JP5574301B2 - アルミニウム合金の連続鋳造棒 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金の連続鋳造棒を製造する連続鋳造装置に関し、特に、機械加工性、鍛造性の優れた連続鋳造棒を製造可能な連続鋳造装置に関するものである。
最近の輸送機器においては、その軽量化の要求から、アルミニウム合金部品の採用が多くなっている。このような部品の製造方法の1つとして、アルミニウム合金棒材を所定の長さに切断した鍛造用素材を鍛造によって部品に成形するものがある。アルミニウム合金棒材の製造方法は、連続鋳造によって作製された素材に塑性加工や熱処理を施して棒材にするものが一般的である。
例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金の鍛造用素材となる棒材、管材、形材等を製造する場合、通常はDC鋳造、縦型連続鋳造又は水平連続鋳造により鋳塊を鋳造後、押出工程を経て、より細径の棒、管、形材等に成形している。直接、細径材を鋳造棒として鋳造する場合もある。
そして、水平連続鋳造は、次のような過程を経てアルミニウム合金溶湯から円柱状、角柱状或いは中空柱状の長尺鋳塊を鋳造する。即ち、アルミニウム合金溶湯を溜めるタンディッシュに入ったアルミニウム合金溶湯は、耐火物製通路を通ってほぼ水平に設置され、かつ、強制冷却された筒状鋳型内に入り、ここで冷却されてアルミニウム合金溶湯本体の外表面に凝固殻が形成される。筒状鋳型から引き出された鋳塊に水などの冷却剤が直接放射され、鋳塊内部まで金属の凝固が進行しつつ鋳塊が連続的に引き出される。
一方、鍛造用を主に、共晶、過共晶組成のAl−Si系合金の用途が拡大され、その耐摩耗性等の特性を生かして工業材料として使用されるようになってきた。
更に、微細な結晶粒子を有したものが求められている。各鋳造方法において、金型を冷却し、又は、鋳造棒を直接冷却すると、鋳造品の表面近くは、急冷による細かい組織になるが、例えば、肉厚が20mmを越えるような十分な厚肉の鋳造品では中心部までは効果がなかった。
微細な結晶粒子を得るために、アルミニウム合金溶湯の液面に振動子を入れ、液面を振動させると、鋳型壁面で粒状に凝固をした結晶が遊離をして遊離結晶になり、細かい等軸の結晶組織が得られる。
例えば、連続鋳造機の生産性を低下させることなく鍛造性の改善されたアルミニウム合金鋳塊を得ることができる連続鋳造方法を提供することを目的とし、プロペルチル型鋳造法、SCR型鋳造法、ツインベルト型鋳造法において、アルミニウム合金溶湯の凝固が進行する方向を横切る方向の成分を含む流動をアルミニウム合金溶湯に付与しながら凝固させる方法が提案されている(特許文献1参照。)。
又は、金型、鋳造方案、鋳造条件、周辺技術等の従来的操作で下げられない不良率を、更に下げることができる手段を提供することを目的とし、金型、容器、柄杓、ラドル等のアルミニウム合金溶湯と直接接触をする部分の裏側に、可聴音波発振器を取り付けて可聴音波を掛け、空気泡、酸化物を除去しながら鋳込みをして種晶と遊離結晶を大量に発生させ、更に冷却点を添加した塗膜により遊離結晶の数を増加することで、全等軸晶組織の鋳造欠陥のない緻密なマクロ組織にし、耐圧性と耐圧破壊強度の高い鋳造品を得る方法が提案されている(特許文献2参照。)。
特開平8−238539号公報 特開2002−96157号公報
アルミニウム合金からなる部品への需要が高まる中、その素材である連続鋳造棒の生産性を上げることが望まれており、そのためには鋳造速度を速くすることが必要である。しかし、鋳造速度を速くすると、連続鋳造棒に羽毛状晶が発生しやすくなるという新たな問題が発生した。
Al−Si系合金では、鋳造温度と鋳造速度条件により羽毛状晶が発生し、アルミニウム合金溶湯の滞留があると、羽毛状晶が更に発生しやすくなる。鋳造速度を速くすることにより温度勾配が大きくなり、更にアルミニウム合金溶湯の滞留部位が発生することが要因と考えられ、羽毛状晶の発生頻度が高まったものと思われる。
羽毛状晶の存在は、アルミニウム合金の結晶粒の微細化、緻密化を妨げるものである。そのため、大型鋳塊では結晶粒径の分布が大きくなり、その分布はそのまま後工程の押出、鍛造に残るため、より機械的強度を要求される鍛造品に用いるためには、羽毛状晶の発生を抑えることが求められている。
特に鋳造棒を鍛造用素材として用いる場合、鋳造棒を所定の長さに切断する必要がある。近年においては、シャー切断機の使用が多くなってきている。しかしながら、鋳造棒の長手方向において羽毛状晶と粒状晶の部分が混在していると、切断面が粗くなるために鍛造工程に悪影響を及ぼす。
羽毛状晶の発生を抑えるための一つの方法として、アルミニウム合金溶湯を静止させないで結晶の成長を抑える方法が考えられる。
例えば、前述した文献の液面に振動を与える方法で結晶を細かくすることが述べられているが、従来の一般の生産に用いられる金型鋳造法では、金型により鋳造品部分が閉じられた空間になっているので、液面が存在しない。そのため、振動子を設置し、液面を追従させることができないので、実験的には実施できても、一般の生産用の鋳造金型に適用することはできない。
一方、特許文献2に開示された、金型鋳造法において金型等を介してアルミニウム合金溶湯に振動を与える方法では、金型の外側から振動を付与して凝固面のアルミニウム合金溶湯を振動させているので、アルミニウム合金振動が溶湯中で減衰してしまい、充分な効果を得ることが困難であった。
又、特許文献1に開示された、プロペルチル型鋳造法、SCR型鋳造法、ツインベルト型鋳造法においてアルミニウム合金溶湯中に邪魔ものを配設してアルミニウム合金溶湯に凝固を横切る方向の振動を与える方法も、アルミニウム合金溶湯中から振動を付与して凝固面のアルミニウム合金溶湯を振動させているので、振動がアルミニウム合金溶湯中で減衰してしまい、充分な効果を得ることが困難であった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、連続鋳造棒の長手方向における羽毛状晶の発生頻度を抑えて柱状晶及び/又は粒状晶がほとんどを占め、かつ、結晶粒径のバラツキを均一化させて優れた機械加工性、鍛造性を有するアルミニウム合金の連続鋳造棒を製造する連続鋳造装置を提供することを目的としている。
本発明は、以下のような発明である。
(1)長手方向に垂直な断面における羽毛状晶の発生が10%以下で、その他は柱状晶及び/又は粒状晶であり、結晶粒径のバラツキが50μm〜500μmであると共に、平均粒径が200μmから350μmであることを特徴とするアルミニウム合金の連続鋳造棒。
ルミニウム合金溶湯から連続鋳造棒を鋳造する連続鋳造装置において、鋳造中の連続鋳造棒の表面から連続鋳造棒の凝固面を介して凝固面近傍のアルミニウム合金溶湯に機械的振動を付与する振動付与手段を設けた。振動付与手段は、振動周波数を変調した振動を付与するものとすることもできる。
動付与手段は、連続鋳造棒に5μm〜100μmの振動変位を付与することができる。
動付与手段は、連続鋳造棒に2Hz〜500Hzの振動を付与することができる。
動付与手段は、磁歪素子、電歪素子、回転車、回転ベルト、空気シリンダーから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせたものであることができる。
