本願発明の実施形態について、以下に説明する。
図1を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は素子基板の作製工程を示す断面図である。
まず、下地膜、半導体層405〜406、ゲート絶縁膜、ゲート電極が形成された基板400に第1の層間絶縁膜461として、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。第1の層間絶縁膜461は酸化窒化シリコン膜や、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
第1の層間絶縁膜461上に第2の層間膜としての機能を有する感光性樹脂膜462を塗布する。感光性樹脂膜の厚さは0.5〜3.5μmが望ましい。感光性樹脂膜として感光性アクリル樹脂膜、感光性ポリイミド樹脂膜を用いることができる。本実施例ではポジ型の感光性樹脂膜を用いて説明する。
感光性樹脂膜を露光するフォトマスク100は、石英ガラス109に遮光部108としてクロム(Cr)等の薄膜を形成したものである。第1の透光部101は後述するコンタクトホールを形成するためのもので、直径が3.0〜5.0μmの円とする。
フォトマスク100の第2の透光部102は後述する感光性樹脂膜の表面の凹凸を形成するためのものである。第2の透光部102の幅と、隣接する第2の透光部同士の間隔を適宜選択し、第2の透光部を透過した光により露光された感光性樹脂膜が解像不能となるようにする。フォトマスクの第2の透光部102の幅は露光装置の解像能力、透光部のピッチ、透光部の密度によって決定すると良い。
投影型の露光装置であるミラープロジェクターアライナーでは第2の透光部102の幅を2.5μm以下望ましくは1.5μm以下とすると良い。
投影型の露光装置であるミラープロジェクターアライナーにフォトマスク100をセッティングして感光性樹脂膜を露光する。
感光性樹脂膜を現像液に接するようにして現像する。
そして、第1の透光部101を透過した光で露光した部分は、感光性樹脂膜を現像した後に感光性樹脂膜を貫通するコンタクトホール103〜106(第1の開口部)を有する第1の領域121ができる。第2の透光部102を透過した光で露光した部分は、感光性樹脂膜の表面に凹凸を有する第2の領域107を得る。
さらに、200〜400℃の熱を加えて感光性樹脂膜を重合する。
次いで、図1(B)のように、第2の層間膜である感光性樹脂462をマスクとして第1の層間膜461をエッチングして、コンタクトホール108〜111(第2の開口部)を得る。第2の層間膜と第1の層間膜においてエッチングにおける選択比が大きく違うため、感光性樹脂膜の第2の領域107における凹凸の凸部112の形状はそのまま保持される。
次いで、図1(C)に示すように、画素部507においては、反射電極470、ゲート配線469、接続電極468を形成する。この接続電極468によりソース配線(433bと449の積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線469は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、反射電極470は、画素TFTのドレイン領域442と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層458と電気的な接続が形成される。また、反射電極470としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。本実施例では、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。
本実施形態において、図1(C)のように、反射電極470は表面に凸部114を有する。視野角特性を良好にすること、反射電極の凹凸により反射した光が液晶パネルのガラス基板に臨界角を超える角度で入射し、全反射により液晶パネル内に光が閉じ込められる現象を防止することのためには、反射電極の凸部114の傾斜面に接する面と基板面のなす角度を1°以上45°以下望ましくは5°以上15°以下とすると良い。
画素部において感光性樹脂膜の表面が基板面に対し平行であると、後述する反射電極に入射した光がその部分では鏡面反射をしてしまう。反射電極に入射した光の散乱性を高めるためには、フォトマスク100において互いに隣接する第2の透光部102と第2の透光部106を近接するように配置してできるだけ平滑面を少なくすることが望ましい。具体的には画素部における平滑面の割合は画素部の面積の50%以下、望ましくは30%以下に抑えることが望ましい。
本発明によれば、一枚のフォトマスクで第2の層間膜として機能する感光性樹脂膜にコンタクトホールを形成し、同時に、感光性樹脂膜の表面に選択的に凹凸を形成することができる。感光性樹脂膜に選択的に形成された凹凸に接するように反射電極を形成し、反射電極の表面の凹凸で反射電極に入射した光を散乱させることができる。第2の層間膜として感光性樹脂を用いているため、一回のフォトリソ工程だけで感光性樹脂膜を貫通するコンタクトホールを形成し、感光性樹脂膜の表面に選択的に凹凸を形成することが可能となる。
以上の様にして、画素TFT504、保持容量505とを有する画素部507を形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
また、発光素子を用いた自発光表示装置の作製方法に本発明の反射電極表面に散乱構造を形成する方法を適用してもよい。
以上の構成でなる本願発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うこととする。
本実施例では、反射型の表示装置の作製方法を図1と図3〜図6により説明する。ここでは、同一基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法について詳細に説明する。
本実施例で作製するアクティブマトリクス基板の画素部の上面図を図6に示す。なお、図1と図3〜図5に対応する部分には同じ符号を用いている。図5(B)中の鎖線A―A’及び鎖線B―B’は図6中の鎖線A―A’及び鎖線B―B’で切断した断面図に対応している。図1(C)中の鎖線A―A’、鎖線B―B’ 及び鎖線C―C’は図6中の鎖線A―A’、鎖線B―B’ 及び鎖線C―C’で切断した断面図に対応している。
図3(A)に示すように、本実施例ではコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板400を用いる。なお、基板400としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよい。
