JP2011161303A - アミン液の再生に用いたイオン交換樹脂の再生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アミン液から酸成分の除去に用いたイオン交換樹脂の再生に際し、イオン交換樹脂槽内のアミンを効果的に回収して、アミン液のロスを少なくし、再生排液中へのアミンの流出を少なくして排液処理を容易にし、低処理コストにできる再生方法を提案する。
【解決手段】 吸収塔1で酸性ガスを吸収したアミン液を再生塔2で1次再生し、アミン液の一部をカチオン交換塔11とアニオン交換塔12で2次再生したイオン交換樹脂の再生に際し、イオン交換樹脂層の上方に窒素ガスを導入してイオン交換塔の底部からアミン液を流出させるガス置換工程、アミン液の流出後も窒素ガスの導入を継続し樹脂に付着するアミン液を流下させるアミン液流下工程、および樹脂層からアミン液の流下が停止した段階でイオン交換塔内に水を導入して樹脂層の上方まで満たし、下向流で水を流下させて樹脂に付着するアミン液を洗い流し水相に置換する水置換工程によりアミンを回収する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アミン液の再生に用いたイオン交換樹脂の再生方法、特にイオン交換樹脂の再生時におけるアミン液のロスを少なくして効率的な再生を行う方法に関するものである。
石油精製その他のプロセスでは、硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスが発生する。またボイラの煙道ガス等の石炭や石油などの燃焼ガスも、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスであり、酸成分その他の有害成分を除去することが検討されている。このような酸性ガスの処理方法は、ガス精製工程として、吸収塔においてアルカノールアミン等のアミン液(リーンアミン)と接触させることにより酸成分を吸収除去し、処理ガスは精製ガスとしてプロセスへ送り、あるいは系外へ排出する。酸成分を吸収したアミン液(リッチアミン)は再生塔に導入し、リボイラを熱源として精留することによって、蒸気ストリッピングにより熱分解性のアミン塩を分解して、気散性の酸成分を放出し、アミンを1次再生する。再生されたアミン液(リーンアミン)は吸収塔に循環し、酸成分の吸収除去に使用する。放出された硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスはそれぞれの回収装置へ送られる。
酸性ガスに含まれる酸成分は、硫化水素、炭酸ガスが主成分であるが、この他に硫化カルボニル、シアン化水素、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等が微量成分として含まれる。これらの酸性ガスに含まれるすべての酸成分が、吸収塔においてアミン液に吸収され、アミン塩となる。再生塔では、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のように熱分解性のアミン塩は熱分解され、分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスが系外へ放出され、アミンが1次再生される。ところがギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、バイシン、チオ硫酸、その他の無機酸等のアミン塩のように熱安定性アミン塩(Heat Stable Amine Salt:以下、HSASと記す場合がある。)は再生塔では分解されず、アミン液中に蓄積する。このような熱安定性アミン塩(HSAS)が蓄積すると、吸収塔におけるアミン液の吸収効率が低下するほか、2〜3重量%になると装置の腐食や運転中の発泡の原因となるので、アミン液からを除去することが要望されている。
アミン液からHSASを除去する方法として、アミン液を水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリで中和する方法がある。この方法は、アミン液にアルカリを注入することにより、アミン塩を分解して、HSASを構成する熱安定性酸成分であるギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の難気散性の弱酸を溶離して、ナトリウム、カリウム等の金属塩を遊離させ、アミン液を再生する。ここで生成する熱安定性酸成分の金属塩は低濃度であれば吸収の障害にならないが、溶解度が低く、溶解度を超えると析出して害を及ぼすため、根本的な処置とはいえない。
アミン液からHSASを実質的に除去する方法としてイオン交換法があり、特許文献1(特開平5−294902)には、カチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層にアミン液を通液することにより、アミン液中のカチオンおよびアニオンを除去し、アミン液を2次再生することが記載されている。これらの樹脂はカチオンおよびアニオンの除去によりイオン交換能力が飽和すると、再生が行われる。イオン交換樹脂の再生は、カチオン交換樹脂の再生には硫酸等の酸、アニオン交換樹脂の再生には水酸化ナトリウム等のアルカリからなる再生剤を通液することにより樹脂のイオン交換能力を回復し、アミン液の処理に供している。
