JP2011168293A - 配送品収納袋並びにその再生・再利用方法 - Google Patents

配送品収納袋並びにその再生・再利用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リサイクルが容易であり、さらに重い荷物を収納した場合にも破損しにくく、また軽量かつコンパクトで保管や携帯にも適した配送品収納袋並びにその再生・再利用方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン不織布からなる不織布シートを裁断し、糸を用いて袋状に縫製し、そして該袋の開口部を閉じうるように面ファスナーを該開口部近傍の袋表面に取り付けてなる配送品収納袋であって、前記糸及び面ファスナーは、前記不織布シートの素材と同じポリオレフィン素材からなることを特徴とする、配送品収納袋。
【選択図】図1

Description

本発明は配送品収納袋、さらに詳しくは、車両等により配送すべき配送品、例えば書類や書籍、文具等の配送品を、従来の包装又は包装容器に代わって収納して配送するための配送品収納袋に関する。より詳しくは、リサイクルが容易であり、さらに重い荷物を収納した場合にも破損しにくく、また軽量かつコンパクトで保管や携帯にも適した配送品収納袋に関する。さらに本発明は、上記配送品収納袋の再生・再利用方法にも関する。
従来より、国内の物流において、書類、書籍、或いは文具等の配送品は一般に特定の容器、例えば、開口部が自由に開閉可能な袋(例えば、紙袋、プラスチックフィルム袋、布袋など)、段ボール箱等の配送用容器に収納された後、必要に応じて更にコンテナなどに収納され、車両等の配送手段により配送先まで配送されている。
しかしながら、配送品の収納容器としての従来の袋類(紙袋、プラスチックフィルム袋、布袋)、段ボール箱には、以下に述べるような問題がある。
すなわち、これら従来の収納容器は、配送先にて、内部に収納された配送品を取り出す際に、通常、分解又は解体され、そして廃棄される。分解又は解体された従来の袋類や段ボール箱は、その後、再度収納容器として有効に利用することは難しいものであった。分解・解体をせずに、袋類や段ボール箱をそのまま複数回使用することもできるが、破損や汚れなどから再使用回数には限界がある。
使用済みの袋類、段ボール箱をリサイクルして再利用するにしても、リサイクル回数の増加とともにその費用が嵩むこととなり、また、リサイクル回数にも限界がある。
また、段ボール箱は一般に嵩張ることから、その一次保留場所や保管場所を広く確保する必要があり、再使用するために配送先から持ち帰る場合においても空箱の持ち運びは面倒であるという問題がある。さらに段ボール箱は組み立て等に手間や時間がかかることもあり、配送品の点数が多いとき、配送箱の準備及びその持ち運びが大変煩雑であり、従って、書類、書籍、文具等の配送品を短時間で効率良く取り扱うことができる収納容器が求められている。
すなわち、リサイクルが容易であり、さらに重い荷物を収納した場合にも破損しにくく、また軽量かつコンパクトで保管や携帯にも適した収納・配送容器が求められていた。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、配送品収納袋に使用する不織布シート、糸及び面ファスナーを全て同じポリオレフィン素材とすることにより、リサイクルの際にこれらを分別するという煩わしい作業が省け、配送品収納袋のリサイクル化促進が期待されることを見出した。
また、前記配送品収納袋にロゴマーク等を印刷する場合、前記袋表面上に印刷インク層を設け、且つ、該印刷インク層と該袋との間に高い温水溶解性を有する高分子域を介在させることにより、袋本体より容易に分離除去することができ、よって印刷された配送品収納袋のリサイクル化促進が期待されることを見出した。
さらに、配送品収納袋に用いる不織布シートとして、バージンポリオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維層と、再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とが積層一体化されてなる再生された不織布シートを使用することにより、再利用可能な不織布シートとして必要な強度及び良好な表面外観を有する配送品収納袋を提供することを見出した。
そしてこれら改良された構成をなす配送品収納袋を主体とする収納袋の再生・再利用システムを構築し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の〔1〕乃至〔18〕に記載される不織布製及び該配送品収納袋のリサイクル方法に関する。
〔1〕ポリオレフィン不織布からなる不織布シートを裁断し、糸を用いて袋状に縫製し、そして該袋の開口部を閉じうるように面ファスナーを該開口部近傍の袋表面に取り付けてなる配送品収納袋であって、
前記糸及び面ファスナーは、前記不織布シートの素材と同じポリオレフィン素材からなることを特徴とする、配送品収納袋。
〔2〕前記袋表面上に印刷インク層を設け、且つ、該印刷インク層と該袋との間に高い温水溶解性を有する高分子域を介在させてなることを特徴とする、〔1〕記載の配送品収納袋。
〔3〕前記高分子域は、20℃の水100gに対して20g未満そして60℃の水100gに対して60g以上の溶解度を有する高分子からなることを特徴とする、〔2〕に記載の配送品収納袋。
〔4〕前記高分子域は、架橋構造を有する変性ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする、〔2〕又は〔3〕に記載の配送品収納袋。
〔5〕前記変性ポリビニルアルコールは、20℃の水100gに対して20g未満そして60℃の水100gに対して60g以上の溶解度を有する高分子からなることを特徴とする、〔4〕に記載の配送品収納袋。
〔6〕前記高分子域は、該高分子の層が前記袋の不織布シートの表面上に形成されてなる、〔2〕乃至〔5〕のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
〔7〕前記高分子域は、該高分子が前記袋の不織布シート内に含浸して形成されてなる、〔2〕乃至〔5〕のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
〔8〕前記不織布シートは、バージンポリオレフィン繊維からなる未再生不織布シート又は再生ポリオレフィン繊維を含む再生された不織布シートである、〔1〕に記載の配送品収納袋。
