JP2011158578A - 感光性着色組成物、これを用いた赤色画素、カラーフィルタ、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】赤色顔料としてピグメントレッド(Pigment Red)146とピグメントレッド(Pigment Red)254とを含有するカラーフィルタ用感光性着色組成物。
【選択図】なし
Description
(1)赤色顔料としてピグメントレッド(Pigment Red)146とピグメントレッド(Pigment Red)254とを含有することを特徴とするカラーフィルタ用感光性着色組成物。
(2)さらに黄色顔料を含有してなる(1)に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
(3)前記ピグメントレッド146が微粒子状とされ、その平均一次粒径が50nm以下であり、かつその結晶子サイズが2〜20nmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
(4)質量基準で赤色顔料の40%以上100%未満が前記ピグメントレッド146であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
(5)前記黄色顔料がピグメントイエロー(Pigment Yellow)150又はピグメントイエロー(Pigment Yellow)138であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
(6)さらに重合性化合物を含有する有機溶媒を媒体とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
(7)(6)に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物を用いて形成したカラーフィルタ用赤色画素。
(8)(7)に記載の赤色画素を具備するカラーフィルタ。
(9)(8)に記載のカラーフィルタを備えた液晶表示装置。
本発明によれば、上述した複数の顔料の組合せにより、従来の色材(PR254とPR177との組合せ)では困難であった、コントラスト及び輝度の一層高いレベルでの両立を実現することができる。このような顕著な効果を奏する理由(作用機序)については未解明の点もあるが、PR146微粒子は光の吸収ピークと吸収が0になる波長が非常に近く、吸収する光と透過する光の切り替わりがはっきりしているためと考えられる。
本発明には、赤色顔料にピグメントレッド(Pigment Red)146とピグメントレッド(Pigment Red)254とが用いられる。両者の含有率は特に限定されないが、カラーフィルタ用途の一般的な色調等を考慮すると、PR254 100質量部に対して、PR146が10〜300質量部であることが好ましく、67〜300質量部であることがより好ましい。前記両顔料を上記の範囲で組み合わせて用いることにより、良好なコントラストに加え、とりわけ高い輝度が得られ好ましい。顔料全量に占めるPR146の割合としていえば、含有率40質量%以上100質量%未満であることが好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
本発明において顔料微粒子(一次粒子)の平均粒径は100nm以下が好ましく、75nm以下がより好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。下限値は特にないが、1nm以上であることが実際的である。また、粒子の均一性(単分散性)を表す指標として、本発明においては、特に断りのない限り、CVを用いる。CVは数平均粒径LとLの標準偏差σの比(σ/L)で表される。本発明において顔料微粒子(一次粒子)の単分散度、つまりCVは30%以下であることが好ましく、20%以下であることが特に好ましい。本発明において顔料微粒子の結晶子径は特に限定されないが、2nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、20nm以下であることが実際的である。上記粒径、結晶子径の測定方法としては、特に断らない限り、実施例で採用した方法により測定したものをいう。なお、上記有機顔料微粒子の好ましい範囲は、少なくともPR146が上記範囲であることが好ましく、含まれるすべての顔料微粒子が上記範囲であることがより好ましい。
本発明に用いる顔料微粒子は、特に微粒化方法に制限はないが、粉砕法等のブレイクダウン法によって調製することができる。その際には、必要により各種溶剤、樹脂、ワニス等を混合して、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散することにより得ることができる。またニーダーなどの混練装置を用いて、有機顔料を無機塩で摩砕して、有機顔料の一次粒子径を更に微細になるようにソルトミリング処理したものを用いることもできる。後述する特定の高分子化合物やその他の顔料分散剤は、すべての成分を混合してから分散してもよいが、初めに顔料と特定の高分子化合物(特定重合体)等、顔料のみ、あるいは顔料と顔料分散剤のみを分散し、次いで、他の成分を添加して再度分散を行ってもよい。また微粒化処理の際に添加してもよい。
