JP2011161021A - 耐振動脳波計 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用者が動作状態にあっても振動ノイズが混入する事なく計測が可能であり、かつ簡易装着が可能な耐振動脳波計の実現
【解決手段】フレーム1と該フレーム1に配置された複数の電極2と前記フレーム1に配置された振動センサ3と前記電極2により検知された信号より電気ノイズ成分を除去するフィルタ部4と該フィルタ部4を通過した信号を増幅する増幅部5と該増幅部5により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部6と前記振動センサ3により検知された信号より電気ノイズ成分を除去するフィルタ部7と該フィルタ部7を通過した信号を増幅する増幅部8と該増幅部8により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部9と該デジタル変換部9および前記デジタル変換部6の出力値から振動ノイズ成分の除去演算を行う演算部10から成る耐振動脳波計により課題を解決した。
【選択図】 図1

Description

この発明は、耐振動脳波計に関するものである。
50マイクロボルトほどの微弱な電気信号である脳波を正しく検知する為に、従来より様々なノイズ除去技術が用いられてきた。
まず、蛍光灯など周辺の電気機器などから入る外部ノイズに対しては差動増幅という技術が用いられてきた。これは頭部のうち、脳波の発生する箇所と発生しない箇所を同時に計測し、両方の計測値を差し引く事により、両方に混入したノイズを除去する技術である。
また、脳波計の電源として商用電源を利用している場合は、50Hzまたは60Hzのハムノイズが混入してしまう事から、このノイズを除去する為にアナログフィルタやデジタルフィルタが用いられてきた。
また、頭部に装着させる電極は金属製である事から、電極自体が発電してしまう事により発生するノイズを抑えるべく、塩化銀と電解液を使用した不分極電極という技術が用いられてきた。
しかし、上記の技術を組み合わせた脳波計であっても、電極が振動する事によって発生する振動ノイズを除去する事は難しく、計測する際に使用者は電極が振動しないように必ず静止状態を保たなければならなかった。
この振動ノイズを除去する方法としてアクティブ電極を使用する方法がある。通常、生体信号の計測に用いられる電極は電極板から長い導線が延び、計測器本体の増幅器に接続できる構造になっているが、このアクティブ電極は電極板と増幅器を一体化させたものであり、これにより長い導線に混入するノイズを軽減させる事ができる。この技術は脈拍などを継続的に計測する目的で使われるパルスオキシメーターなどに使用され、運動中の使用者の計測も可能である。しかし、脳波信号は脈拍信号の数百分の一の電圧信号である為この方法では振動ノイズを除去する事はできない。
また、三本足等の特殊な形状の電極を導電性ペーストで頭皮に固定させる方法があり、これは脳波研究者が従来より使用してきた方法であり、特に運動している被験者の脳波を計測する為には大変有効である。しかし、この方法は自分自身がひとりで電極を装着する事は不可能であり、また専門家が装着を補助しても電極装着に非常に手間が掛かってしまう。
特開2001-231767公報において、ノイズ量を統計的に演算処理し低減させる方法についての言及がなされているが、これはARB検査(聴性脳幹反応)における誘発波形を瞬時に計測する事を主目的としたものであり、通常の波形測定での使用を目的ではない。また、ノイズの原因を特定して対策を施す方法では無い為、演算が複雑である。
特開2001-231767公報
本発明は上記の事情に鑑み為されたもので、その解決しようとする課題は、使用者が動作状態にあっても振動ノイズが混入する事なく計測が可能であり、かつ簡易装着が可能な耐振動脳波計の実現である。

