JP2011165327A - 非水電解質二次電池用電極活物質およびそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用電極活物質およびそれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池特性バランスに優れた非水電解質二次電池用電極活物質を提供する。
【解決手段】
本発明の非水電解質二次電池用電極活物質は、Li(1+α)[ NixMnyCoz]O2(0.100<α<0.300、x+y+z=1、0.075<z<0.330、0.935<x/y<0.978)で表わされることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用電極活物質およびそれを用いた非水電解質二次電池に関する。
近年、ポータブル機器や自動車などの電源として、小型・軽量であって高いエネルギー密度を有する二次電池が望まれており、非水電解質二次電池の需要が急速に伸びている。中でも、負極にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料などを、正極にリチウム遷移金属複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池は、単位電気量当たりの重量が小さく、エネルギー密度が高いため急速に普及している。
現在、リチウム遷移金属複合酸化物としてはコバルト酸リチウムが広く使用されている。しかし、コバルトは非常に高価な金属であり、資源的な面でも制限がある。そのため、コバルトの含有量を減らした活物質の開発や活物質の代替が望まれている。
近年では、マンガン酸リチウムやニッケル酸リチウム、これらの酸化物の一部を他の金属元素で置換したリチウム遷移金属複合酸化物が注目されている。ニッケルやマンガンはコバルトに比べ比較的安価な金属であり、かつ安定した供給が可能である。
中でも、コバルト酸リチウムと同じ結晶構造をとるニッケル酸リチウムは、コバルト酸リチウムよりも低い電気化学的ポテンシャルを示すため高容量化が期待できる。特許文献1に酸化リチウムと酸化ニッケルとを不活性ガス―酸素混合雰囲気下で焼成して、大容量の充放電が可能な組成式Li2NiO2+yで表されるリチウムニッケル複合酸化物が得られることが記載されている。
しかし、ニッケル酸リチウムは、リチウムイオンの吸蔵・放出時の結晶構造の変化が大きいため、電池寿命が短いという問題がある。
そこで、ニッケル酸リチウムの一部をマンガンなどの金属元素で置換したリチウムニッケル遷移金属複合酸化物が提案されている。ニッケル酸リチウムの一部をマンガンなどの金属元素で置換することによって結晶構造が安定し、長寿命の電極活物質が得られることが報告されている。特許文献2には、一般式Li1+x+αNi(1-x-y+δ)/2Mn(1-x-y-δ)/2y2〔ただし、0≦x≦0.05、−0.05≦x+α≦0.05、0≦y≦0.2、−0.1≦δ≦0.1であって、MはCo、またはCoとTi、Cr、Fe、Cu、Zn、Al、GeおよびSnからなる群から選択された1種以上の元素〕で表されるリチウムニッケル遷移金属複合酸化物が記載されている。特許文献2に記載されている組成のリチウムニッケル遷移金属複合酸化物の場合、層状の結晶構造が安定化され、4V付近の電位領域での充放電の可逆性や充放電サイクルに対する耐久性に優れたリチウムニッケル遷移金属複合酸化物が得られることが開示されている。
特開平9−241027号公報 特開2003−238165号公報
しかしながら、特許文献2に記載されているリチウムニッケル遷移金属複合酸化物では、NiとMnの比率を1:1(モル比)とした場合、LiとLi以外の金属の比(Li/Me)を大きくすると放電容量が低下する問題がある。さらには、Li/Meを一定とした場合、NiとMnの比(Ni/Mn)を変化させるとレート特性やサイクル特性が悪くなる問題がある。
以上述べたように、高い放電容量を有し、さらにレート特性やサイクル特性が良好な電池特性バランスに優れた電極活物質は未だ得られていない。そこで、本発明では、電池特性バランスに優れた電極活物質を提供することを目的とする。
本発明に係る非水電解質二次電池用電極活物質は、Li(1+α)[ NixMnyCoz]O2(0.100<α<0.300、x+y+z=1、0.075<z<0.330、0.935<x/y<0.978)で表わされることを特徴としている。
