JP2011168643A - 共役ジエン重合体変性物及びその製造方法、その共役ジエン重合体変性物が含まれたゴム補強剤配合ゴム組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 1,4-シス構造が94〜99%であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が、37〜48である共役ジエン系ゴムを芳香族炭化水素溶媒中にて、有機過酸化物及びアゾ化合物のような既存のラジカル開始剤を使用したニトロキシドを介した制御ラジカルグラフトにて共重合する。
【選択図】 図1
Description
その結果、シリカ粒子同士が凝集、さらにはゴム組成物中に配合したシリカの分散性が良くならず、更にシリカ配合ゴム加硫物では、ヒステリシスロスや発熱性の増加に伴うエネルギー損失をもたらす。
この目的は、加工性や耐摩耗性のようなゴム化合物の物理特性を改善することにある(参考文献3および4)。更に可逆架橋剤としての使用を目的とした従来のラジカル開始剤の存在下、多機能ニトロキシドを用いたゴムへのグラフト化研究が報告されている。
しかし、ゴム中へ極性基を導入する化学的変性を目的とした報告は未だされていない(特許文献5)。
ゴムへの極性基の導入は成功したものの、グラフトしたゴムの分子量は徐々に減少し、グラフト効率も低くなる不具合が生じた(特許文献6)。
更に、前述の非溶媒系により、ゴムの主鎖にラジカル重合可能な極性モノマーをグラフト共重合したジエン系エラストマーである合成ゴムの化学的変性が報告されている。
グラフトしたゴムを含んだシリカ配合ゴム組成物では、シリカの分散性が改善され、ヒステリシスロスが更に低くなり、また耐摩耗性もわずかに改善される(特許文献8)。
そのグラフト化の方法としては、芳香族炭化水素溶媒中において、有機過酸化物やアゾ化合物などの既存のラジカル開始剤を使用したものである。
第2の発明として前記のポリアルキルアクリレートでグラフト変性した1,4−シスポリブタジエンゴムを含む新規なシリカ配合ゴム組成物を提案している。そのゴム組成物中では、シリカがかなり良好に分散しており、その結果として、低ヒステリシスロス、低発熱性を達成している。
また、ラジカル開始剤、温度、重合度、さらにニトロキシドとラジカル開始剤のモル比などの重合条件を適当に調整することで、グラフトしたポリアルキルアクリレート側鎖の分子量を制御したグラフト変性1,4−シス-ポリブタジエンを製造することが出来る。
更にシリカの分散性を改善した、低ヒステリシスロス、低発熱性を得た該グラフト変性1,4−シス-ポリブタジエンを含んだシリカ配合ゴム組成物を提供することができる。
本発明に係る共役ジエン重合体変性物に用いられるポリブタジエンにおいて、特徴的であるのは高シスポリブタジエン(1,4−シス構造94〜99.9mol%)を適用したことにある。本発明に係る共役ジエン重合体変性物によれば、高シスポリブタジエンを適用することで、シリカ-ゴム相互作用を改善し、分子末端変性と比較して高シス構造のもつ高性能とポリブタジエン主鎖への変性の度合いのバランスを保つことができる。
該1,4−シス-ポリブタジエンゴムの1,4−シス構造の割合は、好ましくは94〜99.9%であり、より好ましくは94.5〜99%、最も好ましくは95〜98%である。
1,4−シス構造の割合が、94%より低い場合、あるいはTcpが98より低いと、ゴムの粘弾性特性と同様に耐摩耗性も劣るので好ましくない。
特に高シス−ブタジエンゴム(BR)が好ましい。
また、本願発明で用いられるラジカル開始剤は、フリーラジカルを得るために熱分解を経て、1,4−シス-ポリブタジエン主鎖上に炭素ラジカルを発生させるものである。ラジカル開始剤には、過酸化ベンゾイル(BPO)のような既存の有機過酸化物を使用することが出来る。
例えば、1,1’−アゾビス(シアノシクロヘキサン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などがある。