本発明は、前記した課題を解決するためなされたもので、請求項1に記載の発明はフレーム1と該フレーム1に配置された複数の電極2と前記フレーム1に配置された振動センサ3と前記電極2により検知された信号より電気ノイズ成分を除去するフィルタ部4と該フィルタ部4を通過した信号を増幅する増幅部5と該増幅部5により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部6と前記振動センサ3により検知された信号より電気ノイズ成分を除去するフィルタ部7と該フィルタ部7を通過した信号を増幅する増幅部8と該増幅部8により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部9と該デジタル変換部9および前記デジタル変換部6の出力値から振動ノイズ成分の除去演算を行う演算部10から成る耐振動脳波計である。

請求項2に記載の発明は頭部に着脱自在な環状のフレーム1と少なくともひとつが該フレーム1の内壁に突出配置され少なくともひとつが前記フレーム1に折曲自在な導線を介して配置された複数の電極2と該電極2に近接配置あるいは前記フレーム1に固設された振動センサ3と前記電極2により検知された信号のうち略4ヘルツから略30ヘルツ以外の信号を除去するフィルタ部4と該フィルタ部4を通過した信号を増幅する増幅部5と該増幅部5により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部6と前記振動センサ3により検知された信号のうち略4ヘルツから略30ヘルツ以外の信号を除去するフィルタ部7と該フィルタ部7を通過した信号を増幅する増幅部8と該増幅部8により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部9と該デジタル変換部9および前記デジタル変換部6の出力値から振動ノイズ成分の除去演算を行う演算部10から成り、演算部10はデジタル変換部6およびデジタル変換部9の出力データからそれぞれの一定時間における最大値と最小値の差を求め両者の比率を算出する比率係数算出機能11とデジタル変換部6およびデジタル変換部9のデータの周波数帯域別の強度を算出する周波数帯域別強度算出機能12と該周波数帯域別強度算出機能12によって算出された周波数帯域別強度および前記係数算出機能11によって算出された比率係数によって振動ノイズ成分を除去した周波数帯域別強度を算出する周波数帯域別強度補正機能13と該周波数帯域別強度補正機能13によって補正された周波数帯域別強度を波形データに戻す逆変換演算機能14から成る事を特徴とする耐振動脳波計である。

請求項3に記載の発明はインピーダンスチェック機能を備えた請求項1の耐振動脳波計である。
脳波計測において、使用者が動作状態にあっても振動ノイズが混入する事なく計測が可能であり、かつ簡易装着が可能な耐振動脳波計が実現できた。
本発明の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明の外観および構成を示す図である。まず使用者は環状のフレーム1を頭部に装着する。その際にフレーム1の内壁に突出配置された電極を後頭部に当て、フレーム1に折曲自在な導線を介して配置された2つの電極を両耳朶に装着する。本説明においては電極数を後頭部電極1つと耳朶電極2つの合計3つとし、耳朶電極のうちの1つは基準電極とするが、フレーム1の内壁に突出配置された電極、或いはフレーム1に折曲自在な導線を介して配置された電極がこれ以上の電極数でもかまわない。
本発明の脳波計は、まず後頭部電極と基準電極の電位差、および耳朶電極と基準電極の電位差を検知し両者を引き算する。これはノイズが両者に同量で混入している場合、両者を差し引く事によってこのノイズを除去する事を目的とした差動増幅という一般的な技術である。
次ぎに、本発明の脳波計は、差動増幅後の脳波信号をさらに略4ヘルツから略30ヘルツ以外の信号を除去すべくフィルタ部4を通す。これは脳波は4ヘルツから30ヘルツの交流波である為、それ以外の周波数帯域の信号をノイズとして除去する為である。
次ぎに、本発明の脳波計は、フィルタ4を通過した脳波信号を増幅部5によって5千倍から1万倍程度に増幅させる。これは脳波が数マイクロボルトという微弱信号であり、そのままでは後の演算が不可能である為である。