本発明者等は、前記組成を有するリチウムニッケル遷移金属複合酸化物を電極活物質に使用することにより、低抵抗で、かつ高い放電容量を有する非水電解質二次電池が得られることを見出した。また、本発明ではLiの割合を1モル以上と多くした場合においても、Liが他の金属元素との置換を起こさず、定サイトに存在しやすいため、抵抗値の増加を抑制することが可能である。また、Liの割合を多くした場合に、余剰のLiが固溶せずに酸化物として電極活物質中に存在し、単位体積あたりの放電容量が減少してしまう問題があるが、前記Ni(x)とMn(y)の比を0.935<x/y<0.978にすることにより、反応性の高いMnの割合を増加させ、固溶できないLiを減少させることで、高い放電容量を有する電極活物質を得ることができることを見出した。
また、本発明は、前記非水電解質二次電池用電極活物質からなる電極を少なくとも備える非水電解質二次電池にも向けられる。
本発明では、電極活物質にLi(1+α)[ NixMnyCoz]O2(0.100<α<0.300、x+y+z=1、0.075<z<0.330、0.935<x/y<0.978)で表わされるリチウムニッケル遷移金属複合酸化物を用いることによって、電池特性バランスに優れた非水電解質二次電池用電極活物質を得ることができる。また、本発明の電極活物質を非水電解質二次電池の電極に使用することで、電池特性バランスに優れた非水電解質二次電池を得ることが可能である。さらに、非水電解質二次電池の膨張を抑制することが可能である。
本発明に係る非水電解質二次電池としてのコイン型非水電解質二次電池の一実施の形態を示す断面図である。
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明に係る非水電解質二次電池用電極活物質は、Li(1+α)[ NixMnyCoz]O2で表わされるリチウムニッケル遷移金属複合酸化物であることを特徴としている。本発明の電極活物質において、前記αが0.100<α<0.300、ニッケル、マンガン、コバルトの含有比率の総和x+y+zが1、コバルトの含有比率が0.075<z<0.330、ニッケルとマンガンの含有比率が0.935<x/y<0.978である。
本発明の組成では、Liの割合を1モル以上と多くした場合においても、Liが他の金属元素との置換を起こさず、定サイトに存在しやすいため、抵抗値の増加を抑制することが可能である。また、Liの割合を多くした場合、余分なLiが固溶せずに酸化物として電極活物質中に存在し、単位体積あたりの放電容量が減少してしまう問題があるが、前記Ni(x)とMn(y)の比を0.935<x/y<0.978とすることにより、反応性の高いMnの割合を増加させ、固溶できないLiを減少させることで、高い放電容量を有する電極活物質を得ることができる。この理由は、前記Ni(x)とMn(y)の比を0.935<x/y<0.978としていることに起因すると考えられるが、未だ詳細は不明である。
本発明の電極活物質を製造する方法は、特定の製法には限定させるものではないが、ニッケル原料、コバルト原料、マンガン原料、リチウム原料とを液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを得るスラリー調整工程と、得られたスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥工程と、得られた噴霧乾燥粉体を焼成する焼成工程とを含む製造方法により好適に製造される。
また、上記ニッケル原料としては、ニッケルの酸化物、炭酸塩、無機酸塩、有機酸塩や塩化物などが挙げられるが、具体的には、金属ニッケルを使用することが好ましい。
コバルト原料としては、コバルトの酸化物、炭酸塩、無機酸塩、有機酸塩や塩化物などが挙げられるが、具体的には、水酸化コバルト、四三酸化コバルトから選ばれた少なくとも1種を使用することが好ましい。
マンガン原料としては、マンガンの酸化物、炭酸塩、無機酸塩、有機酸塩や塩化物などが挙げられるが、具体的には、二酸化マンガン、四三酸化マンガン、炭酸マンガンから選ばれた少なくとも1種を使用することが好ましい。
リチウム原料としては、リチウムの酸化物、炭酸塩、無機酸塩、有機酸塩や塩化物などが挙げられるが、具体的には、炭酸リチウムを使用することが好ましい。
