JP4648968B2 - アルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法に関する。
一般に金属の水平連続鋳造は、次のような過程を経て金属溶湯から円柱状、角柱状あるいは中空柱状の長尺鋳塊を製造する。すなわち、金属溶湯を溜めるタンディッシュに入った溶湯は、耐火物製通路を通ってほぼ水平に設置され、かつ、強制冷却された筒状鋳型内に入り、ここで冷却されて金属溶湯本体の外表面に凝固殻が形成される。鋳型から引き出された鋳塊に水などの冷却剤が直接放射され、鋳塊内部まで金属の凝固が進行しつつ鋳塊が連続的に引き出される。このような金属の水平連続鋳造には原理的に困難な点が不可避的に存在する。
その第一の困難な点は、中心軸がほぼ水平になるように鋳型が設置されているため、鋳型内の金属溶湯が重力によって鋳型下方の内壁に押し付けられ、このため鋳型内における冷却効果が下部に強く、上部に弱く働くという冷却効果のアンバランスが生じる。この結果、最終凝固位置が連続鋳造棒の中心軸よりも上方に偏移することにより、均質な組織の鋳塊が得られないことである。
そして、その第二の困難な点は、金属溶湯の鋳型壁への焼き付きを防止するための潤滑油が鋳型の入口端内周壁から注入されるが、鋳型内壁全周に均一に注入されると、鋳塊の上面と下面とにかかる重力の差によって下部壁面から上部壁面へと潤滑油が押し上げられる。さらに、潤滑油の加熱による分解ガスも上部壁面へと上昇することにより、鋳型内面と接触する、金属溶湯および鋳塊外周面を構成する凝固面との間に存在する潤滑界面が不均一質となることである。前記のごとく鋳型下方は金属溶湯と鋳型壁が接触しているので、凝固殻と鋳型壁との間に実質的なクリアランスがなく、鋳型内面と接触する、金属溶湯および鋳塊外周面を構成する凝固面との間に潤滑油が流入せず、金属溶湯が鋳型内面に焼き付くために凝固殻が破れて未凝固状態の溶湯が流出し、大きい鋳造欠陥となるか、またはさらに進むと、鋳塊がちぎれて鋳造作業が不可能になる。一方、鋳型上方は潤滑油が過多の状態となるために、鋳型による金属溶湯の冷却が不十分となって未凝固状態の金属溶湯が鋳塊上部から吹き出すこととなる。
金属の水平連続鋳造法におけるこのような本質的な問題の克服のため、従来からいくつかの解決策が提案されている。例えば、鋳型上部への潤滑油供給過多を回避するために鋳型内壁面に細孔や溝を設ける方法などが提案されている。
特公平8−32356号公報
しかしながら、潤滑油の注入量、鋳造速度、タンディッシュ内の鋳造温度などの条件の調整が非常に微妙であるため、上記特許文献1の提案も含めた従来の方法では、特に、実際の製造運転管理時にこれらの条件が複雑に関係するため、連続鋳造棒の鋳肌の変動を抑えることが困難であり、その結果、鋳造欠陥の原因となる焼き付き、ブレークアウト、ピットなどが発生し易かった。
本発明は、従来の水平連続鋳造における上記の状況に鑑み、鋳肌の欠陥やブレークアウトの発生を抑えて品質の良好なアルミニウム合金連続鋳造棒を製造するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法を提供する。
本発明は、以下のような発明である。
(1)中心軸がほぼ水平に保持され、強制冷却手段を有した筒状鋳型を用いるアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法であって、筒状鋳型の上方の部分に対応した部分に、中心角が少なくとも30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するように、および、このSiリッチ組織部が、半径方向断面の元素分布において面積占有率にして50%未満の初晶α−Alを含有する微細Si組織となるように、溶湯温度と凝固温度との温度差と、筒状鋳型から引き出すアルミニウム合金連続鋳造棒の引出速度を制御し、かつ、原料から不可避的に混入するCaと添加するCaとの総計で少なくとも0.003質量%以上となるようにアルミニウム合金溶湯中のCa含有量を制御してアルミニウム合金連続鋳造棒を製造することを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(2)アルミニウム合金溶湯は、Siを7質量%〜14質量%含有し、鋳造条件の鋳造速度を200mm/min〜1500mm/min、筒状鋳型に流入するアルミニウム合金溶湯の温度をそのアルミニウ合金の液相線以上とし、材質がAl、Cuもしくはそれらの合金から選ばれる1種または2種以上の組み合わせであって、15mm〜70mmの有効モールド長を有する筒状鋳型を用いることを特徴とする上記(1)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(3)微細Si組織に含まれるSi粒子の平均粒径が0.1μm〜5μmとなるようにすることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(4)添加するCaが、純度99.9質量%以上の金属Caであることを特徴とする上記(1)乃至(3)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(5)アルミニウム合金溶湯と接触する内面に、通気度が0.005〔L/(cm2×min)〕〜0.03〔L/(cm2×min)〕である浸透性多孔質材が、リング状に装着してある筒状鋳型を用いることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
(6)有効モールド長のうち5mm〜15mmに浸透性多孔質材が装着されている筒状鋳型を用いることを特徴とする上記(5)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
本発明の方法によれば、中心における角(中心角)が少なくとも30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するアルミニウム合金連続鋳造棒を、鋳造することができる。
そして、アルミニウム合金連続鋳造棒の上部表面に形成されるSiリッチ組織部が焼き付き、ブレークアウトを抑制することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒を安定して鋳造することができる。
本発明の方法によって製造したアルミニウム合金連続鋳造棒について説明する。
本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒は、中心軸がほぼ水平(ほぼ水平とは、横方向のことである。)となるよう保持され、強制冷却手段を備えた筒状鋳型を用いる水平連続鋳造法で製造され、直径を10mm〜100mmの範囲とすることができる。上記直径範囲以外でも対応は可能であるが、工業的に後工程の塑性加工、例えば、鍛造、ロールフォージング、引抜き加工、転動加工、インパクト加工等の設備を小規模、かつ、安価とするため、直径を10mm〜100mmの範囲にするのが好ましい。直径を変更して鋳造する場合は、直径に対応する内径を有する着脱可能な筒状鋳型に交換し、それに合わせて溶湯温度、鋳造速度を変更することで対応可能である。冷却水量、潤滑油量の設定も必要に応じて変更する。