安定化ニトロキシドフリーラジカルに含まれる化合物は、市販のTEMPOやTEMPO誘導体を使用することが出来る。ここにTEMPOは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルであり、TEMPO誘導体とは、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(OH−TEMPO)や4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(OXO−TEMPO)である。特にTEMPOの使用が好ましい。
ラジカル重合可能な極性モノマーは、特に限定されるものではないが、アルキルアクリレート類の使用が好ましい。アルキルアクリレート類としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、)プn−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ペンタフルオロプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロブチルメタクリレート、3−(ジメトキシシリルロピルメタクリレート、3−(ジエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレートが上げられる。これらを単独であるいは2つ以上組み合わせて使用しても良い。
本願発明において制御ラジカルグラフト共重合をする際に、1,4−シス-ポリブタジエンを溶解する溶媒としては、芳香族炭化水素類が好ましく、特にベンゼン、トルエンおよびキシレンが好ましく、最も好ましくはトルエンである。
(1)均一のゴム溶液が得られるまで、1,4−シス-ポリブタジエンを芳香族炭化水素溶媒に溶解する。
(2)所望のグラフト変性共重合温度にて前述した熱分解性ラジカル開始剤により水素引き抜きを経由して1,4−シス-ポリブタジエン主鎖上に炭素ラジカルを発生させる。
この段階で、分子安定ニトロキシドフリーラジカルを含む化合物あるいはTEMPO誘導体が、可逆反応にて炭素ラジカルを消滅させるために1,4−シス-ポリブタジエン主鎖上の炭素ラジカルを攻撃する。
(3)所望の重合時間にてゴム溶液中の1,4−シス-ポリブタジエン主鎖を、グラフト共重合を行うためにアルキルアクリレートモノマーを加える。
(4)所望のポリアルキルアクリレートのホモポリマーとグラフトした1,4−シス-ポリブタジエンを含んだゴム溶液を大容量のメタノールを用いて沈殿させる。それをろ過、乾燥する。
(5)還流温度にてアセトン中にてグラフトした1,4−シス-ポリブタジエンからポリアルキルアクリレートのホモポリマーを抽出する。
得られたグラフト化1,4−シス-ポリブタジエン生成物は、ポリアルキルアクリレート含量、グラフト率、分子量、分子量分布、ゲル量、更に熱安定性などの諸物性が評価された。
0.07g/ml以上のゴム濃度では、粘度が高すぎるために不均一な重合溶液となるため好ましくない。特に制御できないグラフト共重合体や高すぎるゲル含量の原因になる。
逆に0.015g/ml以下では、ゴム濃度が低すぎるためグラフト率が低くなり、あるいは溶液中のゴムにグラフトするモノマーの反応率が、均一重合速度より低くなるため好ましくない。
温度が100℃以上では、重合で使用される芳香族炭化水素溶媒の沸点に近くなり、ガラス反応器内での突沸や圧力上昇の原因となるので好ましくない。逆に温度が75℃よりも低すぎると、発生ラジカルの数が少なすぎて、グラフト共重合の効率が低下する原因となる。
本願発明では、1,4−シス-ポリブタジエン主鎖にグラフトしたポリアルキルアクリレートの短鎖の構造は、グラフトサイトの数に相対的に近い分岐鎖の数あるいは分岐鎖の分散性を持っていることが好ましい。
更に、好ましいグラフトサイトに対するモノマーのモル比(DPn)は、25〜100の範囲であり、より好ましくは30〜80、特に好ましくは40〜75である。
一方、DPnの値が100より大きいと、グラフトしたポリアルキルアクリレートの短鎖が長すぎてしまい、その結果グラフト側鎖が硬くなるため、加硫工程での障害になる。また、あまりにも硬すぎるグラフト側鎖は、エラストマーの重要な特性を失わせる原因ともなり、好ましくない。
ポリメチルメタクリレートのグラフト率は、モノマー/グラフトサイトのモル比(DPn)の増加を伴って僅かだけ増加傾向を示すが、TEMPO/開始剤のモル比が減少すると、急激な増加を示す。
1,4−シス−ポリブタジエンにグラフトしているポリ(メチルメタクリレート)の最大含量は12.6%、最大グラフト率は、14.4%である。