イオン交換樹脂を再生するためには、カチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に接触しているアミン液を追い出して、イオン交換塔内を水相に転換し、その後再生剤を通液する必要がある。ここで追い出されたアミン液は、酸性ガス処理のアミン液の経路に戻されるが、ここでアミン液の回収が不十分であると、アミン液の損失が大きくなるとともに、残留するアミンがイオン交換樹脂の再生排液中に流出して、再生排液の有機物濃度を高め、処理コストを押し上げることになる。このためイオン交換樹脂の再生に移行するとき、相転換に際して、できるだけ多くのアミン液を回収することが要望されている。
上記特許文献1には、イオン交換樹脂の再生に移行する際、イオン交換槽に水を導入して水洗し、アミン液を追い出すことが記載されている。しかしイオン交換塔では、イオン交換樹脂層の上方にイオン交換樹脂が存在しない水の層が形成されており、またイオン交換樹脂層でも樹脂粒間に自由水が保持されているため、水でアミンを洗い流すと、希薄なアミン液が排出されることになり、アミンの回収は困難であり、大量のアミンが再生排液中に流出することになる。
特許文献2(特表2003−501248)には、樹脂床を水パージによって洗浄して残留アミンを除去すること、窒素パージよっても残留アミンを除去できること、パージされたアミンはアミンシステム中に送り戻されるこなどが記載されている。しかし水パージによって残留アミンを除去する場合は、前述の通り希釈の問題があり、また窒素パージの場合は樹脂床に付着したアミンは回収できず、再生排液中に流出することになる。
また特許文献3(特表2009−529412)には、還流ストリームを用いてアミン液を洗い流すことが記載されている。しかしアミン液を還流ストリームで洗い流して回収しても、樹脂の再生を行うためには、最終的には純水で水相に転換する必要があるから、樹脂に付着し、または吸着されたアミンを完全に回収するのは困難である。
特開平5−294902 特表2003−501248 特表2009−529412
本発明の課題は、酸成分を吸収したアミン液の再生に用いたイオン交換樹脂の再生に際して、イオン交換樹脂槽に存在するアミンを効果的に回収し、アミン液のロスを少なくするとともに、再生排液中に流出するアミンを少なくして排液処理を容易にし、処理コストを低くできるイオン交換樹脂の再生方法を提案することである。
本発明は、次のアミン液の再生に用いたイオン交換樹脂の再生方法である。
(1) 酸成分を吸収したアミン液をカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に通液してカチオンおよびアニオンを除去することにより、アミン液の再生に用いたイオン交換樹脂層に再生剤を通液して再生するに際し、
イオン交換塔内のイオン交換樹脂層の上方に窒素ガスを導入して、イオン交換塔の底部からアミン液を流出させるガス置換工程、
アミン液の流出後も窒素ガスの導入を継続し、樹脂に付着するアミン液を流下させるアミン液流下工程、および
樹脂層からアミン液の流下が停止した段階で、イオン交換塔内に水を導入して樹脂層の上方まで満たした後、下向流で水を流下させて樹脂に付着するアミン液を洗い流し、水相に置換する水置換工程
によりアミンを回収することを特徴とするアミン液の再生に用いたイオン交換樹脂の再生方法。
(2) イオン交換樹脂がカチオン交換樹脂の場合、カチオン交換樹脂層の貫流点後もアミン液を通液し、カチオン交換樹脂に交換吸着したアミンを溶出させた後、窒素ガスの導入を行う上記(1)記載の方法。
(3) カチオン交換樹脂層の貫流点におけるリーンアミン液の通液量を100%としたとき、リーンアミン液の通液量が103〜106%となる時点でアミン液の通液を停止し、窒素ガスの導入を行う上記(1)または(2)記載の方法。
(4) アミン液流下工程を2〜20分間行う上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 水置換工程で流下させる水量が、イオン交換塔内のイオン交換樹脂の保有量の2〜5容量倍量である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
本発明において、再生の対象となるアミン液は、石油精製その他のプロセスで発生するガス、あるいはボイラの煙道ガス等の石炭や石油などの燃焼ガスなどの硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスから酸成分を吸収除去し、ガスを処理するために吸収液として用いられるアミン液である。このようなアミン液としては、一般に石油精製その他のプロセスガスや燃焼ガス等のガス処理工程において用いられているアルカノールアミン、その他のアミン液がある。その具体例としては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジグリコールアミン(DGA)およびメチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)等のアルカノールアミンが一般に用いられるが、他のアミンであってもよい。これらのアミン液は通常15〜55重量%の水溶液として用いられる。
ガス処理工程は、石油精製その他のプロセスガスや燃焼ガス等の硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスを処理、精製する工程であり、酸性ガスを吸収させる吸収工程と、アミン1次再生工程とからなる。吸収工程は酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成する工程であり、アミン1次再生工程は酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を再生してリーンアミン液を生成する工程である。
