JP2011162712A - 砒素汚染土の処理材、及び、処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】砒素について十分な不溶化効果を得るとともにその他の重金属の溶出を防止する。
【解決手段】本発明の砒素汚染土の処理材は、pHが酸性の鉄塩と、この鉄塩との間で緩衝作用をするpH緩衝材と、pHが中性範囲の強度改良材とを含有する。そして、鉄塩は硫酸第一鉄であり、pH緩衝材は石灰石であり、強度改良材は石膏系固化材である。また、本発明の砒素汚染土の処理方法は、pHが酸性の鉄塩、中和相当量のpH緩衝材、及び、pHが中性範囲の石膏系固化材を含有する処理材を、砒素汚染土に添加して混合することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の砒素汚染土の処理材は、pHが酸性の鉄塩と、この鉄塩との間で緩衝作用をするpH緩衝材と、pHが中性範囲の強度改良材とを含有する。そして、鉄塩は硫酸第一鉄であり、pH緩衝材は石灰石であり、強度改良材は石膏系固化材である。また、本発明の砒素汚染土の処理方法は、pHが酸性の鉄塩、中和相当量のpH緩衝材、及び、pHが中性範囲の石膏系固化材を含有する処理材を、砒素汚染土に添加して混合することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、砒素汚染土の処理材、及び、処理方法に関する。
砒素は、環境汚染の原因物質であることから、砒素汚染土については、不溶化処理を行って、砒素の溶出量を所定の基準値以下にしておく必要がある。そのため、近年、各種の砒素汚染土の不溶化処理材が開発されている。例えば、特許文献1には酸化マグネシウムとpH調整剤と強度増加剤とにより、汚染土壌中の汚染物質を固化して不溶化する方法が開示されている。また、半水石膏と二水石膏の混合物からなる石膏系不溶化処理材や生石灰からなる石灰系不溶化処理材も知られている。
酸化マグネシウムを含有する不溶化処理材では、処理後の土壌がpH10以上のアルカリ性になってしまう。これにより、汚染土壌中に含まれる砒素以外の重金属が溶出する可能性があるし、地下水がアルカリ性になってしまう可能性もある。なお、pH調整剤による中和は、酸化マグネシウムによる不溶化処理の後に行う必要がある。このため、砒素の不溶化処理中に砒素以外の重金属が溶出したり、アルカリ成分が地下水へ溶出したりする虞がある。また、石膏系不溶化処理材では、処理後の土壌のpHを中性にすることはできるが、不溶化効果が弱くなってしまう。また、石灰系不溶化処理材では、酸化マグネシウムを含有する不溶化処理材と同様に、処理後の土壌がアルカリ性になってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、砒素について十分な不溶化効果が得られるとともにその他の重金属の溶出をも防止できる砒素汚染土の処理材、及び、処理方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の砒素汚染土の処理材は、pHが酸性の鉄塩と、前記鉄塩との間で緩衝作用をするpH緩衝材と、pHが中性範囲の強度改良材と、を含有することを特徴とする。
この砒素汚染土の処理材によれば、鉄塩が汚染土壌中の砒素と反応して難溶解性の砒酸鉄を生成するので、砒素の不溶化が実現できる。また、不溶化処理の最中にpH緩衝材が鉄塩との間で緩衝作用をするので、不溶化処理中から処理後に亘って土のpHを中性範囲(pHで5.8〜8.6)に保つことができる。これにより、砒素以外の重金属についても溶出を確実に抑制できる。さらに、強度改良材のpHも中性範囲であるため、pH緩衝材で中性範囲とされた処理後の土について、この中性範囲のままで強度を高めることができる。すなわち、重金属の溶出を抑制しつつ、強度を高めることができる。
また、上記の砒素汚染土の処理材において、前記鉄塩を硫酸第一鉄とし、前記pH緩衝材を石灰石とし、前記強度改良材を石膏系固化材とすれば、何れの成分も粉体系(粉体や粒状結晶)の材料で揃えることができ、各成分の混合作業が簡略化できることから汚染土壌への施工が容易になる。その上、液体を土壌に添加せずに済むので、液体の添加に伴う土壌の緩みを防止でき、土壌の強度改良が容易になる。
