JP5295992B2 - 金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法 - Google Patents

金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法 Download PDF

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本発明は、金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法に関する。
熱可塑性樹脂は、射出成形等の種々の方法により容易に加工できることや、軽量であること等多くの利点を有することから、金属材料や木材等の古くから使用されている材料に変えて、多くの用途で使用されている。
このように熱可塑性樹脂成形品は多くの用途で使用されており、例えば、インサート成形品やアウトサート成形品等の金属部品と熱可塑性樹脂とが複合化された金属複合成形品としても広く用いられている。しかし、金属複合成形品では、成形後の熱可塑性樹脂と金属部品との収縮率の差等に起因して、熱可塑性樹脂部分が応力を受け続ける状態で使用される場合があり、かかる場合には、クリープ破壊と呼ばれる成形品の破壊現象が生じる問題がある。そして金属複合成形品を部品として用いる各種製品において、金属複合成形品にクリープ破壊が生じた場合には、製品の深刻な故障に結びつくことがあるため、部品の交換時期や耐用期間を定めるために、クリープ破壊寿命の予測が必要となる。
金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法としては、例えば、特許文献1に記載されるインサート成形品のクリープ破壊寿命の推定方法が提案されている。特許文献1に記載のインサート成形品のクリープ破壊寿命の推定方法は、クリープ破壊過程の時間を短い時間間隔に分割し、分割された各区間での平均発生応力を見積もり、定荷重下で測定されたクリープ破壊寿命のデータに基づき各区間で成形品が受けるダメージ量を算出し、ダメージの累積量が1を超える時点をクリープ破壊寿命として予測するものである。
しかし、特許文献1に記載のクリープ破壊寿命の予測方法は、非常に複雑な計算過程が要求されるため、クリープ破壊寿命の予測が容易でなく、その計算過程において多くの仮定を含むため予測の際の誤差が生じ、クリープ破壊寿命の精度について改良の余地のあるものである。また、特許文献1に記載のクリープ破壊寿命の予測方法は、実際の成形品におけるクリープ破壊寿命のバラつきを考慮した予測方法でない点でも問題である。
特開2007−078646号公報
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複雑な計算を行うことなく、容易且つ高精度に、実際の金属複合成形品のクリープ破壊時間におけるバラつきを考慮したうえで、金属複合成形品のクリープ破壊寿命を予測する方法を提供することにある。
本発明者らは、クリープ破壊の発生場所毎にクリープ破壊時間Tのデータを集計し、各発生場所のデータについて、クリープ破壊時間Tから自然対数値lnTを算出し、lnTの平均値μを求め、μよりexpμを算出してクリープ破壊時間の平均値TAVGを導出し、これをクリープ破壊寿命とすることによって、容易且つ高精度に、実際の金属複合成形品のクリープ破壊時間におけるバラつきを考慮したうえで、金属複合成形品のクリープ破壊寿命を予測できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
(1) 以下の1)から4)の手順を含む、金属部品と熱可塑性樹脂とを複合化した金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法。
1)複数個の試料について、クリープ破壊寿命の予測対象となる金属複合成形品の、クリープ破壊寿命を予測すべき条件下におけるクリープ破壊時間を測定する手順、
2)手順1)で得られた測定結果について、破壊の発生場所を、ゲート部付近、ウェルド部付近、その他の箇所に分類して、クリープ破壊時間Tのデータを集計する手順、
3)ゲート部付近又はその他の箇所での測定結果について、発生場所毎に、前記複数個の試料それぞれのクリープ破壊時間Tについて自然対数値lnTを算出し、lnTの平均値μを求め、前記μよりexpμを算出してクリープ破壊時間の平均値TAVGを導出する手順、及び
4)手順3)で得られたTAVGの値に基づき、金属複合成形品のクリープ破壊寿命を予測する手順。