〔9〕前記再生された不織布シートは、バージンポリオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維層と、再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とが積層一体化されてなる不織布シートである、〔8〕に記載の配送品収納袋。
〔10〕前記バージン繊維層は厚さ1.0mm以下の繊維層であり、前記再生繊維層は厚さ1.0mm以下の繊維層である、〔9〕に記載の配送品収納袋。
〔11〕前記再生ポリオレフィン繊維の含有率は、前記不織布シートの質量に基づいて10乃至90質量%である、〔9〕又は〔10〕に記載の配送品収納袋。
〔12〕前記バージン繊維層はバージンポリプロピレン繊維からなり、前記再生繊維層は再生ポリプロピレン繊維からなる、〔9〕乃至〔12〕のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
〔13〕前記不織布シートはポリプロピレン不織布からなり、前記糸はポリプロピレン連続フィラメントからなり、前記面ファスナーはポリプロピレン製の面ファスナーであることを特徴とする、〔1〕乃至〔12〕のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
〔14〕前記配送品収納袋の内面にポリオレフィンをコーティングしてなるか、またポリオレフィンフィルムを貼着してなる、〔1〕乃至〔12〕のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
〔15〕使用済みの〔1〕乃至〔14〕のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋を、その配送先より回収する袋回収工程と、
回収された配送品収納袋の表面上の印刷インク層を袋本体より除去し、ついで該配送品収納袋を細片に切断し、不織布を構成する繊維をばらばらにして不織布材料を作る袋分解工程と、
得られた不織布材料から再生された不織布のシートを作るか、又は、該再生不織布とバー
ジン不織布とを積層一体化することにより、再生された不織布シートを製造するシート製造工程と、
再生された不織布シートを裁断し、袋状に縫製することにより、再生された配送品収納袋を作る袋縫製工程と、
再生された配送品収納袋の中に配送品を詰めて、その配送先に提供する配送工程とを含む、配送品収納袋の再生・再利用方法。
〔16〕前記袋分解工程において、回収された配送品収納袋を細片に切断する前に、該配送品収納袋の表面上の印刷インク層を袋本体より除去する脱インク工程を備えてなる、〔15〕に記載の配送品収納袋の再生・再利用方法。
〔17〕前記脱インク工程が、前記配送品収納袋を温水又はアルカリ水に浸漬し、その際、前記高分子域の温水又はアルカリ水への溶解により、前記印刷インク層を袋本体より除去する工程である、〔16〕に記載の配送品収納袋の再生・再利用方法。
〔18〕前記脱インク工程において、温水又はアルカリ水に浸漬された配送品収納袋に振動を加えることを特徴とする、〔17〕に記載の配送品収納袋の再生・再利用方法。
本発明の配送品収納袋は、袋本体、縫製に用いる糸及び面ファスナー等の部品がすべてポリオレフィン素材で構成されているため、リサイクルの際にこれらを分別するという煩わしい作業が省ける。
また本発明の配送品収納袋は、軽量であり且つコンパクトに折り畳むこともできるため、商品配送後、商品を配送品収納袋から取り出した後の袋の保管や携帯に非常に適している。
さらに本発明によれば、配送品収納袋にロゴなどの印刷を施しても、印刷インク層と該袋との間に高い温水溶解性を有する高分子域を介在させることで、前記印刷インク層を該袋より容易に取り除くことができる配送品収納袋が提供される。
しかも、本発明の配送品収納袋において、バージンポリオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維層と、再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とが積層一体化されてなる再生された不織布シートを使用することにより、使用済み不織布から再生される再生ポリオレフィン繊維に特別な手段を加えなくても、バージン繊維を100%用いた不織布シートの場合と同様の表面外観を呈し、かつ再生ポリオレフィン繊維だけでは不十分な強度を十分満足に補うことが出来る。したがって、使用済み不織布を再利用したものでありながら、必要な強度及び良好な表面外観を呈する不織布シートからなる配送品収納袋を低コストかつ容易に提供することが出来る。
また本発明の配送品収納袋は、再生が容易なポリオレフィン製不織布シートで構成されているため、使用済みの配送品収納袋を回収し、ロゴなどの印刷インク層を袋本体より除去することにより、該印刷インク層が取り除かれた使用済みの配送品収納袋を原料として、新たに配送品収納袋を容易に再生産することができる。従って、本発明により、配送品収納袋について、回収、再生産、そして再使用という循環を作るためのリサイクル化が格段に容易である。
図1(a)及び(b)は、本発明の実施例1の配送品収納袋を図示する斜視図である。 図2(a)乃至(d)は、本発明の実施例2の配送品収納袋を図示する斜視図である。 図3は、本発明の配送品収納袋の再生・再利用方法を説明する図であって、この袋を用いた商品の配送過程(図4(A))と該配送品収納袋の再生過程(図4(B))とからなる。 図4(a)乃至(h)は、実施例1の配送品収納袋1の製造過程を図示する模式図である。 図5は、実施例1の配送品収納袋1の印刷層を含むA−A’断面の拡大図である。 図6は、配送品収納袋14の印刷インク層13を形成する過程を図示する模式図である。 図7は、配送品収納袋18の印刷インク層16を形成する過程を図示する模式図である。 図8(I)乃至(III)は、再生された不織布シート22A〜22C断面の拡大図である。
本発明者らは、本出願より以前に、不織布からなる再生産可能な買物袋を提案している(特許文献1及び特許文献2)。
そこで本発明者らは、この技術を基礎に、さらに幾つかの改良をなすことにより、上述の課題を解消する配送品収納袋の開発に取り組んだ。
その開発は、配送品収納袋としての十分の強度を兼ね備え、軽量かつコンパクトで保管や携帯にも適するという袋そのものの性能に加え、回収・再生産そして再使用という完全なのリサイクル化を促進させることができる配送品収納袋を提供することを狙いとする。
以下、その経緯を述べる。
(1)印刷インキ面の除去
一般に、従来使用されてきた配送するための袋類や段ボール箱には、各小売店独自のロゴマーク等が印刷される。ロゴマークは小売店ごとに識別する機能、宣伝広告する機能を果たすことから、小売店としては再利用を目的とした配送品収納袋においてもロゴマーク等を印刷することが想定される。しかしながら、従来の不織布からなる袋類にロゴマークなどを印刷した場合、袋類の基材となる不織布を再生するためにそれら印刷インクを取り除く必要がある。