また、本発明の砒素汚染土の処理方法は、pHが酸性の鉄塩、中和相当量のpH緩衝材、及び、pHが中性範囲の石膏系固化材を含有する処理材を、砒素汚染土に添加して混合することを特徴とする。
この砒素汚染土の処理方法によっても、難溶解性の砒酸鉄が生成されて砒素の不溶化が実現できる。また、pH緩衝材の緩衝作用によって砒素以外の重金属の溶出を抑制できる。さらに、強度改良材のpHも中性範囲であるため、重金属の溶出を抑制しつつ、土壌の強度を高めることができる。
本発明によれば、砒素について十分な不溶化効果が得られるとともにその他の重金属の溶出を防止できる。
<砒素汚染土の処理材について>
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、砒素汚染土の処理材について説明する。この処理材は、第一鉄塩とpH緩衝材と強度改良材とを主成分として含有する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、砒素汚染土の処理材について説明する。この処理材は、第一鉄塩とpH緩衝材と強度改良材とを主成分として含有する。
鉄塩は、pHが酸性(後述する中性範囲よりも酸性であることを意味する)であって、反応によって難溶解性の砒酸鉄を生成するものであればよい。例えば、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、或いは、これらの鉄塩と鉄粉(酸化第一鉄,酸化第二鉄)の混合物である。液状であってもよいが、好ましくは粉体や粒状結晶といった粉体系材料によって構成される。ここで、鉄塩として、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、及び、硝酸第一鉄を用いると、処理後の土の処分を海面埋立てで行う際の環境基準を満たすことができる。なお、鉄は自然界に多く存在するため、鉄塩は入手が容易である。従って、処理剤のコストダウンに寄与する。
pH緩衝材は、酸性の鉄塩と反応し、処理後の土のpHを中性範囲にする。ここで、中性範囲とはpH5.8〜pH8.6であり、環境基準値(例えば環境省が提示する排水基準)に基づいて定められる。すなわち、中性範囲は、処理後の土を広く一般的な投棄、埋立てに適用できるpHの範囲として定められる。その上、排水基準がpH5.0〜pH9.0の海域にも適用できるため、処理後の土を海洋投棄や海面埋立てに用いることもできる。このpH緩衝材はアルカリ性の材料であり、好ましくは粉体系材料によって構成される。例えば、石灰石、石灰、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムといったものが用いられる。なお、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムは、石灰石や石灰よりは入手が困難であり、それ自体が砒素の不要化作用を生じるため、緩衝材として使用する場合には扱いに注意する必要がある。また、石灰は、石灰石と比べてアルカリ性が強く、添加に伴ってpHが急激にアルカリ性へ変化するおそれがある。この点、石灰石は、適度なアルカリ性であって粉体状での入手が容易である。これらを考慮すると、石灰石がより好ましいといえる。このpH緩衝材は、砒素の不溶化処理を行っている最中から処理後に亘って鉄塩からの水素イオンと反応し、土壌のpHを中性範囲に保つ。
強度改良材は、土壌中の水分と反応して土壌の強度を高めるものであり、pHが上記の中性範囲である石膏系材料や高分子吸収材が用いられる。ここで、石膏系材料としては、半水石膏、二水石膏、無水石膏(可溶性無水石膏)、或いは、これらの混合物を用いることができる。また、高分子吸収材としては、吸水作用や土粒子の凝集作用の少なくとも一方を有する材料が用いられる。例えば、天然高分子のもの(グアガム,セルロース等)や合成高分子(ポリアクリルアマイド系,アクリル酸共重合体系等)が用いられる。この強度改良材もまた、粉体系材料によって構成される。そして、石膏系材料は材料が入手し易く安価という利点があり、高分子吸収材は少量の添加で高い土壌改良効果が得られるという利点がある。