続鋳造が横方向への鋳造であるとよい。
型の出口から0.3m〜5mの位置に連続鋳造棒を支持する支持部を設け、この支持部と鋳型の出口との間、又は、支持部よりも下流に振動付与手段を配設することができる。
型の出口から0.3m〜5mの位置に連続鋳造棒を支持する支持部を設け、振動付与手段は、連続鋳造棒の振動状態を検出する振動状態検出器を有し、この振動状態検出器からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御することができる。
動付与手段は、鋳型に設置された鋳型内のアルミニウム合金溶湯の凝固状態を検出する鋳型温度検出器を有し、この鋳型温度検出器からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御することができる。
続鋳造棒の内部組織を検査する非破壊検査装置を設け、振動付与手段は、非破壊検査装置からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御することができる。
破壊検査措置は、超音波検査装置、渦流探傷検査装置、X線検査装置から選ばれた1種又は2種以上の組み合わせであるとよい。
ルミニウム合金溶湯から連続鋳造棒を鋳造する連続鋳造棒の鋳造方法において、鋳造中の連続鋳造棒の表面から機械的振動を連続鋳造棒の凝固面を介して凝固面近傍のアルミニウム合金溶湯に付与しながらアルミニウム合金溶湯を凝固させる。振動は、振動周波数が変調されている振動とすることもできる。
動は、5μm〜100μmの振動変位であるとよい。
動は、2Hz〜500Hzの振動であるとよい。
続鋳造が横方向への鋳造であるとよい。
続鋳造棒の振動状態を検出する振動状態検出器からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御することができる。
型に設置された鋳型内のアルミニウム合金溶湯の凝固状態を検出する鋳型温度検出器からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御することができる。
続鋳造棒の内部組織を検査する非破壊検査装置からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御することができる。
ルミニウム合金溶湯に、結晶粒を微細化させるための添加剤を添加することなく凝固させるとよい。
iを6質量%〜20質量%、Cuを2.0質量%〜5.0質量%、Mgを0.4質量%〜2.0質量%含有するアルミニウム合金の連続鋳造棒がよい
(1)に記載の発明によれば、長手方向に垂直な断面における羽毛状晶の発生が10%以下で、その他は柱状晶及び/又は粒状晶であり、結晶粒径のバラツキが50μm〜500μmであって均一化されると共に、平均粒径が200μmから350μmであるので、機械加工性、鍛造性に優れた連続鋳造棒となる。
造中の連続鋳造棒の表面から連続鋳造棒の凝固面を介して凝固面近傍のアルミニウム合金溶湯に機械的振動を付与する振動付与手段を設けたので、連続鋳造棒の断面における、特に、長手方向断面における羽毛状晶の発生を抑えることができ、結晶粒径のバラツキが均一化し、その結果、機械加工性、鍛造性に優れた連続鋳造棒が得られる。又、アルミニウム合金溶湯中で凝固殻が生成する鋳型との接触面が機械的振動によって潤滑油及びその分解ガスに周期的に曝されることにより、潤滑性が高まることになり、鋳型(モールド)へのダメージが少なくなり、長時間の鋳造が可能となる。なお、振動付与手段が、振動周波数を変調した振動を付与ものであれば、アルミニウム合金溶湯の振動が定常波状態になって局在化するのを防ぐことができる。
続鋳造棒に5μm〜100μmの振動変位を付与するので、羽毛状晶の発生を抑えることができる。
続鋳造棒に2Hz〜500Hzの振動を付与するので、羽毛状晶の発生を抑えることができる。
動付与手段は、磁歪素子、電歪素子、回転車、回転ベルト、空気シリンダーから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせたので、振動の付与が容易に実現できる。
続鋳造が横方向への鋳造であるので、振動付与手段(装置)を、冷却水の影響のない箇所を容易に選定して取り付けることができる。又、横(水平)連続鋳造は設備投資をする場合にイニシャルコストが安価であり、全連続操業が可能であるため、ストランド数を多くしても縦型連続鋳造に比べて作業負荷が大きくならず、鋳造コスト的にメリットがある。
型の出口から0.3m〜5mの位置に連続鋳造棒を支持する支持部を設け、この支持部と鋳型の出口との間、又は、支持部よりも下流に振動付与手段を配設したので、振動の付与が効率的に実現できると共に、振動の付与の効果がより得やすくなる。
型の出口から0.3m〜5mの位置に連続鋳造棒を支持する支持部を設け、振動付与手段は、連続鋳造棒の振動状態を検出する振動状態検出器を有し、この振動状態検出器からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御するので、付与している振動状態を確実にモニターでき、付与している振動状態が安定するため、結晶粒径のバラツキが均一化し、その結果、機械加工性、鍛造性に優れた連続鋳造棒を、安定して連続して鋳造することができる。
動付与手段は、鋳型に設置された鋳型内のアルミニウム合金溶湯の凝固状態を検出する鋳型温度検出器を有し、この鋳型温度検出器からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御するので、鋳造条件に適した振動状態を維持することができる。
続鋳造棒の内部組織を検査する非破壊検査装置を設け、振動付与手段は、非破壊検査装置からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御するので、連続鋳造棒の断面における羽毛状晶の発生を抑えることができ、結晶粒径のバラツキが均一化し、その結果、機械加工性、鍛造性に優れた連続鋳造棒を、安定して連続して鋳造することができる。
破壊検査措置は、超音波検査装置、渦流探傷検査装置、X線検査装置から選ばれた1種又は2種以上の組み合わせであるので、フィードバックが容易で、欠陥検査と同時に実現できる。
造中の連続鋳造棒の表面から機械的振動を連続鋳造棒の凝固面を介して凝固面近傍のアルミニウム合金溶湯に付与しながらアルミニウム合金溶湯を凝固させるので、連続鋳造棒の断面における羽毛状晶の発生を抑えることができ、結晶粒径のバラツキが均一化し、その結果、機械加工性、鍛造性に優れた連続鋳造棒が得られる。なお、機械的振動が、振動周波数が変調されている振動であれば、アルミニウム合金溶湯の振動が定常波状態になって局在化するのを防ぐことができる。
動は、5μm〜100μmの振動変位であるので、羽毛状晶の発生を抑えることができる。
動は、2Hz〜500Hzの振動であるので、羽毛状晶の発生を抑えることができる。
続鋳造が横方向への鋳造であるので、振動付与手段(装置)を、冷却水の影響のない箇所を容易に選定して取り付けることができる。又、横(水平)連続鋳造は設備投資をする場合にイニシャルコストが安価であり、全連続操業が可能であるため、ストランド数を多くしても縦型連続鋳造に比べて作業負荷が大きくならず、鋳造コスト的にメリットがある。
