JP5611531B2 - 加工顔料、顔料分散組成物、光硬化性組成物、カラーフィルタ、及びカラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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一般に、顔料の1次粒子の微細化は、顔料、水溶性の無機塩、該無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤をニーダー等で機械的に混練する方法(ソルトミリング法)がよく知られている。この方法では、先ず、得られた微細顔料の1次粒子の混合物を水中に投入し、ミキサー等で撹拌しスラリー状とする。次に、このスラリーをろ過、水洗して乾燥することにより、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体として微細顔料が得られる。更に、サンドミル、ボールミル等の通常の分散機で分散を行い、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体をほぐして1次粒子に近い状態の分散体を得る。
また、分散工程時に複素環を有する高分子化合物を、分散剤として顔料の分散工程で使用し、分散安定性に優れ、高いコントラストのカラーフィルタ用着色パターンを形成しうる顔料分散組成物、光硬化性組成物、及びカラーフィルタを得ようとする技術も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、これらの方法によっても、更に高くなる市場からのコントラストの要求に応じることはできず、微細な顔料における更に高度な分散性及び分散安定性が望まれていた。
即ち、本発明の第1の目的は、2次凝集体の形成を抑制して、1次粒子の状態で分散させることができ、且つ分散後においても1次粒子の状態を安定に維持できる加工顔料を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、前記加工顔料を含み、該加工顔料の分散性及び分散安定性に優れた顔料分散組成物、及び、そのような顔料分散組成物を含み、コントラストに優れた着色硬化膜を形成しうる光硬化性組成物を提供することにある。
さらに、本発明の第3の目的は、前記光硬化性組成物を用いて形成され、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく色特性に優れた着色領域を有するカラーフィルタ及びその製造方法を提供することにある。
<1> 下記(1)〜(4)から選択される少なくとも1種の、塩基性窒素原子を有する高分子化合物で顔料を被覆してなる加工顔料。
(1)数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有し、且つ、炭素数2〜6のアルキレン基を有するポリ(アルキレンイミン)
(2)数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有するポリアリルアミン
(3)数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有するポリビニルアミン
(4)エステル部に塩基性窒素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピリジン、及びアミノスチレンから選択される1種以上のモノマーに由来する構成単位を含み、且つ、数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有する高分子化合物
<2> 前記数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖が、ポリカプロラクトンである<1>に記載の加工顔料。
<3> 平均1次粒子径が5nm〜25nmの範囲である<1>又は<2>に記載の加工顔料。
<4> 前記顔料が、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含む顔料である<1>〜<3>のいずれか1に記載の加工顔料。
<5> <1>〜<4>のいずれか1に記載の加工顔料を、有機溶剤中に分散してなる顔料分散組成物。
<6> 更に、顔料分散剤を含む<5>に記載の顔料分散組成物。
<7> <5>又は<6>に記載の顔料分散組成物と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する光硬化性組成物。
<8> <7>に記載の光硬化性組成物を用いて形成された着色領域を有するカラーフィルタ。
<9> <7>に記載の光硬化性組成物を直接又は他の層を介して基板上に付与して感光性膜を形成する工程と、前記形成された感光性膜にパターン露光及び現像を順次行なうことにより着色領域を形成する工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
<10> 1−メトキシ−2−プロパノールで洗浄したときの塩基性窒素原子を有する高分子化合物の遊離量が30質量%以下である<1>〜<4>のいずれか1に記載の加工顔料。
<11> 前記塩基性窒素原子を有する高分子化合物を、顔料の微細化工程で添加して製造したことを特徴とする<1>〜<4>、及び<10>のいずれか1に記載の加工顔料。
<12> 前記塩基性窒素原子を有する高分子化合物の重量平均分子量が、1,000〜100,000の範囲であることを特徴とする<1>〜<4>、<10>及び<11>のいずれか1に記載の加工顔料。
即ち、本発明の塩基性窒素原子を有する高分子化合物を顔料処理に使用すると、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、或いは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めることができると考えられる。そのため分散工程において、1次粒子に近い状態の分散体を得ることができ、コントラストの高いカラーフィルタ及び色濃度ムラの小さいカラーフィルタを得ることができる。
一方、特許文献3に開示された複素環を有する高分子化合物を、分散工程で顔料分散剤として使用した場合は、顔料への吸着が不十分なため、これらの効果が十分に発現できないので、これらの性能の改善には至るものではない。
また、本発明によれば、前記加工顔料を含み、該加工顔料の分散性及び分散安定性に優れた顔料分散組成物、及び、そのような顔料分散組成物を含み、コントラストに優れた着色硬化膜を形成しうる光硬化性組成物を提供することができる。
