JP2011158591A - レンズ鏡筒の繰出カム機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】カム環内部の光密性を維持しつつ、カム環の軸方向長を短くすることができるレンズ鏡筒の繰出カム機構を提供する。
【解決手段】回転可能でカム溝を周面に有するカム環と、カム溝に係合するカムフォロアを有し光軸方向に移動可能な移動部材とを有し、カム環の回転に従って移動部材を光軸方向に前後移動させるレンズ鏡筒の繰出カム機構において、カム溝は、溝幅方向に離間し深さ方向に進むにつれて徐々に互いの間隔を狭くする一対の傾斜面を有する有底のカム溝からなり、このカム溝のうちカム環の軸方向端面への接近領域で、一対の傾斜面のうちカム環端部側に位置する一方を、深さ方向の途中位置からカム溝底部までの幅狭の部分傾斜面とし、該部分傾斜面からカム環周面までを、部分傾斜面の延長線上よりもカム溝の溝幅方向中央に近く位置する内方オフセット面として形成したこと。
【選択図】図7
【解決手段】回転可能でカム溝を周面に有するカム環と、カム溝に係合するカムフォロアを有し光軸方向に移動可能な移動部材とを有し、カム環の回転に従って移動部材を光軸方向に前後移動させるレンズ鏡筒の繰出カム機構において、カム溝は、溝幅方向に離間し深さ方向に進むにつれて徐々に互いの間隔を狭くする一対の傾斜面を有する有底のカム溝からなり、このカム溝のうちカム環の軸方向端面への接近領域で、一対の傾斜面のうちカム環端部側に位置する一方を、深さ方向の途中位置からカム溝底部までの幅狭の部分傾斜面とし、該部分傾斜面からカム環周面までを、部分傾斜面の延長線上よりもカム溝の溝幅方向中央に近く位置する内方オフセット面として形成したこと。
【選択図】図7
Description
本発明はレンズ鏡筒の繰出カム機構に関する。
カメラの小型化に対する要求から、光学系の駆動にカム環を用いるレンズ鏡筒では、カム環による被駆動部材(例えばズームレンズを構成するレンズ群)の光軸方向への駆動量は確保しつつ、カム環の軸方向長を短くすることが求められている。例えば特許文献1では、カム環の端部においてカム溝を、幅方向に離間する一対の案内面の一方を残し他方を除去した(カム環端面に開口する)片面カム区間として形成することで、カム環の軸方向長の短縮を図っている。
特許文献1の繰出カム機構は、カム環がレンズ鏡筒の内部に光密状態で位置されている場合に好適である。一方、カム環がこのような光密でない位置に配置される場合、例えばカム環がレンズ鏡筒の外観構成部品である場合などは、カム溝の一部をカム環端面に開口させると、この開口部分を通してレンズ鏡筒内に有害光が入るおそれがある。そこで本発明は、カム環内部の光密性を維持しつつ、カム環の軸方向長を短くすることが可能なレンズ鏡筒の繰出カム機構を提供することを目的とする。
本発明は、回転可能でカム溝を周面に有するカム環と、カム溝に係合するカムフォロアを有し光軸方向に移動可能な移動部材とを有し、カム環の回転に従って移動部材を光軸方向に前後移動させるレンズ鏡筒の繰出カム機構において、カム溝は、溝幅方向に離間し深さ方向に進むにつれて徐々に互いの間隔を狭くする一対の傾斜面を有する有底のカム溝からなり、このカム溝のうちカム環の軸方向端面への接近領域で、一対の傾斜面のうちカム環端面側に位置する一方を、深さ方向の途中位置からカム溝底部までの幅狭の部分傾斜面とし、該部分傾斜面からカム環周面までを、該部分傾斜面の延長線上よりもカム溝の溝幅方向中央に近く位置する内方オフセット面として形成したことを特徴とする。なお、本発明でのカム環の軸方向端面とは、カム環の端部形状が、軸方向への凹凸を含む非面一形状である場合と、凹凸を含まない面一形状である場合とを問わず、軸方向に臨む面の全域を指すものであり、凹凸を含む端部形状における軸方向への最突出部分のみを指すものではない。
内方オフセット面は、カム環の軸線と略直交する軸直交面や、部分傾斜面よりもカム環の軸線に対する傾斜角が大きい急傾斜面とすることができる。
カム溝は、カム環の端面方向に向けて凸となる山形の区間を有し、該山形区間の頂部に部分傾斜面と内方オフセット面が形成されることが好ましい。
