以下図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に関する動作音収集システムの概略を説明するための図である。
動作音収集システムは、図1に示されるように、中央管理装置1、LAN IF(Local Area Network Inter Face)2、中継装置(1〜n)3、動作音収集装置4を備えている。
中央管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)1a、LAN IF1bおよびHDD1cを備えている。CPU1aは、当該中央管理装置1の制御を行う制御デバイスであり、動作音収集要求などの指令情報をLAN IF2を介して複数台ある中継装置3に送信する。さらに、CPU1aは、受信したデータとHDD(Hard Disk Drive)1cに記憶しているデータとを比較して解析(異常診断等)を行う。LAN IF1bは、複数台ある中継装置3とLANを介して接続するためのインタフェースである。HDD1cは、中継装置3から受信(入力)したエスカレータ(プラント)100の動作音データ、当該動作音データに対応する傾斜角データ(後述)、およびエスカレータ(プラント)100の正常時の動作音データおよび当該動作音データに対応する傾斜角データ等を記憶(蓄積)する。
中継装置3は、複数の動作音収集装置4が収集したエスカレータ(プラント)100の動作音を無線を介して受信する。中継装置3は、さらに複数台設けられており、夫々の中継装置3は、設定された複数の動作音収集装置4が収集したエスカレータ(プラント)100の動作音を無線を介して同時に受信する。このため、中継装置3は、複数の無線IF(インタフェース)を備えており、夫々の無線IFを介して、複数の動作音収集装置4から同時にエスカレータ(プラント)100の動作音を同時に受信することができる。
動作音収集装置4は、エスカレータ(プラント)100の所定の箇所に複数台設置されている。例えば、エスカレータ(プラント)100の稼動部分および固定部分に設置されている。これらのエスカレータ(プラント)100の稼動部分および固定部分に設置された動作音収集装置4から、同時に動作音を収集することができる。複数の動作音収集装置4は夫々中継装置3とペアリング処理を行い、無線接続の設定を行う。ペアリング処理を行った機器同士が無線接続を行うことができる。
中央管理装置1からの動作音収集要求などの指令情報はLAN IF2を通じシステム中に複数台ある中継装置3に送られる。中継装置3は送られてきた指令情報に基づき無線にて接続し、管理している動作音収集装置4に対し指令情報を伝達する。動作音収集装置4は、指令情報に基づき動作すると共に、動作結果を中継装置3に送り返す。動作結果は、例えば収集した動作音データなどである。中継装置3は送られてきた結果をLAN IF2を通じ中央管理装置1に例えば一日に一回送信する。収集された動作音データなどは一次的に中継装置3内に保管される。中央管理装置1は送られてきた動作音データなどに基づいて表示を行う。また中央管理装置1は送られてきた動作音データなどのデータ保管、分析などを行う。収集された動作音データなどは中央管理装置1の2次記憶装置であるHDD1cに蓄積される。
図2は、上述した中継装置3の構成を示すブロック図である。中継装置3は、CPU31、LAN IF(インタフェース)32、プログラムROM(Read Only Memory)33、データ保管ROM(Read Only Memory)34、ワークRAM(Random Access Memory)35、リアルタイマ36、無線 IF(インタフェース)37から構成されている。
CPU31はプログラムROM33に記憶されているプログラムに従い動作する制御デバイスである。プログラムROM33は、中央管理装置1から送られてくる指令情報に従って動作するプログラムが記憶されている。データ保管ROM34は、各動作音収集装置4から受信した動作音データを記憶する。ワークRAM35は、各動作音収集装置4から受信した動作音データを一時記憶する作業メモリ領域である。リアルタイマ36は、中央管理装置1からの指令情報である時刻データの値を設定するタイマーモジュールである。
CPU31はLAN IF32から送られてくる中央管理装置1からの指令情報に基づいて動作する。例えば時刻設定コマンドの場合は送られてきた時刻データの値を内部のリアルタイマ36にセットする。更に内部に複数個設けられている無線 IF(インタフェース)37を通じて、管理している動作音収集装置4に対し時刻設定コマンドを同時に伝達する。CPU31は無線 IF(インタフェース)37を通じて、各動作音収集装置4から設定終了を受け取った後LAN IF32を通じ中央管理装置1に設定終了を通知する。