次いで、基板400上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜から成る下地膜401を形成する。本実施例では下地膜401として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。下地膜401の一層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化シリコン膜401aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成する。本実施例では、膜厚50nmの酸化窒化シリコン膜401a(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を形成した。次いで、下地膜401のニ層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化シリコン膜401bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。本実施例では、膜厚100nmの酸化窒化シリコン膜401b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を形成した。
次いで、下地膜上に半導体層402〜406を形成する。半導体層402〜406は、非晶質構造を有する半導体膜を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜した後、公知の結晶化処理(レーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの触媒を用いた熱結晶化法等)を行って得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパターニングして形成する。この半導体層402〜406の厚さは25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで形成する。結晶質半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。本実施例では、プラズマCVD法を用い、55nmの非晶質シリコン膜を成膜した後、ニッケルを含む溶液を非晶質シリコン膜上に保持させた。この非晶質シリコン膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行い、さらに結晶化を改善するためのレーザーアニ―ル処理を行って結晶質シリコン膜を形成した。そして、この結晶質シリコン膜をフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって、半導体層402〜406を形成した。
また、半導体層402〜406を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
また、レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合には、パルス発振型または連続発光型のエキシマレーザーやYAGレーザー、YVO4レーザーを用いることができる。これらのレーザーを用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザー光を光学系で線状に集光し半導体膜に照射する方法を用いると良い。結晶化の条件は実施者が適宣選択するものであるが、エキシマレーザーを用いる場合はパルス発振周波数30Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜400mJ/cm2(代表的には200〜300mJ/cm2)とする。また、YAGレーザーを用いる場合にはその第2高調波を用いパルス発振周波数1〜10kHzとし、レーザーエネルギー密度を300〜600mJ/cm2(代表的には350〜500mJ/cm2)とすると良い。そして幅100〜1000μm、例えば400μmで線状に集光したレーザー光を基板全面に渡って照射し、この時の線状レーザー光の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜98%として行えばよい。
次いで、半導体層402〜406を覆うゲート絶縁膜407を形成する。ゲート絶縁膜407はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成した。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
また、酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
次いで、ゲート絶縁膜407上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜408と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜409とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜408と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜409を積層形成した。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタした。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施例では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができた。
なお、本実施例では、第1の導電膜408をTaN、第2の導電膜409をWとしたが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化チタン(TiN)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をAl膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせとしてもよい。
次に図3(B)に示すように、フォトリソグラフィ法を用いてレジスト膜からなるマスク410〜415を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行った。ここでは、松下電器産業(株)製のICPを用いたドライエッチング装置(Model E645−□ICP)を用いた。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
この後、レジスト膜からなるマスク410〜415を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
上記第1のエッチング処理では、レジスト膜からなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層417〜422(第1の導電層417a〜422aと第2の導電層417b〜422b)を形成する。416はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層417〜422で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