また、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル等の練肉混合機を使用した前分散、2本ロールミル等による固形分散、または顔料への塩基性基を有するシナジスト及び/または分散剤の処理を行ってもよい。また、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機等の分散機や混合機を利用することができる。
本発明において、有機顔料粒子は、有機顔料を良溶媒(以下、これを第1溶媒ということがある)に溶解した有機顔料の溶解液と、前記良溶媒に対して相溶性を有し、有機顔料に対して貧溶媒(以下、これを第2溶媒ということがある)となる溶媒とを混合することにより生成させたものを用いることができる。詳細は例えば特開2008−291193号公報、特開2007−262378号公報、2004−43776号公報、2008−231415号公報等を参照することができる。
本発明においては重合性化合物を用いてもよい。重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物を挙げることができる。具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。
また、メタクリル酸エステルとして、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH …(A)
〔一般式(A)中、R及びR’は、それぞれ独立に、H又はCH3を表す。〕
本発明の感光性着色組成物は光重合開始剤を含有していてもよい。これはインクジェットインクとして利用するタイプのカラーレジストの場合は必ずしも必要ではなく、後述する塗布法において重合開始剤を含有するカラーレジストとすることが好ましい。光重合開始剤は、上述の重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、一般式(1)におけるnは1〜2の整数が好ましい。
本発明の感光性着色組成物は有機溶剤を媒体とすることが好ましい。有機溶剤は、並存する各成分の溶解性や感光性着色組成物としたときの塗布性を満足できる連続相をなすものであれば、基本的には特に制限はなく、特に、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。有機溶剤としては下記エステル化合物(類)溶媒、エーテル化合物(類)溶媒、及び炭化芳香族水素化合物(類)溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
本発明の感光性着色組成物は、上述の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で更にアルカリ可溶性バインダーを含んでいてもよい。アルカリ可溶性バインダーは、アルカリ可溶性を有すること以外は特に限定はなく、好ましくは、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選択することができる。アルカリ可溶性バインダーとしては、線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
本発明の感光性着色組成物に補足的に架橋剤を用い、感光性着色組成物を硬化させてなる着色硬化膜の硬度をより高めることもできる。架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落〔0134〕〜〔0147〕の記載を参照することができる。
感光性着色組成物には、必要に応じて、各種添加剤、例えば、充填剤、上記以外の高分子化合物、ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落〔0155〕〜〔0156〕に記載のものを挙げることができる。本発明の感光性着色組成物においては、特開2004−295116号公報の段落〔0078〕に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落〔0081〕に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
本発明の感光性着色組成物は、前述の必須成分と、必要に応じて、任意成分とを混合することで調製することができる。なお、顔料の分散性向上のため予め顔料を分散した顔料分散液を調製しておき、この顔料分散液を用いて感光性着色組成物を調製してもよい。
○ 塗布法
カラーフィルタの製造方法においては、既述の感光性着色組成物を用いることができる。その一実施態様に係る製造方法としては、基材(支持体もしくは仮支持体)上に、既述の感光性着色組成物を塗布して感光性着色組成物層を形成する工程(以下、塗布工程と称する。)と、マスクを介して該感光性着色組成物層を露光した後、現像して着色パターンを形成するする工程(以下、露光・現像工程と称する。)と、を有する。以下、塗布工程、及び露光・現像工程について説明する。
塗布工程では、支持体上に、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により感光性着色組成物を塗布する。塗布された膜には、プリベークが行われ、感光性着色組成物層が形成される。形成された感光性着色組成物層の厚みとしては、1.0μm〜5.0μmの範囲が好ましく、特に液晶表示素子用のカラーフィルタの薄層化や色再現性の観点から、1.0μm〜4.0μmの範囲がより好ましく、1.0μm〜3.0μmの範囲がより好ましい。