移動部材はズームレンズの一部を構成する光学要素を保持し、カム溝が、該光学要素のズーム用可動域で移動部材のカムフォロアを案内するズームカム区間を有する場合、カム溝における部分傾斜面と内方オフセット面の形成領域は、該ズームカム区間を外れた領域に設定されることが好ましい。
カムフォロアは、カム溝の一対の傾斜面に対して接触する円錐状部と、該円錐状面の一部を除去して形成されカム溝の内方オフセット面と略平行な平面部とを有し、該カムフォロアの円錐状部がカム溝の部分傾斜面に当接するときに、平面部が内方オフセット面に対向するように構成するとよい。
本発明のレンズ鏡筒の繰出カム機構では、カム溝のうちカム環端面への接近領域を、該端面方向への突出量(溝幅)を抑えつつ、カムフォロアに対する案内機能を損なわない断面形状として形成している。これにより、カム環端面にカム溝が開口しない光密形状としつつ、カム環の光軸方向長さを短くすることが可能となった。
図1及び図2は、本発明を適用した沈胴式ズームレンズ鏡筒ZLの一実施形態を示している。このズームレンズ鏡筒ZLの撮影光学系は、物体(被写体)側から順に第1レンズ群LG1、シャッタS、開口可変絞りA、第2レンズ群LG2、第3レンズ群LG3、ローパスフィルタ25及び撮像素子26を備えている。以下の説明中で光軸方向とは、この撮影光学系の光軸Oと平行な方向を意味し、前方とは光軸方向の前方(被写体側)、後方とは光軸方向の後方(像面側)を意味する。
ズームレンズ鏡筒ZLは固定部材として筒状のハウジング22を有し、ハウジング22の後部に撮像素子ホルダ21が固定される。ローパスフィルタ25と撮像素子26はユニット化されて撮像素子ホルダ21の前面部に固定されている。
第3レンズ群LG3は、ズームレンズ鏡筒ZLにおけるフォーカスレンズ群である。図3に示すように、3群レンズ枠51は、第3レンズ群LG3を保持するレンズ保持筒部51aと、該レンズ保持筒部51aから外径方向に延設される一対のガイド腕部51b、51cを有する。レンズ保持筒部51aとガイド腕部51cの境界部分には、2群レンズ保持枠6に保持される第2レンズ群LG2が進入可能な2群レンズ収納凹部51dが形成されている。一方のガイド腕部51bに形成されたガイド孔に対して、ハウジング22と撮像素子ホルダ21に固定されたガイド軸52が挿通され、このガイド軸52を介して3群レンズ枠51が光軸方向に直進移動可能に支持されている。他方のガイド腕部51cの先端に設けた回り止め部が、ハウジング22内に形成した回転規制部(不図示)に係合して3群レンズ枠51の回転を規制する。3群レンズ枠51は、ハウジング22の外面に支持されるトーションバネからなる3群付勢バネ55によって光軸方向前方へ付勢され、AFナット54に当て付いて前方への移動が規制される。AFナット54は、リードスクリュー58に螺合しており、AFモータ160によってリードスクリュー58を回転させることにより光軸方向に移動される。したがって、3群レンズ枠51はAFモータ160の駆動によって光軸方向に移動される。
ハウジング22の内側には、3群レンズ枠51の支持駆動手段とは別に、ズームモータ150により駆動制御される変倍群(カム環)ブロックが支持されている。変倍群(カム環)ブロックは、図3に示すように、直進案内環10、カム環11、繰出筒12及び2群レンズブロック80を含んでいる。
カム環11は、繰出筒12と共にズームレンズ鏡筒ZLの外観筒を構成しており、ハウジング22の内周面に形成したカム環ガイド溝22aに対して摺動可能に嵌るガイド突起11aを有する。カム環11は、ズームモータ150(図3)により回転駆動されるズームギヤ28の駆動力をギヤ部11bで受けて回転され、カム環ガイド溝22aの案内により回転しながら光軸方向に移動する。
直進案内環10は、ハウジング22の内面に形成した直進案内溝22bに対して直進案内突起10aを摺動可能に係合させることで、光軸方向に直進移動可能に案内されている。直進案内突起10aの基部を構成する壁部と回転案内爪10bの間に回転案内爪11cを挟むことによって、直進案内環10とカム環11は、相対回転は可能で光軸方向に共に移動するように結合されている。