次ぎに、本発明の脳波計は、増幅部5によって増幅されたアナログ信号をデジタル変換部6によりデジタル変換する。
一方、基準電極でない方の耳朶電極に近接配置されているか或いはフレーム1に固設されている振動センサ3によって検知された振動信号はフィルタ部7によって略4ヘルツから略30ヘルツ以外の部分が除去され、該フィルタ部7を通過した信号は増幅部8により増幅された後、デジタル変換部9によってデジタル信号に変換される。
デジタル変換部6より出力された脳波データとデジタル変換部9より出力された振動データは、比率係数算出機能11によりそれぞれ一定時間、例えば1秒間における最大値と最小値の差を求め両者の比率を算出する。これは検知された脳波信号の強度と振動信号の強度差を揃える為の比率係数として使用する為である。
また、デジタル変換部6およびデジタル変換部9のデータは周波数帯域別強度算出機能12により周波数帯域別の強度に変換される。これは高速フーリエ変換演算でも高速ウェーブレット変換でもかまわない。
次に、周波数帯域別強度算出機能12によって周波数帯域別の強度に変換された脳波データと振動データは、前記係数算出機能11によって算出された比率係数と共に周波数帯域別強度補正機能13によって次の演算が成される。「(脳波データにおける周波数帯域別の強度−振動データにおける周波数帯域別の強度×比率係数)/脳波データにおける周波数帯域別の強度」 すなわち周波数帯域毎に、振動の強度に比例係数を乗算したものを脳波の強度から減算しその結果を脳波の強度で除算する。従ってその演算結果は周波数帯域毎に算出される。
また周波数帯域別強度補正機能13は該0024にて算出された値を脳波データにおける周波数帯域別の強度計算の過程で算出された実数部と虚数部にそれぞれ対応する周波数帯域毎に乗算する。
次に、逆変換演算機能14は該0025にて算出された値を波形データに逆変換する。
図2は脳波信号と振動信号それぞれの伝達方向を表した図であり、図3は演算部の内部構成を表した図である。
本発明の実施例を図面を参照して以下詳細に説明する。通常、脳波計測においては、直径1cmほどの塩化銀皮膜で覆われた皿型電極を導電性ペーストにて頭部に貼り付け、その電極にて検知された電気信号を差動増幅という手法により差分処理した後に数千から1万倍に増幅し、増幅された信号をノイズフィルタを通してノイズを除去する事により脳波信号を抽出するという方法が採られる。
その際の電極の配置方法は次の通りである。まず耳朶などの脳波が発生しない身体の1箇所に基準電極として電極を貼り付ける。次に、もう一方の耳朶など同じく脳波が発生しない頭部の1箇所と、後頭部、頭頂部、側頭部、前頭部の脳波が発生する頭部の複数箇所に電極を貼り付け、それぞれの電極と基準電極との電位差を計測する。
次のステップとして行われる差動増幅という差分処理方法について説明する。脳波計測における差分処理とは、基準電極と後頭部間あるいは基準電極と頭頂部間あるいは基準電極と側頭部間あるいは基準電極と前頭部間の電位差から両耳朶間の電位差を差し引く事によってノイズの除去を行う事である。なぜこの手法によりノイズ除去が可能かというと両耳朶間の電位差には略ノイズのみが含まれており、その他の電位差にはノイズと脳波が含まれている為、差引きするとノイズが消えて脳波のみが残るからである。差分処理された信号を増幅させるプロセスを含めて、これを差動増幅といい、略すべての脳波計測に用いられている方法である。(以下、一方の耳朶に基準電極を配置し、もう一方の耳朶と後頭部に電極を配置した例にて説明する)
この差動増幅を行ったあと、通常は脳波の周波数帯域である4Hzから30Hz以外の周波数成分を除去すべく、計測された信号をアナログフィルタあるいはデジタルフィルタにかけて測定対象である脳波を抽出する。
しかし、前記の差動増幅手法においては、両耳朶間とその他の部位間のインピーダンスが同じである場合のみに効果があり、インピーダンス差があればノイズが残ってしまう。すなわち(差動増幅による計測値)=(基準電極と後頭部間インピーダンス×基準電極と後頭部間電位差)−(両耳朶間インピーダンス×両耳朶間電位差)という計算式が成立している。