そして、レジスト膜からなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を添加する。ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1015atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行う。本実施例ではドーズ量を1.5×1015atoms/cm2とし、加速電圧を80keVとして行った。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いた。この場合、導電層417〜421がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に高濃度不純物領域423〜427が形成される。高濃度不純物領域423〜427には1×1020〜1×1021atoms/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
次いで、レジスト膜からなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第1の導電層428b〜433bを形成する。一方、第2の導電層417a〜422aは、ほとんどエッチングされず、第2の導電層428a〜433aを形成する。次いで、第2のドーピング処理を行って図3(C)の状態を得る。ドーピングは第2の導電層417a〜422aを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層のテーパー部下方の半導体層に不純物元素が添加されるようにドーピングする。こうして、第1の導電層と重なる不純物領域434〜438を形成する。この不純物領域へ添加されたリン(P)の濃度は、第1の導電層のテーパー部の膜厚に従って緩やかな濃度勾配を有している。なお、第1の導電層のテーパー部と重なる半導体層において、第1の導電層のテーパー部の端部から内側に向かって若干、不純物濃度が低くなっているものの、ほぼ同程度の濃度である。また、第1の不純物領域423〜427にも不純物元素が添加され、不純物領域439〜443を形成する。
次いで、図4(A)に示すようにレジスト膜からなるマスクを除去せずに第3のエッチング処理を行う。この第3のエッチング処理では第1の導電層のテーパー部を部分的にエッチングして、半導体層と重なる領域を縮小するために行われる。第3のエッチングは、エッチングガスにCHF3を用い、反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いて行う。第3のエッチングにより、第1の導電層444〜449が形成される。この時、同時に絶縁膜416もエッチングされて、絶縁膜450a〜d、451が形成される。
上記第3のエッチングによって、第1の導電層444〜448と重ならない不純物領域(LDD領域)434a〜438aが形成される。なお、不純物領域(GOLD領域)434b〜438bは、第1の導電層444〜448と重なったままである。
このようにすることで、本実施例は、第1の導電層444〜448と重なる不純物領域(GOLD領域)434b〜438bにおける不純物濃度と、第1の導電層444〜448と重ならない不純物領域(LDD領域)434a〜438aにおける不純物濃度との差を小さくすることができ、信頼性を向上させることができる。
次いで、レジスト膜からなるマスクを除去した後、図4(B)に示すように、新たにレジスト膜からなるマスク452〜454を形成して第3のドーピング処理を行う。この第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域455〜460を形成する。第2の導電層428a〜432aを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域455〜460はジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する。この第3のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジスト膜からなるマスク452〜454で覆われている。第1のドーピング処理及び第2のドーピング処理によって、不純物領域455〜460にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を2×1020〜2×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。本実施例では、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層の一部が露呈しているため、不純物元素(ボロン)を添加しやすい利点を有している。
以上までの工程でそれぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
次いで、レジスト膜からなるマスク452〜454を除去して第1の層間絶縁膜461を形成する。この第1の層間絶縁膜461としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化シリコン膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜461は酸化窒化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
次いで、図4(C)に示すように、それぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工程はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。熱アニール法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜550℃で行えばよく、本実施例では550℃、4時間の熱処理で活性化処理を行った。なお、熱アニール法の他に、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
なお、本実施例では、上記活性化処理と同時に、結晶化の際に触媒として使用したニッケルが高濃度のリンを含む不純物領域439、441、442、455、458にゲッタリングされ、主にチャネル形成領域となる半導体層中のニッケル濃度が低減される。このようにして作製したチャネル形成領域を有するTFTはオフ電流値が下がり、結晶性が良いことから高い電界効果移動度が得られ、良好な特性を達成することができる。
また、第1の層間絶縁膜を形成する前に活性化処理を行っても良い。ただし、用いた配線材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線等を保護するため層間絶縁膜(シリコンを主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後で活性化処理を行うことが好ましい。
さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。本実施例では水素を約3%の含む窒素雰囲気中で410℃、1時間の熱処理を行った。この工程は層間絶縁膜に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
また、活性化処理としてレーザーアニール法を用いる場合には、上記水素化を行った後、エキシマレーザーやYAGレーザー等のレーザー光を照射することが望ましい。
次いで、図5(A)に示すように、第1の層間絶縁膜461上に第2の層間絶縁膜として感光性樹脂膜462を形成する。この感光性樹脂膜462としてはスピン塗布法を用い、厚さを0.5〜3.5μmとして形成する。本実施例では、スピン塗布法により膜厚0.8μmのポジ型の感光性のアクリル樹脂膜を形成した。
次いで、本実施例の作製工程を画素部に注目して図1により説明する。図1(A)に示すように、フォトマスク100により感光性樹脂膜462を露光する。
フォトマスクは石英ガラス109に遮光部108としてクロム(Cr)等の薄膜を形成している。フォトマスクの第1の透光部101の形状は直径が3μmの円とする。
また本実施例では、フォトマスク100にある第2の透光部102を透過した光の回折を利用して感光性樹脂膜の表面に凹凸を有する第2の領域107を形成する。回折により感光性樹脂膜の表面に選択的に第2の領域107を形成するためには、第2の透光部102の幅は露光装置の解像限界に比べ小さくする必要がある。第2の透光部102の幅は、感光性樹脂膜の膜厚、感光性樹脂膜の解像度、露光装置の解像限界に負うところが大きいが、例えば投影型の露光装置であるミラープロジェクターアライナーでは第2の透光部の幅を2.5μm以下望ましくは1.5μm以下とする。
本実施例では、第2の透光部102は直径1.5μmの円とし、第2の透光部の円の中心が正方形の頂点に配置された構造を基本単位として縦方向と横方向に周期的に正方形が配置される格子状のパターンとする。互いに隣接する第2の透光部102の円の中心と第2の透光部116の円の中心との間隔は最短の長さが2.0μmとする。
露光装置はステッパー式露光装置、投影式露光装置等を使用することができる。
本実施例では投影式露光装置であるキャノン社製のミラープロジェクターアライナーMPA−600SUPERにより露光を行う。
露光においては、基板400を一定方向に一定速度で走査し、円弧状のスリットから透過する紫外光を基板上に形成された感光性樹脂膜に照射する。感光性樹脂膜に紫外光を照射する時間は、一枚の基板において140secとする。
現像液にはテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)が溶解してイオン化した水溶液を用いる。TMAHの濃度は2.38%である。現像時間は45秒とする。本実施例では、ノズルから現像液を噴出して基板400の表面に当てるスピン現像法を用いる。
現像により感光性樹脂膜のうち所定のエネルギー以上で露光された部分が現像液に溶解する。そして感光性樹脂膜において第1の開口部103〜106を有する第1の領域117と感光性樹脂膜の表面に凹凸を有する第2の領域が形成される。第1の開口部103〜106においては感光性樹脂膜が解像し、第1の層間膜461の界面が露呈している。
次いで、感光性樹脂膜を200℃〜400℃の温度で硬化する。硬化時の熱で感光性樹脂膜が軟化するため、硬化温度を高くすることで第2の領域107における感光性樹脂膜の表面にできる凹凸の凸部112の先端が丸みを帯びる傾向がある。
次に、感光性樹脂膜をマスクとして1〜70%のフッ化水素酸(HF)が溶解した水溶液により第1の層間膜461をエッチングし、図1(B)の断面形状を得る。これにより半導体層405〜406に達するコンタクトホール108〜111ができる。
図1(C)に示すように、画素部507においては、反射電極470、ゲート配線469、接続電極468を形成する。この接続電極468によりソース配線(433bと449の積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線469は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。
また、反射電極470は、画素TFTのドレイン領域442と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層458と電気的な接続が形成される。また、反射電極471としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
画素部の断面形状を以下に説明する。第1の開口部103〜106の感光性樹脂膜の傾斜面と基板面とのなす角度(第1のテーパー角と称す)は30°以上60°以下となる。また、第2の透光部102を透過した光は回折によりフォトマスクの法線方向に対し大きな角度で広がり、感光性樹脂膜に照射される。このため、感光性樹脂膜の第2の領域107における凹凸の第1の凸部112の傾斜面に接する面と基板面のなす角度(第2のテーパー角と称す)は、第1のテーパー角に比べ比較的小さくなる。第2のテーパー角は2°以上50°以下となることが望ましい。また、反射電極の表面の第2の凸部114の傾斜面に接する面と基板面のなす角度(第3のテーパー角と称す)は、反射電極の厚さによりにより第2のテーパー角に比べ若干小さくなる。全反射による光の閉じ込め、視野角特性を考慮すると、第3のテーパー角は1°以上45°以下となることが望ましい。
例えば反射電極の表面に最終的に直径1.0〜2.0μmの凸部114ができる場合、凸部114の高さは8nm〜580nm望ましくは40〜270nmとすると良い。
反射電極の上部にある複数の凸部114を模式的に図6の画素部の正面図に示す。実際は反射電極の表面にある凸部144と凸部144は近接している。反射電極の表面にある凸部144の頂点と凸部144の頂点の間の距離は0.5〜15μmの範囲とすると良い。つまり鏡面反射を防ぐために互いに隣接する凸部の裾と凸部の裾が近接して、平滑面の形成を抑えることが望ましい。
本実施例において、第2の層間膜として機能する感光性樹脂膜の表面に凹凸を形成したことにより、反射電極470の表面に微細な凹凸からなる散乱構造ができ、光を散乱させることができる。かつ、散乱構造の形成は、コンタクトホールを形成する工程と同一工程できる。かつ、コンタクトホールを形成する工程において使用するフォトマスクは一枚でありフォトマスク数の増加を抑えることができる。感光性樹脂膜を用いたフォトリソ工程においてコンタクトホール形成ができ、同時に感光性樹脂膜の表面の一部に選択的に凹凸が形成されるため、非感光性の層間膜を用いる場合に比べ、工程数が減らせる。