動作音収集装置4から動作音データが送られてきた場合は、一旦無線 IF(インタフェース)37からのデータをワークRAM35に保管する。同時に送られてくる区切り用データを用いワークRAM35内部のデータを区切り用データに関連付けてデータ保管ROM34に保管する。保管処理終了後にLAN IF32を通じ中央管理装置1に収集終了を通知する。その後中央管理装置1はデータ送付指令を送付し、必要な動作音データを中継装置3のデータ保管ROM34から受信する。
次に、図3は、動作音収集装置4の内部構成を示すブロック図である。動作音収集装置4は制御CPU41、電源回路42、電池43、無線IF(インタフェース)44、リアルタイマ45、ROM46、RAM47、マイク+IF48、傾斜センサ101から構成されている。
制御CPU41はROM46に保管された制御プログラムに従い動作を行う制御デバイスである。また、制御CPU41は無線IF(インタフェース)44からの動作指令を受け動作する。電源回路42は電池43からの起電力を受けて動作音収集装置4の各デバイスに電源を供給するための制御を行う回路である。電池43は起電力を蓄積しておく蓄電デバイスである。動作音収集装置4は、エスカレータ(プラント)100の可動部分(例えば、踏み段等)にも設置されるため、単独で動作するための電池43が必要となる。無線IF(インタフェース)44は収集したエスカレータ(プラント)100の動作音を中継装置3に無線送信するための無線デバイスである。動作音収集装置4は、エスカレータ(プラント)100の可動部分にも設置されるため、収集した動作音を無線で送信することが望ましい。リアルタイマ45は制御CPU41の起動時刻等を設定するタイマーモジュールである。当該リアルタイマ45を用いることで、精度よく音データの収集を開始することができる。ROM46は制御CPU41の制御の下に実行される制御プログラム等を記憶する。RAM47はROM46から読み出された制御プログラム等をロードして一時記憶領域として用いるメモリデバイスである。マイク+IF(インタフェース)48はエスカレータ(プラント)100の動作音を収集する集音デバイスである。マイク+IF(インタフェース)48はマイクに集音した動作音データの出力を行うインタフェースが接続されたデバイスであり、エスカレータ(プラント)100の可動部分および固定部分の夫々に設けられる。傾斜センサ101はマイク+IF(インタフェース)48が設置された場所の傾斜を検出する傾きセンサである。エスカレータ(プラント)100の可動部分にマイク+IF(インタフェース)48が設置された場合、マイク+IF(インタフェース)48の傾きを検出することができる。
制御CPU41はROM46に保管された制御プログラムに基づいて動作を行う。制御CPU41は無線IF(インタフェース)44からの動作指令を受け動作を行う。例えば動作指令が時刻設定コマンドの場合はリアルタイマ45に時刻設定コマンドに基づいて時刻データを設定する。その後、制御CPU41は無線IF(インタフェース)44を経由し中継装置3に時刻設定完了を送る(後述)。
制御CPU41は(定期的に)リアルタイマ45に起動時刻を設定する。この設定後に、制御CPU41は電池43からの電源を供給する電源回路42に対し電源低消費出力モード指令を送信すると共に、制御CPU41も電源低消費動作(モード)に入る。電源回路42は電源低消費出力モード指令を受け無線IF(インタフェース)44、マイク+IF48、傾斜センサ101などへの電源供給を休止する。リアルタイマ45は設定された起動時刻に達した時点で制御CPU41に通知を行う。この通知を受けた制御CPU41は起動し電源低消費出力モードから通常動作モードに復帰する。
また、制御CPU41は動作音収集時刻に達した場合、無線IF(インタフェース)44を経由して中継装置3に集音動作開始を通知すると共に、動作音収集動作(処理)を行う。また、制御CPU41は無線IF(インタフェース)44から動作音の収集指令が来た場合は、その都度、動作音収集動作を行う。制御CPU41は動作音収集動作(処理)時、マイク+IF48および傾斜センサ101から送出されたデータ(動作音データ、傾斜角データ)をRAM47に一時的に記憶(保管)し、動作音データ(受け取り音データ)及び傾斜角データから得られる区切り情報(後述)を無線IF(インタフェース)44を経由し中継装置3に送る。区切り情報は、例えば、音データに重畳されて送信される方式(後述:図6参照)、データのCHを分けて音データ用CHと区切り情報CHに音声データとして合わせて送信される方式(後述:図7参照)等が可能である。傾斜角データから得られる区切り情報を用いることにより、磨耗等による経年劣化を起こすことなく、振動の影響も軽減しつつ、エスカレータ等の周期的に移動する装置の周回数を把握することができ、且つ、動作音データを収集した可動部分および動作音データを収集しない可動する部分の位置を特定する精度を向上させることができる。
