JP2009084417A - 酸性分散助剤、これを用いた有機顔料ナノ粒子の水性分散物、凝集体、及び非水性分散物、それらにより得られる着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置 - Google Patents

酸性分散助剤、これを用いた有機顔料ナノ粒子の水性分散物、凝集体、及び非水性分散物、それらにより得られる着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置などのカラーフィルタの表示特性を改善しうる顔料分散物に用いられる酸性分散助剤を提供する。特に、カラーフィルタを高コントラスト化するとともにその製造効率を高め、しかも液晶表示装置において良好な表示特性を実現しうる酸性分散助剤、これを用いた有機顔料ナノ粒子の水性分散物、凝集体、及び非水性分散物、それらにより得られる着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)で表される酸性分散助剤。
Figure 2009084417

(式中、Aは窒素原子によりカルボニル基と連結する複素環基を表す。Xは、置換基を有してもよい炭素原子数2〜10の2価のアルキレン基、エーテル基、又はポリエーテル基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、酸性分散助剤、これを用いた有機顔料ナノ粒子の水性分散物、凝集体、及び非水性分散物、それらにより得られる着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置に関する。
ナノテクノロジーとして、例えば粒子を10〜100nmの範囲にまで小サイズ化し、各種の用途に応用する研究が精力的に進められている。ナノメートルサイズにすることで初めて発現する作用効果により、従来予想できなかった新たな特性を引き出そうとするものである。他方、有機顔料の分野についてみると、例えば、塗料、印刷インク、電子写真用トナー、インクジェットインク、カラーフィルタ等において、その研究開発が進められている。とりわけカラーフィルタおよびインクジェットインクについては、精密化学技術を用いた高性能化のための取り組みがなされ、その成果が期待されている。
カラーフィルタについてみると薄層化が望まれている。これにより液晶表示装置やデジタルカメラ、CCDセンサーなどの画像関連機器の高画素化をはじめとした高性能化を実現することができる。そして近年カラーフィルタの色材として、耐候性や耐熱性等を考慮し、染料に代わって有機顔料が用いられている。そして顔料を用いたカラーフィルタの厚さは、その顔料の粒子径に大きく依存する。すなわち良好な顔料微粒子の開発が画像関連機器の性能向上の鍵をにぎる。具体的には、ナノメートルサイズレベルであり、しかも単分散で安定な顔料微粒子が求められている。
ここで有機粒子の微細化方法についてみると、従来、ロールミル、ボールミル、アトライター等の分散機を用いて行うことが一般的であった。最近では、気相法、液相法、レーザーアブレーション法などが研究されている。中でも液相法は、簡易性および生産性に優れた有機粒子の製造法として注目されている。具体的に、顔料溶液と貧溶媒とを混合してナノ粒子を析出させる方法(特許文献1参照)、またこのときに所定の高分子化合物を添加する方法が開示されている(特許文献2〜4参照)。
特開2004−91560号公報 特開2004−43776号公報 国際公開第WO2006/121016号パンフレット 特開2007−119586号公報
本発明は、液晶表示装置などのカラーフィルタの表示特性を改善しうる顔料分散物に用いられる酸性分散助剤の提供を目的とする。特に、カラーフィルタを高コントラスト化するとともにその製造効率を高め、しかも液晶表示装置において良好な表示特性を実現しうる酸性分散助剤、これを用いた有機顔料ナノ粒子の水性分散物、凝集体、及び非水性分散物、それらにより得られる着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置の提供を目的とする。
上記課題は下記の手段により達成された。
(1)下記一般式(1)で表されることを特徴とする酸性分散助剤。
Figure 2009084417
(式中、Aは窒素原子によりカルボニル基と連結する複素環基を表す。Xは、置換基を有してもよい炭素原子数2〜10の2価のアルキレン基、エーテル基、又はポリエーテル基を表す。)
(2)水性分散物から媒体を切り換えて得た非水性分散物中で、非水性分散剤とともに有機顔料ナノ粒子に分散性を付与することを特徴とする(1)記載の酸性分散助剤。
(3)有機顔料ナノ粒子と水と(1)に記載の酸性分散助剤とを含む水性分散物であって、前記有機顔料ナノ粒子が、良溶媒に有機顔料を溶解させた有機顔料溶液と、前記良溶媒と相溶し前記有機顔料に対する貧溶媒とを混合させ、その混合液中に前記酸性分散助剤の存在下で前記有機顔料をナノメートルサイズの微粒子として析出させたものであることを特徴とする有機顔料ナノ粒子の水性分散物。
(4)前記有機顔料ナノ粒子の一次粒子の平均粒径が10〜500nmであることを特徴とする(3)記載の有機顔料ナノ粒子の水性分散物。
(5)(3)又は(4)に記載の水性分散物のpHを変化させ、前記有機顔料ナノ粒子を再分散可能な凝集状態とした有機顔料ナノ粒子の凝集体。
(6)(5)記載の凝集体の凝集を解き非水性媒体に再分散させた有機顔料ナノ粒子の非水性分散物。
(7)数平均分子量1000以上の高分子化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする(6)に記載の有機顔料粒子の非水性分散物。
(8)(6)又は(7)に記載の非水性分散物と、バインダーと、モノマーもしくはオリゴマーと、光重合開始剤もしくは光重合開始剤系とを少なくとも含有させたことを特徴とする着色感光性樹脂組成物。
(9)(8)に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて作製したことを特徴とするカラーフィルタ。
(10)(9)に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の酸性分散助剤は、それを用いて調製した分散物により作製したカラーフィルタを高コントラスト化するとともにその製造効率を高め、しかも液晶表示装置において良好な表示特性を実現とするという優れた効果を奏する。また本発明の酸性分散助剤は水性分散物から非水性分散物に媒体を切り換えても有機顔料微粒子の良好な分散状態を維持し、安定な分散性を有する非水性分散物の効率的な生産を可能とする。さらにこの優れた分散物を用いて作製したカラーフィルタは上記の高性能を示し、液晶表示装置に組み込んで画像表示させたとき、黒のしまりに優れ、高い画像表示性能を発揮するという優れた効果を奏する。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明において有機顔料は、色相的に限定されるものではなく、例えば、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンもしくはイソビオラントロン化合物顔料、またはそれらの混合物などが挙げられる。
更に詳しくは、たとえば、C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン化合物顔料、C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントイエロー150(C.I.番号48545)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン化合物顔料、C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン化合物顔料、C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール化合物顔料、C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン化合物顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン化合物顔料が挙げられる。なかでも、キナクリドン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、またはアゾ化合物顔料であることが好ましく、ジケトピロロピロール化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料がより好ましい。
本発明においては、2種類以上の有機顔料または有機顔料の固溶体を組み合わせて用いることもできる。また、有機色素、高分子有機材料等と組み合わせてもよい。
本発明の分散助剤は、有機顔料を良溶媒(第1溶媒)に溶解した有機顔料溶液と、前記良溶媒に対しては相溶性を有し、有機顔料に対しては貧溶媒(第2溶媒)となる溶媒とを混合して有機顔料のナノ粒子を析出させる際に用いることができる。この良溶媒と貧溶媒との組み合わせは有機顔料の溶解度に十分な差があることが好ましく、有機顔料に合わせて好ましいものを選択する必要があるが、この工程を可能にする組み合わせであればいかなるものを選択してもよい。
良溶媒は用いる有機顔料を溶解することが可能で、前記貧溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に限定されない。有機顔料の良溶媒への溶解性は有機顔料の溶解度が0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。有機顔料の良溶媒への溶解度に特に上限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると50質量%以下であることが実際的である。この溶解度は酸またはアルカリの存在下で溶解された場合の溶解度であってもよい。また、良溶媒と貧溶媒との相溶性もしくは均一混合性は、良溶媒の貧溶媒に対する溶解量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
良溶媒としては、例えば、水性溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、エステル化合物溶媒、アミド化合物溶媒、またはこれらの混合物が好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が好ましく、水性溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒がさらに好ましく、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が特に好ましい。
スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
また、良溶媒に有機顔料を溶解した有機顔料溶液の濃度としては、溶解時の条件における有機顔料の良溶媒に対する飽和濃度乃至これの1/100程度の範囲が好ましい。
有機顔料溶液の調製条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−10〜150℃が好ましく、−5〜130℃がより好ましく、0〜100℃が特に好ましい。
良溶媒及び貧溶媒として同じものを組み合わせることはなく、採用する各有機顔料との関係で良溶媒に対する溶解度が貧溶媒に対する溶解度より十分高ければよい。例えばその溶解度差が0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。良溶媒と貧溶媒に対する溶解度の差に特に上限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると50質量%以下であることが実際的である。
有機顔料を、良溶媒中に均一に溶解するとき、酸性でもしくはアルカリ性で溶解してもよい。一般に分子内にアルカリ性で解離可能な基を有する顔料の場合はアルカリ性が、アルカリ性で解離する基が存在せず、プロトンが付加しやすい窒素原子を分子内に多く有するときは酸性が用いられる。例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合化合物顔料はアルカリ性で、フタロシアニン化合物顔料は酸性で溶解される。
アルカリ性で溶解させる場合、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどの無機塩基、またはトリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、金属アルコキシドなどの有機塩基を用いることが好ましく、なかでも無機塩基を用いることがより好ましい。
使用する塩基の量は特に限定されないが、無機塩基の場合、有機顔料に対して1.0〜30モル当量であることが好ましく、1.0〜25モル当量であることがより好ましく、1.0〜20モル当量であることが特に好ましい。有機塩基の場合、有機顔料に対して1.0〜100モル当量であることが好ましく、5.0〜100モル当量であることがより好ましく、20〜100モル当量であることが特に好ましい。
酸性で溶解させる場合、硫酸、塩酸、もしくは燐酸などの無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸を用いることが好ましく、なかでも無機酸を用いることが好ましく、硫酸を用いることがより好ましい。
使用する酸の量は特に限定されないが、塩基に比べて過剰量用いられる場合が多い。無機酸および有機酸の場合を問わず、有機顔料に対して3〜500モル当量であることが好ましく、10〜500モル当量であることがより好ましく、30〜200モル当量であることが特に好ましい。
アルカリまたは酸を有機溶媒と混合して、有機顔料の良溶媒として用いる際は、アルカリまたは酸を完全に溶解させるため、若干の水や低級アルコールなどのアルカリまたは酸に対して高い溶解度をもつ溶剤を、有機溶媒に添加することができる。水や低級アルコールの量は、有機顔料溶液全量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコールなどを用いることができる。
有機顔料溶液の粘度は0.5〜80.0mPa・sであることが好ましく1.0〜50.0mPa・sであることがより好ましい。
貧溶媒は特に限定されないが、有機顔料の溶解度が0.02質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。有機顔料の貧溶媒への溶解度にとくに下限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると0.000001質量%以上が実際的である。この溶解度は酸またはアルカリの存在下で溶解された場合の溶解度であってもよい。貧溶媒と良溶媒との相溶性もしくは均一混合性の好ましい範囲は前述のとおりである。
貧溶媒としては、例えば、水性溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、エステル化合物溶媒、またはこれらの混合物が好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒またはエステル化合物溶媒がより好ましい。
