JP2011163549A - 液封ブッシュ - Google Patents

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Abstract

【目的】共振領域をブロード化するとともに、高減衰かつ軽量・コンパクト化する。
【構成】外筒2と内筒3の間をインシュレータ4で弾性的に連結する。インシュレータ4には内筒3の軸方向へ独立した2つのポケット部10を形成し、これを共通隔壁13で区画された第1主液室11及び第2主液室12とする。各第1主液室11及び第2主液室12は第1オリフィス通路17,第2オリフィス通路18で副液室16と連結され、それぞれ異なる周波数で共振させる。共通隔壁13は左右の第1主液室11,第2主液室12から液圧を受けて高バネとなり、高減衰を実現するとともに、軽量・コンパクト化する。
【選択図】図3

Description

この発明は、自動車用エンジンマウント等に使用する液封ブッシュに関する。
上記用途の防振装置として円筒式の液封ブッシュが公知である。このブッシュは、略同心配置された内外筒と、これらを連結するインシュレータを備えたものであり、このブッシュを複数内筒の軸方向に並べて配設したものがある(特許文献1参照)。
また、インシュレータに形成されたポケット部に液体を封入した液室を内筒を挟んで一対で設け、これらの液室間をオリフィス通路で連絡した液封ブッシュを内筒の軸方向へ2個並べて配設し、共通の外筒内へ一体化したものもある(特許文献2参照)。
さらに、液封ブッシュの液室を、主液室と副液室とし、主液室の振動による体積変動に応じて液体を副液室の間にオリフィス通路を介して移動させることで液柱共振を発生させて振動を遮断することも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−207572号公報 特開昭62−88834号公報 特開平10−281212号公報
一般的に上記用途の防振装置に求められる特性は高減衰かつ低動バネである。しかし、この両特性は両立し得ないため、よりよいバランスが求められている。
ところで、一つの液封ブッシュには、概ね、一つのオリフィス通路が設けられ、予め設定された共振点で液柱共振するようになっているため、最も防振したい周波数、例えば25Hz程度のアイドル域に目標となる動バネ定数が得られるようにし、かつこれよりも低周波数域にて高減衰を得られるようにオリフィス通路の共振点をチューニングする場合がある。しかし、ある周波数の振動に対して高減衰を得られるように共振点をチューニングしても共振域は比較的狭い周波数域であるため、これをより広い周波数域に拡大してブロード化することが必要になるが、このようなブロード化を単一のブッシュで実現するには限界があった。
そこで、単一のブッシュによる限界を打破してより広いブロード化を実現させるべく、異なる共振点を有する2つのブッシュを並設することが案出された。
図13はこれを示し、ある共振点(例えば8.5Hz)を有する第1のブッシュ100と、これと若干異なる共振点(高周波側の例えば12Hz)を有する第2のブッシュ200を並列し、車体(図示省略)へ取付けられるブラケット300の取付穴310内へ嵌合するとともに、シャフト320を介してエンジン330を支持するようにしてある。
各ブッシュ100,200は互いに異なる共振点を有するが同一構造であり、第1のブッシュ100では外筒110,内筒120及びこれらを弾性的に結合する防振ゴム製のインシュレータ130を備え、内筒120を挟んで図の上下に主液室140と副液室150を配置し、これらをオリフィス通路160で連結してある。第2のブッシュ200も同一構造であり、外筒210,内筒220,インシュレータ230,主液室240,副液室250,オリフィス通路260を備える。
このように異なる共振点のブッシュ100,200を並列すると、それぞれが予めチューニングされたそれぞれの共振点で液柱共振するため、各共振点がある程度接近していれば、各共振点間も平準化されてブロード化することになる。