本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒(101)は、図1(a),(b)に示すように、その中心(102)における角度〔中心角(103)〕が30度以上(好ましくは40度以上。上限が90度以下。)の範囲の側面表面(外周部の表面)に厚さ18μm以上(好ましくは30μm〜100μm。)の長さ(軸)方向に帯状のSiリッチ組織部(104)を有するアルミニウム合金連続鋳造棒である。この帯状のSiリッチ組織部(104)は、鋳型表面との摩擦による未凝固溶湯の噴出しを抑制でき、かつ、後工程の塑性加工の障害にならないために好ましい。しかし、中心角(103)が30度未満、厚さ(102)が18μm未満では、上記効果が充分に得られない。また、Siリッチ組織部(104)を形成する角度は、大きい方が好ましいが、鋳造する条件がそれだけ厳しくなる。
本発明では、上記Siリッチ組織部及びその厚さは次のように定義する。
まず、厚さを求めるためには、例えば、次のような方法で組織の観察をする。
(a)試料のサンプリング箇所・方法・前処理
製造したアルミニウム合金連続鋳造棒(101)から無作為に試料を抜き取り、さらに、アルミニウム合金連続鋳造棒(101)の鋳型上部に対応する側面表面から2mm角〜5mm角の試料用小片(306)〔図3(b)参照〕を切り出す。この試料用小片(306)をミクロトームで薄片状にスライスして半径方向の断面の観察用試料とする。ミクロトームを使用するのは、観察面が鋳塊の極ごく表面に相当し、通常の切断では観察面にダレが生じて良好な観察ができないためで、これを克服できれば、他の手段でも構わない。
同様に側面の円周方向各所から小片を切り出し試料とする。
(b)測定装置・測定条件
FE−AES(電界放射型オージェ電子顕微鏡)装置を用いて、半径方向断面のAlまたはSiの元素分布を求める。FE−AES装置は、例えば、MICROLAB−310F(VG社製)を用いることができる。観察条件は、例えば、加速電圧:10kV、試料電流:0.8nA〜2.7nA、倍率:×1000とする。
表面の観察のため、電界放射型オージェ電子顕微鏡を使用したが、2次電子顕微鏡やEPMAでも測定可能である。
(c)Siリッチ組織部の厚さその他の情報の読み取り方
図3(a)のアルミニウム合金連続鋳造棒(101)から採取した試料用小片(306)の、電界放射型オージェ電子顕微鏡の画像の模式図を図3(b)に示す。電界放射型オージェ電子顕微鏡の画像上において、鋳塊表面から鋳塊中心に向う任意の10μm四方の領域について初晶α−Al(303)の面積占有率を求め、その値が50%未満の領域をSiリッチ組織部(104)とし、鋳塊表面から鋳塊中心方向へのその領域の幅をSiリッチ組織部(104)の厚さ(302)とする。
ここで、得られた電界放射型オージェ電子顕微鏡の画像から上記のごとく指定した領域について点算法から算出した初晶α−Al(303)の面積の比を面積占有率とする。
また、電界放射型オージェ電子顕微鏡の画像から画像処理によって読み取ったSiリッチ組織部(104)のSi粒子(304)の径の平均値を、微細Si組織に含まれるSi粒子の平均粒径とする。
本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒(101)において、図3(c)に示すように、断面積の面積占有率にして50%未満の初晶α−Al(303)を含有する微細Si組織であることが好ましい。初晶α−Al(303)の面積占有率が50%未満であると、形成された組織が微細Si組織部以外の部分に比べて硬度がより高まり、鋳造の安定運転性をより向上させるために好ましい。
微細Si組織に含まれるSi粒子の平均粒径が0.1μm〜5μmであることが好ましい。平均粒径が上記範囲であると、形成された微細Si組織がアルミニウム合金連続鋳造棒の側面に形成される凝固殻をより強固にし、鋳型表面との摩擦による未凝固溶湯の噴出を抑制できるので好ましい。また、後工程の塑性加工の障害にならないので好ましい。微細Si組織を有している表面は金属性の光沢を有している。
本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒は、長時間の鋳造運転時において鋳塊の鋳型内面への焼き付きや鋳塊のちぎれ、あるいは、アルミニウム合金溶湯の吹き出しの発生を抑えることができる。その結果、潤滑油供給量、鋳造速度などの運転条件の調整頻度を抑えることができ、安定した運転を実施することができる。
その作用メカニズムは、以下のように推定することができる。
本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒は、その中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するので、表面の硬度が従来のアルミニウム合金連続鋳造棒に比べて相対的に硬くなっている。その結果、鋳塊と鋳型内壁との接触抵抗に対して凝固殻がより強固になり、焼き付き等の鋳造欠陥が発生しづらくなると考えることができる。また、微細Si組織を有する部分は金属光沢を有しており、その部分の硬度はその他の部分と比較して高くなっている。ほぼ水平に保持されている筒状鋳型の上方の部分は、潤滑油が過多状態となっているために冷却が不十分となっていると考えられる。アルミニウム合金連続鋳造棒のこの部分に対応した部分にSiリッチ組織部が形成されることにより、鋳型の上方、すなわち、鋳塊の上部の凝固状態が安定して未凝固溶湯の吹き出しを抑制できると考えることができる。
本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒は、Caを0.003質量%以上(より好ましくは0.003質量%〜0.05質量%、さらに好ましくは0.006質量%以上、すなわち、0.006質量%〜0.04質量%。)含有することが好ましい。それは、鋳塊表面の硬度をより硬くすることができるからである。その結果、前述の作用の効果をより高めることができる。
本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒は、後工程の塑性加工、例えば、鍛造、ロールフォージング、引抜き加工、転動加工、インパクト加工等の素材として用いられる。あるいは、バーマシニングやドリリング加工などの機械加工等の素材として用いられる。この場合、鋳造後に、後工程の前に必要に応じて微細Si組織をピーリング加工によって除去する。この時、本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒は、ピーリング加工に用いられる切削工具、例えば、バイトなどに比べれば、Siリッチ組織は著しい硬度差があるわけではないので、問題なく加工ができる。むしろ、Siリッチ組織の箇所で切粉が分断されるため、切粉が切削工具に絡みつくなどの加工の障害を抑えることができる。その結果、本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒は、切削性が改善されたものとなり、ピーリング加工の仕上がり状態が良好になり、後工程の鍛造工程での鍛造性が良好となり、寸法精度等品質の向上と金型寿命の向上等が得られる。この時、アルミニウム合金連続鋳造棒は、表面にピーリング処理が施され、その結果、表面粗さRmaxが50μm以下であって、表面にツールマーク欠陥が残っていない好ましいものとなる。ここで、ツールマーク欠陥とは、外観検査で検出される、ピーリング工程で用いるバイトなどの切削工具に切りくずなどが挟み込まれることによって発生するスクラッチ状のキズのことである。