グラフトしたポリメチルメタクリレートのC=O伸縮振動が1734cm−1に観測されている。
表3にシリカ配合ゴム組成物の配合成分およびその量を示す。ここに、「phr」は「重量部」であり、エラストマーあるいはゴムの重量100に対する重量の割合である。
例えば、1,4−シス-ポリブタジエンは市販の1,4−シス-ポリブタジエンに限定されず、コバルト(II)オクタエートのようなコバルト系触媒とジエチルアルミニウムクロリドのような有機アルミニウム化合物の存在下、1,3−ブタジエンを溶液重合して得られたものを使用しても良い。
1重量部未満のポリアルキルアクリレートグラフト化1,4−シス-ポリブタジエンは、ゴム組成物中におけるシリカ分散性向上の効果が無い。一方、50重量部より多くなると耐摩耗性が悪くなる原因となる。
沈降シリカの比表面積が高すぎると加工段階や加硫後にゴムマトリクス中で凝集が起こりやすいので好ましくない。
様々な市販の沈降シリカが利用でき、特にPPG社製のシリカ、Hi−Silの商標で知られるRhodia社製のZ1165MPやZ165GRのシリカ、さらにEvonik(Degussa AG)社製でVN2やVN3(商標Nipsilで知られる東ソ社製VN3を含む)で知られるシリカを使用することが出来る。
一方、シランカップリング剤の量が10重量部より多すぎると、複合化の段階で架橋が進みすぎて、甚大な結果をもたらす為、良くない。更に、シランカップリング剤の量が1重量部より少ないと、ゴムマトリクス中にシリカが分散しにくくなる原因となり、好ましくない。
さらに、使用する量としては1〜50重量部が良く、5〜30重量部がより好ましい。
使用する量としては、0.1〜5重量部がよく、1〜3重量部がより好ましい。
混合工程において、加硫剤および加硫促進剤を除く全成分は、プラストミルのような密閉式混合機で90℃、5分以内にて混合される。その後直ちに、混合物がミキシングロールを使用して30〜60℃の温度範囲にて冷却後、シート状に形成される。シート状のゴム組成物のサンプルを用いて、ムーニー粘度が測定される。さらに、Payne効果の測定は、120℃、1Hzの周波数の条件にて動的歪掃引分析にておこなった。使用した分析機器は、Alpha Technologies社製のゴム加工性解析装置RPA−2000である。
シリカ配合ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、110〜150が好ましく、120〜135がより好ましい。
図7から、せん断歪の低い範囲でのより低い貯蔵せん断率は、シリカとゴムの相互作用が改善していることを示している。比較例のBR150Lは、せん断歪が2〜10%に掛けて急激な貯蔵せん断率減少を示している。これは、シリカ凝集体の形成による分離によるものである。一方、PMMA−g−BR150Lを含んだ全てのゴム組成物は、前述の現象がほとんど起こらない。
PMMA−g−BR150Lを含んだ全てのゴム組成物は、せん断歪が10〜100%にかけてtanδが低いことが分かる。これは、ゴムマトリクス中でのシリカ−ゴムの相互作用あるいはシリカの分散性が改善していることを示している。
前述した混合工程から得られたシリカ配合ゴム組成物のシートは、30〜60℃の温度範囲でミキシングロールを使用して、イオウのような加硫剤や加硫促進剤とともに混合したものである。加硫予備工程におけるゴム組成物は、シート状に引かれ、そのサンプルはムーニー粘度(ML1+4,100℃)、RPA−2000における150℃での最適加硫点および加硫中のtanδの測定がなされる。
一方、5%以下PMMAがグラフトしているPMMA−g−BR150Lを含んだ第2ゴム組成物(実施例A〜C)の加硫時間は参照実験(BR150L)に比べて、より速くなっている。
こうした加硫速度が速くなる原因は、TEMPOラジカルに加硫促進効果があるためではと考えられる。これに反して、グラフトしたPMMAの割合が多すぎると、加硫を阻害してしまうのは、TEMPOラジカルの加硫促進効果がほとんど無くなってしまうからである。
表4にPMMA−g−BR150Lを含んだシリカ配合ゴム組成物の物性を示す。
表4より、シリカ配合した加硫物では全て、参考例に比べて粘弾性の物性が改善していることが分かる。