なお、各ブッシュ100、200における端壁170及び270の最小肉厚をT1、T2とする。なお、ブッシュ100及び200とも端壁170及び270の最小肉厚を同じとする。また、内筒120及び220は外筒110及び210よりも長くなって各ブッシュの最大長になっており、この長さをL1、L2とする。
図12はこのようなブッシュの動特性を示すグラフであり、C,Dは2つのブッシュの各動バネ特性、c,dは各減衰特性を示す。BはC,Dを合成した動バネ特性であり、bは同じく合成した減衰特性である。
この図において、減衰特性を見れば明らかなように、c,dは異なるピーク値の周波数P1(例えば8.5Hz),P2(例えば12Hz)を有し(P1<P2)、各ブッシュはこのピーク値を共振点としている。そこで、2つのブッシュを並設すると、bに示すように、比較的近接したP1,P2間が平準化されP1からP2にかけて高原状になり、ブロード化が達成される。
上記図13のように構成して共振点の異なる2つのブッシュを並設すれば、理論上はブロード化を容易に実現できる。しかし、このように単純に独立したブッシュを並べて配置する(以下、単純に連設するという)と、ブロード化以外の減衰や動バネ特性は各ブッシュの各特性値を合計した程度しか得られない。
また、単純に連設した防振装置の全長は各ブッシュにおける内筒の長さL1、L2を合計したL1+L2となって軸方向寸法が増大する。しかも、主液室を構成する隔壁として4個の端壁170及び270を必要とし、単純に肉厚を合計すると2(T1+T2)となり、この点でも各内筒の長さL1、L2が長くなり、全長を長くする要因になる。その結果、防振装置が大型化し、かつ重量も増大することになる。
このため、共振点の異なる複数のブッシュを単純に連設した状態と同様のブロード化を実現でき、しかも単純に連設した状態よりも高減衰かつ低動バネを可能にしつつも小型・軽量化することが求められる。
さらに、特許文献2のように、内筒を挟んで主副の区別がない一対の液室を配置した場合は、それぞれの双方が液室がいわば主液室として機能するので、軸直交方向の振動に対しては一対の液室間で液体移動を生じるものの、軸方向の振動に対しては、一対の液室はそれぞれ同じように変形して液室間での体積変化がなく、液体移動が生じない。このため、軸方向の振動に対しては液封防振装置としての防振作用を生じない。
そのうえ、各ブッシュに対して均一に液体が封入されずにバラツキがあると、性能のバラツキや耐久性の低下を招くことがある。特に、中央の共通隔壁を挟む両側の液室の液圧が異なると一方側へ偏って変形してしまうため性能が安定しにくくなる。
また、製造時には各ブッシュ毎にそれぞれの液室へ液体を均一に封入することを要求されることになり、液体の注入及び注入液管理が難しくなる。このため、軸方向へ複数の液封ブッシュを並設したとき、軸方向及び軸直交方向のいずれの振動に対しても防振すること並びに各液封ブッシュの液圧がバラつかず均一化でき、かつ液体の封入作業も容易にできるようにすることも求められる。
そこで本願は、これら諸要請の実現を目的とする。
上記課題を解決するため請求項1に係る液封ブッシュの発明は、外筒・内筒及びこれらを弾性的に結合する弾性体からなるインシュレータとを備え、内部に設けた主液室と副液室をオリフィス通路で連結し、所定の振動周波数にて液柱共振を発生するように構成した液封ブッシュにおいて、
内筒の軸方向へ主液室を複数並列し、
内筒の軸方向における各主液室の端部を端壁で覆い、
各主液室間をインシュレータの一部からなる共通隔壁で区画し、この共通隔壁最小肉厚を端壁の最小肉厚よりも薄肉にするとともに、
内筒を挟んで主液室と反対側に主液室のインシュレータと分離された副液室を設け、この副液室と主液室とを共振周波数の異なる複数のオリフィス通路で連絡した、
ことを特徴とする。