また、アルミニウム合金連続鋳造棒は、外周面上部に強い金属光沢を有する部分を含む極めて平滑な鋳肌を呈しているので、鋳塊内部には空洞欠陥が存在することはなく良好な鍛造用素材とすることができる。
本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒は、ピーリング加工を施すことなく適当な加熱処理を施すことにより、後工程となる成形加工に耐え得る機械的特性を得ることも可能である。
本発明に用いる装置の一例と、本発明の製造方法を説明する。
本発明方法が適用される水平連続鋳造法は、公知の水平連続鋳造法を適用することができ、例えば、中心軸がほぼ水平になるように保持され、強制冷却手段を有した筒状鋳型の内壁面に気体、液体潤滑材、その加熱分解気体から選ばれるいずれか1種または2種以上の流体を供給し、筒状鋳型の一端にSiを含有するアルミニウム合金溶湯を供給して柱状金属溶湯本体を形成し、柱状金属溶湯本体を筒状鋳型で凝固させて形成した鋳塊を、筒状鋳型の他端から引き抜く水平連続鋳造法とすることができる。
図2は本発明に用いるアルミニウム合金連続鋳造棒の製造装置の鋳型付近の一例を示すものである。
タンディッシュ(250)中に貯留された合金溶湯(255)が耐火物製板状体(210)を経て筒状鋳型(201)に供給されるように、タンディッシュ(250)、耐火物製板状体(210)、筒状鋳型(201)が配置されている。筒状鋳型(201)は鋳型中心軸(220)がほぼ水平になるように保持されている。合金溶湯(255)が凝固鋳塊(216)となるように、筒状鋳型(201)の内部には、筒状鋳型(201)の強制冷却手段、筒状鋳型(201)の出口には凝固鋳塊(216)の強制冷却手段が配設されている。図2では、凝固鋳塊(216)を強制冷却する手段の例として、冷却水シャワー装置(205)が設けられている。筒状鋳型(201)の出口の近くには、強制冷却された凝固鋳塊(216)が一定速度で引き出されて連続的に鋳造されるように引出駆動装置(図示せず。)が設置されている。さらに、引き出されたアルミニウム合金連続鋳造棒を所定の長さに切断する同調切断機(図示せず。)が配設されている。
図2に示すように、筒状鋳型(201)は、鋳型中心軸(220)がほぼ水平状態になるように保持され、鋳型冷却水キャビティ(204)内に冷却水(202)を通して鋳型壁面を冷却することによって筒状鋳型(201)内に充満した柱状金属溶湯(215)の熱を筒状鋳型(201)に接触する面から奪ってその表面に凝固殻を形成する鋳型の強制冷却手段と、鋳型出口側端末において凝固鋳塊(216)に直接冷却水を当てるように冷却水シャワー装置(205)から冷却水を放出して鋳型内の柱状金属溶湯(215)を凝固させる強制冷却手段を有した筒状鋳型である。さらに、筒状鋳型(201)は、その冷却水シャワー装置(205)の噴出口と反対側の一端は耐火物製板状体(210)を介してタンディッシュ(250)に接続されている。図2では、冷却水供給管(203)を介して筒状鋳型(201)を強制冷却するための冷却水、凝固鋳塊(216)を強制冷却するための冷却水を供給しているが、それぞれ別々に冷却水を供することもできる。
筒状鋳型(201)の強制冷却手段、冷却水シャワー装置(205)は、制御信号によってそれぞれ動作を制御できることが好ましい。
冷却水シャワー装置(205)の噴出口の中心軸の延長線が鋳造された凝固鋳塊(216)表面に当たる位置から、筒状鋳型(201)と耐火物製板状体(210)との接触面までの長さを有効モールド長(図4の符号L参照。)と言い、この有効モールド長Lは15mm〜70mmであるのが好ましい。それは、アルミニウム合金連続鋳造棒の中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部が充分に形成されるからである。この有効モールド長Lが、15mm未満では、良好な皮膜が形成されない等から鋳造不可となり、70mmを超えると、強制冷却の効果が無く、鋳型壁による凝固が支配的になって、筒状鋳型(201)と合金溶湯(255)もしくは凝固殻との接触抵抗が大きくなって、鋳肌に割れが生じたり、鋳型内部で千切れたりする等、鋳造が不安定になるので好ましくない。
筒状鋳型(201)の材質はアルミニウム、銅、もしくはそれらの合金から選ばれる1種または2種以上の組み合わせであるのが好ましい。熱伝導性、耐熱性、機械強度の点から材質の組み合わせを選ぶことができる。
さらに、筒状鋳型(201)の合金溶湯(255)と接触する面にリング状に、自己潤滑性を保有した浸透性多孔質材(222)を装填した鋳型であるのが好ましい。リング状とは、筒状鋳型(201)の内壁面(221)の円周方向の全体に装着した状態である。浸透性多孔質材(222)の通気度が0.005〔L/(cm2×min)〕〜0.03〔L/(cm2×min)〕[より好ましくは0.007〔L/(cm2×min)〕〜0.02〔L/(cm2×min)〕。]であるのが好ましい。装着する浸透性多孔質材(222)の厚さは特に限定されないが、2mm〜10mm(より好ましくは3mm〜8mm。)であることが好ましい。それは、アルミニウム合金連続鋳造棒の中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部が充分に形成されるからである。浸透性多孔質材(222)として、例えば、通気度が0.008〔L/(cm2×min)〕〜0.012〔L/(cm2×min)〕の黒鉛を用いることができる。ここで、通気度とは、5mmの厚さの試験片に対して圧力2(kg/cm2)の空気の毎分の通気量を測定したものである。
有効モールド長Lのうち5mm〜15mmに浸透性多孔質材(222)が装着されている筒状鋳型(201)を用いることが好ましい。それは、アルミニウム合金連続鋳造棒の中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部が充分に形成されるからである。耐火物製板状体(210)、筒状鋳型(201)、浸透性多孔質材(222)の合わせ面にはOリング(213)を配設するのが好ましい。
筒状鋳型(201)の半径方向断面の内壁の形状は、円状以外に、三角形や矩形断面形状もしくは対称軸や対称面を持たない異形断面形状を有した形状でも良い。あるいは、中空鋳塊を成形する場合は、鋳型内部に中子を保持したものでも良い。そして、筒状鋳型(201)は、両端が開放した筒状鋳型であって、耐火物製板状体(210)に穿設された注湯口(211)を介して一端から筒状内部へ合金溶湯(255)が進入し、他端から凝固鋳塊(216)が押し出、または引き出される。
鋳型内壁面は凝固鋳塊(216)の引出し方向に向けて鋳型中心軸(220)と0度〜3度(より好ましくは0度〜1度。)の仰角で形成されている。仰角0度未満では凝固鋳塊(216)が筒状鋳型(201)から引き出される際に鋳型出口で抵抗を受けるために鋳造が不可能となり、一方、3度を越えると、鋳型内壁面の柱状金属溶湯(215)への接触が不充分になり、合金溶湯(255)や凝固殻から筒状鋳型(201)への抜熱効果が低下することによって凝固が不十分となる。その結果、鋳塊表面に再溶融肌が生じ、または、鋳型端部から未凝固の合金溶湯(255)が噴出するなどの鋳造トラブルにつながる可能性が高くなるので好ましくない。
