JP2011169804A - 熱可塑性樹脂成形品の一定歪下でのクリープ破壊寿命の測定方法及び予測方法 - Google Patents
熱可塑性樹脂成形品の一定歪下でのクリープ破壊寿命の測定方法及び予測方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ノッチを有する熱可塑性樹脂の試験片を用いて一定歪下でのクリープ破壊試験を行い、取得された歪量とクリープ破壊時間のデータから、歪量とクリープ破壊時間の相関に関する寿命曲線を導出し、熱可塑性樹脂成形品の歪量を実測することにより寿命曲線から熱可塑性樹脂成形品のクリープ破壊寿命を予測する。
【選択図】図1
Description
1)ノッチを有する熱可塑性樹脂の試験片に一定歪を与え、クリープ破壊寿命を予測する温度条件下において、2点以上の歪量についてクリープ破壊寿命を測定する手順、
2)手順1)で得られた歪量とクリープ破壊寿命のデータから、前記熱可塑性樹脂成形品の寿命曲線を導出する手順、
3)前記熱可塑性樹脂成形品の歪量を測定する手順、及び、
4)手順3)で測定された前記熱可塑性樹脂成形品の歪量と、前記寿命曲線とから、前記熱可塑性樹脂成形品のクリープ破壊寿命の推定値を読み取る手順。
本発明において、クリープ破壊寿命の測定及び予測の対象となる熱可塑性樹脂成形品について、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂組成物、成形品の製造方法について順に説明する。
本発明において、クリープ破壊寿命の測定及び予測の対象となる成形品の製造に使用される熱可塑性樹脂は特に制限されず、従来、種々の製品の製造に使用されている熱可塑性樹脂から適宜選択される。好適な熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等の芳香族ジカルボン酸とジオール等からなる芳香族ポリエステル;ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル;ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、MXDナイロン等のポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂(ホモ又はコポリマー);ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリアクリロニトリル;環状オレフィン系樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリカーボネート;AS樹脂;ABS樹脂;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリビフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン等のポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(4,4′−ビスフェノールエーテルスルホン)等のポリスルホン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;液晶性ポリマー;フッ素樹脂等を挙げることができる。またこれらの熱可塑性樹脂は2種以上混合して使用することができる。
ポリアセタール樹脂には、オキシメチレン基(−CH2O−)を構成単位とするポリアセタールホモポリマー、及びオキシメチレン基以外に他のコモノマー単位を含有するポリアセタールコポリマーが含まれる。コポリマーにおいて、コモノマー単位には、オキシC2−6アルキレン単位(例えば、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基等のオキシC2−4アルキレン単位)が含まれる。コモノマー単位の含有量は、ポリアセタール系樹脂全体に対して、例えば、0.01〜30モル%、好ましくは0.03〜20モル%、さらに好ましくは0.03〜15モル%程度の範囲から選択できる。
本発明において熱可塑性樹脂成形品の製造に用いる熱可塑性樹脂は、充填材を配合された熱可塑性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂に配合する充填材は特に制限されず、従来から熱可塑性樹脂に使用される充填剤から適宜選択すればよい。従来公知の無機充填剤としては、繊維状充填材、粉粒状充填材、板状充填材等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を用いて、従来公知の成形方法で得ることができる。従来公知の成形方法としては、例えば、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形、ブロー成形等種々の成形方法を挙げることができる。
本発明のクリープ破壊寿命の測定方法は、ノッチ(切り欠き)を有する試験片を用いて行う。試験片としてノッチを有するものを用いることにより、クリープ試験機において一定荷重を与えた場合のクリープ破壊時間のバラつきを低減することができる。
次いで、クリープ破壊寿命の予測方法について説明する。本発明の熱可塑性樹脂成形品のクリープ破壊寿命の予測方法は、以下に説明する1)から4)の手順を含むものである。
熱可塑性樹脂としてポリアセタール樹脂(ジュラコン(登録商標)M90−44、ポリプラスチックス株式会社製)を用いて製造した、ISO引張り試験片の標線間の中央部に対称に2つのノッチを有する試験片を用いて、株式会社オリエンテック社製のクリープ試験機(CP6−M−500)により、4条件の歪量について、温度80℃での、空気中でのポリアセタール樹脂のクリープ破壊寿命を測定した。得られたクリープ破壊寿命の測定結果を、横軸をクリープ破壊寿命とし、縦軸を歪量とする図1のグラフに示す。なお、図1のグラフにおいて横軸を対数軸とした。
試験片がノッチを有さないことの他は、実施例1と同様にして、5条件の歪量について、空気中でのポリアセタール樹脂のクリープ破壊寿命を測定した。クリープ破壊寿命の測定結果を図1に示す。
高さ20mm、半径12mmの円柱状の金属製のインサートを内部に備え、金属インサートの外周に高さ20mm、肉厚2.4mmの樹脂部を有する、ウェルドなしのインサート成形品を試料として用いて、80℃でのクリープ破壊寿命を測定した。クリープ破壊寿命の測定は、試料10個を用いて、熱風乾燥機内で試料の半数が破壊を起こすまで放置する事により行い、試料の50%がクリープ破壊した日数をクリープ破壊寿命とした。試験の結果、クリープ破壊寿命は700日(16,800時間)であった。参考例1の試験結果を、歪量1.2%、クリープ破壊寿命16,8000時間としてプロットした。
Claims (4)
- ノッチを有する熱可塑性樹脂の試験片に一定歪を与える、クリープ破壊寿命の測定方法。
- 前記熱可塑性樹脂がポリアセタール樹脂である、請求項1記載のクリープ破壊寿命の測定方法。
- 以下の1)から4)の手順を含む、熱可塑性樹脂成形品のクリープ破壊寿命の予測方法。
1)ノッチを有する熱可塑性樹脂の試験片に一定歪を与え、クリープ破壊寿命を予測する温度条件下において、2点以上の歪量についてクリープ破壊寿命を測定する手順、
2)手順1)で得られた歪量とクリープ破壊寿命のデータから、前記熱可塑性樹脂成形品の寿命曲線を導出する手順、
3)前記熱可塑性樹脂成形品の歪量を測定する手順、及び、
4)手順3)で測定された前記熱可塑性樹脂成形品の歪量と、前記寿命曲線とから、前記熱可塑性樹脂成形品のクリープ破壊寿命の推定値を読み取る手順。 - 前記熱可塑性樹脂成形品がポリアセタール樹脂の成形品である、請求項3記載のクリープ破壊寿命の予測方法。
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