続鋳造棒の振動状態を検出する振動状態検出器からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御するので、付与している振動状態を確実にモニターでき、付与している振動状態が安定するため、結晶粒径のバラツキが均一化し、その結果、機械加工性、鍛造性に優れた連続鋳造棒を、安定して連続して鋳造することができる。
型に設置された鋳型内のアルミニウム合金溶湯の凝固状態を検出する鋳型温度検出器からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御するので、鋳造条件に適した振動状態を維持することができる。
続鋳造棒の内部組織を検査する非破壊検査装置からの信号に基づいて連続鋳造棒に付与する振動の振幅条件及び/又は振動の周波数条件を制御するので、連続鋳造棒の断面における羽毛状晶の発生を抑えることができ、結晶粒径のバラツキが均一化し、その結果、機械加工性、鍛造性に優れた連続鋳造棒を、安定して連続して鋳造することができる。
ルミニウム合金溶湯に、結晶粒を微細化させるための添加剤を添加することなく凝固させたので、例えば、Al−Ti−B又はAl−Bを微細化剤として用い、操業条件によってはアルミニウム合金溶湯中でTiB2が凝集し、鋳塊に欠陥を発生することがあるAi−Si系合金においても、結晶粒径のバラツキが均一化し、その結果、機械加工性、鍛造性に優れた連続鋳造棒となる。
iを6質量%〜20質量%、Cuを2.0質量%〜5.0質量%、Mgを0.4質量%〜2.0質量%含有するので、連続鋳造棒の断面における羽毛状晶の発生を抑えることができ、結晶粒径のバラツキが均一化し、かつ、平均粒径がより微細化し、その結果、機械加工性、鍛造性に優れた、特にせん断性の点に優位な特性を有する連続鋳造棒となる。
本発明の振動付与装置の一例を示す概略図である。 本発明に用いる水平連続鋳造装置の鋳型付近の一例を示す説明図である。 本発明に用いる鋳造装置の鋳型付近の別の一例を示すホットトップ鋳造装置の説明図である。
本明細書中での羽毛状晶とは、次のように観察されるものである。
(1)試料の採取:鋳塊を縦断面に切断したものを供試材とする(長さ50mmが適切。)。
(2)試料の前処理:切断面を旋盤或いはフライス盤で面削加工した後、20%水酸化ナトリウム液でエッチングしマクロ組織を出す。
(3)観察:目視観察
(4)羽毛状晶であることの判定条件:羽毛状晶は(111)面を双晶化面とし、この両側に面対称をなして格子が整列し、この面に直角の面が優先成長する面となる。そのため、厚さが100μm以下で、幅と長さが極端に広い結晶となる。これが平行に数十枚から数百枚重なるため、目視で羽毛状に観察される。
(5)他の結晶粒径の測定:画像解析装置による。
本発明に用いる鋳造装置の一例とそれを用いた鋳造方法を説明する。
本発明で用いる方法の、基本的な凝固方法の部分には、直接冷却式鋳造装置であれば、水平連続鋳造装置、縦型連続鋳造装置、縦型半連続鋳造、DC(Direct Chill)連続鋳造装置、ホットトップ鋳造装置、気体加圧式ホットトップ鋳造装置、電磁場鋳造装置の何れかを用いることができる。例えば、中心軸が横方向になるように保持された強制冷却器を有した筒状鋳型の内壁面に気体、液体潤滑剤、その加熱分解気体から選ばれる1種又は2種以上の流体を供給し、筒状鋳型の一端にSiを含有するアルミニウム合金溶湯を供給して柱状金属溶湯を形成し、柱状金属溶湯を筒状鋳型にて凝固させて形成した凝固鋳塊を、筒状鋳型の他端から引き抜く水平連続鋳造法とすることができる。
<鋳造機の概略>
図2は本発明に用いる水平連続鋳造装置の鋳型付近の一例を示す説明図である。
タンディッシュ250中に貯留されたアルミニウム合金溶湯255が耐火物製板状体210を経て筒状鋳型201に供給されるように、タンディッシュ250、耐火物製板状体210、筒状鋳型201が配置されている。筒状鋳型201は中心軸220がほぼ水平になるように保持されている。アルミニウム合金溶湯255が凝固鋳塊216となるように、筒状鋳型201の内部には筒状鋳型201の強制冷却手段、筒状鋳型201の出口には鋳塊の強制冷却手段が配設されている。図2では、鋳塊を強制冷却する手段の例として、冷却水シャワー装置205が設けられている。筒状鋳型201の出口の近くには、鋳塊の強制冷却された凝固鋳塊216が一定速度で引き出され、連続的に鋳造されるように駆動装置(図示せず。)が設置されている。更に、引き出された鋳造棒となった鋳塊を所定の長さに切断する同調切断機(図示せず。)が配設されている。
筒状鋳型内壁面221と凝固鋳塊216の間に、潤滑性を有する多孔質リング222を介して潤滑油が供給され、筒状鋳型内壁面221と凝固鋳塊216の間に空間を形成している。その結果、鋳造棒の凝固面217は自由端に近い状態となり、鋳造棒側から付与された振動により凝固面217が振動することになる。
又、形成された空間によって鋳造された鋳造棒の表面は滑らかになるので、振動の付与が容易で確実になるので好ましい。又、タンディッシュ250において水平レベルを維持して鋳造するので、アルミニウム合金溶湯255の乱れが少なく、付与した振動による組織の微細化効果がより良く得られる。
本発明に用いる鋳造装置の鋳型付近の別の一例を、図3に示すホットトップ鋳造装置の説明図で説明する。
水冷鋳型301の上部に、耐火物製の溶湯受部(ヘッダー)311が設けられている。アルミニウム合金溶湯341は、他のDC連続鋳造装置のスパウト供給方式ではなく、直接水冷鋳型301に水平に供給される。水冷鋳型301は、冷却水によって冷却されている。水冷鋳型301内に導入されたアルミニウム合金溶湯341は、水冷鋳型301に接する部分において凝固殻を形成して収縮し、凝固した凝固鋳塊342は下型321によって水冷鋳型301から下方に引出される。このとき、凝固鋳塊342は水冷鋳型301から供給される水冷ジェット302、更に水槽内の水331によって冷却され、完全に凝固させられる。下型321が動き得る下端部に達すれば、鋳造棒となった鋳塊は所定の位置で切断されて取出される。
凝固殻を形成して収縮した結果、鋳造棒の凝固面343は自由端に近い状態となり、鋳造棒側から付与された振動により凝固面343が振動することになる。
本方式では、鋳造スタート時にスパウトのフローとの調整が不要で、モールド長さを短くすることができ、鋳造棒の表面が滑らかになるので、振動の付与が容易で確実になるので好ましい。又、水平レベルを維持して鋳造するので、アルミニウム合金溶湯341の乱れが少なく、付与した振動による組織の微細化効果がより良く得られる。
気体加圧式ホットトップ鋳造装置は、ホットトップ鋳造方式における溶湯受部(ヘッダー)311と水冷鋳型301の間から気体を供給することにより、アルミニウム合金溶湯341が水冷鋳型301と接触せず、水冷のみで鋳塊を冷却凝固できるので、凝固鋳塊342の表面の品質が高まるので、振動付与に対して好ましい。
<本発明の振動付与装置>
本発明の振動付与装置の一例を、図1の概略図を基に説明する。
本発明で用いる装置には、鋳造が完了した鋳造棒1の表面に機械的振動を付与する振動付与装置(振動付与手段)411が設けられている。図1に示した振動付与装置411は、筒状鋳型201の出口と、この筒状鋳型201で鋳造した鋳造棒1を支持する支持部401との間の鋳造棒1に、機械的振動を付与するように配設されている。
