JP2011164458A - 電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物および電子写真トナー - Google Patents

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直人 井上
Hirotake Fukuoka
弘剛 福岡
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Abstract

【課題】低温定着性と耐ホットオフセット性にも優れ、光沢性が良好な画像が得られる電子写真トナー用の用樹脂組成物及びこの組成物を用いた電子写真トナーを提供する。
【解決手段】多塩基酸(a1)、多価アルコール(a2)、モノエポキシ化合物(a3)、2〜4個のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a4)、5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a5)及び、前記(a1)〜(a5)以外の化合物で、(a1)〜(a5)のいずれかの化合物が有する官能基と反応しうる官能基を有し、且つ、1つの炭素原子に炭素原子数2〜22のアルキル基が2個以上直接結合している化合物(a6)とを反応して得られるポリエステル樹脂(A)を含有する事を特徴とする電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物、該組成物を含有する電子写真トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、低温定着性と耐ホットオフセット性にも優れ、光沢性が良好な画像が得られる電子写真トナー用の用樹脂組成物及びこの組成物を用いた電子写真トナーに関する。
近年、レーザープリンターやコピー機の低消費電力化のため、電子写真用トナーにはより低温で定着する性能(低温定着性)の向上が要求されている。低温定着性を向上させるためにトナー中のバインダー樹脂としてポリエステル系の樹脂が一般的に用いられ、更に、該樹脂の軟化点を下げることで低温定着性の向上を図っている。しかしながら、バインダー樹脂の軟化点を下げることで電子写真トナーの低温定着性の向上を図ると、耐ホットオフセット性が著しく低下してしまう。
このため、ワックスを電子写真トナー中に含ませる手法が一般的に用いられている。しかしながら、一般的にワックスとポリエステル系バインダー樹脂との相溶性が極めて悪く、ワックスをバインダー樹脂中に例えば2〜3重量%程度しか含ませることができない。仮にワックスをバインダー樹脂中に2〜3重量%以上含ませることができても、トナー中のワックス分散が不均一になり、ホットオフセットが発生してしまう。このように低温定着性と耐ホットオフセットに優れる電子写真トナーを得るのは困難であった。また、トナー中のワックス分散が不均一になることにより流動性に劣る電子写真トナーとなり、その結果、得られる画像の光沢性が十分でない問題もある。
低温定着性と耐ホットオフセット性に優れる電子写真トナーを得るために、電子写真トナー中のワックスの分散性の向上性が図られている。ワックスの分散性を向上させた樹脂組成物として、例えば、多分岐状ポリエステル構造を主骨格とし、かつ、その分子末端に炭素原子数が20〜80のアルキル基または炭素原子数が20〜80のアルケニル基を25〜95重量%となる割合で有する高分岐型のポリエステル樹脂を含有するトナー用樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、該高分岐型のポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物を用いて得られる電子写真トナーは脆く、バックグラウンド等の画像劣化が起こる。またワックスの分散径が小さくなりにくく、その為各トナー粒子中のワックス量に差が生じ帯電異常が生じる。そして、トナー帯電量が低いと画像濃度の低下・画像のキレが悪化し、トナー消費量も多くなるため経済的にも非効率である。
国際公開第2009/093592パンフレット
本発明の課題は、低温定着性と耐ホットオフセット性にも優れ、光沢性が良好な画像が得られ、且つ、帯電量が高く、帯電安定性にも優れる電子写真トナーが得られる樹脂組成物及びこの組成物を用いた電子写真トナーを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、主鎖骨格の炭素原子に直接結合しているアルキル基を有するポリエステル樹脂は、それ単独でもバインダー樹脂として有用であること、該ポリエステル樹脂はワックス分散性に優れ、ワックスを電子写真トナーの5質量%程度含有させることにより、低温定着性と耐ホットオフセット性、帯電安定性に、光沢性も優れ、また、帯電量も多い電子写真トナーが得られること、必要があれば更に多量のワックスを該ポリエステル樹脂中に分散させることができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は多塩基酸(a1)、多価アルコール(a2)、モノエポキシ化合物(a3)、2〜4個のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a4)、5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a5)及び、前記(a1)〜(a5)以外の化合物で、(a1)〜(a5)のいずれかの化合物が有する官能基と反応しうる官能基を有し、且つ、1つの炭素原子に炭素原子数2〜22のアルキル基が2個以上直接結合している化合物(a6)とを反応して得られるポリエステル樹脂(A)を含有する事を特徴とする電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記電子写真用トナー用樹脂組成物を含有することを特徴とする電子写真トナーを提供するものである。
本発明によれば、低温定着性と耐ホットオフセット性にも優れ、光沢性が良好な画像が得られる電子写真トナーが得られる。また、該電子写真トナーは帯電量が多く、帯電安定性にも優れる。そして、本発明の電子写真トナー用の用樹脂組成物は粉砕性も良好で、該組成物を用いることにより電子写真トナー用を効率良く得ることができる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は多塩基酸(a1)、多価アルコール(a2)、モノエポキシ化合物(a3)、2〜4個のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a4)、5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a5)及び、前記(a1)〜(a5)以外の化合物で、(a1)〜(a5)のいずれかの化合物が有する官能基と反応しうる官能基を有し、且つ、1つの炭素原子に炭素原子数2〜22のアルキル基が2個以上直接結合している化合物(a6)とを反応して得られる。前記多塩基酸(a1)としては、例えば、該多塩基酸の酸無水物及びこれらの低級アルキルエステルも多塩基酸として使用することができる。多塩基酸(a1)としては、例えば、飽和多塩基酸や不飽和多塩基酸等が挙げられる。
前記飽和多塩基酸、飽和多塩基酸及び飽和多塩基酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、オルソフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、無水コハク酸、炭素数8〜18個のアルキルコハク酸、アルキル無水コハク酸、アルケニルコハク酸、アルケニル無水コハク酸等の二塩基酸類;トリメリット酸、無水トリメリット酸、シアヌール酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の多塩基酸類等が挙げられる。ここで言うアルキルは、例えば、炭素原子数8〜18のアルキルエステル等が挙げられる。
前記不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。
多塩基酸(a1)は単独で使用しても、2種以上のものを併用しても差し支えない。また、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸等の一塩基酸を必要に応じ使用しても良い。