また、上記のような噴霧乾燥粉体の焼成条件としては、およそ800〜1100℃で5〜30時間焼成することにより合成することが可能である。焼成雰囲気としては、酸素を含む雰囲気、すなわち空気中や、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性ガスと酸素ガスとの混合雰囲気、あるいは酸素ガス中で行えばよい。上記焼成にあたって、酸素雰囲気中で900〜1000℃、15〜25時間焼成することが好ましい。
次に、本発明の非水電解質二次電池用電極活物質を使用した非水電解質二次電池について記述する。
図1は、本発明に係る非水電解質二次電池の一実施の形態としてのコイン型非水電解質二次電池を示す断面図である。本実施の形態では、本発明の電極活物質を正極として使用している。
コイン型非水電解質二次電池1は、ケース11と封口板12とを有し、ケース11及び封口板12は、いずれも円盤状の薄板形状に形成されている。そして、ケース11の底部中央には、集電体(図示せず)上に形成された正極14が配されている。そして、正極14上には微多孔膜、織布、不織布などの多孔性のシートまたはフィルムで形成されたセパレータ16が積層され、さらにセパレータ16には負極15が積層されている。負極15としては、例えば、銅箔にリチウムの金属箔を重ね合わせたものや、黒鉛やハードカーボン等のリチウム吸蔵材料を銅箔に塗布したものを使用することができる。負極15には金属からなる集電体17が積層されるとともに、該集電体17には金属製のばね部材18が載置されている。そして、電解質が内部空間に充填されると共に、封口板12はばね部材18の付勢力に抗してケース11に固着され、ガスケット13を介して封止されている。
次に、上記非水電解質二次電池の製造方法の一例を詳述する。
まず、正極を形成する。例えば、電極活物質を結着剤、及び導電助剤と共に混合し、有機溶剤、もしくは水を加えて電極活物質スラリーとし、該電極活物質スラリーを集電体上に任意の塗工方法で塗工し、乾燥することにより正極を形成する。
本発明において結着剤は特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース等の各種樹脂を使用することができる。
尚、導電助剤としては、導電性を有する材料であれば特に限定されないが、炭素材料を用いることが好ましい。例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素繊維、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子やフラーレン、金属粉末などが利用できる。本発明では導電助剤を2種類以上混合して用いることもできる。尚、導電助剤の電極中の含有率も特に限定されないが、10〜80質量%が望ましい。
また、有機溶剤についても、特に限定されるものではなく、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチル―2―ピロリドン、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等の塩基性溶媒、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、アセトン等の非水溶媒、メタノール、エタノール等のプロトン性溶媒等を使用することができる。また、有機溶剤の種類、有機化合物と有機溶剤との配合比、添加剤の種類とその添加量等は、二次電池の要求特性や生産性等を考慮し、任意に設定することができる。
次いで、この正極14を電解液に含浸させて該正極14に前記電解質を染み込ませ、その後、ケース11の底部中央に正極14を載置する。その後、電解液を含浸させたセパレータ16を正極14上に積層し、さらに負極15及び集電体17を順次積層し、内部空間に電解液を注入する。そして、集電体17にばね部材18を載置すると共に、ガスケット13を周縁に配し、かしめ機等で封口板12をケース11に固着して外装封止することでコイン型非水電解質二次電池1が作製される。
また、負極15に使用される負極活物質としては、炭素材料、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、リチウム含有チタン酸化物などを用いることができる。いずれの材料を用いた場合においても本発明の効果を得ることができるが、コストの観点から負極活物質層の材料としては炭素材料を使うことが好ましい。炭素材料としては、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、コークスなどを用いることができる。
