JP2011160777A - 高香味釜炒り緑茶及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】釜炒り茶の特有の茶色及び香味を保持しつつ、更なる香気や旨味の増強と、渋味を抑制した、香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】釜炒り茶の製造方法において、製造した荒茶を更に温度100〜140℃、処理時間150〜5分の焙じ工程により処理することにより香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶を製造する。本発明において、釜炒り茶の製造工程において採用される、荒茶の製造のための生茶葉の「釜炒り(殺青)工程」と、製造した荒茶を特定の温度と特定の処理時間によって焙じる「焙じ工程」を組合わせることによって、香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶を製造することができる。本発明の高香味釜炒り緑茶を原料として用いて、旨味の増大と苦味を抑制した容器詰高香味緑茶飲料を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶、及びその製造方法に関する。
従来より、煎茶は、生茶葉を、蒸熱工程(殺青工程)、粗揉工程、揉捻工程、中揉工程、精揉工程、乾燥工程の6つの工程で加工処理して、荒茶を製造し、該荒茶を100〜120℃の熱風(火入れ)により乾燥して製造されている。火入れされた荒茶は、篩分け、切断、合組、火入れ等の工程を経て仕上茶に加工し、緑茶(煎茶)として流通されている。該煎茶の製造工程においては、生茶葉の殺青工程は、水蒸気による蒸し工程により行われている。
また、緑茶の中で焙じ茶は、煎茶の加工工程と同様にして、生茶葉を、蒸熱工程(殺青工程)、粗揉工程、揉捻工程、中揉工程、精揉工程、乾燥工程の6つの工程で加工処理して製造された荒茶を、150〜200℃の温度で焙煎する焙じ工程により、荒茶に色の変化や焙じ香を付与して、その焙煎された香味を味わう茶として製造されている。焙じ茶の製造工程において、生茶葉の殺青工程は、水蒸気による蒸し工程により行なわれている。
また、緑茶の中で釜炒り茶は、生茶葉を、例えば、300℃以上で数分という釜炒り殺青工程に付して、釜炒りし、粗揉工程、揉捻工程、水乾工程、乾燥工程を経て荒茶を製造し、該荒茶を100〜120℃のような熱風(火入れ)により乾燥して釜炒り茶として製造されている。釜炒り茶は、一般の煎茶のように加工初期において蒸工程をとらず、加熱体との接触による伝導加熱により発生する水蒸気の潜熱等を利用して茶葉を殺青し、その後の乾燥処理により乾燥されて製茶される。このような製造工程により、煎じた時の釜炒り茶は、その色が黄金色に映えるとともに、独特の香ばしい釜香が発揮され、更にすっきりした且つ爽快な味が発現する。これは、茶葉に直接作用する熱が比較的高いこと(釜炒り工程における生茶葉に対する伝熱温度は400℃程度になっている場合もある)から、香ばしくていわゆる甘涼しい味わいを発現するアミノ酸と糖との反応であるアミノカルボニル反応が促進されるためと考えられている。
このように、緑茶の製法には、煎茶、焙じ茶、釜炒り茶の製造方法等、各種の製造方法が知られており、該方法によって、煎茶、焙じ茶、釜炒り茶等、それぞれ特徴のある香味や、色の茶が製造されて、提供されている。これらの緑茶の製造方法においては、その基本的な製造工程により、それぞれ独特の香味を持つ茶が製造されているが、該緑茶の製造方法については、幾つかの改良された方法が開示されている。
例えば、釜炒り茶の製造方法については、特開平11−262359号公報には、機密釜で、生葉の投入、生葉の加熱、生ぼけ排出、炒り蒸し、充満蒸気排出、葉振り、取り出しの各工程を順次行って、生茶葉の酸化酵素失活を行う炒り葉工程を経る釜炒り葉又は碾茶の製造方法において、炒蒸しを90秒以上、気密釜の釜温を250〜400℃に制御することにより、栄養分、香気成分に富み、カテキンの溶出量と生理活性の高い釜炒り葉又は碾茶を製造する方法について開示されている。
また、特開2004−194535号公報には、茶生葉を加熱により連続的に炒り葉して酸化酵素の殺青処理を行う連続殺青処理工程と、該工程から連続的に排出される炒り葉を、前工程で発生する葉茎の屑部分、焦げ部分を除去する粉取り工程と、粉取りした炒り葉を連続的に乾燥処理する連続乾燥工程により、焦げ粉末の混入を防止して、釜入り茶独特の香味を活かした新しいタイプの釜炒り茶の製造方法について、特開2006−42678号公報には、釜炒り機と一般的に用いられている煎茶の製茶機械を使用した釜炒り茶の製造方法について開示されている。