振動付与装置411は、振動面412、振動器413、振動器駆動装置414、振動面移動装置415、振動位置移動装置416、鋳型温度検出器417、鋳造棒検出器418、振動状態検出器419、振動制御装置420などで構成されている。
符号431は非破壊検査装置である。
ここで、支持部401は、筒状鋳型201から引き出された鋳造棒1を支持し、振動の節となるように支える点である。図1では、回転ロールを、鋳造棒1の側面、水平連続鋳造であるので下側面に当接させることで支持している。又は、楔型状、逆三角形状、半円状などの凸状部を鋳造棒1の側面、水平連続鋳造の場合は下側面に当接させることで支持することもできる。
更に、鋳造棒1の引き出し機能を持たせることも可能で、その場合は、鋳造棒1を回転ロールで挟み込む構造とすることもできる。図1では、上下から回転ロールで挟んでいる構造としている。
支持部401の材質は、移動する鋳造棒1によって摩耗しないもの、逆に鋳造棒1の表面を傷つけないものであれば、どのようなものでも用いることができる。
支持部401は、筒状鋳型201の出口から所定の位置、例えば、0.3m〜5mの位置に設けることができる。
ここで、振動面412は、所定の振り幅、周波数にて振動していて鋳造棒1の側面に当接することにより、鋳造棒1に機械的振動を付与するものである。振動面412は、振動器413からの振動を鋳造棒1に伝達するものであり、かつ、鋳造棒1が鋳造されて進行するのを妨げない機構を有したものである。図1では、振動面412を金属製の回転ロールとし、鋳造棒1の上側面に回転ロールの側面が接している構造となっている。回転ロールは、鋳造棒1の側面を傷つけることなく振動を付与することができるので好ましい。回転ロールの直径は、鋳造棒1の移動速度との兼ね合いで決めることができ、例えば、移動速度が400mm/min〜1200mm/minの場合、その直径は30mm〜50mmとすることができる。又、回転ロールの側面の幅は、鋳造棒1の直径との兼ね合いで決めることができ、例えば、鋳造棒1の直径が25mm〜100mm場合、その幅は10mm〜20mmとすることができる。
回転ロールの材質は、移動する鋳造棒1によって摩耗しないもの、逆に鋳造棒1の表面を傷つけないものであれば、どのようなものでも用いることができ、例えば、鉄又はSUS製の回転ロールとすることができる。
振動面412は、筒状鋳型201の出口から所定の位置、例えば、支持部401までの間に設けることができ、付与する振動周波数の波長との兼ね合いで位置は微調整するのが良い。
尚、図1では、振動面412を筒状鋳型201の出口から支持部401までの間に設けたが、振動面412を支持部401の下流側に設けても良い。
ここで、振動器413は、振動面412を所定の振り幅、周波数にて振動させるための振動源であり、例えば、電気信号を与えることにより体積変化する磁歪素子、電歪素子、機械的に振動運動している回転車、回転ベルト、空気圧によって体積変化する空気シリンダーなどを用いることができる。図1では、磁歪素子を振動面移動装置415と振動面412との間に設けてそれぞれを螺子止めで結合させている。
ここで、振動器駆動装置414は、振動面412が設定された所定の振動条件(振動周波数、振幅)によって適切な振動動作をするように駆動するものであり、振動制御装置420からの指令に基づいて振動条件を調整できるものが好ましい。
ここで、振動面移動装置415は、振動面412が鋳造棒1の所定の位置で所定の強さで接して適切な振動動作を付与できるように振動面412への接触圧力を調整するものであり、例えば、ガスシリンダー、ばね、ゴム、弾性体などを用いることができる。ガスシリンダーを用いた場合、0.3MPa〜0.5MPaとすることができる。振動面移動装置415は、振動制御装置420からの指令に基づいて接触圧力を調整できるものが好ましい。
ここで、振動位置移動装置416は、振動面412が鋳造棒1の所定の位置に接して適切な振動動作をするように位置を調整するものであり、例えば、XYZステージなどを用いることができる。振動位置移動装置416は、振動制御装置420からの指令に基づいて位置を調整できるものが好ましい。
ここで、鋳型温度検出器417は、筒状鋳型201に設置され、筒状鋳型201内のアルミニウム合金溶湯255の凝固状態を、温度で検出するものである。そして、例えば、図1に実線で示すように、鋳型温度検出器417を筒状鋳型201の上側に設置すると、鋳造棒1に適切な振動及び変位を与えることにより、鋳型温度検出器417を設置した筒状鋳型201の上側部分の温度は上昇し、又、図1に点線で示すように、鋳型温度検出器417を筒状鋳型201の下側に設置すると、鋳造棒1に適切な振動及び変位を与えることにより、鋳型温度検出器417を設置した筒状鋳型201の下側部分の温度は下降する。鋳型温度検出器417はこの温度変化を検出し、振動制御装置420へ送る。鋳型温度検出器417は実線の位置及び点線の位置に設置するのが好ましいが、いずれか一方の位置に設置しても良い。
ここで、鋳造棒検出器418は、支持部401を通過した鋳造棒1の有無及び/又は移動速度を検出し、振動制御装置420及び/又は非破壊検査装置431(非破壊検査装置431への信号線は図示を省略。)に検査開始の信号を送るものであり、例えば、光、電磁力、渦電流などを用いることができる。光センサーの場合、装置が簡単になるために好ましい。又、鋳造棒1を検出することにより、振動開始信号を振動制御装置420に送ることもできる。
ここで、振動状態検出器419は、鋳造棒1の振動周波数、振動変位を検出し、振動制御装置420に送るものであり、例えば、振動をスイッチ信号に変換する振動センサー、CCDレザー光による変位センサーを用いることができる。又、鋳造棒検出器418の機能を振動状態検出器419に持たせたり、振動状態検出器419の機能を鋳造棒検出器418に持たせることにより、検出器の数を削減することもできる。
尚、図1では、振動状態検出器419を支持部401の下流側に設けたが、振動状態検出器419を筒状鋳型201の出口から支持部401までの間に設けても良い。
ここで、振動制御装置420は、連鋳棒1が筒状鋳型201から支持部401を通過して移動してくるのを鋳造棒検出器418からの信号に基づいて確認した後、鋳型温度検出器417、振動状態検出器419からの信号の少なくとも1つの信号に基づき、振動器駆動装置414、振動面移動装置415、振動位置移動装置416に指令を与えて振動付与動作を制御するものである。制御内容は予めプログラムして記憶さておくことができる。又、外部から入力されるデータ(例えば、非破壊検査装置431からの信号(データ)。)に基づき、振動条件を自動的に判定して設定する機能を持たせることもできる。判定して設定する内容は、予めプログラムして記憶さておくことができる。
ここで、非破壊検査装置431は、鋳造棒1の内部組織状態又は不連続状態を検出し、振動制御装置420に送るものであり、例えば、超音波検査装置、過流探傷検査装置、X線検査装置から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせるのが望ましい。