続いて、支持体上に形成された感光性着色組成物層には、マスクを介した露光が行われる。この露光に適用し得る光若しくは放射線としては、g線、h線、i線等の紫外線が好ましい。露光は、プロキシミティ方式、ミラープロジェクション方式、及びステッパー方式のいずれの方式で露光を行なってもよいが、特に、ステッパー方式(縮小投影露光機を用いた縮小投影露光方式)で露光を行なうのが好ましい。ステッパー方式は、露光量を段階的に変動しながら露光を行なうことによってパターンを形成するものであり、ステッパー露光を行なった際に特にパターンの矩形性を良好にすることができる。また、ステッパー露光に用いる露光装置としては、例えば、i線ステッパー(商品名:FPA−3000i5+、キャノン(株)製)等を用いることができる。また、露光時の露光量としては、特に制限はないが、50mJ/cm2〜1000mJ/cm2が好ましい。
続いて、露光後の感光性着色組成物層に対し、現像を行う。現像は、現像液を用いて行なうことができる。現像液としては、感光性着色組成物層の未硬化部(未露光部)を溶解する一方、硬化部(露光部)を溶解しない組成よりなるものであればいずれのものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。有機溶剤としては、感光性着色組成物を調製する際に使用される前述の有機溶剤が挙げられる。アルカリ性の水溶液としては、例えば、アルカリ性化合物を、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように溶解してなるアルカリ性水溶液が好適である。アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等が挙げられる。なお、アルカリ性水溶液を現像液として使用した場合、一般に現像後に水で洗浄が行われる。
上述のように、塗布工程、露光・現像工程を経ることで着色パターンを形成することができる。得られた着色パターンには、更に、加熱処理を行なってもよい。形成された着色パターンを加熱(いわゆる、ポストベーク)することにより、更に硬化させることができる。加熱処理は、例えば、ホットプレート、各種ヒーター、オーブンなどのパターンの加熱が行なえる方法により行なうことができる。
本発明においてはインクジェット法によりカラーフィルタを作製してもよい。そのインクジェットインクとして、本発明における実施態様としては特に限定されないが例えば特開2002−201387号に記載される方法などを好ましく用いることができる。当該インクジェットインクは上記感光性着色組成物で、光重合開始剤ないしは光重合開始剤系を用いないことが好ましい。
本発明のカラーフィルタの製造方法により得られたカラーフィルタ(本発明のカラーフィルタ)は、本発明の感光性着色組成物を用いていることから、耐光性に優れたものとなる。そのため、本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に用いることができる。
本発明のカラーフィルタは、テレビ用として用いる場合は、F10光源による、レッド(R)、グリーン(G)、及びブルー(B)のそれぞれ全ての単色の色度が、下表に記載の値(以下、本発明において「目標色度」という。)との差(ΔE)で5以内の範囲であることが好ましく、更に3以内であることがより好ましく、2以内であることが特に好ましい。
x y
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
R 0.660 0.3
G 0.293 0.634
B 0.146 0.088
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔料C.I.ピグメントレッド146(クラリアント社、Permanent Carmine FBB02[商品名])1質量部、粉砕した塩化ナトリウム7質量部、ジエチレングリコール1.6質量部を双腕型ニーダーに仕込み、100℃で4時間混練した。混練後80℃の水100質量部に取り出し、1時間攪拌後、濾過し、80℃の湯洗浄を行い、90℃で乾燥させ、ハンマーミルで粉砕し顔料粉体Aを得た。
顔料粉体Aを用い、下記組成の有機顔料分散組成物Aを調整した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔料粉体A 12.0g
Disperbyk 2155(商品名、ビックケミー社製) 6.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 32.0g
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記組成の有機顔料分散組成物をモーターミルM−50(商品名、アイガー・ジャパン社製)で、直径0.5mmのジルコニアビーズを用い、2000rpmで1時間、次いで直径0.1mmのジルコニアビーズを用い、2000rpmで4時間分散し、有機顔料分散組成物Aを得た。分散組成物Aの顔料微粒子の平均粒子径及び単分散度の測定は以下のように行った。