タンディッシュ(250)は、外部の溶解炉等によって規定の合金成分に調整されたアルミニウム合金溶湯を受ける溶湯流入部(251)、溶湯保持部(252)、筒状鋳型(201)への流出部(253)から構成されている。タンディッシュ(250)は、合金溶湯(255)の液面レベル(254)を筒状鋳型(201)上面よりも高い位置に維持し、かつ、多連鋳造の場合には、各筒状鋳型(201)に合金溶湯(255)を安定的に分配するものである。タンディッシュ(250)内の溶湯保持部(252)に保持された合金溶湯(255)は耐火物製板状体(210)に設けられた注湯口(211)から筒状鋳型(201)に注湯されている。
溶解炉またはタンディッシュ(250)は、投入量を制御信号で制御できるCa投入装置を備えているのが好ましい。
耐火物製板状体(210)は、タンディッシュ(250)と筒状鋳型(201)とを隔てるためのものであり、耐火断熱性を備えた材質を用いることができ、例えば、(株)ニチアス製ルミボード、フォセコ(株)製インシュラル、イビデン(株)製ファイバーブランケットボードを挙げることができる。耐火物製板状体(210)は注湯口(211)を形成できるような形状を有している。注湯口(211)は耐火物製板状体(210)が筒状鋳型(201)の内壁面(221)より内側に張り出した部分に1個または1個以上形成することができる。
符号208は流体を供給する流体供給管である。流体としては潤滑流体を挙げることができる。流体は、気体、液体潤滑材から選ばれるいずれか1種または2種以上の流体とすることができる。気体、液体潤滑材の供給管は別々に設けることが好ましい。流体供給管(208)から加圧供給された流体は環状通路(224)を通って筒状鋳型(201)と耐火物製板状体(210)との間の隙間に供給される。筒状鋳型(201)が耐火物製板状体(210)に面する部位に200μm以下の隙間が形成されているのが好ましい。この隙間は、合金溶湯(255)が差し込まない程度で、流体が、筒状鋳型(201)の内壁面(221)へ流出できる程度の大きさである。図2に示した形態では、環状通路(224)は筒状鋳型(201)に装着された浸透性多孔質材(222)の外周面側に対峙して穿設され、流体はかけられた圧力によって浸透性多孔質材(222)の内部に浸透して合金溶湯(255)と接触する浸透性多孔質材(222)の全面に送られ、筒状鋳型(201)の内壁面(221)に供給される。液体潤滑材は加熱されて分解気体となって、筒状鋳型(201)の内壁面(221)に供給される場合もある。
その結果、筒状鋳型(201)の浸透性多孔質面と、柱状金属溶湯(215)本体外周面及び凝固殻外周面と間の潤滑を良くすることができる。浸透性多孔質材(222)をリング状に装着することにより、より良好な潤滑効果が得られ、中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するアルミニウム合金連続鋳造棒を容易に鋳造することができる。
供給された気体、液体潤滑材、液体潤滑材の分解した気体から選ばれるいずれか1種または2種以上により、隅部空間(230)が形成される。
本発明の製造方法について説明する。
図2において、タンディッシュ(250)中の合金溶湯(255)は耐火物製板状体(210)を経て、鋳型中心軸(220)がほぼ水平になるように保持された筒状鋳型(201)に供給され、筒状鋳型(201)の出口で強制冷却されて凝固鋳塊(216)となる。凝固鋳塊(216)は筒状鋳型(201)の出口近くに設置された引出駆動装置によって一定速度で引き出されるため、連続的に鋳造されてアルミニウム合金連続鋳造棒になる。引き出されたアルミニウム合金連続鋳造棒は同調切断機によって所定の長さに切断される。
このとき、成分組成、溶湯の温度は、中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するように設定してアルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造する。これにより、柱状金属溶湯(215)の凝固界面(217)の状態が安定し、隅部空間(230)の状態が安定すると考えられ、その結果、安定した鋳造運転ができる。筒状鋳型(201)の有効モールド長Lを、中心角が30度以上の側面の表面にSiリッチ組織部を有するように設定することもできる。
タンディッシュ(250)内に貯留するアルミニウム合金の合金溶湯(255)の組成について説明する。
組成は、Siを7質量%〜14質量%(より好ましくは8質量%〜13質量%。さらに好ましくは12質量%〜13質量%。)含有、金属Caを0.003質量%以上(より好ましくは0.003質量%〜0.04質量%、さらに好ましくは0.003質量%〜0.03質量%。)含有したアルミニウム合金溶湯であるのが好ましい。他の成分としてはFeが0.1質量%〜0.5質量%、Cuが2.0質量%〜9.0質量%、Mnが0質量%〜0.5質量%、Mgが0.2質量%〜1.0質量%であるのが好ましい。
特に、Siを8質量%〜13質量%含有するものは、鋳塊中のAlとSiが微細な層状構造を構成するため、機械的特性に優れ、かつ、硬質なSiにより耐摩耗性が向上するために好ましい。
ここで、Caの合金中の含有量と添加量との関係について説明する。
不可避的に混入するCaが存在する場合、合金中の含有量として分析によって得られる値に現れるCa量は、(1)原料から不可避的に混入するCa(混入源は主に原料として使用される金属Si。)と、(2)溶湯に添加するCaとの総計である。例えば、Ca無添加の鋳塊において検出されるものは原料から不可避的に混入するCaであり、添加した場合はそれとの差分が添加したCaの量となる。
本発明では、合金中に含有されるCa量が0.003質量%以上であることが好ましい。特に、添加するCa量が0.003質量%以上であることがより好ましい。鋳塊中の添加したCa量と不可避Ca量との合計値は、0.004質量%以上が好ましく、さらに好ましいのは0.004質量%〜0.05質量%、0.005質量%〜0.05質量%であることがより好ましい。それは、Siリッチ組織部の形成が促進されると共に、鋳塊中のSi粒子が微細化するため、機械的特性が向上するからである。
不可避混入のCaは原料の金属Siに含まれた状態で混入するため、ケイ酸カルシウムの形態をしていると考えられ、一方、添加したCaは酸化物を形成することなくアルミニウム合金溶湯中に存在すると考えられるので、Siリッチ組織部の形成が促進されると共に、鋳塊中のSi粒子を微細化させるためには、添加するCa量が0.003質量%以上、より好ましくは0.003質量%〜0.03質量%であることが好ましいと考えられる。
添加するCaは純度が99.9質量%以上の金属Caであるのが好ましい。形状は粒状であるのが作業上好ましい。Ca以外の元素について一通りの成分調整が終了したのちに、粒状のCaを溶湯中に投入する。投入の際に酸化防止のためアルミ箔で包んだ状態で投入するのが好ましい。
鋳塊の合金成分の組成比は、例えば、JIS H 1305に記載されているような光電測光式発光分光分析装置(装置例:日本島津製作所製PDA−5500)による方法で確認できる。