吸収工程は、吸収塔において酸性ガスとアミン液(リーンアミン)とを分散状態で、例えば向流式に接触させることにより、酸成分をアミン液に吸収させて被処理ガスから除去し、リッチアミン液を生成する。処理ガスは精製ガスとしてプロセスへ送られ、あるいは系外へ排出される。ここでは熱分解性のアミン塩を形成する硫化水素、炭酸ガス等の気散性のガスも、熱安定性アミン塩(HSAS)を形成するギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、無機酸、バイシン等の難気散性のガスも吸収され、熱分解性のアミン塩および熱安定性アミン塩を形成する。
アミン1次再生工程では、酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成する。熱分解は、酸成分を吸収したアミン液(リッチアミン)を再生塔に導入し、リボイラを熱源として精留することによって、蒸気ストリッピングにより硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩は熱分解され、分離する硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸成分を放出する。これによりアミンを1次再生してリーンアミン液が生成し、リーンアミン液は吸収塔に循環して酸成分の吸収が行われる。分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスは系外へ放出されるが、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の非気散性の酸成分のアミン塩のような熱安定性アミン塩(HSAS)は再生塔では分解されず、アミン液中に蓄積した状態で吸収塔に循環する。
このようなHSASはアミン液中で低濃度であれば、吸収酸成分の吸収は可能であるが、アミン液中に蓄積すると、吸収塔におけるアミン液の吸収効率が低下するほか、2〜3重量%になると装置の腐食や運転中の発泡の原因となるので、アミン液からHSASを除去することが行われている。アミン液からHSASを除去するために、中和工程において、アミン液を水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリで中和する方法もあるが、溶解度を超えると析出して害を及ぼすため、根本的な処置とはいえない。
アミン液からHSASを構成する非気散性の酸成分を除去してアミン液を2次再生するために、アミン2次再生工程として、リーンアミン液の一部をカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に通液し、リーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを交換吸着により除去してリーンアミン液を2次再生し、吸収塔に循環させる。このアミン2次再生工程では、リーンアミン液に含まれるカチオンとして、中和に用いられたアルカリ成分であるナトリウム、カリウム等のほかに、吸収工程において持ち込まれた他のカチオンがカチオン交換樹脂層に交換吸着される。カチオン交換により酸性化するため、アニオンの一部はアミンに吸着されるが、アミンに吸着されたアニオンも、吸着されないで液中に残留するアニオンも、アニオン交換樹脂層を通過する際、アニオン交換樹脂層に交換吸着される。このようなアミン2次再生工程において、リーンアミン液中のHSASは除去され、2次再生されたリーンアミン液は吸収塔に循環される。アミン2次再生工程は吸収塔へ循環するリーンアミン液の一部を分流して行われる。
アミン2次再生工程におけるカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層としては、強酸性カチオン交換樹脂および強塩基性アニオン交換樹脂を用いる。カチオン交換樹脂としてはH型、アニオン交換樹脂としてはOH型の樹脂を用いるのが好ましい。アミン液の2次再生のためには、ガス処理装置に付随して、固設式または仮設式のイオン交換塔を設置してイオン交換処理を行ってもよく、また外部再生した使用済のカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含むイオン交換装置を設け、これらのイオン交換装置から離れた場所に、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを集結し、充填されたカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を集中的に再生してもよい。イオン交換装置には、メカニカルフィルタ、活性炭吸着塔等の他の処理装置が設けられていてもよい。
アミン液の2次再生を継続すると、それぞれのカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層では、アミン液に含まれるHSASの組成、濃度等に応じて、それぞれの樹脂が飽和に達し、樹脂に再生が必要になる。樹脂が飽和に達して再生に移る時点は、一般的には樹脂層を通過する処理液の電気伝導率を測定し、電気伝導率が急上昇する時点、すなわちイオンがリークする貫流点において処理を終了し、再生に移る。カチオン交換樹脂層を含むカチオン交換塔およびアニオン交換樹脂層を含むアニオン交換塔では、樹脂が飽和に達する時期が異なるので、それぞれ再生が必要になった時点で個別に樹脂の再生を行うことができる。以下、個別の樹脂再生に対応するために、イオン交換塔に含まれるイオン交換樹脂層の再生として説明する。