振動付与装置411は、鋳造棒1に5μm〜100μm(より好ましくは10μm〜20μm。)の振動変位を付与するものであることが好ましい。このように従来の常識より比較的大きく鋳造棒1全体を振動させることにより、凝固方向に垂直な方向の振動が付与できる。この振動変位のものが羽毛状晶発生を抑えるのに効果的である。これ未満であると、効果が低減する。これを超えると、鋳造の運転が不安定になる。
振動付与装置411は、鋳造棒1に2Hz〜500Hz(好ましくは10Hz〜50Hz。)の振動を付与するものであることが好ましい。この周波数のものが羽毛状晶発生を抑えるのに効果的である。これ未満であると、効果が低減する。これを超えると、鋳造の運転が不安定になる。
振動器駆動装置414に設けられた発振器は、周波数の設定ばかりでなく、波形も自由に設定できるのが好ましい。例えば、波形も自由に変えられて鋸波、パルス波、三角波等が得られるものが好ましい。インパルス状の波形を重ねることで、ハンマー効果を得ることができるので好ましい。
又、振動が、振動周波数に対して変調が付与されている振動であることが好ましい。単一周波数では定在波となって遊離した結晶粒の分散が不十分な場合、変調した振動を付与することによって遊離した結晶粒をより拡散させることができるからである。
超音波振動を更に付与することも好ましい。超音波振動は、凝固核の数を増加させるという効果が期待できるので、補助手段として用いることが好ましい。このとき、超音波振動を付与する方法として、例えば、鋳造棒1の表面を介して振動を伝える方法がある。
振動面、振動器、振動器駆動装置、振動面移動装置を一体に構築した装置を用いることも可能である。例えば、市販のバイブレーターを用いることができる。この場合、振動器はバイブレーターの駆動機構、振動面はバイブレーターの振動面、振動面移動装置はバイブレーターのクッション機構、振動器駆動装置はバイブレーターに内蔵された回路部が対応する部分となる。
可聴音波の全域をカバーする場合は、可聴音波を電気的に発振するスピーカーホーンを用いることができる。伝達ホーンの形状は振動の伝播が集中する集音器の形状であるのが、振動の伝播効率が上がるので好ましい。
以上の振動付与装置は、1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
<鋳型の詳細>
図2に示すように、筒状鋳型201は、中心軸220がほぼ水平状になるように保持され、鋳型冷却水キャビティ204内に冷却水202を通して筒状鋳型201を冷却することにより筒状鋳型201内に充満した柱状金属溶湯215の熱を筒状鋳型内壁面221に接触する面から奪い、その表面に凝固殻を形成する筒状鋳型201の強制冷却手段と、筒状鋳型201の出口側端末において凝固鋳塊216に直接冷却水を当てるように冷却水シャワー装置205から冷却水202を放出して筒状鋳型201内の柱状金属溶湯215を凝固させる強制冷却手段を有した鋳型である。更に、筒状鋳型201は、その冷却水シャワー装置205の噴出口と反対側の一端は耐火物製板状体210を介してタンディッシュ250に接続されている。図2では、冷却水供給管203を介して筒状鋳型201の強制冷却のための冷却水、凝固鋳塊216の強制冷却のための冷却水を供給しているが、それぞれ別々に冷却水を供することもできる。
冷却水シャワー装置205の噴出口の中心軸の延長線が鋳造された凝固鋳塊216の表面に当たる位置から、筒状鋳型201と耐火物製板状体210との接触面までの長さを有効モールド長(図2符合L参照。)と言い、15mm〜70mmであるのが好ましい。この有効モールド長が15mm未満では良好な皮膜が形成されない等から鋳造不可となり、70mmを超えると、強制冷却の効果が無く、筒状鋳型内壁面221による凝固が支配的になって筒状鋳型201と柱状金属溶湯215もしくは凝固殻との接触抵抗が大きくなり、鋳肌に割れが生じたり、筒状鋳型201内部で千切れたりする等、鋳造が不安定になるので好ましくはない。
筒状鋳型201の材質はアルミニウム、銅、もしくはそれらの合金から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであるのが好ましい。熱伝導性、耐熱性、機械強度の点から材質の組み合わせを選ぶことができる。
更に、筒状鋳型201の柱状金属溶湯215と接触する面にリング状に、自己潤滑性を保有した浸透性多孔質材(多孔質リング222)を装填した鋳型であるのが好ましい。リング状とは、筒状鋳型内壁面221の円周方向の全体に装着した状態である。浸透性多孔質材の通気度が0.005L/(cm2/min)〜0.03L/(cm2/min)(より好ましくは0.007L/(cm2/min)〜0.02L/(cm2/min)。)であるのが好ましい。装着する浸透性多孔質材の厚さは特に限定されないが、2mm〜10mm(より好ましくは3〜8mm。)であることが好ましい。浸透性多孔質材として、例えば、通気度が0.008L/(cm2/min)〜0.012L/(cm2/min)の黒鉛を用いることができる。ここで、通気度とは、5mmの厚さの試験片に対して圧力2kg/cm2の空気の毎分の通気量を測定したものである。
有効モールド長Lのうち5mm〜15mmに浸透性多孔質材が装着されている筒状鋳型201を用いることが好ましい。耐火物製板状体210、筒状鋳型201、浸透性多孔質材(多孔質リング222)の合わせ面に、Oリング213を配設するのが好ましい。
筒状鋳型201の半径方向断面の内壁の形状は、円状以外に、三角形や矩形断面形状もしくは対称軸や対称面を持たない異形断面形状を有した形状でも良い。或いは、中空鋳塊を成形する場合は、鋳型内部に中子を保持したものでも良い。そして、筒状鋳型201は、両端が開放した鋳型であって、耐火物製板状体210に穿設された注湯口211を介して一端から内部へアルミニウム合金溶湯255が進入し、他端から凝固鋳塊216が押し出され、又は引き出される。
筒状鋳型内壁面221は凝固鋳塊216の引出し方向に向けて中心軸220と0度〜3度(より好ましくは0度〜1度。)の仰角で形成されている。仰角0度未満では凝固鋳塊216が筒状鋳型201から引き出される際に筒状鋳型201の出口で抵抗を受けるために鋳造が不可能となり、一方3度を越えると、筒状鋳型内壁面221の柱状合金溶湯215への接触が不充分になり、柱状合金溶湯215や凝固殻から筒状鋳型201への抜熱効果が低下することによって凝固が不十分となる。その結果、凝固鋳塊216の表面に再溶融肌が生じ、又は筒状鋳型201の端部から未凝固のアルミニウム合金溶湯が噴出するなどの鋳造トラブルにつながる可能性が高くなるので好ましくない。
タンディッシュ250は、外部の溶解炉等によって規定の合金成分に調整されたアルミニウム合金溶湯255を受ける溶湯流入部251、溶湯保持部252、筒状鋳型201への流出部253から構成されている。タンディッシュ250は、アルミニウム合金溶湯255の液面レベル254を筒状鋳型201の上面より高い位置に維持し、かつ、多連鋳造の場合には、各筒状鋳型201にアルミニウム合金溶湯255を安定的に分配するものである。タンディッシュ250内の溶湯保持部252に保持されたアルミニウム合金溶湯255は耐火物製板状体210に設けられた注湯口211から筒状鋳型201に注湯されている。