タンディッシュ(250)内に貯留された合金溶湯(255)の液面レベル(254)の高さと、筒状鋳型(201)の上側の内壁面(221)との高さの差を0mm〜250mm(より好ましくは50mm〜170mm。)とするのが好ましい。それは、筒状鋳型(201)内に供給される合金溶湯(255)の圧力と潤滑油および潤滑油が気化したガスとが好適にバランスするために鋳造性が安定し、中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するアルミニウム合金連続鋳造棒を容易に製造できるからである。タンディッシュ(250)内の合金溶湯(255)の液面レベル(254)の高さを測定してモニターするためにレベルセンサーを設けることにより、精度良く上記差を管理して所定の値に維持することができる。
液体潤滑材は、潤滑油である植物油を用いることができる。例えば、菜種油、ひまし油、サラダ油を挙げることができる。これらは環境への悪影響が小さいので好ましい。
潤滑油供給量は0.05mL/分〜5mL/分(より好ましくは0.1mL/分〜1mL/分。)であるのが好ましい。それは、アルミニウム合金連続鋳造棒の中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部が充分に形成されるからである。供給量が過少だと、潤滑不足によって凝固鋳塊(216)のブレークアウトが発生し、供給量が過多だと、余剰分が凝固鋳塊(216)中に混入して内部欠陥となるためである。
筒状鋳型(201)から凝固鋳塊(216)を引抜く速度である鋳造速度は200mm/分〜1500mm/分(より好ましくは400mm/分〜1000mm/分。)であるのが好ましい。それは、アルミニウム合金連続鋳造棒の中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部が充分に形成され、その結果、製造条件の変動による鋳造性の悪化が起こらず、かつ、大きな冷却速度によって鋳塊組織を微細均一にすることができるからである。
冷却水シャワー装置(205)から放出される冷却水量は鋳型当り5L/分〜30L/分(より好ましくは25L/分〜30L/分。)であるのが好ましい。冷却水量が過少だと、アルミニウム合金連続鋳造棒の中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部の形成が不充分となり、その結果ブレークアウトが生じたり、凝固鋳塊(216)表面が再溶融して不均一な組織が形成され、内部欠陥として残存する恐れがある。一方、冷却水量が過多だと、筒状鋳型(201)の抜熱が大き過ぎて鋳造不可になるためである。
タンディッシュ(250)内から筒状鋳型(201)へ流入する合金溶湯(255)の平均温度は、600℃〜750℃(より好ましくは640℃〜680℃。)であるのが、アルミニウム合金連続鋳造棒の中心における角(中心角)が30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部が充分に形成されるので好ましい。合金溶湯(255)の温度が低すぎると、筒状鋳型(201)およびそれ以前で粗大な晶出物を形成して凝固鋳塊(216)内部に内部欠陥として取り込まれる。一方、合金溶湯(255)の温度が高すぎると、合金溶湯(255)中に大量の水素ガスが取り込まれ、凝固鋳塊(216)中にポロシティーとして取り込まれ、内部欠陥となるからである。
図5は本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒の製造装置501の、一例の概略構成図である。
製造装置501は、アルミニウム合金溶湯を生成する溶解炉502と、この溶解炉502内へCaを供給するCa投入装置503と、溶解炉502からアルミニウム合金溶湯が供給される、図2に示した構成の鋳造装置504と、この鋳造装置504で鋳造したアルミニウム合金連続鋳造棒101を鋳造装置504から引き出す引出駆動装置505と、鋳造装置504で鋳造したアルミニウム合金連続鋳造棒101の表面に形成されたSiリッチ組織部の範囲を検出して検出信号を出力する検出部506と、鋳造装置504で鋳造したアルミニウム合金連続鋳造棒101を組成分析してCa量測定データ信号を出力する分析部507と、予め設定された判定条件と検出部506および分析部507からの出力信号とを比較し、比較した判定信号を出力する判定部508と、この判定部508などの出力に基づき、予め設定された判定条件内になるように、各部を制御する制御部509とを有している。分析部507は省略も可能である。そして、制御部509は分散させて配置することも可能である。
なお、溶解炉502は、ヒーター(図示省略。)および温度検出器(図示省略。)を備え、ヒーターが制御部509で制御されることによって炉内の温度を所定の温度に保ち、温度検出器で炉内温度を検出して制御部509へ出力する。また、図示は省略されているが、Caを除くアルミニウム合金溶湯を生成するための金属を溶解炉502へ供給する各投入装置(図示省略。)が設けられている。そして、各投入装置およびCa投入装置503は、投入機構(図示省略。)および投入量検出器(図示省略。)を備え、各投入機構が制御部509で制御されることによって各金属を溶解炉502へ投入すると共に、その投入量を投入量検出器で検出して制御部509へ出力する。また、鋳造装置504は、潤滑手段(図示省略。)、各冷却手段(図示省略。)および各温度検出器(図示省略。)を備え、潤滑手段および各冷却手段が制御部509で制御されることによってアルミニウム合金溶湯を冷却してアルミニウム合金連続鋳造棒101とすると共に、各温度検出器でタンディッシュ内および筒状鋳型の温度を検出して制御部509へ出力する。また、引出駆動装置505は、引出速度を検出する速度検出器を備え、制御部509で制御されることによってアルミニウム合金連続鋳造棒101を鋳造装置504から引き出し、速度検出器(図示省略。)で引出速度を検出して制御部509へ出力する。
検出部506は、例えば、アルミニウム合金連続鋳造棒101のSiリッチ組織部が他の部分と表面性状が異なることに着目し、その差を検出できる検出器であれば、いずれの検出器も用いることができる。例えば、Siリッチ組織部は、その表面が光沢を有していたり、その表面のざらつき具合が異なっているので、それらを検出するため、例えば、反射率、表面粗さなどを検出する検出器を挙げることができる。特に、光学式、超音波式、静電容量式などの検出器を用いると、非接触で検出できるので好ましい。検出器は、Siリッチ組織部の範囲を検出するので、上記性状を有する検査対象のアルミニウム合金連続鋳造棒101の表面全体をカバーするか検査範囲を走査する機能を有していることが必要である。
検出部506からは、アルミニウム合金連続鋳造棒101のSiリッチ組織部の検出位置と表面性状の検出結果に対応した検出信号が出力され、判定部508へ送られる。
判定部508には、予め判定条件が設定されており、検出部506からのSiリッチ組織部に係わる検出信号と比較したり、分析部507からの分析結果、すなわち、Ca量測定データ信号と比較する。例えば、表面性状検出結果に差が生じた箇所をSiリッチ組織部と他の部分との境界と判定してSiリッチ組織部の範囲を検出する処理を施すものとすることができる。さらに、判定部508は、判定条件と検出信号を比較判定し、その比較判定した結果に基づいた鋳造条件を制御する制御信号(鋳造条件調整信号)を制御部509へフィードバックする制御機能を備えている。