本発明で用いる多塩基酸(a1)の中でも耐オフセット性と低温定着性に優れるトナーが得られることから、2価の塩基酸、その無水物及びこれらの低級アルキルエステルからなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有する多塩基酸が好ましく、該2価の塩基酸、その無水物及びこれらの低級アルキルエステルからなる群から選ばれる一種以上の化合物の中でもイソフタル酸とテレフタル酸がより好ましい。
さらに、上記した多塩基酸(a1)は、そのカルボキシ基の一部または全部がアルケニルエステルまたはアリルエステルとなっているものも使用できる。
本発明で用いる多価アルコール(a2)としては、例えば、2価のアルコール類や3価以上のアルコール類等が挙げられる。
前記、2価のアルコール類としては、例えば、線状脂肪族ジオール、環式脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール類や芳香族ジオール類等が挙げられる。前記線状脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
環式脂肪族ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
前記芳香族ジオール類としては、例えば、ビスフェノール骨格を有するジオール類等が挙げられる。ビスフェノール骨格を有するジオール類としては、例えば、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルF等のビスフェノ−ル類;ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルAのプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノ−ルAアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
前記3価以上のアルコール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2−メチルプロパントリオール等が挙げられる。
本発明で用いる多価アルコール(a2)としては、粉砕性が良好な電子写真トナーが得られることから、側鎖に炭素原子数2〜12のアルキル基を有する多価アルコールが好ましい。このような多価アルコールとしては、例えば、2−エチル4−ブチルヘキサンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、2,4−ジエチル3,5−ペンタジオール等が挙げられる。
また、本発明で用いる多価アルコール(a2)としては、帯電安定性が良好な電子写真トナーが得られることからビスフェノール骨格を有するジオールが好ましい。ビスフェノール骨格を有するジオールの中でも、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物がより好ましい。
更に、本発明で用いる多価アルコールとしては、粉砕性が良好な電子写真トナー用樹脂組成物が得られることからビスフェノール骨格を有するジオールと脂肪族ジオールとの混合物が好ましい。前記脂肪族ジオールの中でもエチレングリコール、プロピレングリコールおよびネオペンチルグリコールからなる群から選ばれる一種以上のアルコールが好ましい。
多価アルコール(a2)は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、ステアリルアルコール等のモノアルコール類も本発明の効果を損なわない範囲内で必要に応じて使用しても良い。
本発明で用いるモノエポキシ化合物(a3)としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステル等が好ましく挙げられる。
アルキルフェニルグリシジルエーテルとしては、例えば、クレジルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル等が挙げられ、アルキルグリシジルエーテルとしては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが挙げられる。
また、アルキルグリシジルエステルとしては、例えば、下記一般式(1)
Figure 2011164458
(但し、Rは炭素原子数1〜25のアルキル基、好ましくは炭素原子数10〜15のアルキル基である。)で示される化合物等が挙げられる。
更に、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルとしては、例えば、ブチルフェノール等の低級アルキルフェノールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテルが挙げられ、具体例としては、エチレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールモノフェニルエーテルのグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノ(p−t−ブチル)フェニルエーテルのグリシジルエーテル、エチレングリコールモノノニルフェニルエーテルのグリシジルエーテル等がある。
α−オレフィンオキサイドとしては、例えば、アルファオレフィンオキサイド−168[アデカア−ガス化学(株)製品]、アルファオレフィンオキサイド−124[アデカアーガス化学(株)製品]等のオレフィン類をオキシ化した化合物等が挙げられる。
モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルとしては、例えば、不飽和脂肪酸のアルコールエステルの不飽和基をエポキシ化した化合物で、例えばエポキシ化オレイン酸ブチルエステル、下記構造式(2)
Figure 2011164458
で示される化合物、エポキシ化オレイン酸オクチルエステル等が挙げられる。これらのモノエポキシ化合物は単独で用いても2種以上を併用しても差し支えない。
本発明で用いるモノエポキシ化合物(a3)の中でも、得られるポリエステル樹脂(A)がワックスとの親和性が良好となることから前記一般式(1)で表されるモノエポキシ化合物がより好ましい。
本発明で用いる2〜4個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a4)としては、例えば、ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明で用いるポリエポキシ化合物(a4)の中でも、帯電安定性が良好な電子写真トナーが得られることから2価のエポキシ化合物が好ましく、2価のエポキシ化合物の中でも、耐可塑剤性が良好なことからビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。
前記2〜4個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a4)は2種以上を併用しても差し支えない。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の中でも、前記2〜4個のエポキシ基を有する(a4)を、多価エポキシ化合物(a5)と多価アルコール(a2)と多塩基酸(a1)との合計100重量部に対して0.1〜30重量部用いて得られるポリエステル樹脂が粉砕性良好なトナー用ポリエステル樹脂組成物が得られ、且つ、帯電安定性、光沢が良好な電子写真トナーが得られることから好ましく、0.5〜10重量部用いて得られるポリエステル樹脂がより好ましい。
本発明で用いる5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a5)としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
本発明で用いるポリエポキシ化合物(a5)の中でも、粉砕性が良好な電子写真トナー用樹脂組成物が得られることからノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂の中でも、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物型ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物型ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型ノボラック型エポキシ樹脂およびジシクロペンタジエン型ノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる一種以上のノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。更に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂がより望ましい。
また、本発明で用いるポリエポキシ化合物(a5)としては、5〜15個のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
更に、ポリエポキシ化合物(a5)の中でも、帯電特性、低温定着性及び耐ホットオフセット性に優れる電子写真トナー用ポリエステル樹脂を得る為に、後述する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比〔(Mw)/(Mn)〕が5〜70の範囲にあるポリエステル樹脂を得やすいことから、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
前記ポリエポキシ化合物(a5)は2種以上を併用しても差し支えない。
本発明で用いる化合物(a6)は前記(a1)〜(a5)以外の化合物で、(a1)〜(a5)のいずれかの化合物が有する官能基と反応しうる官能基を有し、且つ、1つの炭素原子に炭素原子数2〜22のアルキル基が2個以上直接結合している。このような化合物(a6)としては、例えば、カルボキシル基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物、水酸基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物、エポキシ基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物、アミン基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物、イソシアネート基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物、ビニル基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物、カルボキシル基と水酸基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物等が挙げられる。
前記カルボキシル基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物としては、例えば2−エチルへキサン酸、2−エチル酪酸等のモノカルボン酸;2−ブチル−2−エチルプロパンジカルボン酸、2,2−エチルプロパンジカルボン酸、2−ブチル−2−エチルペンタンジカルボン酸、2,2−ジオクタデシルプロパンジカルボン酸、2−エチルー2−オクタデシルプロパンジカルボン酸のジカルボン酸等が挙げられる。
前記水酸基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物としては、例えば、2−エチルへキサノール、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテルのモノアルコール;2,2−エチルプロパンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2−ブチル−2−エチルペンタンジオール、2,2−ジオクタデシルプロパンジオール、2−エチルー2−オクタデシルプロパンジオール等の脂肪族ジオール、4,4’−(2−エチルへキシリデン)ジフェノール等の芳香族ジオール等が挙げられる。
前記エポキシ基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物としては、例えば、2−エチルヘキシル=3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、2−(2−エチルヘキシル)エポキシド、等のモノエポキシ化合物;2−ブチル−2−エチルプロパンジエポキシド、2,2−エチルプロパンジエポキシド、2−ブチル−2−エチルペンタンジエポキシド、2,2−ジオクタデシルプロパンジエポキシド、2−エチルー2−オクタデシルプロパンジエポキシド等のジエポキシド等が挙げられる。
前記アミン基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物としては、例えば、2−エチルへキシルアミン、ジー2−エチルへキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)−プロピルアミン等のモノアミン化合物;2−ブチル−2−エチルプロパンジアミン、2,2−エチルプロパンジアミン、2−ブチル−2−エチルペンタンジアミン、2,2−ジオクタデシルプロパンジアミン、2−エチルー2−オクタデシルプロパンジアミン等のジアミン化合物等が挙げられる。
前記イソシアネート基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物としては、例えば、2−エチルへキシルイソシアネート等のモノイソシアネート化合物;2−ブチル−2−エチルプロパンジイソシアネート、2,2−エチルプロパンジイソシアネート、2−ブチル−2−エチルペンタンジイソシアネート、2,2−ジオクタデシルプロパンジイソシアネート、2−エチルー2−オクタデシルプロパンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物等が挙げられる。
前記ビニル基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物としては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ブチルヘキシル、アクリル酸2−ブチルデシル、アクリル酸3−エチルー3−プロピルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ブチルヘキシル、メタクリル酸2−ブチルデシル、メタクリル酸3−エチルー3−プロピルヘキシル、オレイン酸−2−オクチルドデシル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のモノビニル化合物;2−エチルー2−ブチルー1,3−プロパンジルジアクリレート、2−エチルー2−エチルー1,3−プロパンジルジアクリレート、2−エチルー2−ブチルー1,6−ヘキサンジルジアクリレート、3−エチルー3−ブチルー1,6−ヘキサンジルジアクリレート等のジビニル化合物等が挙げられる。
前記カルボキシル基と水酸基を有し、且つ、1つの炭素原子に2つ以上の前記アルキル基が直接結合している化合物としては、例えば、2−エチルー2−ヒドロキシメチルブタン酸、2−エチル−2−ヒドロキシメチルヘキサン酸、2−エチルー2−ヒドロキシメチルデカン酸、14−エチルー12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
本発明で用いる化合物(a6)中のアルキル基はワックスの分散性が向上するポリエステル樹脂が得られることから、炭素原子数2〜8のアルキル基が好ましい。また、本発明で用いる(a6)はワックスとの相溶性が良好なポリエステル樹脂が得られることから脂肪族ジオールが好ましい。そして、本発明で用いる化合物(a6)の中でも、2−ブチル−2−エチルプロパンジオールが特に好ましい。尚、本発明で用いる化合物(a6)は同じアルキル基を含有していても良いし、異なるアルキル基を含有していても良い。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)としては、多塩基酸(a1)、多価アルコール(a2)、モノエポキシ化合物(a3)、ポリエポキシ化合物(a4)、ポリエポキシ化合物(a5)及び、化合物(a6)を(a1)〜(a6)の合計100質量部に対して、それぞれ20〜70質量部、30〜70質量部、0.1〜5質量部、0.1〜10質量部、0.1〜10質量部及び0.5〜30質量部用いて得られるポリエステル樹脂がワックスの分散性に優れ、低温定着性および耐ホットオフセット性に優れる電子写真用ポリエステル樹脂が得られることから好ましく、それぞれ30〜65質量部、30〜50質量部、0.1〜2質量部、0.1〜5質量部、0.1〜5質量部及び0.5〜15質量部用いて得られるポリエステル樹脂がより好ましい。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、既知の重縮合反応法により任意に製造される。例えば、エステル化触媒(錫化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等)の存在下やエステル交換触媒(鉛化合物、錫化合物、亜鉛化合物、チタン化合物等)の存在下に、ジカルボン酸メチルエステル等の低級アルキルエステル使用のエステル交換反応、常圧脱水反応、減圧および真空脱水反応、溶液重縮合法、固相重縮合反応等いずれの製造法にて実施してもよい。この時のポリエステル化反応の追跡は、酸価、水酸基価、粘度または軟化点を測定することにより行うことができる。