尚、電解質は、正極14と対向電極である負極15との間に介在して両電極間の荷電担体輸送を行う。このような電解質としては、室温で10-5〜10-1S/cmのイオン伝導度を有するものを使用することができる。例えば、電解質塩を有機溶剤に溶解させた電解液を使用することができる。ここで、電解質塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO22、Li(C25SO22N、Li(CF3SO23C、Li(C25SO23C等を使用することができる。
また、有機溶剤としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等を使用することができる。
また、電解質には、固体電解質を使用してもよい。固体電解質に用いられる高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにはポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、及びこれらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体等を挙げることができる。また、これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを電解質として使用してもよい。或いは電解質塩を含有させた高分子化合物のみをそのまま電解質に使用してもよい。
また、上記実施の形態では、コイン型非水電解質二次電池1について説明したが、電池形状は特に限定されるものでないのはいうまでもなく、円筒型、角型、シート型等にも適用できる。また、外装方法も特に限定されず、金属ケースや、モールド樹脂、ラミネートフイルム等を使用してもよい。
また、上記実施の形態では、電極活物質を正極に使用したが、負極に使用するのも有用である。
また、上記実施の形態では、電極活物質を二次電池に使用した場合について述べたが、一次電池にも使用することが可能である。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。尚、以下に示す実施例は一例であり、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
以下、本発明の非水電解質二次電池用電極活物質を用いた非水電解質二次電池の実施例1〜3と比較例1〜5について説明する。
[電極活物質の合成]
原料として平均粒径0.5μmのニッケル金属粉、四三酸化マンガン、四三酸化コバルト、炭酸リチウムを使用し、これらをモル比でLi:1.15、Ni:0.44、Mn:0.46、Co:0.10となるように秤量した。次に、これらの原料粉末と溶媒として水を混合し原料スラリーを作製した。得られた原料スラリーを噴霧乾燥し、酸素雰囲気中、950℃、20時間熱処理を行うことによりリチウムニッケル遷移金属複合酸化物Li1.15Ni0.44Mn0.46Co0.12を合成した。
[非水電解質二次電池の作製]
まず、前記方法で合成したリチウムニッケル遷移金属複合酸化物を用いた電極の作製方法を説明する。
電極活物質として、合成したリチウムニッケル遷移金属複合酸化物を使用し以下の方法で電極を作製する。電極活物質としてLi1.15Ni0.44Mn0.46Co0.12、導電助剤としてアセチレンブラック、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを重量比で81:7:12となるように混合した。これをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)中に分散させて電極スラリーを作製した。作製した電極スラリーを厚さ20μmのアルミ箔上に10mg/cm2となるように塗布し、140℃で乾燥後、1t/cm2の圧力でプレスすることにより電極シートを作製した。プレス後の電極シートを直径14mmに打ち抜き電極を作製した。
次に、コイン型非水電解質二次電池の作製方法を説明する。