更に、特開2007−159510号公報には、生茶葉を炒る殺青工程と、殺青された茶葉から夾雑物を除く粉取り工程と、粉取り工程後の茶葉から易破砕茶葉を除く除去工程と、易破砕茶葉が除去された茶葉を揉み込む揉捻工程とにより、焦げ葉を含む易破砕茶葉を完全に除去することにより、品質が向上した荒茶を製造する方法が開示されている。
また、焙じ茶の製造方法については、「新茶業全書」(静岡県茶業会議所編、昭和63年10月1日、第8版、P435)には、焙じ茶の製造方法として、番茶を焙じ機できつね色になるまで強火で焙じることが記載されているが、例として、焙じ機で、約200℃の温度で焙じ香が生成するまで加熱する製造方法が開示されている。また、特開平10−248545号公報には、振動焙煎機内へ熱風を供給させて、デッキ上で焙じ茶原料葉の焙煎を行わせ、熱風排風機に、焙煎後の熱風を振動焙煎機外へ排出させるようにした焙じ茶製造装置を用いて、少量の焙じ茶原料葉を個人の好みに応じて焙煎し、香りを楽しむようにした焙じ茶製造装置について開示されている。
このように、従来より、焙じ茶、釜炒り茶等の製造について、幾つかの改良された方法が開示されているが、これまでに開示された釜炒り茶等の製造方法や製造装置の改良は、いずれも荒茶と呼ばれる半加工状態の茶葉を製造する方法に限ったものとなっている。
一方で、近年、煎茶としての利用が主であった茶の消費形態が変化し、ティーバッグや、容器詰め飲料製造のための茶原料或いは食品添加物としての茶の需要が増大した。このような茶の利用形態においては、従来の煎茶の製造において重要であった、製品茶葉の形状を整えるという必要が必ずしも必要でなくなったため、茶の利用形態に即した、従来の煎茶の加工工程にこだわらない新しい製茶機の開発が行われている。例えば、特公平05−70410号公報には、収穫した茶葉類を、適宜の加熱手段によって表面温度150〜250℃に加熱され、同一表面速度で互いに圧接し、互いに反対方向に回転する2個のローラーの系合面間に供給把持せしめ、茶葉類を高温高圧下に、数秒以下の極短時間熱処理を施し、把持圧から解放することによって急冷、乾燥せしめ、次いで、粉砕機で微粉末にすることにより、飲用或いは飲食品等の添加物として利用できる粉末茶類を短時間で製造する方法が開示されている。
また、最近、従来の複数の工程を複数の機械を用いて行なわれた緑茶等の加工を一台の機械で行うオールインワン製茶機の開発がおこなわれている(農業機械学会、第57回大会、講演要旨集、p195-196、平成10年4月;特開平11−169076号公報)。この製茶機は、その少なくとも一方を通気可能な状態として張設したベルトと該ベルトの一部に圧接するドラムと、前記ベルトとドラムを駆動するための駆動手段と、前記ベルトとドラムを加熱する加熱手段とより構成され、ベルトとドラムの間に茶葉を投入し、加熱、圧接することにより、ベルトと圧接するドラム間で茶葉を熱伝導加熱乾燥を行い、短時間の機械の操作で乾燥茶葉を製造する製茶装置となっている。
このように、近年の茶の消費形態の変化により、容器詰め飲料製造のための茶原料或いは食品添加物としての茶の需要が増大し、そのような容器詰め飲料製造等に向けた技術による茶原料の製造が行われているが、香味に優れた容器詰め茶飲料の製造のためには、該容器詰め茶飲料製造のための原料として適用できる優れた品質の茶原料の更なる開発が望まれているところである。
特公平05−70410号公報 特開平11−169076号公報 特開平11−262359号公報 特開2004−194535号公報 特開2006−42678号公報 特開2007−159510号公報 特開平10−248545号公報
「新茶業全書」(静岡県茶業会議所編、昭和63年10月1日、第8版、P435)。 農業機械学会、第57回大会、講演要旨集、p195-196。
本発明の課題は、黄金色に映える茶色とともに、独特の香ばしい釜香が発揮され、更にすっきりした且つ爽快な味を発現する釜炒り茶の特有の茶色及び香味を保持しつつ、更なる香気や旨味の増強と、渋味を抑制した、香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶、及びその製造方法を提供すること、更には、該高香味釜炒り緑茶を原料として用いて、旨味の増大と苦味を抑制した容器詰高香味緑茶飲料の製造方法を提供することからなる。