この際使用される装置としては、例えば、窒素導入口、温度計、攪拌装置、精留塔等を備えた反応容器の如き回分式の製造装置が好適に使用できるはか、脱気口を備えた押し出し機や連続式の反応装置、混練機等も使用できる。また、上記脱水縮合の際、必要に応じて反応系を減圧することにより、エステル化反応を促進することもできる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)を製造する際に、チタン化合物としてリン化合物が共有結合したチタン化合物および/またはリン化合物が配位結合したチタン化合物の存在下で重縮合すると、ポリエステル樹脂(A)が、着色を抑制した透明なポリエステル樹脂となることから好ましい。
前記チタン化合物は、リン化合物が共有結合したチタン化合物とリン化合物が配位結合したチタン化合物である。リン化合物が共有結合したチタン化合物としては、例えば、リン化合物のエーテル結合を介してチタン化合物に結合した構造を有するチタン化合物等が挙げられる。リン化合物が配位結合したチタン化合物としては、例えば、リン化合物の非共有電子対を介してチタン化合物に結合した構造等を有するチタン化合物等が挙げられる。そして、このような化合物としては、例えば、ホスフェート系のチタン化合物、ホスファイト系のチタン化合物、ホスホン酸系チタン化合物、亜ホスホン酸系チタン化合物、ホスフィン酸系チタン化合物、亜ホスフィン酸系チタン化合物、ホスフィンオキサイド酸系チタン化合物、ホスフィン系チタン化合物等が挙げられる。
前記ホスフェート系のチタン化合物としては、例えば、モノホスフェート系チタン化合物、ビスホスフェート系チタン化合物、トリスホスフェート系チタン化合物等が挙げられる。前記モノホスフェート系チタン化合物としては、例えば、トリイソプロポキシチタン・ジオクチルホスフェート、トリイソプロポキシチタン・ジオクチルピロホスフェート、トリブトキシチタン・ジオクチルホスフェート、トリブトキシチタン・ジオクチルピロホスフェート、トリー2−エチルヘキシルオキシチタン・ジオクチルホスフェート、トリー2−エチルヘキシルオキシチタン・ジオクチルピロホスフェート、トリステアロキシチタン・ジオクチルホスフェート、トリステアロキシチタン・ジオクチルピロホスフェート等が挙げられる。
前記ビスホスフェート系チタン化合物としては、例えば、ジイソプロポキシチタン・ビスジオクチルホスフェート、ジイソプロポキシチタン・ビスジオクチルピロホスフェート、ジブトキシチタン・ビスジオクチルホスフェート、ジブトキシチタン・ビスジオクチルピロホスフェート、ジー2−エチルヘキシルオキシチタン・ビスジオクチルホスフェート、ジー2−エチルヘキシルオキシチタン・ビスジオクチルピロホスフェート、ジステアロキシチタン・ビスジオクチルホスフェート、ジステアロキシチタン・ビスジオクチルピロホスフェート、ビスジオクチルホスフェートエチレングリコラトチタン、ビスジオクチルピロホスフェート・エチレングリコラトチタン、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート、チタニウム・ビスジオクチルホスフェートオキシアセテート等が挙げられる。
前記トリスホスフェート系チタン化合物としては、イソプロポキシチタン・トリスオクチルホスフェート、イソプロポキシチタン・トリスジオクチルピロホスフェート、ブトキシチタン・トリスジオクチルホスフェート、ブトキシチタン・トリスジオクチルピロホスフェート、2−エチルヘキシルオキシチタン・トリスジオクチルホスフェート、2−エチルヘキシルオキシチタン・トリスジオクチルピロホスフェート、ステアロキシチタン・トリスジオクチルホスフェート、ステアロキシチタン・トリスジオクチルピロホスフェート等が挙げられる。
前記ホスファイト系のチタン化合物としては、例えば、モノホスファイト系チタン化合物、ビスホスファイト系チタン化合物、トリスホスファイト系チタン化合物等が挙げられる。前記モノホスファイト系チタン化合物としては、例えば、トリイソプロポキシチタン・ジオクチルホスファイト、トリブトキシチタン・ジオクチルホスファイト、トリー2−エチルヘキシルオキシチタン・ジオクチルホスファイト、トリステアロキシチタン・ジオクチルホスファイト等が挙げられる。
前記ビスホスファイト系チタン化合物としては、例えば、ジイソプロポキシチタン・ビスジオクチルホスファイト、ジブトキシチタン・ビスジオクチルホスファイト、ジー2−エチルヘキシルオキシチタン・ビスジオクチルホスファイト、ジステアロキシチタン・ビスジオクチルホスファイト、ビスジオクチルホスファイトエチレングリコラトチタン、チタニウム・ビスジオクチルホスファイトオキシアセテート、テトライソプロポキシチタン・ビスジオクチルホスファイト等が挙げられる。
前記トリスホスファイト系チタン化合物としては、例えば、イソプロポキシチタン・トリスオクチルホスファイト、ブトキシチタン・トリスジオクチルホスファイト、2−エチルヘキシルオキシチタン・トリスジオクチルホスファイト、ステアロキシチタン・トリスジオクチルホスファイト、イソプロポキシチタン・トリスジオクチルホスファイト等が挙げられる。
前記ホスホン酸系チタン化合物としては、例えば、イソプロポキシチタン・トリスジオクチルホスホン酸、ビスジオクチルホスホン酸エチレングリコラトチタン、イソプロポキシチタン・ビスジオクチルホスホン酸等が挙げられる。
前記亜ホスホン酸系チタン化合物としては、例えば、イソプロポキシチタン・トリスジオクチル亜ホスホン酸、ビスジオクチル亜ホスホン酸エチレングリコラトチタン、イソプロポキシチタン・ビスジオクチル亜ホスホン酸等が挙げられる。
前記ホスフィン酸系チタン化合物としては、例えば、イソプロポキシチタン・トリスオクチルホスフィン酸、ビスオクチルホスフィン酸エチレングリコラトチタン、イソプロポキシチタン・ビスオクチルホスフィン酸等が挙げられる。
前記亜ホスフィン酸系チタン化合物としては、例えば、イソプロポキシチタン・トリスオクチル亜ホスフィン酸、ビスオクチル亜ホスフィン酸エチレングリコラトチタン、イソプロポキシチタン・ビスオクチル亜ホスフィン酸等が挙げられる。
前記ホスフィンオキサイド酸系チタン化合物としては、例えば、イソプロポキシチタン・トリスジオクチルホスフィンオキサイド、イソプロポキシチタン・トリスジオクチルホスフィンオキサイド、ビスジオクチルホスフィンオキサイドエチレングリコラトチタン、ビスジオクチルホスフィンオキサイドエチレングリコラトチタン、イソプロポキシチタン・ビスジオクチルホスフィンオキサイド、イソプロポキシチタン・ビスジオクチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
前記ホスフィン酸系チタン化合物としては、例えば、イソプロポキシチタン・トリスジオクチルホスフィン、イソプロポキシチタン・トリスジオクチル亜ホスフィン、ビスジオクチルホスフィンエチレングリコラトチタン、ビスジオクチルホスフィンエチレングリコラトチタン、イソプロポキシチタン・ビスジオクチルホスフィン、イソプロポキシチタン・ビスジオクチルホスフィン等が挙げられる。
前記チタン化合物としては、より着色を抑制し、透明性の高いポリエステル樹脂となり、光沢性に優れた電子写真トナーが得られることからホスフェート系チタン化合物、ホスファイト系チタン化合物を用いて得られたポリエステル樹脂が好ましく、ビスホスフェート系チタン化合物、ビスホスファイト系チタン化合物を用いて得られたポリエステル樹脂がより好ましく、ピロホスフェート系チタン化合物を用いて得られたポリエステル樹脂が更に好ましい。