アルコール化合物溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF との塩などが挙げられる。
有機粒子を析出生成させる際の貧溶媒の条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜60℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。
有機顔料溶液と貧溶媒とを混合する際、両者のどちらを添加して混合してもよいが、有機顔料溶液を貧溶媒に噴流して混合することが好ましく、その際に貧溶媒が撹拌された状態であることが好ましい。撹拌速度は100〜10000rpmとすることが好ましく、150〜8000rpmとすることがより好ましく、200〜6000rpmとすることが特に好ましい。添加にはポンプ等を用いることもできる。このとき、液中添加でも液外添加でもよいが、液中添加がより好ましい。さらに供給管を介してポンプで液中に連続供給することが好ましい。供給管の内径は0.1〜200mmとすることが好ましく、0.2〜100mmとすることがより好ましい。供給管から液中に供給される速度としては1〜10000ml/minとすることが好ましく、5〜5000ml/minとすることがより好ましい。
有機顔料溶液と貧溶媒との混合に当り、レイノルズ数を調節することにより、析出生成させる有機ナノ粒子の粒子径を制御することができる。ここでレイノルズ数は流体の流れの状態を表す無次元数であり次式で表される。
Re=ρUL/μ ・・・ 数式(1)
数式(1)中、Reはレイノルズ数を表し、ρは有機顔料溶液の密度[kg/m]を表し、Uは有機顔料溶液と貧溶媒とが出会う時の相対速度[m/s]を表し、Lは有機顔料溶液と貧溶媒とが出会う部分の流路もしくは供給口の等価直径[m]を表し、μは有機顔料溶液の粘性係数[Pa・s]を表す。
等価直径Lとは、任意断面形状の配管の開口径や流路に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径をいう。等価直径Lは、配管の断面積をA、配管のぬれぶち長さ(周長)または流路の外周をpとすると下記数式(2)で表される。
L=4A/p ・・・ 数式(2)
配管を通じて有機顔料溶液を貧溶媒中に注入して粒子を形成することが好ましく、配管に円管を用いた場合には等価直径は円管の直径と一致する。例えば、液体供給口の開口径を変化させて等価直径を調節することができる。等価直径Lの値は特に限定されないが、例えば、上述した供給口の好ましい内径と同じである。
有機顔料の良溶媒溶液と貧溶媒とが出会う時の相対速度Uは、両者が出会う部分の面に対して垂直方向の相対速度で定義される。すなわち、例えば静止している貧溶媒中に有機顔料の良溶媒溶液を注入して混合する場合は、供給口から注入する速度が相対速度Uに等しくなる。相対速度Uの値は特に限定されないが、例えば、0.5〜100m/sとすることが好ましく、1.0〜50m/sとすることがより好ましい。
有機顔料溶液の密度ρは、選択される材料の種類により定められる値であるが、本発明の製造方法に好ましく用いられる材料の範囲では、例えば、0.8〜2.0kg/mであることが実際的である。また、有機顔料溶液の粘性係数μについても用いられる材料や環境温度等により定められる値であるが、その好ましい範囲は、上述した有機顔料溶液の好ましい粘度と同義である。
レイノルズ数(Re)の値は、小さいほど層流を形成しやすく、大きいほど乱流を形成しやすい。例えば、レイノルズ数を60以上で調節して有機ナノ粒子の粒子径を制御して得ることができ、100以上とすることが好ましく、150以上とすることがより好ましい。レイノズル数に特に上限はないが、例えば、100000以下の範囲で調節して制御することで良好な有機ナノ粒子を制御して得ることができ好ましい。あるいは、得られるナノ粒子の平均粒径が60nm以下となるようにレイノルズ数を高めた条件としてもよい。このとき、上記の範囲内においては、通常レイノルズ数を高めることで、より粒径の小さな有機ナノ粒子を制御して得ることができる。
有機顔料溶液と貧溶媒の混合比(有機微粒子析出液中の良溶媒/貧溶媒比)は体積比で1/50〜2/3が好ましく、1/40〜1/2がより好ましく、1/20〜3/8が特に好ましい。
有機微粒子を析出させたとき、分散液中のナノ粒子濃度は特に制限されないが、溶媒1000mlに対して有機粒子が10〜40000mgの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜30000mgの範囲であり、特に好ましくは50〜25000mgの範囲である。
また、顔料ナノ粒子を生成させる際の調製スケールは、特に限定されないが、貧溶媒の混合量が10〜2000Lの調製スケールであることが好ましく、50〜1000Lの調製スケールであることがより好ましい。
有機粒子の粒径に関しては、計測法により数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、各種の平均径(数平均、長さ平均、面積平均、質量平均、体積平均等)などがあり、本発明においては、特に断りのない限り、平均粒径とは数平均径をいう。顔料ナノ粒子(一次粒子)の平均粒径は10〜500nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、20〜80nmであることが特に好ましい。なお本発明の製造方法で形成される粒子は結晶質粒子でも非晶質粒子でもよく、またはこれらの混合物でもよい。
また、粒子の単分散性を表す指標として、本発明においては、特に断りのない限り、体積平均粒径(Mv)と数平均粒径(Mn)の比(Mv/Mn)を用いる。有機顔料ナノ粒子(一次粒子)の単分散性(Mv/Mn)は、1.0〜2.0であることが好ましく、1.0〜1.8であることがより好ましく、1.0〜1.5であることが特に好ましい。
有機粒子の粒径の測定方法としては、顕微鏡法、質量法、光散乱法、光遮断法、電気抵抗法、音響法、動的光散乱法が挙げられ、顕微鏡法、動的光散乱法が特に好ましい。顕微鏡法に用いられる顕微鏡としては、例えば、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などが挙げられる。動的光散乱法による粒子測定装置として、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150、大塚電子社製ダイナミック光散乱光度計DLS−7000シリーズなどが挙げられる。
本発明においては、有機顔料ナノ粒子を析出させ分散液を調製するに当り、顔料溶液及び貧溶媒の少なくとも一方に分散剤を含有させてもよい。このとき少なくとも顔料溶液に分散剤(本発明においては、水性分散物に添加する分散剤を特に水性分散剤といい、後述する非水性分散剤と区別していうことがある。)を含有させることが好ましい。
水性分散剤として用いられる高分子分散剤は、その質量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜500,000であることがより好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。
具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。なかでも、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら高分子化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、また、低分子量の分散剤を組み合わせて用いてもよい。顔料の分散に用いる分散剤に関しては、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」(化学情報協会、2001年12月発行)の29〜46頁に詳しく記載されている。
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、N−アシル−N−アルキルタウリン塩が好ましい。N−アシル−N−アルキルタウリン塩としては、特開平3−273067号明細書に記載されているものが好ましい。これらアニオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散剤の含有量は、顔料ナノ粒子の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、顔料100質量部に対して0.1〜1000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜500質量部の範囲であり、さらに好ましくは10〜300質量部の範囲である。0.1質量部未満であると顔料ナノ粒子の分散安定性の向上が見られない場合があり、1000質量部以上であると粘度の上昇が生じやすくなる。また、分散剤は、単独で用いても、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
本発明の酸性分散助剤は、有機顔料ナノ粒子を析出させ分散液を調製するに当り、顔料粒子のナノスケールレベルでの粒径制御、pH応答性付与および酸性処理(再分散性向上)を目的に、顔料溶液及び貧溶媒の少なくとも一方に下記酸酸性化合物を含有させることが好ましく、顔料溶液に含有させておくことがより好ましい。
本発明の酸性分散助剤は下記一般式(1)で表される。
Figure 2009084417
式中、Aは窒素原子によりカルボニル基と連結する複素環基を表す。Xは、置換基Tを有してもよい炭素原子数2〜10の2価のアルキレン基、エーテル基、又はポリエーテル基を表す。
Aとしては、例えば、ピラゾール、イミダゾール、インドール、カルバゾール、5−アミノベンゾイミダゾール、3−アミノアントラキノン、アクリドン、5−アミノベンゾイミダゾロン、5−アミノウラシル、アデニンが挙げられ、好ましくは、5−アミノベンゾイミダゾール、3−アミノアントラキノン、アクリドン、5−アミノベンゾイミダゾロン、5−アミノウラシルが挙げられ、より好ましくは、5−アミノベンゾイミダゾール、3−アミノアントラキノン、5−アミノベンゾイミダゾロン、5−アミノウラシルが挙げられる。
Xとしては、例えば、アルキレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドを含む連結基が挙げられ、好ましくはアルキレンである。
以下、具体的な構造を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009084417
水性分散物における上記酸性分散助剤の添加量としては、顔料100質量部に対して、0.1質量部〜1000質量部が好ましく、5質量部〜500質量部がより好ましく、10質量部〜300質量部が特に好ましい。添加量が少なすぎると、後述の単離のための凝集が不十分になる。多すぎると過度な凝集がしょうじてしまい、後述の再分散が困難になる。
本発明においては、上述の有機顔料ナノ粒子の水性分散液を中和することにより、有機顔料ナノ粒子を単離しやすいように凝集させることができる。
良溶媒が酸性の場合は、有機顔料ナノ粒子の水性分散液も酸性になっており、良溶媒が塩基性の場合は、水性分散液も塩基性になっている。本発明における酸性分散助剤は、水性分散液が塩基性の場合、最も効果的である。
水性分散液が塩基性であれば、酸添加で中性から弱酸性に中和することで凝集させることができる。この際、酸性分散助剤は、アニオン化された状態で有機顔料ナノ粒子周りを被覆しているが、添加する酸としては、前記アニオンを中和して、有機顔料ナノ粒子周りに、中性の酸性分散助剤を生成させることが必要になる。そのために、酸性分散助剤のアニオン化状態を中和するだけの酸性、添加量を適宜選択する必要がある。
添加する酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸、または酢酸、プロピオニック酸、ブチリック酢酸、バレリック酸、ヘキサノイック酸などの有機酸が挙げられるが、除去のしやすさやコスト的な観点で好ましくは、無機酸や酢酸である。これらで中和する場合、計全体としてpH7以下にまで中和することが好ましく、より好ましくはpH3以下である。
また、本発明における酸性分散助剤においては、酸性基を持つことから、後述の非水性分散剤と強く相互作用し、分散性向上、コントラスト向上が可能である。酸性分散助剤は顔料粒子周りを被覆しており、顔料粒子表面が酸性処理した状態とすることができる。これにより顔料粒子と非水性分散剤とが酸−塩基相互作用により強く結合し、該非水性分散剤による顔料粒子の分散性を向上させることが可能となる。この時、非水性分散剤が酸性基を有する場合は、酸性分散助剤と水素結合により相互作用し、非水性分散剤が塩基性基を有する場合は、酸性分散助剤と酸−塩基相互作用により相互作用する。非水性分散剤の有する、より好ましい基としては、酸性分散助剤とより強い相互作用が期待できる塩基性基を有する非水性分散剤である。
本発明においては、塩基性下では、上述の酸性分散助剤は、アニオン化され負電荷を帯びることにより、粒子同士が反発し合い分散傾向にある。中和することで、負電荷が消され、粒子同士の反発力がなくなり、凝集にいたる。
分散傾向にあるナノ粒子は、本来粒子が小さいために、そのままフィルタろ過や遠心ろ過による単離しようとしても、すり抜けてしまったり、詰まったりして、単離に莫大な時間がかかってしまう。しかし上述のようなpH制御により大きな凝集体を形成することにより、単離が大幅に改善される。本発明においてpH変化の幅は特に限定されないが、pHの変化の幅を1〜7とすることが好ましく、1〜3とすることがより好ましい。pH変化の方向は特に限定されないが、好ましくは(高)pH側から(低)pH側へ変化させること、すなわち酸性方向に変化させることが好ましい。
凝集体としては、平均粒径が10000nm以上であることが好ましく、大きければ大きいほうがより好ましい。10000nm未満であると、凝集体の単離に多大な時間を要したり、ろ取しようとしてもろ紙、あるいはフィルタを通り抜けてしまったり、目詰りしたりする。
本発明においては、上述の有機顔料ナノ粒子の水性分散液のpHを変化させる等して、有機顔料ナノ粒子を単離しやすいように、再分散しうる程度に凝集(軟凝集)させることができる。ここで軟凝集とは必要により再分散しうる程度の弱い凝集であり、その軟凝集体を特にフロックということがある。このようにすることで、例えば水系の分散組成物中に析出させた有機顔料微粒子を素早くろ過等により分離することができる。そして、分離した軟凝集体をカラーフィルタの作製に適した有機溶媒に再分散させ、効率良く有機溶媒系の分散組成物とすることができる。すなわち、良溶媒及び貧溶媒の混合溶媒が水系の溶媒であるとき、これを効率的に有機溶媒からなる第3の溶媒へ置換し分散媒(連続相)を切り換えることができる。凝集体の平均粒径は特に限定されないが、上述したろ過性を考慮し10〜5000μmであることが好ましく、100〜5000μmであることがより好ましい。