この砒素汚染土の処理材を用いて汚染土の処理を行う場合、鉄塩とpH緩衝材と強度改良材とを所定の割合で混合したもの(一材化したもの)を事前に準備し、この処理材を土壌に散布して混合する。この処理材では、各構成成分が粉体状であって互いに化学反応をしないため、事前に混合することが可能である。
各成分の混合比は、対象となる汚染土の状態に応じて定められる。例えば、鉄塩の量は、汚染土に含まれる砒素の量に応じて定められる。また、pH緩衝材の量は鉄塩の量に応じて定められる。すなわち、鉄塩が酸性を呈するので、pH緩衝材は中和相当量に定められる。強度改良材の量は、汚染土の固さ(汚染土に含まれる水分の量)に応じて定められる。言い換えれば、改良後の土壌が十分な固さを有する程度の量に定められる。
処理材を散布した後、土壌を混合することにより、処理材に含まれる鉄塩が汚染土壌中の砒素と反応して難溶解性の砒酸鉄を生成する。これにより、砒素を不溶化することができる。また、不溶化処理の最中において、pH緩衝材が鉄塩由来の水素イオンとの間で緩衝作用をする。このため、処理後における土のpHを中性範囲(pHで5.8〜8.6)にすることができ、砒素以外の重金属の溶出を抑制できる。さらに、強度改良材のpHが中性であるため、pH緩衝材で中性範囲とされた処理対象の土について、中性範囲を保ったままで強度を高めることができる。すなわち、重金属の溶出を抑制しつつ、強度を高めることができる。
<処理材の確認試験について>
次に、本実施形態の処理材に対する作用効果を確認するための確認試験について説明する。この確認試験では、所定量の砒素化合物を土壌に添加することで「模擬汚染土壌」を作製し、作成した模擬汚染土壌に対して本実施形態の処理材や比較例の処理材による砒素の不溶化処理を行った。
次に、本実施形態の処理材に対する作用効果を確認するための確認試験について説明する。この確認試験では、所定量の砒素化合物を土壌に添加することで「模擬汚染土壌」を作製し、作成した模擬汚染土壌に対して本実施形態の処理材や比較例の処理材による砒素の不溶化処理を行った。
まず、模擬汚染土壌について説明する。試料土は土丹(泥岩,半固結粘土,固結シルト)であり、粉砕によって粒径を2mm以下にした。また、試料土の含水比は40%、湿潤密度は1.6g/cm3に調整した。そして、この試料土に量を異ならせて砒素化合物試薬を混合し、模擬汚染土壌を作製した。作製した模擬汚染土壌について環境省告示46号法(以下、環告46号という)による砒素溶出量の測定を行ったところ、0.070mg/L〜0.130mg/Lと環境基準の7倍〜13倍の値を示した。
次に、試験方法について説明する。まず、上記の模擬汚染土壌に対して本実施形態の処理材や比較例の処理材をそれぞれ添加するとともに十分に攪拌混合し、一日間養生した。
本実施形態の処理材は、鉄塩として硫酸第一鉄・7水和物(和光純薬製試薬)を用い、pH緩衝材として石灰石(主成分:炭酸カルシウム)を用い、強度改良材として石膏系固化材、詳しくは半水石膏と二水石膏の混合物(商品名「ジプハード」;吉野石膏株式会社製)を用いた。
今回の確認試験では、鉄塩及びpH緩衝材の添加量を変えて処理材の効果を確認した。すなわち、強度改良材については添加量を30kg/m3で固定し、鉄塩及びpH緩衝材の添加量を15kg/m3(合計添加量45kg/m3),30kg/m3(合計添加量60kg/m3),45kg/m3(合計添加量75kg/m3)とした3パターンについて確認試験を行った。
なお、強度改良材の添加量は30kg/m3で固定している。これは、30kg/m3の量を添加すれば、処理後の土壌が十分な固さを有するためである。従って、強度改良材の添加量は、処理後における土壌の固さに応じて定められる。
また、鉄塩とpH緩衝材の配合比は2:1となるようにした。すなわち、鉄塩とpH緩衝材の合計添加量は15kg/m3の場合、鉄塩の添加量は10kg/m3であり、pH緩衝材の添加量は5kg/m3である。また、合計添加量が30kg/m3の場合、鉄塩の添加量は20kg/m3、pH緩衝材の添加量は5kg/m3であり、合計添加量が45kg/m3の場合、鉄塩の添加量は30kg/m3、pH緩衝材の添加量は15kg/m3である。なお、鉄塩とpH緩衝材の配合比を調整することで、pHが異なる種々の土壌に対応することができる。