また、本発明で用いるポリエステル樹脂(A)としては、リン化合物が共有結合したチタン化合物および/またはリン化合物が配位結合したチタン化合物として、アルキレンオキサイド鎖を有するチタン化合物を用いて得られるポリエステル樹脂が、光沢性が良好な印刷物が得られる電子写真トナーとなることから好ましい。前記アルキレンオキサイド鎖の中でも炭素原子数2〜22のアルキレンオキサイド鎖が好ましい。
前記チタン化合物は、中でも、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート、ジイソプロポキシチタン・ビスジオクチルピロホスフェートがより好ましい。
リン化合物が共有結合したチタン化合物および/またはリン化合物が配位結合したチタン化合物の使用量としては、該チタン化合物中のチタン原子の重量がポリエステル樹脂(A)を構成する原料の合計重量に対して0.1〜100ppmとなるように用いるのが、反応効率も良好で、且つ、着色の少ないポリエステル樹脂となることから好ましく、1〜50ppmとなるように用いるのがより好ましく、5〜30ppmとなるように用いるのが更に好ましい。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、低温定着性が更に良好で、また、印刷面の光沢も良好な電子写真トナーが得られることから、ガラス転移温度(Tg)が45〜90℃のポリエステル樹脂が好ましく、55〜85℃のポリエステル樹脂がより好ましい。また、更に良好なホットオフセット性が得られることから、軟化点が90〜210℃のポリエステル樹脂が好ましく、100〜180℃のポリエステル樹脂がより好ましい。
従って、ガラス転移温度(Tg)が50〜90℃で、且つ、かつ、軟化点が90〜210℃のポリエステル樹脂が好ましく、ガラス転移温度(Tg)が55〜85℃で、且つ、かつ、軟化点が100〜180℃のポリエステル樹脂がより好ましい。
前記ガラス転移温度は以下に示す条件で測定した値である。
測定機器:セイコー電子工業(株)製DSC220C
測定条件:10℃/min,試料:アルミ容器に試料を10mg程度入れ、ふたをする。
測定方法:DSC(示唆走査熱量分析)法
前記軟化点は以下の条件により測定した。
測定機器:島津製作所(株)製CFT−500D
測定条件:昇温速度6℃/min、ノズル1.0mmΦ×1mm、荷重10kgf、試料量1.5g、測定開始温度50℃
ここで、軟化点とは高化式フロ−テスタ−〔島津製作所(株)製CFT−500D〕においてプランジャ−(ピストン)が流出開始から流出終了までの工程において中間点にきたときの温度(T1/2)をいう。
本発明で用いるポリエステル樹脂は低温定着性と耐ホットオフセット性に優れるトナーが得られることから重量平均分子量(Mw)が8,000〜700,000のポリエステルが好ましく、10,000〜500,000のポリエステルがより好ましい。また、本発明で用いるポリエステル樹脂は良好なガラス転移温度を保持し、その結果、良好な貯蔵安定性トナーが得られることから数平均分子量(Mn)が1,500〜8,000のポリエステルが好ましく、2,000〜7,500のポリエステルがより好ましい。
更に、本発明で用いるポリエステル樹脂はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、ホットオフセット性と低温定着性と帯電特性に優れることから(Mw/Mn)で3〜100のポリエステル樹脂が好ましく、3〜70がより好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)はテトラヒドロフランにより溶解する成分をGPC法により以下に示す条件で測定した値である。
分子量測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
また、本発明のポリエステル樹脂の軟化点は低温定着と耐オフセットと帯電安定性に優れることから90℃〜210℃が好ましく、100℃〜180℃がより好ましい。
本発明の電子写真トナー用樹脂組成物は前記ポリエステル樹脂(A)を含有すれば良いが、必要に応じて、離型剤、着色剤、帯電制御剤等を加えることができる。
前記離型剤として、種々のワックス類が挙げられる。例えば、モンタンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス等が使用できる。
特にヒートローラ定着用途では、トナーのヒートローラ付着汚れ(オフセット)によるトラブル防止を目的として、離型剤を使用することができる。そのような離型剤として、種々のワックス類が挙げられる。例えば、モンタンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の天然ワックス;ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス等が使用できる。好適なワックス類としては、例えば、カルナバワックス等がある。
本発明の電子写真用トナー用樹脂組成物中の離型剤の重量割合は特に制限されないが、通常トナー用樹脂組成物100重量部当たり、離型剤0.3〜15重量部、好ましくは1〜5重量部である。
前記着色剤としては、非磁性の種々の有機顔料、無機顔料があり、例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、ランプブラック、ローズベンガラ、キナクリドンレッド、ウオッチングレッド等を挙げることができ、1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
本発明の電子写真用トナー用樹脂組成物中の着色剤との重量割合は特に制限されないが、通常トナー用樹脂組成物100重量部当たり、着色剤1〜60重量部、好ましくは3〜30重量部である。
前記帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、トリメチルエタン系染料、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料等の重金属含有酸性染料等公知慣用の電荷制御剤を挙げることができ、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の電子写真用トナー用樹脂組成物中の帯電制御剤との重量割合は特に制限されるものではないが、好ましくはトナー用樹脂組成物100重量部当たり、帯電制御剤0.5〜3重量部が望ましい。
又、本発明の電子写真用トナー用樹脂組成物には本発明の効果を失わない範囲で、従来公知の樹脂、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、エポキシ樹脂、前記以外のポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等を適量配合することができる。その配合量は該ポリエステル樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部程度である。
本発明の電子写真用トナー用樹脂組成物を用いて得られる電子写真トナーは、公知慣用の任意の製造方法に依って得ることができる。例えば、バインダー樹脂と着色剤とをバインダー樹脂の融点以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることができる。勿論、これ以外の方法で製造してもよい。
本発明の電子写真用トナーを得るに当たっては、その製造の任意の工程において、更に、流動性向上剤等の各種助剤を加えることができる。流動性向上剤は、電子写真トナーの表面に付着させるのが有効である。
本発明の電子写真用トナー用樹脂組成物を用いて得られる電子写真用トナーは、公知慣用の任意の製造方法に依って得ることができる。例えば、前記ポリエステル樹脂と着色剤とをポリエステル樹脂の融点以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることができる。勿論、これ以外の方法で製造してもよい。
本発明で得られるトナー粉体は、このままでもトナーとして使用することができるが、シリカを外添することにより、より粉体流動性を向上させることができ実用上好適である。
シリカとしては、比較的大きい平均粒子径を有するものと、比較的小さい平均粒子径を有するものがあり、これらは単独で用いても併用してもよい。シリカの外添量としては、帯電量が必要充分となり、感光体ドラムを傷つけたり、トナーの環境特性の悪化を招くこと等がないことから、トナー粒子100重量部に対し、0.1〜5.0重量部が実用上好敵である。
