JP2011160232A - 薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタ - Google Patents

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和樹 岩下
Hiroshi Tsuchiya
博史 土屋
Takuya Maruyama
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Abstract

【課題】スプリアス振動に基づくノイズの発生を抑制し、大きなktを維持しながら高いQ値を有する薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタを提供する。
【解決手段】基板6と、基板上に形成される下部電極8と、基板6と下部電極8との間に形成される空隙または音響反射層と、下部電極上に形成される圧電層2と、圧電層上に形成される上部電極10と、上部電極上に形成される質量負荷層16とを含む薄膜圧電共振器であって、下部電極8と空隙または音響反射層と圧電層2と上部電極10とが重なる振動領域が、質量負荷層16の投影面が形成する領域に内包されており、質量負荷層16の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記上部電極10の端部よりも水平方向に張り出し、前記張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満である薄膜圧電共振器である。
【選択図】図1

Description

本発明は、通信機器の技術分野に属するものであり、薄膜圧電共振器とそれを用いた薄膜圧電フィルタに関する。特に、高い品質係数(Q値)を有するとともにノイズの発生を抑制した薄膜圧電共振器の構造に関するものである。
セルラ電話機のRF回路部には常に小型化が求められる。最近では、セルラ電話機に多様な機能を付与することが要望されており、その実現のためにはできるだけ多くのコンポーネントを組み込むことが好ましい。一方でセルラ電話機の大きさには制約があるので、結局、機器における専有面積(実装面積)及び高さの低減の要求が厳しく、従ってRF回路部を構成するコンポーネントについても専有面積が小さく、高さの低いものが求められている。
このような事情から、RF回路に使用される帯域通過フィルタとして、小型でかつ軽量化が可能である薄膜圧電共振器を用いた薄膜圧電フィルタが利用されるようになっている。前記のような薄膜圧電フィルタは、半導体基板上に上下の電極で挟まれるように窒化アルミニウム(AlN)や酸化亜鉛(ZnO)等の圧電薄膜を形成し、且つ弾性波エネルギーが半導体基板中に漏洩しないように、その直下に空洞(エアーギャップ)を設けた薄膜圧電共振器(Thin Film Bulk Acoustic Resonator:FBAR)からなるRFフィルタである。
図14は、従来の薄膜圧電共振器の一実施形態を示し、図14(a)は、その模式的平面図であり、図14(b)は図14(a)のX−X断面図である。図14の薄膜圧電共振器は、圧電薄膜と、該圧電薄膜を挟むように形成された下部電極および上部電極とを有する。薄膜圧電共振器は、エアーギャップ4を有する基板6と、該基板6の上面上の端縁に周縁部が支持されて吊られた形態の圧電スタック12とを有する。該圧電スタック12は、圧電薄膜(圧電体層)2と該圧電薄膜を挟むように形成された下部電極(下部電極層)8および上部電極(上部電極層)10とからなる。
圧電層2と電極層8、10との積層体から構成される圧電共振器スタック12は、その周縁部で吊られており、その主表面が両方とも空気、その他の周囲ガス、叉は真空と接している。この場合、圧電共振器スタック12はQ値が高い音波共振器を形成する。電極層8,10に加えられる交流信号は、圧電共振器スタック12における音速を該スタック12の重み付き厚さの2倍で割った値に等しい周波数を持つものである。即ち、fr=v/2t(ここで、frは共振周波数であり、vはスタック12内の音速であり、tはスタック12の重み付き厚さである)の場合、その交流信号によって、圧電共振器スタック12が共振する。スタック12を構成する層内における音速が各層を構成する材料ごとに異なるため、圧電共振器スタック12の共振周波数は、物理的厚さではなく、圧電層2や電極層8,10内の音速とそれらの物理的厚みを考慮した重み付き厚さにより決まる。
また、薄膜圧電共振器に要求される重要な性能として品質係数(Q値)、電気機械結合係数(kt)の増大がある。Q値を大きくすることにより、FBARフィルタの挿入損失を小さくすることが可能となる。また、ktは薄膜圧電共振器の共振周波数、反共振周波数の周波数間隔を決定する因子であり、ktが大きくなればFBARフィルタの通過帯域幅を大きくすることが可能となる。
図15は一般的な薄膜圧電共振器のインピーダンス特性図(図15(a))とスミスチャート図(図15(b))である。図中に記載されている共振周波数(fs)におけるインピーダンス(Rs)とQ値(Qs)、反共振周波数(fp)におけるインピーダンス(Rp)とQ値(Qp)が主要な特性因子となる。共振周波数、反共振周波数におけるQ値を大きくするためにはRsを小さく、Rpを大きくすることになる。図15(b)に示すスミスチャート図では、チャート図の左端が共振周波数(fs)になり、チャート図の右端が反共振周波数(fp)になる。fsからfpの周波数帯(チャート図の上半分)において、チャート図の外周円に接するようになるほど薄膜圧電共振器の特性が良好であることになる。薄膜圧電共振器においては、Rsは主として電極の電気抵抗に因るところが大きく、Rpは主として弾性エネルギーの熱的損失と弾性波の振動領域外への漏洩によるエネルギー損失に因るところが大きい。
特許文献1には、AlN薄膜を用いて振動領域の外周部に枠上に上部電極の厚みを増した構造を導入することにより、スプリアス振動の発生を抑制し、Q値に優れる薄膜圧電共振器が得られることが示されている。また、特許文献2には上部電極または下部電極のうちの一方の表面上に位置づけられた環帯とを備え、環帯内の領域は第1の音響インピーダンスを有し、環帯は第2の音響インピーダンスを有し、環帯の外側の領域は第3の音響インピーダンスを有しており、第2の音響インピーダンスは第1および第3の音響インピーダンスより大きい薄膜圧電共振器が示されており、Q値に優れる薄膜圧電共振器が得られることが示されている。
特開2005−236337号公報 特開2006−109472号公報
特許文献1において、1次厚み縦振動の共振周波数は振動領域中心部の一次厚み縦振動の共振周波数とは異なることを意味している。従って、薄膜圧電共振器のRF信号への応答において、本来必要としていない振動領域外周部の1次厚み縦振動によるピークが発生し、フィルタ特性の劣化を招きやすい。さらに、ktが小さくなる。
また、特許文献2においては、特許文献1と同様に、振動領域の外周部の厚みを厚くしており、特許文献1と同様の問題点がある。