本発明者は、上記課題を解決すべく、独特の茶色と、香ばしい釜香、及び、すっきりした且つ爽快な味を有する釜炒り茶の特有の茶色及び香味を生かしつつ、該釜炒り茶に、更なる香気や旨味の増強と、渋味の抑制とにより、高香味の釜炒り緑茶を製造する方法について鋭意検討する中で、釜炒り茶の製造工程において、荒茶の製造のための生茶葉の釜炒り(殺青)工程と、製造した荒茶の特定温度及び特定処理時間による焙じ工程とを組合わせることにより、釜炒り茶に更なる香気や旨味の増強と、渋味の抑制とを行うことができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、生茶葉を、釜炒り殺青工程を含む製茶工程により、更に、必要に応じて粗揉工程、揉捻工程、中捻工程、乾燥工程により処理し、荒茶を製造する釜炒り茶の製造方法において、製造した荒茶を更に温度100〜140℃、処理時間150〜5分の焙じ工程により処理することにより香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶を製造することからなる。本発明の高香味釜炒り緑茶の製造方法において、香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶を製造するという効果は、例えば、300℃以上で数分という、通常、釜炒り茶の製造工程において採用される、荒茶の製造のための生茶葉の「釜炒り(殺青)工程」における処理と、製造した荒茶を本発明で特定する特定の温度と特定の処理時間によって焙じる「焙じ工程」における処理とを組合わせることによって得ることができる。例えば、該釜炒り殺青工程に代えて、煎茶の製造工程や、焙じ茶の製造工程における蒸熱による生茶葉の殺青工程によっては、本発明における焙じ工程と組合わせても、本発明におけるような香気及び旨味が得られず、加えて、渋味の抑制も不十分で、本発明におけるような香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶を製造することはできない。
本発明の高香味釜炒り緑茶の製造方法において、荒茶の温度100〜140℃による処理時間は、100℃における150分を上限とし、140℃における5分を下限として、処理温度に対応して適性処理時間が選択される。なお、荒茶の温度100〜140℃による処理時間としては、100℃における90分を上限とし、140℃における10分を下限として、処理温度に対応して適性処理時間を選択することが特に好ましい。本発明の高香味釜炒り緑茶の製造方法において、荒茶の温度100〜140℃に対応した適性処理時間の選択は、次のような指標により選択される:すなわち、製造された茶葉3gを180ccの熱湯で3分間抽出した際の水色が、ミノルタ(株)製測色装置CM−3500dを用いて光路長10mmの透過光による色度測定で赤緑色度が7〜20、黄青色度が65〜80、かつ、彩度が65〜80であることを指標として選択される。
本発明の高香味釜炒り緑茶において、香気及び旨味の増大は、緑茶に含まれるピラジン、フルフラールの増大として特徴づけられる。また、本発明の高香味釜炒り緑茶において、苦味の抑制は、苦味を有するアミノ酸類及び/又は苦味を有するカテキン類の減少として特徴づけられる。
本発明は、本発明の釜炒り緑茶の製造方法により製造される香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶を包含する。また、本発明は、該高香味釜炒り緑茶を、茶飲料製造原料として用い、旨味の増大と苦味を抑制した容器詰高香味緑茶飲料を製造する方法を包含する。
すなわち、具体的には本発明は、(1)生茶葉を、釜炒り殺青工程を含む製茶工程により処理し、荒茶を製造する釜炒り茶の製造方法において、製造した荒茶を更に温度100〜140℃、処理時間150〜5分の焙じ工程により処理することを特徴とする香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶の製造方法や、(2)荒茶の温度100〜140℃による処理時間が、100℃における150分を上限とし、140℃における5分を下限として、処理温度に対応して適性処理時間が選択されることを特徴とする上記(1)記載の香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶の製造方法からなる。