請求項2の発明は上記請求項1において、副液室が単一で設けられ各主液室に対して共通することを特徴とする。
請求項3の発明は上記請求項1又は2において、内筒の軸方向に沿って貫通するすぐりを設け、このすぐり内へ副液室のダイヤフラムを配置したことを特徴とする。
請求項4の発明は上記請求項1〜3のいずれかにおいて、共通隔壁の最小肉厚が端壁の最小肉厚の略1/2であることを特徴とする。
請求項5の発明は上記請求項1〜4のいずれかにおいて、各主液室内へストッパを配置したことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、隣り合う主液室間に共通隔壁を設けることにより、一つの共通隔壁を隣り合う2つの主液室で共有するため、共通隔壁の数を減少できる。しかも、共通隔壁は両側の主液室から液圧を受けるため、より高バネ化して高減衰を実現できる。
また、一つの主液室を2つの端壁で囲む独立したブッシュを主液室と同数だけ内筒の軸方向へ単純に並べて連設した場合と比べて、内筒が単一化するため全長が短くなる。そのうえ、共通隔壁の分だけ隔壁の数を減らせ、しかも共通隔壁の肉厚もより薄くできるから、さらに全長を短くでき、全体(特に軸方向)をコンパクト化できる。
したがって、高減衰化及び液封ブッシュの小型・軽量化を実現できる。
そのうえ、軸方向に主液室を並列配置し、内筒を挟んで軸直交方向に主液室と副液室を
配置し、さらに副液室を主液室のインシュレータと分離して設けたので、軸方向の振動入力及び軸直交方向入力のいずれにも防振作用をすることができる。
また、共通隔壁を薄肉化したので、軸方向入力に対して、各主液室の変形を大きくさせることができ、軸方向入力に対して確実に防振できる。
さらに、各主液室と副液室がオリフィス通路を通して同圧になるので、各主液室の液圧を均一化でき、各液室間における液圧のバラツキを解消できるので、性能の向上及び耐久性を向上させることができる。
特に、中央の共通隔壁は隣り合う左右の液圧が一定になるため、比較的薄肉にしても一方側へ偏って変形するようなことがなく、安定した変形を期待できる。
そのうえ、液体の注入及び注入液管理が容易になる。
請求項2の発明によれば、副液室を共通化することにより、副液室を構成するダイアフラムの膜自由長が広くなるので、低バネ化できる。
請求項3の発明によれば、すぐりにより主液室と副液室を容易に分離でき、かつ副液室を外筒の内側へ内筒に沿って長く配置できる。
請求項4によれば、共通隔壁の最小肉厚が端壁の最小肉厚の略1/2とすることができるので、装置をより小型・軽量化できる。
請求項5の発明によれば、各主液室内へストッパを配置したので、ストッパにより共通隔壁及び端壁の軸方向における倒れを防ぐことができ、共通隔壁及び端壁を可及的に薄肉化できる。特に共通隔壁は両側からストッパにて支持されるから、可及的に薄肉化できる。

以下、図面に基づいて一実施形態を説明する。
図1は本願発明に係る自動車用エンジンマウントの側面図、図2はその正面図、図3は図2の3−3線断面図(軸方向断面図)、図4は図1の4−4線に沿う軸直交断面図である。なお、本願では内筒の軸方向視図を正面図(図2)とする。また上下方向は各図の図示状態を基準とし、各図の上下方向と一致し、左右方向は図2及び図4における左右方向と一致し、前後方向は図1及び図3における左右方向と一致するものとする。また、直交3軸方向であるXYZに対応させて、前後方向をX、左右方向をY、上下方向をZとする。このZ方向は主たる振動の入力方向でもある。
図1,図2に示すように、このエンジンマウント1は、金属製もしくは円筒状の外筒2と内筒3を略同心配置し、これらの間を防振ゴム等の弾性体からなるインシュレータ4で弾性的に結合したものである。図1に略記するように、外筒2は車体(図示省略)へ取付けられるブラケット5の取付穴6へ嵌合して取付けられる。内筒3はパイプ状をなし、ここに通されたシャフト7を介してエンジン+8を支持する。