2群レンズブロック80は、2群レンズ移動枠8の前部にシャッタブロック100を固定した構成であり、2群レンズ移動枠8から外径方向に突出する直進案内キー8aを、直進案内環10に形成した光軸方向への長孔である直進案内スロット10cに対して摺動可能に係合させることにより光軸方向へ直進案内されている。シャッタSは光軸Oと平行な軸により軸支された複数枚のシャッタ羽根で構成され、この複数のシャッタ羽根をシャッタブロック100に内蔵したアクチュエータにより駆動することで、シャッタSが開閉される。シャッタブロック100の後部には、ズームレンズ鏡筒ZLの状態に応じて開口径が変化する開口可変絞りAが設けられている。開口可変絞りAは、光軸Oと平行な軸により軸支された複数枚の絞り羽根で構成され、ズーム域のテレ端側(図1の下半断面)よりもワイド端側(図1の上半断面)で開口径を小さくするように開度が切り替えられるが、その両方の状態において、絞り開口内への第2レンズ群LG2の一部の進入を許す開口径となっている。
また、2群レンズ移動枠8の内部には、第2レンズ群LG2を保持した2群レンズ保持枠6が支持されている。2群レンズ保持枠6は、光軸方向に軸線を向けた回動軸を中心として揺動可能に支持されており、図1に示す撮影状態では、第2レンズ群LG2の中心を光軸Oと一致させる挿入位置に保持される。ズームレンズ鏡筒ZLの収納動作によって2群レンズ移動枠8が光軸方向後方に移動されると、2群レンズ保持枠6が撮像素子ホルダ21に設けた離脱制御突起40に当接して押圧回動され、図2に示す収納状態では、第2レンズ群LG2を、2群レンズ移動枠8に形成した径方向貫通孔8sや直進案内環10に形成した径方向貫通孔10sに進入させる離脱位置に保持される。2群レンズ保持枠6の詳細な支持駆動構造については、本発明の要旨と関係がないので詳細な説明を省略する。
カム環11の内周面に形成した2群制御カム溝CG2に対し、2群レンズ移動枠8に設けた2群用カムフォロアCF2が摺動可能に係合している。図4及び図5に示すように、2群制御カム溝CG2と2群用カムフォロアCF2はそれぞれ、カム環11及び2群レンズ移動枠8の周方向に位置を異ならせて3つずつ設けられている。2群用カムフォロアCF2は、直進案内キー8aの外径部に設けられ、直進案内環10を径方向に貫通する直進案内スロット10cを通して2群用カムフォロアCF2との係合位置まで突出されている。2群レンズ移動枠8(2群レンズブロック80)は直進案内環10を介して光軸方向に直進案内されているため、カム環11が回転すると、2群制御カム溝CG2の形状に従って、2群レンズ移動枠8(2群レンズブロック80)が光軸方向へ所定の軌跡で移動する。図4における2群制御カム溝CG2内のR2、W2、T2はそれぞれ、ズームレンズ鏡筒ZLが収納状態(図2)、ズーム域のワイド端(図1の上半)、ズーム域のテレ端(図1の下半)にあるときの、2群用カムフォロアCF2の位置を示している。
繰出筒12内には第1レンズ群LG1が保持されている。繰出筒12は内面側に設けた直進案内キー12a(図1、図5及び図7)を直進案内環10の直進案内溝10dに対して摺動可能に係合させることで光軸方向へ直進案内されている。なお、繰出筒12の直進案内機構である直進案内溝10d及び直進案内キー12aと、2群レンズブロック80の直進案内機構である直進案内スロット10c及び直進案内キー8aを、図1では同一断面位置に示しているが、図3から分かるように、それぞれの直進案内機構の実際の周方向位置は異なる。
カム環11の内周面に形成した1群制御カム溝CG1に対し、繰出筒12の後端部付近から外径方向へ突出する1群用カムフォロアCF1が摺動可能に係合している。図4及び図5に示すように、1群制御カム溝CG1と1群用カムフォロアCF1はそれぞれ、カム環11及び繰出筒12の周方向に位置を異ならせて3つずつ設けられている。繰出筒12は直進案内環10を介して光軸方向に直進案内されているため、カム環11が回転すると、1群制御カム溝CG1の形状に従って繰出筒12が光軸方向へ所定の軌跡で移動する。図4における1群制御カム溝CG1内のR1、W1、T1はそれぞれ、ズームレンズ鏡筒ZLが収納状態(図2)、ズーム域のワイド端(図1の上半)、ズーム域のテレ端(図1の下半)にあるときの、1群用カムフォロアCF1の位置を示している。