本実施例では第2の透光部102の円の中心が水平方向と垂直方向に等間隔で配置した格子状としたが、反射型の液晶表示装置において、反射電極で光を散乱させるときに、反射電極で反射した光の回折により光が分光されてしまうことを防ぐために、第2の透光部102の形状、配置を不規則にして回折を抑えるように工夫しても良い。
散乱性を高めるためには、画素部においてできるだけ、基板面に対し平行な部分が少ない方が良い。これは、反射電極の表面が平滑であると、その部分で光が鏡面反射をしてしまうからである。第2の透光部102と隣接する第2の透光部106の間隔を最短の距離で1〜10μm望ましくは0.2〜2μmと狭くし、第2の透光部同士が近接するように配置すると、反射電極において平滑な部分の割合を少なくすることができる。
また、本実施例の駆動回路部と画素部の一部の作製工程を図5(B)により説明する。駆動回路506においては、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線463〜467を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。画素部507においては、反射電極470、ゲート配線469、接続電極468を形成する。この接続電極468によりソース配線(433bと449の積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線469は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、反射電極470は、画素TFTのドレイン領域442と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層458と電気的な接続が形成される。また、反射電極471としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
以上の様にして、nチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT503を有する駆動回路506と、画素TFT504、保持容量505とを有する画素部507を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
駆動回路506のnチャネル型TFT501はチャネル形成領域471、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層444と重なる低濃度不純物領域434b(GOLD領域)、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域434a(LDD領域)とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域439を有している。このnチャネル型TFT501と電極466で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT502にはチャネル形成領域472、ゲート電極と重なる不純物領域457、ゲート電極の外側に形成される不純物領域458、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域455を有している。また、nチャネル型TFT503にはチャネル形成領域473、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層446と重なる低濃度不純物領域436b(GOLD領域)、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域437a(LDD領域)とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域441を有している。
画素部の画素TFT504にはチャネル形成領域474、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層447と重なる低濃度不純物領域437b(GOLD領域)、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域437a(LDD領域)とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域443を有している。また、保持容量505の一方の電極として機能する半導体層458〜460には、それぞれp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量505は、絶縁膜451を誘電体として、電極(448と432bの積層)と、半導体層458〜460とで形成している。
また、本実施例で示す工程に従えば、アクティブマトリクス基板の作製に必要なフォトマスクの数を5枚とすることができる。その結果、工程を短縮し、製造コストの低減及び歩留まりの向上に寄与することができる。
本実施例では、実施例2で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型の液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図2を用いる。図2中の鎖線A―A’、鎖線B―B’ 及び鎖線C―C’は図6に示すアクティブマトリクス基板を鎖線A―A’、鎖線B―B’及び鎖線C―C’で切断した断面図に対応している。
まず、実施例1に従い、図1(C)のアクティブマトリクス基板を得た後、図2に示すように、アクティブマトリクス基板上、少なくとも反射電極470上に配向膜483を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜483を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ(図示しない)を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
次いで、対向基板476を用意する。次いで、対向基板476上に着色層477、478、平坦化膜479を形成する。赤色の着色層477と青色の着色層478とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。
本実施例では、実施例1に示すアクティブマトリクス基板を用いている。従って、実施例1の画素部の上面図を示す図6では、少なくともゲート配線469と反射電極470の間隙と、ゲート配線469と接続電極468の間隙と、接続電極468と反射電極470の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせた。
このように、ブラックマスク等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。
次いで、平坦化膜479上に透明導電膜からなる対向電極480を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜481を形成し、ラビング処理を施した。