本発明では、酸成分を吸収したアミン液をカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に通液してカチオンおよびアニオンを除去することにより、アミン液の再生に用いたイオン交換樹脂層に再生剤を通液して再生するに際し、以下の工程により相転換し、アミンを回収する。
(1)イオン交換塔内のイオン交換樹脂層の上方に窒素ガスを導入して、イオン交換塔の底部からアミン液を流出させるガス置換工程。
(2)アミン液の流出後も窒素ガスの導入を継続し、樹脂に付着するアミン液を流下させるアミン液流下工程。
(3)樹脂層からアミン液の流下が停止した段階で、イオン交換塔内に水を導入して樹脂層の上方まで満たした後、下向流で水を流下させて樹脂に付着するアミン液を洗い流し、水相に置換する水置換工程。
ガス置換工程(1)では、イオン交換塔(カチオン交換塔またはアニオン交換塔)内にイオン交換樹脂層(カチオン交換樹脂層またはアニオン交換樹脂層)の上方から窒素ガスを導入して、イオン交換塔の底部からアミン液を流出させ、イオン交換塔内をアミン相からガス相に転換する。窒素ガスの圧力は大気圧より若干高い圧力であればよく、例えば5〜10kPa(ゲージ圧)に加圧し、アミン液を押し出して回収する。
ガス置換工程(1)は、アミン液のイオン交換樹脂通液による浄化、再生処理で交換能力の飽和が判定された時点で、通液を停止し、窒素ガスによりイオン交換塔内および連絡配管中の残留アミン液をアミン装置に返送する。イオン交換樹脂の充填層は、カチオン樹脂、アニオン樹脂ともに形状が真球に近い球状で、その充填率は0.63〜0.64と計算される。従って空隙率はその逆比率で0.36〜0.37となる。従って、イオン交換樹脂の充填層には約40%の空間が存在し、その間に被処理アミン液が充満していることになる。この残留アミンは、未処理であるので、アミン装置に返送しでも問題は起こらず、返送ラインさえ設置しておけば、問題なく回収できる。この際、アミンの装置、アミンの種類によっては酸化性の雰囲気にするとアミンの劣化につながることがあるので、窒素ガスでシールしながら行うのが重要である。窒素ガスとの置換終了は返送ポンプの圧力計などによって検知することができる。
ガス置換工程(1)で窒素ガスによりアミン液を押し出しても、イオン交換樹脂の表面にはアミン液が付着しているので、ガス置換工程(1)によるアミン液の流出後も、アミン液流下工程(2)において、窒素ガスの導入を継続し、樹脂に付着するアミン液を流下させて回収する。このときの窒素ガスの圧力はガス置換工程(1)と同じでよく、窒素ガスを下向流で通過させることにより、アミン液の流下を促進することができる。アミン液流下工程(2)は、樹脂層からアミン液の流下(滴下)が終わるまで行うが、一般的には2〜20分、好ましくは5〜10分間とすることができる。
イオン交換樹脂層は充填密度が高いため(小粒径の樹脂が最密充填に近い状態で充填されているため)、液の切れは良くなく、このため窒素ガスとの置換後も、さらに窒素ガスの導入状態を保持して、アミン液を流下させ、しずく切りを行うことがアミンのロスを最少にするのに有効である。この場合、イオン交換塔および連絡配管については、窒素ガスと置換しながら液抜きできる構造を採用する。この間の置換用の窒素ガスの圧力は、気液混合流による機器、配管の脈動、ハンマー打ちを回避するためにも、5〜10kPaの微正圧とする。但しイオン交換樹脂は乾燥に弱いので、過度の不活性ガスによるパージは禁物であり、下向流速は0.02〜0.2cm/SECとする。樹脂層からアミン液の流下(滴下)が終わる時点、一般的には上記静置時間経過後、次工程に移る。
水置換工程(3)は、樹脂層からアミン液の流下が停止した段階で、イオン交換塔内に水を導入して樹脂層の上方まで満たした後、下向流で水を流下させて樹脂に付着するアミン液を洗い流し、水相に置換する。ここで使用する水は、還流ストリームでもよいが、一般的には純水が好ましい。下向流で流下させる水の量は、イオン交換塔内のイオン交換樹脂の保有量(ベッドボリューム:BV)の2〜5容量倍、好ましくは3〜4容量倍程度とする。下向流で通水は、連続的に行うことができるが、バッチ式、すなわち水張りと水抜きの繰り返しでもよい。
この水置換工程(3)では、アミン液流下、しずく切りが十分に終了した後、イオン交換塔および連絡配管に純水を張り込んで、樹脂に濡れ残り状態になっているアミン液を洗い出す。流し方は、アミン液の浄化処理と同じ方法とする。特に、イオン交換樹脂層においては、下向流でアミン液の浄化、再生をしていて、しずく切り後も下部の方にアミン液が余計存在する分布になっているので、その方向を守ることが重要である。通水を上向流にすると、重力で垂れ下がってきたアミン液の濡れを上方に再分散することになり、洗い流しのための純水の使用量が大きく増大することになる。また、連絡配管中の少々のドレン溜りについては、純水洗浄により、かなりの少量の流れで、十分に置換できることが知られている。この方法で純水洗浄を行うことにより、イオン交換樹脂層の3倍程度の純水を使用して、1000〜3000倍程度までの希釈洗浄効果が得られる。
純水による洗い流しにより流出する希釈アミン液は、そのままアミン系に返送して回収する。アミン系では、再生塔塔頂部からの分離された酸性ガスに飽和量の水分が同伴して出ていくので、多量の補給水を使用しており、ここで発生した純水洗量はそれに比べて十分少ないので、これを返送しても問題はない。このようにしてアミンを回収することにより、アミンのロスを減少できる。
