JP2011161240A - ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法及びティシュペーパー製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の一次原反ロールJRから繰り出される一次連続シートS11、S12をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とする積層工程(51)と、積層連続シートS2に対して薬液を噴霧状態で付与する薬液噴霧工程(53)と、積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程(55)と、スリットされた各積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを形成する巻取り工程(56)と、を有するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法とする。
【選択図】図11
Description
このようなインターフォルダの例として、下記特許文献1、2に開示されるようなマルチスタンド式(多連式)インターフォルダや、下記特許文献3、4に開示されるようなロータリー式インターフォルダなどが知られている。
マルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法の従来例としては、次のようなものがある。すなわち、抄紙設備において薄葉紙を抄造して巻き取ることで一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造し、次いで、この一次原反ロールをプライマシンにセットし、複数の一次原反ロールから繰り出した一次連続シートを重ね合わせて巻き取ると共にスリット(幅方向にティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅に分割)し、複数のプライからなる二次原反ロールを製造する。
プライマシンで製造された二次原反ロールは、プライマシンから取り出された後、必要な数だけマルチスタンド式インターフォルダにセットされる。次いで、二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
このようなマルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法は、他の折り畳み設備を用いた製造方法に比べて、多数(通常80〜100基)の折畳み機構を有しているため生産性が高いという利点を有している。
しかし、マルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法で製造する場合、プライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に薬液付与工程を設けると、原反の移送の手間や多大な設備コストがかかってしまうという問題がある。また、薬液付与工程をマルチスタンド式インターフォルダ内に設けると、薬液を付与するティシュペーパー製品を製造するラインと、薬液を付与しないティシュペーパー製品を製造するラインとを別々に設ける必要があった。
他方、紙粉の混入が抑制され、もって安定して薬液を付与できるようにしたものである。
〔請求項1記載の発明〕
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して薬液を噴霧状態で付与する薬液噴霧工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
本発明においては、抄造し、巻き取りを行なった一次原反ロールから、マルチスタンド式インターフォルダに供給するための、ティシュペーパー製品用二次原反ロールを連続的に製造する、いわゆるプライマシン内に、薬液噴霧工程を組み込んでシートに薬液を付与するようにした。
したがって、大幅な設備改造を要することなく、既設のプライマシンのマイナーな改造で足りるので、投資設備費が少ないもので足りる利点がある。
しかも、マルチスタンド式インターフォルダ内に薬液噴霧工程を設けるのではなく、プライマシン内に、薬液噴霧工程を組み込むものであるために、薬液を付与したティシュペーパー製品と薬液を付与しないティシュペーパー製品との切り換えは、単にティシュペーパー製品用二次原反ロールの薬液付与の有無によって切り換えればよいのであるから、生産性に優れたものである。
しかるに、マルチスタンド式インターフォルダによるティシュペーパーの製造ラインは、たとえば700〜1400m/分と高速とすることが考えられる。その場合には、プライマシンにおいても、生産速度のマッチングのために同様の速度でプライ加工を行なうことが必要となる。かかる高速のプライマシンにおいて、たとえば薬液を、グラビア、フレキソ、ロール塗工などの方式で塗布する場合、主に高速で走行するシートと塗布用ロールとの摩擦で紙粉が大量の発生し、塗工薬液中に混入し、その濃度が変化し、塗布量のバラツキを招く。これに対し、本発明では、薬液の付与を噴霧によって行なうものであるから、紙粉の発生の伴うトラブルから解放される。
前記薬液噴霧工程が、前記積層工程の後であって、且つ、前記スリット工程の前に行われる、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記積層工程と前記薬液噴霧工程との間に、カレンダーにて平滑化処理する平滑化工程を有する、請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記薬液噴霧工程と前記スリット工程との間に、前記積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程を有する、請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記薬液の付与がノズル式噴霧方式によるものである、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記薬液の付与がローターダンプニング噴霧方式によるものである、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記請求項のいずれか1項の請求項によって得られた前記二次原反ロールを多数用意し、これらをマルチスタンド式インターフォルダにおいてライン方向に沿って配置し、各二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、その移送過程で折畳みながら積み重ね、その後、所定枚数の積層シートを所定長さ切断してティシュペーパー束とし、この積層を収納箱内に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