そこで、医療現場などでは、電極を貼り付ける前に頭皮や耳朶をガーゼなどで擦って角質を削る事により、両方のインピーダンスを下げる事を行う。この処理を行うとインピーダンスは5キロオーム程に低下するが、これを行わない場合は1メガオーム以上である事も珍しくない。但し、この処理には非常に手間がかかってしまう。
では、この角質を削る処理をしなかった場合どうなるかというと、例えば、基準電極と後頭部間のインピーダンスが1メガオームで両耳朶間のインピーダンスが5キロオームであった場合、両方が5キロオームである場合と比べてノイズの大きさが200倍になってしまう。しかし一般的な脳波計測においては通常ノイズフィルタを使用する為、使用者が静止状態の場合にはそれほど問題にはならない。なぜならば、静止状態の場合は脳波の周波数帯域である4Hzから30Hzにノイズが混入する事は希だからである。(商用電源から混入する50Hz〜60Hzのハムノイズ等は極大化するが、脳波の周波数帯域から外れている為フィルタによる除去は可能。)
しかし、使用者が動作状態にあり、電極が振動している場合は、脳波の周波数帯域に振動ノイズが混入してしまう。図4は脳波計測時に被験者に頭部を振ってもらい振動ノイズを混入させた時の波形である。この振動ノイズの強度は、差動増幅におけるインピーダンス差と比例して大きくなる為、「脳波計電極は簡易装着できず、また動いている人は計測できない」というのが一般的な認識であった。。
この振動ノイズを除去する為に、まず前記の差動増幅回路を2つ作成し、各々を差し引く事によりノイズ除去が可能か否かの検証実験を行った。すなわち計算式は次の通りである。(基準電極と耳朶間電位差−両耳朶間電位差)−(基準電極と頭頂部間電位差−基準電極と側頭部間電位差) もし2つの差動増幅回路に同じ強度の振動ノイズが混入していれば、出力値における振動ノイズは低減するはずである。
この検証実験の際、次の構成による脳波計を作成した。まず脳波のような微弱な信号を計測する為には差動増幅回路としてインスツルメンテーションアンプという回路を用いるのが最も好ましく、本実験ではこのインスツルメンテーションアンプがワンチップ化したICを使用した。またフィルタ部としてはオペアンプと抵抗器とコンデンサによって8次バタワース・ローパスフィルタとCRハイパスフィルタを作成し組み合わせて使用した。また増幅部としては、オペアンプと抵抗器と可変抵抗器から成る非反転増幅器を使用した。またデジタル変換部としてはマイコンが持つ複数のアナログ/デジタル変換器のひとつを使用した。
出力はシリアル通信によりRS232Cケーブルにてパソコンへデータ送信した。パソコンは受信したデータを専用ソフトウェアにより画像表示できるようにした。
信号が通る順番は差動増幅回路、増幅部、フィルタ部、デジタル変換部、パソコンの順とした。これは回路の電源として商用電源を使用するため50Hzから60Hzのハムノイズが混入する事が避けられず、増幅後にフィルタをかける事が有効だからである。
しかし、前記0036の検証実験の結果、振動ノイズは低減しなかった。これは頭部の部位によって振動の強度が違う為である事がわかった。すなわち、頭部を動かす場合、頭部が回転する軸に近ければ振動ノイズは小さく、軸から離れるほど振動ノイズが大きくなる事が推測された。
そこで、差動増幅回路を1つにして被験者7名に対して頭部の回転軸に近い後頭部と頭頂部に皿電極を貼付け、首の縦振りおよび横振りを行った時の脳波を計測した。すなわち計算式は次の通りである(基準電極と後頭部電位差−基準電極と頭頂部電位差)
この実験の結果、被験者7名のいずれにも振動ノイズの低減効果が現れた。(しかし首の縦振りよりも横振りのノイズの方が大きかった。)この事から振動ノイズは頭部の回転軸からの距離に比例して大きくなる事が実証された。
頭部の回転軸は頭部の動き(首の縦振り、横振り、ジャンプ運動など)により異なる為、前記のような単純な差動増幅法では振動ノイズキャンセルは不可能であり、動きに合わせて変動する係数を一方の電位差値に乗算した上で差分処理をする必要がある事が分かった。