上記の軟凝集状態の粒子を再分散させるには、通常の分散化方法では不十分なことがある。このような軟凝集体(フロック)の形成及びこの再分散に前記酸性分散助剤が作用し、一度軟凝集させても速やかに再分散させることができ、良好な分散状態を実現しうる。そのため、良溶媒と貧溶媒との混合液に析出させたときの良好な微細分散性(均一で微小な粒径が実現される特性)及び分散安定性(均一で微細な粒径が長期間維持される特性)が、媒体をカラーフィルタに適した最終溶媒に切り換え再分散させた後も維持され、カラーフィルタにおける高性能を実現しうる。しかも、上記酸性分散助剤はカラーフィルタの光学特性等を妨げることなく、カラーフィルタ及び液晶表示装置における高性能を実現しうる。
以下、凝集させた有機顔料ナノ粒子の単離方法について説明する。
まず単離前に、凝集した液を0.5〜2時間静置してもよい。凝集体が速やかに沈降するので、上澄みをデカントしたり、吸い取ることにより除去でき、凝集体の単離がさらに容易になる。また静置の代わりに遠心分離を行うことで、より速い凝集体の沈降が可能であり、時間短縮ができる。
単離方法としては、様々なろ取方法が可能であり、限界ろ過、遠心分離、ろ紙やフィルタによるろ過が挙げられる。
限外ろ過による場合、例えばハロゲン化銀乳剤の脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することができる。リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)No.10208(1972)、No.13 122(1975)およびNo.16 351(1977)が知られている。操作条件として重要な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に選定することができるが、目的の有機ナノ粒子分散物を処理する上では、粒子の凝集を抑えるために最適条件を見いだす必要がある。また、膜透過より損失する溶媒を補充する方法においては、連続して溶媒を添加する定容式と断続的に分けて添加する回分式とがあるが、脱塩処理時間が相対的に短い定容式が好ましい。こうして補充する溶媒には、イオン交換または蒸留して得られた純水を用いるが、純水の中に分散剤、分散剤の貧溶媒を混合してもよいし、有機ナノ粒子分散物に直接添加してもよい。
フィルタろ過は、例えば、加圧ろ過のような装置を用いることができる。好ましいフィルタとしては、ろ紙、ナノフィルタ、ウルトラフィルタなどが挙げられる。
遠心分離による有機ナノ粒子の濃縮に用いられる遠心分離機は有機ナノ粒子分散液(または有機ナノ粒子濃縮抽出液)中の有機ナノ粒子を沈降させることができればどのような装置を用いてもよい。遠心分離機としては、例えば、汎用の装置の他にもスキミング機能(回転中に上澄み層を吸引し、系外に排出する機能)付きのものや、連続的に固形物を排出する連続遠心分離機などが挙げられる。
遠心分離条件は、遠心力(重力加速度の何倍の遠心加速度がかかるかを表す値)で50〜10000が好ましく、100〜8000がより好ましく、150〜6000が特に好ましい。遠心分離時の温度は、分散液の溶剤種によるが、−10〜80℃が好ましく、−5〜70℃がより好ましく、0〜60℃が特に好ましい。
単離した凝集体については、脱塩、脱水、余分な分散剤の除去を目的に、洗浄を行うこともできる。洗浄操作は、限界ろ過、遠心分離、ろ紙やフィルタによるろ過の後に、そのまま洗浄液を添加してかけ洗いしてもよく、一旦凝集体を取り出し、洗浄液中でリスラリーした後に、限界ろ過、遠心分離、ろ紙やフィルタによるろ過で単離してもよく、それらを組み合わせた洗浄を行っても良い。
また、洗浄は上述のような単離の後に行うことだけでなく、単離前に行うこともできる。凝集したナノ顔料粒子分散液を静置し、上澄み液を除き、洗浄液を添加し、リスラリーさせることにより達成される。リスラリーの後は、静置し、上澄み液を除き、ろ過してもよいが、そのままろ過してもよい。単離前に洗浄を行うと、凝集体が常に湿潤しているため、洗浄効率が上がるのみならず、後述の再分散がより容易になる。
洗浄液としては、脱塩、脱水、余分な分散剤・凝集剤の除去水性溶媒が達成できれば、特に限定されないが、具体的には、水性溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、エステル化合物溶媒、アミド化合物溶媒、またはこれらの混合物が好ましく、特に水性溶媒、アルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒が好ましい。
洗浄した凝集体については、そのまま後述の再分散を行っても、再分散溶媒(後述)で濡らした後再分散を行っても、乾燥して有機ナノ粒子分散物の粉体として取り出した後再分散を行っても良い。
本発明においては、上記のようにして単離した有機顔料ナノ粒子を非水性媒体中に再分散させて非水性分散物とすることができるが、このとき沸点150℃以上(好ましくは180℃以上300℃未満)の有機溶剤に分散させることが好ましい。本発明において「沸点」とは、特に断らない限り、1気圧における沸点をいう。なお、以下、この有機溶剤を「高沸点有機溶剤」ということもある。このとき、有機顔料ナノ粒子は析出させた状態では通常上述した良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中に分散しており、この混合溶媒と上記高沸点有機溶剤とを置換することが好ましい。ここで溶媒の全量を置換してもよいが、通常全量の置換は困難であり、本発明において溶媒の置換というとき主溶媒が置き換わればよい。
本発明の非水性分散物において顔料の含有量は特に限定されないが、10〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。本発明の非水性分散物に含まれる前記酸性分散助剤の含有量は特に限定されないが、0.05〜5質量%含まれていることが実際的である。
溶媒の置換をどのような手順で行ってもよいが、例えば下記のようにして行うことができる。まず、析出微粒子を含有する分散液の溶媒分を減少させるか、または除去する(以下、この操作を「濃縮・除去」ということもある。)。それによって、一度、有機顔料ナノ粒子の濃縮液やペーストとし、あるいは有機顔料ナノ粒子の粉末とする。そこに所定の高沸点有機溶剤を添加し、該有機溶剤に顔料ナノ粒子を分散させた分散物にすることができる。なお、本発明において高沸点有機溶剤に分散させたというとき、その分散物中の固形分を除いた溶媒分において高沸点有機溶剤が過半を占める(50質量%を超えて存在する)ことをさし、高沸点有機溶剤が70質量%以上であることが好ましい。
本発明においては、粒子を析出させた後に直接上記の高沸点有機溶剤に置換することも出来るが、上記の高沸点有機溶剤による溶媒置換を行う前に、後述する第3溶媒に一度置換しておき、その後第3溶媒を減少させてもしくは除去して上記高沸点溶剤に置換することも好ましい。すなわち、良溶媒(第1溶媒)と貧溶媒(第2溶媒)との混合溶媒から第3溶媒にまず置換し(第1置換)、次いで第3溶媒から所定の高沸点有機溶剤に置換する(第2置換)、2段階の溶媒置換を行うことが好ましい。なお本発明において「分散物」とは、所定の微粒子が分散した組成物をいい、その形態は特に限定されず、液状の組成物(分散液)、ペースト状の組成物、及び固体状の組成物を含む意味に用いる。
沸点150℃以上の有機溶剤は、以下に示すような溶剤の中から選んで用いることができる:ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル化合物、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはプロピレングリコールジアセテートのようなグリコールエステル化合物、酪酸のような脂肪族カルボン酸化合物又はその酸無水物、酪酸ブチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル化合物、マロン酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル化合物、3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル化合物、アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル化合物;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸のようなハロゲン化カルボン酸化合物;ラウリルアルコール、フェノールのようなアルコール化合物又はフェノール化合物;アニソールのようなエーテル化合物;3−メトキシブタノールのようなアルコキシアルコール化合物;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー化合物;トリエタノールアミンのようなアミノアルコール化合物;3−メトキシブチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル化合物;ジブチルケトンのようなケトン化合物;N−フェニルモルホリンのようなモルホリン化合物;1−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アニリンのような脂肪族又は芳香族アミン化合物。
なかでも、本発明においては、グリコールエーテル化合物、グリコールエステル化合物、又はカルボン酸エステル化合物を用いることが好ましい。
沸点150℃以上の有機溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。
沸点150℃以上の有機溶剤は単独で、あるいは3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような通常顔料分散体の調製に用いられている溶剤と混合して用いてもよい。
また、沸点150℃以上の有機溶剤は1種類のみで用いてもよいが、複数種類から成っていても良い。
沸点150℃以上の有機溶剤の添加量は特に限定されないが、顔料ナノ粒子100質量部に対して、50〜300000質量部であることが好ましく、500〜1000質量部であることがより好ましい。
溶媒を置換するときの濃縮・除去の態様は特に限定されないが、例えば、顔料ナノ粒子分散液に抽出溶媒を添加混合し顔料ナノ粒子を抽出溶媒相に濃縮抽出する態様、フィルタなどによりろ過して濃縮ナノ粒子液とする態様、遠心分離によって顔料ナノ粒子を沈降させて濃縮する態様、限外ろ過により脱塩濃縮を行う態様、噴霧乾燥を用いる態様、真空凍結乾燥により溶媒を昇華させて濃縮する態様、加熱ないし減圧による溶媒を乾燥させて濃縮する態様、それらを組合せた態様などが挙げられ、なかでも、遠心分離によって濃縮する態様、噴霧乾燥を用いる態様、加熱ないし減圧によって溶媒を乾燥させて濃縮する態様が好ましい。
濃縮抽出に用いられる抽出溶媒は特に限定されないが、顔料ナノ粒子分散液の分散溶媒(例えば、水性溶媒)と実質的に混じり合わず(本発明において、実質的に混じり合わずとは、相溶性が低いことをいい、溶解量50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。この溶解量に特に下限はないが、通常の溶媒の溶解性を考慮すると1質量%以上であることが実際的である。)、混合後、静置すると界面を形成する溶媒であることが好ましい。また、この抽出溶媒は、顔料ナノ粒子が抽出溶媒中で再分散しうる弱い凝集(ミリングまたは高速撹拌などの高いせん断力を加えなくても再分散が可能であるフロック)を生ずる溶媒であることが好ましい。このような状態であれば、粒子サイズを変化させる強固な凝集を起こさず、目的の顔料ナノ粒子を抽出溶媒で湿潤させる一方、フィルタろ過などにより容易に水などの分散溶媒を除去することができる点で好ましい。抽出溶媒としてはエステル化合物溶媒、アルコール化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒が好ましく、エステル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒または脂肪族化合物溶媒がより好ましく、エステル化合物溶媒が特に好ましい。
エステル化合物溶媒としては、例えば、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチルなどが挙げられる。アルコール化合物溶媒としては、例えば、n−ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。また、抽出溶媒は上記の好ましい溶媒による純溶媒であっても、複数の溶媒による混合溶媒であってもよい。
抽出溶媒の量は顔料ナノ粒子を抽出できれば特に制約されないが、濃縮して抽出することを考慮して顔料ナノ粒子分散液より少量であることが好ましい。これを体積比で示すと、顔料ナノ粒子分散液を100としたとき、添加される抽出溶媒は1〜100の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜90の範囲であり、20〜80の範囲が特に好ましい。多すぎると濃縮化に多大な時間を要し、少なすぎると抽出が不十分で分散溶媒中にナノ粒子が残存する。
抽出溶媒を添加した後、分散液と十分に接触するように撹拌混合することが好ましい。撹拌混合は通常の方法を用いることができる。抽出溶媒を添加し混合するときの温度に特に制約はないが、1〜100℃であることが好ましく、5〜60℃であることがより好ましい。抽出溶媒の添加、混合はそれぞれの工程を好ましく実施できるものであればどのような装置を用いてもよいが、例えば、分液ロート型の装置を用いて実施できる。
限外ろ過、フィルタろ過、遠心分離法については先に述べた方法を利用できる。
凍結乾燥は特に限定されず、通常の方法であればいかなるものを採用してもよい。例えば、冷媒直膨方法、重複冷凍方法、熱媒循環方法、三重熱交換方法、間接加熱凍結方法が挙げられるが、好ましくは冷媒直膨方法、間接加熱凍結方法、より好ましくは間接加熱凍結方法を用いるのがよい。いずれの方法においても、予備凍結を行なった後凍結乾燥を行なうことが好ましい。予備凍結の条件は特に限定されないが、凍結乾燥を行なう試料がまんべんなく凍結されている必要がある。
間接加熱凍結方法の装置としては、小型凍結乾燥機、FTS凍結乾燥機、LYOVAC凍結乾燥機、実験用凍結乾燥機、研究用凍結乾燥機、三重熱交換真空凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機、HULL凍結乾燥機が挙げられるが、好ましくは小型凍結乾燥機、実験用凍結乾燥機、研究用凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機、より好ましくは小型凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機を用いるのがよい。