(2) 前記手順4)におけるクリープ破壊寿命を予測する方法が、前記手順3)で算出された前記lnTから、lnTの標準偏差σを算出し、前記σよりTAVG×exp(−3σ)を算出してクリープ破壊寿命の推定値を導出する方法である、(1)記載の金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法。
(3) 前記熱可塑性樹脂がポリアセタール樹脂である、(1)又は(2)記載の金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法。
本発明によれば、複雑な計算を行うことなく、容易且つ高精度に、実際の金属複合成形品のクリープ破壊寿命におけるバラつきを考慮したうえで、金属複合成形品のクリープ破壊寿命を予測することが可能となる。
実施例における、金属複合成形品のゲート部付近での破壊に関する、クリープ破壊時間(日)と累積破壊確率(%)に関するグラフである。 実施例における、金属複合成形品のウェルド部での破壊に関する、クリープ破壊時間(日)と累積破壊確率(%)に関するグラフである。 実施例における、金属複合成形品のゲート部及びウェルド部の他の箇所での破壊に関するクリープ破壊時間(日)と累積破壊確率(%)に関するグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に記載される発明に限定されない。以下、金属複合成形品、及びクリープ破壊寿命の予測方法について順に説明する。
<金属複合成形品>
本発明において、クリープ破壊寿命の予測の対象となる金属複合成形品は、金属部品と熱可塑性樹脂とが複合化されたものであれば特に限定されず、例えば、インサート成形品やアウトサート成形品等が挙げられる。以下、金属複合成形品について、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂組成物、金属部品、及び金属複合成形品の製造方法の順に説明する。
[熱可塑性樹脂]
本発明において、クリープ破壊寿命の予測の対象となる金属複合成形品は熱可塑性樹脂と金属部品とを複合化して製造される。金属複合成形品の製造に使用される熱可塑性樹脂は特に制限されず、従来、種々の金属複合成形品の製造に使用されている熱可塑性樹脂から適宜選択される。好適な熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等の芳香族ジカルボン酸とジオール等からなる芳香族ポリエステル;ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル;ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、MXDナイロン等のポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂(ホモ又はコポリマー);ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリアクリロニトリル;環状オレフィン系樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリカーボネート;AS樹脂;ABS樹脂;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリビフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン等のポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(4,4′−ビスフェノールエーテルスルホン)等のポリスルホン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;液晶性ポリマー;フッ素樹脂等を挙げることができる。またこれらの熱可塑性樹脂は2種以上混合して使用することができる。
これらの熱可塑性樹脂の中では、ポリアセタール樹脂等のクリープ特性に優れる樹脂を用いるのがより好ましい。かかる樹脂は、クリープ破壊寿命が長く、クリープ破壊寿命のバラつきが顕著に現れやすく、本発明の効果が顕著となる。以下、ポリアセタール樹脂について説明する。
〔ポリアセタール樹脂〕
ポリアセタール樹脂には、オキシメチレン基(−CHO−)を構成単位とするポリアセタールホモポリマー、及びオキシメチレン基以外に他のコモノマー単位を含有するポリアセタールコポリマーが含まれる。コポリマーにおいて、コモノマー単位には、オキシC2−6アルキレン単位(例えば、オキシエチレン基(−CHCHO−)、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基等のオキシC2−4アルキレン単位)が含まれる。コモノマー単位の含有量は、ポリアセタール系樹脂全体に対して、例えば、0.01〜30モル%、好ましくは0.03〜20モル%、さらに好ましくは0.03〜15モル%程度の範囲から選択できる。