また、薬液を付与しないティシュペーパー製品を製造する場合は、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造過程において薬液付与を行なわないで製造すれば良いだけであるため、製造の切り替えが容易にできる。
なお、平滑化工程は、積層工程と薬液噴霧付与工程との間で行われることが好ましい。平滑化工程が積層工程の前であると、少なくとも積層シートの外側シートの外側表面を平滑化するための設備が2基なければ、積層工程後の1基の平滑化工程と同等の効果が得られず、また、外層となる2つのシート表面に2基のカレンダーで同等の平滑性を得る場合には紙厚が損なわれがちとなる。
このコンタクトエンボス工程は、スリット工程の前で行われることが好ましい。コンタクトエンボス工程がスリット工程後であると、製品幅にスリットの入った積層連続シートに対してコンタクトエンボスを付与することとなり、連続する製品幅の積層シートの端部に2箇所(2ライン)のコンタクトエンボスがなされるため、全幅でのコンタクトエンボスと比較し断紙しやすくなる。
〔一次原反ロールの製造〕
一次原反ロールの製造方法の一例を、図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、ワイヤーパートを経た湿紙Wがボトムフェルト111に載せられて移送され、その後、トップフェルト110及びボトムフェルト111に挟持されたまま、トップロール112とボトムロール113の間を通過し搾水される。その後、搾水された湿紙Wは、トップフェルト110に載せられた状態で、タッチロール116を介してヤンキードライヤー115の表面に付着させられる。そして、湿紙Wは、ヤンキードライヤー115によって乾燥され、ドクターブレード117により引き剥がされた後、巻き取られることで一次原反ロールJRとされる。
この抄紙に際しては、例えば、分散剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などの適宜の薬品を添加することができる。
なお、本一次原反ロールの製造方法においては、ドクターブレード117により引き剥がされた後でカレンダー手段118によって平滑化処理を施すこともできる。
上述例で製造された一次原反ロールJRから、ティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを連続的に製造する。たとえば、図11に示すように、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1(プライマシンX1)は、上述例で製造された一次原反ロールJRを、少なくとも2つ以上セット可能とされており、これらの一次原反ロールJRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)を、その連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とするプライ手段51(積層工程)を有している。
かくして得られたティシュペーパー製品用二次原反ロールRは、マルチスタンド式インターフォルダにライン方向に多数(たとえば製品の組数の1/2の数)セットされ、セットされた二次原反ロールRから、二次連続シートを繰り出してその連続方向に沿って移送すると共に、その移送過程で折り畳みながら積層することによってティシュペーパー束を製造し、その後、所定枚数の積層シートを所定長さ切断してティシュペーパー束とし、この積層を収納箱内に収納することによって、ティシュペーパー製品を製造する。
図2及び図3に、マルチスタンド式インターフォルダの一例を示した。図中の符号2は、マルチスタンド式インターフォルダ1の図示しない二次原反ロール支持部にセットされた二次原反ロールR,R…を示している。この二次原反ロールR,R…は、必要数が図示平面と直交する方向(図2における水平方向、図3における紙面前後方向)に横並びにセットされている。各二次原反ロールRは、上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造過程でティシュペーパー製品幅にスリットが入れられており、ティシュペーパー製品の複数倍幅、図示例では2倍幅で巻き取られ、セットされている。
ところで、前述したように、ティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となるため、図6(b)に示すように、ティシュペーパーTを収納箱Bから引き出す際には、その引き出し方向は、ティシュペーパーTの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
ところで、先に説明したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1には、積層連続シートS2をカレンダー処理するカレンダー手段52を一つ以上設けることもできる。
カレンダー手段52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーのことである。
二つ以上のカレンダー手段52を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味している(以下同じ)。
カレンダー処理条件におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
また、カレンダー手段52の設置位置は特に限定されないが、プライ手段51の後段であって且つ薬液噴霧手段53の前段や、薬液噴霧手段53の後段であって且つコンタクトエンボス手段54の前段とすることができる。
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1には、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボスを付与するコンタクトエンボス手段54を設けることができる。
なお、コンタクトエンボス手段54の設置箇所は特に限定されないが、薬液付与手段53の後段であって且つスリット手段55の前段や、カレンダー手段52の後段であって且つ薬液付与手段53の前段とすることでもよい。つまり、カレンダー手段52の後段であって且つスリット手段55の前段の何れかの箇所で有ればよいのである。
さらに、接合する為の手段としては上記例に限定されず、凸部の先端形状が、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状のものをコロとして用いても良く、凸部の先端形状が、細長い線状、細く斜めに伸びる線状等のものをコロとして用いても良い。