凍結乾燥の温度は特に限定されないが、例えば−190〜−4℃、好ましくは−120〜−20℃、より好ましくは−80〜−60℃程度である。凍結乾燥の圧力も特に限定されず、当業者が適宜選択可能であるが、例えば、0.1〜35Pa、好ましくは1〜15Pa、さらに好ましくは、5〜10Pa程度で行なうのがよい。凍結乾燥時間は、例えば2〜48時間、好ましくは6〜36時間、より好ましくは16〜26時間程度である。もっとも、これらの条件は当業者に適宜選択可能である。凍結乾燥方法については、例えば、製剤機械技術ハンドブック:製剤機械技術研究会編、地人書館、p.120−129(2000年9月);真空ハンドブック:日本真空技術株式会社編、オーム社、p.328−331(1992年);凍結及び乾燥研究会会誌:伊藤孝治他、No.15、p.82(1965)などを参照することができる。
減圧乾燥は溶媒を蒸発させることができれば特に制限はない。例えば、汎用の真空乾燥器およびロータリーポンプや、液を撹拌しながら加熱減圧乾燥できる装置、液を加熱減圧した管中に通すことによって連続的に乾燥ができる装置等が挙げられる。
加熱減圧乾燥温度は30〜230℃が好ましく、35〜200℃がより好ましく、40〜180℃が特に好ましい。減圧時の圧力は、100〜100000Paが好ましく、300〜90000Paがより好ましく、500〜80000Paが特に好ましい。
また次のような態様によって乾燥させてもよい。例えば、熱風を用いる乾燥機としては棚型乾燥機、バンド乾燥機、撹拌乾燥機、流動層乾燥機、噴霧乾燥機、気流乾燥機など、熱伝導を利用する乾燥機としてはドラム乾燥機、多重管乾燥機、円筒乾燥機などが好適に用いられる。また、溶媒組成によっては凍結乾燥機や赤外線乾燥機も使用することが可能である。
これらの手段の中では、分散液から直接乾燥した粉体を得るのに適しているという観点から、噴霧乾燥機(例えば大川原化工機(株)製COC−12)、流動層乾燥機(例えば(株)奈良機械製作所製MSD−100)が特に好ましく用いられる。また、残存溶媒量の少ない顔料粉体を作成するために複数の乾燥手段を組み合わせて使用しても良く、例えば円筒乾燥機で予備濃縮した顔料分散物をドラム乾燥機にて完全に乾燥させて粉体を得る、といったプロセスを使用することが出来る。
乾燥条件については、溶媒を蒸発させることが可能であり、かつ顔料や分散剤などの材料が変性しない範囲であれば特に制約されない。また、乾燥速度を増加させる目的で、乾燥機の種類によって減圧、撹拌混合、多段化などの手段を組み合わせることが可能である。
溶媒分を減少させるもしくは除去する量は特に限定されないが、溶媒分を減少させる態様においては全溶媒分の50質量%以上を取り除くことが好ましく、75質量%以上を取り除くことがより好ましい。溶媒分を除去する態様においては全溶媒分の80質量%以上を取り除くことが好ましく、90質量%以上を取り除くことがより好ましい。
濃縮・除去工程により溶媒分を減少させたとき、残された分散物中の含水率は特に限定されないが、0.01〜3質量%とすることが好ましく、0.01〜1質量%とすることがより好ましい。このとき例えば上記の乾燥法等により溶媒分を除去して顔料ナノ粒子の粉末とすることが好ましく、例えば固形分の含率を50〜100質量%とすることが好ましく、70〜100質量%とすることがより好ましい。なお濃縮・除去工程は複数回行ってもよい。
本発明においては、上記濃縮・除去工程により凝集状態にある有機粒子を再分散することが好ましい。有機粒子液に含まれる有機粒子は、単離、溶剤置換により凝集をおこしていることがある。速やかなフィルタろ過が可能となるため意図的に凝集させているが、このようなときにも再度良好な分散状態を得るために、再分散可能な程度に凝集させたフロックとすることが好ましい。
また上記の凝集状態の粒子を分散させるには、通常の分散化方法では不十分なことがある。このような凝集状態にある有機粒子であっても、本発明においては、上述の酸性分散助剤とともに所定の分散剤を非水性分散物に含有させることにより、有機粒子を好適に再分散することができる。このとき非水性分散物とするために添加する分散剤をとくに非水性分散剤ということがある。
非水性分散剤としては、質量平均分子量1000以上の高分子化合物を用いることが好ましく、下記一般式(1)で表される高分子化合物を用いることがより好ましい。
Figure 2009084417
前記一般式(1)中、Aは、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される基を有する1価の有機基、または置換基を有してもよい有機色素構造もしくは複素環を含有する1価の有機基を表す。n個のAは同一であっても、異なっていてもよい。
具体的には、Aは特に制限されるものではないが、前記「酸性基を有する1価の有機基」として、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホウ酸基などを有する1価の有機基が挙げられる。また、前記「窒素原子を有する塩基性基を有する1価の有機基」として、例えば、アミノ基(−NH)を有する1価の有機基、置換イミノ基(−NHR、−NR10)を有する1価の有機基(ここで、R、R、およびR10は各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。)、下記一般式(a1)で表されるグアニジル基を有する1価の有機基〔一般式(a1)中、Ra1およびRa2は各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。〕、下記一般式(a2)で表されるアミジニル基を有する1価の有機基〔一般式(a2)中、Ra3およびRa4は各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。〕などが挙げられる。
Figure 2009084417
前記「ウレア基を有する1価の有機基」として、例えば、−NHCONHR15(ここで、R15は、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。)などが挙げられる。
前記「ウレタン基を有する1価の有機基」として、例えば、−NHCOOR16、−OCONHR17(ここで、R16およびR17は各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。)などが挙げられる。
前記「‘配位性酸素原子を有する基’を有する1価の有機基」としては、例えば、アセチルアセトナト基を有する基、クラウンエーテルを有する基などが挙げられる。
前記「炭素数4以上の炭化水素基を有する1価の有機基」としては、炭素数4以上のアルキル基(例えば、オクチル基、ドデシル基など)、炭素数6以上のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、炭素数7以上のアラルキル基(例えばベンジル基など)などが挙げられる。このとき炭素数に上限はないが、30以下であることが好ましい。 前記「アルコキシシリル基を有する1価の有機基」としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などを有する基が挙げられる。
前記「エポキシ基を有する1価の有機基」としては、例えば、グリシジル基などを有する基が挙げられる。
前記「イソシアネート基を有する1価の有機基」としては、例えば、3−イソシアナトプロピル基などが挙げられる。
前記「水酸基を有する1価の有機基」としては、例えば、3−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
前記Aとして、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、又は炭素数4以上の炭化水素基を有する1価の有機基であることが好ましい。
また、前記有機色素構造または複素環としては、特に限定されないが、より具体的には、有機色素構造としては、例えば、フタロシアニン化合物、不溶性アゾ化合物、アゾレーキ化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、ジオキサジン化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラピリジン化合物、アンサンスロン化合物、インダンスロン化合物、フラバンスロン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、チオインジゴ化合物等が挙げられる。また、複素環としては、例えばチオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン等が挙げられる。
また、前記有機色素構造または複素環は置換基Tを有していてもよく、該置換基Tとしては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16のアリール基、アセトキシ基等の炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基等が挙げられる。
また、前記Aは下記一般式(4)で表すことができる。
Figure 2009084417
前記一般式(4)において、Bは、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される基、または置換基を有してもよい有機色素構造または複素環を表し、R18は単結合あるいはa1価の有機もしくは無機の連結基を表す。a1は、1〜5を表し、a1個のBは同一であっても異なっていてもよい。一般式(4)で表される基における好ましい態様は前記Aと同義である。
18は、単結合あるいはa1+1価の連結基を表し、a1は1〜5を表す。連結基R18としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。R18は、有機連結基であることが好ましい。
18具体的な例として、下記の構造単位又は該構造単位が組み合わさって構成される基を挙げることができる。なお、該連結基R18は前記置換基Tを有していてもよい。
Figure 2009084417
前記一般式(1)中、Rは、(m+n)価の連結基を表す。m+nは3〜10を満たす。
前記Rで表される(m+n)価の連結基としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。Rは有機連結基であることが好ましい。
の具体的な例として、前記(t−1)〜(t−34)の基又はその複数を組み合わせて構成される基(環構造を形成していてもよい。)を挙げることができる。上記の連結基Rが置換基を有する場合、該置換基としては、前記の置換基Tが挙げられる。
は、単結合あるいは2価の連結基を表す。Rとしては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
の具体的な例として、前記t−3〜5、7〜18、22〜26、32、34の基又はその複数を組み合わせて構成される基を挙げることができる。Rは、Rとの連結位置に硫黄原子を有することが好ましい。上記Rが置換基を有する場合、該置換基としては、前記置換基Tが挙げられる。
前記一般式(1)中、mは1〜8を表す。mとしては1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
また、nは2〜9を表す。nとしては2〜8が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜6が特に好ましい。
前記一般式(1)中、Pは高分子化合物残基(高分子骨格)を表し、通常のポリマーなどから適宜選択することができる。
ポリマーの中でも、高分子骨格を構成するには、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル化合物ポリマー、エーテル化合物ポリマー、ウレタン化合物ポリマー、アミド化合物ポリマー、エポキシ化合物ポリマー、シリコーン化合物ポリマー、及びこれらの変性物、又は共重合体〔例えば、ポリエーテル/ポリウレタン共重合体、ポリエーテル/ビニルモノマーの重合体の共重合体など(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。)を含む。〕からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル化合物ポリマー、エーテル化合物ポリマー、ウレタン化合物ポリマー、およびこれらの変性物又は共重合体からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体が特に好ましい。
更には、前記ポリマーは有機溶媒に可溶であることが好ましい。有機溶媒との親和性が低いと、例えば、顔料分散剤として使用した場合、分散媒との親和性が弱まり、分散安定化に十分な吸着層を確保できなくなることがある。
また、PはRとの連結位置に硫黄原子を有することが好ましい。
前記一般式(1)で表される高分子化合物の中でも、下記一般式(2)で表される高分子化合物がより好ましい。
Figure 2009084417
前記一般式(2)において、Aは前記一般式(1)におけるAと同義であり、その具体的な好ましい態様も同様である。また、Aは置換基を有していてもよく、前記置換基Tが挙げられる。
前記一般式(2)において、Rは、(x+y)価の連結基を表す。RはRと同義であり好ましい範囲も同様である。このときRはx+y価の連結基であるが、そのxの値及びその好ましい範囲は一般式(1)のnと同じであり、yの値及びその好ましい範囲はmと同じであり、x+yの値及びその好ましい範囲はm+nと同じである。
で表される連結基は有機連結基であることが好ましく、その有機連結基の好ましい具体的な例を以下に示す。但し、本発明は、これらにより限定されるものではない。
Figure 2009084417
Figure 2009084417
上記の中でも、原料の入手性、合成の容易さ、各種溶媒への溶解性の観点から、上記(r−1)、(r−2)、(r−10)、(r−11)、(r−16)、(r−17)の基が好ましい。
また、上記のRが置換基を有する場合、該置換基として前記置換基Tが挙げられる。
前記一般式(2)において、RおよびRは、各々独立に、単結合あるいは2価の連結基を表す。
前記R、Rで表される「2価の連結基」としては、置換基を有していてもよい、直鎖、分岐、もしくは環状の、アルキレン基、アリーレン基、もしくはアラルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R19)−、−SO−、−SO−、−CO−、又は−N(R20)SO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基が好ましい(前記R19およびR20は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)。なかでも有機連結基であることが好ましい。
前記Rとしては、直鎖もしくは分岐の、アルキレン基もしくはアラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、−SO−、−CO−、又は−N(R20)SO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基がより好ましく、直鎖もしくは分岐のアルキレン基もしくはアラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、又は−CO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基が特に好ましい。
