JP2011172344A - 地上設置型変圧器装置 - Google Patents

Abstract

【課題】外箱の換気口にルーバーが取り付けられた地上設置型変圧器装置において、ルーバーの羽板の間の隙間から外箱内に異物が挿入されるのを防止する。
【解決手段】表面から羽板を斜め下方に突出させた第１及び第２のルーバーエレメント２１及び２１′を設けて、これらのルーバーエレメントの裏面同士を重ね合せることによりルーバー２０を構成する。第１及び第２のルーバーエレメントのそれぞれの通気口２１ａ及び２１ａ′並びに羽板２１ｂ及び２１ｂ′を上下方向に相対的に位置をずらして設けることにより、外箱の外側に向けられた第１のルーバーエレメント２１の隣り合う羽板の間に形成された各隙間Ｇが、第２のルーバーエレメント２１′の羽板により、外箱内に収容された電気機器から隠されるようにした。
【選択図】 図３

Description

本発明は、歩道上等に設置される地上設置型変圧器装置に関するものである。

地上設置型変圧器装置は、外箱内に配電用変圧器を含む電気機器を収容した構造を有して、歩道の路肩等に設置される。外箱内に収容された変圧器は、運転に伴って熱を生じるため、外箱の外壁には外箱内の熱気を外部に排出し、外部の冷気を外箱内に流入させるための換気口が設けられる。通行人が換気口を通して外箱内の機器に手を触れたり、換気口を通して外箱内に異物が侵入したりするのを防止するため、換気口には、ルーバー（ガラリとも呼ばれる。）が取り付けられる。

図４及び図５は、地上設置型変圧器装置に広く用いられているルーバー１を示している。このルーバーは、四角形状の金属板２からなっていて、該金属板を貫通させて上下方向に沿って並ぶ複数の横長の通気口３，３，…（図５参照）が形成され、これらの通気口３，３，…をそれぞれ隠すように、通気口３，３，…にそれぞれ対応する複数の羽板４，４，…が形成されている。

各羽板４は、対応する通気口３の上下の縁部３ａ，３ｂの内の上側の縁部３ａに基端部を一体化した状態で設けられていて、金属板２の一面から斜め下方に突出するように折曲げ成形されている。

図示のルーバー１は、その金属板２の周辺部を、図示しない地上設置型変圧器装置の外箱の外壁に設けられた四角形の通気口の周辺部に当接させた状態で配置されて、外箱の外壁にネジ止めされる。

図４及び図５に示したルーバー１は、比較的大きな物が外箱内に侵入するのを防ぐ機能は有するが、図５に示したように、隣り合う羽板４，４の間の隙間を通して棒５のような細い異物が挿入された場合には、その異物が外箱内に侵入するのを阻止することができない。従って、上記のようなルーバが換気口に取り付けられた地上設置型変圧器装置を歩道上に設置した場合、隣り合う羽板４，４の間の隙間を通して棒５等の異物を外箱内に差し込むいたずらがされて、感電事故が発生したり、地絡事故が発生したりするおそれがある。異物の挿入を不可能にするために、ルーバーに設ける通気口を十分に小さくすることが考えられるが、異物の侵入を不可能にする程度まで通気口を小さくすると、外箱内の換気を効率よく行うことができなくなるため、外箱内の温度が上昇し、変圧器装置の運転に支障を来す。

そこで、特許文献１に示されているように、外箱外に配置される入口側の傾斜板と外箱内に配置される出口側の傾斜板とを有する多数の山形の（逆Ｖ字形の）羽板を上下方向に並べて配置して連結支持部材により連結した構造を有するルーバーを用いて、隣り合う山形の羽板相互間の位置関係を適宜に設定することにより、外箱内への異物の挿入を阻止するようにした地上設置型変圧器装置が提案されている。

特開２００３−２７４５２３号公報

特許文献１に示された地上設置型変圧器装置においては、換気口に取り付けるルーバーに、多数の山形の羽板を上下に並べて連結した構造を持たせる必要があるため、ルーバーの構造が複雑になるだけでなく、山形の羽板と連結部材とを連結するために溶接が必要になって、ルーバーの製造コストが高くなるのを避けられなかった。

本発明の目的は、コストの上昇を伴うことなく、外箱内への異物の挿入を確実に防ぐ機能を持たせることができるようにした地上設置型変圧器装置を提供することにある。

本発明は、変圧器を含む電気機器を外箱内に収容した構造を有して、外箱の外壁に設けられた換気口にルーバーが取り付けられた地上設置型変圧器装置を対象とする。

本発明においては、上記ルーバーが、金属板を貫通した複数の横長の通気口と、前記複数の通気口のそれぞれの上側の縁部に基端部が一体化された状態で設けられて前記金属板の表面から斜め下方に突出した複数の横長の羽板とを有して、複数の通気口及び羽板が上下方向に並ぶように構成された第１及び第２のルーバーエレメントを備えている。