上記信号処理、判定処理、条件設定処理は、アナログ信号を用いても良いし、デジタル信号で実現しても良い。
上記Siリッチ組織部の判定条件としては、上述の如くアルミニウム合金連続鋳造棒101の側面の表面の中心角30度以上に対応する範囲の反射率または表面粗さを用いることができる。
鋳造の制御対象としては、アルミニウム合金溶湯温度、鋳造速度を挙げることができる。従って、検出部506で検出した鋳造装置504で鋳造されたアルミニウム合金連続鋳造棒101の検出信号に基づいて、例えば、アルミニウム合金溶湯温度を上げることで、光沢部を有する部分の範囲を広くすることができる。その理由は、アルミニウム合金溶湯温度と凝固温度との温度差が凝固状態に差を与え、その結果、光沢部の形成を制御できるからと推定される。鋳造速度にも同様の作用があるものと推定される。アルミニウム合金溶湯温度は、溶解炉502の加熱温度、タンディッシュへの供給途中の保温加熱、タンディッシュでの保温加熱などを制御することで調整できる。鋳造速度は、鋳型の強制冷却、冷却水シャワー装置からの冷却水量、引出駆動装置505の引抜き速度、アルミニウム合金溶湯温度を調整できる装置を用いて調整できる。
鋳造の制御対象に、さらにCa添加量を加えると、鋳造条件の設定の自由度が増すので好ましい。なお、Caを添加する手段としては、図5に示すように、溶解炉502へ原材料を投入する各投入装置(図示省略。)にCa投入装置503を併設することにより、原材料とCaの投入量を組み合わせて容易に制御することができる。そしてその作用は、Ca添加により凝固温度が下がり、溶湯温度と凝固温度との温度差を変えられるので凝固状態に差を与えることができ、その結果、光沢部の形成を制御できるからと推定される。タンディッシュに直接Caを添加しても、同様に効果は得られる。
より精度良くCa添加量を管理するために、鋳造品を組成分析して得られたCa量測定結果のデータを判定部508へ転送する分析部507を設け、Siリッチ組織部の範囲の判定結果とCa添加量のデータを基にして、溶湯温度、鋳造速度、Ca添加量を制御するのが好ましい。Ca添加量を確実に0.003質量%以上としてSiリッチ組織部の範囲を制御することができるからである。
組成分析法としては、Caの検出ができるものであれば良く、鋳造直後の表面から分析できるもの、または、試料を取り出してオフラインで測定するものでも良い。測定時間が1時間以内のものであるものが好ましい。Ca量測定には、例えば、発光分光分析法を挙げることができる。
本装置を用いると、中心における角(中心角)が少なくとも30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するアルミニウム合金連続鋳造棒を、容易に製造することができる。
そして、アルミニウム合金連続鋳造棒の上部表面に形成されるSiリッチ組織部が焼き付き、ブレークアウトを抑制することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒を安定して製造することができる。
また、本装置を用いたアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法は、溶湯温度と凝固温度との温度差を制御することにより、または、溶湯温度と凝固温度との温度差と、筒状鋳型から引き出すアルミニウム合金連続鋳造棒の引出速度を制御することにより、中心角が少なくとも30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するアルミニウム合金連続鋳造棒を、容易に製造することができる。
そして、アルミニウム合金連続鋳造棒の上部表面に形成されるSiリッチ組織部が焼き付き、ブレークアウトを抑制することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒を安定して製造することができる。
次に、この発明の実施例について説明するが、この発明は実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜実施例4〕
12質量%のSiを含有するアルミニウム合金に金属Caを0.003質量%(実施例1)、0.006質量%(実施例2)、0.01質量%(実施例3)、0.03質量%(実施例4)添加した合金溶湯を、図2に示した装置を用いて、直径30mmのビレットに水平連続鋳造した。浸透性多孔質鋳型には通気率0.01〔L/(cm2×min)〕の黒鉛を用いた。鋳造条件を次に示す。
(1)タンディッシュ内溶湯レベルと鋳型内壁上面とのレベル差:150mm
(2)潤滑油:菜種油
(3)潤滑油供給量:0.2mL/分
(4)鋳造速度:900mm/分
(5)冷却水供給量:25L/分
(6)タンディッシュ内溶湯温度平均:660℃
〔比較例1〕
金属Caの添加を行わない以外は実施例1と同一条件で水平連続鋳造を実施した。
実施例1〜実施例4と比較例1について、図6に、横軸を運転時間とし、縦軸に鋳造トラブル頻度(30分単位中のトラブル発生回数。)の状態を示した。鋳造トラブルとは、ブレークアウトやチギレによる鋳造運転の停止を示し、鋳造運転停止後にはただちに鋳型を交換し再スタートした。
図6において、折れ線(丸白抜きの折れ線)6Aは実施例1、折れ線(三角白抜きの折れ線)6Bは実施例2、折れ線(四角白抜きの折れ線)6Cは実施例3、折れ線(アスタリスクの折れ線)6Dは実施例4、折れ線(黒丸の折れ線)6Eは比較例1を示す。
実施例1〜実施例4は各々実操業ののべ100回の運転において、鋳造状態が安定し、合金溶湯の吹き出しやちぎれなどの操業トラブルの発生を低減することができた。得られたアルミニウム合金連続鋳造棒は外周面の上部に強い金属光沢を有する部分を含む極めて平滑な鋳肌を呈し、鋳塊内部には空洞欠陥が存在していなかった。
この金属光沢部について、その組織を観察したところ、面積占有率にして50%未満の初晶α−Alを含有する微細Si組織を呈していることが分かった。
比較例1の鋳造では、実操業ののべ100回の運転において、鋳造状態は不安定であり、また、鋳肌の表面状態に変動があった。アルミニウム合金連続鋳造棒の鋳型内面への焼き付きやアルミニウム合金連続鋳造棒のちぎれ、あるいは、ちぎれによる鋳型からの合金溶湯の吹き出しが発生し、その度運転を停止して、潤滑油供給量、鋳造速度の少なくとも片方の調整を行う必要があり、生産効率が悪かった。また、得られたアルミニウム合金連続鋳造棒の表面を肉眼で観察したところ、上面の鋳肌には周期的なうろこ状模様、下面の鋳肌には大小の焼き付きが観察され、表面の異常状態が鋳塊内部深くまで影響していた。
実施例1〜実施例4と比較例1について、合金の組成の分析結果を表1に、Siリッチ組織部の測定結果を表2、表3に示す。
Figure 0004648968
Figure 0004648968
Figure 0004648968
〔実施例5〜実施例8〕