また、本発明は、(3)荒茶の温度100〜140℃による処理時間が、100℃における150分を上限とし、140℃における5分を下限として、処理温度に対応した適性処理時間の選択が、指標として製造された茶葉3gを180ccの熱湯で3分間抽出した際の水色が、ミノルタ(株)製測色装置CM−3500dを用いて光路長10mmの透過光による色度測定で赤緑色度が7〜20、黄青色度が65〜80、かつ、彩度が65〜80であるように選択されることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶の製造方法や、(4)苦味の抑制が、苦味を有するアミノ酸類及び/又は苦味を有するカテキン類の減少であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶の製造方法からなる。
更に、本発明は、(5)上記(1)〜(4)のいずれか記載の釜炒り緑茶の製造方法により製造されることを特徴とする香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶や、(6)上記(5)記載の釜炒り緑茶を、茶飲料製造原料として用いることを特徴とする旨味の増大と苦味を抑制した容器詰高香味緑茶飲料の製造方法からなる。
本発明は、特徴のある茶色と、独特の香ばしい釜香を有し、すっきりした且つ爽快な味を発現する釜炒り茶の特有の茶色及び香味を保持しつつ、更なる香気や旨味の増強と、渋味を抑制した高香味釜炒り緑茶を提供する。更に、該高香味釜炒り緑茶は、止渇性が求められる容器詰め茶飲料の原料として特に適しており、該釜炒り緑茶を原料として用いて、旨味の増大と苦味を抑制した容器詰高香味緑茶飲料を提供する。
本発明は、生茶葉を、釜炒り殺青工程を含む製茶工程により、更に、必要に応じて、粗揉工程、揉捻工程、中捻工程、乾燥工程により処理し、荒茶を製造する釜炒り茶の製造方法において、製造した荒茶を更に温度100〜140℃、処理時間150〜5分の焙じ工程により処理することにより香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶を製造することからなる。
本発明において用いられる茶葉は特に限定されないが、Camellia sinensis var. sinensisの他にも、Camellia sinensis var. assamica等を用いることができる。本発明において、生茶葉を、釜炒り殺青工程、粗揉工程、揉捻工程、中捻工程、乾燥工程により処理し、荒茶を製造する工程は、通常の釜炒り茶の製造工程で、荒茶の製造に採用される処理及び処理条件を用いて行うことができる。すなわち、殺青工程に直火加熱を用い、釜炒り或いはこれに類する方法で殺青処理を行うことができる。釜炒りとは、200℃以上で3分以上の間、鉄釜などを用いて生茶葉を焙煎することであり、本発明において好ましい条件は、200〜380℃、3〜15分である。
釜炒り茶の製造工程において、荒茶の製造工程としては、釜炒りの他に、揉念、乾燥により構成される。揉念とは、揉念機を用いて20〜60分間茶葉を加圧しながら揉む操作であり、乾燥とは熱風により水分含量を5%程度以下にすることである。煎茶のように、蒸し茶の製造における荒茶の製造工程は、一般的に、蒸機、粗揉機、揉念機、水乾機、精揉機、乾燥機により構成される工程により行われている。荒茶はクリーニングや外観を整えた後に、熱風を用いた再乾燥や再火入れを行う仕上工程を経て仕上茶となる。
本発明で行われる「焙じ工程」とは、焙じ機で荒茶を焙煎することであり、焙じ香を付与すること等が目的であるが、本発明の茶を得るためには、例えば100℃で焙じ処理する場合は90〜150分、120℃で焙じ処理する場合は30〜90分、140℃で焙じ処理する場合は5〜20分が好ましい。さらに好ましい態様としては、100℃で焙じ処理する場合は100〜140分、120℃で焙じ処理する場合は45〜75分、140℃で焙じ処理する場合は10〜15分である。100℃以上140℃以下での焙じ処理であれば本発明の茶を得ることができ、上記(100、120、140℃)以外の温度で焙じ処理する場合は、抽出液の水色が後述する範囲となり、発明の効果を発揮する茶を得られるように、焙じ処理時間を設定することができる。一方、本発明の焙じ処理において、100℃未満で処理すると、長時間を要するため、製造適性の側面から好ましくない。また、140℃を超える温度で処理すると、短時間で焦げてしまうため、製造上のハンドリングが困難であり好ましくない。