しかし、例えば前記0036の2つの差動増幅値のうちの一方に係数を乗算してしまうと脳波信号が歪んでしまい、かと言って前記0041の1つの差動増幅回路における一方の値に係数を乗算してしまうとノイズをも乗算してしまう事となる。
そこで、振動センサを電極に近接配置させ、この振動センサの信号に係数を乗じて脳波信号から減算する事を考えた。なぜならば、振動センサからの信号には脳波が含まれない為、この信号に係数を乗じて脳波信号から減算しても脳波信号は歪まないはずだからである。
該0045の検証実験をするために、先ず電極や振動センサを固定する為の環状フレーム1を作成し、後頭部の頭皮へ電極が当たるようにフック形状をした電極を図1のように環状フレームの内壁に突出配置した。これは脳波の重要な成分であるアルファー波が後頭部から最も大きく出現する為、頭髪をに遮られる事なく簡易に後頭部の頭皮に電極を接地させる為である。
次にクリップの挟み口に電極を取付けたものを2つ作成し、該電極2つにそれぞれ折曲自在な導線の片方の端部を接続し該導線のもう一方の端部を図1および図2のように環状フレーム1に配置した。この電極の1つを基準電極とし、もう一方の電極と後頭部電極を通常の電極として使用する事とした。
この実験に際して振動実験をしやすくする為に前記脳波計を携帯型に改良し、電源として電池を使用した。電子回路の構成は前記0037と同じであるが、信号が通る順番は増幅部とフィルタ部を入れ替えて 差動増幅回路、フィルタ部、増幅部、デジタル変換部、パソコンの順とした。これは電源として電池を使用した為に前記のハムノイズの混入が減少した事とフィルタ部を増幅部の前にもってきた方が計測信号の大きさに対する許容範囲が増えるからである。(増幅部、フィルタの順であればノイズが大きい場合にフィルタの許容範囲を超えてしまう場合がある。)
また、出力は前記0038と同じくシリアル通信としたが、パソコンへのデータ送信は微弱無線器を使用した。これは本携帯型の脳波計を持ち運べるようにする為である。またパソコン側は微弱無線器によりデータが受信できるようし、前記と同じく専用ソフトウェアにより画像表示できるようにした。
次に環状フレーム1の後頭部電極付近に3軸加速度センサを取付け3つの出力端子を結合し前記脳波計の入力端子に接続した。加速度センサからの信号は脳波よりもかなり大きい為、増幅器にてゲイン調整を行った結果、脳波計における振動ノイズ波形と同形状の信号を計測できた。
該0050の結果が確認できた為、次に脳波信号と振動信号の両方を同時計測できるように脳波計を改良した。すなわち脳波計の差動増幅回路とフィルタ部と増幅部を増設し、これらからの信号がマイコンが持つ複数のアナログ/デジタル変換器のもうひとつに入るようにして脳波信号と振動信号の両方を同時計測できるように改良した。また可変抵抗器を使って増幅部による増幅率を手動で変化させる事ができるようにした。
これらの装置を使い、脳波信号と振動信号の両方を同時計測した。すなわち、前記の環状フレーム1を頭部に装着し後頭部電極を後頭部の頭皮に接触させ、2つの耳朶クリップを両耳に挟み、頭部を動かした時の脳波信号および振動信号を同時計測した。
この実験の結果、脳波信号と振動信号において、頭部を動かした時の両者のノイズ信号の出力タイミングと形状が似ていた為、単純に両者を引き算するプログラムを作成し、ノイズが除去できるか否かを検証した。しかし、この検証の結果、単純に両者を引き算するだけではノイズ除去はできない事がわかった。これは両者の信号のタイミングと形状が微妙にずれている為だと判明した。
そこで、脳波信号と振動信号の両方をそれぞれ高速フーリエ変換処理し、そえぞれの周波数帯域別強度を差し引いた結果を波形信号に戻す事を考え、これをプログラム化し、再び検証実験を行った。その結果、それぞれの周波数帯域別強度を差し引いてもリアルタイムの波形に戻す事が出来なかった。これは、高速フーリエ変換の演算結果には時間による波形の位相情報が欠落してしまう為である事が分かった。
そこで次の演算結果を脳波データにおける高速フーリエ変換処理で算出される実数部と虚数部のそれぞれ対応する周波数帯域毎に乗算した。(脳波データにおける周波数帯域別の強度−振動データにおける周波数帯域別の強度×比率係数)/脳波データにおける周波数帯域別の強度