振動源であるエンジン8の入力振動はエンジンマウント1により吸収・遮断され、車体5側への振動伝達を低減する。
図3に示すように、インシュレータ4には内筒3の軸方向に沿って2つのポケット部10が形成され、このポケット部10に非圧縮性液体が封入されて第1主液室11及び第2主液室12をなす。隣り合う主液室11,12間は共通隔壁13で区画され、内筒3の軸方向端部は端壁14で覆われる。共通隔壁13及び端壁14はインシュレータ4と一体に形成される。したがって、エンジンマウント1には軸方向へ2つの第1主液室11,第2主液室12が共通隔壁13を挟んで並設される。これら第1主液室11及び第2主液室12並びに後述するオリフィス通路及び副液室には公知の非圧縮性液体からなる作動液が封入されている。
共通隔壁13は断面が左右対称に形成されて、第1主液室11及び第2主液室12に対して同様に作用できるようになっており、下半部の肉厚(図示断面における軸方向幅)はほぼストレートであり、その最小肉厚をT3とすれば、端壁14の最小肉厚をT1,T2と同程度もしくはそれ以下になっている。なお、前後の端壁14は対称形をなし、その肉厚も同じである。また、内筒3は外筒2よりも長くなっており、この長さをL3とする。
図4には、内筒3を挟んで第1主液室11,第2主液室12と反対側(本図では上側)にはダイアフラム15で囲われた副液室16が設けられ、各第1主液室11,第2主液室12と個別の第1オリフィス通路17,第2オリフィス通路18で連結されている。副液室16はダイアフラム15と外筒1の間に形成され、第1主液室11及び第2主液室12の体積変動による液体移動を可能にする体積補償室をなしている。
ダイアフラム15は左右対称に分離配置され、内筒3の上方となる中央連結部19にて左右が接続一体化されている。副液室16は第1主液室11及び第2主液室12に対して共通する単一のものであるが、中央連結部19に設けられた連絡溝19a(図3)により相互に連通する左室16a及び右室16bの2室が設けられ、第1オリフィス通路17(第2オリフィス通路18)は右室16bへ接続されている。
ダイアフラム15は軸方向から見たとき、図4に示すように、左右対称に略ハの字状をなすように設けられ、左右のダイアフラム15の中央連結部19に対応する位置には内筒3側から直上へ延びる上ストッパ20が配置されている。
また、ダイアフラム15の底部はすぐり穴9に臨み、液体移動による伸縮を可能にしている。すぐり穴9はインシュレータ4を内筒3の軸方向へ両側から入り込んでいる。(図3)。
さらに、本実施形態においては、副液室16を主液室111、12に対して共通化することにより、副液室16を構成するダイアフラム15の膜自由長が広くなるので、低バネ化できる。
また、すぐり9により主液室11、12と副液室16とを容易に分離でき、かつ副液室16を外筒2の内側へ内筒3に沿って長く配置できる。
内筒3の左右には、外筒2へ向かって斜め下がりに延出する腕部21が左右対称に設けられ、各腕部21の外筒2近傍部には中間リング22が埋設一体化されている。中間リング22はエンジンマウント1と同心円状かつ外筒2より小径の金属製又は剛性のある樹脂製の円筒部材であり、主液室11,12及びダイアフラム15部分は切り欠かれ、腕部21及び共通隔壁13,端壁14部分へのみ一体化され(図3・4参照)、腕部21の外筒2近傍部(以下、先端部という)や、共通隔壁13,端壁14の外周部における形状維持を行う部材である。
共通隔壁13,端壁14,ダイアフラム15及び腕部21はインシュレータ4の一部として一体に形成される。
第1主液室11,第2主液室12は液室カバー23にて覆われ、液室カバー23と主液室11,12の間に第1主液室11,第2主液室12が形成される。液室カバー23には、主液室11,12内へ突出する下ストッパ24が一体に設けられている。下ストッパ24は軸直交断面(図4)にて、略山形に上方へ突出し、内筒3が所定以上大きく下方変位したとき、これを維持して下方変位を規制する。また、下ストッパ24の周囲と腕部21との間に狭隘通路を形成し、ここを作動液が移動することによっても後述するオリフィス通路同様に液柱共振を発生するようになっている。