12質量%のSi、4質量%のCu、0.5質量%のMgを含有するアルミニウム合金に金属Caを0.003質量%(実施例5)、0.006質量%(実施例6)、0.01質量%(実施例7)、0.03質量%(実施例8)添加した溶湯を、図2に示した装置を用いて、直径50mmのビレットに水平連続鋳造した。浸透性多孔質鋳型には通気率0.01〔L/(cm2×min)〕の黒鉛を用いた。鋳造条件を次に示す。
(1)タンディッシュ内溶湯レベルと鋳型内壁上面とのレベル差:170mm
(2)潤滑油:菜種油
(3)潤滑油供給量:0.3mL/分
(4)鋳造速度:900mm/分
(5)冷却水供給量:30L/分
(6)タンディッシュ内溶湯温度平均:660℃
〔比較例2〕
金属Caの添加を行わない以外は実施例5と同一条件で水平連続鋳造を実施した。
実施例5〜実施例8と比較例2について、図7に、横軸を運転時間とし、縦軸に鋳造トラブル頻度の状態を示した。
図7において、折れ線(丸白抜きの折れ線)7Aは実施例5、折れ線(三角白抜きの折れ線)7Bは実施例6、折れ線(四角白抜きの折れ線)7Cは実施例7、折れ線(アスタリスクの折れ線)7Dは実施例8、折れ線(黒丸の折れ線)7Eは比較例2を示す。
実施例5〜実施例8での連続鋳造結果は実施例1と同様に鋳造欠陥の激減した良好なものであった。のべ100回の鋳造において鋳造状態が極めて安定し、合金溶湯の吹き出しやちぎれなどの操業トラブルを低減することができた。
また、鋳肌上面に形成される強い金属光沢を有する部分について硬度の測定を行った。金属Caを添加した実施例5〜実施例8の鋳塊表面の硬度は、添加しない比較例2のものに比べて相対的に高くなっていた。また、金属Caを添加したものに見られた金属光沢部の硬度は、その他の部分と比較して高く、これが鋳型上方の潤滑過多による冷却不十分な部分に形成されることにより、鋳塊上部からの吹き出しを抑制できたと考えられる。
この金属光沢部について、その組織を観察したところ、面積占有率にして50%未満の初晶α−Alを含有する微細Si組織を呈していることが分かった。
これに対し、比較例2の鋳造ではのべ100回の鋳造において、鋳造状態は不安定であり、また、鋳肌の表面状態に変動があった。アルミニウム合金連続鋳造棒の鋳型内面への焼き付きや鋳造棒のちぎれ、あるいは、ちぎれによる鋳型からの合金溶湯の吹き出しが発生し、その度運転を停止して、潤滑油供給量、鋳造速度の少なくとも片方の調整を行う必要があり、生産効率が悪かった。比較例2の金属Ca無添加のものについては、上面の鋳肌は周期的なうろこ状模様を呈し、その組織はSiリッチ組織は確認できず、鋳塊内部の組織と差異のないものであった。
実施例5〜実施例8と比較例2について、合金の組成の分析結果を表1に、Siリッチ組織部の測定結果を表2、表3に示す。
実施例1〜実施例8の微細Si組織に含まれるSi粒子の平均粒径の測定結果を表4に示す。
Figure 0004648968
〔実施例9〜実施例12〕
通気度が、0.008〔L/(cm2×min)〕(実施例9)、0.012〔L/(cm2×min)〕(実施例10)、0.001〔L/(cm2×min)〕(実施例11)、0.1〔L/(cm2×min)〕(実施例12)である浸透性多孔質材を用いた以外は実施例5と同一条件で水平連続鋳造を実施した。
実施例9、実施例10は実施例5と同等の結果を得られた。実施例11では、運転を停止するトラブルの急増はなかったが、潤滑効果が不充分となり、鋳肌表面に焼き付きが発生したり、鋳塊が千切れたり、運転が不安定となる傾向があった。実施例12では、運転を停止するトラブルの急増はなかったが、潤滑油が過多状態となり、冷却不十分による湯抜けや、鋳肌や鋳塊内部への介在物の巻き込みが発生し、運転が不安定となる傾向があった。
以上述べた実施形態では、(1)中心軸がほぼ水平に保持され、強制冷却手段を有した筒状鋳型を用いる水平連続鋳造法で製造されるアルミニウム合金連続鋳造棒であって、中心角が少なくとも30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するようにした。
また、(2)上記(1)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒において、Siリッチ組織部が、半径方向断面の元素分布において面積占有率で50%未満の初晶α−Alを含有する微細Si組織とするようにした。
(3)上記(2)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒において、微細Si組織に含まれるSi粒子の平均粒径が0.1μm〜5μmとした。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒において、Siを7質量%〜14質量%含有するようにした。
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒において、Caを少なくとも0.003質量%以上含有するようにした。
(6)上記(2)乃至(5)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒において、表面粗さRmaxが50μm以下であって表面に鋳造後のピーリング工程によるツールマーク欠陥が残らないようにした。
(7)アルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、中心軸がほぼ水平に保持され、強制冷却手段を有した筒状鋳型を用いるアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法であって、溶湯温度と凝固温度との温度差を制御することにより、中心角が少なくとも30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するアルミニウム合金連続鋳造棒を、製造するようにした。
(8)アルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、中心軸がほぼ水平に保持され、強制冷却手段を有した筒状鋳型を用いるアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法であって、溶湯温度と凝固温度との温度差と、筒状鋳型から引き出すアルミニウム合金連続鋳造棒の引出速度を制御することにより、中心角が少なくとも30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するアルミニウム合金連続鋳造棒を、製造するようにした。
(9)上記(7)または(8)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、Siを7質量%〜14質量%、Caを少なくとも0.003質量%以上含有するアルミニウム合金溶湯を原料とし、鋳造条件の鋳造速度を200mm/min〜1500mm/min、筒状鋳型に流入するアルミニウム合金溶湯の温度をそのアルミニウム合金の液相線以上とし、材質がAl、Cuもしくはそれらの合金から選ばれる1種または2種以上の組み合わせであって、15mm〜70mmの有効モールド長を有する筒状鋳型を用いるようにした。
(10)上記(9)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、アルミニウム合金溶湯が、Caを少なくとも0.003質量%以上添加したものである。