さらに、本発明によれば、前記光硬化性組成物を用いて形成され、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく色特性に優れた着色領域を有するカラーフィルタ及びその製造方法を提供することができる。
本発明の加工顔料は、塩基性窒素原子を有する高分子化合物で顔料を被覆してなる加工顔料であって、かかる塩基性窒素原子を有する高分子化合物が、下記(1)〜(4)から選択される少なくとも1種の高分子化合物であることを特徴とする。
(1)数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有し、且つ、炭素数2〜6のアルキレン基を有するポリ(アルキレンイミン)
(2)数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有するポリアリルアミン
(3)数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有するポリビニルアミン
(4)エステル部に塩基性窒素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピリジン、及びアミノスチレンから選択される1種以上のモノマーに由来する構成単位を含み、且つ、数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有する高分子化合物
平均1次粒子径は、SEMあるいはTEMで観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求める。
まず、i)有機顔料とii)水溶性の無機塩の混合物に、湿潤剤として少量のiii)水溶性の有機溶剤を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌しスラリーとする。
次に、このスラリーを濾過、水洗して必要により乾燥することにより、微細化され、且つ塩基性窒素原子を有する高分子化合物により被覆された顔料が得られる。
なお、iv)塩基性窒素原子を有する高分子化合物を加えるタイミングは、ソルトミリング工程の初期にすべてを添加してもよく、分割して添加してもよい。
本発明の加工顔料において、塩基性窒素原子を有する高分子化合物による被覆対象である顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を適宜選択して用いることができる。
顔料としては、本発明の加工顔料がカラーフィルタの着色領域の形成に好適に用いられるものであり、カラーフィルタは高透過率であることが好ましいこと等を考慮すると、有機顔料が好ましく、また、なるべく粒子径の小さいものを使用することが好ましい。
顔料の粒子径は、加工顔料の粒子径を考慮して選択される。
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214
C.I. Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73
C.I. Pigment Green 7、10、36、37
C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79のCl置換基をOHに変更したもの、80
C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、32、37、42
C.I.Pigment Brown 25、28
C.I.Pigment Black 1、7 等を挙げることができる。
C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.Pigment Orange 36,71,
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264,
C.I.Pigment Violet 19,23,32,
C.I.Pigment Blue 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.Pigment Green 7,36,37;
C.I.Pigment Black 1、7
有機顔料の好適な態様の一つは、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンである。
ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、これを単独で用いてもよいし、又はポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンと従来公知の有機顔料とを組み合わせて用いてもよい。
平均一次粒子径が上記範囲にあるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを用いて得られた本発明の加工顔料により、分散性及び分散性安定性、着色力に優れた顔料分散組成物が得られ、この顔料分散組成物を含んでなる光硬化性組成物を用いることで、輝度が高く、コントラストの高い画素部を有するカラーフィルタを得ることができる。
例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独又はそれらの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料、ジケトピロロピロール系赤色顔料と、の混合物などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー139又はC.I.ピグメント・レッド177との混合物が好ましい。また、赤色顔料と他顔料との質量比は、100:5〜100:80が好ましい。100:4以下では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることが出来ない場合がある。また100:81以上では発色力が下がる場合がある。特に、上記質量比としては、100:10〜100:65の範囲が最適である。尚、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:70以下である。
また、カーボンブラックとチタンブラックとの質量比は、分散安定性の観点から、100:0〜100:60の範囲が好ましい。
水溶性無機塩は、水に溶解する無機塩であれば特に限定されず、例えば、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができる。価格の点からは、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