ダイアフラム15は外筒2に向かって開放され、前後及び左右を連続する周側と底部で囲まれた容器状をなし、液室カバーを介さずに直接外筒2で覆われ、外筒2とダイアフラム15の間に副液室16が形成される。副液室16は軸方向において区画されずに単一の長い液室をなし、第1主液室11及び第2主液室12に対して共通のものとなっている。図4に明らかなように、右室16bへ接続されている第1オリフィス通路17は右側の腕部21の先端と外筒2との間に形成され、さらに液室カバー23の外周面と外筒2の間を通って液室カバー23の左側まで延び、ここに形成された開口部25で第1主液室11の左側部分へ連通している。なお、左側の腕部21先端と外筒2の間は腕部21先端により塞がれてオリフィス通路が形成されていない。
第1主液室11の作動液は、内筒3の下方変位により液室容積が減少すると第1オリフィス通路17を介して副液室16へ流れ、副液室16では作動液がまず右室16bへ入り、さらに連絡溝19aから左室16aへ流入する。このように左室16aと右室16bを連通させることにより、副液室16の容積を十分量確保できるとともに、ダイアフラム15の張力を下げることができ、作動液の移動を容易にすることにより減衰を大きくすることができる。
その後、内筒3が上方へ変位して液室容積が回復すると副液室16から第1主液室11へ戻る。このように第1オリフィス通路17における液体流動が生じると、入力振動の所定周波数で液柱共振を生じる。この例では8Hzで液柱共振を生じるようにチューニングされている。このチューニングは第1オリフィス通路17の長さ及び通路断面積の調整により行われる。
第2主液室12も同様の構造であるが、第2オリフィス通路18は12.5Hzで液柱共振するようにチューニングされている。各第1主液室11,第2主液室12の共振点は、任意に設定可能である。
なお、第1主液室11は第1オリフィス通路17を介して副液室16と連通し,第2主液室12は第2オリフィス通路18を介して副液室16と連通しているから、第1主液室11と第2主液室12は、第1オリフィス通路17、副液室16及び第2オリフィス通路18を介して同圧になっている。
次に、インシュレータ4等を詳細に説明する。図5は外筒を省いた内側小組体30の斜め上方から示す斜視図である。内側小組体30は、インシュレータ4で内筒3と中間リング22を埋設一体化したインシュレータ成形体31に液室カバー23を被せてなるものであり、全体として内筒3の軸方向へ長い円筒状をなし、外径は外筒2の内径よりも若干大きく、外筒2へ圧入にて取付一体化するようになっている。
図6は液室カバー23の斜視図である。液室カバー23は剛性のある樹脂等適宜材料からなり、円弧状のカバー本体部40と下ストッパ24を一体化した部材であり、カバー本体部40の外周面にはオリフィス溝41が円弧状に形成され、その右側端部はカバー本体部40の右側端面42に開放され、左側端部はストッパ24の基部近傍に形成された開口部25へ連通している。カバー本体部40の左右両端部には右側端面42及び左側端面43からそれぞれ位置決め突起45、46が突出形成され、主液室11,12へ嵌合したときの位置決めになっている。また右側端面42の一部には位置決め突起45と右直交し、かつ幅狭になっており、円弧方向へ突出する小幅部47が一体に形成されている。
図7は内側小組体30から液室カバー23を取り除いたインシュレータ成形体31について図5と同方向から示す斜視図である。図8はインシュレータ成形体31の平面図、図9は同底面図、図10は同右側面図、図11は同左側面図である。