以下に、合成例、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。例中「部」、「%」は特にことわりがない限り質量基準である。
合成例1〔ポリエステル樹脂(A)の合成〕
エチレングリコール37.6g、2−ブチル−2−エチル−1,3-プロパンジオール9.6g、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 542g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2,2モル付加物 20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:4)20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:7.6)5.0g、ネオデカン酸グリシジルエステル(一分子あたりのエポキシ基の平均の数:1)1.0gを2リットルの4つ口フラスコに入れ、加熱溶解させた後、テレフタル酸374gを加え、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート0.05gを投入し窒素気流下にて徐々に昇温させ255℃で20時間反応させ取り出し、ポリエステル樹脂(A1)を得た。ポリエステル樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)は150000、数平均分子量は3500、ガラス転移温度は65℃、軟化点は130℃であった。
合成例2(同上)
エチレングリコール15.2g、2−ブチル−2−エチル−1,3-プロパンジオール157.2g、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物397.5g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2,2モル付加物 20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:4)20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:7.6)5.0g、ネオデカン酸グリシジルエステル(一分子あたりのエポキシ基の平均の数:1)1.0gを2リットルの4つ口フラスコに入れ、加熱溶解させた後、テレフタル酸374gを加え、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート0.05gを投入し窒素気流下にて徐々に昇温させ255℃で20時間反応させ取り出し、ポリエステル樹脂(A2)を得た。ポリエステル樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)は150000、数平均分子量は3900、ガラス転移温度は65℃、軟化点は130℃であった。
合成例3(同上)
エチレングリコール14.8g、2−ブチル−2エチル−1,5-ペンタンジオール179.2g、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 387g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2,2モル付加物 20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:4)20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:7.6)5.0g、ネオデカン酸グリシジルエステル(一分子あたりのエポキシ基の平均の数:1)1.0gを2リットルの4つ口フラスコに入れ、加熱溶解させた後、テレフタル酸374gを加え、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート0.05gを投入し窒素気流下にて徐々に昇温させ255℃で20時間反応させ取り出し、ポリエステル樹脂(A3)を得た。ポリエステル樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)は18000、数平均分子量は3800、ガラス転移温度は62℃、軟化点は132℃であった。
合成例4(同上)
エチレングリコール62.2g、2−エチル−2-オクタデシル−1,3-プロパンジオール89.4g、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 408g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2,2モル付加物 20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:4)20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:7.6)5.0g、ネオデカン酸グリシジルエステル(一分子あたりのエポキシ基の平均の数:1)1.0gを2リットルの4つ口フラスコに入れ、加熱溶解させた後、テレフタル酸374gを加え、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート0.05gを投入し窒素気流下にて徐々に昇温させ255℃で20時間反応させ取り出し、ポリエステル樹脂(A4)を得た。ポリエステル樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)は200000、数平均分子量は4000、ガラス転移温度は60℃、軟化点は132℃であった。
合成例5(同上)
エチレングリコール80g、ネオペンチルグリコール10g、2−ブチル−2−エチル−1,3-プロパンジオール150g、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 265g、、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:4)20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:7.6)5.0g、ネオデカン酸グリシジルエステル(一分子あたりのエポキシ基の平均の数:1)1.0gを2リットルの4つ口フラスコに入れ、加熱溶解させた後、テレフタル酸139g、イソフタル酸325g、フタル酸20gを加え、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート0.05gを投入し窒素気流下にて徐々に昇温させ255℃で20時間反応させ取り出し、ポリエステル樹脂(A5)を得た。ポリエステル樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)は300000、数平均分子量は5000、ガラス転移温度は58℃、軟化点は135℃であった。
合成例6(同上)
ガムロジン1400g、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール650gを2リットルの4つ口フラスコに入れ、加熱溶解させた後、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート0.05gを投入し窒素気流下にて徐々に昇温させ240℃で10時間反応させた。その後、200℃に降温しアルキルフェノール樹脂(DIC株式会社製:フェノライトTD−2635)を556g入れ、5時間反応させ取り出し、ロジン変性フェノール樹脂を得た。ロジン変性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は6000、数平均分子量は850、ガラス転移温度は45℃、軟化点は110℃であった。
エチレングリコール85g、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 441g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2,2モル付加物 20gクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:4)20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:7.6)5.0g、ネオデカン酸グリシジルエステル(一分子あたりのエポキシ基の平均の数:1)1.0gを2リットルの4つ口フラスコに入れ、加熱溶解させた後、テレフタル酸438gを加え、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート0.05gを投入し窒素気流下にて徐々に昇温させ255℃で20時間反応させた。その後、240℃に釜内温度を下げ、前記ロジン変性フェノール樹脂200gを加え、減圧反応しながら6時間反応させ取り出し、ポリエステル樹脂(A6)を得た。ポリエステル樹脂(A6)の重量平均分子量(Mw)は60000、数平均分子量は3500、ガラス転移温度は63℃、軟化点は128℃であった。