前記Rとしては、単結合、直鎖、もしくは分岐の、アルキレン基、アラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、−SO−、−CO−、又は−N(R20)SO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基がより好ましく、直鎖もしくは分岐のアルキレン基、アラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、又は−CO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基が特に好ましい。
また、前記R、Rが置換基を有する場合、該置換基としては前記置換基Tが挙げられる。
また、一般式(2)中のPは、高分子骨格を表し、通常のポリマーなどから適宜選択することができる。ポリマーの好ましい態様については、前記一般式(1)におけるPと同義であり、その好ましい態様も同様である。
前記一般式(2)で表される高分子化合物のうち、特に、Rが前記具体例(r−1)、(r−2)、(r−10)、(r−11)、(r−16)、又は(r−17)であって、Rが、単結合、直鎖もしくは分岐の、アルキレン基もしくはアラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、又は−CO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の有機基であって、Rが単結合、エチレン基、プロピレン基、又は下記一般式(s−a)もしくは(s−b)で表される連結基であって、Pがビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル化合物ポリマー、エーテル化合物ポリマー、ウレタン系ポリマー、又はこれらの変性物であって、yが1〜2であって、xが3〜6である高分子化合物が特に好ましい。なお、下記基中、R21は水素原子又はメチル基を表し、lは1又は2を表す。
Figure 2009084417
上記高分子化合物の質量平均分子量は1000以上であることが好ましく、質量平均分子量で3000〜100000であることがより好ましく、5000〜80000であることがさらに好ましく、7000〜60000であることが特に好ましい。質量平均分子量が前記範囲内であると、ポリマーの末端に導入された複数の官能基の効果が十分に発揮され、固体表面への吸着性、ミセル形成能、界面活性性に優れた性能を発揮、良好な分散性と分散安定性を達成することができる。
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。但し本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2009084417
Figure 2009084417
Figure 2009084417
Figure 2009084417
Figure 2009084417
Figure 2009084417
Figure 2009084417
Figure 2009084417
前記一般式(1)もしくは(2)で表される高分子化合物は例えば下記の各方法により合成することができる。
1.カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等から選択される官能基を末端に導入したポリマーと、複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有する酸ハライド、あるいは複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するアルキルハライド、あるいは複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するイソシアネート等とを高分子反応させる方法。
2.末端に炭素−炭素二重結合を導入したポリマーと、複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するメルカプタンとをマイケル付加反応させる方法。
3.末端に炭素−炭素二重結合を導入したポリマーと、複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するメルカプタンとをラジカル発生剤存在下で反応させる方法。
4.末端に複数のメルカプタンを導入したポリマーと、炭素−炭素二重結合を導入した官能基(前記一般式中のA又はA)とをラジカル発生剤存在下で反応させる方法。
5.複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するメルカプタン化合物を連鎖移動剤として、ビニルモノマーをラジカル重合する方法。
なかでも、合成上の容易さから2、3、4、5が好ましく、3、4、5がより好ましく、5が特に好ましい。なお、これらの合成方法については特願2006−129714号明細書の段落0184〜0216に記載の内容を参考にすることができる。
また分子量1000以上の高分子化合物として以下の酸性基を有する高分子化合物(以下、この化合物を「酸性基含有高分子化合物」ということもある。)を用いることもでき、該高分子化合物としてカルボキシル基を有する高分子化合物であることが好ましく、(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種および(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種を含有する共重合化合物がより好ましい。
前記(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位として、下記一般式(I)で表される繰り返し単位であることが好ましく、アクリル酸またはメタクリル酸から導かれた繰り返し単位であることがより好ましく、前記(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位として、下記一般式(II)で表される繰り返し単位であることが好ましく、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位であることがより好ましく、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェネチルアクリレート、フェネチルメタクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、または3−フェニルプロピルメタクリレートから導かれた繰り返し単位であることが特に好ましい。
Figure 2009084417
式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。Rは下記一般式(III)で表される基を表す。Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。iは1〜5の数を表す。Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。Rは下記一般式(V)で表される基を表す。Rは炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。R10及びR11は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。jは1〜5の数を表す。
また、(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位と、前記(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位との重合比率としていえば、繰り返し単位(A)の全繰り返し単位数に対する数量比%が3〜40であることが好ましく、5〜35であることがより好ましい。
本発明の製造方法において分子量とは、特に断らない限り、質量平均分子量をいう。分子量の測定方法としては、クロマトグラフィー法、粘度法、光散乱法、沈降速度法等が挙げられるが、本発明では、特に断らない限りゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(キャリア:テトラヒドロフラン)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量を用いる。
高分子化合物は、水溶性、油溶性いずれでもよく、水溶性かつ油溶性でもよい。
高分子化合物の添加方法は、水性溶媒または有機溶媒に溶解した溶液でも、固体状態でもよく、また、これらの組み合わせでもよい。溶媒に溶解した溶液で添加する方法としては、例えば、凝集有機粒子液に、凝集有機粒子液の溶媒と同様の溶媒に溶解した状態で添加する方法、凝集有機粒子液の溶媒と相溶する、異なる溶媒に溶解した状態で添加する方法が挙げられる。溶媒に溶解した溶液で添加する場合の、高分子化合物の濃度は、特に制限されないが、1〜70質量%が好ましく、2〜65質量%がより好ましく、3〜60質量%が特に好ましい。
高分子化合物の添加は、顔料ナノ粒子の析出生成時またはその前後、濃縮時またはその前後、濃縮後の凝集有機粒子の分散時またはその前後、それらの工程が終了した後、のいずれの時機に添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよい。なかでも本発明においては、質量平均分子量1000以上の高分子化合物を後述する第3溶媒と同時に添加することが好ましく、該高分子化合物を第3溶媒と混合しておき、その混合液を、濃縮した顔料ナノ粒子液に添加することがより好ましい。高分子化合物の添加量は、顔料100質量部に対して、0.1〜1000質量部とすることが好ましく、5〜500質量部とすることがより好ましく、10〜300質量部とすることが特に好ましい。
分子量1000以上の高分子化合物して、上記化合物のほか、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアミド、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子化合物化合物も使用できる。また、酸性基を有する高分子化合物としては、ポリビニル硫酸、縮合ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
カルボキシル基を有する高分子化合物としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、側鎖にカルボキシル基を有するセルロース誘導体等があげられる。(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種および(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種を含む共重合化合物としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体や、アクリル酸またはメタクリル酸と、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと、他のビニル化合物の多元共重合体を挙げることができる。
ビニル化合物の例としては、スチレン又は置換されたスチレン(例えばビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン)、ビニルナフタリン又は置換されたビニルナフタリン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられ、スチレンが好ましい。
分子量1000以上の高分子化合物は1種のみを用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよく、分子量1000未満の化合物と併用してもよい。
本発明の顔料ナノ粒子の製造方法においては、顔料ナノ粒子析出後に第3溶媒を含有させることが好ましい。第3溶媒の種類は特に限定されないが、有機溶媒であることが好ましく、例えば、エステル化合物溶媒、アルコール化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒、ケトン化合物溶媒が好ましく、エステル化合物溶媒、ケトン化合物溶媒が特に好ましい。
なお、本発明においては、上記第3溶媒及び後述する第4溶媒を含め、最終的に所望の分散媒(連続相)となる、第1溶媒及び第2溶媒のいずれとも異なる溶媒を総称して「第3の溶媒」という。
エステル化合物溶媒としては、例えば、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチルなどが挙げられる。アルコール化合物溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
なかでも、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトン、エタノールが好ましく、乳酸エチルがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。なお、良溶媒(第1溶媒)、貧溶媒(第2溶媒)、第3溶媒、及び上記高沸点有機溶剤は、互いに同じものであることはない。
第3溶媒の添加の時機は顔料ナノ粒子の析出後であれば特に限定されないが、顔料ナノ粒子を析出させた後、濃縮・除去して、そこに添加することが好ましい。そして、先に述べたとおり、1度目の濃縮・除去工程を経た後、第3溶媒を添加して、2度目の濃縮・除去工程により再度その溶媒分を減少・除去することが好ましい。そしてその後、所定の高沸点有機溶剤を添加することが好ましい。
第3溶媒の添加量は特に限定されないが、顔料ナノ粒子100質量部に対して、100〜300000質量部であることが好ましく、500〜1000質量部であることがより好ましい。
必要に応じて、凝集状態にある有機顔料ナノ粒子を微細分散化することができる(本発明において、微細分散化とは、分散液中の粒子の凝集を解き分散度を高めることをいう)。
上述した凝集化した有機顔料ナノ粒子を、速やかなフィルタろ過を可能とし、再度良好な分散状態を得るためには、再分散可能な程度に凝集させたフロックとして得ることが好ましい。
そのため、通常の分散化方法を用いて分散化した程度では微粒子化に不十分であり、さらに微細化効率の高い方法が必要となる。
このようなナノ粒子の凝集体を微細分散化する方法として、例えば超音波による分散方法や物理的なエネルギーを加える方法を用いることができる。
用いられる超音波照射装置は10kHz以上の超音波を印加できる機能を有することが好ましく、例えば、超音波ホモジナイザー、超音波洗浄機などが挙げられる。超音波照射中に液温が上昇すると、ナノ粒子の熱凝集が起こるため、液温を1〜100℃とすることが好ましく、5〜60℃がより好ましい。温度の制御方法は、分散液温度の制御、分散液を温度制御する温度調整層の温度制御、などによって行うことができる。
物理的なエネルギーを加えて濃縮した有機ナノ粒子を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の分散機が挙げられる。また、高圧分散法や、微小粒子ビーズの使用による分散方法も好適なものとして挙げられる。