(2)再生された不織布シートの活用
近年、地球環境保全の問題に対処し、限りある資源の再使用を含めた有効利用の促進や、化石資源消費の削減が重要な課題となっている。このように環境保全の観点から、資源の有効利用に関するさまざまな技術が提案されるようになってきている。
例えば古紙パルプ由来のセルロース繊維と合成繊維からなる不織布(特許文献3)、高分子吸収ポリマー層と線状再生パルプにバージンパルプを混合させたシート状のパルプを積層した再生おむつ及び再生尿取りパッド(特許文献4)、バージン繊維層と、バージン繊維層に隣接して繊維製品リサイクル資材の粉砕物(リサイクル資材粉砕物)を主体とするリサイクル繊維層とが一体化されてなることを特徴とする繊維板(特許文献5)など、各種技術が提案されている。
しかし上記特許文献3には、合成繊維を再生使用した不織布に関する記載は無く、特許文献4では、再生パルプとバージンパルプを混合した場合、使用する再生パルプの品質によって、十分な強度が得られず、色ムラ、印刷適性が劣るなどの問題があり、特許文献5に具体的に記載されるのは、自動車用カーペット(床マット)等の繊維板をリサイクルして、ハードシート(半硬質乃至硬質)を製造する例のみでり、薄肉で軟質なシートのような繊維板に関する詳細な記述や実施例はない。
このように、従来、資源の有効利用の観点から、さまざまな技術が提案されているものの、未だ不織布の再生利用に関しては、再生された不織布は強度が不十分であり、かつ表面外観が求められる基準を満たさないことなどを理由に、使用済み不織布にさまざまな処理を施す必要があり、その煩雑さ及び採算性の観点から再利用が十分に展開しないのが実状である。
そして本発明者らは、高い温水溶解性を有する高分子域(印刷インキ除去域)を配送品収納袋(不織布シート)の表面とその上に印刷される印刷インク層との間に介在させることにより、顔料を含む印刷インク層を該袋から容易に除去できること、そして(1)の課
題を解消できることを見出した。
また、バージンポリオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維層と、再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とを積層一体化させることにより、必要な強度及び良好な表面外観を有する再生された不織布シートを容易にかつ低コストで提供できること、そして(2)の課題を解消できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明に係る配送品収納袋及びその再生・再利用方法を詳細に説明する。
<配送品収納袋>
本発明の配送品収納袋は、ポリオレフィン不織布からなる不織布シートを裁断し、糸を用いて袋状に縫製し、そして該袋の開口部を閉じうるように面ファスナーを該開口部近傍の袋表面に取り付けてなる配送品収納袋であって、前記糸及び面ファスナーは、前記不織布シートの素材と同じポリオレフィン素材からなることを特徴とする。
本発明の配送品収納袋は袋状の形状を有し、その具体例としては、図1(a)に示すように線状に閉じて伸びる底辺部を有する袋下部と、内側に折り畳まれてマチを有する左右の袋側部を有する袋である。該袋の開口部近傍の袋表面には、配送品収納袋内に収納された配送品の紛失を防ぐために、封止手段として面ファスナーが取り付けられた配送品出し入れ口を備える。
また配送品収納袋の袋表面には、配送伝票等を入れるポケットが備えられていてもよい。該ポケットは不織布シートや、或いは透明な樹脂シート等、具体的な樹脂材料は特に限定されない。
<不織布シート>
本発明の配送品収納袋には、リサイクルの容易さ、強度、成形性等の面から、素材としてポリオレフィン不織布シートが用いられ、例えばポリエチレン不織布シート又はポリプロピレン不織布シートが使用される。なかでも、再生が容易なポリプロピレン不織布からなる不織布シートが好ましい。
本発明の配送品収納袋に用いられる不織布シートは軽量であり、しかもコンパクトに折り畳むこと、並びに折畳み後に再展開して元の形状に戻すことも容易であるので、該配送品収納袋は、未使用時の一時保留及び保管性や、持ち運びなどの携帯性に大変優れている。また、該配送品収納袋は、前述したように、袋を構成する不織布シート、縫製に用いる糸及び面ファスナーにおいて全て同じポリオレフィン素材を使用することにより、分解分別する必要がなく、そのまま再生工程に送ることができ、ゆえに該配送品収納袋のリサイクル化は非常に容易である。
本発明においても散られる前記不織布シートは、バージンポリオレフィン繊維からなる未再生不織布シート、或いは、再生ポリオレフィン繊維を含む再生された不織布シートの何れであってもよい。
また、本発明に用いられる前記不織布シートは、無着色のもの、又は慣用の不織布染色技術、例えばビーム染色、液流染色、ディッピングなどの染色法によって染色したものを用いることができる。染色した不織布シートを用いて製造された本発明の配送品収納袋をリサイクルにより再利用する場合、色別に分別回収し、各々再生することによって、回収された袋材料を脱色することなくそれより新たな配送品収納袋を再生産することができる。
<再生された不織布シート>
本発明の配送品収納袋において、好ましくは、前記不織布シートとして再生された不織布シートを用いる。
再生された不織布シートとしては、再生ポリオレフィン繊維を含むものであればよく、例えば、100%再生ポリオレフィン繊維からなる不織布シート、バージンポリオレフィ
ン繊維と再生ポリオレフィン繊維の混合繊維よりなる不織布シート、或いは、バージンポリレフィン繊維からなる繊維層と、再生ポリオレフィン繊維を含む繊維からなる繊維層とが積層された不織布シートなどが挙げられる。
前記再生された不織布シートは、その材料(原料)としてポリオレフィン、例えばポリエチレンもしくはポリプロピレン、又はそれらが混合した不織布が使用される。特に好ましいのは再生が容易なポリプロピレンを単一材料として用いることである。このような構成とすることで、即ち再生が容易な材料の適用により、該再生された不織布シートを用いた本発明の配送品収納袋は、使用後回収し、再生しそして再利用するという循環を作るためのリサイクル化が容易となる。
本発明において、好ましくは、バージンポリオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維層と、再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とが積層一体化されてなる再生された不織布シートが使用される。