ソルトミリングする際に用いる水溶性無機塩の量は、処理効率と生産効率の両面から、有機顔料の1〜30質量倍、特に5〜25質量倍であることが好ましい。有機顔料に対する水溶性無機塩の量比が大きいほど微細化効率が高いが、1回の顔料の処理量が少なくなるためである。
なお、ここで、水溶性無機塩における水溶性とは、20℃の水に1質量%以上溶解することを意味する。
水溶性有機溶剤は、有機顔料等の顔料、水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。但し、ソルトミリング時においては、温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、水溶性有機溶剤としては、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。
iii)水溶性有機溶剤はソルトミリング初期に全てを添加しても良いし、分割して添加してもよい。水溶性有機溶剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
塩基性窒素原子を有する高分子化合物(以下、適宜、「特定高分子化合物」と称する)としては、その分子構造中に塩基性窒素原子を有するものであれば特に制限はない。
ここで、塩基性窒素原子とは、炭素原子のみと結合し、未酸化の状態であり、孤立電子対1個を有する窒素原子を指す。
(1)炭素数2〜6のアルキレン基を有するポリ(アルキレンイミン)
(2)ポリアリルアミン
(3)ポリビニルアミン
(4)エステル部に塩基性窒素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピリジン、及びアミノスチレンから選択される1種以上のモノマーに由来する構成単位を含む高分子化合物
本発明では、(1)炭素数2〜6のアルキレン基を有するポリ(アルキレンイミン)、(2)ポリアリルアミン、(3)ポリビニルアミン、及び、(4)エステル部に塩基性窒素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピリジン、及びアミノスチレンから選択される1種以上のモノマーに由来する構成単位を含む高分子化合物は、いずれも、数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有するものを適用する。
ここで、本発明における直鎖状高分子とは、塩基性窒素原子を高分子鎖中に有する直鎖状の高分子を意味するが、当該直鎖状高分子同士がその構造の一部において互いに架橋したものも本発明における直鎖状高分子に包含される。
また、本発明におけるグラフト型高分子とは、塩基性窒素原子を有する高分子鎖とそれとは異なる他の高分子鎖とがグラフト結合した構造を有するものを意味する。
特定高分子化合物が、直鎖状高分子である場合、該高分子化合物としては、炭素数2〜6のアルキレン基を有するポリ(アルキレンイミン)、ポリアリルアミン、及びポリビニルアミンから選択される高分子化合物、又は、エステル部に塩基性窒素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピリジン、及びアミノスチレンから選択される1種以上のモノマーに由来する構成単位を含む高分子化合物であって、且つ直鎖状の高分子構造を有するものが好ましい。
ポリ(低級アルキレンイミン)としては、下記一般式(I−1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物が好適に挙げられる。
Xで表されるpKaが14以下である官能基として、具体的には、例えば、カルボン酸基(pKa:3〜5程度)、スルホン酸基(pKa:−3〜−2程度)、−COCH2CO−(pKa:8〜10程度)、−COCH2CN(pKa:8〜11程度)、−CONHCO−、フェノール性水酸基、−RFCH2OH又は−(RF)2CHOH(RFはペルフルオロアルキル基を表す、pKa:9〜11程度))、スルホンアミド基(pKa:9〜11程度)等が挙げられ、カルボン酸基(pKa:3〜5程度)、スルホン酸基(pKa:−3〜−2程度)、−COCH2CO−(pKa:8〜10程度)が好ましく、導入のし易さから特にカルボン酸基が好ましい。
このような、酸基を有するモノマーを用いることで、本発明の加工顔料を含む顔料分散組成物を、カラーフィルタ作製などに適用される光硬化性組成物に適用した場合において、未露光部の現像除去性に優れたものとなる。
特定高分子化合物が、グラフト型高分子である場合、該高分子化合物としては、数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有するものであることが好ましい。また、該オリゴマー鎖又はポリマー鎖としては、良好な分散性を得られるという観点から、ポリカプロラクトンであることが好ましい。
オリゴマー鎖又はポリマー鎖の数平均分子量はGPC法によるポリスチレン換算値により測定することができる。
グラフト型高分子である特定高分子化合物として、特に好適な態様は、ポリ(低級アルキレンイミン)、ポリアリルアミン、又はポリビニルアミンと、オリゴマー鎖又はポリマー鎖とが結合してなる高分子化合物(以下、「グラフト型高分子(1)」とも称する)、及び、エステル部に塩基性窒素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピリジン、及びアミノスチレンから選択される少なくとも1種のモノマーと、少なくとも重合性オリゴマー(マクロモノマー)とを共重合してなる高分子化合物(以下、「グラフト型高分子(2)」とも称する)であることが好ましい。
重合性オリゴマー(マクロモノマー)の合成方法としては、特表平9−507255号、特表2001−518530号、特開2005−298401号、特表2006−521442号の各公報に記載の方法が挙げられる。また、特開2007−63461号公報に記載のヒドロキシ(メタ)アクリレートにカプロラクトンを連結させる方法や、特表2003−531001号公報に記載のヒドロキシ(メタ)アクリレートにカプロラクトンを連結した後に酸クロリドを反応させる方法なども挙げられる。
グラフト型高分子(2)を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合してもよい。
また、ラジカル重合に際しては、ラジカル重合開始剤を使用することができる。また、さらに連鎖移動剤(例、2−メルカプトエタノール及びドデシルメルカプタン)を使用することができる。