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材(図示せず)で貼り合わせる。シール材にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料482を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料482には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図2に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。
さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
反射電極の表面にある複数の凸部114により光が散乱され、反射型の液晶表示装置の視野角特性が拡大する。
以上のようにして作製される液晶表示パネルは各種電子機器の表示部として用いることができる。
実施例1の図1(A)に示す工程において用いるフォトマスク100の一例を図7に示す。図7は石英ガラスの表面に遮光部108としてクロム膜等が選択的に配置されたフォトマスクの上面図を示す。
本発明はポジ型の感光性樹脂膜にもネガ型の感光性樹脂膜にも適用することができる。ただし、本実施例では感光性樹脂膜462にポジ型の材料を用いたときに適用するフォトマスクを示す。感光性樹脂膜がポジ型のときは、第2の透光部107により露光された部分の感光性樹脂膜は、現像により感光性樹脂膜が溶解し凹部となる。
図7のように、第1の透光部101は感光性樹脂膜を解像するために、3μm以上、望ましくは5μm以上の直径の円とすることが望ましい。
第2の透光部102は円または楕円の形状にすることが可能である。円の直径、楕円の長軸と短軸の長さ及び長軸と短軸の比を変化させて、それらを複数組み合わせて用いても良い。もちろん、第2の透光部102の形状として円、楕円だけでなく正方形、直方形、ひし形、多角形等のパターンを単独あるいは組み合わせて用いて、散乱特性に指向性を持たせても良い。結果として、露光によって感光性樹脂膜が解像不能となれば良い。第2の透光部102として複数の形状を適用することで、感光性樹脂膜の表面に形成される凹凸がランダムになり、反射電極の表面の凹凸により反射した光が回折により分光される現象を抑えられる。
第2の透光部102に対する遮光部108の割合が大きすぎると感光性樹脂膜の露光、現像条件によっては画素部において平滑な部分が占める割合が多くなり、反射電極に入射した光が鏡面反射しやすくなるため注意が必要である。
感光性樹脂膜が解像不能になる条件としては露光装置に依存するところが大きい。投影型の露光装置であるミラープロジェクターアライナーにより露光した場合は、図7に示す第2の透光部102がとり得る直線距離Lの最大値を2.5μm以下、望ましくは1.5μm以下とすることが望ましい。本明細書では、第1の透光部101又は第2の透光部102がとり得る直線距離Lの最大値をそれぞれ、第1の透光部101又は第2の透光部102の幅とする。例えば第2の透光部が楕円であれば第2の透光部の幅102は楕円の長軸の長さとなる。第2の透光部が円であれば第2の透光部の幅102は円の直径となる。第2の透光部が多角形であれば第2の透光部の幅102は多角形の対角線のうち、最大値をとるものとなる。
第2の透光部102の幅を変えることで、露光し現像した後にできる第1の領域107における感光性樹脂膜の膜厚、感光性樹脂膜の表面にできる凸部112の傾斜面に接する面と基板面のなす角度が不規則になる。かつ、感光性樹脂膜の表面にできる複数の凸部112の高さに高低差をつけることができる。
感光性樹脂膜を露光する装置はステッパー式露光装置、投影式露光装置を使用することができる。露光する装置の解像限界に合わせて第2の透光部102がとり得る幅を決めると良い。
なお、本実施例は、実施例1乃至3のいずれか一と自由に組み合わせることが可能である。
本実施例における、反射型の電気光学装置の作製方法の特徴を図9により説明する。図9において図1と同じ要素は同じ数字で示している。本実施例では、フォトマスク123において第2の透光部124に光学薄膜126が形成されている。フォトマスクにおいて石英ガラス109及び光学薄膜126を透過した光の透過率は10〜80%望ましくは10〜60%とすると良い。本実施例では、第2の透光部124においてフォトマスクを通過した光の回折と光学薄膜126により透過率が減衰する効果を利用して、感光性樹脂膜を露光する光のエネルギーを調節していることが特徴である。
実施例1と本実施例の差を以下に説明する。実施例1では、図1(A)に示すように、回折を利用して感光性樹脂膜が分解不能となるような条件で露光をした。そして、感光性樹脂膜の表面に凹凸を有する第2の領域107を形成した。しかし、実施例1の方法では回折をおこすためには、第2の透光部102の幅を狭くする必要があった。例えば、投影型の露光装置においては装置の解像度にもよるが第2の透光部の幅を2.5μm以下、望ましくは1.5μm以下とする必要があった。
本実施例によれば、図9に示すように、第2の透光部124の幅を広くしても、光学薄膜126があるため、感光性樹脂膜426を露光する光の強度が減衰し、感光性樹脂膜が解像不能となる。このため、第2の透光部124の幅を第1の透光部の幅101と等しくしたとしても、光学薄膜により第2の透光部124を透過した光の強度が弱くなるため、結果として感光性樹脂膜462の表面においてのみ露光による感光性樹脂膜の化学反応が起こる。光学薄膜により第2の透光部の透過率を調節することで、フォトマスク123において第2の透光部124の幅を選択できる範囲が広がる。
同一基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法については実施例1において詳細に説明した。ここでは、アクティブマトリクス基板の作製方法について実施例1と異なる点のみを詳しく説明する。
本実施例で作製するアクティブマトリクス基板の画素部の上面図を図6に示す。なお、図9と図3〜図5に対応する部分には同じ符号を用いている。図5(B)中の鎖線A―A’及び鎖線B―B’は図6中の鎖線A―A’及び鎖線B―B’で切断した断面図に対応している。図9(C)中の鎖線A―A’、鎖線B―B’ 及び鎖線C―C’は図6中の鎖線A―A’、鎖線B―B’ 及び鎖線C―C’で切断した断面図に対応している。
実施例1に示す方法により、半導体層402〜406、ゲート絶縁膜450〜451、ゲート電極(第1の導電層444〜449と第2の導電層428〜433よりなる)、第1の層間膜461を形成し、図4(C)の形状を得る。
次いで、図5(A)に示すように、第1の層間絶縁膜461上に第2の層間絶縁膜として感光性樹脂膜462を形成する。この感光性樹脂膜462としてはスピン塗布法を用い、厚さを0.5〜3.5μmとして塗布する。本実施例では、スピン塗布法により膜厚0.8μmのポジ型の感光性のアクリル樹脂膜を塗布した。
