JP2011169371A - 自在継手のヨ−ク - Google Patents

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Abstract

【課題】十字軸を軸支するための軸受け孔周辺のアーム部の剛性を大きくして、自在継手に加わる大きな負荷を支持することができるようにした。
【解決手段】円筒形状の面押しパンチによって、一対のアーム部の半径方向外側の面55、55を半径方向内側(図2(b)の白矢印56の方向)に押圧して、軸受け孔521、521の周縁を加工硬化させる。このようにすれば、一対のアーム部の軸受け孔521、521の周縁の剛性が大きくなるため、自在継手に加わる大きな負荷を支持することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は自在継手のヨ−ク、特に、ステアリング装置のステアリングシャフトの回転を伝達する軸同士を連結する自在継手のヨ−クに関する。
車両の前輪を操舵するステアリング装置では、ステアリングホイールの操作で回転するステアリングシャフトの動きを、自在継手を介してステアリングギヤの入力軸に伝達している。
ステアリングホイールの動きは、ステアリングコラム内に回転自在に設けたステアリングシャフトおよび中間シャフトを介してステアリングギアに伝達され、ステアリングギアによって車輪の方向を操舵する。通常、ステアリングシャフトとステアリングギアの入力軸とは、互いに同一直線上に設けることが出来ない。
このため従来から、ステアリングシャフトとステアリングギアへの入力軸との間に中間シャフトを設け、この中間シャフトの端部とステアリングシャフト、および、中間シャフトの端部とステアリングギアの入力軸の端部とを、自在継手を介して結合することにより、同一直線上に存在しないステアリングシャフトと入力軸との間での動力伝達が行えるようにしている。
近年、ステアリングシャフトに操舵補助力を付与するアシスト装置を、中間シャフトとステアリングホイールとの間に設けたコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置が多くなってきた。
このような、コラムアシスト式の電動パワーステアリングでは、中間シャフトに負荷される回転トルクが大きくなるため、自在継手の剛性、特に、十字軸を軸支するための軸受け孔周辺のアーム部の剛性を大きくする必要がある。
特許文献1に示す自在継手は、アーム部の半径方向外側に、軸受け孔の回りにバ−リング加工を施して、円筒状の肉盛りを突出して形成し、軸受を軸支する軸受け孔の面積を大きくし、十字軸を軸支するための軸受け孔周辺のアーム部の剛性を大きくしている。
しかし、特許文献1に示す自在継手は、円筒状の肉盛りの肉厚が薄いため、自在継手に加わる負荷が大きくなると、円筒状の肉盛りが塑性変形して、軸受け孔周辺のアーム部の剛性が低下する恐れがある。
特開平10−148217号公報
本発明は、十字軸を軸支するための軸受け孔周辺のアーム部の剛性を大きくして、自在継手に加わる大きな負荷を支持することができるようにした自在継手のヨークを提供することを課題とする。
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明は、回転トルクを伝達可能に軸を結合するための結合筒部と、上記結合筒部と一体に設けられ、十字軸を軸支するための軸受け孔を有する一対のアーム部とを備え、板材を塑性加工することにより成形される自在継手のヨ−クであって、上記一対のアーム部の半径方向外側の面を半径方向内側に面押しして、上記軸受け孔の周縁を加工硬化させたことを特徴とする自在継手のヨ−クである。
第2番目の発明は、第1番目の発明の自在継手のヨークにおいて、上記軸受け孔の内周面をバニッシング加工して加工硬化させたことを特徴とする自在継手のヨ−クである。
本発明の自在継手のヨークは、一対のアーム部の半径方向外側の面を半径方向内側に面押しして、軸受け孔の周縁を加工硬化させている。従って、一対のアーム部の軸受け孔の周縁の剛性が大きくなるため、自在継手に加わる大きな負荷を支持することができる。また、半径方向外側に突出する円筒状の肉盛りが不要となるため、自在継手が振れ回る空間の直径(スイングサークル)を小さくでき、自在継手の設置スペースを小さくすることができる。
また本発明の自在継手のヨークは、軸受け孔の内周面をバニッシング加工して加工硬化させている。従って、軸受け孔の内周面の真円度、面粗さが向上するため、自在継手の耐久性と精度がさらに向上する。