以上のように従来技術においては、スプリアス振動に基づくノイズの発生を抑制し、高いQ値と大きなktを有する薄膜圧電共振器を得るという点に関しては、未だ充分ではなく改良の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スプリアス振動に基づくノイズの発生を抑制し、大きなktを維持しながら高いQ値を有する薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタを提供することを目的としている。
本発明は、基板と、前記基板上に形成される下部電極と、前記基板と前記下部電極との間に形成される空隙または音響反射層と、前記下部電極上に形成される圧電層と、前記圧電層上に形成される上部電極と、前記上部電極上に形成される質量負荷層とを含む薄膜圧電共振器であって、薄膜圧電共振器を上から見た場合に、前記下部電極と前記空隙または音響反射層と前記圧電層と前記上部電極とが重なる振動領域が、前記質量負荷層の投影面が形成する領域に内包されており、薄膜圧電共振器を側面から見た場合に、前記質量負荷層の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記上部電極の端部よりも水平方向に張り出し、前記張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満である薄膜圧電共振器に関する。
また、本発明は基板と、前記基板上に形成される下部電極と、前記基板と前記下部電極との間に形成される空隙または音響反射層と、前記下部電極上に形成される圧電層と、前記圧電層上に形成される質量負荷層と、前記質量負荷層上に形成される上部電極とを含む薄膜圧電共振器であって、薄膜圧電共振器を上から見た場合に、前記下部電極と前記空隙または音響反射層と前記圧電層と前記質量負荷層とが重なる振動領域が、前記上部電極の投影面が形成する領域に内包されており、薄膜圧電共振器を側面から見た場合に、前記上部電極の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記質量負荷層の端部よりも水平方向に張り出し、前記張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満である薄膜圧電共振器に関する。
さらに、本発明は、上記の薄膜圧電共振器を用いた薄膜圧電フィルタに関する。
本発明によれば、スプリアス振動に基づくノイズの発生を抑制し、大きなktを維持しながら高いQ値を有する薄膜圧電共振器を得ることができる。さらに、通過帯域内における挿入損失を低減した薄膜圧電フィルタを得ることができる。
本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示すし、(a)は模式的平面図、(b)はX−X断面図、(c)はY−Y断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の振動領域、緩衝領域、および支持領域を示す模式的平面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す、(a)模式的平面図、(b)X−X断面図、(c)Y−Y断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の他の一実施形態を示す、(a)X−X断面図および(b)Y−Y断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の他の一実施形態を示す、(a)X−X断面図および(b)Y−Y断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す、(a)模式的平面図、(b)X−X断面図、(c)Y−Y断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す、(a)模式的平面図、(b)X−X断面図、(c)Y−Y断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の作製方法を段階的に示す断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器を用いたフィルタの一実施形態であるラダー型フィルタの回路を示す図である。 本発明の薄膜圧電共振器を用いたフィルタの一実施形態であるラティス型フィルタの回路を示す図である。 実施例1で得られた本発明の(a)薄膜圧電共振器のインピーダンス特性図および(b)薄膜圧電共振器のスミスチャート図である。 比較例1で得られた本発明の(a)薄膜圧電共振器のインピーダンス特性図および(b)薄膜圧電共振器のスミスチャート図である。 実施例21、比較例10で得られた薄膜圧電フィルタの通過特性を示す図である。 従来技術の薄膜圧電共振器の一実施形態である。(a)は模式的平面図、(b)はX−X断面図、(c)はY−Y断面図である。 (a)一般的な薄膜圧電共振器のインピーダンス特性図、および(b)一般的な薄膜圧電共振器のスミスチャート図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
[第1の形態(上部電極−質量負荷層)]
本発明の薄膜圧電共振器は、基板と、前記基板上に形成される下部電極と、前記基板と前記下部電極との間に形成される空隙または音響反射層と、前記下部電極上に形成される圧電層と、前記圧電層上に形成される上部電極と、前記上部電極上に形成される質量負荷層とを含む薄膜圧電共振器であって、薄膜圧電共振器を上から見た場合に、前記下部電極と前記空隙または音響反射層と前記圧電層と前記上部電極とが重なる振動領域が、前記質量負荷層の投影面が形成する領域に内包されており、薄膜圧電共振器を側面から見た場合に、前記質量負荷層の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記上部電極の端部よりも水平方向に張り出し、前記張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満であることを特徴とする。
図1は本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示し、図1(a)はその模式的平面図であり、図1(b)、(c)は、それぞれ図1(a)のX−X断面図およびY−Y断面図である。本発明の薄膜圧電共振器は、圧電薄膜(圧電層)2と、該圧電薄膜を挟むように形成された下部電極8および上部電極10とからなる。前記圧電薄膜2の前記下部電極8と前記上部電極10に挟まれた部分の外形は楕円形であることが好ましい。ただし、上部電極および下部電極を外部回路に接続するために形成されている導電性の薄膜(接続導体14という)は、これらの形状には含めないものとする。また、接続導体と上部電極または下部電極との境界は、上部電極または下部電極の外形の線を延長することにより求められる。質量負荷層16は、前述のように上部電極上に浮き構造を持つ構成層を形成するために付加されているものであり、また、その材質により厚み方向に見た弾性波エネルギー分布が変化するため、薄膜圧電共振器のQ値およびktが変化する。前記質量負荷層は、ヤング率が1.0×1011N/m以上である材質であることが好ましい。これにより大きなktを維持しながら高いQ値を有する薄膜圧電共振器を得ることができる。また、前記質量負荷層の材質の音響インピーダンスをZ、前記上部電極の材質の音響インピーダンスをZとした場合に、0.3<Z/Z<1.5の関係を満たしていることが好ましい。これにより、大きなktを維持しながら高いQ値を有する薄膜圧電共振器を得ることができる。