合成例7〔比較対照用ポリエステル樹脂(a1)の合成〕
エチレングリコール44.0g、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 539g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2,2モル付加物 20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:4)20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:7.6)5.0g、ネオデカン酸グリシジルエステル(一分子あたりのエポキシ基の平均の数:1)1.0gを2リットルの4つ口フラスコに入れ、加熱溶解させた後、テレフタル酸380gを加え、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート0.05gを投入し窒素気流下にて徐々に昇温させ255℃で20時間反応させ取り出し、比較対照用ポリエステル樹脂(a1)を得た。ポリエステル樹脂(a1)の重量平均分子量(Mw)は150000、数平均分子量は3500、ガラス転移温度は65、軟化点は131であった。
合成例8(同上)〔比較対照用ポリエステル樹脂(a2)の合成〕
エチレングリコール44.1g、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 540g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2,2モル付加物 20g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(一分子あたりの平均エポキシ数:7.6)2.5g、ネオデカン酸グリシジルエステル(一分子あたりのエポキシ基の平均の数:1)4.0gを2リットルの4つ口フラスコに入れ、加熱溶解させた後、テレフタル酸380gを加え、チタニウム・ビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート0.05gを投入し窒素気流下にて徐々に昇温させ255℃で20時間反応させ取り出し、比較対照用ポリエステル樹脂(a2)を得た。ポリエステル樹脂(a2)の重量平均分子量(Mw)は200000、数平均分子量は3100、ガラス転移温度は64、軟化点は130であった。
合成例9(同上)〔比較対照用ポリエステル樹脂(a3)の合成〕
攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、トリメチロールプロパン107.2gとジメチロールプロピオン酸321.6gおよびp−トルエンスルホン酸0.20gを仕込み攪拌しながら130℃まで昇温した。さらに0.5時間をかけて減圧しながら140℃まで昇温させた。反応の進行は酸価の変化で確認し、確認の際は窒素ガスを導入しながら減圧を解除して行った。酸価1以下になるまで140℃で減圧を続け、酸価が1以下になった事を確認した。この反応物にジメチロールプロピオン酸を643.2g加え、140℃で減圧しながら酸価1以下になるまで反応を進行させた。酸価1以下を確認した後、さらにこの反応混合物にジメチロールプロピオン酸を1286.4g加え酸価1以下になるまで140℃で減圧しながら反応を進行させた。酸価1以下になったら窒素ガスを導入しながら減圧を解除し、反応混合物2056.0g(調製に用いた原料のモル量は17.6モル)を取り出した。この反応混合物の水酸基価は524mgKOH/gであった。反応混合物1710.0g(調製に用いた原料のモル量は14.6モル)を、別に準備した攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに移し取り、次いでベヘニン酸(炭素原子数22)622.9g(1.8モル)を仕込んだ。更にジブチルスズオキサイド1.0gを仕込み、攪拌しながら140℃減圧下で5時間反応させてポリエステル樹脂(a3)を得た。ポリエステル樹脂(a3)の重量平均分子量(Mw)は4500、数平均分子量は1800、軟化点は46℃であった。
合成例10(同上)
攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、エチレングリコール731.2gとアジピン酸1674.8gおよびジブチルスズオキサイド0.8gを仕込み攪拌しながら2時間をかけて190℃まで昇温した。常圧窒素ガス雰囲気下190℃で4時間反応させた後、0.5時間をかけて減圧しながら200℃まで昇温させた。減圧下200℃で4時間反応させて反応させてバインダー用ポリエステル樹脂(a4)を得た。ポリエステル樹脂(a4)の重量平均分子量は32300、軟化点は54℃であった。
実施例1
ポリエステル樹脂(A1)91部、カーボンブラックMA−11(三菱化学製)4部、カルバナワックス(日本精鑞株式会社製)4部及びE−84(オリエント化学工業株式会社製の帯電制御剤)1部をヘンシェルミキサ−で混合した後、2軸押し出し機で溶融混練し、混練物(電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物)を得た。このようにして得られた混練物を室温まで冷却後、ハンマーミルにて粗粉砕し、更に、ジェットミルにて微粉砕後、風力分級機で分級し、体積50%コールターカウンターD50(BECKMAN COULTER社製)で径7.5μmのトナー粒子を得た。次いで、シリカRX200(日本アエロジル株式会社製)0.5部をヘンシェルミキサーにて均一混合し、電子写真トナー1を調製した。
電子写真トナー1について、低温定着性、耐ホットオフセット性、光沢性を下記評価方法に従って評価した。また、電子写真トナー1の製造に用いたポリエステル樹脂(A1)の帯電量と帯電安定性について、及び電子写真トナー1を製造する際のワックスの分散性の評価についても下記評価方法に従って評価した。評価結果を第1表に示す。
<低温定着性の評価>
熱ロールの設定温度を5℃きざみに120℃から140℃まで変化させ、ベタ印刷を行った。ベタ印刷部分に堅牢度試験を行い試験前後の画像濃度をマクベス濃度計(RD−918)で測定し、その試験前の値に対する剥離後の濃度値の比率を%で表示した場合に、その値が80%以上となる温度を定着開始温度とした。この温度が低いほど低温定着性の良好な電子写真用トナーである。低温定着性の評価基準は下記の通りとした。尚、堅牢度試験は学振型摩擦堅牢度試験機(荷重:200g、擦り操作:5ストローク)を用いて行った。
◎;定着開始温度が125℃未満の場合
○;定着開始温度が125℃以上、130℃未満の場合
△;定着開始温度が130℃以上、135℃未満の場合
×;定着開始温度が135℃以上、140℃未満の場合
<耐ホットオフセット性の評価方法>
熱ロールの設定温度を5℃きざみに190℃から220℃まで変化させたときに、ベタ印刷部分が再び同じ用紙にオフセットし、目視で確認できる最低の温度で表示した。この温度が高いほど耐オフセット性が良好であることを示す。
◎;オフセット開始温度が220℃以上の場合
○;オフセット開始温度が210℃以上、220℃未満の場合
△;オフセット開始温度が200℃以上、210℃未満の場合
×;オフセット開始温度が190℃以上、200℃未満の場合
ただし、高温でオフセットしない場合でも、樹脂自体がワックスとして作用し印刷媒体への定着性が悪いものは×の評価とした。
尚、低温定着性の評価、耐ホットオフセット性の評価は、次のようなヒートローラー定着機条件で行った。
ロール材質:上;ポリテトラフルオロエチレン、下;シリコーン
上ロール荷重:7Kg/350mm
ニップ幅:4mm
紙通し速度:90mm/sec
<光沢性の評価>
市販の印刷機にてベタ印刷を行い印刷物を得た。印刷面の光沢を日本電色工業(株)製のグロスメーターを使用し投受光角75°で測定し、下記基準に従って評価した。
◎:数値が9以上
○:数値が7以上、9未満