本発明の実施例の自在継手を備えたステアリング装置の全体側面図である。 本発明の実施例の自在継手のヨークを示し、(a)は正面図、(b)は(a)の右側面図である。
図1は、本発明の実施例の自在継手を備えたステアリング装置の全体側面図である。図1に示すように、本発明の実施例の自在継手を備えたステアリング装置は、車体後方側(図1の右側)にステアリングホイール11を装着可能なステアリングシャフト12と、このステアリングシャフト12を挿通したステアリングコラム13と、このステアリングシャフト12に補助トルクを付与する為のアシスト装置(操舵補助部)20と、このステアリングシャフト12の車体前方側(図1の左側)に、図示しないラック/ピニオン機構を介して連結されたステアリングギヤ30とを備える。
ステアリングシャフト12は、雌ステアリングシャフト12Aと雄ステアリングシャフト12Bとを、回転トルクを伝達可能に、かつ軸方向に関して相対移動可能にスプライン嵌合している。従って、上記雌ステアリングシャフト12Aと雄ステアリングシャフト12Bとは、衝突時に、このスプライン嵌合部が相対移動して、全長を縮めることができる。
また、上記ステアリングシャフト12を挿通した筒状のステアリングコラム13は、アウターコラム13Aとインナーコラム13Bとをテレスコピック移動可能に組み合わせている。そのため、ステアリングコラム13は、衝突時に軸方向の衝撃が加わった場合に、この衝撃によるエネルギを吸収しつつ全長が縮まる、所謂コラプシブル構造としている。
そして、上記インナーコラム13Bの車体前方側端部を、ギヤハウジング21の車体後方側端部に圧入嵌合して固定している。また、上記雄ステアリングシャフト12Bの車体前方側端部を、このギヤハウジング21の内側に通し、アシスト装置20の図示しない入力軸の車体後方側端部に連結している。
ステアリングコラム13は、その中間部を支持ブラケット14により、ダッシュボードの下面等、車体18の一部に支承している。また、この支持ブラケット14と車体18との間に、図示しない係止部を設けて、この支持ブラケット14に車体前方側に向かう方向の衝撃が加わった場合に、この支持ブラケット14が上記係止部から外れ、車体前方側に移動するようにしている。
また、上記ギヤハウジング21の上端部も、上記車体18の一部に支承している。また、本実施例の場合には、チルト機構及びテレスコピック機構を設けることにより、上記ステアリングホイール11の車体前後方向位置、及び、高さ位置の調節を自在としている。このようなチルト機構及びテレスコピック機構は、従来から周知であり、本発明の特徴部分でもない為、詳しい説明は省略する。
上記ギヤハウジング21の車体前方側端面から突出した出力軸23は、自在継手(上側自在継手)4を介して、中間シャフト15の後端部に連結している。また、この中間シャフト15の前端部に、別の自在継手(下側自在継手)5を介して、ステアリングギヤ30のピニオン軸(以下軸と呼ぶ)6を連結している。中間シャフト15は、雄中間シャフト(雄シャフト)15Aの車体前方側に、雌中間シャフト(雌シャフト)15Bの車体後方側が外嵌し、回転トルクを伝達可能に、かつ、軸方向に関して相対移動可能に嵌合している。
図示しないピニオンが、軸6の下端(車体前方側端部)に形成されている。また、図示しないラックが、このピニオンに噛み合っており、ステアリングホイール11の回転が、タイロッド31を移動させて、図示しない車輪を操舵する。
アシスト装置20のギヤハウジング21には、電動モータ26のケース261が固定され、この電動モータ26の図示しない回転軸にウォームが結合されている。出力軸23には図示しないウォームホイールが取り付けられ、このウォームホイールに電動モータ26の回転軸のウォームが噛合っている。
また、出力軸23の中間部の周囲には、図示しないトルクセンサが設けられている。上記ステアリングホイール11からステアリングシャフト12に加えられるトルクの方向と大きさを、トルクセンサで検出し、この検出値に応じて、電動モータ26を駆動し、ウォームとウォームホイールから成る減速機構を介して、出力軸23に、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。補助トルクを発生させるアシスト装置は、電動式に限定されるものではなく、油圧式のアシスト装置でもよい。
図2は、本発明の実施例の自在継手5を構成する一対のヨーク51、51のうちの一方のヨーク51と、軸6との結合部を示している。すなわち、図2は本発明の実施例の自在継手のヨークを示し、(a)は正面図、(b)は(a)の右側面図である。