第１のルーバーエレメント及び第２のルーバーエレメントは、それぞれの表面を外箱の外側及び内側に向け、かつそれぞれの裏面同士を重ね合せた状態で配置されて、該第１及び第２のルーバーエレメントを構成する金属板の周辺部が換気口の周辺部に固定されている。第１及び第２のルーバーエレメントのそれぞれの複数の羽板は、それぞれの基端部の位置を上下方向に相対的にずらした状態で設けられていて、第１のルーバーエレメントの隣り合う羽板の間に形成された各隙間が第２のルーバーエレメントの何れかの羽板により外箱内に収容された電気機器から隠されるように構成されている。

上記のように構成すると、外側に配置された第１のルーバーエレメントの隣り合う羽板の間に形成された各隙間が、内側に配置された第２のルーバーエレメントの羽板により外箱内の電気機器から隠されるため、第１のルーバーエレメントの羽板の間の隙間を通して外箱内に棒などの異物が挿入されるのを防ぐことができ、地上設置型変圧器装置の異物の侵入に対する保護等級を向上させることができる。

上記の各ルーバーエレメントは、金属板に羽板を一体に形成しただけの簡単な構造を有するため、低コストで製作することができる。従って本発明によれば、コストの上昇を伴うことなく、地上設置型変圧器装置の外箱に異物の侵入を阻止する機能を持たせることができる。

上記第１及び第２のルーバーエレメントの各羽板は、それぞれのルーバーを構成する金属板の一部をカットすることにより形成された横長のＵ字形の切り込みの内側の部分を斜めに折曲げることにより形成するのが好ましい。

上記のように羽板を設けると、各ルーバーエレメントをプレス加工により簡単に製造することができるため、各ルーバーエレメントを低コストで製造することができる。

上記第１及び第２のルーバーエレメントは、それぞれを構成する金属板の周辺部をネジで共締めした状態で換気口の周縁部に締結することにより外箱の外壁に固定することができる。

本発明によれば、外箱の換気口に取り付けるルーバーを、表面から斜め下方に突出した複数の羽板を有する第１及び第２のルーバーエレメントにより構成して、第１及び第２のルーバーエレメントの表面をそれぞれ外箱の外側及び内側に向けた状態で両ルーバーエレメントの裏面同士を重ね合わせ、かつ両ルーバーエレメントの羽板の基端部の位置を上下に相対的にずらしておくことにより、外側に配置される第１のルーバーエレメントの羽板の間の各隙間を第２のルーバーエレメントの羽板により外箱内の電気機器から隠す構造としたので、ルーバーの構造を複雑にすることなく、外箱内に棒等の異物が挿入されるおそれを無くすことができる。

本発明で用いるルーバーエレメントは、金属板を貫通した各通気口の縁部から羽板を突出させただけの簡単な構造を有していて、プレス加工により簡単に製造することができる。従って、本発明によれば、コストの上昇を招くことなく、異物の侵入に対する保護等級を向上させた地上設置型変圧器装置を得ることができる。

本発明の一実施形態に係わる地上設置型変圧器装置の外観を示す斜視図である。 （Ａ）は同実施形態で用いるルーバーの正面図、（Ｂ）は、同図（Ａ）の側面図である。 図２（Ａ）のＢ−Ｂ線に沿って断面して示した要部の拡大断面図である。 （Ａ）は従来の地上設置型変圧器装置で用いられていたルーバーの正面図、（Ｂ）は、同図（Ａ）の側面図である。 図４（Ａ）のＢ′−Ｂ′線に沿って断面して示した要部の拡大断面図である。

図１ないし図３を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図１は、本実施形態に係わる地上設置型変圧器装置の外観を示したもので、同図において、１０は幅方向に相対する一対の側壁１０ａ，１０ｂと、長手方向に相対する側壁１０ｃ，１０ｄと、天井壁１０ｅと、底壁１０ｆとからなる外壁を備えた直方体状の外箱である。外箱１０の外壁は鋼板等の金属板からなっていて、その内部には、配電用変圧器とその付属機器とを含む電気機器が収容されている。外箱１０の一つの側壁１０ａには、４個の四角形の換気口１１，１１，…が、それぞれの中心を四角形の頂点に位置させた状態で上下左右に並べて形成されている。また側壁１０ａに隣接する他の一つの側壁１０ｃには、同じく四角形に形成された他の２つの換気口１１（図示せず。）が上下に並べて形成されている。各換気口１１は、外箱１０内に収容された変圧器の側方に位置するように設けられ、各換気口には、外箱内の電気機器を隠した状態で外箱内の換気を行わせるために、ルーバー２０が取り付けられている。外箱１０と、その内部に収容された電気機器とにより地上設置型変圧器装置３０が構成されている。