ポリアセタール樹脂がポリアセタールコポリマーである場合は、二成分で構成されたコポリマー、三成分で構成されたターポリマー等であってもよい。ポリアセタールコポリマーは、ランダムコポリマーの他、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー等であってもよい。また、ポリアセタール系樹脂は、線状のみならず分岐構造であってもよく、架橋構造を有していてもよい。さらに、ポリアセタール系樹脂の末端は、例えば、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸又はそれらの無水物とのエステル化等により安定化してもよい。
ポリアセタール樹脂としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、トリオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール等の環状エーテルや環状ホルマールを重合することにより製造できる。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明において金属複合成形品の製造に用いる熱可塑性樹脂は、充填材を配合された熱可塑性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂に配合する充填材は特に制限されず、従来から熱可塑性樹脂に使用される充填剤から適宜選択すればよい。従来公知の無機充填剤としては、繊維状充填材、粉粒状充填材、板状充填材等が挙げられる。
好ましい繊維状充填材として、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物等の無機質繊維状物質が挙げられる。
また、粉粒状充填材としては、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ウォラストナイトの如き珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられ、板状充填材としては、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。
また本発明において金属複合成形品の製造に用いる熱可塑性樹脂は、核剤、着色剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤及び難燃剤等の添加剤を添加され、所望の特性を付与された熱可塑性樹脂組成物であってもよい。
[金属部品]
本発明において、クリープ破壊寿命の予測の対象となる金属複合成形品の製造に用いられる金属部品は、熱可塑性樹脂と複合化できるものであれば特に限定されない。金属部品に用いられる金属材料の好適な例としては、銅、アルミ、鉄等の金属、燐青銅、ステンレス等の合金、異種の金属の貼合わせ体、これらのメッキ処理品等が挙げられる。材料がステンレスである場合の具体例としては、マルテンサイト系、オーステナイト系等のステンレス鋼が挙げられる。
金属部品の形状は、熱可塑性樹脂との複合化が可能である限り特に制限されない。金属部品は、熱可塑性樹脂との密着性を改良するために、熱可塑性樹脂と接触する箇所の表面を予め粗化処理してもよい。粗化処理は、研磨、メッキ、又はエッチング等の方法により行うことができる。
[金属複合成形品の製造方法]
本発明の金属複合成形品の製造方法は、金属部品と熱可塑性樹脂とを複合化できれば特に限定されない。金属複合成形品の製造方法として好適な、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形方法を挙げることができる。
<金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法>
本発明の金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法は、金属部品と熱可塑性樹脂とを複合化した金属複合成形品のクリープ破壊時間を破壊が生じた部位毎に集計した場合、同一の部位で生じた破壊についてはクリープ破壊時間の分布が対数正規分布に従うことを見出し、このことに基づくものである。ただし、ウェルド部でのクリープ破壊寿命は、初期欠陥の程度や使用中における欠陥の程度の変化といった要因が関与し、同じ対数正規分布で整理出来ないため、本発明の方法における、クリープ破壊寿命の予測の対象から除外される。