図7に示すように、1群制御カム溝CG1は、その軌跡と直交する方向の断面形状が、カム環11の内周面側から深さ方向の途中位置まで形成された幅広の本体案内部CG1-aと、該本体案内部CG1-aからカム溝底部までの間に形成された幅狭の頭部案内部CG1-bを有する二段底形状の有底カム溝である。本体案内部CG1-aは、溝幅方向に離間し深さ方向(図7の上方)に進むにつれて徐々に互いの間隔を狭くする一対の傾斜面Kaf、Kar(図7)を有する台形状断面となっている。頭部案内部CG1-bも同様に、溝幅方向に離間し深さ方向(図7の上方)に進むにつれて徐々に互いの間隔を狭くする一対の傾斜面Kbf、Kbr(図7)を有する台形状断面となっている。
図4に示すように、1群制御カム溝CG1は、収納位置R1付近から光軸方向の斜め前方に延びるリード区間CG1-cと、ワイド端位置W1からテレ端位置T1までのズームカム区間CG1-dを含んでいる。ズームカム区間CG1-dは光軸方向後方に向けて凸となる山形形状の軌跡をなしており、リード区間CG1-cとズームカム区間CG1-dの間は、光軸方向前方に向けて凸となる山形形状の軌跡の接続湾曲区間CG1-eで接続されている。また、テレ端位置T1の先は、1群制御カム溝CG1の終端区間CG1-fとなっている。接続湾曲区間CG1-eと終端区間CG1-fが、1群制御カム溝CG1のうち最も光軸方向前方に位置する(カム環11の前後の軸方向端面の一方である前端面に接近した)領域となっている。ここで、図4や図7に示すように、この1群制御カム溝CG1の最前方領域では、本体案内部CG1-aを構成する一対の傾斜面Kaf、Karのうち光軸方向前方に位置する一方の傾斜面Kafが、深さ方向の途中位置からカム溝底部までの(カム環11の内周面まで達しない)幅狭の部分傾斜面Kavとなっており、この部分傾斜面Kavからカム環11の内周面(1群制御カム溝CG1の周面側開口部)までが、光軸O(カム環11の軸線)と略直交する軸直交面CG1-gとして形成されている。つまり、軸直交面CG1-gは、部分傾斜面Kavの延長線上(接続湾曲区間CG1-eと終端区間CG1-fにおいて傾斜面Kafが連続していると仮定した場合の仮想軌跡上)よりも1群制御カム溝CG1の溝幅方向の中央側に位置する内方オフセット面である。そして、軸直交面CG1-gの前部は、カム環11の前端を構成する前端壁部11d(図7)により塞がれている。
1群用カムフォロアCF1は、1群制御カム溝CG1の本体案内部CG1-aに嵌合可能な大径の本体部CF1-aと、頭部案内部CG1-bに嵌合可能な小径の頭部CF1-bを有する二段状の突起部である。本体部CF1-aは、本体案内部CG1-aの一対の傾斜面Kaf、Karに対して接触する円錐状部であり、頭部CF1-bは、頭部案内部CG1-bの一対の傾斜面Kbf、Kbrに対して接触する円錐状部である。図5ないし図7に示すように、1群用カムフォロアCF1にはさらに、本体部CF1-aの一部の周方向領域を除去する態様で、1群制御カム溝CG1の軸直交面CG1-gと略平行な軸直交面(平面部)CF1-cが形成されている。1群用カムフォロアCF1を図5のように平面視すると、本体部CF1-aと軸直交面CF1-cで囲まれる「D」状の形をしている。1群用カムフォロアCF1が1群制御カム溝CG1の接続湾曲区間CG1-eや終端区間CG1-f内に位置するときには、本体部CF1-aが部分傾斜面Kavに当接すると共に、軸直交面CF1-cが軸直交面CG1-gに対して若干離間した状態で対向する(図7参照)。