外箱１０の天井壁１０ｅには、４つの吊り金具取付け用のボルト孔１０ｇが形成され、これらのボルト孔１０ｇに、変圧器装置を運搬する際に用いる吊り金具を取り付けることができるようになっている。変圧器装置を設置した後は、各ボルト孔１０ｇにボルトがねじ込まれて、このボルトにより各ボルト孔１０ｇが閉じられる。

図２及び図３に示されているように、本実施形態の変圧器装置で用いるルーバー２０は、第１のルーバーエレメント２１と、第２のルーバーエレメント２１′とからなっている。第１のルーバーエレメント２１及び第２のルーバーエレメント２１′は、換気口１１よりも大きい寸法を有する四角形の金属板２３及び２３′からなっていて、互いに重ね合わされた状態でそれぞれの板面を鉛直方向に向けて換気口１１に取り付けられる。

更に詳細に説明すると、第１のルーバーエレメント２１を構成する金属板２３には、該金属板を厚み方向に貫通した複数の横長の通気口２１ａ，２１ａ，…と、これらの通気口にそれぞれ対応する複数の横長の羽板２１ｂ，２１ｂ，…とが設けられている。各通気口２１ａは横方向に長い長方形のスリットの形状を呈するように形成され、各通気口２１ａに対応する羽板２１ｂは、対応する通気口２１ａの上下の縁部２１a1，２１a2のうちの上側の縁部２１a1に基端部を一体化した状態で、金属板２３の表面２３Ａから斜め下方に突出するように設けられている。各羽板２１ｂは、対応する通気口２１ａと同様に横長の長方形の帯板状の形状を有するように形成されていて、複数の通気口２１ａ，２１ａ，…とこれらの通気口に対応する羽板２１ｂ，２１ｂ、…とが、上下に２列に並ぶように設けられている。

第２のルーバーエレメント２１′も、換気口１１よりも大きい寸法を有する四角形の金属板２３′からなっていて、その板面を鉛直方向に向けた状態で換気口に取り付けられる。金属板２３′には、該金属板を厚み方向に貫通した複数の横長の通気口２１ａ′，２１ａ′，…と、これらの通気口にそれぞれ対応する複数の横長の羽板２１ｂ′，２１ｂ′，…とが設けられている。

各通気口２１ａ′は、横方向に長い長方形のスリットの形状を呈するように形成され、各通気口２１ａ′に対応する羽板２１ｂ′は、対応する通気口２１ａ′の上下の縁部２１a1′，２１a2′のうちの上側の縁部２１a1′に基端部を一体化した状態で、金属板２３′の表面２３Ａ′から斜め下方に突出するように設けられている。各羽板２１ｂ′は、対応する通気口２１ａ′と同様に横長の長方形の形状を有するように形成されていて、複数の通気口２１ａ′，２１ａ′，…とこれらの通気口に対応する羽板２１ｂ′，２１ｂ′、…とが、上下に２列に並ぶように設けられている。

第１及び第２のルーバーエレメント２１及び２１′は、それぞれの金属板の表面２３Ａ及び２３Ａ′をそれぞれ外箱１０の外側及び内側に向け、かつそれぞれの裏面同士を重ね合せた状態で配置され、両ルーバーエレメントを構成する金属板２３及び２３′の周辺部が対応する換気口１１の周辺部に固定される。

第１及び第２のルーバーエレメント２１及び２１′は、それぞれの外周縁（金属板２３及び２３′の外周縁）を一致させて両ルーバーエレメントの裏面を重ね合せた状態にしたときに、それぞれの通気口２１ａ及び２１ａ′の上縁部２１a1及び２１a1′が上下方向に相対的にずれた位置に配置されるとともに、それぞれの羽板２１ｂ及び２１ｂ′の基端部が上下方向に相対的にずれた位置に配置されるように構成されていて、第１のルーバーエレメント２１の隣り合う羽板の間に形成された各隙間Ｇが、第２のルーバーエレメント２１′の何れかの羽板により、外箱１０内に収容された電気機器から完全に隠されるように、両ルーバーエレメントの通気口２１ａ，２１ａ′同士及び羽板２１ｂ，２１ｂ′同士の位置ずれ量が設定されている。

第１及び第２のルーバーエレメント２１及び２１′は、通気口及び羽板が上下方向に相対的に位置をずらした状態で設けられている点を除き、同様に構成されている。

第１及び第２のルーバーエレメント２１及び２１′の各羽板は、それぞれのルーバーエレメントを構成する金属板２３及び２３′の一部をカットして多数の横長のＵ字形の切り込みを形成する工程と、これらの切り込みの内側の部分を斜めに折り曲げて羽板と通気口とを同時に形成する工程とをプレス加工機により行うことにより容易に製作することができる。各通気口２１ａ及び２１ａ′は、対応する羽板２１ｂ及び２１ｂ′を折曲げた跡に自動的に形成される。