本発明では、樹脂が飽和に達した後、以上の工程により相転換することにより、アミンを高回収率で回収できる。アニオン交換樹脂については、アニオンがリークし始める貫流点を樹脂が飽和に達した点とし、再生(相転換)に移る。ところがカチオン交換樹脂層では、貫流点においてカチオンがリークする時点では、カチオン交換樹脂層には多量のアミンが吸着された状態になっているので、この時点でカチオン交換樹脂層を再生すると、アミンが再生排液中に排出され、アミンの歩留まりが低下するとともに、再生排液の処理が困難になる。
このような点を改善するためには、カチオン交換樹脂層の貫流点後もアミン液を通液し、カチオン交換樹脂に交換吸着したアミンを溶出させた時点を飽和点とし、この時点で相転換に移って窒素ガスの導入を行うことにより、アミン液の回収率をさらに高くし、アミンのロスを少なくすることができる。ここでさらに通液するアミン液は、被処理アミン液でも、さらにナトリウムイオン、カリウムイオン等を加えたアミン液でもよい。ガス処理に使用されるアミン液は、通常中和処理としてナトリウムイオン等が加えられているので、被処理アミン液をそのまま流して、カチオン交換樹脂に交換吸着したアミンを溶出させるのが好ましい。
この場合、カチオン交換樹脂に交換吸着したアミンが完全に溶出した時点を電気伝導率で検出するのは困難であるが、以下のようにして再生に移る点を決めることができる。すなわちカチオン交換樹脂層の貫流点におけるリーンアミン液の通液量を100%としたとき、リーンアミン液の通液量が103〜106%、好ましくは104〜105%となる時点でカチオン交換樹脂層の通液を停止し、再生を行うことができる。カチオン交換樹脂層の貫流点後も通液すると、カチオンは処理液中に流出し、吸収塔に循環するが、上記範囲のカチオンの循環は許容される。ただしリーンアミン液の通液量が106%、好ましくは105%を超える場合には、アニオン交換樹脂層の貫流点の判定が困難になるため、上記範囲となる時点でカチオン交換樹脂層の通液を停止して再生を行うと、アニオン交換樹脂層の貫流点の判定が容易であり、アニオン交換樹脂層の再生を正確に行うことができるため好ましい。
カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の再生は、一般の樹脂再生法により、それぞれの再生剤を注入して再生を行う。カチオン交換樹脂の再生剤としては、塩酸、硫酸等の鉱酸が使用でき、アニオン交換樹脂の再生剤としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ、あるいはこれと食塩、塩化カリウム等の塩との組合せなど、公知のものが使用できる。再生の操作は逆洗、薬注、押出、洗浄など一般のイオン交換樹脂の再生と同様の工程で行われるが、場合によっては一部の工程、例えば逆洗の工程を省略することもできる。
再生排液は、その組成、濃度、性状等に応じて、適した方式で処理することができる。再生排液は金属塩等の通常の塩のほか、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸等の難分解性のCOD成分、BOD成分を含むが、アミンの量は少ないので、一般的なイオン交換樹脂の再生排液処理法で処理することができる。
本発明によれば、酸成分を吸収したアミン液をカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に通液してカチオンおよびアニオンを除去することにより、アミン液の再生に用いたイオン交換樹脂層に再生剤を通液して再生するに際し、イオン交換塔内のイオン交換樹脂層の上方に窒素ガスを導入して、イオン交換塔の底部からアミン液を流出させるガス置換工程、アミン液の流出後も窒素ガスの導入を継続し、樹脂に付着するアミン液を流下させるアミン液流下工程、および樹脂層からアミン液の流下が停止した段階で、イオン交換塔内に水を導入して樹脂層の上方まで満たした後、下向流で水を流下させて樹脂に付着するアミン液を洗い流し、水相に置換する水置換工程によりアミンを回収するようにしたので、イオン交換樹脂塔に存在するアミンを効果的に回収し、アミン液のロスを少なくするとともに、再生排液中に流出するアミンを少なくして排液処理を容易にし、処理コストを低くすることができる。
実施形態の全体の処理方法のフロー図である。
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。図1において、1はガス処理工程を構成する吸収塔、2は1次再生塔であり、ラインL1、L2により、ポンプP1、P2および熱交換器3を介して連絡している。吸収塔1および1次再生塔1は内部に充填層4、5を備え、気−液接触により吸収及び1次再生を行うように構成されている。吸収塔1にはラインL3、L4が連絡しており、ラインL3から入る酸成分を含む酸性ガスを充填層4において、ラインL1から入るリーンアミン液と接触させ、これにより酸成分を吸収除去して精製ガスをラインL4からプロセスへ返送し、生成するリッチアミン液をラインL2から1次再生塔2へ送るように構成されている。1次再生塔2では、ラインL5からリーンアミン液をリボイラ6へ送って蒸気加熱することにより、ラインL2から入るリッチアミン液を蒸気ストリッピングし、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミンを1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液をラインL1から吸収塔1に循環し、蒸気はコンデンサ7で凝縮し、凝縮水はラインL6から凝縮水槽8を経て1次再生塔2へ還流するように構成されている。