本発明の金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法は、後述する1)から4)の手順を含む方法である。以下、手順1)から手順4)について順に説明する。
手順1)は、複数個のクリープ破壊寿命の予測対象となる金属複合成形品の試料について、クリープ破壊寿命を予測すべき条件下におけるクリープ破壊時間を測定する手順である。
手順1)において用いる試料は、クリープ破壊寿命の予測対象となる金属複合成形品と同一の金属複合成形品を用いる。また、手順1)において各試料のクリープ破壊時間の測定方法は特に限定されず、例えば、恒温装置等、金属複合成形品の実際の使用環境を再現可能な装置を用いて、金属複合成形品を所定の試験環境下に暴露し、所定の頻度(例えば、1回/日)でクリープ破壊の発生を観察すればよい。
手順2)は手順1)で得られた測定結果について、破壊の発生場所を、ゲート部付近、ウェルド部付近、その他の箇所に分類して、クリープ破壊時間Tを集計する手順である。
手順2)により手順1)で得られた測定結果を分類した、それぞれの破壊の発生場所におけるクリープ破壊寿命のデータの個数は、5個以上であるのが好ましく、8個以上であるのがより好ましく、10個以上であるのが特に好ましい。
手順2)により、手順1)の測定結果を破壊の発生場所毎に分類した結果、破壊が生じた個数が4個以下である場合、破壊が生じた試料の個数の合計が5個以上となるまで、手順1)及び手順2)を繰り返し行えばよい。
なお、金属複合成形品がウェルド部が形成されない設計である場合、手順1)で得られた測定結果は、ゲート部付近での破壊と、その他の箇所での破壊とに分類される。
手順3)は、ゲート部付近又はその他の箇所での測定結果について、発生場所毎に、複数個の試料それぞれのクリープ破壊寿命Tについて自然対数値lnTを算出し、lnTの平均値μを求め、μよりexpμを算出してクリープ破壊時間の平均値TAVGを導出する手順である。
手順4)は、手順3)で得られたTAVGの値に基づき、金属複合成形品のクリープ破壊寿命を予測する手順である。
AVGの値に基づき金属複合成形品のクリープ破壊寿命を予測する手順は特に限定されず、例えば、金属複合成形品が部品として用いられている製品において、金属複合成形品がクリープ破壊を起した場合の製品の機能に対する影響等を考慮して、クリープ破壊寿命の推定値をTAVGの値に基づき適宜定めることができる。
具体的な、クリープ破壊寿命の推定方法としては、以下のI)からIII)の方法が挙げられる。
I)TAVGを、クリープ破壊寿命の推定値としてそのまま用いる方法。
I)の方法によれば、特別な計算を行うことなく、TAVGをそのままクリープ破壊寿命の推定値として使用できる。I)の方法によれば、クリープ破壊が生じる可能性はあるが、ほぼクリープ破壊が生じない、クリープ破壊寿命の推定値を得ることができる。
I)の方法は、金属複合成形品にクリープ破壊が生じたとしても、金属複合成形品が部品として使用されている製品の機能に影響が殆ど生じない場合に有効である。
II)TAVGに対して安全率A(%)を設定し、TAVG×A/100によりクリープ破壊寿命の推定値を算出する方法。
II)の方法は、TAVGをどの程度の比率で短縮すればクリープ破壊がほぼ生じない期間を導出できるのかが、経験的に分かっている場合等に有用である。
III)前述の手順3)で算出された前記lnTから、lnTの標準偏差σを算出し、係数B(Bは正の数)、及び前記σよりTAVG×exp(−Bσ)を算出してクリープ破壊寿命の推定値を導出する方法。
III)の方法では、Bの値は2.5から3.5であるのが好ましく、3であるのが特に好ましい。Bの値がかかる範囲であれば、クリープ破壊寿命が対数正規分布に従う場合、推定されたクリープ破壊寿命より短い期間では、ほぼクリープ破壊が生じない。
以上のように、III)の方法によれば、バラつきを考慮したうえで、ほぼクリープ破壊が生じないクリープ破壊寿命の推定値を定めることができる。このため、III)の方法は、金属複合成形品がクリープ破壊を起した場合に、金属複合製品が部品として使用されている製品の機能に深刻な影響が生じる場合等に有効である。
本発明によれば、以上説明した1)から4)の手順を行うことにより、複雑な計算を行うことなく、容易且つ高精度に、実際の金属複合成形品のクリープ破壊寿命におけるバラつきを考慮したうえで、種々の金属複合成形品のクリープ破壊寿命を予測することが可能となる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔実施例1〕