即ち、本発明の加工顔料を含む顔料分散組成物を光硬化性組成物に適用した場合において、現像液中での析出物の生成抑制という点では、酸基を有するモノマーに由来する重合単位の含有量は50mgKOH/g以上であることが好ましい。酸価が200mgKOH/g以上であると酸基間の凝集が強くなり、加工顔料間の凝集が生じ、分散性が劣化し、となって好ましくない。顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、或いは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、酸基を有するモノマーに由来する共重合単位の含有量は上記範囲が好ましい
さらに、特定高分子化合物は、該高分子化合物の塩基性や親疎水性、分子量を適宜調整することで、顔料への被覆されやすさ、分散安定性を調整することができる。
以上の観点からは、塩基性窒素原子を有する高分子化合物としては、前述した特定高分子化合物の中でも、特に、ポリ(低級アルキレンイミン)、塩基性窒素原子を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む高分子化合物が好ましい。
乾燥した加工顔料を得る場合には、他の高分子化合物は室温で固体であることが好ましい。
即ち、顔料を溶解する溶剤(例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、蟻酸、硫酸など)で、加工顔料全体を溶解した後に、高分子化合物と顔料とに、溶解性の差を利用して有機溶剤で分離して、「初期の処理に使用した高分子化合物の質量」として算出する。別途、加工顔料を1−メトキシ−2−プロパノールで洗浄して、得られた上記の遊離量を、この「初期の処理に使用した高分子化合物の質量」で除して遊離率(%)を求める。
遊離率は小さいほど顔料への被覆率が高く、分散性、分散安定性が良好である。遊離率の好ましい範囲は30%以下、より好ましくは20%以下、最も好ましくは15%以下である。理想的には0%である。
次に、前記本発明の加工顔料を用いた本発明の顔料分散組成物について説明する。
本発明の顔料分散組成物は、上記した本発明の加工顔料を有機溶剤中に分散してなる。
また、本発明の加工顔料を有機溶剤中に分散する際には、顔料誘導体、分散剤を適宜必要に応じて使用することも好ましい態様である。
本発明の顔料分散組成物における有機溶剤としては、有機溶剤であれば特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びこれらの酢酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、及びその酢酸エステル類、酢酸エステル類、メチルエチルケトン、などが好ましい。
本発明の顔料分散組成物には、必要に応じて、顔料誘導体が添加される。
分散剤と親和性のある部分、或いは、極性基を導入した顔料誘導体を、加工顔料の表面に吸着させ、これを分散剤の吸着点として用いることで、加工顔料を微細な粒子として顔料分散組成物中に分散させることができ、また、その再凝集を防止することができる。
この顔料分散組成物をカラーフィルタの製造に適用することで、透過率が高く、優れた色特性を有し、高いコントラストのカラーフィルタを得ることができる。
本発明の顔料分散組成物には、加工顔料の分散性をより向上させる目的で、従来から公知の顔料分散剤や界面活性剤等の分散剤を加えることもできる。
公知の分散剤(顔料分散剤)としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造からさらに直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
グラフト型高分子については、特に制限されないが、特開昭54−37082号公報、特開昭61−174939号公報などに記載のポリアルキレンイミンとポリエステル化合物を反応させた化合物、特開平9−169821号公報に記載のポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステルで修飾した化合物、特開昭60−166318号公報に記載のポリエステルポリオール付加ポリウレタン等が好適に挙げられ、更に、特開平9−171253号公報や、マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー出版部、1989年)などにあるように、重合性オリゴマー(以下、マクロモノマーと称する)を共重合成分とするグラフト型高分子も好適に挙げることができる。また、顔料に吸着して、良好な分散性を与えるという点において、特開2003−238837に記載の有機色素部分を有するグラフト型高分子が好ましい。
末端変性型高分子としては、例えば、特開平9−77994号公報や、特開2002−273191号公報、特開2007−277514公報、特開2007−140487公報などに記載されているポリマーの末端に官能基を有する高分子を挙げることができる。
ブロック型高分子としては、特に限定されないが、顔料吸着ブロックと、顔料に吸着しないブロックとからなるブロック型高分子が挙げられる。
顔料吸着ブロックを構成する単量体としては、特に制限されないが、例えば、顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーが挙げられる。具体的には、有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマー、酸性基を有するモノマー、塩基性窒素原子を有するモノマーなどを挙げることができる。
本発明の顔料分散組成物は、各種の混合機、分散機を使用して混合分散する混合分散工程を経ることによって、調製することができる。
なお、混合分散工程は、混練分散とそれに続けて行う微分散処理からなるのが好ましいが、混練分散を省略することも可能である。
本発明の光硬化性組成物は、既述の本発明の顔料分散組成物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを含んでなり、更に、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
本発明の光硬化性組成物は、前記した本発明の顔料分散組成物の少なくとも一種を用いて構成されるものである。光硬化性組成物を構成する本発明の顔料分散組成物の詳細については、既述の通りである。