耐火物製板状体210は、タンディッシュ250と筒状鋳型201とを隔てるためのものであり、耐火断熱性を備えている材質のものを用いることができ、例えば、株式会社ニチアス製ルミボード、フォセコ株式会社製インシュラル、イビデン株式会社製ファイバーブランケットボードを挙げることができる。耐火物製板状体210は注湯口211を形成できるような形状を有している。注湯口211は耐火物製板状体210が筒状鋳型内壁面221より内側に張り出した部分に1個又は2個以上形成することができる。
符号208は流体を供給する流体供給管である。流体としては潤滑流体を挙げることができる。流体は、気体、液体潤滑剤から選ばれるいずれか1種又は2種以上の流体とすることができる。気体、液体潤滑剤の供給管は別々に設けることが好ましい。流体供給管208から加圧供給された流体は環状通路224を通って筒状鋳型201と耐火物製板状体210との間の隙間に供給される。筒状鋳型201が耐火物製板状210体に面する部位に200μm以下の隙間が形成されているのが好ましい。この隙間は、アルミニウム合金溶湯255が差し込まない程度で、流体が、筒状鋳型内壁面221へ流出できる程度の大きさである。図2に示した形態では、環状通路224は筒状鋳型201に装着された浸透性多孔質材(多孔質リング222)の外周面側に対峙して穿設され、流体はかけられた圧力によって浸透性多孔質材の内部に浸透してアルミニウム合金溶湯255と接触する浸透性多孔質の全面に送られ、筒状鋳型内壁面221に供給される。液体潤滑剤は加熱されて分解気体となって筒状鋳型内壁面221に供給される場合もある。
その結果、筒状鋳型201の浸透性多孔質面と、柱状金属溶湯215本体外周面及び凝固殻外周面と間の潤滑を良くすることができる。浸透性多孔質材をリング状に装着することにより、より良好な潤滑効果が得られ、アルミニウム合金連続鋳造棒を容易に鋳造することができる。
供給された気体、液体潤滑剤、液体潤滑剤の分解した気体から選ばれる1種又は2種以上により、隅部空間230が形成される。
<鋳造方法の説明>
本発明の鋳造方法について説明する。
図2においてタンディッシュ250中のアルミニウム合金合金溶湯255は耐火物製板状体210を経て、中心軸220がほぼ水平になるように保持された筒状鋳型201に供給され、筒状鋳型201の出口にて強制冷却されて凝固鋳塊216となる。凝固鋳塊216は筒状鋳型201の出口近くに設置された駆動装置により一定速度で引き出されるため、連続的に鋳造されて鋳造棒になる。引き出された鋳造棒は同調切断機によって所定の長さに切断される。
タンディッシュ250内に貯留するアルミニウム合金溶湯255の組成について説明する。
アルミニウム合金溶湯255は、Siを6質量%〜20質量%、Cuを2.0質量%〜5.0質量%、Mgを0.4質量%〜2.0質量%含有するものであることが好ましい。
特に、Siを9質量%〜11質量%含有するものは、鋳塊中のAlとSiが微細な層状構造を構成するため、機械的特性に優れ、かつ、硬質なSiにより耐摩耗性が向上するために好ましい。
凝固した鋳造棒1は、鋳造機の筒状鋳型201の出口から引き出されて、支持部401によって支持される。支持部401は鋳造棒1の移動方向に対しては自由度が確保されているので、鋳造棒1は更に引き出されて同調切断機で所定の長さに切断される。鋳造棒1が支持部401で支持された状態で、振動付与装置411の振動面412が鋳造棒1の表面に当てられ、振動付与装置411から鋳造棒1に振動が付与されることになる。一方、連続的にそのまま鋳造は進行しているので、振動が付与された状態で鋳造棒1は鋳造され続けることになる。
本発明では、鋳造が完了した鋳造棒1の表面から振動をアルミニウム合金溶湯255に付与しながらアルミニウム合金溶湯255を凝固させているので、羽毛状晶の発生を抑えて結晶粒のバラツキを均一化させることができる。
タンディッシュ250内に貯留されたアルミニウム合金溶湯255の液面レベル254の高さと筒状鋳型内壁面221の上面との高さの差を0mm〜250mm(より好ましくは50mm〜170mm。)とするのが好ましい。筒状鋳型201内に供給されるアルミニウム合金溶湯255の圧力と潤滑油及び潤滑油が気化したガスとが好適にバランスするために鋳造性が安定し、鋳造棒1を容易に鋳造できるからである。タンディッシュ250にアルミニウム合金溶湯255の液面レベル254の高さを測定し、モニターするためにレベルセンサーを設けることにより精度良くこの差を管理し、所定の値に維持することができる。
液体潤滑剤は、潤滑油である植物油を用いることができる。例えば、菜種油、ひまし油、サラダ油を挙げることができる。環境への悪影響が小さいので好ましい。
潤滑油供給量は0.05mL/分〜5mL/分(より好ましくは0.1mL/分〜1mL/分。)であるのが好ましい。供給量が過少だと、潤滑不足により鋳塊のブレークアウトが発生し、過多だと、余剰分が鋳塊中に混入し結晶粒径分布の均一を妨げる恐れがあるためである。
筒状鋳型201から鋳塊を引抜く速度である鋳造速度は200mm/分〜1500mm/分(より好ましくは400mm/分〜1000mm/分。)であるのが好ましい。鋳造条件の変動による鋳造性の悪化が起こらず、かつ、大きな冷却速度としても、振動を付与しているので、鋳塊組織を微細均一にすることができるからである。
勿論、本発明の効果作用は鋳造速度に限定されないが、鋳造速度を速くしたときにその効果が顕著になる。
冷却水シャワー装置205から放出される冷却水量は鋳型当り5L/分〜30L/分(より好ましくは25L/分〜30L/分。)であるのが好ましい。冷却水量が過少だと、ブレークアウトが生じたり、鋳塊表面が再溶融して不均一な組織が形成され、結晶粒径分布の均一を妨げる恐れがある。一方、冷却水量が過多だと、筒状鋳型201の抜熱が大き過ぎて鋳造不可になるためである。
勿論、本発明の効果作用は冷却水量に限定されないが、冷却能を大きくして冷却速度を大きくしたときにその効果が顕著になる。
タンディッシュ250内から筒状鋳型201へ流入するアルミニウム合金溶湯255の平均温度は600℃〜750℃(より好ましくは640℃〜680℃。)であるのが好ましい。アルミニウム合金溶湯255の温度が低すぎると、筒状鋳型201及びそれ以前で粗大な晶出物を形成して結晶粒径分布の均一を妨げる恐れがある。一方、アルミニウム合金溶湯255の温度が高すぎると、アルミニウム合金溶湯255中に大量の水素ガスが取り込まれ、鋳塊中にポロシティーとして取り込まれ、結晶粒径分布の均一を妨げる恐れがあるからである。
<得られた鋳造棒>
このようにして鋳造された連続鋳造棒は、長手方向に垂直な断面において、羽毛状晶の発生が10%以下で、その他は、柱状晶及び/又は粒状晶であるアルミニウム合金の連続鋳造棒となる。尚、粒状晶の粒径は均一化したものとなる。
鋳塊の合金成分の組成比は、例えば、JIS H 1305に記載されているような光電測光式発光分光分析装置(装置例:島津製作所製PDA−5500)による方法により確認できる。
<フィードバック(その1)を有する鋳造装置と方法>
鋳造棒1の側面に設けられた振動状態検出器419からの信号により、振動面412の振動の振幅及び/又は周波数付与条件を調整するフィードバック機構を有する振動付与装置411を備えた鋳造装置とすることもできる。