図2に示すように、自在継手のヨーク51の上側(図2の上側)には二股状のアーム部52、52が対向して形成され、このアーム部52、52には、円形の軸受け孔521、521が形成されている。この軸受け孔521、521に、図示しない軸受を介して十字軸が挿入され、この十字軸を介して他方の図示しないヨーク51と結合する。ヨーク51は、肉厚が8ミリ程度の厚板材をプレス成形して製造し、軸受け孔521、521の長さを長く確保して、軸受け孔521、521の面積を大きくするのが好ましい。
ヨーク51の下側(図2の下側)には略円筒状の結合筒部53が形成され、この結合筒部53の内周面531に、図2の下側から、結合筒部53の軸方向に平行に、軸6を挿入する。
ヨーク51の結合筒部53には、結合筒部53から接線方向に延びる左右一対のフランジ部54、54が形成されている。フランジ部54、54の間には、内周面531に連通するスリット(切り割り)56が形成されている。スリット56は、結合筒部53の軸方向の全長にわたって形成されている。
フランジ部54、54には、図示しないボルトを挿入するためのボルト孔541、541が同心状に形成されている。また、フランジ部54、54には、座面542、542が形成されている。図2の左側の座面542は、ボルトのボルト頭部の下面に当接する。図2の右側の座面542は、ボルトのボルト軸部にねじ込まれるナット(図示せず)の下面に当接する。
結合筒部53の内周面531に軸6を挿入し、ボルト孔541、541に、図2(b)の左側からボルトを挿入する。ナットをボルトのボルト軸部にねじ込むと、フランジ部54、54が弾性変形してスリット56の溝幅が狭まり、軸6の外周面を結合筒部53の内周面531で強く締付けて固定することができる。
図示しない円筒形状の面押しパンチによって、一対のアーム部52、52の半径方向外側の面55、55を半径方向内側(図2(b)の白矢印57の方向)に面押し(押圧)して、軸受け孔521、521の周縁を加工硬化させる。このようにすれば、一対のアーム部52、52の軸受け孔521、521の周縁の剛性が大きくなるため、自在継手5のヨーク51に加わる大きな負荷を支持することができる。
また、プレスによる面押し加工でアーム部52、52の剛性を大きくできるため、機械加工の工数を減らすことができる。さらに、従来のような半径方向外側に突出する円筒状の肉盛りが不要となるため、自在継手が振れ回る空間の直径(スイングサークル)を小さくでき、自在継手の設置スペースを小さくすることができる。
また、軸受け孔521、521を旋削加工等によって荒加工した後、軸受け孔521、521の内周面を、ローラ・バニッシング加工して仕上げ加工するのが好ましい。このようにすれば、軸受け孔521、521の内周面が加工硬化し、軸受け孔521、521の内周面の真円度、面粗さが向上するため、自在継手の耐久性と精度がさらに向上する。
上記実施例では、ボルトを締め付けて軸を結合筒部に結合するピンチボルト式の自在継手に適用した例について説明したが、溶接またはカシメ加工によって軸を結合筒部に結合する方式の自在継手に適用してもよい。
11 ステアリングホイール
12 ステアリングシャフト
12A 雌ステアリングシャフト
12B 雄ステアリングシャフト
13 ステアリングコラム
13A アウターコラム
13B インナーコラム
14 支持ブラケット
15 中間シャフト
15A 雄中間シャフト
15B 雌中間シャフト
18 車体
20 アシスト装置
21 ギヤハウジング
23 出力軸
26 電動モータ
261 ケース
30 ステアリングギヤ
31 タイロッド
4 自在継手(上側自在継手)
5 自在継手(下側自在継手)
51 ヨーク
52 アーム部
521 軸受け孔
53 結合筒部
531 内周面
54 フランジ部
541 ボルト孔
542 座面
55 アーム部の半径方向外側の面
56 スリット(切り割り)
57 白矢印
6 軸(ピニオン軸)

Claims (2)

  1. 回転トルクを伝達可能に軸を結合するための結合筒部と、
    上記結合筒部と一体に設けられ、十字軸を軸支するための軸受け孔を有する一対のアーム部とを備え、
    板材を塑性加工することにより成形される自在継手のヨ−クであって、
    上記一対のアーム部の半径方向外側の面を半径方向内側に面押しして、上記軸受け孔の周縁を加工硬化させたこと
    を特徴とする自在継手のヨ−ク。
  2. 請求項1に記載された自在継手のヨ−クにおいて、
    上記軸受け孔の内周面をバニッシング加工して加工硬化させたこと
    を特徴とする自在継手のヨ−ク。
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