前記再生繊維層を構成する再生繊維としては、使用済みのポリオレフィン不織布をリサイクル可能な繊維状に解砕、開繊して、再生された繊維が使用される。再生繊維層は強度向上の観点から再生繊維とバージン繊維を併用してもよいが、資源の有効利用の観点からは再生繊維をより多く使用することが好ましい。
前記バージン繊維層を構成するバージン繊維としては、ポリプロピレン樹脂からの繊維化により或いはポリプロピレン繊維への慣用の重合法に従い製造される合成繊維が用いられる。該バージン繊維層の繊維には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の各種添加成分、例えば艶消剤、熱安定剤、顔料、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤、防カビ剤、芳香剤などの添加剤を添加することが出来る。
バージン繊維層及び再生繊維層の厚さは、1.0mm以下が好ましく、特に好ましくは0.2乃至0.5mmである。該再生された不織布シートから本発明の配送品収納袋を作製する場合、バージン繊維層及び再生繊維層の厚さは各々0.2乃至0.4mmが好ましく、0.2mmより薄くなると十分な引張・引裂強度を有する再生された不織布シートが得られず、また0.4mmより厚くなると十分な引張・引裂強度が得られるものの再生された不織布シートの厚さが厚くなり配送品収納袋としては、嵩張るものとなり、保管や携帯に適さない。
再生された不織布シートにおける再生ポリオレフィン繊維の含有率は、1質量%以上であればよく、好ましくは5乃至60質量%、さらに好ましくは10乃至45質量%、特に好ましくは15乃至35質量%である。資源の有効利用の観点からは再生ポリオレフィン繊維をより多く使用することが好ましいが、再生ポリオレフィン繊維の含有率が上記の上限を超えると十分な強度が得られず、製品性能上の問題が生じるため好ましくない。この含有率は、再生された不織布シートの用いられる用途特性、再生された不織布シートとしての強度等を考慮して、最適な範囲で設定できる。
再生された不織布シートの裏表各層はそれぞれ公知の方法を用いて得られるものであり、製造方法、及び積層方法としては不織布の積層化のための従来公知の方法が任意に採用でき、特に制限はない。
再生ポリオレフィン繊維から構成される再生繊維層としては、使用済み不織布を従来の方法により解砕・開繊する方法が使用される。
一方、バージン繊維層としては、短繊維あるいは長繊維のいずれを用いてもよく、その形成方法としても、スパンボンド法とメルトブロー法に代表される紡糸直結法や、カーディングやエアレイなどの乾式法、抄紙法などの湿式法などのいずれの方法を用いても良い。
さらに、バージン繊維層と再生繊維層を接着あるいは絡み合わせる方法としても、カレンダー法、スルーエアヒーティング法などの熱的接着法、接着剤を用いて吸水性不織布層と熱可塑性樹脂からなる不織布層とを接着させる化学的接着法、ニードルパンチ法、水流
交絡法、ステッチボンド法などの機械的接着法などのいずれの方法を用いても良い。
前記再生された不織布シートは、無着色のもの、又は慣用の不織布染色技術、例えばビーム染色、液流染色、ディッピングなどの染色法によって染色したものを用いることができる。再生された不織布シートの表面に形成されるバージン繊維層を着色することによって、再生繊維層を着色しなくても再生された不織布シートの外観は所望な色に着色されたバージン繊維層の色を呈するものとすることができる。
<配送品収納袋表面と印刷インク層に介在させてなる高分子域>
前記高分子域は、本発明の配送品収納袋が雨に濡れても印刷インク層の溶解分離によって変化しないものであることが求められる観点から、低温の水には溶解せず、一方該高分子域が不織布シート表面から容易に分離されるようにするために該高分子域が60℃以上の高温の水に接触(浸漬)したときには、容易に溶解してしまう性質を有するものであることが求められる。従って、それら要求を満たすところの高分子としては溶解度が、20℃の水100gに対して20g未満、及び60℃の水100gに対して60g以上であることが好ましい。
また、本発明では上記のような特異な耐水性、すなわち60℃以上の高温水には易溶解するが、常温水のような低温水には溶解し難い性質を有する高分子として、ポリビニルアルコールが好適に用いられる。
本発明の配送品収納袋に用いられるポリビニルアルコールとしては、上記のような耐水性を有するポリビニルアルコールであれば特に限定はされない、例えばアルコキシ基、エステル基、アルキレンエーテル基など各種の修飾基を有する変性ポリビニルアルコールでもよい。けん化度は、97.5モル%以上が好ましい。とりわけ、ポリビニルアルコールと架橋剤とを重合して得られる架橋構造を有する変性ポリビニルアルコールが好適に用いられる。なかでも、例えば下記式
Figure 2011168293
(式中、0≦l≦1、0≦m≦1、0≦n≦1、0.8≦l+m+n≦1)で表される構造を含むアセトアセチル化ポリビニルアルコール(l、m及びnは各構造のモル比を表す。この高分子はランダム重合体であってよく、またブロック重合部分を有していてもよい。)を架橋剤と重合することによって得られる変性ポリビニルアルコールが好ましい。市販品としては、例えばゴーセファイマーZ−200、Z−410(日本合成化学工業(株)製)が好ましい。
本発明の配送品収納袋で用いられる架橋剤としては、ポリビニルアルコールを架橋させることで上記のような耐水性を付与しうる化合物であれば特に限定されず、例えば、多価金属化合物、ホウ素化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物、シラン化合物、メチロール基含有化合物、アルデヒド基含有化合物、エポキシ化合物、チオール化合物、イソシアネート化合物等を用いることができる。これらは単独で用いても二種類以上を組み合わせて用いても良い。市販品としては、例えばグリオキザールGX(日本合成化学工業(株)製)、スミマールM−30W(住友化学(株)製)、ハイリンクDM(Clariant製)が好ましい。
架橋剤は、ポリビニルアルコールの質量に対して、0.1質量%より多く2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%より多く1.5質量%以下、また好ましくは0.5より多
く1.0質量%以下の量で添加される。架橋剤の添加量が上記の範囲の下限量より少ない場合、架橋度が不十分に低くなるため常温水及び高温水に対する所期の耐水性が得られず、また添加量が上記の範囲の上限量、特に2.0質量%より多くなると、架橋度が相当に高くなるため常温水に対する耐水性が高くなるとともに高温水に対する耐水性も高くなり過ぎ、60℃以上の高温水には易溶解するが、常温水のような低温水には溶解し難いという本発明の高分子域に要求される耐水性が得られない。