振動状態検出器419で検出される振動状態は、支持部401を中心とした対称位置の状態を良くモニターできる。例えば、支持部401を中心として、振動面412と対称位置に振動状態検出器419を設置した場合(即ち、支持部401から振動状態検出器419までの距離と支持部401から振動面412までの距離とを同じにする。)、振動面412で付与されている状態が正確にモニターできる。その結果を、フィードバックすることができるので、安定した振動付与状態を維持できる。又、例えば、支持部401を対称の中心として、筒状鋳型201と対称の位置に振動状態検出器419を設置した場合、筒状鋳型201の鋳造面での振動状態がモニターできる。その結果をフィードバックすることにより、鋳造面での振動状態を一定に維持することができる。
<フィードバック(その2)を有する鋳造装置と方法>
筒状鋳型201に設置された鋳型温度検出器(温度センサー)417により、筒状鋳型201の温度をモニターし、最適な振動の振幅及び/又は周波数付与条件を調整するフィードバックを有する振動付与装置411を備えた鋳造装置とすることもできる。又、鋳型温度検出器417を筒状鋳型201からアルミニウム合金溶湯255内に設置し、アルミニウム合金溶湯255の温度を検出し、アルミニウム合金溶湯255の温度をモニターすることにより、鋳造条件に適した振動状態を維持することもできる。
<フィードバック(その3)を有する鋳造装置と方法>
本発明の鋳造棒1の別の鋳造方法について説明する。
連続鋳造工程で鋳造中に凝固が完了した鋳造棒1の表面からの振動を鋳造棒1の凝固面217を介して凝固面217近傍のアルミニウム合金溶湯255に付与しながら鋳造する鋳造装置と、鋳造された鋳造棒1の非破壊検査装置431とからなる鋳造装置において、非破壊検査装置(非破壊検査工程)431によって検出された結晶粒分布の状態によって振動の振幅及び/又は周波数付与条件を調整するフィードバックを有する鋳造装置とすることもできる。
それにより、非破壊検査装置431によって検出された結晶粒分布の状態によって振動の振幅及び/又は周波数付与条件を調整しながら鋳造棒1を鋳造することができる。
<フィードバック(その4)を有する鋳造装置と方法>
前述した3つのフィードバックからいずれか2つを選んで組み合わせたり、前述した3つのフィードバックを組み合わせた振動付与装置411を備えた鋳造装置とすることもできる。
以下検査工程との連携の一例について図1に基づいて説明する。
通常、連続鋳造工程で鋳造された鋳造棒1は、その後に置かれる非破壊検査工程によって欠陥検査されて品質の良否が判定される。
必要に応じて、非破壊検査に投入される前に、所定の長さへの切断、熱処理、曲がり矯正、表面切削などの鋳造後処理が組み合わされて置かれる。
ここで、連続鋳造工程には、前述した本発明の振動を付与する鋳造方法を含む。
非破壊検査では、各種方法はあるが鋳造された鋳塊内部の不連続状態を検出して鋳造棒1の欠陥と判定している。ここで、検出条件を調整することによって結晶粒径のバラツキの状態を検出することができる。非破壊検査が、超音波検査、過流探傷検査、X線検査から選ばれた1種又は2種以上の組み合わせであるのが好ましい。フィードバックが容易で、又欠陥検査と同時に実現できるからである。
超音波検査、過流探傷検査は装置が簡便になるので好ましい。
例えば、非破壊検査の一種である超音波検査において、エコー波の乱れ状態を測定することで結晶粒径のバラツキ異常を検出することができる。
又、非破壊検査の一種である過流探傷検査において、エコー信号の乱れを測定することで結晶粒のバラツキの状態を検出することができる。羽毛状晶の発生は結晶粒径のバラツキ異常と関連しているので、結晶粒径のばらつき異常を検出して羽毛状晶の発生を検出することができる。
本発明の鋳造方法では、好ましくは、この検出した結果を、振動付与装置411の動作条件にフィードバックさせる。フィードバックさせる振動の付与の動作条件としては、振幅及び/又は周波数とするのが好ましい。振動付与位置411を最適とするフィードバックとすることもできる。
非破壊検査によって検出された結晶粒径分布の状態によって振動の付与条件を調整するフィードバックを有することを特徴とする連続鋳造棒鋳造方法となる。その結果、断面における羽毛状晶の発生を抑えることができ、結晶粒径のバラツキが均一化し、その結果、機械加工性、鍛造性に優れた連続鋳造棒を、安定して連続して鋳造することができる。
本発明に用いる非破壊検査方法について説明する。
この非破壊検査は、鋳塊のままで行うことも可能であるが、鋳塊表面の凹凸が外乱となり、検査精度に影響するので、鋳造棒1の表面状態が整った外周除去工程の後に行うのが好ましい。
渦電流探傷装置は、電磁誘導現象を利用して被検査材表面に発生した渦電流の変化によって欠陥の有無を判定するものであるが、渦電流の変化によって結晶粒径分布の均一を判定することができる。
渦電流探傷検査装置は、検出器であるコイルと、検出器からの信号を処理する信号処理手段と、予め設定した条件と処理信号とを比較して判定し判定結果を出力する判定手段とを有する。
そして、貫通型渦電流探傷装置は、コイル内を被検査材(鋳造棒1)が貫通していく過程で発生する渦電流の変化を検出するものである。
一方、回転型渦電流探傷装置は、被検査材(鋳造棒1)の周囲に配置した小さなコイルが回転することにより、被検査材の表面に発生する渦電流の変化を検出するものである。
超音波探傷検査装置は、検出器である探触子と、検出器からの信号を信号処理手段と、予め設定した条件と処理信号とを比較して合否判定し合否結果を出力する判定手段とを有する。
この超音波探傷は探触子から照射された超音波の被検査体(鋳造棒1)中での挙動により内部検査を行うことができるからである。
非破壊検査の方式としては、他にX線透過検査があるが、X線を発生させるために高電圧装置が必要なことなど、設備の管理に手間がかかる。
一方、超音波探傷は割れに対しても検出能力が高く、又、検出した電気信号を処理することにより、画像処理が必要なX線と比較して、結晶粒径分布状態の自動判定が容易に可能となり、検出の精度が高く安定した判定ができる。
この発明で利用する超音波探傷方法としては、反射法、透過法、斜角法、表面波法、共振法、直接接触法などがあり、媒質としては、例えば、水、機械油、水ガラス、グリース、ワセリンなどが用いられる。
又、測定方法としては、接触法、水浸法、パルス波法、連続波法、2探触子法、1探触子法、多重反射法などを挙げることができる。
この発明の方法としては、パルス状の超音波信号を送り出して反射もしくは透過する信号を受け、その受信信号の変化(反射、遮蔽、減衰)から不均一箇所、羽毛状晶の存在を検知する方法を用いることができる。
反射型超音波探傷装置で探傷する場合、周波数は2MHz〜8MHzの範囲が好ましい。
探触子は直径、材質、指向角などを考慮し、適したものを選択する。
尚、鋳造棒1に入射した超音波は、直線的に進んだ後にやがて広がっていくが、直線進行距離が長すぎたり、近距離音場限界距離が長すぎると、細径の探傷には使えないので、鋳造棒1のサイズに応じて最適感度が得られるものを選択する必要がある。
又、S/N比をよくするため、低い増幅度でも十分な波形が得られるように材質などを考慮する必要がある。
又、探触子の数を減らしたり、探傷速度を速くするなどのため、指向角についても検討する必要がある。