1群制御カム溝CG1の本体案内部CG1-aや頭部案内部CG1-bを、その深さ方向に進むにつれて徐々に溝幅を狭くする台形状の断面形状とすることで、カム環11を樹脂の成形品として形成する場合の成形型の型抜きが容易になる。具体的には、カム環11の径方向への離型を行いやすくなる。但し、1群制御カム溝CG1の最前方領域である接続湾曲区間CG1-eや終端区間CG1-fにおいて他の部位と同様の断面形状にした場合、本体案内部CG1-aの一対の傾斜面Kaf、Karのうち光軸方向前方の傾斜面Kafは、前端壁部11dを貫通してカム環11の前方に突出する位置まで延出されることになる。つまり、1群制御カム溝CG1がカム環11の前端面側に開口(貫通)した形状になる。カム環11はズームレンズ鏡筒ZLの外観構成部材であり、その前端面に1群制御カム溝CG1を開口させると、外部からの有害光がカム環11の内部に入るおそれがある。これを防ぐため、カム環11を前方に長くして1群制御カム溝CG1の前部を塞ぐことは可能であるが、図2から分かる通り、カム環11の光軸方向長さを延長すると、ズームレンズ鏡筒ZLの収納状態でハウジング22内に確実に沈胴させることができず、小型化に反する。また、1群制御カム溝CG1の深さを浅くし、その最大幅を狭くさせることで、1群制御カム溝CG1が前端壁部11dを貫通しないようにすることも考えられるが、この場合、1群制御カム溝CG1と1群用カムフォロアCF1の係合量が小さくなり、所定の支持強度や案内精度を確保できなくなるおそれがある。
ここで、本実施形態のように、1群制御カム溝CG1の最前方領域である接続湾曲区間CG1-eや終端区間CG1-fにおいて、傾斜面Kafよりも幅狭の部分傾斜面Kavと、該部分傾斜面Kavの延長線上よりも1群制御カム溝CG1の溝幅方向の中央側に位置する軸直交面CG1-gとによって本体案内部CG1-aの一方の(光軸方向前方の)壁面を構成することにより、当該部分で1群制御カム溝CG1の前方突出量が小さく抑えられ、カム環11の光軸方向長さを延長したり、1群制御カム溝CG1を浅くしたりするなどの対策によらずに、1群制御カム溝CG1の前部を前端壁部11dで閉じた形状のカム環11とすることができる。つまり、カム環11の小型化や、カムフォロアCF1に対する案内性能を損なうことなく、1群制御カム溝CG1を通した有害光の入射を防ぐことができる。軸直交面CG1-gのようにカム環11の軸線と略直交する方向の面は、カム環11の半径方向への成形型の型抜きが可能であり、従来品と同様のコスト及び手法で製造できる。
前述のように、1群用カムフォロアCF1が1群制御カム溝CG1の接続湾曲区間CG1-eや終端区間CG1-f内に位置するとき、軸直交面CF1-cが軸直交面CG1-gに対して若干離間した状態で対向するが、軸直交面CG1-gに隣接する部分傾斜面Kavへの本体部CF1-aの当接は維持されているので、1群用カムフォロアCF1に対する案内性能が損なわれることはない。なお、部分傾斜面Kavは、その他の傾斜面Kaf部分よりも1群用カムフォロアCF1の本体部CF1-aに対する接触面積を小さくするが、図4から分かる通り、部分傾斜面Kavを有する接続湾曲区間CG1-eや終端区間CG1-fはズームカム区間CG1-dから外れた領域であり、ズームカム区間CG1-dを用いる撮影状態では、1群用カムフォロアCF1が接続湾曲区間CG1-eや終端区間CG1-f内で停止されることはないため、部分傾斜面Kavは使用されない。よって、撮影状態では、1群制御カム溝CG1の深さ方向の全域で一対の傾斜面Kaf、Karを1群用カムフォロアCF1の本体部CF1-aと係合させ、第1レンズ群LG1を高精度に位置制御することができる。
以上の構造からなるズームレンズ鏡筒ZLは次のように動作する。図1に示す撮影状態(ズーム域)でズームモータ150を正逆に駆動すると、ハウジング22に対してカム環11が光軸方向に移動する。カム環11の光軸方向位置はカム環ガイド溝22aの軌跡により制御される。第1レンズ群LG1を支持する繰出筒12と、第2レンズ群LG2を支持する2群レンズブロック80(2群レンズ移動枠8)はそれぞれ、カム環11の回転に応じてカムフォロアCF1、CF2がカム溝CG1、CG2の案内を受けて光軸方向に相対移動し、図1上半のワイド端では第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の間隔が大きく、図2下半のテレ端では第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の間隔が小さくなる。前述の通り、ワイド端からテレ端までのズーム域全体において、1群用カムフォロアCF1は、1群制御カム溝CG1のズームカム区間CG1-dによって位置制御される。また、ワイド端からテレ端までのズーム域全体において、2群レンズ保持枠6は、第2レンズ群LG2の中心を光軸Oに一致させる挿入位置(図1)に保持される。