振動領域の形状については、特に制限されない。例えば、楕円や多角形ものが挙げられる。多角形については、平行な辺を持たない多角形が好ましい。これは、横音響モードによるノイズの発生を抑制するためである。薄膜圧電共振器を上から見た場合に、前記下部電極と前記空隙または音響反射層と前記圧電層と前記上部電極とが重なる振動領域40が、前記質量負荷層の投影面が形成する領域(40+43)に内包されている。ここで、内包されているとは、図1に示すように振動領域40のすべてが質量負荷層の投影面が形成する領域(40+43)に完全に包含されている場合や、振動領域40の一方の端部が質量負荷層の投影面が形成する領域と重なり合う場合も含む概念である。さらに、振動領域40の投影面が形成する領域は空隙または音響共振器の投影面が形成する領域に内包されていることが好ましい。これは、弾性波エネルギーの漏洩を抑制し高いQ値を維持するとともに、高い電気機械結合係数(kt)を実現できるからである。
薄膜圧電共振器を側面から見た場合に、前記質量負荷層の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記上部電極の端部よりも水平方向に張り出す。これによって、前記質量負荷層の投影面と前記上部電極の投影面とが重なり合わない部分が生じ、質量負荷層の一部が上部電極層から浮いた構造となる。
ここで、質量負荷層の少なくとも一方の端部とは、薄膜圧電共振器を側面から見たときの質量負荷層の2つの先端部のうちの一つをいう。また、前記端部と同じ方向の前記上部電極の端部とは、薄膜圧電共振器を側面から見たときの上部電極の2つの先端部のうちの一つであり、質量負荷層の2つの先端部のうちの一つの端部と同じ方向にあるものをいう。質量負荷層の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記上部電極の端部よりも水平方向に張り出すとは、質量負荷層の端部が上部電極の端部よりも、より外方向に延びていることをいう。
質量負荷層の2つの端部(両端、薄膜圧電共振器上から見た場合には、質量負荷層の外周部のすべてに相当する。)がいずれも、上部電極の端部よりも水平方向に張り出す形態でも良い。
前記張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満である。W値は、好ましくは1以上10μm以下であり、さらに好ましくは1以上8μm以下である。W値が15μm以上になると、Rp値とQ値が小さくなり、実用上好ましくない。ここで、張り出した部分の水平距離(W)とは、図1で示すとおり、質量負荷層の先端部と上部電極の先端部内の距離の差をいう。
上部電極と質量負荷層の水平方向の位置や形状によって、Wは各地点で同じ場合もあるし、異なる場合もある。例えば、Wは各地点で同じ場合とは、上部電極と質量負荷層がともに円形や楕円で、中心点が同じで、上部電極が質量負荷層に内包されているような場合である。また、Wは各地点で異なる場合とは、例えば、上記のケースで中心点が異なるケースや、上部電極が楕円で、質量負荷層が多角形の場合などである。本発明は、側面のいずれの方向から見た場合においても、張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満である。
圧電共振スタック12は、図2に示すように前記下部電極8と前記上部電極10とが前記圧電層2を介して互いに対向している振動領域40と、前記基板6に接する支持領域48と、前記振動領域40と前記支持領域46との間に位置する緩衝領域42とからなることが好ましい。さらに、前記緩衝領域42は、厚み方向に前記質量負荷層16が存在する第1緩衝領域と、前記質量負荷層16が存在しない第2緩衝領域44とからなることが好ましい。本発明の薄膜圧電共振器では、特に、前記緩衝領域は、厚み方向に前記質量負荷層が存在する第1緩衝領域と、前記質量負荷層の存在しない第2緩衝領域からなり、前記質量負荷層が、前記第1緩衝領域において前記圧電層に接しないように存在する。
上記構成において、前記質量負荷層は、前記振動領域における厚みと、前記第1緩衝領域、前記第2緩衝領域および前記支持領域における厚みが同じであることが好ましい。これによれば、スプリアス振動に基づくノイズの発生を抑制し、高いQ値と大きなktを有するとともに、共振周波数における抵抗値が小さい薄膜圧電共振器を提供することができる。
本発明の薄膜圧電共振器の構成および材料は、従来の薄膜圧電共振器と同様な構成および材料を適用することができる。例えば、基板6はシリコン基板、ガリウム砒素基板、ガラス基板などからなるものでよい。圧電薄膜(圧電層)2は、例えば、酸化亜鉛(ZnO)や窒化アルミニウム(AlN)のような薄膜として製造できる圧電材料からなるものが挙げられる。この中で、弾性損失が小さい窒化アルミニウムが好ましい。また、下部電極および上電極は、モリブデン、タングステン、ルテニウム、白金、アルミニウムなどの薄膜として製造できる金属材料からなるものでよい。さらに、質量負荷層は、絶縁材料、道電材料などの薄膜として製造できる材料からなるものでよく、好ましくは金属材料からなるものでよい。質量負荷層の具体的な金属材料としては、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)などが挙げられる。
本発明では、このように、前記振動領域と前記支持領域の間に存在する前記緩衝領域が、厚み方向に前記質量負荷層が存在する第1緩衝領域と、前記質量負荷層の存在しない第2緩衝領域からなり、前記質量負荷層が、前記第1緩衝領域において前記圧電層に接しないように存在することにより、高いQ値と大きなktを有する優れた薄膜圧電共振器が得られる。
図1のような薄膜圧電共振器は、例えば次のように作製することができる。シリコン基板などの半導体基板8上に、スパッタリング法、CVD法等の成膜技術により絶縁層を形成する。絶縁層がSiOからなる場合には熱酸化により絶縁層を形成することも可能である。その後、スパッタリング法、蒸着法などの成膜法により、エッチング液にて容易に溶解する犠牲層を形成し、湿式エッチング、RIE、イオンビームエッチング、リフトオフ法などのパターニング技術を用いて、振動空間4を形成すべき位置に犠牲層を残留させるように、パターニングする。犠牲層としては、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)などの金属またはそれらの酸化物が適当である。その後、スパッタリング法、蒸着法などの成膜方法で下部電極8、圧電層2、上部電極10を成膜するとともに、湿式エッチング、RIE、イオンビームエッチング、リフトオフ法などのパターニング技術を用いて各層をパターニングする。さらに、質量負荷層16を成膜するとともに前記パターニング技術を用いてパターニングする。続いて、湿式エッチングにより、前記上部電極が端面から僅かにエッチングされ、上部電極の外周形状が質量負荷層のそれより僅かに小さくなるようにエッチングを行う。エッチャントとしては上部電極を構成している材質へのエッチング速度が大きく、質量負荷層、圧電層などの他の構成層を形成している材質はエッチングされないエッチェントを選択することが好ましい。これにより、上部電極は端部からエッチングされる。その後、前記パターング技術を用いて、上部電極上面から犠牲層にまで達する貫通孔30を形成した後、該貫通孔30を介して供給されるエッチング液にて犠牲層24を除去する。さらに、絶縁層22のエッチングが可能なエッチング液を選択し、絶縁層をエッチングすることにより、犠牲層と同一パターンで絶縁層をエッチングすることができる。これにより除去された犠牲層及び絶縁層の部分に振動空間4が形成される。