次に、区切り情報(区切りデータとも称する)について詳しく説明する。
区切り情報とは、エスカレータ(プラント)の一部が周期的に可動する場合、例えば可動部分の傾斜が傾斜角90度を基準に反転した位置のいずれか1つを区切り位置とする。図8は、傾斜センサを用いた区切り情報の作成の例を模式的に示す図である。エスカレータの踏み段(可動部分)に傾斜センサ101を取り付けて区切り情報を作成する。この場合、エスカレータの下段での位置反転時を区切りとし、傾斜角90度を基準に区切り情報を作成している。この区切り情報を用いて、エスカレータ等の周期的に移動する装置の点検を行う際の周回数を把握することができる。また、動作音データを収集した可動部分の位置を特定することができる。
例えば、図9に示されるように、エスカレータ100の踏み段に取り付けられた傾斜センサ101は下段から上段へ向けて移動する状態(状態A)であり、傾斜センサ101から得られる傾斜角は、180度となる(図8参照)。次に、図10に示されるように、傾斜センサ101が上段の位置まで移動して反転する状態(状態B)となった場合、傾斜センサ101から得られる傾斜角は、反転が行われるため180〜360度の間となる(図8参照)。続いて、図11に示されるように、傾斜センサ101が反転してエスカレータ100の裏面を上段から下段へ向けて移動する状態(状態C)の場合、傾斜センサ101から得られる傾斜角は、約330度となる(図8参照)。そして、次に、図12に示されるように、傾斜センサ101が下段の位置まで移動して反転する状態(状態D)となった場合、傾斜センサ101から得られる傾斜角は、反転が行われるため0〜360度の間となる(図8参照)。その後に、また最初の状態Aに戻る。このようにエスカレータ100は周期的に可動する部分を備えているものとする。
次に、本実施形態の作用について図4、図5のシーケンス図を参照して説明する。
図4は、本実施形態に関する動作音収集システムを適用した動作音収集方法における定期的に動作音収集を行う場合(定時刻動作音収集)について示したシーケンス図である。
中央管理装置1は、時刻設定コマンドなどの指令情報をLAN IF2を通じシステム中に複数台ある中継装置3に送信することで、タイマ値のセットを開始する(ステップS101)。各中継装置3は受信した指令情報である時刻設定コマンドに基づき無線にて接続し、管理している各動作音収集装置4に対し指令情報(時刻設定コマンド)を一斉に送信することで、リアルタイマ値のセットを開始する(ステップS102)。各中継装置3は管理する各動作音収集装置4に対し指令情報(時刻設定コマンド)を一斉に送信することで、時刻同期の誤差を小さくすることができる。中継装置3のCPU31はLAN IF32を介して中央管理装置1から送られてくる指令情報(時刻設定コマンド)に従い動作する。中央管理装置1から送られてくる指令情報が時刻設定コマンドである場合は、送られてきた時刻データの値を中継装置3のリアルタイマ36にセットする。更に内部に複数個ある無線 IF(インタフェース)37を介して、中継装置3が管理するように設定されている複数の動作音収集装置4に対し時刻設定コマンドを同時に伝達する。
動作音収集装置4の制御CPU41は、無線IF(インタフェース)44を介して受信した時刻設定コマンドに基づいて動作する。即ち、中継装置3から送られてくる指令情報が時刻設定コマンドの場合は、動作音収集装置4のリアルタイマ45に時刻データを設定する(ステップS103)。その後、動作音収集装置4の制御CPU41は無線IF(インタフェース)44を介して中継装置3に時刻設定完了を送ると共に、リアルタイマ45の動作が開始されるため、設定された時刻まで動作(動作音収集処理)を停止する(ステップS104)。設定された時刻まで動作(動作音収集処理)を停止することで、無線IF44を始めとする主要部への電源供給を停止し、電池43の消耗を軽減する。
動作音収集装置4は(定期的に)リアルタイマ45に制御CPU41の起動時刻を設定する。この設定後、動作音収集装置4は電池43からの電源を供給する電源回路42に対し電源低消費出力モード指令を行い、動作音収集装置4も電源低消費動作に入る。動作音収集装置4の電源回路42は、電源低消費出力モード移行の指令を受け無線IF(インタフェース)44、マイク+IF48、傾斜センサ101などへの電源供給を休止する。