一方、図1に示す撮影状態(より詳細には図1上半のワイド端)からズームモータ150を鏡筒収納方向に駆動させると、ガイド突起11aがカム環ガイド溝22aの案内を受け、カム環11が回転しながら光軸方向後方へ移動される。繰出筒12と2群レンズブロック80(2群レンズ移動枠8)は、カム環11上のカム溝CG1、CG2の軌跡による所定の相対移動を伴いつつ、カム環11と共に光軸方向後方へ移動する。この収納動作では、1群用カムフォロアCF1は、1群制御カム溝CG1の接続湾曲区間CG1-eからリード区間CG1-cを通って収納位置R1まで移動される。1群用カムフォロアCF1が接続湾曲区間CG1-eを通過するとき、本体部CF1-aは光軸方向前方の部分傾斜面Kavと後方の傾斜面Karとの当接を維持するため、1群用カムフォロアCF1が1群制御カム溝CG1から脱落したり、案内が解除されたりすることはない。また、繰出筒12を前方に引き出すような外力が加えられたとしても、軸直交面CF1-cが軸直交面CG1-gに当接することにより、1群制御カム溝CG1からの1群用カムフォロアCF1の脱落を防ぐ。そして、2群レンズ移動枠8と共に2群レンズ保持枠6が光軸方向後方へ移動して撮像素子ホルダ21に接近すると、2群レンズ保持枠6が離脱位置へ向けて回動し、離脱位置に移動する(図2)。
なお、1群制御カム溝CG1の終端区間CG1-fは、直進案内環10とカム環11の組み付けに際して用いる領域であり、通常の使用状態では使用されない。接続湾曲区間CG1-eと同様に、この終端区間CG1-fに1群用カムフォロアCF1が位置するときも、本体部CF1-aは光軸方向前方の部分傾斜面Kavと後方の傾斜面Karに挟まれるため、1群制御カム溝CG1内に1群用カムフォロアCF1を確実に位置させることができる。終端区間CG1-fにおいても、繰出筒12を前方に引き出すような外力に対して、軸直交面CF1-cと軸直交面CG1-gの当接により、1群制御カム溝CG1からの1群用カムフォロアCF1の脱落を防ぐことができる。
以上のように、本実施形態のズームレンズ鏡筒ZLによれば、1群制御カム溝CG1のうちカム環11の前端に最も接近する領域である接続湾曲区間CG1-eと終端区間CG1-fを、前方への突出量を抑えつつ1群用カムフォロアCF1に対する案内機能を損なわない断面形状として形成することにより、カム環11の前端に1群制御カム溝CG1の開口(貫通)部分が存在しない光密形状としつつ、カム環11の光軸方向長さを短くすることが可能となっている。
なお、以上の実施形態では、1群制御カム溝CG1のうち最も光軸方向前方に位置する領域(接続湾曲区間CG1-eと終端区間CG1-f)に、部分傾斜面Kavからカム環11の内周面までの内方オフセット面として、カム環11の軸線と略直交する軸直交面CG1-gを形成しているが、内方オフセット面は軸直交面CG1-g以外の態様の面とすることも可能である。例えば、図8に示す別実施形態では、部分傾斜面Kavに続く内方オフセット面として、該部分傾斜面Kavよりもカム環11の軸線に対する傾斜角が大きい急傾斜面CG1-g′が形成されている。これに対応して1群用カムフォロアCF1には、本体部CF1-aの一部の周方向領域を除去する態様で、1群制御カム溝CG1の急傾斜面CG1-g′と略平行な急傾斜面(平面部)CF1-c′が形成されている。この図8の形態でも、部分傾斜面Kavをカム環11の内周面まで延長した場合(すなわち、通常の前方傾斜面Kafを形成した場合)に比べて、1群制御カム溝CG1の前方への突出量を小さくすることができ、カム環11の光軸方向長さを短縮する効果が得られる。