これらの図において、インシュレータ成形体31の上部には、中央に軸方向へ延びる中央連結部19を挟んで両側にダイアフラム15が凹部状をなして形成されている。このダイアフラム15によって囲まれ副液室をなす凹部空間をダイアフラム凹部50とする。左右のダイアフラム15は、それぞれ軸方向へ長く両端の端壁14間にわたって形成され、各ダイアフラム凹部50の内部は軸方向において隔壁等によって区画されていない。また、中央連結部19に軸方向へ等間隔で横断して形成される連結溝19aはオリフィス通路の数(2本)より多い4本形成され、左右のダイアフラム凹部50間における液体移動を均一かつスムーズに行わせるようになっている。
右側のダイアフラム凹部50の軸方向へ延びる外側縁部51には第1オリフィス通路17及び第2オリフィス通路18をなすオリフィス溝52の副液室側端部をなす切り欠き部53が形成されている。54はビード状のシールであり、共通隔壁13及び前後の端壁14の各外周に沿って環状に形成されている(図8、図9)。
図7及び図10に示すように、オリフィス溝52はインシュレータ成形体31の右側面にダイアフラム凹部50と主液室11,12を連通するように外側へ開放された円弧状溝として形成される。
但し、図11に示すように、オリフィス溝52はインシュレータ成形体31の左側面には形成されず、液室カバー23の外周に回したオリフィス溝41(図6)と連通させてインシュレータ成形体31の右側面だけに形成することによって長いオリフィス通路を形成できるようになっている。なお、オリフィス溝52の形成はインシュレータ成形体31の左右いずれの側面であってもよい。
図7及び図9に示すように、主液室11,12は軸方向へ共通隔壁13を挟んで2つ並んで設けられ、この主液室11,12に液室カバー23が嵌合し、その外表面はインシュレータ成形体31の側面外周と面一をなす(図5)。主液室11,12のオリフィス溝52の端部近傍となる右側端部には他の部分よりも狭い幅の切り込み55がオリフィス溝52の端部へ向かって形成され、ここに液室カバー23におけるカバー本体部40の右側端面42に形成された小幅部47が嵌合して軸方向の位置決めをなすようになっている。
カバー本体部40の右側端面42に形成された位置決め突部45は、主液室11,12の切り込み55近傍となる腕部21の先端端部内壁面56に当接して位置決めされ、このとき腕部21の先端端部に形成されたシール突起57が右側端面42へ密着されることにより、腕部21の先端と右側端面42を液密に接続する。左側端面43は位置決め突部46、主液室11,12の左側開口縁部における内壁面に形成された位置決め凹部58に嵌合して位置決めする。
なお、上記の組立は液槽中にて行われ、このとき、主液室11及び12は、第1オリフィス通路17及び第2オリフィス通路18を介して副液室16と連通しているから、液体が同圧になるように封入される。このため、各主液室11、12の液圧を均一化でき、各主液室間における液圧のバラツキを解消できるので、性能の向上及び耐久性を向上させることができ、液体の注入及び注入液管理が容易になる。
また、中央の共通隔壁13に加わる左右の主液室11、12の液圧が一定になる。
次に、この実施形態の作用を説明する。
図1に示すように、エンジンマウント1を車体へ取付け、エンジン8を支持した状態でエンジン8から振動が内筒3へ伝達されると、まず、インシュレータ4自体のゴムにより吸収される。
その後、第1オリフィス通路17及び第2オリフィス通路18の共振点に近い振動周波数になると、第1オリフィス通路17及び第2オリフィス通路18がそれぞれ液柱共振を生じて振動を吸収し、高減衰状態になる。
このとき、図3に示すように、隣り合う第1主液室11と第2主液室12は共通隔壁13を共有するため、共通隔壁13は第1主液室11と第2主液室12の双方から液圧(矢示)を受ける。このため、一側面のみが液室に臨み他側面が大気側になっている隔壁(例えば、左右の端壁14のみで液室を囲む、図13のブッシュ100及び200の端壁170及び270)と比べて、共通隔壁13は左右の第1主液室11及び第2主液室12の液圧によりバネ定数が大きくなり、左右への膨らみが少なくなるので、弾性変形時に副液室16側へ送り出す液量を多くする。したがって、この液量増加分だけ高減衰を実現できることになる。