第１及び第２のルーバーエレメント２１及び２１′をそれぞれ構成する金属板の周辺部には互いに整合する取付け孔２５及び２５′が多数形成されている。第１及び第２のルーバーエレメント２１及び２１′は、各取付け孔２５及び２５′に挿入されたネジにより、それぞれの周辺部を共締めした状態で換気口１１の周辺部に締結される。

上記のように構成すると、羽板２１ｂが外側を向くように配置された第１のルーバーエレメント２１の隣り合う羽板２１ｂ，２１ｂ相互間の隙間Ｇが、内側の第２のルーバーエレメント２１′の羽板２１ｂ′により、外箱内の電気機器から完全に隠されるため、第１のルーバーエレメント２１の隣り合う羽板相互間の隙間Ｇを通して棒５等の異物が挿入されたときに、その異物の挿入方向がいかなる方向であっても、当該異物が外箱内に侵入するのを阻止することができる。

従って、本発明によれば、第１のルーバーエレメント２１の羽板の間の隙間Ｇを通して外箱内に棒などの異物が挿入されるのを防ぐことができ、外箱内へ異物の挿入により地絡事故が発生したり、感電事故が発生したりするのを防ぐことができる。

本発明で用いるルーバーエレメント２１及び２１′は、金属板を貫通した各通気口の縁部から羽板を突出させただけの簡単な構造を有し、プレス加工により簡単に製造することができる。従って、本発明によれば、コストの上昇を招くことなく、異物の侵入に対する保護等級を向上させた地上設置型変圧器装置を得ることができる。

本発明において、外箱に設ける換気口の数は任意であり、上記実施形態に示した例に限定されない。

また本発明において、各ルーバーに設ける通気口及び羽板の数は任意である。上記の実施形態では、多数の通気口及び羽板を上下に２列に並べて設けているが、通気口及び羽板の配列の仕方は任意である。例えば、多数の通気口及び羽板を上下に一列に並べた状態で設けたり、多数の通気口及び羽板を３列以上に並べて設けたりすることもできる。

図１に示した例では、各ルーバー２０を外箱の外側から各換気口に取り付けているが、各ルーバーを外箱の内側から各換気口に取り付けるようにしてもよい。

１０ 外箱
１１ 換気口
２０ ルーバー
２１ 第１のルーバーエレメント
２１ａ 第１のルーバーエレメントの通気口
２１ｂ 第１のルーバーエレメントの羽板
２１′ 第２のルーバーエレメント
２１ａ′ 第２のルーバーエレメントの通気口
２１ｂ′ 第２のルーバーエレメントの羽板
２３ 第１のルーバーエレメントを構成する金属板
２３′ 第２のルーバーエレメントを構成する金属板

Claims (3)

1. 変圧器を含む電気機器を外箱内に収容した構造を有して、前記外箱の外壁に換気口が設けられ、前記換気口にルーバーが取り付けられた地上設置型変圧器装置において、
   前記ルーバーは、金属板を貫通した複数の横長の通気口と、前記複数の通気口のそれぞれの上側の縁部に基端部が一体化された状態で設けられて前記金属板の表面から斜め下方に突出した複数の横長の羽板とを有して、前記複数の通気口及び羽板が上下方向に並ぶように構成された第１及び第２のルーバーエレメントを備え、
   前記第１のルーバーエレメント及び第２のルーバーエレメントは、それぞれの表面を前記外箱の外側及び内側に向け、かつそれぞれの裏面同士を重ね合せた状態で配置されて、該第１及び第２のルーバーエレメントを構成する金属板の周辺部が前記換気口の周辺部に固定され、
   前記第１及び第２のルーバーエレメントのそれぞれの複数の羽板は、それぞれの基端部の位置を上下方向に相対的にずらした状態で設けられていて、前記第１のルーバーエレメントの隣り合う羽板の間に形成された各隙間が前記第２のルーバーエレメントの何れかの羽板により前記外箱内に収容された電気機器から隠されるように構成されていること、
   を特徴とする地上設置型変圧器装置。
2. 前記第１及び第２のルーバーエレメントの各羽板は、それぞれのルーバーエレメントを構成する金属板の一部をカットすることにより形成された横長のＵ字形の切り込みの内側の部分を斜めに折り曲げることにより形成されていることを特徴とする請求項１に記載の地上設置型変圧器装置。
3. 前記第１及び第２のルーバーエレメントは、それぞれを構成する金属板の周辺部がネジで共締めされた状態で前記換気口の周縁部に締結されている請求項１または２に記載の地上設置型変圧器装置。

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