前記上部電極と前記質量負荷層の材質は、異なることが好ましい。また、前記上部電極または前記質量負荷層のうち下位の材質は、上位の材質よりもエッチング速度が大きい材質であることが好ましい。これにより、上部電極または質量負荷層のうち下位の構成層上に浮き構造を持つ上位層を形成する方法として、最終的に除去される構成層を追加するなどの複雑な製造方法を用いる必要が無く、前述のような比較的簡便な手法により目的の構造を形成することができる。
本発明の主要な特徴である質量負荷層の投影面と前記上部電極の投影面とが重なり合わない部分が生じ、質量負荷層の一部が上部電極層から浮いた構造を作製する方法について、図8を用いてより詳細に説明する。図8は本発明の薄膜圧電共振器の作製方法を段階的に示す断面図であり、図1に示すX−X断面図に対応している。図8(a)では、パターニングされた下部電極上に圧電層2が、さらに、圧電層2上に上部電極(10a、10b)がパターニングされた状態を示している。前記上部電極は、10aで示された部分が最終形状となる領域であり、10bは後にエッチング除去される領域を示している。つまり、この段階では、上部電極(10a、10b)は、最終形状より大きめにパターニングされている。その後、(b)に示すように上部電極層(10a、10b)上に質量負荷層(16)を成膜する。さらに、パターニング用レジストを塗布、露光、現像を行い、(c)に示すように、所定形状にパターニングレジストをパター二ングする。其のあと、(d)に示すように、質量負荷層16を上部電極(10a、10b)と同一形状となるように前記エッチング技術を用いてパターニングする。この際のエッチング法としては、RIE、イオンビームエッチングなどのドライエッチング法が所定形状を得やすく好ましい。さらに、上部電極層材質のエッチング速度が大きく、質量負荷層および圧電層をエッチングしないエッチング液を選択し、湿式エッチングを行うことにより、上部電極層が端面からエッチングされる。この際、エッチング時間等を調整し、上部電極の10bの領域がエッチングされるように制御することにより、(f)に示すように質量負荷層が圧電層に接していない構造を作製することができる。
[第2の形態(質量負荷層−上部電極)]
本発明の別の実施形態である薄膜圧電共振器は、基板と、前記基板上に形成される下部電極と、前記基板と前記下部電極との間に形成される空隙または音響反射層と、前記下部電極上に形成される圧電層と、前記圧電層上に形成される質量負荷層と、前記質量負荷層上に形成される上部電極とを含む薄膜圧電共振器であって、薄膜圧電共振器を上から見た場合に、前記下部電極と前記空隙または音響反射層と前記圧電層と前記質量負荷層とが重なる振動領域が、前記上部電極の投影面が形成する領域に内包されており、薄膜圧電共振器を側面から見た場合に、前記上部電極の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記質量負荷層の端部よりも水平方向に張り出し、前記張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満であることを特徴とする。第2の実施形態は、第1の実施形態の上部電極と質量負荷層の上下の位置が反対である。
振動領域の形状については、特に制限されない。例えば、楕円や多角形ものが挙げられる。多角形については、平行な辺を持たない多角形が好ましい。これは、横音響モードによるノイズの発生を抑制するためである。薄膜圧電共振器を上から見た場合に、前記下部電極と前記空隙または音響反射層と前記圧電層と前記質量負荷層とが重なる振動領域40が、前記上部電極の投影面が形成する領域(40+43)に内包されている。ここで、内包されているとは、図1に示すように振動領域40のすべてが上部電極の投影面が形成する領域(40+43)に完全に包含されている場合や、振動領域40の一方の端部が上部電極の投影面が形成する領域と重なり合う場合も含む概念である。さらに、振動領域40の投影面が形成する領域は空隙または音響共振器の投影面が形成する領域に内包されていることが好ましい。これは、弾性波エネルギーの漏洩を抑制し高いQ値を維持するとともに、高い電気機械結合係数(kt)を実現できるからである。
薄膜圧電共振器を側面から見た場合に、前記上部電極の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記質量負荷層の端部よりも水平方向に張り出す。これによって、前記上部電極の投影面と質量負荷層の投影面とが重なり合わない部分が生じ、上部電極層の一部が質量負荷層から浮いた構造となる。
ここで、上部電極の少なくとも一方の端部とは、薄膜圧電共振器を側面から見たときの上部電極の2つの先端部のうちの一つをいう。また、前記端部と同じ方向の前記質量負荷層の端部とは、薄膜圧電共振器を側面から見たときの質量負荷層の2つの先端部のうちの一つであり、前記上部電極質量負荷層の2つの先端部のうちの一つの端部と同じ方向にあるものをいう。上部電極の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記質量負荷層の端部よりも水平方向に張り出すとは、上部電極の端部が質量負荷層の端部よりも、より外方向に延びていることをいう。
上部電極の2つの端部(両端、薄膜圧電共振器上から見た場合には、上部電極の外周部のすべてに相当する。)がいずれも、質量負荷層の端部よりも水平方向に張り出す形態でも良い。
前記張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満である。W値は、好ましくは1以上10μm以下であり、さらに好ましくは1以上8μm以下である。W値が15μm以上になると、Rp値とQ値が小さくなり、実用上好ましくない。ここで、張り出した部分の水平距離(W)とは、図1で示すとおり、上部電極の先端部と質量負荷層の先端部内の距離の差をいう。
質量負荷層と上部電極の水平方向の位置や形状によって、Wは各地点で同じ場合もあるし、異なる場合もある。例えば、Wは各地点で同じ場合とは、質量負荷層と上部電極とがともに円形や楕円で、中心点が同じで、質量負荷層が上部電極に内包されているような場合である。また、Wは各地点で異なる場合とは、例えば、上記のケースで中心点が異なるケースや、質量負荷層が楕円で、上部電極が多角形の場合などである。本発明は、側面のいずれの方向から見た場合においても、張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満である。