本実施形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造においては、薬液を噴霧しながら積層連続シートS2に付与する。
薬液噴霧手段53としては特に限定されないが、ノズル式噴霧方式による場合のほか、ローターダンプニング噴霧方式によってもよい。
薬液をシート表面に均一に噴霧付与するためには、霧化された薬液の霧滴粒子径はできる限り微小であることが好ましい。しかしながら、霧滴が細かくなりすぎると噴霧した空気の跳ね返りやシート表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、特にシートの走行速度が速い場合などにおいては、霧滴がシート表面に付着しにくくなる。このため、噴霧付与方式においては噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、噴霧速度を、加えて二流体方式の場合には、噴霧用の薬液と圧搾空気の混合比、および薬液の濃度や粘度等を適宜調節し、付与条件に適した粒子径に調節することができ、さらに噴霧時に随伴空気の影響が大きい場合は、随伴空気を除去するための吸引装置や邪魔板(整流板)等の設置、および噴霧ノズル先端に高電圧を加えて霧滴粒子を帯電させて、顔料塗被紙への霧適の付着性を向上させる荷電電極(静電噴霧方式)などを追加してもよい。
シート表面に塗布されずにミストとして浮遊している霧滴粒子は、吸引・回収して再度噴霧することができる。
なお、両付与面への付与量に差がある場合、噴霧付与後にプライ原反で保管されてから折り加工されるまでの時間(8時間以上)に、両付与面は接していることから、次第に両者の薬液量は均等化していき表裏差は小さくなる。
付与する薬液について、粘度は高速加工を行う観点から40℃で1〜700mPa・sとする。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)とする。1mPa・sより小さいとアニロックスロール、刷版ロール、グラビアロール等のロール上で薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと各ロールや連続シートへの付与量をコントロールしにくくなる。成分はポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含むものとする。
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を助けたり、維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え付与を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、付与量を安定させる上で好ましい。
薬液付与時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
一次連続シートS11、S12の原料パルプは、特に限定されず、ティシュペーパー製品の用途に応じて適宜の原料パルプを選択して使用することができる。原料パルプとしては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は1プライで80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとされる。
〔第2のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備及び製造方法〕
たとえば、図16に示すように、薬液噴霧手段53とコンタクトエンボス手段54との間に、積層連続シートS2のテンションを制御するテンションコントロール手段57を設けることもできる。このテンションコントロール手段57は円筒形状のロールから形成されており、積層連続シートS2の撓み具合に合わせて上下動可能とされている。
また、図16に示す形態のようにテンションコントロール手段57を設ける場合、薬液噴霧手段53の前段と、テンションコントロール手段57の後段とにカレンダー手段52を配置することも提案される。この場合、テンションコントロール手段57の後段に配置されたカレンダー手段52では、薬液付与時には、カレンダーロール52Aを受けロール52Bから積層連続シートS2の紙厚以上の距離だけ離間させて、積層連続シートS2に対して平滑化処理を行なわず素通しさせることも提案される。
図17示すように、コンタクトエンボス手段54は、カレンダー手段52と薬液噴霧手段53との間に設置することもできる。このようなティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3を用いてのティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は次のようになる。
図17に示すように、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シート(図示例ではS11、S12)をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して一対のカレンダー手段52で平滑化処理し(平滑化工程)、平滑化処理された積層連続シートS2に対してコンタクトエンボス手段54でコンタクトエンボスを付与し(コンタクトエンボス工程)、コンタクトエンボスを付与された積層連続シートS2に対して一対の薬液噴霧手段53で薬液を付与し(薬液付与工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
なお、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3で、薬液が付与されないティシュペーパー製品を製造する場合、図17において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をコンタクトエンボス手段54からスリット手段55に直接移送し、薬液噴霧手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
図18に示すように、薬液付与工程53は、コンタクトエンボス手段54は、プライ手段51とカレンダー手段52との間に設置し、カレンダー手段52を一段として薬液噴霧手段53とコンタクトエンボス手段54との間に設置することもできる。このようなティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X4を用いてのティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は次のようになる。