比較例1の処理材は、市販のマグネシウム系処理材であり、海水由来の粉末状酸化マグネシウムである。今回の確認試験では、添加量を10kg/m3、20kg/m3、30kg/m3と変えて処理材の効果を確認した。
比較例2の処理材もまた市販のマグネシウム系処理材である。この処理材は、酸化マグネシウムと石灰石の混合物であり、粉末状をしている。今回の確認試験では、添加量を15kg/m3、25kg/m3、35kg/m3と変えて処理材の効果を確認した。
比較例3の処理材は、市販の石膏系処理材である。この処理材は、半水石膏と二水石膏の混合物であり、粉末状をしている。今回の確認試験では、添加量を30kg/m3、65kg/m3、100kg/m3と変えて処理材の効果を確認した。
比較例4の処理材は、石灰系処理材である。この処理材は、粉末状の生石灰であり、一般的に入手可能なものである。今回の確認試験では、添加量を20kg/m3、35kg/m3、50kg/m3と変えて処理材の効果を確認した。
効果の確認は、pH、砒素溶出量(mg/L)、コーン指数(kN/m2)を指標として行った。すなわち、処理土(1日間養生した後の土)のpHを測定することで、砒素以外の重金属が溶出し易いか否かについて確認をした。そして、砒素溶出量を測定することで、砒素の不溶化処理能力について確認をした。また、コーン指数を求めることで、処理土の固さについて確認をした。
ここで、pH及び砒素溶出量については、処理土について環告46号による溶出試験を行って測定をした。また、コーン指数については、フォールコーン貫入量から求めた。すなわち、処理材を添加して攪拌した直後の土について、フォールコーン貫入試験(地盤工学会基準(JIS 1431−1995)の「ポータブルコーン貫入試験方法」参照)を行ってフォールコーン貫入量を測定した。その後、予め作成したフォールコーン貫入量とコーン指数の関係式を用いて、コーン指数を求めた。
<試験結果について>
確認試験における試験結果を表1及び表2に示す。ここで、表1は、模擬試験土の砒素溶出量が中濃度(0.130mg/L)の場合の試験結果である。また、表2は、模擬試験土の砒素溶出量が低濃度(0.070mg/L)の場合の試験結果である。
確認試験における試験結果を表1及び表2に示す。ここで、表1は、模擬試験土の砒素溶出量が中濃度(0.130mg/L)の場合の試験結果である。また、表2は、模擬試験土の砒素溶出量が低濃度(0.070mg/L)の場合の試験結果である。
評価基準に関し、pHについては環境基準に基づいて中性範囲(pH5.8〜pH8.6)を合格とした。砒素溶出量は、環境基準値(0.01mg/L)以下を合格とした。土壌強度は、コーン指数で400kN/m2以上(3種改良土)を合格とし、200kN/m2以上(4種改良土)を準合格とした。そして、これらの全ての基準を満たすことができれば、大抵の土壌に対して、この処理材による効果が得られるといえる。すなわち、砒素については十分な不溶化効果が得られるといえ、土壌に存在する砒素以外の重金属については溶出を防止できるといえる。
本実施例の処理材では、処理土のpHは最低値が7.4(表1の添加量45kg/m3)であり最高値が8.3(表2の添加量75kg/m3)であった。このため、本実施例の処理材を用いることで、pHが過度な酸性になったりアルカリ性になったりせず、砒素以外の重金属について土壌からの溶出を防止できるといえる。
砒素の溶出量に関し、中濃度の添加量45kg/m3にて溶出量が0.005mg/Lを示したが、他のパターンでは何れも0.005mg/L未満であった。そして、0.005mg/Lという溶出量は環境基準値の1/2の量であることから、本実施例の処理材を用いることで環境基準値を十分にクリアできるといえる。
コーン指数に関し、本実施例の処理材では、最低値が1042kN/m2であって最高値が1123kN/m2である。このように、何れのパターンでもコーン指数が1000kN/m2を超えている。3種改良土の基準値が400kN/m2以上であることを考慮すれば、十分に高い値といえる。このため、本実施例の処理材を用いることで、土壌の強度を十分に高めることができる。
次に比較例について検討する。
比較例1の処理材に関し、砒素溶出量とコーン指数については、先の実施例と同様に基準をクリアしている。しかし、pHに関しては、最低値が10.0であり最高値が10.7であることから、比較的強いアルカリ性を呈しているといえる。このため、アルカリ可溶の重金属が土壌から溶出してしまう可能性がある。