図3は本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示し、図3(a)はその模式的平面図であり、図3(b)、(c)は図3(a)のX−X断面図およびY−Y断面図である。本発明の薄膜圧電共振器は、圧電薄膜(圧電層)2と、圧電層上に設けられた質量負荷層16と、圧電薄膜及び質量負荷層を挟むように形成された下部電極8および上部電極10とからなる。前記圧電薄膜2の前記下部電極8と前記質量負荷層16に挟まれた部分の外形は楕円形である。ただし、上部電極および下部電極を外部回路に接続するために形成されている導電性の薄膜(接続導体14という)は、これらの形状には含めないものとする。また、接続導体と上部電極または下部電極との境界は、上部電極または下部電極の外形の線を延長することにより求められる。
図3の実施形態における圧電共振スタック12は、前記下部電極8と前記質量負荷層16とが前記圧電層2を介して互いに対向している領域を振動領域40としており、この点が図1の実施形態とは異なる。また、本実施形態における圧電共振スタックは、さらに前記基板6に接する支持領域46と、前記振動領域40と前記支持領域46との間に位置する緩衝領域42とからなり、前記緩衝領域42は、厚み方向に前記上部電極10が存在する第1緩衝領域43と、前記上部電極10が存在しない第2緩衝領域44とからなることが好ましい。本発明の薄膜圧電共振器では、特に、前記緩衝領域は、厚み方向に前記上部電極が存在する第1緩衝領域と、前記上部電極の存在しない第2緩衝領域からなり、前記上部電極が、前記第1緩衝領域において前記圧電層に接しないように存在する。
本発明の薄膜圧電共振器の構成および材料は、従来の薄膜圧電共振器と同様な構成および材料を適用することができる。例えば、基板6はシリコン基板、ガリウム砒素基板、ガラス基板などからなるものでよい。圧電薄膜(圧電層)2は、例えば、酸化亜鉛(ZnO)や窒化アルミニウム(AlN)のような薄膜として製造できる圧電材料からなるものでよく、好ましくは弾性損失が小さい窒化アルミニウムが好ましい。また、下部電極および上部電極は、モリブデン、タングステン、ルテニウム、白金、アルミニウムなどの薄膜として製造できる金属材料からなるものでよい。さらに、質量負荷層は、絶縁材料、導電材料などの薄膜として製造できる材料からなるものでよく、好ましくは金属材料からなるものでよい。
本発明では、このように、前記振動領域と前記支持領域の間に存在する前記緩衝領域が、厚み方向に前記上部電極が存在する第1緩衝領域と、前記上部電極の存在しない第2緩衝領域からなり、前記上部電極が、前記第1緩衝領域において前記圧電層に接しないように存在することにより、高いQ値と大きなktを有する優れた薄膜圧電共振器が得られる。
図3のような薄膜圧電共振器は、例えば次のように作製することができる。シリコン基板などの半導体基板8上に、スパッタリング法、CVD法等の成膜技術により絶縁層を形成する。絶縁層がSiOからなる場合には熱酸化により絶縁層を形成することも可能である。その後、スパッタリング法、蒸着法などの成膜法により、エッチング液にて容易に溶解する犠牲層を形成し、湿式エッチング、RIE、イオンビームエッチング、リフトオフ法などのパターニング技術を用いて、振動空間4を形成すべき位置に犠牲層を残留させるように、パターニングする。犠牲層としては、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)などの金属またはそれらの酸化物が適当である。その後、スパッタリング法、蒸着法などの成膜方法で下部電極8、圧電層2、質量負荷層16を成膜するとともに、湿式エッチング、RIE、イオンビームエッチング、リフトオフ法などのパターニング技術を用いて各層をパターニングする。さらに、上部電極10を成膜するとともに前記パターニング技術を用いてパターニングする。続いて、湿式エッチングにより、前記質量負荷層が端面から僅かにエッチングされ、質量負荷層の外周形状が上部電極のそれより僅かに小さくなるようにエッチングを行う。エッチャントとしては質量負荷層を構成している材質へのエッチング速度が大きく、上部電極層、圧電層などの他の構成層を形成している材質はエッチングされないエッチェントを選択することにより、質量負荷層は端部からエッチングされる。その後、前記パターング技術を用いて、上部電極上面から犠牲層にまで達する貫通孔18を形成した後、該貫通孔18を介して供給されるエッチング液にて犠牲層を除去する。さらに、絶縁層のエッチングが可能なエッチング液を選択し、絶縁層をエッチングすることにより、犠牲層と同一パターンで絶縁層をエッチングすることができる。これにより除去された犠牲層及び絶縁層の部分に振動空間4が形成される。
[第3の形態(音響反射層)]
図4は、本発明の薄膜圧電共振器の他の実施形態を示す断面図である。本実施形態においては、エアーギャップ4の代わりに、音響反射層22を設けている点がこれまでの態様とは異なる。尚、図4においては、上部電極の上部に質量負荷層を設けている(図1に対応)が、質量負荷層の上部に上部電極を設ける(図3に対応)構成とすることができる。
図4に示すような薄膜圧電共振器は、例えば次のようにして作製することができる。シリコン基板などの基板6上にスパッタリング法、蒸着法、CVD法などの成膜技術、または熱酸化法により絶縁層を形成した後、湿式エッチング等の技術により絶縁層および基板6にピット部を形成した後、前述の成膜技術により音響反射層34を形成する。その後、CMP法などの平坦化技術により基板上の絶縁層および音響反射層34の全体表面を平坦化し、ピット部内にのみ音響反射層34が堆積された形態とする。音響反射層34において、低インピーダンス層としてSiOやAlNなどの音響インピーダンスの小さな材料が好ましく、高インピーダンス層としてはMo、W、Taなどの音響インピーダンスの大きな材料が好ましい。音響反射層22は、低インピーダンス層と高インピーダンス層とを、それぞれの厚みが弾性波の4分の1波長に相当するように交互に積層することにより、作製される。スパッタリング法、蒸着法などの成膜方法で下部電極8、圧電層2、上部電極10を成膜するとともに、湿式エッチング、RIE、リフトオフ法などのパターニング技術を用いて各層をパターニングする。さらに、質量負荷層16を前述の成膜技術で成膜するとともに、前述のパターニング技術を用いてパターニングする。その後、湿式エッチングにより、前記上部電極が端面から僅かにエッチングされ、上部電極の外周形状が質量負荷層のそれより僅かに小さくなるようにエッチングを行う。
[第4の形態(誘電体層)]
本発明における薄膜圧電共振器は、図5に示すように、下部電極の下側に誘電体層18を、上部電極の上面に誘電体層20を有した実施形態もある。下部誘電体層22及び上部誘電体層24としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸窒化アルミニウム(AlOxNy(ここで、x及びyは例えば、0.9<x<1.4、0.1<y<0.5を満たす。))、窒化ケイ素(Si)、およびサイアロン(SiAlON)などの比較的弾性率の大きな材料からなるものが好ましく、これらからなる群より選択される少なくとも一種の材質を主成分とする誘電体層から形成されることが好ましい。その他は図1と同様であり、同様の方法にて作製する。尚、図5においては、上部電極の上部に質量負荷層を設けている(図1に対応)が、質量負荷層の上部に上部電極を設ける(図3に対応)構成とすることができる。また、エアーギャップ4の代わりに、音響反射層22を設けることもできる。