本発明の配送品収納袋で用いられるアセトアセチル化ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールをアセトアセチル化したものが望ましく、その方法としては、ポリビニルアルコールを酢酸溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加させる方法、ポリビニルアルコールをジメチルホルムアルデヒド又はジオキサンなどの溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法、あるいはポリビニルアルコールにジケテンガス又は液状ジケテンを直接接触させる方法等が好適に用いられる。
本発明において、アセトアセチル基が側鎖に導入されたポリビニルアルコールと、架橋剤としてアミン化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
Figure 2011168293
また、分子内にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤としてアルデヒド基含有化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
Figure 2011168293
また、分子内にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤としてメチロール基含有化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
Figure 2011168293
また、分子内にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤として多価金属化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
Figure 2011168293
また、上記のような架橋構造を有するアセトアセチル化ポリビニルアルコールは、酸性に溶けにくく強アルカリ性に溶け易い性質を有するため、60℃以上の高温水以外に、例えば水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水を用いることによって容易に溶解することができる。
また、前記高分子域は、例えばフィルムの形態にある高い温水溶解性を有する高分子を前記配送品収納袋表面(不織布シート表面)に熱融着によりアイロン接着することによって、該高分子の層が該袋表面上(不織布シート表面上)に形成される。あるいは、前記高分子域は、例えば該袋表面(不織布シート表面)に前記高分子の水溶液を塗付又は噴き付け、乾燥することによって、該高分子が該袋表面内(不織布シート表面内)に含浸して形成される。
前記配送品収納袋表面(不織布シート表面)に高分子を積層する場合、該袋と印刷インク層との間に十分な厚みを有する高分子域が形成されるので、該袋から該印刷インク層を分離するときに容易に分離することができる。一方、該袋表面内(不織布シート表面内)に高分子を含浸させる場合、該袋における該高分子の密着性が高くなるので、見た目にも綺麗に仕上がる。
また本発明の配送品収納袋は、その使用用途などによって該袋の表面上に印刷が施され、例えば、各小売店独自のロゴマーク等が印刷される。小売店ごとに識別する機能、宣伝広告する機能を果たすロゴマークは、上述したような方法によって形成された高分子域を介して該袋の表面上に印刷される。
印刷方法は、従来、不織布の印刷に採用される方法であれば特に制限はなく、凸版印刷
、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写印刷等いずれも採用可能である。なかでも、厚さ、大小、平面、曲面を問わず印刷が可能なことからシルクスクリーン印刷が好ましい。
前記配送品収納袋に印刷する場合、印刷が予め施されたフィルムを該配送品収納袋の表面にアイロン接着してもよく、該袋表面にフィルムをアイロン接着した後にその上から印刷してもよく、又は高分子溶液を含浸させた該袋表面に印刷をしてもよい。
本発明の配送品収納袋において、該袋(不織布シート)と印刷インク層との間に高い温水溶解性を有する高分子域を介在させることにより、該配送品収納袋を一定温度以上の温水に浸漬することで、前記高分子域が温水中に溶解し、前記印刷インク層を該袋(不織布シート)の表面から容易に分離することができる。このとき温水に浸漬された配送品収納袋に振動、特に超音波振動を加えることによって、更により一層印刷インク層が該袋(不織布シート)から剥がれ易くなる。また、分離された前記印刷インク層を構成する印刷インクは一般に水不溶性であり、温水であっても溶解しないので、容易に温水から印刷インク層のみを取り除くことができる。また、本発明の配送品収納袋から印刷インク層を分離する際、有機溶剤などを使用せず水だけを使用するので、作業者の健康面への影響、更には土壌汚染等の環境への影響もない。
<配送収納品袋>
前述したように、本発明の配送品収納袋は、不織布シート、縫製に用いる糸及び面ファスナーが、全て同じポリオレフィン素材からなることを特徴とする。そして前記不織布シートは、ポリプロピレン製の不織布シートからなることが好ましい。
したがって、本発明の配送品収納袋は、ポリプロピレン不織布からなる不織布シート、ポリプロピレン連続フィラメントからなる糸、並びにポリプロピレン製の面ファスナーを用いて構成されることが最も好ましい。
また、本発明の配送品収納袋は、その袋の強度向上や、耐水性(撥水性)を向上させるなどの目的で、袋の内面をポリオレフィンをコーティングしたり、或いはポリオレフィンフィルムを貼着したりしてもよい。
<配送品収納袋の再生・再利用方法>
本発明の配送品収納袋の再生・再利用方法は以下の(1)〜(6)の工程を含むものである。
(1)使用済みの配送品収納袋を、その配送先より回収する袋回収工程
(2)回収された配送品収納袋の表面上の印刷インク層を袋本体より除去し、ついで該配送品収納袋を細片に切断し、不織布を構成する繊維をばらばらにして不織布材料を作る袋分解工程
(3)得られた不織布材料から再生不織布のシートを作るか、又は、該再生不織布とバージン不織布とを積層一体化することにより、再生された不織布シートを製造するシート製造工程
(4)再生された不織布シートを裁断し、袋状に縫製することにより、再生された配送品収納袋を作る袋縫製工程
(5)再生された配送品収納袋の中に配送品を詰めて、その配送先に提供する配送工程