探触子と鋳造棒1の表面との間に空隙を設け、その空隙を媒質で満たして探傷するのが好ましい。これは、鋳造棒1の表面の粗さがばらついても、超音波を安定させて入射させることができるからである。
又、媒質は、水、マシン油とすると、超音波の減衰が小さくなるので、好ましい。
上述したように、鋳造が完了した鋳造棒の表面に機械的振動を付与する振動付与装置(振動付与手段)を有することを特徴とする連続鋳造装置を用いて連続鋳造棒を鋳造すると、鋳造が完了した鋳造棒の表面からの振動を鋳造棒の凝固面を介して凝固面近傍のアルミニウム合金溶湯に付与しながらアルミニウム合金溶湯を凝固させることになる。即ち、鋳造棒の側面から機械的に振動を付与しているので、直接成長点に直接的に振動を付与している。
アルミニウム合金溶湯が凝固するとき、温度勾配の方向にデンドライト成長して凝固する性質がある。この凝固の進行に対して鋳造棒から付与された振動が凝固面を介して近傍のアルミニウム合金溶湯に付与されることによって凝固面に形成された結晶粒子は、デンドライト成長が分断されて凝固核となり、更に近傍溶のアルミニウム合金湯内を移動して均一に分散され、鋳塊の組織及び晶出粒子を均一、かつ、微細にするように働く。
更に、本発明では、鋳造棒は鋳造方向に垂直な成分を含んだ振動が付与されている。羽毛状晶の結晶は比較的大きな径で成長するため、アルミニウム合金溶湯側から振動を付与するのではその成長を充分に抑えきることができず、本発明によって鋳造棒を振動させることにより、凝固側の成長点を直接振動しているので、羽毛状晶の成長を効率よく分断することができ、羽毛状晶の発生を抑えることができると推定される。
一方、鋳造方向の振動成分を有する粗密波を鋳造棒から付与することにより、次ぎのような効果が得られると推定される。その成分は音波(粗密波)として鋳造棒の内部を伝播して凝固面に到達するので、凝固面に対して前後の方向の振動で揺すられることになるので、凝固した結晶は表面から遊離する。
遊離したものは、前述した比較的大きな垂直成分の振動により、凝固面に平行な方向に大きく移動する。
このように、分断された凝固粒子は凝固面付近のアルミニウム合金溶湯中に広く分散して、凝固面近傍のアルミニウム合金溶湯の温度分布を均一化し、鋳塊の組織や晶出粒子を均一、かつ、微細化することを助長するように作用すると推定される。
このように、鋳造が完了した鋳造棒の表面からの振動を鋳造棒の凝固面を介して凝固面近傍のアルミニウム合金溶湯に付与しながらアルミニウム合金溶湯を凝固させることによって連続鋳造による鋳塊の組織や晶出粒子を均一、かつ、微細化する作用は、微細化剤を添加してこれらを凝固核として利用する従来の方法と作用が異なっている。即ち、本発明では微細化剤の添加を必要とすることなく、又は、添加量を低減させて鋳塊の組織や晶出粒子の均一化と微細化を図ることができる。勿論、微細化剤を加えて微細化剤による鋳塊の組織や晶出粒子の均一化と微細化を更に高める効果を得ることもできる。
従来の方法では間接的(例えば、金型を介して又はアルミニウム合金溶湯全体を揺らすなどにより。)にしか実現できなかったが、本発明は、先端に凝固面を有する鋳造棒を振動させているので、(アルミニウム合金溶湯の微細振動を抑えて)直接凝固面に微細振動を与えることができる。金型やアルミニウム合金溶湯に比較して、鋳造棒は音波の伝達媒体として密度が密であるので、振動伝播特性が優れているので好ましい。
従来の方法では、鋳型から振動を加えているので、アルミニウム合金溶湯全体が振動することになって好ましくない。鋳型から振動を付与すると、伝播ルートが鋳型→アルミニウム合金溶湯→凝固面近傍のアルミニウム合金溶湯となり、途中のアルミニウム合金溶湯で振動が減衰してしまう。
本発明では、アルミニウム合金溶湯中心側からでなく凝固面側から、又はアルミニウム合金溶湯全体を振動させること無く直接、凝固面近傍のアルミニウム合金溶湯に振動が付与されるので、これらの効果がより確実に又効率的に実現できることになる。又、密(鋳造棒)から粗(溶湯)に振動を伝播させるので界面近傍への振動付与の効率が良い。
Siを11質量%、Cuを4.0質量%、Mgを0.5質量%含有した溶湯を、図1に示した装置を用い、振動を付与しながら直径30mmのビレットに水平連続鋳造した。そして、鋳造条件は次に示す通りである。
(1)タンディッシュ内溶湯レベルと鋳型内壁上面とのレベル差:150mm
(2)潤滑油:菜種油
(3)潤滑油供給量:0.2mL/分
(4)鋳造速度:900mm/分
(5)冷却水供給量:30L/分
(6)タンディッシュ内溶湯温度平均:660℃
更に、付与した振動条件は以下の通りである。
(1)装置:振動面/金属ロール、振動器/磁歪素子、振動面移動装置/ガスクッション
(2)振動周波数/振り幅(振動変位):表1参照。
(3)鋳型から振動付与箇所まで50mm/鋳型から支持部までの距離2000mm
鋳造品の評価は以下のようにして実施した。
10時間連続運転して30分ごとに、連続鋳造棒を長手方向に垂直な切断面の結晶粒の粒径分布を測定した。結晶粒径の測定は画像解析装置(株式会社ニレコ社製)を用いた。その時の、羽毛状晶の発生割合(羽毛状晶が観察された面積/全観察面積)。又、切断加工した時の切断面の凹凸を測定した。そして、鍛造性は、良を○で示す。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0005574301
表1に示したように、実施例1〜実施例5(No1〜No5)は、羽毛状晶の発生頻度を抑えて柱状晶及び/又は粒状晶がほとんどを占め、かつ、結晶粒径のバラツキを均一化すると共に、平均粒径も小さく、優れた機械加工性、鍛造性を有するものである。
これに対し、比較例1(No6)は、羽毛状晶の発生頻度が多く、かつ、結晶粒径のバラツキが大きく、平均粒径も大きかった。
1 鋳造棒
201 筒状鋳型
202 冷却水
203 冷却水供給管
204 鋳型冷却水キャビティ
205 冷却水シャワー装置
208 流体供給管
210 耐火物製板状体
211 注湯口
213 Oリング
215 柱状金属溶湯
216 凝固鋳塊
217 凝固面
220 中心軸
221 筒状鋳型内壁面
222 多孔質リング
224 環状通路
230 隅部空間
250 タンディッシュ
251 溶湯流入部
252 溶湯保持部
253 流出部
254 液面レベル
255 アルミニウム合金溶湯
301 水冷鋳型
302 水冷ジェット
311 溶湯受部(ヘッダー)
321 下型
331 水
341 アルミニウム合金溶湯
342 凝固鋳塊
343 凝固面
401 支持部
411 振動付与装置(振動付与手段)
412 振動面
413 振動器
414 振動器駆動装置
415 振動面移動装置
416 振動位置移動装置
417 鋳型温度検出器
418 鋳造棒検出器
419 振動状態検出器
420 振動制御装置
431 非破壊検査装置
L 有効モールド長

Claims (1)

  1. 長手方向に垂直な断面における羽毛状晶の発生が10%以下で、その他は柱状晶及び/又は粒状晶であり、結晶粒径のバラツキが50μm〜500μmであると共に、平均粒径が200μm〜350μmである、
    ことを特徴とするアルミニウム合金の連続鋳造棒
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