熱可塑性樹脂としてポリアセタール樹脂(ジュラコン(登録商標)M90−44、ポリプラスチックス株式会社製)を用いて、半径12mm高さ20mmの円柱状の金属部品の側面に、厚さ1mmの熱可塑性樹脂層を形成した円柱状の金属複合成形品を射出成形により製造した。金属複合成形品は、円柱状の金属インサートの一方の底面の熱可塑性樹脂層の1箇所にゲート部を有し、金属複合成形品の側面のゲート部と反対の面にウェルド部が形成されている。
金属複合成形品74個を用いて、熱風乾燥機内に所定の温度で放置し、破壊するまでの時間と破壊個数を測定した。得られたクリープ破壊時間の結果を、ゲート部付近の破壊と、ウェルド部付近の破壊と、その他の箇所での破壊とで分類した。
測定結果に基づき、ゲート部付近での破壊について、横軸をクリープ破壊時間(日)、縦軸を累積破壊確率(%)に関する軸とする座標面に、メジアンランク法による累積破壊確率をクリープ破壊時間ごとにプロットして、図1のグラフを作成した。図1のグラフによれば、累積破壊確率はほぼ直線状にプロットされていることが分かり、ゲート部付近でのクリープ破壊時間は、対数正規分布に従っていることが分かる。
また、測定結果に基づき、ウェルド部付近での破壊について、横軸をクリープ破壊時間(日)、縦軸を累積破壊確率(%)に関する軸とする座標面に、メジアンランク法による累積破壊確率をクリープ破壊時間ごとにプロットして、図2のグラフを作成した。図2のグラフによれば、累積破壊確率は直線状にプロットされておらず、ウェルド部付近でのクリープ破壊時間は、対数正規分布に従っていないことが分かる。
さらに、測定結果に基づき、その他の箇所での破壊について、横軸をクリープ破壊時間(日)、縦軸を累積破壊確率(%)に関する軸とする座標面に、メジアンランク法による累積破壊確率をクリープ破壊時間ごとにプロットして、図3のグラフを作成した。図3のグラフによれば、累積破壊確率は直線状にプロットされていることが分かり、その他の箇所でのクリープ破壊時間は、対数正規分布に従っていることが分かる。
なお、図1から図3に記載のグラフにおいて、縦軸及び横軸は対数軸とした。
測定結果に基づき、ゲート部付近の破壊について、クリープ破壊時間の自然対数値の平均値であるμを算出したところ4.11であり、クリープ破壊時間の自然対数値の標準偏差σを算出したところ、0.42であった。また、μ(4.11)からexpμを算出したころTAVGは61日であった。さらに、TAVG×exp(−3σ)を算出したところ17日であった。
また、測定結果に基づき、その他の箇所での破壊について、クリープ破壊時間の自然対数値の平均値であるμを算出したところ4.74であり、クリープ破壊時間の自然対数値の標準偏差σを算出したところ、0.18であった。さらに、μ(4.74)からexpμを算出したころTAVGは114日であった。さらに、TAVG×exp(−3σ)を算出したところ67日であった。
よって、実施例1において作成した金属複合成形品においては、ゲート部での破壊に関するクリープ破壊寿命を17日と設定でき、その他の箇所での破壊に関するクリープ破壊寿命を67日と設定できる。このため、金属複合成形品の破壊寿命をより短い17日として設定することが出来る。

Claims (3)

  1. 以下の1)から4)の手順を含む、金属部品と熱可塑性樹脂とを複合化した金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法。
    1)複数個の試料について、クリープ破壊寿命の予測対象となる金属複合成形品の、クリープ破壊寿命を予測すべき条件下におけるクリープ破壊時間を測定する手順、
    2)手順1)で得られた測定結果について、破壊の発生場所を、ゲート部付近、ウェルド部付近、その他の箇所に分類して、クリープ破壊時間Tのデータを集計する手順、
    3)ゲート部付近又はその他の箇所での測定結果について、発生場所毎に、前記複数個の試料それぞれのクリープ破壊寿命Tについて自然対数値lnTを算出し、lnTの平均値μを求め、前記μよりexpμを算出してクリープ破壊時間の平均値TAVGを導出する手順、及び
    4)手順3)で得られたTAVGの値に基づき、金属複合成形品のクリープ破壊寿命を予測する手順。
  2. 前記手順4)におけるクリープ破壊寿命を予測する方法が、前記手順3)で算出された前記lnTから、lnTの標準偏差σを算出し、前記σよりTAVG×exp(−3σ)を算出してクリープ破壊寿命の推定値を導出する方法である、請求項1記載の金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂がポリアセタール樹脂である、請求項1又は2記載の金属複合成形品のクリープ破壊寿命の予測方法。
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