次いで、本実施例の作製工程を画素部に注目して図9により説明する。図9(A)に示すように、フォトマスク123により感光性樹脂膜462を露光する。
露光装置はステッパー式露光装置、投影式露光装置等を使用することができる。
本実施例では投影式露光装置であるキャノン社製のミラープロジェクターアライナーMPA−600SUPERにより露光を行う。MPA−600SUPERは水銀灯を光源とする。水銀灯は発光するスペクトル線のうちi線、g線、h線という輝度の高いスペクトル線を発する。MPA−600SUPERはi線(365nm付近のスペクトル線)、g線(405nm付近のスペクトル線)、h線(436nm付近のスペクトル線)が混合された光により露光を行う。
フォトマスク123は石英ガラス109に遮光部108としてクロム(Cr)等の薄膜を形成している。フォトマスクの第1の透光部101は直径が3μmの円とする。
フォトマスクの第2の透光部124は直径1.5〜6.0μmの円として、複数の円が配置されている。第2の透光部の円の中心をランダムに配置するパターンとする。互いに隣接する第2の透光部124の円の中心と、第2の透光部125の円の中心との間隔は8.0μm以下とする。
また、フォトマスク123の第2の透光部124を覆うように光学薄膜126を形成する。光学薄膜126により、第2の透光部124及び第2の透光部125における透過率を10〜80%望ましくは10〜60%とすると良い。光学薄膜126の透過率は感光性樹脂膜を露光する光の波長域において一定であることが望ましい。本実施例では露光装置の光源の発する輝度の高いスペクトル線であるi線、g線、h線の波長域が365〜436nmの範囲であるため、365〜436nmの波長域において光学薄膜の透過率が30%となるようにする。
感光性樹脂膜の表面において、露光により分解反応あるいは重合反応が起きるには所定のエネルギーが必要である。光学薄膜126の透過率が低すぎると、感光性樹脂膜の表面において露光による化学反応が起きない。このため光学薄膜119の透過率は10%以上とすることが望ましい。
光学薄膜119により第2の透光部を透過する光の強度を減衰させ、感光性樹脂膜を解像不能とするためには第2の透光部124の透過率は80%以下、望ましくは60%以下とすると良い。
光学薄膜は、透過率を低くする役割を果たすものである。光学薄膜としては、屈折率の異なる膜を積層することで干渉により所定の透過率となるように調節しても良い。また、金属膜等の吸収、反射を利用し、所定の透過率となるようにしても良い。
光学薄膜119は第2の透光部108だけでなく、遮光部108を覆うように形成しても良い。ただし、第1の透光部101においては光学薄膜119が除去されている必要がある。
露光においては、基板400を一定方向に一定速度で走査し、円弧状のスリットから透過する紫外光を基板上に形成された感光性樹脂膜に照射する。感光性樹脂膜に紫外光を照射する時間は、一枚の基板において140secとする。
現像液にはテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)が溶解してイオン化した水溶液を用いる。TMAHの濃度は2.38%である。現像時間は45秒とする。本実施例では、ノズルから現像液を噴出して基板400の表面に当てるスピン現像法を用いる。
現像により感光性樹脂膜のうち所定のエネルギー以上で露光された部分が現像液に溶解する。そして感光性樹脂膜において第1の開口部103〜106を有する第1の領域117と感光性樹脂膜の表面に凹凸を有する第2の領域が形成される。第1の開口部103〜106においては感光性樹脂膜が解像し、第1の層間膜461の界面が露呈している。
次いで、感光性樹脂膜を200℃〜400℃の温度で硬化する。硬化時の熱で感光性樹脂膜が軟化するため、硬化温度を高くすると感光性樹脂膜の第1の領域122の凹凸の凸部127の先端が丸みを帯びた形状となる。
次に、感光性樹脂膜をマスクとして1〜70%のフッ化水素酸(HF)が溶解した水溶液により第1の層間膜461をエッチングし、図9(B)の断面形状を得る。これにより半導体層405〜406に達するコンタクトホール108〜111ができる。
図9(C)に示すように、画素部507においては、反射電極470、ゲート配線469、接続電極468を形成する。この接続電極468によりソース配線(433bと449の積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線469は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。
また、反射電極470は、画素TFTのドレイン領域442と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層458と電気的な接続が形成される。また、反射電極471としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
反射電極470形成後の画素部の断面形状を以下に説明する。第1の開口部103〜106の感光性樹脂膜の傾斜面に接する面と基板面とのなす角度(第1のテーパー角と称す)は30°以上60°以下となる。また、第2の透光部102の幅が第1の透光部の幅に比べ狭いときは、第2の透光部を透過した光の回折により、フォトマスクの法線方向に対し大きな角度で広がり、感光性樹脂膜に照射される。このため、感光性樹脂膜の第2の領域122における凹凸の凸部127の傾斜面に接する面と基板面のなす角度(第2のテーパー角と称す)は、第1のテーパー角に比べ比較的小さくなる。また、第2の透光部102の幅が第1の透光部の幅に比べ広かったとしても、フォトマスクに形成された光学薄膜126により透過率が低くなるため、露光するときの光のエネルギーが減衰し、感光性樹脂膜の表面のみが露光される。ただし、第2の透光部を透過した光は回折の影響を大きく受けず、フォトマスクの法線方向に対しそれほど広がらない。このため、第2のテーパー角が大きくなる傾向がある。以上の現象をふまえてフォトマスクのパターン、光学薄膜126の透過率、露光条件、現像条件を調節して、第2のテーパー角は2°以上50°以下となるようすることが望ましい。また、反射電極の表面にある凸部128の傾斜面に接する面と基板面のなす角度(第3のテーパー角と称す)は、反射電極の厚さによりにより第2のテーパー角に比べ若干小さくなる。第3のテーパー角は1°以上45°以下となることが望ましい。
以上の様にして、画素TFT504、保持容量505とを有する画素部507を形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