本発明に用いられる加熱装置は、直火加熱或いは間接加熱のどちらでもよく、熱風式火入機や回転ドラム式火入機の他、マイクロ波、遠赤外線、加熱水蒸気などを利用してもよい。本発明の高香味釜入り緑茶の製造方法により、従来の釜入り緑茶に加えて、更なる香気成分や旨味成分の増大を図ることができ、本発明における釜炒り焙じ茶は、香味成分として、ピラジンやフルフラール等を比較的高濃度に含む釜入り緑茶として特徴づけることができる。本発明の高香味釜炒り緑茶において、苦味の抑制は、苦味を有するアミノ酸類及び/又は苦味を有するカテキン類の減少として特徴づけられる。苦味を有するアミノ酸類としては、アルギニン、メチオニン、バリン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシンなどが知られている。強い苦味を有する代表的なカテキン類として、エピガロカテキンガレートが知られている。
本発明において、焙じ工程の荒茶の処理温度に対応する処理時間の選択において、指標として採用されている「水色」とは、湯を用いて茶を一定時間浸出した後、茶滓を取り除いて直ぐの浸出液の色のことである。具体的には、茶葉3gを180ccの熱湯で3分間抽出して茶滓を取り除き抽出液を得て、これをミノルタ(株)製測色装置CM−3500dを用いて、光路長10mmの透過光による測定を行なう。この時、a(色度)とは、(+)赤−(−)緑、b(色度)とは(+)黄−(−)青、c(彩度)とは(+)鮮やか−(−)くすんだ、を示す指標である。本発明においては、a(赤緑)色度が7〜20、b(黄青)色度が65〜80、かつc(彩度)が65〜80であることが好ましく、さらに好ましくは、a(赤緑)色度が10〜15、b(黄青)色度が70〜75、かつc(彩度)が70〜75である。
本発明の高香味釜炒り緑茶は、その優れた香気と旨味、及び抑制された渋味を有するという特性から、そのまま飲用に、或いは、飲食品添加原料として飲食品製造における香味付与に用いることができる。特に、該高香味釜炒り緑茶を緑茶飲料の製造原料として用いて、香味豊かな容器詰め飲料を提供することができる。すなわち、本発明の高香味釜炒り緑茶は、定法により急須で浸出して、そのまま飲用するのもよいし、抽出、濾過、滅菌の他、UHT殺菌やレトルト殺菌等の加熱殺菌処理を加えてから容器詰め飲料を調製した後に飲用してもよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例によって限定されるものではない。
[測定;評価]
本発明の実施例及び比較例における試験で、該試験における測定、評価は以下のようにして行った。
<タンニン値の測定>:タンニン値の測定は、酒石酸鉄法で行なった。
<香気成分の測定>:香気成分の測定は、GCMSで行なった。
<官能評価に用いられる評価項目>:本発明の官能評価に用いられる評価項目において、「香ばしさ」とは浸出液を口に含んだ直後に感じる火香のことであり、「スッキリ感」とは浸出液を口に含み飲み込んだ際の喉通り、「苦渋み」とは口に含んだ際に感じる苦渋み、「余韻」とは飲み込んだ後に口の中に残る香り、のことをそれぞれ指す。
<官能評価の要領>:官能評価は以下の要領にて行った:1点から5点の間で評価を行なった。
「香ばしさ」:香ばしさをとても強く感じる−5点、香ばしさを強く感じる−4点、香ばしさを感じる−3点、香ばしさを少し感じる−2点、まったく香ばしさを感じない−1点。
「スッキリ感」:とてもスッキリしている−5点、スッキリしている−4点、ややスッキリしている−3点、スッキリしていない−2点、まったくスッキリしていない−1点。
「苦渋み」:まったく苦渋みを感じない−5点、苦渋みを少ししか感じない−4点、苦渋みを感じる−3点、苦渋みを強く感じる−2点、苦渋みをとても強く感じる−1点。
「余韻」:余韻をとても強く感じる−5点、余韻を強く感じる−4点、余韻を感じる−3点、余韻を少し感じる−2点、まったく余韻を感じない−1点。
水色の評価については、目視にて行なった。
[比較例1]
<方法>
釜炒り茶及び蒸し茶の荒茶を3g計り取り、180ccの熱湯で3分間浸出して浸出液を得た。浸出液は実施例1〜3についても同様な方法で得た。水色の評価および官能評価は茶専門パネリストによって行った。評価サンプルは釜炒り茶及び蒸し茶の荒茶とした。なお、釜炒り茶の釜炒り温度は300℃、時間は7分間に設定した。結果を、表1に示す。