得たバックグラウンドを除去したX線回折パターンから、23.0°〜30.0°で最大の回折強度を与えるピークに対し、半値幅および回折ピークのブラッグ角(2θ)を求める。半値幅の算出は、上記測定範囲に存在する回折ピークそれぞれを市販のデータ解析ソフトを用いてピーク分離を行うことにより算出可能となる。実施例においては、Wave Metorics社製データ解析ソフト Igor Proを用い、ピーク形状をVoigt関数としてフィッティングを行い算出される半値幅の値を用いることとする。
算出した回折ピーク半値幅および下記シェラーの式により結晶子サイズを算出する。
D=Kλ/(10×B×cosA)
B=Bobs−b
ここで、
D:結晶子サイズ(nm)
Bobs:(2)で算出した半値幅(rad)
b:X線回折装置角度分解能補正係数であり、標準シリコン結晶測定時の半値幅(rad)。本発明では下記装置構成および測定条件で標準シリコン結晶を測定し、b=0.2とした。
A:回折ピークブラッグ角2θ(rad)
K:シェラー定数(K=0.94と定義する)
λ:X線波長(Å)(CuKα線であるため、λ=1.54)
X線回折装置:(株)リガク社製RINT2500
ゴニオメーター:(株)リガク社製RINT2000縦型ゴニオメーター
サンプリング幅:0.01°
ステップ時間:1秒
発散スリット:2°
散乱スリット:2°
受光スリット:0.6mm
管球:Cu
管電圧:55KV
管電流:280mA
測定した結果、下表のとおりであった。
製造例1のピグメントレッド146に変えて、下記各顔料を用いた以外は製造例1と同様にして、有機顔料分散組成物B〜Jを得た。
ジメチルスルホキシド(和光純薬社製)20質量部に、顔料C.I.ピグメントレッド146(クラリアント社、Permanent Carmine FBB02[商品名])1質量部を分散させ、ここにナトリウムメトキシド28%メタノール溶液0.5質量部を滴下して顔料溶液を調製した。この顔料溶液を、ビスコメイトVM−10A−L(商品名、CBCマテリアルズ社製)を用いて粘度を測定した結果、顔料溶液の液温が24.5℃の時の粘度が12.3mPa・sであった。これとは別に貧溶媒として、1mol/l塩酸(和光純薬社製)160gを含有した水1000mlを用意した。
ここで、10℃に温度コントロールし、GK−0222−10型ラモンドスターラー(商品名、藤沢薬品工業社製)により500rpmで攪拌した貧溶媒1000mlに、顔料溶液をNP−KX−500型大容量無脈流ポンプ(商品名、日本精密化学社製)を用いて、流路径1.1mmの送液配管から流速400ml/minで100ml注入することにより、有機顔料粒子を形成し、有機顔料ナノ粒子分散液Kを調製した。
有機顔料ナノ粒子濃縮ペーストK 37.3g
Disperbyk 2155(商品名、ビックケミー社製) 6.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.7g
製造例1で得られた有機顔料分散組成物A 7.5質量部、製造例3で得られた有機顔料分散組成物C 7.5質量部、アルカリ可溶性樹脂A(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=75/25[質量比])共重合体(重量平均分子量:12,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分30%))17質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15質量部を混合し、カラーフィルタ用着色組成物101aを得た。これを調製された着色感光性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるx値が0.650となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させ、カラーフィルタ用赤色画素部101を得た。
製造例1で得られた有機顔料分散組成物A 11.1質量部、製造例3で得られた有機顔料分散組成物C 1.6質量部、製造例8で得られた有機顔料分散組成物H 2.2質量部、アルカリ可溶性樹脂A17質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15質量部を混合し、カラーフィルタ用着色組成物102aを得た。これを調製された着色感光性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるx値が0.660、y値が0.320となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させ、カラーフィルタ用赤色画素部102を得た。
実施例2の有機顔料分散組成物Aに変えて、製造例11の有機顔料分散組成物K 11.1質量部とした以外は実施例2と同様にして、カラーフィルタ用赤色画素部103を得た。
実施例2の有機顔料分散組成物Aの混合量を10.6質量部とし、さらに有機顔料分散組成物Hに変えて、製造例9の有機顔料分散組成物I 2.8質量部とした以外は実施例2と同様にして、カラーフィルタ用赤色画素部104を得た。