その結果、前後の端壁14の静的なバネ定数が、図13における単純に連設したブッシュ100及び200の軸方向両端の端壁170及び270のものと同じく、かつ、共通隔壁13の静的なバネ定数がブッシュ100及び200の隣り合う端壁170及び270の合計と同じにすれば、動的状態下では共通隔壁13が両面から液圧を受けるためより高バネになり、単純に連設したものより高減衰を達成できる。逆に、動的状態下で共通隔壁13のバネ定数を単純に連設したものと同程度にするならば、共通隔壁13の静的なバネ定数をより小さくすることができる。
このことは、共通隔壁13の肉厚を薄くできることを意味する。また、単純に考えても隣り合う2つの端壁170と270を一つの共通隔壁13に代えることにより、従来はT1+T2の肉厚を要求されたものがT3だけになるので、それだけ隔壁を薄くできることになる。
したがって、共通隔壁13の肉厚T3を単純に連設した形式における隣り合う端壁170と270の合計肉厚T1+T2よりもある程度薄くしても高減衰を得ることができる。
このため、単純に連設した形式と比べて、より高減衰でかつ小型・軽量化できる。
しかも、左右の端壁17の最小肉厚T1及びT2が等しく、共通隔壁13の最小肉厚T3が端壁17の最小肉厚T1(T2)以下、好ましくは1/2程度とすれば、装置をより小型・軽量化できる。なお、共通隔壁13の最小肉厚T3は、端壁17の最小肉厚T1(T2)の1/2程度が薄肉化の限界であり、これよりも薄くすると大きく変形し易くなって高減衰を維持できなくなる。
特に、単純に連設した形式では軸方向へ2個並べる関係で、それぞれの内筒が軸方向へ長く突出する分だけ軸方向の全長がL1+L2と長くなるが(図13)、本願発明のエンジンマウント1の場合は内筒3を共通にするから、この分の長さL3を短縮できる。しかも、共通隔壁13の薄肉化によりさらに全長を短縮できる。したがって、高減衰化及び液封ブッシュの小型・軽量化を実現できる。
そのうえ、軸方向に主液室11、12を並列配置し、内筒3を挟んで軸直交方向に主液室11,12と副液室16を配置し、さらに副液室16を主液室11、12のインシュレータ4と分離して設けたので、軸方向の振動入力及び軸直交方向入力のいずれにも防振作用をすることができる。
また、共通隔壁13を薄肉化したので、軸方向入力に対して、各主液室11、12の変形を大きくさせることができ、軸方向入力に対して確実に防振できる。
しかも、中央の共通隔壁13は隣り合う左右の主液室11、12の液圧が一定になるため、比較的薄肉にしても一方側へ偏って変形するようなことがなく、安定した変形を期待できる。
また、各主液室11、12内へ下ストッパ24を配置し、軸方向にて各下ストッパ24の左右両側を共通隔壁13及び端壁14に近接させたので、この下ストッパ24により共通隔壁13及び端壁14の軸方向における倒れを防ぐことができ、共通隔壁13及び端壁14を可及的に薄肉化できる。特に共通隔壁13は両側から下ストッパ24にて支持されるから、可及的に薄肉化できる。
図12は、本願発明の動特性を示し、Aはエンジンマウント1の動バネ特性、aは同じく減衰特性であり、横軸は入力振動周波数、左側の縦軸は動バネ定数(K*)、右側の縦軸は減衰(C)である。本願発明並びに比較例である単純に連設したもの(特性b、B)及びこれを構成する各単体エンジンマウント100、200(特性c,C及びd、D)は、それぞれ8.5Hz、12Hzに減衰ピークとなるようにチューニングされている。