有機ナノ粒子分散物の好ましい製造方法としては、着色剤を樹脂成分で混練分散処理後の25℃における粘度が10,000mPa・s以上、望ましくは100,000mPa・s以上の比較的高粘度になるように混練分散処理し、次いで溶剤を添加して、微分散処理後の粘度が1,000mPa・s以下、望ましくは100mPa・s以下の比較的低粘度になるように微分散処理する方法が好ましい。
再分散処理で使用する機械は二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸および2軸の押出機等であり、強い剪断力を与えながら分散する。次いで、溶剤を加えて、主として縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機、高圧分散機等を使用し、0.1〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理する。さらに0.1mm以下の微小粒子ビーズを用いて精密分散処理をすることもできる。
また主顔料と補顔料を別々に分散処理した後、両者の分散液を混合して更に分散処理を加えたり、主顔料と補顔料をいっしょに分散処理することも可能である。
尚、分散についての詳細はT.C. Patton著“Paint Flow and ピグメント Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等にも記載されており、この方法を用いてもよい。
顔料ナノ粒子は例えばビヒクル中で分散させた状態で用いることができる。前記ビヒクルとは、塗料でいえば、液体状態にあるときに顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。
再分散化後の顔料ナノ粒子の分散組成物の顔料ナノ粒子濃度は目的に応じて適宜定められるが、好ましくは分散組成物全量に対して顔料ナノ粒子が2〜30質量%であることが好ましく、4〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。上記のようなビヒクル中に分散させる場合に、バインダーおよび溶解希釈成分の量は有機顔料の種類などにより適宜定められるが、分散組成物全量に対して、バインダーは1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。溶解希釈成分は5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。
有機ナノ粒子分散組成物においては、再分散後の有機ナノ粒子(一次粒子)を微細分散化した粒子とすることができ、粒径を好ましくは10〜1000nmとすることができ、10〜500nmがより好ましく、10〜50nmが特に好ましい。また、再分散後の粒子のMv/Mnは、1.0〜2.0であることが好ましく、1.0〜1.8であることがより好ましく、1.0〜1.5であることが特に好ましい。
本発明の製造方法によれば、例えば、有機顔料ナノ粒子分散組成物や後述する着色感光性樹脂組成物に含まれる顔料粒子を、ナノメートルサイズ(例えば、10〜100nm)という微小な粒径にもかかわらず、濃縮再分散化することができる。このため、カラーフィルタに用いたときには、光学濃度が高く、フィルタ表面の均一性に優れ、コントラストが高く、かつ画像のノイズを少なくすることができる。
さらに、有機顔料ナノ粒子分散組成物、着色感光性組成物に含まれる有機顔料ナノ粒子を、高度に、また均一に、微細分散化することができるため、薄い膜厚さで、高い着色濃度を発揮し、例えばカラーフィルタ等の薄層化を可能とするものである。
また有機顔料ナノ粒子分散組成物、着色感光性樹脂組成物において、鮮明な色調と高い着色力とを示す顔料を含有させることで、例えばカラープルーフやカラーフィルタ等を作製するための画像形成材料として優れている。
さらに、着色画像形成時の露光・現像に用いられるアルカリ性の現像液に対して、有機ナノ粒子分散組成物、着色感光性樹脂組成物に、結合剤(バインダー)としてアルカリ性水溶液に可溶なものを用いることができ、環境上の要求にも応えることができる。
また有機顔料ナノ粒子分散組成物、着色感光性樹脂組成物に用いられる溶媒(顔料の分散媒)として適度な乾燥性を有する有機溶媒を用いることができ、塗布後の乾燥の点でもその要求を満足することができる。
本発明の着色感光性樹脂組成物は、前記有機顔料ナノ粒子の分散物と、バインダー、モノマーもしくはオリゴマー、および光重合開始剤もしくは光重合開始剤系を含む。以下、着色感光性樹脂組成物の各成分について説明する。
有機顔料ナノ粒子及びその分散物を作製する手順については既に詳細に述べた。顔料ナノ粒子の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の全固形分(本発明において、全固形分とは、有機溶媒を除く組成物合計をいう。)に対し、3〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、25〜60質量%がさらに好ましい。この量が多すぎると分散液の粘度が上昇し製造適性上問題になることがある。少なすぎると着色力が十分でない。着色剤として機能する顔料ナノ粒子(顔料粒子)としては、粒径0.1μm以下、特には粒径0.08μm以下であることが好ましい。また、調色のために通常の顔料と組み合わせて用いてもよい。顔料は上記で記述したものを用いることができる。
モノマーもしくはオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合する多官能モノマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。また、特開平10−62986号公報に一般式(1)および(2)に記載のように、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化した化合物も好適なものとして挙げられる。
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
モノマーもしくはオリゴマーは、単独でも、二種類以上を混合して用いてもよく、着色感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。この量が多すぎると現像性の制御が困難になり製造適性上問題となる。少なすぎると露光時の硬化力が不足する。
バインダーとしては、酸性基を有するバインダーが好ましく、カラーフィルタ用インクジェットインクないし着色感光性樹脂組成物の調製時に添加することもできるが、前記顔料ナノ粒子分散組成物を製造する際、または顔料ナノ粒子形成時に添加することも好ましい。有機顔料溶液および有機顔料溶液を添加して顔料ナノ粒子を生成させるための貧溶媒の両方もしくは一方にバインダーを添加することもできる。またはバインダー溶液を別系統で顔料ナノ粒子形成時に添加することも好ましい。
バインダーとしては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するアルカリ可溶性のポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩などを有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4,139,391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。
バインダーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、顔料ナノ粒子100質量部に対する添加量は10〜200質量部が一般的であり、25〜100質量部が好ましい。
その他、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、UV硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂等も有用である。更に、バインダー樹脂として、側鎖の一部に水溶性の原子団を有する有機高分子重合体を用いることができる。
光重合開始剤又は光重合開始剤系(本発明において、光重合開始剤系とは複数の化合物の組み合わせで光重合開始の機能を発現する混合物をいう。)としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール二量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」や、オキシム系として、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル−4’−(ベンズメルカプト)ベンゾイル−ヘキシル−ケトキシム、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニル−ジフェニルフォスフォニルオキサイド、ヘキサフルオロフォスフォロ−トリアルキルフェニルホスホニウム塩等も好適なものとしてあげることができる。
光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
着色感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。この量が多すぎると感度が高くなりすぎ制御が困難になる。少なすぎると露光感度が低くなりすぎる。
着色感光性樹脂組成物においては、上記成分の他に、更に樹脂組成物調製用有機溶媒(第4溶媒)を用いてもよい。有機溶媒の例としては、特に限定されないが、エステル類、エーテル類、ケトン類が挙げられる。これら溶剤のうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が溶剤として好ましく用いられる。これらの溶剤は、単独で用いてもあるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。またこの第4溶媒として前記の高沸点有機溶剤を用いることができ、例えば沸点が180℃〜250℃である溶剤を必要によって使用することができる。第4溶媒の含有量は、樹脂組成物全量に対して10〜95質量%が好ましい。
また、着色感光性樹脂組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
着色感光性樹脂組成物は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。熱重合防止剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して1質量%以下が好ましい。
着色感光性樹脂組成物には、必要に応じ前記着色剤(顔料)に加えて、着色剤(染料、顔料)を添加することができる。着色剤のうち顔料を用いる場合には、着色感光性樹脂組成物中に均一に分散されていることが望ましく、そのため粒径が0.1μm以下、特には0.08μm以下であることが好ましい。
染料ないし顔料としては、具体的には、前記顔料として、特開2005−17716号公報[0038]〜[0040]に記載の色材や、特開2005−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。補助的に使用する染料もしくは顔料の含有量は、樹脂組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
着色感光性樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物のほか、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
また、着色感光性樹脂組成物においては、上記添加剤の他に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」や、その他の添加剤等を含有させることができる。
本発明のカラーフィルタは、コントラストに優れる。本発明においてコントラストとは、2枚の偏光板の間において、偏光軸が平行のときと、垂直のときとの透過光量の比を表す(「1990年第7回色彩光学コンファレンス、512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」等参照。)。
カラーフィルタのコントラストが高いということは液晶と組み合わせたときの明暗のディスクリミネーションが大きくできるということを意味しており、液晶ディスプレイがCRTに置き換わるためには非常に重要な性能である。
本発明のカラーフィルタは、テレビ用として用いる場合は、F10光源による、レッド(R)、グリーン(G)、及びブルー(B)のそれぞれ全ての単色の色度が、下表に記載の値(以下、本発明において「目標色度」という。)との差(ΔE)で5以内の範囲であることが好ましく、更に3以内であることがより好ましく、2以内であることが特に好ましい。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
x y Y
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
R 0.656 0.336 21.4
G 0.293 0.634 52.1
B 0.146 0.088 6.90
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
本発明において色度は、顕微分光光度計(オリンパス光学社製;OSP100又は200)により測定し、F10光源視野2度の結果として計算して、xyz表色系のxyY値で表す。また、目標色度との差は、La表色系の色差で表す。
本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置はコントラストが高く、黒のしまり等の描写力に優れ、とくにVA方式であることが好ましい。ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の液晶表示装置等としても好適に用いることができる。また、本発明のカラーフィルタはCCDデバイスに用いることができ、優れた性能を発揮する。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(合成例)酸性化合物の合成
Figure 2009084417
5−アミノベンズイミダゾロン(30.0質量部)をNMP(和光純薬工業社製)(160質量部)に溶解させ、これにグルタル酸無水物(18.6質量部)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。水(100質量部)を添加し、析出した固体をろ取し、水、メタノールで洗浄することにより、例示化合物A−1(39質量部)を収率80%で得た(m.p.>300℃)。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.7−1.9(m,2H),2.2−2.4(m,4H),6.8(d,1H),7.0(d,1H),7.4(s,1H),9.7(s,1H),10.4(s,1H),10.5(s,1H).