Figure 2011160777
[実施例1]
<方法>
評価サンプルは、比較例1に記載した釜炒りおよび蒸し茶の荒茶を用いて、100℃で60分、120℃で60分、及び140℃で15分間焙煎したものを用いた。なお、浸出液の取得方法、官能評価は比較例1に記載の方法で実施した。結果を、表2に示す。
Figure 2011160777
[実施例2]
<方法>
茶色の測定には、ミノルタ(株)製測色装置CM−3500dを用いた。測定方法はミノルタ(株)指定の方法に準じ光路長10mmの透過光による測定を行なった。サンプルの測定は各3回づつ行い平均値を算出した。評価サンプルは比較例1に記載した釜炒り茶の荒茶及び蒸し茶の荒茶を、それぞれ100℃で60分、120℃で60分、及び、140℃で15分間焙煎したものを用いた。なお、浸出液の取得方法、官能評価は比較例1に記載の方法で実施した。結果を表3に示す。
Figure 2011160777
[実施例3]
<方法>
評価サンプルは比較例1に記載した釜炒り茶の荒茶を、100℃で30〜90分、120℃で30〜90分、及び140℃で10〜20分間焙煎したものを用いた。なお、浸出液の取得方法、官能評価は比較例1に記載の方法で実施した。結果を表4に示す。
Figure 2011160777
[実施例4]
<方法>
評価サンプルは、比較例1に記載した釜炒りおよび蒸し茶の荒茶を用いて、100℃で60分、120℃で60分、及び140℃で15分間焙煎したものを用いた。浸出液の取得方法は、茶葉30gを、90℃の900mlの湯で、5分間抽出した後に固液分離を行い浸出液を得た。アミノ酸、カテキンの測定はHPLC法で行なった。なお、カテキンの測定は、GC、EGC、C、EGCg、EC、GCg、ECg、Cgの8種を測定し、8種の合計を総カテキン含量とした。結果を、表5、表6に示す。
Figure 2011160777
Figure 2011160777
本発明により、特徴のある茶色と、独特の香ばしい釜香を有し、すっきりした且つ爽快な味を発現する釜炒り茶の特有の茶色及び香味を保持しつつ、更なる香気や旨味の増強と、渋味を抑制した高香味釜炒り緑茶を提供する。更に、該高香味釜炒り緑茶は、止渇性が求められる容器詰め茶飲料の原料として特に適しており、該釜炒り緑茶を原料として用いて、旨味の増大と苦味を抑制した容器詰高香味緑茶飲料を提供する。

Claims (6)

  1. 生茶葉を、釜炒り殺青工程を含む製茶工程により処理し、荒茶を製造する釜炒り茶の製造方法において、製造した荒茶を更に温度100〜140℃、処理時間150〜5分の焙じ工程により処理することを特徴とする香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶の製造方法。
  2. 荒茶の温度100〜140℃による処理時間が、100℃における150分を上限とし、140℃における5分を下限として、処理温度に対応して適性処理時間が選択されることを特徴とする請求項1記載の香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶の製造方法。
  3. 荒茶の温度100〜140℃による処理時間が、100℃における150分を上限とし、140℃における5分を下限として、処理温度に対応した適性処理時間の選択が、指標として製造された茶葉3gを180ccの熱湯で3分間抽出した際の水色が、ミノルタ(株)製測色装置CM−3500dを用いて光路長10mmの透過光による色度測定で赤緑色度が7〜20、黄青色度が65〜80、かつ、彩度が65〜80であるように選択されることを特徴とする請求項1又は2記載の香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶の製造方法。
  4. 苦味の抑制が、苦味を有するアミノ酸類及び/又は苦味を有するカテキン類の減少であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の釜炒り緑茶の製造方法により製造されることを特徴とする香気及び旨味の増大と苦味を抑制した高香味釜炒り緑茶。
  6. 請求項5記載の釜炒り緑茶を、茶飲料製造原料として用いることを特徴とする旨味の増大と苦味を抑制した容器詰高香味緑茶飲料の製造方法。
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