比較例1の処理材に関し、砒素溶出量とコーン指数については、先の実施例と同様に基準をクリアしている。しかし、pHに関しては、最低値が10.0であり最高値が10.7であることから、比較的強いアルカリ性を呈しているといえる。このため、アルカリ可溶の重金属が土壌から溶出してしまう可能性がある。
比較例2の処理材に関し、コーン指数については、先の実施例と同様に基準をクリアしている。砒素の溶出量については、基準値を僅かに超えているパターン(表1の添加量15kg/m3)もあるが、多くのパターンで環境基準値以下になっている。しかし、pHに関しては、最低値が10.1であって最高値が10.7と比較的強いアルカリ性を呈しているため、アルカリ可溶の重金属が土壌から溶出してしまう可能性がある。
以上の結果を踏まえると、比較例2の処理材に関しては、土壌の強度を高める能力は十分に備わっており、砒素の溶出については添加量を適正に定めることで十分な抑制効果が得られるといえる。しかし、比較例1の処理材と同様に、処理土が比較的強いアルカリ性を呈するため、アルカリ可溶の重金属が溶出してしまう可能性がある。
比較例3の処理材に関し、pHは最低値が8.1であって最高値が8.6であり、中性範囲に入っている。このことから、pHについては問題ないといえる。また、コーン指数に関しても、最低値が1144kN/m2であって最高値が2533kN/m2と高い値を示している。このことから、土壌の強度を高める能力は十分といえる。しかし、処理土からの砒素溶出量に関しては、最低値が0.021mg/Lであり最高値が0.120mg/Lである。このように、多くのパターンで砒素の溶出量が環境基準値を超えてしまっていることから、比較例3の処理材は、砒素の不溶化効果が他の処理材に比べて弱いといえる。
比較例4の処理材に関し、砒素の溶出量が基準値を超えているパターン(表1の添加量20kg/m3)もあるが、他のパターンでは環境基準値以下になっている。また、コーン指数については十分に高い値が得られている。しかし、pHに関しては、最低値が11.6であり最高値が12.6と比較的高い値になっている。このため、比較例4の処理材では、アルカリ可溶の重金属が土壌から溶出してしまう可能性があるといえる。
以上説明したように、本実施例の処理材では、砒素を高いレベルで不溶化できることが判る。また、処理後における土のpHを中性範囲にでき、砒素以外の重金属の溶出を抑制できることも判る。さらに、強度改良材によって土壌の強度を十分に高くすることができる。その際に、強度改良材のpHも中性範囲であるため、pH緩衝材で中性範囲とされた処理後の土について、中性範囲のまま強度を高めることができる。すなわち、重金属の溶出を抑制しつつ、強度を高めることができるといえる。
さらに、本実施例の処理材は、鉄塩が硫酸第一鉄・7水和物であり、pH緩衝材が石灰石であり、強度改良材が石膏系固化材であるため、何れの成分も粉体系(粉体や粒状結晶)の材料で揃えることができ、各成分の混合作業が簡略化されて汚染土壌への施工が容易になる。また、液体を土壌に添加せずに済み、土壌に余分な水分が添加されないことから、土壌の強度改良が容易になる。
なお、前述の実施形態及び実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また本発明はその等価物も含むものである。
Claims (3)
- pHが酸性の鉄塩と、
前記鉄塩との間で緩衝作用をするpH緩衝材と、
pHが中性範囲の強度改良材と、
を含有することを特徴とする砒素汚染土の処理材。 - 前記鉄塩は硫酸第一鉄であり、
前記pH緩衝材は石灰石であり、
前記強度改良材は石膏系固化材である
ことを特徴とする請求項1に記載の砒素汚染土の処理材。 - pHが酸性の鉄塩、中和相当量のpH緩衝材、及び、pHが中性範囲の石膏系固化材を含有する処理材を、砒素汚染土に添加して混合することを特徴とする砒素汚染土の処理方法。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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