11はカチオン交換塔、12はアニオン交換塔で、それぞれカチオン交換樹脂層13、アニオン交換樹脂層14を備え、イオン交換装置を構成している。これらはラインL1から分岐するラインL11に、フィルタ15、活性炭槽16の後流に設けられ、アミン貯槽17、ポンプP3を介してラインL12からラインL1に連絡している。18は再生排液槽である。
ガス処理工程では、吸収工程として石油精製その他のプロセスからラインL3を通して酸性ガスを吸収塔1へ導入し、充填層4においてラインL1から入るリーンアミン液と接触させ、これにより酸成分を吸収除去して精製ガスをラインL4からプロセスへ返送し、生成するリッチアミン液をラインL2から1次再生塔2へ送る。ここでは熱分解性のアミン塩を形成する硫化水素、炭酸ガス等の気散性のガスも、HSASを形成するギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、無機酸等の難気散性のガスも吸収され、熱分解性のアミン塩および熱安定性アミン塩を形成する。
1次再生工程では、1次再生塔2においてリボイラ6により発生する蒸気を導入して加熱することにより、ラインL2から入るリッチアミン液を蒸気ストリッピングし、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミンを1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液をラインL2から吸収塔1に循環する。分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスはラインL7から系外へ放出されるが、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の非気散性の酸成分のアミン塩のようなHSASは分解されず、アミン液中に蓄積する。ラインL8から弁を通して、ラインL1にアルカリを注入してリーンアミン液を中和し、中和されたリーンアミン液を吸収塔1に循環する。
リーンアミン液の一部をラインL11から分流してカチオン交換塔11、アニオン交換塔12からなるイオン交換装置へ送り、2次再生を行う。このときラインL11から入るリーンアミン液を、フィルタ15に流してろ過し、活性炭槽16で活性炭処理し、カチオン交換塔11でカチオン交換樹脂層13によりカチオンを交換除去し、アニオン交換塔12でアニオン交換樹脂層14によりHSASを構成するアニオンを交換除去して2次再生する。2次再生されたアミン液(リーンアミン液)はラインL12から吸収塔1へ循環する。
カチオン交換塔11およびアニオン交換塔12の出口に設けられた電気伝導率計の電気伝導率信号によりイオンがリークする貫流点を判定し、それぞれの樹脂の再生に移る。カチオン交換樹脂層13を含むカチオン交換塔11およびアニオン交換樹脂層14を含むアニオン交換塔12では、樹脂が飽和に達する時期が異なるので、それぞれ再生が必要になった時点で通液を停止し、個別に樹脂の再生を行う。このとき再生に先立って、それぞれのイオン交換樹脂層について、以下の相転換を行い、アミンを回収する。
まずガス置換工程(1)では、イオン交換塔としてのカチオン交換塔11またはアニオン交換塔12内に、ラインL13またはL14からイオン交換樹脂層であるカチオン交換樹脂層13またはアニオン交換樹脂層14の上方に窒素ガスを導入して、カチオン交換塔11またはアニオン交換塔12の底部からアミン液を流出させ、イオン交換塔内をアミン相からガス相に転換する。窒素ガスの圧力は大気圧より若干高い圧力として、5〜10kPa(ゲージ圧)に加圧し、アミン液を押し出し、ラインL15またはL16からアミン貯槽17に回収する。
ガス置換工程(1)で窒素ガスによりアミン液を押し出しても、イオン交換樹脂の表面にはアミン液が付着しているので、ガス置換工程(1)によるアミン液の流出後も、アミン液流下工程(2)として、ラインL13またはL14からの窒素ガスの導入を継続し、樹脂に付着するアミン液を流下させて回収する。このときの窒素ガスの圧力はガス置換工程(1)と同じでよく、窒素ガスを下向流で通過させることにより、アミン液の流下が促進される。アミン液流下工程(2)は、樹脂層からアミン液の流下(滴下)が終わるまで、一般的には2〜20分、好ましくは5〜10分間行う。
樹脂層からアミン液の流下が停止した段階で、水置換工程(3)移る。このときカチオン交換塔11またはアニオン交換塔12内に、ラインL17またはL18から純水を導入して樹脂層の上方まで満たした後、下向流で水を流下させて樹脂に付着するアミン液を洗い流し、水相に置換する。下向流で流下させる水の量は、カチオン交換樹脂層13またはアニオン交換樹脂層14の樹脂保有量(ベッドボリューム:BV)の2〜5容量倍、好ましくは3〜4容量倍程度とする。流出する希釈アミン液は、ラインL15またはL16からアミン貯槽17に回収する。
上記の置換工程により、イオン交換樹脂塔に存在するアミンを効果的に回収し、アミン液のロスを少なくすることができる。その後、カチオン交換塔11またはアニオン交換塔12内に、ラインL19またはL20から再生剤を導入してカチオン交換樹脂層13またはアニオン交換樹脂層14に通液して樹脂の再生を行う。再生排液はラインL21またはL22から再生排液槽18で貯留後、排液処理設備で処理する。樹脂の再生後、カチオン交換塔11、アニオン交換塔12に被処理アミン液を通液してアミン液の2次再生を再開する。
