成されている。
前記実施形態で説明した給湯管6(図1参照)は、一端側を保持炉3の保護カバー32にからタンディッシュ7の保護カバー72に亘って設けた場合を説明したが、これに限定されるものではい。給湯管6は、保持炉側開口部6aを保持炉3の保持炉本体31内の側壁に配置して、タンディッシュ側開口部6bをタンディッシュ7内の側壁に配置しても構わない。
この場合、給湯管6は、保持炉側開口部6aを保持炉3内の溶湯M中に配置する。
実施例では、連続鋳造装置1で連続鋳造した鋳造棒W中の介在物を超音波探傷検査方法によって検査し、鋳造棒Wの鋳造品質が後記の比較例よりも優れていることを確認した。
超音波探傷検査を行う場合は、まず、検査する鋳造棒Wと同一の材質の試験片に、検査する鋳造棒Wと同一厚さの位置に直径1.0mmの穴を底面から穿設する。次に、その試験片の上面から超音波探傷検査装置(図示省略)で超音波を照射して、検出される人工欠陥高さをモニター画面の80%になるように超音波のゲイン(出力)調整を行う。その状態で、超音波探傷検査装置で鋳造棒Wの検査を行い、モニターに検出される超音波エコーで30%を超えるものを欠陥として検査した。つまり、この超音波探傷検査方法では、欠陥とするエコーのサイズを、直径が0.6mm(面積で人工欠陥の3/8)以上とし、その基準直径より大きい欠陥エコーがある場合を欠陥として判断した。
実施例では、図1に示す加圧装置2及びフィルタFを備えた連続鋳造装置1で、AZ80マグネシウム合金を溶解した溶湯Mから鋳造棒Wを連続鋳造した際に、介在物等による欠陥エコー(鋳造欠陥)が発生するかを確認した。
この場合、加圧装置2によって圧縮された不活性ガスG(アルゴンガス)により保持炉3内の温度が670℃〜710℃の溶湯Mの表面を10[kPa]に加圧して、保持炉3のサイズを内径1m、高さが1m、保持炉3の溶湯Mの貯湯量を350kg、給湯管6の内径を80mmとして、表1に示すように、開孔度A及び通湯量の相違する金網を積層したフィルタFを溶湯経路11に設け、それぞれ直径100mmの鋳造棒Wを連続鋳造した。
次に、加圧装置2を備えた本発明の連続鋳造装置1の効果を確認するために、加圧装置2を備えていない比較例の連続鋳造装置(図示省略)で鋳造棒Wを連続鋳造した。
この場合、AZ80マグネシウム合金を溶解して、鋳型9の手前に粗目のフィルタFを設置し、メタルへッド(圧力ヘッド差)を100mmにして溶湯Mが加圧された状態で、直径が100mmの鋳造棒Wを連続鋳造した。得られた鋳造棒Wを長さ50mm毎に切断し、その両端の切断面を切削加工した後に、超音波探傷検査装置により厚さ方向に超音波を投射して、欠陥エコーを検査した。
さらに、そのフィルタFと開孔度Aが同一のフィルタFを使用し、本発明の連続鋳造装置1によって、加圧装置2による加圧ありの状態で鋳造棒Wを連続鋳造した。この場合は、通湯量が29[g/s・cm2]であり、鋳造棒Wの欠陥エコーが基準値未満で小さく、鋳造品質が良かった(UT検査結果:○)。
さらに、本発明の連続鋳造装置1によって、そのフィルタFと開孔度Aが同一のフィルタFを使用し、加圧装置2による加圧ありの状態で鋳造棒Wを連続鋳造した。この場合は、通湯量が15[g/s・cm2]であり、鋳造棒Wの欠陥エコーが基準値未満で小さく、鋳造品質が良かった(UT検査結果:○)。
さらに、本発明の連続鋳造装置1によって、そのフィルタFと開孔度Aが同一のフィルタFを使用し、加圧装置2による加圧ありの状態で鋳造棒Wを連続鋳造した。この場合は、通湯量が12[g/s・cm2]であり、鋳造棒Wの欠陥エコーが基準値未満で小さく、鋳造品質が良かった(UT検査結果:○)。
さらに、本発明の連続鋳造装置1によって、そのフィルタFと開孔度Aが同一のフィルタFを使用し、加圧装置2による加圧ありの状態で鋳造棒Wを連続鋳造した。この場合は、通湯量が11[g/s・cm2]であり、鋳造棒Wの欠陥エコーが基準値未満で小さく、鋳造品質が良かった(UT検査結果:○)。