(11)上記(10)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、添加するCaが、純度99.9質量%以上の金属Caであるようにした。
(12)上記(8)乃至(11)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、アルミニウム合金溶湯と接触する内面に、通気度が0.005〔L/(cm2×min)〕〜0.03〔L/(cm2×min)〕である浸透性多孔質材が、リング状に装着してある筒状鋳型を用いるようにしている。
(13)上記(12)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法において、有効モールド長のうち5mm〜15mmに浸透性多孔質材が装着されている筒状鋳型を用いるようにした。
(14)アルミニウム合金連続鋳造棒の製造装置において、溶解炉から供給されるアルミニウム合金溶湯を、筒状鋳型および冷却手段を備えた鋳造部で凝固鋳塊とした後、この凝固鋳塊を筒状鋳型から引出駆動部でほぼ水平に引き出してアルミニウム合金連続鋳造棒を製造するアルミニウム合金連続鋳造棒の製造装置において、筒状鋳型から引き出したアルミニウム合金連続鋳造棒に形成されたSiリッチ組織部の範囲を検出する検出部と、この検出部からの検出信号と予め設定された判定条件とを比較して判定する判定部と、この判定部からの判定信号に基づき、検出部からの検出信号が予め設定された判定条件内になるように溶解炉の溶湯温度、鋳造部の冷却手段、引出駆動部の引出速度を制御する制御部とを設けるようにしている。
(15)上記(14)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造装置において、判定部からの判定信号に基づき、検出部からの検出信号が予め設定された判定条件内になるように制御部によって制御されるCa投入部を設けるようにした。
また、(16)上記(15)に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造装置において、鋳造したアルミニウム合金連続鋳造棒を組成分析して得られたCa量測定データ信号を判定部へ出力する分析部を設け、制御部は、Ca量測定データ信号と予め設定された判定条件とを比較した判定部からの判定信号に基づき、Ca量が予め設定された判定条件内になるようにCa投入部を制御するようにした。
本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒の説明図であり、(a)はアルミニウム合金連続鋳造棒の外観概略図、(b)はアルミニウム合金連続鋳造棒の半径方向の断面概略図である。 本発明の製造方法に用いる製造装置の一例の要部概略断面図である。 本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒のSiリッチ組織の説明図であり、(a)はアルミニウム合金連続鋳造棒の半径方向の断面からの試料片採取の説明図、(b)は試料片の元素分布図像の一例を示す拡大模式図、(c)は試料片の元素分布図像の他の例を示す拡大模式図である。 図2の製造装置における筒状鋳型の有効モールド長の説明図である。 本発明に係るアルミニウム合金連続鋳造棒の製造装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施例1〜実施例4のデータを示すグラフ図である。 本発明の実施例5〜実施例8のデータを示すグラフ図である。
符号の説明
101 アルミニウム合金連続鋳造棒
102 アルミニウム合金連続鋳造棒の中心
103 中心角
104 Siリッチ組織部
201 筒状鋳型
202 冷却水
203 冷却水供給管
204 鋳型冷却水キャビティ
205 冷却水シャワー装置
208 流体供給管
210 耐火物製板状体
211 注湯口
213 Oリング
215 柱状金属溶湯
216 凝固鋳塊
217 凝固界面
220 鋳型中心軸
221 筒状鋳型の内壁面
222 浸透性多孔質材
224 環状通路
230 隅部空間
250 タンディッシュ
251 溶湯流入部
252 溶湯保持部
253 筒状鋳型への流出部
254 合金溶湯の液面レベル
255 合金溶湯
302 Siリッチ組織部の厚さ
303 初晶α−Al
304 Si粒子
306 試料用小片
501 製造装置
502 溶解炉
503 Ca投入装置
504 鋳造装置
505 引出駆動装置
506 検出部
507 分析部
508 判定部
509 制御部
L 有効モールド長

Claims (6)

  1. 中心軸がほぼ水平に保持され、強制冷却手段を有した筒状鋳型を用いるアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法であって、
    前記筒状鋳型の上方の部分に対応した部分に、中心角が少なくとも30度以上の側面の表面に厚さ18μm以上のSiリッチ組織部を有するように、および、このSiリッチ組織部が、半径方向断面の元素分布において面積占有率にして50%未満の初晶α−Alを含有する微細Si組織となるように、溶湯温度と凝固温度との温度差と、筒状鋳型から引き出すアルミニウム合金連続鋳造棒の引出速度を制御し、かつ、原料から不可避的に混入するCaと添加するCaとの総計で少なくとも0.003質量%以上となるようにアルミニウム合金溶湯中のCa含有量を制御してアルミニウム合金連続鋳造棒を製造する、
    ことを特徴とするアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
  2. アルミニウム合金溶湯は、Siを7質量%〜14質量%含有し、
    鋳造条件の鋳造速度を200mm/min〜1500mm/min、筒状鋳型に流入するアルミニウム合金溶湯の温度をそのアルミニウ合金の液相線以上とし、
    材質がAl、Cuもしくはそれらの合金から選ばれる1種または2種以上の組み合わせであって、15mm〜70mmの有効モールド長を有する筒状鋳型を用いることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
  3. 前記微細Si組織に含まれるSi粒子の平均粒径が0.1μm〜5μmとなるようにすることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
  4. 添加するCaが、純度99.9質量%以上の金属Caであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
  5. アルミニウム合金溶湯と接触する内面に、通気度が0.005〔L/(cm2×min)〕〜0.03〔L/(cm2×min)〕である浸透性多孔質材が、リング状に装着してある筒状鋳型を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
  6. 有効モールド長のうち5mm〜15mmに浸透性多孔質材が装着されている筒状鋳型を用いることを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム合金連続鋳造棒の製造方法。
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