この減衰特性aに明らかなように、単純に連設したときの減衰特性bに対してaはさらに高い減衰を示し、かつ減衰特性bで実現している8.5Hzと12Hzの共振点をつなぐ共振領域をさらに拡大し、各共振点より高周波側では概ね減衰特性bと一致するようになっている。この高減衰は、先に述べたように、第1主液室11の共振点である8.5Hzと第2主液室12の共振点である12.5Hz間を平準化するとともに、図3に示した共通隔壁13の高バネ化により全体をさらに高減衰にしたために実現されたものである。そのうえ、副液室16を共通化することでダイアフラム15を膜の自由長を大きくして低バネ化し、減衰を上げることに貢献している。
また、Aで示す動バネ特性もBよりは低動バネとなり、望まれている低動バネ状態を実現する。なお、高周波側では減衰同様にBへ重なる。この低動バネ化は、単純に連設した形式における2つの隣り合う端壁を単一の共通隔壁13とすることにより隔壁(端壁)の数を削減したことにより実現される。
しかも、前述のように従来よりも十分に高減衰となっているので、従来と同程度の減衰にすれば、それだけ低動バネにできることになり、さらに十分な低動バネ化を実現でき、乗り心地を向上できる。
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、主液室の数は2以上であれば任意であり、主液室の数を増やせば、それだけ多くのオリフィス通路を設け、より広域に共振領域をブロード化させることができる。
また、副液室16を各主液室に対して共通化しているが、これを各主液室に対して独立させてもよい。この場合、各ダイアフラム15の特性を変化させれば共振点をチューニングできる。さらに各主液室に対応する副液室を軸方向へ対応する主液室と並びを変えて配置し、各オリフィス通路を交差させて接続すればそれだけオリフィス通路を長くできる。
そのうえ、用途もエンジンマウントに限らず種々な防振装置に使用できる。
本願発明に係るエンジンマウントの側面図 本願発明に係るエンジンマウントの正面図 図2の3−3線断面図 図1の4−4線断面図 内側小組体の斜視図 液室カバーの斜視図 インシュレータ成形体の斜視図 インシュレータ成形体の平面図 インシュレータ成形体の底面図 インシュレータ成形体の右側面図 インシュレータ成形体の左側面図 動特性図 比較例であるエンジンマウントの側面図
1:エンジンマウント、2:外筒、3:内筒、4:インシュレータ、10:ポケット部、11:第1主液室、12:第2主液室、13:共通隔壁、14:端壁、15:ダイアフラム、16:副液室、17:第1オリフィス通路、18:第2オリフィス通路

Claims (5)

  1. 外筒・内筒及びこれらを弾性的に結合する弾性体からなるインシュレータとを備え、内部に設けた主液室と副液室をオリフィス通路で連結し、所定の振動周波数にて液柱共振を発生するように構成した液封ブッシュにおいて、
    内筒の軸方向へ主液室を複数並列し、
    内筒の軸方向における各主液室の端部を端壁で覆い、
    各主液室間をインシュレータの一部からなる共通隔壁で区画し、この共通隔壁最小肉厚を端壁の最小肉厚よりも薄肉にするとともに、
    内筒を挟んで主液室と反対側に主液室のインシュレータと分離された副液室を設け、この副液室と主液室とを共振周波数の異なる複数のオリフィス通路で連通した、
    ことを特徴とする液封ブッシュ。
  2. 副液室が単一で設けられ各主液室に対して共通することを特徴とする請求項1に記載した液封ブッシュ。
  3. 内筒の軸方向に沿って貫通するすぐりを設け、このすぐり内へ副液室のダイヤフラムを配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載した液封ブッシュ。
  4. 共通隔壁の最小肉厚が端壁の最小肉厚の略1/2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載した液封ブッシュ。
  5. 各主液室内へストッパを配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載した液封ブッシュ。
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