△:数値が5以上、7未満
×:数値が3以上、5未満
<ワックス分散性評価>
トナーチップ(トナー製造工程のハンマーミルで粗粉砕し微粉砕する前の状態のもの)をサンプルミルにより粉砕した後にスライドガラス上にチップを乗せスライドガラスで挟む。それをトナーの溶融粘度の温度で熱プレスする。プレスされたサンプルを光学顕微鏡で観察した。評価は目視評価であり、WAX径が10μm以下の含有割合によって○、△、×と評価した。
9割≦○
7割≦△<9割
5割≦×<7割
とした。
<帯電量及び帯電安定性の評価>
トレックジャパン(株)製210HSー2Aブローオフ帯電量測定機器を用い、ポリエステル樹脂(A1)1.5gとフェライトキャリアMF−100(日本鉄粉社製)48.5gの混合物を50mlのポリ容器にて1分間、10分間、30分間、60分間ターブラシェイカーミキサーにて混合し帯電量測定機器によって測定した。それらの平均値をとったものを帯電量とした。また、前記10分間、30分間及び60分間ターブラシェイカーミキサーにて混合し帯電量測定機器によって測定した帯電量において、最大帯電量と最小帯電量の差を求め、この値を帯電安定性の評価とした。この値が小さいほど帯電安定性に優れることを表す。
帯電量の評価基準
◎:−35μC/g以上
○:−30μC/g以上、−35μC/g未満
△:−25μC/g以上、−30μC/g未満
×:−20μC/g以上、−25μC/g未満
帯電安定性の評価基準
○:最大帯電量と最小帯電量の差が−1μC/g以上、−5μC/g未満
△:最大帯電量と最小帯電量の差が−5μC/g以上、−10μC/g未満
×:最大帯電量と最小帯電量の差が−10μC/g以上、−15μC/g未満
実施例2〜6及び比較例1〜2
ポリエステル樹脂(A1)のかわりに第1表に示すポリエステル樹脂を用いる以外は実施例1と同様にして電子写真トナー2〜6及び比較対照用電子写真トナー1´〜2´を得た。実施例1と同様にして評価を行い、その結果を第1表に示す。
比較例3
ポリエステル樹脂(a3)10部、ポリエステル樹脂(a4)84部、カーボンブラックMA−11(三菱化学製)5部、ボントロンS34(オリエント化学製 帯電制御剤)1部をヘンシェルミキサ−で混合した後、2軸混練機で混練し、混練物を得た。このようにして得られた混練物を粉砕、分級した。シリカR972(日本アエロジル製)3部をヘンシェルミキサーで混合後、篩かけをして、樹脂微粒子を得た。得られた樹脂微粒子5部とキャリア(シリコン樹脂被覆フェライトキャリア)95部を混合攪拌して比較対照用電子写真トナー3´得た。比較対照用電子写真トナー3´について、実施例1と同様に低温定着性、耐ホットオフセット性、光沢性を評価した。また、比較対照用電子写真トナー3´の製造に用いたポリエステル樹脂(a3)の帯電量と帯電安定性についても実施例1と同様に評価した。評価結果を第1表に示す。
Figure 2011164458

Claims (15)

  1. 多塩基酸(a1)、多価アルコール(a2)、モノエポキシ化合物(a3)、2〜4個のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a4)、5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a5)及び、前記(a1)〜(a5)以外の化合物で、(a1)〜(a5)のいずれかの化合物が有する官能基と反応しうる官能基を有し、且つ、1つの炭素原子に炭素原子数2〜22のアルキル基が2個以上直接結合している化合物(a6)とを反応して得られるポリエステル樹脂(A)を含有する事を特徴とする電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記化合物(a6)が、炭素原子数2〜8のアルキル基が直接結合している化合物である請求項1記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記化合物(a6)が、脂肪族ジオールである請求項2記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記2価のアルコールが、2−ブチル−2−エチルプロパンジオールである請求項3記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  5. 前記5個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a5)が、5〜15個のエポキシ基を有するノボラック型エポキシ樹脂である請求項1記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  6. 前記ノボラック型エポキシ樹脂がクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物型ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物型ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型ノボラック型エポキシ樹脂およびジシクロペンタジエン型ノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる一種以上のノボラック型エポキシ樹脂である請求項1記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  7. 前記モノエポキシ化合物(a3)が、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルからなる群から選ばれる1種以上のモノエポキシ化合物である請求項1記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  8. 前記2〜4個のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(a4)がビスフェノール型エポキシ樹脂である請求項1記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  9. 前記多価アルコール(a2)が、ビスフェノール骨格を有するジオールである請求項1記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  10. 前記ビスフェノール骨格を有するジオールが、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物である請求項9記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  11. 前記多価アルコール(a2)がビスフェノール骨格を有するジオールと脂肪族ジオールとの混合物である請求項1記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  12. 前記ポリエステル樹脂(A)が、多塩基酸(a1)、多価アルコール(a2)、モノエポキシ化合物(a3)、ポリエポキシ化合物(a4)、ポリエポキシ化合物(a5)及び、化合物(a6)を(a1)〜(a6)の合計100質量部に対して、それぞれ20〜70質量部、30〜70質量部、0.1〜5質量部、0.1〜10質量部、0.1〜10質量部及び0.5〜30質量部用いて得られるポリエステル樹脂である請求項1〜11のいずれか1項記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  13. 前記ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比〔(Mw)/(Mn)〕が3〜70である請求項1〜12のいずれか1項記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  14. 前記ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が10000〜500000である請求項1〜12のいずれか1項記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項記載の電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物を含有することを特徴とする電子写真トナー。
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