前記(2)袋分解工程は、好ましくは、回収された配送品収納袋を細片に切断する前に、該配送品収納袋の表面上の印刷インク層を袋本体より除去する脱インク工程を備えてなる。
そしてこの脱インク工程は、前記配送品収納袋を温水又はアルカリ水に浸漬し、その際、前記高分子域の温水又はアルカリ水への溶解により、前記印刷インク層を袋本体より除去する工程であり、好ましくは、温水又はアルカリ水に浸漬された配送品収納袋に振動を加えることを特徴とする工程である。
本発明の配送品収納袋を用いた商品の再生・再利用方法を図4を用いて説明する。図4において、図4(A)は該収納袋を用いた商品の配送過程、図4(B)は該収納袋の再生過程である。
まず顧客から商品の配送連絡を受けた販売業者は、商品を本発明の配送品収納袋に入れ、顧客に配送する。そして顧客先に商品を配送後、空になった配送品収納袋を配送業者に持ち帰り、再び顧客に配送する際に使用する。
このように本発明の配送品収納袋を商品の配送に複数回使用し、配送品収納袋が破損したり、汚れが目立つようになると、配送品収納袋は再生工場に回収される。
回収された使用済みの配送品収納袋は、まず、ロゴ等が印刷されている場合には印刷インク層を不織布シートから除去するための脱インク工程を経て、該袋を裁断するなどして袋分解工程を経、繊維を回収する。
そして袋分解工程を経て得られた不織布材料(繊維)を用いて、不織布シートを再生し、そして該再生されたシートを用いて配送品収納袋を再生する。
そして再生された配送品収納袋は、再度配送業者に納入され、該袋に商品を入れて、顧客への配送に使用する。
<配送品収納袋の成形方法>
本発明の配送品収納袋は、例えば下記の方法により成形されるものであるが、下記以外の異なる方法によっても成形することができる。
本発明の配送品収納袋の成形方法において、長方形をなす不織布シートを用意し、該不織布シートを一方の短辺部が他方の短辺部に重なるように折畳み、次に重ねられた左右の長辺部を袋本体と同材質の糸でミシン縫製袋側部を形成する。続いて縫合された左右の袋側部を、袋体にマチを設ける長さだけ内側に折り込み、前記折り込み部の下端とこれに重なる底辺部とを前記糸でミシン縫製して、袋体の左右の袋側部と袋下部とを形成する。そしてこうして得られた袋体を裏返すことにより、本発明の配送品収納袋が得られる。
そして袋体の開口部(配送品出し入れ口)近傍の袋表面には、商品の紛失を防ぐために袋の閉鎖手段として面ファスナーを取り付ける。さらに、所望により、配送伝票等を入れるポケットを配送品収納袋の袋表面に備えつけてもよい。これら部品は、袋体の強度を高める観点から、ミシン縫製することが好ましい。
本発明の配送品収納袋は、袋体、糸及びその他部品をすべて同材質とすることにより、リサイクルの際にこれらを分別するという煩わしい作業が省ける。
実施例1
以下に図面を参照して本発明をより詳細に説明する。図1(a)及び(b)は本発明の一実施例の配送品収納袋を図示する斜視図であり、図1(a)は配送品出し入れ口が開放されている場合、図1(b)は面ファスナーによって配送品収納袋が閉鎖されている場合を示す。
図1(a)に示すように、本発明の配送品収納袋1は、線状に閉じて伸びる底辺部7を有する袋下部8と、内側に折り畳まれてマチ9を有する左右の袋側部10と、一対の面ファスナー4a、4bが取り付けられた配送品出し入れ口3が形成された袋上部11とを備えてなるものであり、不織布シート2を用いて形成される。また、配送品収納袋1の強度を向上させるため、袋側部10の外周に沿って縫製部6が設けられている。
前記面ファスナー4a、4bは、図1(b)に示すように、配送品出し入れ口3を封鎖することができる。
また、配送品収納袋1の袋表面には、配送伝票等を収納できるポケット5や、小売店や配送業者を認識するためのロゴやマーク等が印刷されていても良い(印刷インク層13参照)。
該配送品収納袋1は、沢山の商品や重い商品を入れても袋側部10の繋ぎ目から袋が裂けたり、破けたりせず、袋内に詰める内容物の荷重限度、並びに許容体積が著しく向上することができ、ゆえに本発明の配送品収納袋1は、重い商品や嵩張る商品を入れ繰り返し使用しても、通常5回以上、およそ25〜30回低度繰り返して使用することができる。また、ポリオレフィン製の不織布シート2は軽量であり、しかもコンパクトに折り畳むこと、並びに折り畳み後に再展開して元の形状に戻すことも容易であるので、本発明の配送品収納袋1は未使用時の一時保留、保管性に優れ、持ち運びに大変適している。
実施例2
図2(a)乃至(d)は、本発明の配送品収納袋の別の実施例を図示する斜視図である。
本実施例において、実施例1(図1(a))に示す配送品収納袋1の袋表面とは反対側の袋表面にポケット5及びロゴなどの印刷インク層13を設けても良い(図2(a)参照)。
また、図2(b)に示すように、配送品出し入れ口3と配送品収納袋1の袋表面(不織布シート2表面)に、1対の面ファスナー23a、23bを取り付けることにより、図2(c)に示すように、配送品収納袋1を配送品出し入れ口3と平行な辺で折り曲げ、固定することができる。これにより、配送品の紛失をより一層防ぐことが出来るとともに、配送品収納袋1を小型化できることから、配送後に配送品収納袋1を持ち帰る際の持ち運びや、未使用時の一時保留・保管性に優れたものとなる。
また、図2(d)に示すように、配送伝票等を収納できるポケット5において、ポケット蓋24を設けることにより、配送伝票等の飛び出しを防ぐことができ、さらに、ポケット5にポケット穴25を設けることにより、配送伝票等の取り出しを容易にすることができる。
実施例3
図3は、上記配送品収納袋の再生・再利用方法の実施例を示す図である。
<図3(A):配送品収納袋を用いた商品の配送過程>
まず顧客から商品の配送連絡を受けた販売業者は、商品を本発明の配送品収納袋に入れ、顧客に配送する。そして顧客先に商品を配送後、空になった配送品収納袋を配送業者に持ち帰り、再び顧客に配送する際に使用する。本発明の配送品収納袋は25〜30回程度の配送時の使用に耐えられる。
<図3(B):該収納袋の再生過程>
上記配送品収納袋が破損したり、汚れが目立つようになったら、再生工場に袋を回収する。
回収された使用済みの配送品収納袋は、印刷インク層を除去し、袋を裁断するなどの袋分解工程を経て繊維を回収する(袋分解工程)。次に得られた不織布材料(繊維)を用いて、不織布シートを再度製造する(シート製造工程)。そして該再生された不織布シートを用いて配送品収納袋を縫製する(袋縫製工程)。
最後に、再生された配送品収納袋は、再度配送業者に納入され、該袋に商品を入れて、顧客への配送に再使用される。
[袋分解工程]
前記袋分解工程は、回収された配送品収納袋を細片に切断する前に、印刷インク層を除去する脱インク工程を備える。