中継装置3のCPU31は無線 IF(インタフェース)37を介して各動作音収集装置4から設定終了を受け取った後、LAN IF32を通じ中央管理装置1に、完了確認(収集の完了の終了の通知)を通知する(ステップS105)。中央管理装置1は、当該通知を受けて完了確認を行う(ステップS106)。
動作音収集装置4のリアルタイマ45はタイマを起動する(ステップS107)と共に、制御CPU41は無線IF(インタフェース)44を介して、中継装置3に集音動作開始を通知する。中継装置3のCPU31は無線 IF(インタフェース)37を介して各動作音収集装置4から集音動作開始の通知を受け取った後、収集開始待ち状態となる(ステップS108)と共に、中央管理装置1に当該通知を送信する。中央管理装置1は集音動作開始の通知を受け取った後、収集開始待ち状態となる(ステップS109)。
動作音収集装置4のリアルタイマ45は設定された起動時刻に達した時点で制御CPU41に通知する。この通知を受けた制御CPU41は起動し電源低消費出力モードから通常動作モードに復帰する。動作音収集装置4の制御CPU41は動作音収集動作を行う(ステップS110)。各動作音収集装置4の動作音収集動作は、可動部分および固定部分の両方の動作音収集動作を同時に行う。このように、可動部分および固定部分の両方の動作音収集動作を同時に行うことにより、同じ時刻に収集した動作音データを比較することができる。各動作音収集装置4は、収集した動作音の音データを中継装置3に無線IF44を介して送信する。中継装置3は複数の無線IFを介して各動作音収集装置4から送信されてきた動作音の音データを同時に受信して保管(データ保管)する(ステップS111)。
中継装置3は、中央管理装置1に集音動作開始を通知する。当該通知を受けた中央管理装置1は中継装置3に音データの転送(送信)を開始させるための転送開始指令を送信し、音データの取り出しを開始する(ステップS112)。中継装置3は当該指令を受け、データ保管してある音データを取り出して(読み出して:ステップS113)中央管理装置1に送信する。中央管理装置1は受信した音データを保管(データ保管)する(ステップS114)。
以上のようにして、定期的に動作音データを収集する。
次に図5は、本実施形態に関する動作音収集システムを適用した動作音収集方法における動作音データの収集指令による任意のタイミングで動作音収集を行う場合のシーケンス図である。
中央管理装置1は動作音収集開始コマンドである収集開始指令をLAN IF2を介してシステム中に複数台ある各中継装置3に送信することで、動作音の収集開始を実行する(ステップS201)。中継装置3は送られてきた収集開始指令に基づき無線にて接続し、管理している動作音収集装置4に対し収集開始指令を伝達する。
各動作音収集装置4の制御CPU41は無線IF(インタフェース)44を介して収集開始指令を受信して受付け(ステップS202)、動作音収集動作を開始する(ステップS203)。各動作音収集装置4の制御CPU41は無線IF(インタフェース)44を介して、管理されている中継装置3に集音動作開始として収集開始応答を通知する。
当該通知を受けた中継装置3は、収集開始待ち状態となり(ステップS204)、中央管理装置1に集音動作開始として収集開始応答を通知(返答)する。当該通知を受けた中央管理装置1は収集開始待ち状態となる(ステップS205)。
各動作音収集装置4の制御CPU41は集音動作開始後 マイク+IF48、傾斜センサ101から動作音の音データを一旦RAM47に保管し、受け取り音データ及び傾斜角から得られる区切り情報を無線IF(インタフェース)44を経由し中継装置3に送る(ステップS206)。
中継装置3は動作音収集装置4から動作音データが送られてきた場合は、一旦無線 IF(インタフェース)37からのデータをワークRAM35に保管する(ステップS207)。同時に送られてくる区切りデータの符号を用いワークRAM35内部のデータをデータ保管ROM34に分割して保管する。保管処理終了後にLAN IF32を通じ中央管理装置1に収集終了を通知する。当該通知を受け中央管理装置1は中継装置3に保管された動作音の音データの取り出しを開始するために、データ送付指令を中継装置3に送信する(ステップS208)。当該通知を受け中継装置3は必要な動作音データを中継装置3の保管ROM34から取り出して中央管理装置1に送信する(ステップS209)。音データを受信した中央管理装置1はHDD1cに保管する(ステップS210)。
次に、各動作音収集装置4から区切りデータを中継装置3に送信する場合について図6、図7を参照して説明する。