製造例1で得られた有機顔料分散組成物A 15質量部、アルカリ可溶性樹脂A(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=75/25[質量比])共重合体(重量平均分子量:12,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分30%))17質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15質量部を混合し、カラーフィルタ用着色組成物c01aを得た。これを調製された着色感光性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるx値が0.660、y値が0.320となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させ、カラーフィルタ用赤色画素部c01を得た。
実施例1の有機顔料分散組成物Aに変えて、製造例2の有機顔料分散組成物B 6.9質量部とし、有機顔料分散組成物Cの混合量を8.1質量部と変えた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色画素部c02を得た。
実施例2の有機顔料分散組成物Aに変えて、製造例2の有機顔料分散組成物B 7.2質量部とし、有機顔料分散組成物Cの混合量を7.6質量部とし、有機顔料分散組成物Hの混合量を0.2質量部と変えた以外は実施例2と同様にして、カラーフィルタ用赤色画素部c03を得た。
実施例1の有機顔料分散組成物Aの混合量を8.8質量部とし、さらに有機顔料分散組成物Cに変えて、製造例4の有機顔料分散組成物D6.2質量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色画素部c04を得た。
実施例1の有機顔料分散組成物Cに変えて、製造例5の有機顔料分散組成物E 5質量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色画素部c05を得た。
実施例1の有機顔料分散組成物Aの混合量を7.0質量部とし、さらに有機顔料分散組成物Cに変えて、製造例6の有機顔料分散組成物F 8.0質量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色画素部c06を得た。
実施例1の有機顔料分散組成物Aの混合量を1.5質量部とし、さらに有機顔料分散組成物Cに変えて、製造例7の有機顔料分散組成物G 13.5質量部とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色画素部c07を得た。
実施例1の有機顔料分散組成物Aに変えて有機顔料分散組成物Jを用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色画素部c08を得た。このとき、顔料分散組成物J(PR176)のBET比表面積は80m2/g以上であった。
○ コントラスト
カラーフィルタの着色パターン上に偏光板を置いて着色パターンを挟み込み、偏光板が平行時の輝度と直交時の輝度とをトプコン社製のBM−5(商品名)を用いて測定し、平行時の輝度を直交時の輝度で除して得られる値(=平行時の輝度/直交時の輝度)を、コントラストを評価するための指標とした。値が大きいほど高コントラストであることを示す。
○ Y値の測定
得られた、カラーフィルタ用赤色画素部を用いて各種カラーフィルタ特性を評価した。色相(x、y)および輝度(Y値)は大塚電子(株)製の顕微分光光度計MCPD−3000(商品名)を使用して求めた。カラーフィルタ用赤色画素部それぞれについてF10光源測色における色度座標x値とy値およびCIE発色系色度におけるY値を測定した。輝度Y値が17以上であれば、実用上優れたカラーフィルタ赤色画素部と言える。
Claims (9)
- 赤色顔料としてピグメントレッド(Pigment Red)146とピグメントレッド(Pigment Red)254とを含有することを特徴とするカラーフィルタ用感光性着色組成物。
- さらに黄色顔料を含有してなる請求項1に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
- 前記ピグメントレッド146が微粒子状とされ、その平均一次粒径が50nm以下であり、かつその結晶子サイズが2〜20nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
- 質量基準で赤色顔料の40%以上100%未満が前記ピグメントレッド146であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
- 前記黄色顔料がピグメントイエロー(Pigment Yellow)150又はピグメントイエロー(Pigment Yellow)138であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
- さらに重合性化合物を含有する有機溶媒を媒体とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
- 請求項6に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物を用いて形成したカラーフィルタ用赤色画素。
- 請求項7に記載の赤色画素を具備するカラーフィルタ。
- 請求項8に記載のカラーフィルタを備えた液晶表示装置。
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