特に、天然ゴム、UBEPOL BR150LおよびPMMA−g−BR150Lを成分に含んだ加硫物は、参考例のBR150Lに比べ、−30℃における弾性率(G')がより低くなっており、その結果、シリカの凝集割合が低くなっている、あるいはシリカのゴムマトリクスへの分散状態が良くなっていることがわかる。
本願発明での全ての加硫物の機械強度に関しても、引張強度や引張伸びなどの結果が、参考例のBR150Lに比べて、上昇していることがわかる。
20%スリップ速度でのランボーン摩耗抵抗の結果から、本願発明における全てのゴム加流物は、参考例のBR150Lに比べて、約1〜7%改善していることが分かる。
本願発明で用いられている天然ゴム、UBEPOL BR150Lおよびポリアルキルアクリレート−グラフト化BR150Lからなるシリカ配合ゴム組成物は、1,4−ポリブタジエンの主鎖にグラフトしたポリアルキルアクリレート鎖のような極性のある機能性を導入することで、シリカーゴム相互作用を改善したゴム加硫物を提供することが可能となる。
その結果として、低温での濡れ摩擦特性のバランスを保ちながら、低ヒステリシスロスや低発熱性の改善することが出来る。これらのゴム加流物は、エネルギー損失あるいは効果的な省エネルギーに優れた粘弾性特性や耐久性を持った数多くの用途として、天然ゴムやジエン系合成ゴムを組み合わせたゴム成分として使用される高い可能性を示す。特に以下に限定されるもではないが、具体的用途としては、工業用ベルト、ホース、シール材を含む他の産業用エラストマーなどがあげられる。
(変性ゴム中のグラフトしたポリマー(ポリアルキルアクリレート)含量)
変性ゴム中のグラフトしたポリマー(ポリアルキルアクリレート)含量は、標準KBr法を用いて、島津製作所製Shimadzu−8700を用いたFT−IRスペクトルを測定することで行った。
市販のポリアルキルアクリレートとBR150Lをブレンドしたものの検量線は、全ビーク面積に対するC=O(波数1734cm−1でのカルボニル基)のピーク面積の比によってプロットした。
それぞれのグラフトしたサンプルゴムの全ビーク面積に対するC=O(波数1734cm−1でのカルボニル基)のピーク面積の比の結果は、ゴム中のグラフト含量を決定するのに、検量線を用いて比較される。
グラフト率(PG)は重量%で表され、前述したFT−IR測定から得られたグラフトしたポリマーの含量の結果から以下の計算式によって求めることが出来る。
分子量及び分子量分布は、東ソー社製HLC−8220 GPCを用い、カラムを2本直列にて使用し、標準ポリスチレンの検量線により算出した。使用したカラムはShodex GPC KF−805L columnsであり、THF中でのカラム温度を40℃に測定することで行った。
ゲル含量の測定は、ゴムサンプル1gをトルエン50mlに溶解し、室温にて24時間攪拌して行った。
ゴムのトルエン溶液は予め重量を測定してあるNo.250メッシュのろ過器を使ってろ過した後、トルエンで数回洗浄した。膨潤したゲルを濾したろ過器は、100℃の真空状態で30分間乾燥し、デシケーター中で保管され、その後、重量が測定される。
ゲル含量(%)は以下の式で計算される。
熱安定性は、島津製作所製Shimadzu TGA−50を用いた熱重量分析(TGA)にて行った。測定条件は、毎分10℃の昇温速度で30〜600℃にて上昇させた後、600℃で15分間保持した。
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)測定は、JIS K−6300に準拠して行った。
動的歪み掃引分析は、温度120℃と150℃にて、周波数を1Hzに固定した条件で、Alpha Technologies社製ゴム加工性解析装置RPA−2000を使って行った。
ゴムの加硫時間は、ゴム組成物の加硫状態が90%進行した時間(t90)として測定した。測定装置は、Alpha Technologies社製のRPA−1000を用い、温度150℃にて、周波数を1Hzおよび角度0.5度に固定した条件で測定し、JIS K−6300−2に準拠して行われた。
動的温度掃引分析は、EPLEXOR 100N(ドイツ国GABO社製)を用いて、温度−120〜100℃の間で、周波数を16Hzおよび角度0.5度に固定した条件で測定した。