図18に示すように、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シート(図示例ではS11、S12)をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して上下方向に並設された一対の薬液噴霧手段53で薬液を付与し(薬液付与工程)、一対のカレンダー手段52で平滑化処理し(平滑化工程)、平滑化処理された積層連続シートS2に対してコンタクトエンボス手段54でコンタクトエンボスを付与し(コンタクトエンボス工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
なお、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X4で、薬液が付与されないティシュペーパー製品を製造する場合、図18において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をカレンダー手段52からコンタクトエンボス手段54に移送し、薬液噴霧手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
図19に示すように、一対のカレンダー手段52を上下方向に沿って配置し、且つ、一対の薬液噴霧手段53を上下方向に沿って配置することもできる。
このようなティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X5を用いてのティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は次のようになる。
図19に示すように、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シート(図示例ではS11、S12)をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して一対のカレンダー手段52で平滑化処理し(平滑化工程)、積層連続シートS2に対して一対の薬液噴霧手段53で薬液を付与し(薬液付与工程)、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボス手段54でコンタクトエンボスを付与し(コンタクトエンボス工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
なお、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X5で、薬液が付与されないティシュペーパー製品を製造する場合、図19において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をカレンダー手段52からコンタクトエンボス手段54に直接移送し、薬液噴霧手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
実施例1〜6において、原紙を構成するパルプは、NBKP30%、LBKP70%とした。また、クレープ率19%のものを使用した。実施例1〜6については、比較例2と同じ組成の薬液を、粘度が110mPa・s(40℃)となるように調製した。
実施例1〜3は、図15に示すローターダンプニング方式による噴霧形態によるものであり、実施例4〜6は、図12に示すノズル方式による噴霧形態によるものである。
表2中の比較例はいずれも市販品であり、比較例1は出願人が市販している非保湿系の汎用ティシュペーパー、比較例2〜は保湿系のローションタイプのティシュペーパーである。比較例2は出願人が市販しているローションタイプのティシュペーパーであるが、比較例3及び4は他社の市販品であるので、不明内容を含む。
米坪・・・JIS P 8124(1998)に準じて測定した。2プライのティシュー製品の場合、2プライのシートの平均米坪を記載した。
紙厚・・・JIS P 8111(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定されるものである(JIS P 8118(1998)に準じる)。
製品密度・・・製品の密度は、JIS P 8111 条件下において調湿させたティシュペーパー製品米坪を2倍した値(C)を、「PEACOCK G型」によるティシュペーパー(2プライ)での紙厚(D)で除した値で、単位をg/cm3、小数点3桁で表す。
乾燥引張強度・・・JIS P 8113(1998)の引張試験方法に準じて測定されるものである。
湿潤引張強度・・・JIS P 8135(1998)に準じて測定されるものである。
伸び率・・・ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG−200N」を用いて測定されるものである。
ソフトネス・・・JIS L1096 E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定されるものである。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmで実施した。1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を小数点1桁とし、cN/100mmを単位として表した。
静摩擦係数・・・JIS P 8147(1998)に準じて次記の方法で測定されるものである。1プライにはがしたティシュペーパーを、紙の表が外側に来るようにアクリル板に張り付ける。2プライのまま100gのおもりにティシュペーパーを巻きつけ、アクリル板上のティシューに乗せる。アクリル板を傾け、おもりが滑り落ちる角度を測定する。角度測定は8回実施し、平均角度を算出し、そのタンジェント値を静摩擦係数とする。
MMD・・・静摩擦係数の平均偏差MMDである。MMDは滑らかさの指標の一つであり、数値が小さいほど滑らかであり、数値が大きいほど滑らかさに劣るとされる。なお、MMD値の測定方法としては、図23(a)に示すように、摩擦子212の接触面を所定方向(図23(a)における右斜め下方向)に20g/cmの張力が付与された測定試料であるティシュペーパー211の表面に対して25gの接触圧で接触させながら、張力が付与された方向と略同じ方向に速度0.1cm/sで2cm移動させる。このときの、摩擦係数を、摩擦感テスター KES−SE(カトーテック株式会社製)を用いて測定し、その摩擦係数を摩擦距離(移動距離=2cm)で除した値をMMD値とした。なお、摩擦子212は、直径0.5mmのピアノ線Pを20本隣接させてなり、長さ及び幅がともに10mmとなるように形成された接触面を有している。接触面には、先端が20本のピアノ線P(曲率半径0.25mm)で形成された単位膨出部が形成されている。なお、図23(a)には、摩擦子212を模式的に表し、図23(b)には、図23(a)における一点鎖線で囲まれた部分の拡大図を示すものとする。