画素部の画素TFT504にはチャネル形成領域474、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層447と重なる低濃度不純物領域437b(GOLD領域)、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域437a(LDD領域)とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域443を有している。また、保持容量505の一方の電極として機能する半導体層458〜460には、それぞれp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量505は、絶縁膜451を誘電体として、電極(448と432bの積層)と、半導体層458〜460とで形成している。
また、本実施例で示す工程に従えば、アクティブマトリクス基板の作製に必要なフォトマスクの数を5枚とすることができる。その結果、工程を短縮し、製造コストの低減及び歩留まりの向上に寄与することができる。
以上の様にして、画素TFT504、保持容量505とを有する画素部507を形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
本実施例において、フォトマスク123において、第2の透光部124において形成した光学薄膜により、第2の透光部を通過する光の透過率が低下する。これにより多少第2の透光部124の幅が広くても感光性樹脂膜を解像不能とすることができる。
本実施例においても、実施例1と同様に感光性樹脂膜を貫通するコンタクトホールを形成すると同時に、感光性樹脂膜の表面に凹凸を形成することができる。
なお、本実施例は、実施例1乃至5のいずれか一と自由に組み合わせることが可能である。
本実施例では、実施例1で示したアクティブマトリクス基板のTFTの半導体層を形成する結晶質半導体層の他の作製方法について示す。本実施例では特開平7−130652号公報で開示されている触媒元素を用いる結晶化法を適用することもできる。以下に、その場合の例を説明する。
実施例1と同様にして、ガラス基板上に下地膜、非晶質半導体層を25〜80nmの厚さで形成する。例えば、非晶質シリコン膜を55nmの厚さで形成する。そして、重量換算で10ppmの触媒元素を含む水溶液をスピンコート法で塗布して触媒元素を含有する層を形成する。触媒元素にはニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などである。この触媒元素を含有する層170は、スピンコート法の他にスパッタ法や真空蒸着法によって上記触媒元素の層を1〜5nmの厚さに形成しても良い。
そして、結晶化の工程では、まず400〜500℃で1時間程度の熱処理を行い、非晶質シリコン膜の含有水素量を5atom%以下にする。そして、ファーネスアニール炉を用い、窒素雰囲気中で550〜600℃で1〜8時間の熱アニールを行う。以上の工程により結晶質シリコン膜から成る結晶質半導体層を得ることができる。
このうようにして作製された結晶質半導体層から島状半導体層を作製すれば、実施例1と同様にしてアクティブマトリクス基板を完成させることができる。しかし、結晶化の工程においてシリコンの結晶化を助長する触媒元素を使用した場合、島状半導体層中には微量(1×1017〜1×1019atoms/cm3程度)の触媒元素が残留する。勿論、そのような状態でもTFTを完成させることが可能であるが、残留する触媒元素を少なくともチャネル形成領域から除去する方がより好ましかった。この触媒元素を除去する手段の一つにリン(P)によるゲッタリング作用を利用する手段がある。
この目的におけるリン(P)によるゲッタリング処理は、図4(C)で説明した活性化工程で同時に行うことができる。ゲッタリングに必要なリン(P)の濃度は高濃度n型不純物領域の不純物濃度と同程度でよく、活性化工程の熱アニールにより、nチャネル型TFTおよびpチャネル型TFTのチャネル形成領域から触媒元素をその濃度でリン(P)を含有する不純物領域へ偏析させることができる。その結果その不純物領域には1×1017〜1×1019atoms/cm3程度の触媒元素が偏析した。このようにして作製したTFTはオフ電流値が下がり、結晶性が良いことから高い電界効果移動度が得られ、良好な特性を達成することができる。
なお、本実施例は、実施例1乃至4のいずれか一と自由に組み合わせることが可能である。
本願発明を実施して形成された画素部は様々な電気光学装置(アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ、アクティブマトリクス型ELディスプレイ、アクティブマトリクス型ECディスプレイ)に用いることができる。即ち、それら電気光学装置を表示部に組み込んだ電子機器全てに本願発明を実施できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター(リア型またはフロント型)、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図12及び図13に示す。
図12(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。本発明を表示部2003に適用することができる。
図12(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。本発明を表示部2102に適用することができる。
図12(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。本発明は表示部2205に適用できる。
図12(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示部2302、アーム部2303等を含む。本発明は表示部2302に適用することができる。
図12(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。
本発明は表示部2402に適用することができる。
図12(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。本願発明を表示部2502に適用することができる。
図13(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906等を含む。本願発明を表示部2904に適用することができる。
図13(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、3003、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。本発明は表示部3002に適用することができる。
図13(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。本発明は表示部3103に適用することができる。本発明のディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)のディスプレイには有利である。
以上の様に、本願発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜5のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。