アニオン交換樹脂については、貫流点においてアニオンがリークする時点で、上記の相転換工程に移るが、カチオン交換樹脂層の貫流点後もアミン液を通液し、カチオン交換樹脂に交換吸着したアミンを溶出させた後、相転換工程に移る。この場合、カチオン交換塔11の流出液の電気伝導率が急上昇する時点、すなわちイオンがリークし始める貫流点におけるリーンアミン液の積算通液量を100%としたとき、リーンアミン液の積算通液量が103〜106%、好ましくは104〜105%となる時点で通液を停止し、カチオン交換樹脂層の相転換工程に移る。これによりカチオン交換樹脂層に吸着されたアミンをほとんど回収した状態で、相転換工程に移ることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。各例中、特別な指示がない限り、%は重量%である。
〔実施例1〕:
〔処理の概要〕;
アミン液250kLを保有する酸性ガス処理プラントに対し、図1に従って、カチオン交換塔およびアニオン交換塔により、アミン液の2次再生処理を実施した。アミン液はメチルジエタノールアミン(MDEA)であり、アミン液中のアミンの濃度は40%である。カチオン交換塔はカチオン交換樹脂ダウエックスMSC(ダウケミカル社製、商品名)を1800L充填したもの、アニオン交換塔はアニカチオン交換樹脂ダウエックスMSA(ダウケミカル社製、商品名)を1800L充填したものである。アミン液の2次再生により、熱安定性アミン塩濃度は1.5%から0.7%に低下した。アニオン交換塔によるアミン液の再生処理のバッチ数は21バッチであり、それに伴う樹脂の再生処理も21回実施した。この樹脂の再生に先立って相転換によるアミンの回収を行った。以下アニオン交換塔の再生工程について述べる。
〔ガス置換工程〕;
アニオン交換樹脂層の相転換は、アニオン交換塔が貫流点に達して飽和後、アニオン交換塔に窒素ガスを導入して、滞留したアミン液を窒素ガス置換により回収し、アミンプラントに返送した。このときのアミン液の回収量は以下の通りである。
アニオン交換塔のアニオン樹脂充填量:1800L
空隙率:37容積%
樹脂飽和による通液終了時の滞留液量:1800L×37%=670L
樹脂上層部滞留部、および連絡配管の滞留量:500L
1バッチあたりの残留アミン液量=670+500=1170L
〔アミン液流下工程〕;
窒素ガス置換後、窒素を流した状態で静置してアミン液を流下させ、しずく切りを10分間行った。アミン液流下によるしずく量は50Lであった。その後はしずくは出なくなった。
バッチ数は21回であるので、しずく切りによって回収されたアミン液量は、
50L×21回=1050Lである。
よって、回収されたアミン純分量は、
1050L×40%=(約) 420kgである。
〔水置換工程〕;
アミン液流下が終了後、アニオン交換塔に純水を導入してアニオン交換樹脂層の上方10cmの高さまで水張りし、その後純水を導入しながら下向流で流下させて水置換し、希釈アミン液を回収した。このとき流下させた純水量は3BV、すなわち5400L、回収した希釈アミン液中のアミン濃度は0.014%、回収した希釈アミン量は0.76kgであった。
〔樹脂再生工程〕;
水置換したアニオン交換塔に4%水酸化ナトリウム水溶液9000Lを下向流で通液して樹脂を再生し、次バッチのアミン液の再生に供した。
再生排液(再生後の水洗水分も含む)は400kLであった。その排液のCOD値は800mg/L、全窒素値は150mg/Lであった。COD値は、主としてアニオン交換樹脂再生で脱着した有機酸によるもの、全窒素は主としてアニオン交換樹脂再生で脱着したチオシアンイオンによるものである。
〔参考例1〕:
上記実施例1において、アニオン交換塔飽和後、そのまま残留液の抜き出しなしに再生工程に移行した場合は、1バッチあたりの残留アミン液量は1170Lであるから、21回のバッチすべてでアミン液滞留のまま再生処理を行うと、以下の通り、保有アミン液量の9.8%のロスとなる。
1170L×21=24570L
〔参考例2〕:
実施例1において、しずく切りをせずにアニオン樹脂の再生を行ったとすれば、再生排液のCOD値、および全窒素値は次のように増加する。
回収された純アミンのCOD含有量=420kg×0.87=365kg
排液のCOD増加濃度=365kg÷400kL=(約)910mg/L
増加後の排液のCOD値=800+910=1710mg/L
回収された純アミン中の全窒素含有量=420kg×0.11=46.2kg(0.11は使用されたアミン中の窒素含有量)
排液の全窒素増加濃度=46.2kg÷400kL=(約)120mg/L
増加後の排液の全窒素濃度=150+120=270mg/L
いずれも2倍以上か、2倍近い値となり、排液性状が大幅に悪化することがわかる。
〔実施例2〕:
パイロット試験装置を使用して、アニオン塔にアミンを通液し飽和後、十分に水切り後、水洗を下向流と上向流に変え、効果を比較した。
パイロット試験装置の仕様は以下の通りである。
アニオン塔径:100mm内径
アニオン充填高さ:700mm
アニオン樹脂充填量:5.5L(強塩基性アニオン交換樹脂、ダウエックスMSA)
通液条件:SV=8.3(46L/hr)
アミン液: 27%DIPA(pH=11.9)
下向流で3BV(5.5×3=16.5L)連続に水洗した最後の出口水洗水のpHは9.0、全窒素は8〜25mg/Lであった。原液27%DIPA中の全窒素は28000mg/Lであるので、1120倍から3500倍の希釈効果(水洗効果)が得られた。これによりアミンの残留は、ほぼ0%になることがわかる。