発熱特性と圧縮永久歪の測定は、Goodrich Flexometer(上島製作所社製)を用いて、温度100℃、重量55ポンド、ストローク長0.175インチ、振動数毎分1800回の条件にて、JIS K−6265および米国規格ASTM D−623(ISO 4666/3:1982)に準拠して行われた。
破壊特性における引張強度や引張伸びの測定は、JIS K−6251に準拠して、TENSILON RTG−1310張力計(A&D社製)を用いて行われた。
耐摩耗性の測定は、ランボーン摩耗抵抗機を用い、20%のスリップ速度にてJIS K6265に準拠して行われた。
(実施例1)
窒素雰囲気下にて攪拌翼、還流器、熱電対を伴った1リットルのガラス反応器がオイルバスに設置され、その中に使用前に窒素で1時間バブリングし、かつモレキュラーシーブスで脱水しておいた350mlのトルエン溶媒を入れた後、窒素が加圧状態で小さくカットした10g(0.185mol)の1,4−シス-ポリブタジエン(BR150L)小片を入れた。BR150Lを室温、1.5〜2時間、攪拌速度350〜400(回/分)にてトルエン溶液に溶かす。その後、0.72g(TEMPOとBPOのモル比=1.0になるよう)の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)を窒素雰囲気下で投入する。その後、メチルエチルケトンとメタノールの混合溶液にて再結晶化した1.12g、即ち0.185mol(2.5%グラフト率)に相当するジベンゾイルパーオキシド(BPO)を窒素雰囲気下で投入する。
温度を85℃に上げ、その温度にて攪拌速度350(回/分)かつ30分間熟成をする。その後、24.7mlのCaH2上、減圧蒸留したメチルメタクリレート(MMA)(グラフトサイトに対するMMAのモル比DPn=50になるように)をシリンジからゴム膜を貫通させることで反応器に加えた。ガスタイトシリンジで採取した0.5mlのトルエン溶液のサンプルを直ぐにメタノールとイソプロパノール(1ml)の混合冷媒10mlに投入して、沈殿させた。
グラフト共重合反応は、温度85℃、攪拌速度350(回/分)にて4時間行った。4時間後、0.5mlのトルエン溶液サンプルが再度ガスタイトシリンジで抜き出され、直ぐにメタノールとイソプロパノール(1ml)の混合冷媒10mlに投入して、沈殿させた。重合前後でのアルコール溶液は、沈殿したゴムを取り除くためにろ過され、次いでMMAの転化率を決定するのにガスクロマトグラフに注入した。
反応器を40℃以下に冷却し、直ぐに反応器のトルエン溶液を冷やした大容量のメタノール中に投入して沈殿させ、攪拌しながら1時間保った。
ろ過後、沈殿したゴムを70℃で4時間、重量が一定になるまで真空乾燥した。
乾燥したゴムを55℃、3時間、アセトン還流で抽出し、ろ過した。
アセトン溶液を大容量のメタノールにて再沈し、抽出したPMMAホモポリマーをろ過、70℃で重量が一定になるまで乾燥した。アセトンで抽出したPMMAグラフト化BR150Lを、FT−IR、GPC、TGAおよびゲル量の測定をした。PMMAホモポリマーのサンプルも同様に、FT−IR、GPCで測定を行った。
実施例2のPMMAグラフト化BR150Lは、MMA/graft モル比(DPn)を75にした以外は、実施例1と同様の方法で合成した。
実施例3のPMMAグラフト化BR150Lは、MMA/graft モル比(DPn)を75にし、かつ重合温度を85℃から90℃に上昇させた以外は、実施例1と同様の方法で合成した。
実施例4のPMMAグラフト化BR150Lは、MMA/graft モル比(DPn)を100にした以外は、実施例1と同様の方法で合成した。
実施例5のPMMAグラフト化BR150Lは、MMA/graft モル比(DPn)を75にし、かつTEMPO/BPO モル比を0.9にした以外は、実施例1と同様の方法で合成した。
実施例6のPMMAグラフト化BR150Lは、MMA/graft モル比(DPn)を75にし、かつTEMPO/BPO モル比を0.7にした以外は、実施例1と同様の方法で合成した。
実施例7のPMMAグラフト化BR150Lは、MMA/graft モル比(DPn)を75にし、かつTEMPO/BPO モル比を0.5にした以外は、実施例1と同様の方法で合成した。
実施例8のPMMAグラフト化BR150Lは、トルエン溶液中のゴム濃度が0.043g/ml、MMA/graft モル比(DPn)を50にし、かつTEMPO/BPO モル比を0.95にした以外は、実施例1と同様の方法で合成した。