ところが、(脳波データにおける周波数帯域別の強度−振動データにおける周波数帯域別の強度×比率係数)の値が負となる場合があり、このデータを波形に逆変換してもうまくノイズ除去が出来なかった為、負の値をゼロに変換する事とした。
また、今までの実験では、前記比率係数を変動させる代わりに振動センサ側の増幅器を手動で動かしゲイン調整をしていたが、計測データを解析した結果、一定時間における脳波信号と振動信号の最大値と最小値の差の比率から算出可能である事が分かった。すなわち脳波信号と振動信号の強度の差は、それらの信号の最大値と最小値の差と比例する事が分かった。そこで比率係数として「一定時間における(脳波信号の最大値−脳波信号の最小値)/(振動信号の最大値−振動信号の最小値)」を用いる事とした。
これらの改善を行い波形に逆変換した結果、ほぼリアルタイムで振動ノイズが除去された信号を出力する事ができた。図5の(1)(2)は1秒間における脳波信号と振動信号のそれぞれの最大値と最小値の差から比率係数を算出している図であり、この場合の脳波信号の最大値は74、最小値は48、その差は26であり、振動信号の最大値は104、最小値は75、その差は29である事から比率係数は26を29で除した値0.897となる。(図5(1)(2)の縦軸の単位はボルトに比例した電圧値であるがボルトではない。)図5の(3)(4)は脳波信号と振動信号を高速フーリエ変換(FFT変換)し、振動信号の高速フーリエ変換結果に比率係数を乗算している図である。
また図6の(5)は図5の(3)から(4)を差引き、結果が負の場合には零に変換した結果を表し、図6の(6)は図5の(3)を求める過程で算出された実数と虚数に(3)/(5)を乗算し、逆フーリエ変換により波形に戻した結果を表した図である。
また図6の(7)は頭部を静止させて計測した脳波信号であり、図6の(8)は(7)の信号を高速フーリエ変換させた結果の図である。図6の(6)と(7)を比較すると、振動ノイズを除去した脳波波形と振動を与えない脳波波形とがほぼ同様の形状である事がわかり、の(5)と(8)を比較すると、周波数別の強度においても振動ノイズを除去した脳波の周波数別の強度と振動を与えないで計測した脳波の周波数別の強度はほぼ同等である事が分かる。
脳波計測においては、特にアルファー波の周波数帯域である8Hzから13Hzの強度のピーク値が重要な意味を持つが、図6の(6)と(7)を比較すると、アルファー波の強度のピーク値はほぼ同量である事がわかる。この事から、前記の演算方法により脳波の周波数帯域である4Hzから30Hzに混入していた振動ノイズを正確に除去できた事がわかる。
図7は上段の波形が脳波計の電極が検知した振動ノイズを含む脳波信号であり、中段の波形が振動センサーが検知した振動信号であり、下段の波形本発明により振動ノイズを除去した後の脳波振動である。
尚、これらの振動に関する実験の際、頭部に装着したフレーム1が振動する事によって、後頭部電極が頭皮から外れる現象が度々起こった為、電極のインピーダンスを一定周期でチェックする機能を付加する事を考えた。すなわち、電極が頭皮に接地している状態ではインピーダンスは300キロオーム程度であるが、頭皮から外れてしまうと2メガオームを超えてしまう事から、このインピーダンスを計測する事によって電極が外れているか否かを使用者に警告するものである。
そこで、まず10Hz程度の正弦波を10マイクロアンペア程度まで弱め、基準電極−後頭部間、および基準電極−耳朶電極間に流し、その反応をインピーダンス自動ブリッジ回路にて検出する事により基準電極−後頭部間、および基準電極−耳朶電極間のインピーダンスを計測できるようにした。
インピーダンス自動ブリッジ回路にて検出された信号は増幅、フィルタ処理、整流されてマイコンのアナログ/デジタル変換器へ入力され、マイコンはこのデータを演算、出力処理するようにした。さらにマイコンはこれらのインピーダンス計測部の電源を制御する事により、一定周期毎にインピーダンスチェックを行うようにした。フィルタ処理としてデジタル変換後にデジタルフィルタを使用してもかまわず、また信号を整流ぜずに演算によってインピーダンスを計算してもかまわない。