Figure 2009084417
5−アミノベンズイミダゾロン(10.0質量部)をNMP(55質量部)に溶解させ、これにジグリコール酸無水物(6.3質量部)を添加し、室温で1時間撹拌した。水(100質量部)を添加し、析出した固体をろ取し、水、メタノールで洗浄することにより、例示化合物A−2(9.8質量部)を収率60%で得た(m.p.290−291℃(dec))。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ4.1(s,2H),4.2(s,2H),6.8(d,1H),7.1(d,1H),7.5(s,1H),9.7(s,1H),10.4(s,1H),10.5(s,1H).
Figure 2009084417
5−アミノベンズイミダゾール(10.0質量部)をNMP(75質量部)に溶解させ、これにグルタル酸無水物(8.6質量部)を添加し、60℃で6時間加熱した。水(100質量部)を添加し、析出した固体をろ取し、水、メタノールで洗浄することにより、例示化合物A−4(9.8質量部)を収率60%で得た(m.p.284−286℃)。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.8−1.9(m,2H),2.2−2.3(m,2H),2.4−2.5(m,2H),7.0−7.1(m,2H),7.4−7.5(m,2H).
Figure 2009084417
5−アミノウラシル(10.0質量部)をNMP(80質量部)に溶解させ、これにグルタル酸無水物(9.0質量部)を添加し、60℃で6時間加熱した。水(100質量部)を添加し、析出した固体をろ取し、水で洗浄することにより、例示化合物A−5(12.5質量部)を収率66%で得た(m.p.265−267℃)。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.7−1.8(m,2H),2.2−2.3(m,2H),2.3−2.4(m,2H),8.0(d,1H),9.0(s,1H),10.8(brs,1H),11.4(s,1H),12.0(brs,1H).
<実施例1−1>
C.I.ピグメントレッド254(45質量部)と前記例示化合物A−1(4.5質量部)をジメチルスルホキシド(DMSO)(953質量部)に添加し攪拌した。この溶液に28質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(30体積部)を添加し、顔料溶液Aを調製した。一方、水(4000質量部)を顔料不溶性溶媒Bとして調製した。
前記顔料不溶性溶媒Bを30℃で藤沢製薬工業社製GK−0222−10型ラモンドスターラー(商品名)により500rpmで攪拌しながら、該顔料不溶性溶媒Bに前記顔料溶液Aを日本精密科学社製NP−KX−500型大容量無脈流ポンプ(商品名)で流速100mL/minで注入して有機顔料ナノ粒子を晶析させ、水性有機ナノ水性分散液を得た。この顔料分散液を、日機装社製ナノトラックUPA−EX150を用いて、粒径を測定した。
この顔料分散液のpHをpH試験紙(ADVANTEC社製)で測ったところ、12であり、これをpHが3になるまで濃塩酸を添加し、中和した。生じた凝集体を光学顕微鏡で観察した。
ろ紙(ADVANTEC社製、No.2)により上述の凝集体をろ取し、この時のろ過に要する時間を測定した。ろ取した有機ナノ顔料については、水(300質量部)で洗浄した。
乳酸エチル300質量部に非水性分散剤C−1(前記例示高分子化合物C−1)を80質量部添加した溶液を、上記顔料ナノ粒子濃縮ペーストに加え、ディソルバーで1500rpm・60分攪拌後、酢酸エチル25質量部を添加し、さらにディゾルバーで500rpm・10分攪拌し顔料ナノ粒子乳酸エチル分散液Aを得た。上記顔料ナノ粒子乳酸エチル分散液Aをエバポレーターにて溶剤除去することにより本発明の有機顔料粉末Aを得た。
前記有機顔料粉末Aを用い、下記組成の顔料分散組成物Aを調製した。
前記有機顔料粉末A 1質量部
1−メトキシ−2−プロピルアセテート 4質量部
上記組成の顔料分散組成物AをモーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで1時間分散し、有機顔料ナノ粒子の顔料分散組成物Aを得た。
得られた顔料分散組成物について下記の評価を行なった。結果を表1に示す。
(1)有機ナノ粒子水性分散液の平均粒径
日機装社製ナノトラックUPA−EX150を用いて、数平均粒径を測定した。
(2)凝集体の直径
凝集体を光学顕微鏡で観察し、別途観察したモノサシを参考に凝集体の直径を測定した。ここでいう凝集体の直径については、凝集体の端から端の長さを測定し、その長さが最も長いところを直径と定義した。ここでいう凝集体とは、本来肉眼では見ることができない一次粒子であるナノ粒子が、より集まって大きく成長して二次粒子になったものである。
(3)ろ過時間
直径9cmのヌッチェとろ紙(アドバンテック社製、No.2(商品名))を用いて、アスピレーターで減圧ろ過することにより顔料1g当たりのろ過時間を測定した。
(4)コントラスト評価
得られた顔料分散組成物A〜Fを、それぞれガラス基板上に厚みが2μmになるように塗布し、サンプルを作製した。バックライトユニットとして3波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)社製FWL18EX−N)に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板((株)サンリツ社製の偏光板HLC2−2518)の間にこのサンプルを置き、偏光軸が平行のときと、垂直のときとの透過光量を測定し、その比をコントラストとした(「1990年第7回色彩光学コンファレンス、512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」等参照。)。2枚の偏光板、サンプル、色彩輝度計の設置位置は、バックライトから13mmの位置に偏光板を、40mm〜60mmの位置に直径11mm長さ20mmの円筒を設置し、この中を透過した光を、65mmの位置に設置した測定サンプルに照射し、透過した光を、100mmの位置に設置した偏光板を通して、400mmの位置に設置した色彩輝度計で測定した。色彩輝度計の測定角は2°に設定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が1280cd/mになるように設定した。
<実施例1−2>
実施例1−1の非水性分散剤C−1の代わりに下記非水性分散剤C−9(前記例示高分子化合物C−9)を用いて、実施例1−1と同様の操作を行った。得られた有機ナノ粒子非水性分散液を顔料分散組成物Bとも言う。顔料分散組成物Bについて実施例1−1と同様の評価試験を行った結果を表1に示す。
<実施例1−3>
実施例1−2の前記例示化合物A−1の添加の際、ポリビニルピロリドン(K−25、商品名、和光純薬工業社製、90質量部)も一緒に添加して、実施例1−1と同様の操作を行った。得られた有機ナノ粒子非水性分散液を顔料分散組成物Cとも言う。顔料分散組成物Cについて実施例1−1と同様の評価試験を行った結果を表1に示す。
<実施例1−4>
実施例1−1の前記例示化合物A−1の代わりにA−4を用いて、実施例1−1と同様の操作を行った。得られた有機ナノ粒子非水性分散液を顔料分散組成物Dとも言う。顔料分散組成物Bについて実施例1−1と同様の評価試験を行った結果を表1に示す。
<比較例1−1>
実施例1−1の前記例示化合物A−1の代わりに、ポリビニルピロリドン(K−25、商品名、和光純薬工業社製、90質量部)を添加して、前記例示高分子化合物C−1の代わりにメタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体を用いた他は、実施例1−1と同様の操作を行った。ただし、単離については、ろ紙(アドバンテック社製フィルタペーパーNo.2(商品名))では顔料が漏れてしまったため、フィルタ(アドバンテック社製H010A047A、商品名)で行った。
得られた有機ナノ粒子非水性分散液を顔料分散組成物Eとも言う。顔料分散組成物Eについて実施例1−1と同様の評価試験を行った結果を表1に示す。
<比較例1−2>
実施例1−1と同様な操作で水性顔料分散液を調製し、pH操作を行わずに単離を行い、そのろ過時間を評価した。結果は表1に示す。ろ紙(アドバンテック社製フィルタペーパーNo.2(商品名))でろ過を行ったところ、顔料が漏れてしまったため、代わりにフィルタ(アドバンテック社製H010A047A、商品名)でろ過して分散組成物Fを調製した。
[表1]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔料分散 一次粒子径 凝集体 ろ過時間 コントラスト
組成物 (nm) の直径 (顔料1g当り)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
A 36 100μm以上 4分 13000
B 36 100μm以上 3分 14000
C 30 100μm以上 5分 14500
D 35 100μm以上 4分 13500
E 38 1μm以下 10時間 12000
F 36 − 4時間 −
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表1に示すように、本発明の酸性分散助剤によれば水性分散液において一度微粒子を凝集させ、有機溶媒に媒体を切り換えて再分散させた非水性分散物において高いコントラストを実現し、しかもろ過性が極めて良く単離時間を大幅に低減し、所望の分散物及びカラーフィルタの特性及び生産性を格段に向上させることが分かる。
<実施例2>
以下、着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタの作製方法を説明する。
〔ブラック(K)画像の形成〕
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。該基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
該基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、下記表2に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置;東京応化工業(株)社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃で3分間プリベークして膜厚2.4μmの感光性樹脂層K1を得た。
[表2]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 K 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
K顔料分散物1(カーボンブラック) 25
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 8.0
メチルエチルケトン 53
バインダー2 9.1
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.002
DPHA液 4.2
重合開始剤A 0.16
界面活性剤1 0.044
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
超高圧水銀灯を有すプロキシミティ型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量300mJ/cmでパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、該感光性樹脂層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)にて23℃で80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、ブラック(K)の画像Kを得た。引き続き、220℃で30分間熱処理した。
〔レッド(R)画素の形成〕
前記画像Kを形成した基板に、下記表3に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物R1を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済み画素Rを形成した。該感光性樹脂層R1の膜厚及び顔料(C.I.P.R.254及びC.I.P.R.177)の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 1.60
顔料塗布量(g/m) 1.00
C.I.P.R.254塗布量(g/m) 0.70
C.I.P.R.177塗布量(g/m) 0.30
[表3]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
R顔料分散物1(C.I.P.R254) 35
R顔料分散物2(C.I.P.R177) 6.8
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.6
メチルエチルケトン 37
バインダー1 0.7
DPHA液 3.8
重合開始剤B 0.12
重合開始剤A 0.05
フェノチアジン 0.01
界面活性剤1 0.06
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
〔グリーン(G)画素の形成〕
前記画像Kと画素Rを形成した基板に、下記表4に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物G1を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済み画素Gを形成した。該感光性樹脂層G1の膜厚及び顔料(C.I.P.G.36及びC.I.P.Y.150)の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 1.60
顔料塗布量(g/m) 1.92
C.I.P.G.36塗布量(g/m) 1.34
C.I.P.Y.150塗布量(g/m) 0.58
[表4]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
G顔料分散物1(C.I.P.G36) 28
Y顔料分散物1(C.I.P.Y150) 15
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 29