実施例9のPMMAグラフト化BR150Lは、トルエン溶液中のゴム濃度が0.043g/ml、MMA/graft モル比(DPn)を75にし、かつTEMPO/BPO モル比を0.95にした以外は、実施例1と同様の方法で合成した。
窒素雰囲気下にて攪拌翼、熱電対(還流器なし)を伴った1.5リットルのステンレス製反応器に使用前に窒素で1時間バブリングし、かつモレキュラーシーブスで脱水しておいた700mlのトルエン溶媒を入れた後、窒素が加圧状態で、小さくカットした20g(0.37mol)の1,4−シス−ポリブタジエン(BR150L)小片を入れた。
BR150Lを室温、1.5〜2時間、攪拌速度350〜400(回/分)にてトルエン溶液に溶かす。その後、1.37g(TEMPOとBPOのモル比=0.95になるよう)の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を窒素雰囲気下で投入する。
その後、メチルエチルケトンとメタノールの混合溶液にて再結晶化した2.24g、即ち0.37molの2.5mol%(2.5%グラフト率)に相当するジベンゾイルパーオキシド(BPO)を窒素雰囲気下で投入する。
温度を85℃に上げ、その温度にて攪拌速度350(回/分)かつ30分間熟成をする。この時点で、反応器内の圧力は、約1.5kgf/cm2となる。
熟成を30分後、74.2mlのCaH2上、減圧蒸留したメチルメタクリレート(MMA/グラフトサイトに対するMMAのモル比DPn=75になるように)を反応器に取り付けられたステンレスチューブから加える。この際、窒素圧力3kgf/cm2の下、窒素パージを三回繰り返して反応器に加える。ガスタイトシリンジで採取した0.5mlのトルエン溶液のサンプルを直ぐにメタノールとイソプロパノール(1ml)の混合冷媒10mlに投入して、沈殿させた。
グラフト共重合反応は、温度85℃、攪拌速度350(回/分)にて反応圧力約2〜2.5kgf/cm2の下、4時間行った。4時間後、0.5mlのトルエン溶液サンプルが再度ガスタイトシリンジで抜き出し、直ぐにメタノールとイソプロパノール(1ml)の混合冷媒10mlに投入して、沈殿させた。重合前後でのアルコール溶液は、沈殿したゴムを取り除くためにろ過され、次いでMMAの転化率を決定するのにガスクロマトグラフに注入した。
反応器を40℃以下に冷却し、反応器内圧力をベントバルブから放出した。
直ぐに反応器のトルエン溶液を冷やした大容量のメタノール中に投入して沈殿させ、攪拌しながら1時間保った。
ろ過後、沈殿したゴムを70℃で4時間、重量が一定になるまで真空乾燥した。
乾燥したゴムを55℃、3時間、アセトン還流で抽出し、ろ過した。
アセトン溶液を大容量のメタノールにて再沈し、抽出したPMMAホモポリマーをろ過、70℃で重量が一定になるまで乾燥した。
アセトンで抽出したPMMAグラフト化BR150Lを、重量が一定になるまで70℃で乾燥した。PMMAグラフト化BR150Lサンプルは、FT−IR、GPC、TGAおよびゲル量の測定をした。PMMAホモポリマーのサンプルも同様に、FT−IR、GPCで測定を行った。
参照実験1の変性したBR150Lは、MMAを加えていないこと、トルエン溶液中のゴム濃度が0.043g/ml、TEMPO/BPOモル比を1、かつ反応時間を4.5時間にした以外は、前記実施例1と同様の方法で合成した。
実施例11のPMMAグラフト化BR150Lは、開始剤BPOの代わりに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル),AIBNを使用した以外は、実施例1と同様の方法で合成した。また、トルエン溶液中のゴム濃度は0.043g/ml、AIBN/グラフトサイトのモル比は0.7である。
実施例12のPMMAグラフト化BR150Lは、AIBN/グラフトサイトのモル比を1.0にした以外は、実施例11と同様の方法で合成した。
実施例13のPMMAグラフト化BR150Lは、AIBN/グラフトサイトのモル比を1.0、TEMPO/AIBNモル比を0.95にした以外は、実施例11と同様の方法で合成した。
実施例14のPMMAグラフト化BR150Lは、AIBN/グラフトサイトのモル比を1.0、TEMPO/AIBNモル比を0.90、およびMMA/グラフトサイトのモル比を75にした以外は、実施例11と同様の方法で合成した。