図5に示す下部誘電体層22および/又は上部誘電体層24を有した薄膜圧電共振器であっても、図1から図4までのそれぞれの実施形態の薄膜圧電共振器と同様に、高いQ値と大きなktを有する薄膜圧電共振器を得ることができる。さらに、下部誘電体層22および/又は上部誘電体層24を設けることにより、下部電極8および/又は上部電極10を保護することができる。
[第5の形態(質量負荷層の拡張)]
本発明における薄膜圧電共振器は、図6に示すように、振動領域、緩衝領域および支持領域にまで質量負荷層を拡張した実施形態もある。質量負荷層16が金属材料からなる場合には、緩衝領域および支持領域上に質量負荷層16を拡張することにより、接続導体14における電気抵抗を小さくすることが可能となり、薄膜圧電共振器の共振周波数におけるインピーダンス(Rs)を小さくでき、Q値(Qs)を大きくできる。エアーギャップ4の代わりに、音響反射層22を設けることもできる。
[第6の形態(環帯構造)]
本発明における薄膜圧電共振器は、図7に示すように、振動領域の外周部に凸状の環帯構造を設けた実施形態もある。環帯物が、前記上部電極または前記質量負荷層のうち上位にある上部電極または質量負荷層の上部に形成される。振動領域の外周部に凸状の環帯構造を設けることにより、反共振周波数(fp)におけるQ値がさらに大きくなり好ましい。より好ましくは、環帯物は振動領域の外周に沿って形成され、その幅は3μm以下とすることができる。また、環帯部中心側端面がスロープ形状とすることにより、共振周波数近傍のノイズが低減され好ましい。より好ましくは、基板の上面に対するスロープの角度が60°以下とすることができる。エアーギャップ4の代わりに、音響反射層22を設けることもできる。
図7のような薄膜圧電共振器は、例えば次のように作製することができる。シリコン基板などの半導体基板8上に、スパッタリング法、CVD法等の成膜技術により絶縁層を形成する。絶縁層がSiOからなる場合には熱酸化により絶縁層を形成することも可能である。その後、スパッタリング法、蒸着法などの成膜法により、エッチング液にて容易に溶解する犠牲層を形成し、湿式エッチング、RIE、リフトオフ法などのパターニング技術を用いて、振動空間4を形成すべき位置に犠牲層を残留させるように、パターニングする。犠牲層としては、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)などの金属またはそれらの酸化物が適当である。その後、スパッタリング法、蒸着法などの成膜方法で下部電極10、圧電層2、上部電極12を成膜するとともに、湿式エッチング、RIE、リフトオフ法などのパターニング技術を用いて各層をパターニングする。さらに、質量負荷層16を成膜するとともに前記パターニング技術を用いてパターニングする。続いて、湿式エッチングにより、前記上部電極が端面から僅かにエッチングされ、上部電極の外周形状が質量負荷層のそれより僅かに小さくなるようにエッチングを行う。さらに、凸状の環帯構造となる層を、前記製膜技術を用いて成膜するとともに、前記パターニング技術を用いてパターニングする。この際、環帯部の中心側端面がスロープ状になるようにパターニング条件を制御することが好ましい。その後、前記パターング技術を用いて、上部電極上面から犠牲層にまで達する貫通孔18を形成した後、該貫通孔18を介して供給されるエッチング液にて犠牲層を除去する。さらに、絶縁層のエッチングが可能なエッチング液を選択し、絶縁層をエッチングすることにより、犠牲層と同一パターンで絶縁層をエッチングすることができる。これにより除去された犠牲層及び絶縁層の部分に振動空間4が形成される。
上記においては、さまざまな実施形態を説明した。本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
[薄膜圧電フィルタ]
本発明の薄膜圧電共振器を複数使用することによって、通過帯域での挿入損失を低減した薄膜圧電フィルタを構成することができる。薄膜圧電フィルタの実施形態としては、図9に示す薄膜圧電共振器をラダー型に配置したフィルタ、図10に示す薄膜圧電共振器をラティス型に配置したフィルタがあるが、これに限定されるものではない。
図9に示したラダー型フィルタは、入出力ポートに直列に接続された直列薄膜圧電共振器(131、133、135、137)と、直列薄膜圧電共振器間のノードと接地との間に接続される並列薄膜圧電共振器(132、134、136、138)とからなる。直列薄膜圧電共振器の共振周波数をfs1、反共振周波数をfp1、並列薄膜圧電共振器の共振周波数をfs2、反共振周波数をfp2とした場合、fs1とfp2が帯域通過フィルタの中心周波数近傍になるように設定される。従って、直列薄膜圧電共振器の共振周波数近傍での共振器性能(Rs、Qs)、並列薄膜圧電共振器の反共振周波数近傍での共振器性能(Rp、Qp)が帯域通過フィルタの通過帯域での性能に大きく影響することになる。前述したように本発明における薄膜圧電共振器は、反共振周波数におけるRpを高くし、Qpを大きくできる特徴を有しており、通過帯域での挿入損失を低減した薄膜圧電フィルタを得ることができる。
表1に本発明の実施例および比較例の実施条件を、表2に得られた薄膜圧電共振器の電気特性を示す。
(実施例1)[上部電極−質量負荷層]
シリコン基板上に、絶縁層として熱酸化法により2μmのSiOを形成し、その後、絶縁層上にスパッタリング法により犠牲層として50nmのチタン(Ti)を成膜し、ドライエッチング法により所定形状にパターニングした。さらに、スパッタリング法により下部電極として厚みが300nmのMoを成膜し、ドライエッチング法により所定形状にパターニングした。スパッタリング法により下部電極上に圧電層として厚みが1200nmのAlNを成膜した。その後、圧電層上に上部電極層として厚みが250nmのMo(音響インピーダンス(Z)は6.9×10Kg/m・sである。)をスパッタリング法を用いて製膜し、ドライエッチング法によりパターニングした。さらに、スパッタリング法により上部電極層の上に質量負荷層として厚みが50nmのRu(ヤング率は4.4×1011N/m2であり、音響インピーダンス(Z)は8.6×10Kg/m・sである。)を成膜するとともにイオンビームエッチング法を用いてパターニングした。Z/Zは1.25である。続いて、硝酸、硫酸混合水溶液を用いて湿式エッチングにより、前記上部電極が端面から僅かにエッチングされ、上部電極の外周形状が質量負荷層のそれより僅かに小さくなるようにエッチングした。上部電極形状は楕円形で、長軸径aが107μm、短軸径bが72μmとし、張り出した部分の水平距離(W)を1μmとした。その後、ドライエッチング法を用いて、質量負荷層上面から犠牲層にまで達する一辺が5μmの正方形である貫通孔を形成した後、貫通孔を介してフッ酸水溶液にて犠牲層および絶縁層を除去した。これにより、振動領域が楕円形で、長軸径aが107μm、短軸径bが72μmの図1記載の薄膜圧電共振器を作製した。
図11(a)にこのようにして形成した共振器のインピーダンスの周波数特性と、図11(b)にスミスチャート図を示す。共振周波数から反共振周波数の間の周波数帯およびその周辺においては、ノイズの発生が抑制されおり、得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は2300Ωと大きく、Q値(Qp)は、1320であり高い値を示した。尚、図11(a)、(b)で示されるノイズについては、ノイズレベルは「小」とした。