比較例の連続鋳造装置(図示省略)から得られた鋳造棒Wでは、直径が0.6mmを超える大きさの欠陥エコーが、1本あたり1〜2個検出された。
このように、比較例の連続鋳造装置(図示省略)では、フィルタFの開孔度Aの大きさを逐次変化させて、AZ80マグネシウム合金製の溶湯Mをメタルへッド100mmで透過させた結果、開孔度Aが微小になるのにしたがって、透過する溶湯Mの通湯量が低下するので、単位時間当たりの必要通湯量が低下して連続鋳造するのが困難になる。
また、比較例の連続鋳造装置(図示省略)では、フィルタFの開孔度Aが大きく、通湯経路が大きい場合、溶湯M中の介在物がそのままフィルタFを透過するので、大きな介在物が混入しているため、高品質な鋳造品を得ることはできない(図2の無加圧の場合のa,b参照)。
前記実施例では、溶湯Mの表面を10[kPa]に加圧した場合を説明したが、加圧装置2によってさらに高圧に加圧した場合には、フィルタFの通湯量が増加した。このように、溶湯Mの表面の圧を10[kPa]よりも高めた場合にも、鋳造棒Wの鋳造品質には問題はなかった。
2 加圧装置(加圧手段)
3 保持炉
6,61,62,63 給湯管
7,71 タンディッシュ
11 溶湯経路
31a,71a 開口部
32,72 保護カバー
A 開孔度
F,F1 フィルタ
Fa 上流側フィルタ(フィルタ)
Fb 中流側フィルタ(フィルタ)
Fc 下流側フィルタ(フィルタ)
P(P1) ポンプ(加圧手段)
M 溶湯
W 鋳造棒(鋳塊)
Claims (7)
- 溶湯が貯溜される保持炉と、前記保持炉に貯溜された前記溶湯が供給されるタンディッシュと、一端部側が前記保持炉に取り付けられ、他端部側が前記タンディッシュに取り付けられて、前記保持炉内の前記溶湯を前記タンディッシュに供給する給湯管と、を備え、前記溶湯から鋳塊を鋳造する連続鋳造装置であって、
前記保持炉と前記タンディッシュと前記給湯管とは、前記溶湯が流れる溶湯経路を形成し、
前記溶湯経路は、その溶湯経路中に前記溶湯を濾過するフィルタを有し、
前記保持炉には、当該保持炉内の前記溶湯を加圧する加圧手段が設けられていることを特徴とする連続鋳造装置。 - 前記フィルタは、当該フィルタの網目の開孔度が2〜70×10−2[mm2]の金網からなることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造装置。
- 前記加圧手段の加圧は、1〜100[kPa]であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の連続鋳造装置。
- 前記フィルタは、二層以上に積層されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の連続鋳造装置。
- 前記加圧手段は、気体加圧方式、メカニカルポンプ方式、電磁ポンプ方式のうちの1種類以上の装置からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の連続鋳造装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の連続鋳造装置を用いて製造される鋳造棒であって、
マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる前記溶湯から製造されたことを特徴とする鋳造棒。 - 保持炉から給湯管を介してタンディッシュまでの溶湯経路にフィルタを設けて溶湯を送り、その溶湯から鋳塊を鋳造する鋳造棒の製造方法において、
前記保持炉に設けた加圧手段により前記溶湯を加圧する工程と、
加圧した前記溶湯を前記フィルタを介して濾過して送る工程と、
を行うことを特徴とする鋳造棒の製造方法。
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