脱インク工程の具体例としては以下の通りである(以下、実施例1の配送品収納袋1を用いて説明する)。すなわち、後述する[袋縫製工程]において製造された配送品回収袋1を、65℃に保たれた温水槽に入れ、超音波による振動を与えながら約3分間浸漬することにより、配送品収納袋1の表面から印刷インク層13印刷を分離することができた。前記温水槽から印刷インク層13が分離された配送品収納袋1を取り出し、分離した印刷
インクは水よりも比重が大きいことから該温水槽の底に沈み、印刷インクを容易に該温水槽から取り出すことができた。
こうして印刷インク層13を除去した配送品収納袋1は、切断装置等を用いて該袋を不織布の細片に裁断し、公知の開繊機にて不織布を開繊させ、再生繊維を回収する。
[シート製造工程]
前記シート製造工程の一具体例として、再生された不織布シート22A〜22Cの製造例1乃至製造例3を示す。なお、図8に、再生された不織布シート22A〜22Cの断面の拡大図を示す。
(製造例1:再生された不織布シート22A)
ポリプロピレン樹脂(PP)を常用のスパンボンド溶融紡糸装置に供給し、230℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3000m/分にて引き取り、2.2dtexのポリプロピレン繊維を得た。得られたバージンポリプロピレン繊維を開繊分散して目付が30g/m2のウェブを形成した。
次に前述の[袋分解工程]に示すように、公知の開繊機にて使用済みポリエステル不織布を開繊させ、再生繊維からなるウェブを形成した。
得られたバージン繊維からなるウェブと再生繊維からなるウェブを、135℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して60g/m2の再生された不織布シート22Aを作成した。再
生繊維の含有率は再生された不織布シート中20質量%である。
(製造例2:再生された不織布シート22B)
製造例1と同様にして、再生された不織布シート中30質量%の再生繊維を含有する再生された不織布シート22Bを作成した。
(製造例3:再生された不織布シート22C)
製造例1と同様にして、再生された不織布シート中40質量%の再生繊維を含有する再生された不織布シート22Cを作成した。
[袋縫製工程]
前記袋縫製工程の一具体例として、実施例1(a)に示す配送品収納袋の袋縫製工程を図4(a)乃至(h)に示す。
図4に図示する工程では、細長い長方形のポリプロピレン不織布シート2を用意し、該不織布シートを一方の短辺部と他方の短辺部が平行になるように折り畳む(図4(b)参照)。このとき、一方の短辺部には面ファスナーを取り付けることができるよう、他方の短辺部とはずらして折り畳むことが好ましい。
そして、長方形の長辺であった辺に沿って不織布シート2をミシン縫製し(図4(c)中、6は縫製部を示す)、配送品収納袋1の袋側部10を形成する(図4(c)参照)。
次に完成した不織布配送品収納袋1にまち9及び底辺部7を設けるべく、縫製した不織布シート2を内側に折り込み(例えば、図4(c)の線X−X’に沿って)、底辺部7と袋側部10が直交する線(図4(d)の線Y−Y’)に沿ってミシン縫製する。その後、ミシン縫製した外側を図4(e)に示すように切断しても良い。
次に配送品収納袋1を裏返し、配送品収納袋1の上部11の配送品出し入れ口3に、面ファスナー4a、4bを縫製によって取り付ける(図4(f))。また、配送品収納袋1の外表面となる不織布シート2表面に、配送伝票等を収納できるポケット5を縫製によって取り付ける(図4(g))。なお、袋側部10の外周に沿ってミシン縫製を施すことにより、配送品収納袋1の強度を上げることができる。
さらに、配送品収納袋1の外表面となる不織布シート2表面に、配送業者等の識別のためのロゴやマークを表示するために、変性ポリビニルアルコールフィルム12と印刷インク層13を設ける(図4(g)及び(h))。なお、図5は、配送品収納袋1の印刷インク層13を含むA−A’断面(図1(a)及び図4(h)参照)の拡大図である。
配送品収納袋1の外表面となる不織布シート2表面にロゴやマークを表示するための変性ポリビニルアルコールフィルム12と印刷インク層13の形成方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
(i)配送品収納袋1の外表面となる不織布シート2表面に、変性ポリビニルアルコールフィルム12を重ね合わせ、熱溶着により不織布シート2と変性ポリビニルアルコールフィルム12を貼り合わせる。さらにその上からシルクスクリーン印刷をすることによって印刷インク層13を形成する(図4(g)、(h)参照)。
ここで用いる変性ポリビニルアルコールフィルム12は、20℃の水100gには約2
gしか溶解しないが、60℃の温水に対しては約80gも易溶解するものである。また、変性ポリビニルアルコールフィルム12は、架橋剤としてハイリンクDM(Clariant製)をゴーセファイマーZ−200(日本合成化学工業(株)製)に対して1.0質量%となるように調製し、約40μmの厚さのフィルムに成形されたものである。
(ii)配送品収納袋14の外表面となる不織布シート15表面に、予めシルクスクリーン印刷によってその表面に印刷インク層16を有する変性ポリビニルアルコールフィルム17を重ね合わせ、アイロンによる熱溶着により不織布シート15と変性ポリビニルアルコールフィルム17を貼り合わせる(図6参照)。
ここで用いる変性ポリビニルアルコールフィルム17は、前記(i)の変性ポリビニルアルコールフィルム12と同じものを用いる。
(iii)配送品収納袋18の外表面となる不織布シート19の表面に、変性ポリビニルアルコール水溶液20を塗布し、水分を蒸発させた後、その表面にシルクスクリーン印刷によって印刷をすることにより印刷インク層21を形成する(図7参照)。
ここで用いる変性ポリビニルアルコール水溶液20は、架橋剤としてハイリンクDM(Clariant製)をゴーセファイマーZ−200(日本合成化学工業(株)製)に対して1.0質量となるように混合して調製したものである。
<配送品収納袋の再生過程>
上述の手順にて形成され、商品の配送に複数回使用し、破損などにより回収された配送品収納袋(以下、実施例1の配送品収納袋1を用いて説明する)を、65℃に保たれた温水槽に入れ、超音波による振動を与えながら約3分間浸漬したところ、配送品収納袋1の表面から印刷インク層13印刷を分離することができた。前記温水槽から印刷インク層13が分離された配送品収納袋1を取り出し、分離した印刷インクは水よりも比重が大きいことから該温水槽の底にみ、印刷インクを容易に該温水槽から取り出すことができた。