(実施例2〜5)[上部電極−質量負荷層(Wの変更)]
張り出した部分の水平距離(W)を4〜10μmとした以外は実施例1と同様とした図1の薄膜圧電共振器を作製した。上部電極を端面からエッチングする際のエッチャントとしては、硝酸、硫酸混合水溶液を用いてエッチングすることによりエッチングすることができ、エッチング時間を制御することで張り出した部分の水平距離(W)を制御した。表2に示されているように、得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は2000〜2440Ωと大きく、Q値(Qp)は1250〜1420であり高い値を示した。Wが1から8μmの場合のRpとQp値は、Wが10μmの場合と比べて、特に高い値を示し良好であることが明らかとなった。また、共振周波数から反共振周波数の間の周波数帯およびその周辺におけるノイズの大きさは、表2のノイズレベルに示すように小さく、ノイズの発生を抑制できていることがわかる。
(比較例1)
張り出した部分の水平距離(W)を15μmとした以外は実施例1と同様とした図1の薄膜圧電共振器を作製した。上部電極を端面からエッチングする際のエッチャントとしては、硝酸、硫酸混合水溶液を用いてエッチングすることによりエッチングすることができ、エッチング時間を制御することで張り出した部分の水平距離(W)を制御した。図13(a)にこのようにして作製した薄膜圧電共振器のインピーダンスの周波数特性と、図13(b)にスミスチャート図を示す。得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は1580Ωで実施例1〜5と比較して小さくなっていることがわかる。また、Q値(Qp)は980で実施例1〜5と比較して小さくなっている。
(比較例2〜4)
張り出した部分の水平距離(W)を−4〜0μmとした以外は実施例1と同様とした図1の薄膜圧電共振器を作製した。上部電極のサイズに比べ、質量負荷層のそれが大きい場合にマイナスとして表記した。実施例1とほぼ同様の作製方法にて作製することができるが、質量負荷層を形成した後に上部電極層を湿式エッチングにてエッチングする工程を含まない点が実施例1の作製方法と異なる。表2に示すように、得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は1340〜1380Ωで実施例1〜5と比較して小さくなっていることがわかる。また、Q値(Qp)は810〜840で実施例1〜5と比較して小さくなっている。
(実施例7〜12)[質量負荷層−上部電極]
シリコン基板上に、絶縁層として熱酸化法により2μmのSiOを形成し、その後、絶縁層上にスパッタリング法により犠牲層として50nmのチタン(Ti)を成膜し、ドライエッチング法により所定形状にパターニングした。さらに、スパッタリング法により下部電極として厚みが300nmのMoを成膜し、ドライエッチング法により所定形状にパターニングした。スパッタリング法により下部電極上に圧電層として厚みが1200nmのAlNを成膜した。その後、圧電層上に質量負荷層として厚みが50nmのMo(ヤング率は3.2×1011N/m2であり、音響インピーダンス(Z)は6.9×10Kg/m・sである。)をスパッタリング法を用いて製膜し、ドライエッチング法によりパターニングした。さらに、スパッタリング法により質量負荷層の上に上部電極層として厚みが250nmのRu(音響インピーダンス(Z)は8.6×10Kg/m・sである。)を成膜するとともにイオンビームエッチング法を用いてパターニングした。Z/Zは0.80である。続いて、硝酸、硫酸混合水溶液を用いて湿式エッチングにより、前記質量負荷層が端面から僅かにエッチングされ、質量負荷層の外周形状が上部電極層のそれより僅かに小さくなるようにエッチングした。質量負荷層の形状は楕円形で、長軸径aが107μm、短軸径bが72μmとし、張り出した部分の水平距離(W)が1〜10μmとなるように上部電極サイズを調整した。その後、ドライエッチング法を用いて、上部電極上面から犠牲層にまで達する一辺が5μmの正方形である貫通孔を形成した後、貫通孔を介してフッ酸水溶液にて犠牲層および絶縁層を除去した。これにより、振動領域が楕円形で、長軸径aが107μm、短軸径bが72μmの図3記載の薄膜圧電共振器を作製した。表2に示されているように、得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は1990〜2460Ωと大きく、Q値(Qp)は1230〜1420であり高い値を示した。また、Wが1から8μmの場合のRpとQp値は、Wが10μmの場合と比べて、特に高い値を示し良好であることが明らかとなった。
(比較例5〜8)
張り出した部分の水平距離(W)を15、−4〜0μmとした以外は実施例7〜12と同様とした図3の薄膜圧電共振器を作製した。上部電極のサイズに比べ、質量負荷層のそれが大きい場合にマイナスとして表記した。実施例7〜12とほぼ同様の作製方法にて作製することができるが、上部電極層を形成した後に質量負荷層を湿式エッチングにてエッチングする工程を含まない点が実施例7〜12の作製方法と異なる。表2に示すように、得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は1310〜1520Ωで実施例6〜10と比較して小さくなっていることがわかる。また、Q値(Qp)は790〜960で実施例6〜10と比較して小さくなっている。
(実施例13、14)[質量負荷層の材質の変更1]
質量負荷層の材質をAl(ヤング率=0.7×1011N/m、音響インピーダンス(Z)は1.7×10Kg/m・s)とした以外は、それぞれ実施例3、4と同様の薄膜圧電共振器を作製した。Z/Zは0.25である。表2に得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は2200、2210Ωと大きく、Q値(Qp)は1290、1300であり高い値を示した。また、ktはいずれも6.1%と、実施例2、3の6.5%に比べ僅かに低下しおり、質量負荷層のヤング率が1.0×1011N/m以上で、質量負荷層と上部電極層の音響インピーダンスの比(Z/Z)が0.3より大きいことが好ましいことがわかる。
(実施例15、16)[質量負荷層の材質の変更2]
質量負荷層の材質をSiO(ヤング率=0.7×1011N/m、音響インピーダンス(Z)は1.3×10Kg/m・s)とした以外は、実施例3、4と同様の薄膜圧電共振器を作製した。Z/Zは0.19である。表2に得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は2230、2250Ωと大きく、Q値(Qp)はいずれも1310であり高い値を示した。また、ktはいずれも6.2%と、実施例2、3の6.5%に比べ僅かに低下しおり、質量負荷層のヤング率が1.0×1011N/m以上で、質量負荷層と上部電極層の音響インピーダンスの比(Z/Z)が0.3より大きいことが好ましいことがわかる。
(実施例17、18)[質量負荷層の材質の変更3]