実施例15のPMMAグラフト化BR150Lは、開始剤BPOの代わりに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)を使用し、TEMPO/AIBNのモル比を0.90にした以外は、実施例10(ステンレス製オートクレーブ中の実験)と同様の方法で合成した。
実施例16のPMMAグラフト化BR150Lは、AIBN/グラフトサイトのモル比を1.0、重合温度を85℃から90℃にした以外は、実施例11と同様の方法で合成した。
参照実験2の変性したBR150Lは、MMAを使用しないこと、AIBN/グラフトサイトのモル比を1.0、重合時間を4.5時間にした以外は、実施例11と同様の方法で行った。
表3に実施例A〜Cおよび比較例DとE(加硫物1〜5について)の詳細を示す。
(実施例A〜Cおよび比較例DとE)
開始温度が90℃、終了温度が150℃、混合時間が5分間以内で容量250mlの東洋精機社製ラボプラストミル中で混錬することで、天然ゴムと市販グレードのシス−1,4−ポリブタジエン(UBEPOL BR150L)であるジエン系ゴム成分が、最初にポリメチルメタクリレートグラフト化BR150L (PMMA−g−BR150Lと略記)と共にブレンドされた。ここで、このPMMA−g−BR150Lのポリメチルメタクリレート(PMMAと略記)のグラフト率(PGと略記)は実験により様々に変更している。
その後、沈降シリカ(Nipsil VN3)が、シランカップリング剤(Si69)や混合前成分であるシリカ、アロマオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸および酸化防止剤(6C)が加えられ、ブレンドされた。
混合工程から得られた第一ゴム組成物は、6インチのミキシングロールを用い、温度30〜60℃にて延伸された。そのサンプルは、ムーニー粘度測定とAlpha Technologies社製 RPA−2000を用いて、Payne効果解析が行われた。
加硫予備工程においては、得られた第1ゴム組成物シートが、6インチのミキシングロールを用い、温度30〜60℃にて、硫黄と加硫促進剤(CZ and D)と共に加えられ、さらに延伸されてシート化された。得られた第2ゴム組成物のサンプルは、ムーニー粘度測定とAlpha Technologies社製 RPA−2000を用いて、Payne効果解析と加硫時間(t90)測定が行われた。
加硫予備工程から得られたシリカ配合ゴム組成物は、実際の加硫時間(2t90)にて温度150℃で成形加工された。本願発明における様々な形態のゴム加硫物サンプルは、温度掃引による粘弾性、引張強度、発熱特性、さらに耐摩耗性(ランボーン摩耗)を測定するために用いられた。
参考例のシリカ配合ゴム組成物は、PMMAグラフト化BR150Lを使用していないことを除いては、実施例A〜Cおよび比較例D、Eと同様の方法で調製した。
Claims (7)
- (メタ)アクリル酸エステル系重合体をニトロキシド化合物を用いたラジカル重合(NMP法)を使用することによりグラフト変性した共役ジエン系ゴム。
- 該(メタ)アクリル酸エステル系重合体がポリアルキルアクリレートであることを特徴とする請求項1に記載のグラフト変性した共役ジエン系ゴム。
- 該共役ジエン系ゴムが1,4−シス構造を持ち、かつその割合が94〜99%である事を特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のグラフト変性した共役ジエン系ゴム。
- (メタ)アクリル酸エステル系重合体をニトロキシド化合物を用いたラジカル重合(NMP法)を使用することによりグラフト変性した共役ジエン系ゴムの製造方法。
- 該グラフト変性した共役ジエン系ゴム(A)、(A)以外の加硫可能なゴム(B)さらにゴム補強剤(C)を加える事を特徴とするゴム補強剤配合ゴム組成物。
- 該グラフト変性した共役ジエン系ゴム(A)、(A)以外の加硫可能なゴム(B)さらにゴム補強剤を加える事を特徴とするゴム補強剤配合ゴム組成物の製造方法。
- 該ゴム補強剤(C)がシリカであることを特徴とする請求項5〜6のいずれかに記載のゴム補強剤配合ゴム組成物。
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