水分率・・・JIS P 8111(1998)に準じて測定されるものである。
薬液含有量・・・薬液付与量とは、JIS P 8111の標準状態におけるティシュペーパーの単位面積に対し含まれる乾燥状態(絶乾)の薬液成分の含有量を示し、具体的には、付与した薬液中の水分以外の成分の含有量を示すものとする。このティシュペーパーの単位面積とは、プライされたシートを平面に垂直線上にある視点から見た面積であり、プライされた各シート、およびその表裏面の合計面積を意味しない。
薬液含有率・・・薬液付与率とは、JIS P 8111 条件下において調湿させた所定質量のティシュペーパー製品を分母(A)(g)とし、所定質量のティシュペーパー製品中に含まれる薬液中の水分を除いた質量(B)(g)を分子として、(B)を(A)で除した比率を(%)で表す。(薬液含有率%)=(B)÷(A)×100(%)
官能評価・・・実施例1〜6、参考例1、3及び比較例1、2について、消費者87人を対象に、やわらかさ、なめらかさ、厚み感、しっとり感について下記の基準に基づく官能評価を行った。また、比較例3,4については、日時が異なる別人12人を対象とした官能評価を行った。
なお、評価基準は、薬液が付与されていない非保湿系の汎用ティシュペーパー(比較例1)の成績をすべて「3」とし、「大変優れている」と感じたものについては「5」、「優れている」と感じたものについては「4」、「基準と同等」と感じたものについては「3」、「劣る」と感じたものについては「2」、「顕著に劣る」と感じたものについては「1」とした。さらに、薬液付与ティシュペーパーについては、ベタつき感の有無についても評価を行い、評価基準は、「ベタつき感が少ない」ものを「○」とし、「明らかにベタつき感がある」ものを「×」とした。
また、表には記載をしていないが、実施例1〜実施例5のいずれにおいても、製造現場において、参考例1〜3のフレキソ方式及び比較例2のグラビア転写方式と比較して、紙粉の発生がきわめて少なく、安定した製造が可能であることが判った。
〔発明A〕
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層手段と、
積層連続シートに対して薬液を噴霧状態で付与する薬液噴霧手段と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り手段と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記薬液噴霧手段が、前記積層手段の後であって、且つ、前記スリット手段の前に行われる、発明Aに記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記積層手段と前記薬液噴霧手段との間に、カレンダーにて平滑化処理する平滑化工程を有する、発明Bに記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記薬液噴霧手段と前記スリット手段との間に、前記積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス手段を有する、発明Bに記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記薬液の付与がノズル式噴霧方式によるものである、発明Aに記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記薬液の付与がローターダンプニング噴霧方式によるものである、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記のいずれか1項の発明によって得られた前記二次原反ロールを多数用意し、これらをマルチスタンド式インターフォルダにおいてライン方向に沿って配置し、各二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、その移送過程で折畳みながら積み重ね、その後、所定枚数の積層シートを所定長さ切断してティシュペーパー束とし、この積層を収納箱内に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造装置。
52・・・カレンダー手段(平滑化工程)
53・・・薬液噴霧手段(薬液付与工程)
54・・・コンタクトエンボス手段(コンタクトエンボス工程)
55・・・スリット手段(スリット工程)
56・・・巻き取り手段(巻き取り工程)
S11、S12・・・一次連続シート
S2・・・積層連続シート
JR・・・一次原反ロール
R・・・二次原反ロール
Claims (7)
- 一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して薬液を噴霧状態で付与する薬液噴霧工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。 - 前記薬液噴霧工程が、前記積層工程の後であって、且つ、前記スリット工程の前に行われる、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記積層工程と前記薬液噴霧工程との間に、カレンダーにて平滑化処理する平滑化工程を有する、請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記薬液噴霧工程と前記スリット工程との間に、前記積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程を有する、請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記薬液の付与がノズル式噴霧方式によるものである、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記薬液の付与がローターダンプニング噴霧方式によるものである、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記請求項のいずれか1項の請求項によって得られた前記二次原反ロールを多数用意し、これらをマルチスタンド式インターフォルダにおいてライン方向に沿って配置し、各二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、その移送過程で折畳みながら積み重ね、その後、所定枚数の積層シートを所定長さ切断してティシュペーパー束とし、この積層を収納箱内に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
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