図1に示すように、コイン型非水電解質二次電池1は、正極端子を兼ねたケース11と、負極端子を兼ねた封口板12と、ケース11と封口板12とを絶縁するガスケット13と、正極14と、負極15と、正極14と負極15との間に介在したセパレータ16と、負極15の上に配置された集電体17と、集電体17と封口板12との間に配置されたばね部材18とから構成され、ケース11の内部には電解液が充填されている。
具体的には、前述の方法で作製した電極を正極に、負極として金属リチウム、電解液として炭酸エチレン:炭酸ジエチル=3:7(重量比)混合溶媒に溶媒1リットル当り1molの6フッ化燐酸リチウムを溶解させた有機電解液、セパレーターとしてポリエチレン多孔膜を用いて直径20mm厚さ3.2mmのコイン型非水電解質二次電池を作製した。
作製したコイン型非水電解質二次電池を、25℃の恒温槽内で電圧範囲3.0〜4.3V、電流値200μAで3回充放電試験を行った。また、1Cでも充放電試験を行った。なお、電圧範囲は3.0〜4.3V、電流値は200μAで充放電試験を行った際の3サイクル目の放電容量にリチウムニッケル遷移金属複合酸化物の活物質量を掛けて1Cにおける電流値を算出した。また、1Cで20回充放電試験を繰り返し行い電池特性を測定した。
この時の200μAの初回の充放電特性、1Cでの初回放電容量、200μAでの3サイクル目の放電容量に対する1Cでの初回放電容量維持率を求めた。また、これらの結果から電池特性バランスを評価した。
比較例1
実施例1と同様に電極活物質を合成した。ただし、原料をモル比でLi:Ni:Mn:Co=1.15:0.45:0.45:0.10となるように秤量した。また、実施例1と同様にコイン型非水電解質二次電池を作製し電池特性を測定した。
比較例2
実施例1と同様に電極活物質を合成した。ただし、原料をモル比でLi:Ni:Mn:Co=1.15:0.43:0.47:0.10となるように秤量した。また、実施例1と同様にコイン型非水電解質二次電池を作製し電池特性を測定した。
比較例3
実施例1と同様に電極活物質を合成した。ただし、原料をモル比でLi:Ni:Mn:Co=1.05:0.44:0.46:0.10となるように秤量した。また、実施例1と同様にコイン型非水電解質二次電池を作製し電池特性を測定した。
上記実施例1、比較例1〜3の電極活物質の組成を表1に、200μAの初回の充放電容量、1Cでの初回放電容量、200μAでの3サイクル目の放電容量に対する1Cでの初回放電容量維持率を表2に示す。
表2示すように、実施例1の組成を有する電極活物質を用いた電池は、高い充放電容量を有し、かつ、高い1C/200μA維持率である電池特性バランスに優れた非水電解質二次電池であることが分かる。しかしながら、比較例1の電極活物質を使用した電池では充電容量および1C/200μA維持率は比較的高いものの、200μAおよび1Cでの初回放電容量は低い値である。比較例2の電極活物質を使用した電池では、1C/200μA維持率は比較的高いものの、充電容量および放電容量が共に低い値である。比較例3の電極活物質を使用した電池では充電容量および放電容量は高い値であるが、1C/200μA維持率は低い。以上から、本発明の電極活物質を使用することで、電池特性バランスに優れた電池を得ることが可能である。
実施例1と同様に電極活物質を合成し電極シートを作製した。さらに電池の膨張度合を調べるため、作製した電極シートを正極に使用し、以下のようにしてラミネート電池を作製した。
まず、負極には、負極活物質として天然黒鉛粉末、結着剤としてPVDFを重量比率で95:5になるように秤量し、NMPと混錬することにより負極スラリーを作製した。作製した負極スラリーを集電体となる銅箔の両面に塗布し、乾燥させた後、ロールプレスにて圧延することによって負極を作製した。
上記のように作製した負極と正極との間に、セパレータとしてポリエチレン多孔膜を介在させ、これらを重ね合わせて、電池要素を形成した。この電池要素を長方形のアルミニウムラミネートフィルムに封入し、三方辺を温度80℃で熱融着した後、上記電解液をアルミニウムラミネートフィルムの開口部から注入して、アルミニウムラミネートフィルムの開口部を熱融着することにより、ラミネート電池を作製した。
作製したラミネート電池で充放電試験を300サイクル行った後、ラミネート電池の膨張度合を調べた。
比較例4
比較例1と同様にして電極活物質を合成した。作製した電極活物質を正極に用いて実施例2と同様にしてラミネート電池を作製し、電池の膨張度合を調べた。