メチルエチルケトン 26
シクロヘキサノン 1.3
バインダー2 2.5
DPHA液 3.5
重合開始剤B 0.12
重合開始剤A 0.05
フェノチアジンン 0.01
界面活性剤1 0.07
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
〔ブルー(B)画素の形成〕
前記画像K、画素R及び画素Gを形成した基板に、下記表5に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物B1を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済み画素Bを形成し、目的のカラーフィルタAを得た。
該感光性樹脂層B1の膜厚及び顔料(C.I.P.B.15:6及びC.I.P.V.23)の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 1.60
顔料塗布量(g/m) 0.75
C.I.P.B.15:6塗布量(g/m) 0.45
C.I.P.V.23塗布量(g/m) 0.30
〔表5〕
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
B顔料分散物1(C.I.P.B.15:6) 15.0
V顔料分散組成物1(C.I.P.V.23) 7.5
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 28
メチルエチルケトン 26
バインダー3 17
DPHA液 4.0
重合開始剤B 0.17
フェノチアジン 0.02
界面活性剤1 0.06
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ここで、上記表2〜5に記載の着色感光性樹脂組成物K1、R1、G1、B1の調製についてさらに詳細に説明する。
着色感光性樹脂組成物K1は、まず表2に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表2に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、重合開始剤(2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン)、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得た。
尚、表2に記載の組成物の内、下記成分についてその組成を以下に示した。
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック(商品名:Nipex 35、デグサ ジャパン(株)社製)
13.1質量部
・顔料分散剤A(特開2000−239554号公報に従い合成した下記化合物C−1) 0.65質量部
(特開2000−239554号公報を参照して下さい。)
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53質量部
<界面活性剤1>
(メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業(株)社製))
・C13CHCHOCOCH=CH:40質量部と
H(OCH(CH)CHOCOCH=CH:55質量部と
H(OCHCHOCOCH=CH:5質量部との共重合体(分子量3万)
30質量部
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量部
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)社製、商品名:KAYARAD DPHA) 76質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24質量部
着色感光性樹脂組成物R1は、まず表3に記載の量の顔料分散物1、R顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表3に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー1、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpmで30分間攪拌し、更に、表3に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
尚、表3に記載の組成物の内、顔料分散物1、2は国際公開第WO2006/121016号パンフレットの実施例1に記載の方法を用いて、その組成が下記質量部となるようにしてそれぞれ調製したものである。
<R顔料分散物1>
・顔料分散組成物A
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3万)
15質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 62.5質量部
<バインダー1>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=38/25/37モル比のランダム共重合物、分子量4万)27質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量部
<R顔料分散物2>
・C.I.P.R.177(商品名:Cromophtal Red A2B、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製) 22.5質量部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3万)
15質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 62.5質量部
着色感光性樹脂組成物G1は、まず表3に記載の量のG顔料分散物1、Y顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表3に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー2、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpmで30分間攪拌し、更に、表3に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
尚、表6に記載の組成物のうち、G顔料分散物1は、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)社製の「商品名:GT−2」を用いた。Y顔料分散物1は、御国色素(株)社製の「商品名:CFエロ−EX3393」を用いた。
着色感光性樹脂組成物B1は、まず表5に記載の量のB顔料分散物1、B顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表2−5に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌し、更に、表2−5に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
尚、表5に記載の組成物のうち、B顔料分散物1は、御国色素(株)社製の「商品名:CFブル−EX3357」を用いた。V顔料分散物として、御国色素(株)社製 CFブルーEX3383を用いた。
バインダー3の組成は、以下のとおりである。
<バインダー3>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート=36/22/42モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 27質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量部
以上のようにして、カラーフィルタAを作製した。カラーフィルタAでR顔料分散物1として用いた顔料分散組成物AをB〜Eに、それぞれ置き換えるほかはカラーフィルタAと同様の操作でカラーフィルタB〜Eを作製した。
それぞれのカラーフィルタについて前記コントラストの測定と同様にしてコントラストを測定した結果を表6に示した。
〔表6〕
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
コントラスト 備考
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カラーフィルタA 12000 本発明
カラーフィルタB 13700 本発明
カラーフィルタC 14000 本発明
カラーフィルタD 12600 本発明
カラーフィルタE 11200 比較例
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上記の結果から本発明のカラーフィルタは、いずれもコントラストが高く、良好なカラーフィルタであった。
<実施例3>
カラーフィルタA〜Eを用いて液晶表示装置を作製し表示特性の評価を行った。
(ITO電極の形成)
カラーフィルタが形成されたガラス基板をスパッタ装置に入れて、100℃で1300Å厚さのITO(インヂウム錫酸化物)を全面真空蒸着した後、240℃で90分間アニールしてITOを結晶化しITO透明電極を形成した。
(スペーサの形成)
特開2004−240335号公報の[実施例1]に記載のスペーサ形成方法と同様の方法で、上記で作製したITO透明電極上にスペーサを形成した。
(液晶配向制御用突起の形成)
下記のポジ型感光性樹脂層用塗布液を用いて、前記スペーサを形成したITO透明電極上に液晶配向制御用突起を形成した。
但し、露光、現像、及び、ベーク工程は、以下の方法を用いた。
所定のフォトマスクが感光性樹脂層の表面から100μmの距離となるようにプロキシミティ露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー150mJ/cmでプロキシミティ露光した。
続いて、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃で30秒間基板に噴霧しながら現像した。こうして、感光性樹脂層の不要部(露光部)を現像除去することにより、カラーフィルタ側基板上に、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる液晶配向制御用突起が形成された液晶表示装置用基板を得た。
次いで、該液晶配向制御用突起が形成された液晶表示装置用基板を230℃下で30分ベークすることにより、液晶表示装置用基板上に硬化された液晶配向制御用突起を形成した。
<ポジ型感光性樹脂層用塗布液処方>
・ポジ型レジスト液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)社製FH−2413F) : 53.3質量部
・メチルエチルケトン : 46.7質量部
・メガファックF−780F(大日本インキ化学工業(株)社製)
: 0.04質量部
上記で得られた液晶表示装置用基板上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置にエポキシ樹脂のシール剤を印刷すると共に、MVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板を熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリツ社製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、3波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)社製FWL18EX−N)のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
比較例のカラーフィルタを用いた液晶表示装置に対して、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は黒のしまりおよび赤の描写力に優れ、良好な表示特性を示すことを確認した。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする酸性分散助剤。
    Figure 2009084417
    (式中、Aは窒素原子によりカルボニル基と連結する複素環基を表す。Xは、置換基を有してもよい炭素原子数2〜10の2価のアルキレン基、エーテル基、又はポリエーテル基を表す。)
  2. 水性分散物から媒体を切り換えて得た非水性分散物中で、非水性分散剤とともに有機顔料ナノ粒子に分散性を付与することを特徴とする請求項1記載の酸性分散助剤。
  3. 有機顔料ナノ粒子と水と請求項1に記載の酸性分散助剤とを含む水性分散物であって、
    前記有機顔料ナノ粒子が、良溶媒に有機顔料を溶解させた有機顔料溶液と、前記良溶媒と相溶し前記有機顔料に対する貧溶媒とを混合させ、その混合液中に前記酸性分散助剤の存在下で前記有機顔料をナノメートルサイズの微粒子として析出させたものであることを特徴とする有機顔料ナノ粒子の水性分散物。
  4. 前記有機顔料ナノ粒子の一次粒子の平均粒径が10〜500nmであることを特徴とする請求項3記載の有機顔料ナノ粒子の水性分散物。
  5. 請求項3又は4に記載の水性分散物のpHを変化させ、前記有機顔料ナノ粒子を再分散可能な凝集状態とした有機顔料ナノ粒子の凝集体。
  6. 請求項5記載の凝集体の凝集を解き非水性媒体に再分散させた有機顔料ナノ粒子の非水性分散物。
  7. 数平均分子量1000以上の高分子化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項6に記載の有機顔料粒子の非水性分散物。
  8. 請求項6又は7に記載の非水性分散物と、バインダーと、モノマーもしくはオリゴマーと、光重合開始剤もしくは光重合開始剤系とを少なくとも含有させたことを特徴とする着色感光性樹脂組成物。
  9. 請求項8に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて作製したことを特徴とするカラーフィルタ。
  10. 請求項9に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
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