各動作音収集装置4は、エスカレータ(プラント)100の動作音の音データ200および傾斜角データ201を収集する。収集された傾斜角データ201は、各動作音収集装置4の制御CPU41によって区切りデータ202に変換される。例えば、上述したように、傾斜角データ201に基づいて反転位置を検出して、区切り位置であるかを判別して、区切り位置であると判別された場合は、区切りデータ202として生成する(図13等参照)。各動作音収集装置4の制御CPU41によって生成された区切りデータ202は、収集された音データ200と重畳して送信データ203が生成される。
また、別の形態においては、収集された傾斜角データ201は、各動作音収集装置4の制御CPU41によって区切りデータ202に変換される。各動作音収集装置4の制御CPU41によって生成された区切りデータ202は、送信データであるステレオデータの片方のチャネル、例えば右(R)チャネルとし、収集された音データ200は、送信データのもう一方のチャネル、例えば左(L)チャネルとし、RとLの両方のチャネルが1つの送信データ(ステレオデータ)が生成される。なお、各動作音収集装置4から中継装置3に送信される区切りデータ202の送信方法は、上述した形態に限定されるものではなく、各動作音収集装置4から中継装置3に送信される形態であればよい。このような形態とすることで、送信データの単純化が可能となり、送信するデータ量を軽減させることができる。
次に、上述した区切りデータの説明では、エスカレータ(プラント)100の踏み段は、表側では下段から上段へ移動しており、裏側では上段から下段へ移動しているが、これに限定されるものではない。例えば、図13〜図17に示されるように、エスカレータ(プラント)100の表側では上段から下段へ移動しており、裏側では下段から上段へ移動している形態としてもよい。
例えば可動部分の傾斜が傾斜角90度を基準に反転した位置のいずれか1つを区切り位置とする。図13は、傾斜センサを用いた区切り情報の作成の例を模式的に示す図である。エスカレータの踏み段(可動部分)に傾斜センサ101を取り付けて区切り情報を作成する。この場合、エスカレータの下段での位置反転時を区切りとし、傾斜角90度を基準に区切り情報を作成している。図14に示されるように、エスカレータ100の踏み段に取り付けられた傾斜センサ101は上段から下段へ降りて行く状態(状態D)であり、傾斜センサ101から得られる傾斜角は、180度となる(図13参照)。次に、図15に示されるように、傾斜センサ101が下段の位置まで移動して反転する状態(状態E)となった場合、傾斜センサ101から得られる傾斜角は、反転が行われるため180〜0〜360度の間となる(図13参照)。続いて、図16に示されるように、傾斜センサ101が反転してエスカレータ100の裏面を下段から上段へ向けて移動する状態(状態F)の場合、傾斜センサ101から得られる傾斜角は、約330度となる(図13参照)。そして、次に、図17に示されるように、傾斜センサ101が上段の位置まで移動して反転する状態(状態G)となった場合、傾斜センサ101から得られる傾斜角は、反転が行われるため約330〜360〜180度の間となる(図13参照)。その後に、また最初の状態Dに戻る。
中央管理装置1は各中継装置1から受信したエスカレータ(プラント)100の動作音の音データ、傾斜角データおよび区切り情報に基づいて、受信した音データがエスカレータ(プラント)100のどの位置(可動部分または固定部分等)の音データかを判別することができる。例えば図18に示されるように、エスカレータ(プラント)100の固定部分である上段位置110および下段位置112等に設置されているマイク+IF48および傾斜センサ101であれば、傾斜角データに変化はないため、固定部分である予め設置された場所の音データであることが判別できる。同様に、エスカレータ(プラント)100の可動部分である踏み段111に設置されているマイク+IF48および傾斜センサ101であれば、傾斜角データが区切り情報を基準として周期的に変化するため、エスカレータ(プラント)100の可動部分が当該エスカレータ(プラント)100のどの場所に位置した時の音データであるかを判別できる。
次に、中央管理装置1は例えば状態Aでの音データと、中央管理装置1のHDD1cに記憶されている正常時の状態Aの音データとを比較して、HDD1cに記憶されている閾値の範囲内であれば正常、閾値の範囲外であれば異常と判別する。例えば音データの音量を用いる場合、正常時の状態Aの音データの閾値の範囲が、例えば20〜30dbであり、収集した状態Aでの音データが例えば25dbであれば正常と判別し、収集した状態Aでの音データが例えば35dbであれば異常と判別する。なお、音データの音量以外にも、音データの周波数等、または音量と周波数の両方を用いるようにしてもよい。