次に、電池の膨張度合の測定結果を表3に示す。
本発明の電極活物質を使用した実施例2では電池の膨張が抑制されていることが分かる。本発明の電極活物質を使用することで、電池特性バランスに優れ、さらに電池の膨張を抑制することが可能である。
[電極活物質の合成]
原料として平均粒径0.5μmのニッケル金属粉、四三酸化マンガン、四三酸化コバルト、炭酸リチウムを使用し、これらをモル比でLi:1.15、Ni:0.34、Mn:0.34、Co:0.32となるように秤量した。次に、これらの原料粉末と溶媒として水を混合し原料スラリーを作製した。得られた原料スラリーを噴霧乾燥し、酸素雰囲気中、950℃、40時間熱処理を行うことによりリチウムニッケル遷移金属複合酸化物Li1.15Ni0.34Mn0.34Co0.322を合成した。
[非水電解質二次電池の作製]
まず、前記方法で合成したリチウムニッケル遷移金属複合酸化物を用いた電極の作製方法を説明する。
電極活物質として、合成したリチウムニッケル遷移金属複合酸化物を使用し以下の方法で電極を作製する。電極活物質としてLi1.15Ni0.34Mn0.34Co0.322、導電助剤として繊維状カーボン、結着剤としてPVDFとを重量比で90:7:3となるように混合した。これをNMP中に分散させて電極スラリーを作製した。作製した電極スラリーを厚さ20μmのアルミ箔上に6.4mg/cm2となるように塗布し、140℃で乾燥後、1t/cm2の圧力でプレスすることにより電極シートを作製した。これを正極に使用した。
次に、負極を作製した。負極活物質として球状黒鉛、結着剤としてPVDFとを重量比で93:7となるように混合した。これをNMP中に分散させて負極スラリーを作製した。作製した負極スラリーを厚さ10μmの銅箔の両面に片面あたり3.2mg/cm2となるように塗布し、140℃で乾燥後、1t/cm2の圧力でプレスすることにより負極シートを作製した。
上記のように作製した電極シートおよび負極シートをセパレーターとしてポリエチレン多孔膜を介して重ね合わせ、これを巻回したものと、電解液として炭酸エチレン:炭酸ジエチル=3:7(重量比)混合溶媒に溶媒1リットル当り1molの6フッ化燐酸リチウムを溶解させた有機電解液をアルミラミネートフィルム製容器に入れ密閉しラミネート電池を作製した。
作製したらラミネート電池を75mAの電流値で4.2Vまで充電した。その後4.2Vの電圧で5時間保持した後、ラミネート電池のアルミラミネート製容器の一部を切断し内部に発生したガスを除去した。その後、ガスを除去したラミネート電池を再び密閉し、75mAの電流値で電圧範囲2.5〜4.2Vで充放電を3回繰り返し行った。このときの3回目の放電容量から、0.3C、1.0C、3.0C、5.0C、10.0Cにおける各電流値を算出し、各電流値での放電試験を行った。ここで、放電試験の前には、1.0Cの電流値で4.2Vまで定電流充電を行い、続いて4.2Vの定電圧充電を2時間行った。
比較例5
実施例3と同様に電極活物質を合成した。ただし、原料をモル比でLi:Ni:Mn:Co=1.08:0.33:0.33:0.33となるように秤量した。また、実施例3と同様にラミネート電池を作製し電池特性を測定した。ただし、正極活物質には前記電極活物質を使用した。
次に、上記実施例3及び比較例5の電極活物質の組成を表4に、75mAでの初回充放電容量値及び、初回充放電効率、また、各電流値におけるレート特性の結果を表5に示す。
この結果から、実施例3では比較例5よりも、高い放電容量値を持ち、かつレート特性に優れたリチウムニッケル遷移金属複合酸化物を合成出来ていることが分かる。
1:コイン型非水電解質二次電池、11:ケース、12:封口板、13:ガスケット、14:正極、15:負極、16:セパレータ、17:集電体、18:ばね部材。

Claims (2)

  1. Li(1+α)[ NixMnyCoz]O2(0.100<α<0.300、x+y+z=1、0.075<z<0.330、0.935<x/y<0.978)で表わされること特徴とする非水電解質二次電池用電極活物質。
  2. 請求項1記載の電極活物質を電極に用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
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