このような構成の耐振動脳波計を作成し計測実験を行った結果、頭部を振っても振動ノイズ混入が少なく安定した計測が行え、しかも簡易装着が可能な脳波計を実現できた。
本発明の実施形態に係る耐振動脳波計の外観および構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る耐振動脳波計の脳波信号と振動信号それぞれの伝達方向を示す図である。 本発明の実施形態に係る耐振動脳波計の演算部の内部構成を表した図である。 脳波計測時に振動ノイズが混入した時の波形を説明した図である。 本発明の実施形態に係る耐振動脳波計の振動ノイズを除去する為の演算式を説明した図である。 本発明の実施形態に係る耐振動脳波計の振動ノイズを除去する為の演算式、及びその効果を説明した図である。 本発明の実施形態に係る耐振動脳波計の効果を示す図である。
1 フレーム
2 電極
3 振動センサ
4 フィルタ部
5 増幅部
6 デジタル変換部
7 フィルタ部
8 増幅部
9 デジタル変換部
10 演算部
11 比率係数演算機能
12 周波数帯域別強度算出機能
13 周波数帯域別強度補正機能
14 逆変換演算機能

Claims (3)

  1. フレーム1と該フレーム1に配置された複数の電極2と前記フレーム1に配置された振動センサ3と前記電極2により検知された信号より電気ノイズ成分を除去するフィルタ部4と該フィルタ部4を通過した信号を増幅する増幅部5と該増幅部5により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部6と前記振動センサ3により検知された信号より電気ノイズ成分を除去するフィルタ部7と該フィルタ部7を通過した信号を増幅する増幅部8と該増幅部8により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部9と該デジタル変換部9および前記デジタル変換部6の出力値から振動ノイズ成分の除去演算を行う演算部10から成る耐振動脳波計。
  2. 頭部に着脱自在な環状のフレーム1と少なくともひとつが該フレームの内壁に突出配置され少なくともひとつが前記フレーム1に折曲自在な導線を介して配置された複数の電極2と該電極2に近接配置あるいは前記フレーム1に固設された振動センサ3と前記電極2により検知された信号のうち略4ヘルツから略30ヘルツ以外の信号を除去するフィルタ部4と該フィルタ部4を通過した信号を増幅する増幅部5と該増幅部5により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部6と前記振動センサ3により検知された信号のうち略4ヘルツから略30ヘルツ以外の信号を除去するフィルタ部7と該フィルタ部7を通過した信号を増幅する増幅部8と該増幅部8により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するデジタル変換部9と該デジタル変換部9および前記デジタル変換部6の出力値から振動ノイズ成分の除去演算を行う演算部10から成り、演算部10はデジタル変換部6およびデジタル変換部9の出力データからそれぞれの一定時間における最大値と最小値の差を求め両者の比率を算出する比率係数算出機能11とデジタル変換部6およびデジタル変換部9のデータの周波数帯域別の強度を算出する周波数帯域別強度算出機能12と該周波数帯域別強度算出機能12によって算出された周波数帯域別強度および前記係数算出機能11によって算出された比率係数によって振動ノイズ成分を除去した周波数帯域別強度を算出する周波数帯域別強度補正機能13と該周波数帯域別強度補正機能13によって補正された周波数帯域別強度を波形データに戻す逆変換演算機能14から成る事を特徴とする耐振動脳波計。
  3. インピーダンスチェック機能を備えた請求項1の耐振動脳波計。
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