また、図6に示すように、予め表面に印刷がなされた変性ポリビニルアルコールフィルム17を用いても、前記と同様の方法により、配送品収納袋14表面から印刷インク層16を容易に分離することができた。
さらに、図7に示すように、変性ポリビニルアルコール20をを塗布した場合であっても、前記と同様の方法により、配送品収納袋18表面からインク層21を容易に分離することができた。
次に、印刷インク層が取り除かれた配送品収納袋を原料として不織布を再生しそして袋形成することにより、新たな配送品収納袋を再生産することができた。
従って、配送品収納袋は図3に示されるような配送品収納袋の再生・再利用方法によりリサイクル化することができた。
1 配送品収納袋
2 ポリプロピレン不織布シート
3 配送品出し入れ口(開口部)
4a、4b 面ファスナー
5 ポケット
6 縫製部
7 底辺部
8 袋下部
9 マチ
10 袋側部
11 袋上部
12 変性ポリビニルアルコールフィルム
13 印刷インク層
14 配送品収納袋
15 不織布シート
16 印刷インク層
17 変性ポリビニルアルコールフィルム
18 配送品収納袋
19 不織布シート
20 変性ポリビニルアルコール水溶液
21 印刷インク層
22A 製造例4−1で得られた再生された不織布シート
22B 製造例4−2で得られた再生された不織布シート
22C 製造例4−3で得られた再生された不織布シート
a バージン繊維層
b 再生繊維層
23a、23b 面ファスナー
24 ポケット蓋
25 ポケット穴
特許第3876409号公報 特許第3959674号公報 特開2004−143611号公報 特開2003−135521号公報 特開2005−53035号公報

Claims (18)

  1. ポリオレフィン不織布からなる不織布シートを裁断し、糸を用いて袋状に縫製し、そして該袋の開口部を閉じうるように面ファスナーを該開口部近傍の袋表面に取り付けてなる配送品収納袋であって、
    前記糸及び面ファスナーは、前記不織布シートの素材と同じポリオレフィン素材からなることを特徴とする、配送品収納袋。
  2. 前記袋表面上に印刷インク層を設け、且つ、該印刷インク層と該袋との間に高い温水溶解性を有する高分子域を介在させてなることを特徴とする、請求項1記載の配送品収納袋。
  3. 前記高分子域は、20℃の水100gに対して20g未満そして60℃の水100gに対して60g以上の溶解度を有する高分子からなることを特徴とする、請求項2に記載の配送品収納袋。
  4. 前記高分子域は、架橋構造を有する変性ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の配送品収納袋。
  5. 前記変性ポリビニルアルコールは、20℃の水100gに対して20g未満そして60℃の水100gに対して60g以上の溶解度を有する高分子からなることを特徴とする、請求項4に記載の配送品収納袋。
  6. 前記高分子域は、該高分子の層が前記袋の不織布シートの表面上に形成されてなる、請求項2乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
  7. 前記高分子域は、該高分子が前記袋の不織布シート内に含浸して形成されてなる、請求項2乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
  8. 前記不織布シートは、バージンポリオレフィン繊維からなる未再生不織布シート又は再生ポリオレフィン繊維を含む再生された不織布シートである、請求項1に記載の配送品収納袋。
  9. 前記再生された不織布シートは、バージンポリオレフィン繊維からなる表面側のバージン繊維層と、再生ポリオレフィン繊維からなる裏面側の再生繊維層とが積層一体化されてなる不織布シートである、請求項8に記載の配送品収納袋。
  10. 前記バージン繊維層は厚さ1.0mm以下の繊維層であり、前記再生繊維層は厚さ1.0mm以下の繊維層である、請求項9に記載の配送品収納袋。
  11. 前記再生ポリオレフィン繊維の含有率は、前記不織布シートの質量に基づいて10乃至90質量%である、請求項9又は請求項10に記載の配送品収納袋。
  12. 前記バージン繊維層はバージンポリプロピレン繊維からなり、前記再生繊維層は再生ポリプロピレン繊維からなる、請求項9乃至請求項12のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
  13. 前記不織布シートはポリプロピレン不織布からなり、前記糸はポリプロピレン連続フィラメントからなり、前記面ファスナーはポリプロピレン製の面ファスナーであることを特徴とする、請求項1乃至請求項12のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
  14. 前記配送品収納袋の内面にポリオレフィンをコーティングしてなるか、またポリオレフィンフィルムを貼着してなる、請求項1乃至請求項12のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋。
  15. 使用済みの請求項1乃至請求項14のうちいずれか一項に記載の配送品収納袋を、その配送先より回収する袋回収工程と、
    回収された配送品収納袋の表面上の印刷インク層を袋本体より除去し、ついで該配送品収納袋を細片に切断し、不織布を構成する繊維をばらばらにして不織布材料を作る袋分解工程と、
    得られた不織布材料から再生された不織布のシートを作るか、又は、該再生不織布とバージン不織布とを積層一体化することにより、再生された不織布シートを製造するシート製造工程と、
    再生された不織布シートを裁断し、袋状に縫製することにより、再生された配送品収納袋を作る袋縫製工程と、
    再生された配送品収納袋の中に配送品を詰めて、その配送先に提供する配送工程とを含む、配送品収納袋の再生・再利用方法。
  16. 前記袋分解工程において、回収された配送品収納袋を細片に切断する前に、該配送品収納袋の表面上の印刷インク層を袋本体より除去する脱インク工程を備えてなる、請求項15に記載の配送品収納袋の再生・再利用方法。
  17. 前記脱インク工程が、前記配送品収納袋を温水又はアルカリ水に浸漬し、その際、前記高分子域の温水又はアルカリ水への溶解により、前記印刷インク層を袋本体より除去する工程である、請求項16に記載の配送品収納袋の再生・再利用方法。
  18. 前記脱インク工程において、温水又はアルカリ水に浸漬された配送品収納袋に振動を加えることを特徴とする、請求項17に記載の配送品収納袋の再生・再利用方法。
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