径方向へ離型する成形型を用いてカム環11を成形することを考慮した場合、1群制御カム溝CG1の内面形状は、傾斜面Kaf、Karのように、深さ方向に進むにつれて溝幅の中央に接近する方向の傾斜面であるか、あるいは軸直交面CG1-gのような半径方向面である必要がある。よって、カム環11の軸線に対する傾斜面Kaf(部分傾斜面Kav)と半径方向面(軸直交面CG1-gに相当)の傾斜角をそれぞれθ1、θ2とした場合、内方オフセット面の傾斜角θnを、θ1<θn≦θ2の範囲で設定することで、カム環11の成形を容易にさせつつ、カム環11の光軸方向長さの短縮効果を得ることができる。各実施形態の軸直交面CG1-g、急傾斜面CG1-g′はいずれも、この条件を満たすものである。
以上、図示実施形態に基づき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態の1群制御カム溝CG1は、本体案内部CG1-aと頭部案内部CG1-bを含む二段底状の断面形状のカム溝であるが、このような二段底状でなく、頭部案内部CG1-bを有さない単純な台形断面形状のカム溝を採用することも可能である。これに応じて、頭部CF1-bを省略した形状の1群用カムフォロアCF1を採用することも可能である。
また、図示実施形態では、カム環11の前端側がハウジング22から突出する外観構成部である関係上、1群制御カム溝CG1のうちカム環11の前端面への接近領域に、前方の傾斜面Kafよりも1群制御カム溝CG1の溝幅方向中央に位置する内方オフセット面(軸直交面CG1-g、急傾斜面CG1-g′)を形成しているが、カム環11の後端面への接近領域で、後方の傾斜面Karよりも1群制御カム溝CG1の溝幅方向中央に位置する内方オフセット面(軸直交面CG1-gや急傾斜面CG1-g′とは逆に、光軸方向前方を向く面となる)を形成してもよい。
6 2群レンズ保持枠
8 2群レンズ移動枠
10 直進案内環
11 カム環
11d 前端壁部
12 繰出筒
21 撮像素子ホルダ
22 ハウジング
26 撮像素子
40 離脱制御突起
51 3群レンズ枠
80 2群レンズブロック
100 シャッタブロック
150 ズームモータ
160 AFモータ
CF1 1群用カムフォロア
CF1-a 本体部
CF1-b 頭部
CF1-c 軸直交面(平面部)
CF1-c′ 急傾斜面(平面部)
CF2 2群用カムフォロア
CG1 1群制御カム溝
CG1-a 本体案内部
CG1-b 頭部案内部
CG1-c リード区間
CG1-d ズームカム区間
CG1-e 接続湾曲区間
CG1-f 終端区間
CG1-g 軸直交面(内方オフセット面)
CG1-g′ 急傾斜面(内方オフセット面)
CG2 2群制御カム溝
Kaf 本体案内部の前方傾斜面
Kar 本体案内部の後方傾斜面
Kav 部分傾斜面
Kbf 頭部案内部の前方傾斜面
Kbr 頭部案内部の後方傾斜面
LG1 第1レンズ群
LG2 第2レンズ群
LG3 第3レンズ群
ZL ズームレンズ鏡筒
8 2群レンズ移動枠
10 直進案内環
11 カム環
11d 前端壁部
12 繰出筒
21 撮像素子ホルダ
22 ハウジング
26 撮像素子
40 離脱制御突起
51 3群レンズ枠
80 2群レンズブロック
100 シャッタブロック
150 ズームモータ
160 AFモータ
CF1 1群用カムフォロア
CF1-a 本体部
CF1-b 頭部
CF1-c 軸直交面(平面部)
CF1-c′ 急傾斜面(平面部)
CF2 2群用カムフォロア
CG1 1群制御カム溝
CG1-a 本体案内部
CG1-b 頭部案内部
CG1-c リード区間
CG1-d ズームカム区間
CG1-e 接続湾曲区間
CG1-f 終端区間
CG1-g 軸直交面(内方オフセット面)
CG1-g′ 急傾斜面(内方オフセット面)
CG2 2群制御カム溝
Kaf 本体案内部の前方傾斜面
Kar 本体案内部の後方傾斜面
Kav 部分傾斜面
Kbf 頭部案内部の前方傾斜面
Kbr 頭部案内部の後方傾斜面
LG1 第1レンズ群
LG2 第2レンズ群
LG3 第3レンズ群