〔参考例3〕:
実施例2において、上向流で3BV(5.5×3=16.5L)連続に水洗した最後の出口水洗水のpHは10.5、全窒素は200mg/Lであった。
このように、水洗方向は、下向流であることが上向流の場合よりずっと効果的である。これによりアミンの残留は、下向流にすることにより、上向流の場合のほぼ0.1%になることがわかる。
〔実施例3〕:
ベンチ試験装置でアミン中にナトリウムイオン(50mg/L、2.17meq/L)+カリウムイオン(6750mg/L、173meq/L)=6800mg/L(175meq/L)を含むアミン液をカチオン交換樹脂に通液し、通液量を区切ってカチオン交換樹脂を再生し、再生排液中の全窒素を測定することで、再生排液中にロスしたアミン液量を測定した。同時にその時点の処理アミン液中のアミン(DIPA)濃度、ナトリウムイオン、カリウムイオン濃度を測定した。
試験条件は以下の通りである。
カチオン塔径:10mm内径
充填高さ:700mm
カチオン交換樹脂充填量:55mL(強酸性カチオン交換樹脂、ダウエックスMSC)
通液条件:458mL/H(SV;8.3、LV;5.8m/H)
アミン液:40%DIPA
再生液:8%硫酸、3BV(55×3=165mL)
アミン液中のカチオン当量:175meq/L
貫流点までの通液可能量(L)=樹脂量0.055(L)×本試験装置の貫流交換容量1.24(eq/L−R)÷アミン液中のカチオン当量0.175(eq/L)=0.390(L)
結果を表1に示す。
Figure 2011161303
表1中の通液量ごとの時点でカチオン交換樹脂の再生をした時の再生排液中の全窒素濃度は、その時点のカチオン交換樹脂に吸着(付着)していた窒素分と考えられるが、貫流点までの通液量に対する比率105%で最小となり、以降は変わらない。よって貫流点の105%で通液を停止して再生処理を行うことにより、アミンのロスを最小にできることがわかる。
通液量105%以降の再生処理液中の全窒素濃度は、他に窒素分を含む成分がないためアミンに由来するものであり、カチオン交換樹脂層中の流れがデッドスペースとなる深奥部へ侵入したアミン液の残留と考えられ、その場では共存するナトリウムイオン、カリウムイオンによるカチオン交換樹脂に吸着したアミンイオンとの親和性の違いによる交換吸着があるものの、圧倒的な高濃度のアミン液の残留によるものであると思われる。
この時点の再生排液(3BV=165mL)中のアミン量は、以下の通りとなり、これがロスとなるアミン相当の全窒素である。
165mL×734mg/L=121mg
貫流点までの通液量に対する比率105%での通液量は410mLであるから、処理されたアミン液中の全窒素分は、以下の通りとなり、
410mL×40%×14/133=17.3g(14/133はDIPA中の窒素含有量)
アミンの処理アミンに対するロス分の比率は、以下の通り非常に小さい。
121mg÷17.3g=0.70%
石油精製その他のプロセスで発生するガスや、石炭や石油等のの燃焼ガスなどの酸性ガスの処理工程において、ガス中の酸成分を吸収し、熱安定性アミン塩(HSAS)が蓄積したアミン液を、イオン交換樹脂を用いて再生する方法において、アミン液の再生に用いたイオン交換樹脂を再生する際、アミン液のロスを少なくして効率的な再生を行うイオン交換樹脂の再生方法に利用可能である。
1: 吸収塔、2: 1次再生塔、3: 熱交換器、4、5: 充填層、6: リボイラ、7: コンデンサ、8: 凝縮水槽、11: カチオン交換塔、12: アニオン交換塔、13: カチオン交換樹脂層、14: アニオン交換樹脂層、15: フィルタ、16: 活性炭槽、17: アミン貯槽、18: 再生排液槽。

Claims (5)

  1. 酸成分を吸収したアミン液をカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層に通液してカチオンおよびアニオンを除去することにより、アミン液の再生に用いたイオン交換樹脂層に再生剤を通液して再生するに際し、
    イオン交換塔内のイオン交換樹脂層の上方に窒素ガスを導入して、イオン交換塔の底部からアミン液を流出させるガス置換工程、
    アミン液の流出後も窒素ガスの導入を継続し、樹脂に付着するアミン液を流下させるアミン液流下工程、および
    樹脂層からアミン液の流下が停止した段階で、イオン交換塔内に水を導入して樹脂層の上方まで満たした後、下向流で水を流下させて樹脂に付着するアミン液を洗い流し、水相に置換する水置換工程
    によりアミンを回収することを特徴とするアミン液の再生に用いたイオン交換樹脂の再生方法。
  2. イオン交換樹脂がカチオン交換樹脂の場合、カチオン交換樹脂層の貫流点後もアミン液を通液し、カチオン交換樹脂に交換吸着したアミンを溶出させた後、窒素ガスの導入を行う請求項1記載の方法。
  3. カチオン交換樹脂層の貫流点におけるリーンアミン液の通液量を100%としたとき、リーンアミン液の通液量が103〜106%となる時点でアミン液の通液を停止し、窒素ガスの導入を行う請求項1または2記載の方法。
  4. アミン液流下工程を2〜20分間行う請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 水置換工程で流下させる水量が、イオン交換塔内のイオン交換樹脂の保有量の2〜5容量倍量である請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
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