質量負荷層の材質をAl(ヤング率=3.8×1011N/m、音響インピーダンス(Z)は4.2×10Kg/m・s)とした以外は、実施例3、4と同様の薄膜圧電共振器を作製した。Z/Zは0.61である。表2に得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は2370、2410Ωと大きく、Q値(Qp)は1300、1330であり高い値を示した。また、ktは6.5%と、実施例2、3の6.5%と同等の値であり、質量負荷層のヤング率が1.0×1011N/m以上で、質量負荷層と上部電極層の音響インピーダンスの比(Z/Z)が0.3より大きいことが好ましいことがわかる。
(実施例19、20)[質量負荷層の拡張]
質量負荷層を緩衝領域、支持領域まで拡張した図6記載の薄膜圧電共振器を作製した。その他の条件は実施例3、4と同様とした。表2に得られた薄膜圧電共振器の共振周波数におけるインピーダンス(Rs)とQ値(Qs)の値と、反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)とQ値(Qp)の値とノイズレベルの大きさを示している。得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は2370、2430Ωで、Q値(Qp)は1300、1400と大きな値を示した。さらに、共振周波数におけるインピーダンス(Rs)は1.1Ωと小さく、Q値(Qs)は1590、1570と大きな値を示した。このように、質量負荷層を緩衝領域、支持領域まで拡張することにより、共振周波数におけるQ値の改善に有効であることがわかる。
(実施例21、22)[環帯構造物の設置]
質量負荷層上に凸状の環帯構造物を形成した図7記載の薄膜圧電共振器を作製した。凸状の環帯構造物は、材質がRuで、幅(W’)は3.3μmで、厚み(T’)は100nmとした。その他の条件は実施例3、4と同様とした。表2に得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)とQ値(Qp)の値とノイズレベルの大きさを示している。得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は2660、2720Ωで、Q値(Qp)は1430、1440と大きな値を示した。特に、本実施例におけるRp値は、他の実施例のそれと比べてさらに高いことが明らかとなった。また、共振周波数から反共振周波数の間の周波数帯およびその周辺におけるノイズの大きさは、表2のノイズレベルに示すように、小であり、ノイズの発生を抑制できていることがわかる。
(比較例9)
質量負荷層を有していない図14の薄膜圧電共振器を作製した。各構成層の厚みは、下部電極をMoで厚み300nm、圧電層をAlNで厚み1200nm、上部電極をRuで厚み250nmとした。表2に示すように、得られた薄膜圧電共振器の反共振周波数におけるインピーダンス(Rp)は1320Ωで実施例と比較して小さくなっていることがわかる。また、Q値(Qp)は820で実施例と比較して小さくなっている。
(実施例23)[薄膜圧電フィルタの製造]
図1に示す実施形態で、質量負荷層に関する条件は実施例3と同様とした薄膜圧電共振器を用いて、図9に示すラダー型フィルタの薄膜圧電フィルタを作製した。本実施例では、直列薄膜共振器および並列薄膜圧電共振器に実施例3で示した薄膜圧電共振器の質量負荷層を適用している。薄膜圧電フィルタの通過特性を図12に示す。質量負荷層を有していない薄膜圧電共振器にて作製した比較例9の薄膜圧電フィルタの通過特性と比べ、通過帯域(1920〜1980MHz)での挿入損失が小さくなっていることがわかる。さらに、通過帯域内におけるノイズの発生はほとんど見られない。
(比較例10)
図14に示す形態で、構成層に関する条件は比較例9と同様とした薄膜圧電共振器を用いて、図9に示すラダー型フィルタの薄膜圧電フィルタを作製した。薄膜圧電フィルタの通過特性を図13に示す。質量負荷層を有している薄膜圧電共振器にて作製した実施例21の薄膜圧電フィルタの通過特性と比べ、通過帯域(1920〜1980MHz)での挿入損失が大きくなっていることがわかる。
Figure 2011160232
Figure 2011160232
2 圧電層
4 振動空間
6 基板
8 下部電極
10 上部電極
12 圧電共振器スタック
14 接続導体
16 質量負荷層
18 下部誘電体層
20 上部誘電体層
22 絶縁層
24 犠牲層
26 音響インピーダンス変換器
28 パターニング用レジスト
30 犠牲層エッティング用貫通孔
32 凸状の環帯構造体
40 振動領域
42 緩衝領域
43 第1緩衝領域
44 第2緩衝領域
46 支持領域
104、106 入出力ポート
131、133、135、137 ラダー型フィルタの直列共振素子(直列薄膜圧電共振子)
132、134、136、138 ラダー型フィルタの並列共振素子(並列薄膜圧電共振子)
141、143 ラティス型フィルタの直列共振素子(直列薄膜圧電共振子)
142、144 ラティス型フィルタの並列共振素子(並列薄膜圧電共振子)

Claims (6)

  1. 基板と、前記基板上に形成される下部電極と、前記基板と前記下部電極との間に形成される空隙または音響反射層と、前記下部電極上に形成される圧電層と、前記圧電層上に形成される上部電極と、前記上部電極上に形成される質量負荷層とを含む薄膜圧電共振器であって、
    薄膜圧電共振器を上から見た場合に、前記下部電極と前記空隙または音響反射層と前記圧電層と前記上部電極とが重なる振動領域が、前記質量負荷層の投影面が形成する領域に内包されており、
    薄膜圧電共振器を側面から見た場合に、前記質量負荷層の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記上部電極の端部よりも水平方向に張り出し、
    前記張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満である薄膜圧電共振器。
  2. 基板と、前記基板上に形成される下部電極と、前記基板と前記下部電極との間に形成される空隙または音響反射層と、前記下部電極上に形成される圧電層と、前記圧電層上に形成される質量負荷層と、前記質量負荷層上に形成される上部電極とを含む薄膜圧電共振器であって、
    薄膜圧電共振器を上から見た場合に、前記下部電極と前記空隙または音響反射層と前記圧電層と前記質量負荷層とが重なる振動領域が、前記上部電極の投影面が形成する領域に内包されており、
    薄膜圧電共振器を側面から見た場合に、前記上部電極の少なくとも一方の端部は、前記端部と同じ方向の前記質量負荷層の端部よりも水平方向に張り出し、
    前記張り出した部分の水平距離(W)は、0を超え15μm未満である薄膜圧電共振器。
  3. 前記Wは、1以上10μm以下である請求項1または2記載の薄膜圧電共振器。
  4. 前記Wは、1以上8μm以下である請求項1または2記載の薄膜圧電共振器。
  5. 環帯物が、前記上部電極または前記質量負荷層のうち上位にある上部電極または質量負荷層の上部に形成された請求項1から4のいずれか1項に記載の薄膜圧電共振器。
  6. 請求項1から5記載の薄膜圧電共振器を用いた薄膜圧電フィルタ。
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