ZL ズームレンズ鏡筒
Claims (6)
- 回転可能でカム溝を周面に有するカム環と、上記カム溝に係合するカムフォロアを有し光軸方向に移動可能な移動部材とを有し、上記カム環の回転に従って上記移動部材を光軸方向に前後移動させるレンズ鏡筒の繰出カム機構において、
上記カム溝は、溝幅方向に離間し深さ方向に進むにつれて徐々に互いの間隔を狭くする一対の傾斜面を有する有底のカム溝からなり、
上記カム溝のうち上記カム環の軸方向端面への接近領域で、上記一対の傾斜面のうちカム環端面側に位置する一方を、深さ方向の途中位置からカム溝底部までの幅狭の部分傾斜面とし、該部分傾斜面からカム環周面までを、該部分傾斜面の延長線上よりもカム溝の溝幅方向中央に近く位置する内方オフセット面として形成したことを特徴とするレンズ鏡筒の繰出カム機構。 - 請求項1記載のレンズ鏡筒の繰出カム機構において、上記内方オフセット面は、カム環の軸線と略直交する軸直交面であるレンズ鏡筒の繰出カム機構。
- 請求項1記載のレンズ鏡筒の繰出カム機構において、上記内方オフセット面は、上記部分傾斜面よりもカム環の軸線に対する傾斜角が大きい急傾斜面であるレンズ鏡筒の繰出カム機構。
- 請求項1ないし3のいずれか1項記載のレンズ鏡筒の繰出カム機構において、上記カム溝は、上記カム環の端面方向に向けて凸となる山形の区間を有し、該山形区間の頂部に上記部分傾斜面と内方オフセット面が形成されるレンズ鏡筒の繰出カム機構。
- 請求項1ないし4のいずれか1項記載のレンズ鏡筒の繰出カム機構において、上記移動部材は、ズームレンズの一部を構成する光学要素を保持し、上記カム溝は、該光学要素のズーム用可動域で上記移動部材のカムフォロアを案内するズームカム区間を有し、該ズームカム区間以外の領域に上記部分傾斜面と内方オフセット面が形成されているレンズ鏡筒の繰出カム機構。
- 請求項1ないし5のいずれか1項記載のレンズ鏡筒の繰出カム機構において、上記カムフォロアは、上記カム溝の一対の傾斜面に対して接触する円錐状部と、該円錐状部の一部を除去して形成され上記カム溝の内方オフセット面と平行な平面部とを有し、上記円錐状部が上記カム溝の部分傾斜面に当接するときに、上記平面部が上記内方オフセット面に対向するレンズ鏡筒の繰出カム機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010018616A JP2011158591A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | レンズ鏡筒の繰出カム機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010018616A JP2011158591A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | レンズ鏡筒の繰出カム機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011158591A true JP2011158591A (ja) | 2011-08-18 |
Family
ID=44590614
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010018616A Withdrawn JP2011158591A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | レンズ鏡筒の繰出カム機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011158591A (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2010
- 2010-01-29 JP JP2010018616A patent/JP2011158591A/ja not_active Withdrawn
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