さらに、上述した図18に示されるように、固定部分110、112および可動部分111の同じ時間の動作音データを同時に収集しているため、双方を比較して異常か否かを判別することができる。例えば、8月7日6時30分の時点での収集された動作音データとして、固定部分110が25db、固定部分112が28db、可動部分111の状態Aが30db、可動部分111の状態B(固定部分110付近)が34db、可動部分111の状態Cが29db、可動部分111の状態D(固定部分112付近)が41dbとして音データが収集され、閾値として、固定部分110が20〜30db、固定部分112が15〜25db、可動部分111の状態Aが25〜35db、可動部分111の状態B(固定部分110付近)が30〜40db、可動部分111の状態Cが25〜35db、可動部分111の状態D(固定部分112付近)が35〜40dbとして設定されている場合について説明する。
中央管理装置1は収集された音データが夫々閾値内にあるか否かを判別する。収集された音データが閾値内にないものは、可動部分111の状態D(固定部分112付近)が41dbである場合である。可動部分111の状態Dは、固定部分112とほぼ同じ場所に位置する状態である。さらに、固定部分112の8月7日6時30分の時点での収集された音データの音量は閾値内にない28dbであり異常と判別されている。2箇所の音データが異常を示しているため、より高い確率で異常を検出することができる。このように、同じ時間における可動部分および固定部分の音データを同時に収集しているため、別々の時間に収集する場合と比較して、より確度が高い異常の判別を行うことができる。即ち、可動部分と固定部分との音データを別々の時間に収集した場合は、音データの異常を両方同時に検出する可能性が低くなり、同じ時間の音データ同士を比較することもできないため、本実施形態では、可動部分と固定部分との音データを同時に収集する形態を取っている。
さらに、音データを収集する可動部分以外の場所で可動する箇所(例えば、音データを収集していないエスカレータの踏み段等)で、且つ、固定部分を可動時に通る場合に、異常位置を推定することが可能となる。例えばエスカレータの場合、音データを収集するためのマイク+IF48等が設置されている踏み段(可動部分)以外の踏み段の異常(磨耗など)が原因で発生する異常音がある場合、固定部分で収集した音データも可動部分と同時に収集しているため、可動部分との音データの比較を行うことで、異常音を検出した音データを収集していないエスカレータの踏み段の位置が推定できる。例えば固定部分110における12月10日7時20分の時点での音データが35db(閾値の範囲外)であると検出された場合、且つ、同時間の可動部分111の状態Aまたは状態C(反転動作しない位置)の音データが閾値の範囲内であると検出された場合は、固定部分110を12月10日7時20分の時点で通過したエスカレータの踏み段の位置が異常であると判別する。踏み段の位置の特定は、例えば可動部分111の状態Aまたは状態Cの12月10日7時20分の時点での音データに異常が見られなければ、可動部分111からは遠い位置であると判別され、可動部分111の状態Aまたは状態Cの12月10日7時20分の時点での音データに異常が見られた場合は、可動部分111から近い位置であると判別される。また、他にもベルトや動作用チェーンなどが原因の場合も、当該ベルトや動作用チェーン自体の音データを収集していなくとも、ベルトや動作用チェーンが近傍に設置されている固定部分で異音が収集された場合は、当該ベルトや動作用チェーン自体の異常の可能性があると推定できる。なお、上述した実施形態では、周期的に移動する部分を含んだプラント装置としてエスカレータについて説明したがこれに限定されることはない。例えばベルトコンベア等、周期的に移動する部分を含んだプラント装置であればよい。
本実施形態を用いることにより、効率的にエスカレータ等のプラント装置の動作音の収集を行うことができる。即ち、可動部分と固定部分とが混在するプラント装置の動作音を同じ時間に同時に収集することにより、短時間で音データを収集して異常検査時間を短縮させると共に、確度の高い異常音の検出を行うことができる。また、区切り情報を用いて、磨耗等による経年劣化を起こすことなく、振動の影響も軽減しつつ、エスカレータ等の周期的に移動する装置の周回数を把握することができ、且つ、動作音データを収集した可動部分他の位置を特定する精度を向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。