本発明の光硬化性組成物中における顔料分散組成物の含有量としては、光硬化性組成物の全固形分(質量)に対して、加工顔料の含有量が5質量%〜70質量%の範囲となる量が好ましく、15質量%〜60質量%の範囲となる量がより好ましい。顔料分散組成物の含有量がこの範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
本発明の光硬化性組成物は、少なくとも1種の重合性化合物を含有する。
本発明に用いることができる重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましく、中でも4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
重合性化合物の光硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分100質量部に対して、3〜55質量部が好ましく、より好ましくは10〜50質量部である。重合性化合物の含有量が前記範囲内であると、硬化反応が充分に行なえる。
光重合開始剤としては、例えば、特開平57−6096号公報に記載のハロメチルオキサジアゾール、特公昭59−1281号公報、特開昭53−133428号公報等に記載のハロメチル−s−トリアジン等活性ハロゲン化合物、米国特許USP−4318791、欧州特許公開EP−88050A等の各明細書に記載のケタール、アセタール、又はベンゾインアルキルエーテル類等の芳香族カルボニル化合物、米国特許USP−4199420明細書に記載のベンゾフェノン類等の芳香族ケトン化合物、Fr−2456741明細書に記載の(チオ)キサントン類又はアクリジン類化合物、特開平10−62986号公報に記載のクマリン類又はロフィンダイマー類等の化合物、特開平8−015521号公報等のスルホニウム有機硼素錯体等、等を挙げることができる。
また、これらの光重合開始剤を併用することもできる。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
このほか、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明の光硬化性組成物は、一般に、前述の各成分と共に溶剤を用いることで、好適に調製することができる。
溶剤としては、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、等が挙げられる。
溶剤は、単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の光硬化性組成物には、必要に応じて、フッ素系有機化合物、熱重合開始剤、熱重合成分、熱重合防止剤、着色剤、光重合開始剤、その他充填剤、上記のアルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
フッ素系有機化合物を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に流動性)を改善でき、塗布厚の均一性や省液性を改善することができる。すなわち、基板と塗布液との界面張力を低下させて基板への濡れ性が改善され、基板への塗布性が向上するので、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成が可能である点で有効である。
フッ素系有機化合物としては、末端、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキル又はフルオロアルキレン基を有する化合物を好適に用いることができる。具体的市販品としては、例えばメガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同780、同781、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(大日本インキ(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105,7000,950,7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭ガラス(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(JEMCO(株)製)などである。
本発明の光硬化性組成物には、熱重合開始剤を含有させることも有効である。熱重合開始剤としては、例えば、各種のアゾ系化合物、過酸化物系化合物が挙げられ、前記アゾ系化合物としては、アゾビス系化合物を挙げることができ、前記過酸化物系化合物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどを挙げることができる。
本発明の光硬化性組成物には、熱重合成分を含有させることも有効である。必要によっては、塗膜の強度を上げるために、エポキシ化合物を添加することができる。エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、脂環式エポキシ化合物などのエポキシ環を分子中に2個以上有する化合物である。例えばビスフェノールA型としては、エポトートYD−115、YD−118T、YD−127、YD−128、YD−134、YD−8125、YD−7011R、ZX−1059、YDF−8170、YDF−170など(以上東都化成製)、デナコールEX−1101、EX−1102、EX−1103など(以上ナガセ化成製)、プラクセルGL−61、GL−62、G101、G102(以上ダイセル化学製)の他に、これらの類似のビスフェノールF型、ビスフェノールS型も挙げることができる。またEbecryl 3700、3701、600(以上ダイセルユーシービー製)などのエポキシアクリレートも使用可能である。クレゾールノボラック型としては、エポトートYDPN−638、YDPN−701、YDPN−702、YDPN−703、YDPN−704など(以上東都化成製)、デナコールEM−125など(以上ナガセ化成製)、ビフェニル型としては3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’ジグリシジルビフェニルなど、脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021、2081、2083、2085、エポリードGT−301、GT−302、GT−401、GT−403、EHPE−3150(以上ダイセル化学製)、サントートST−3000、ST−4000、ST−5080、ST−5100など(以上東都化成製)などを挙げることができる。また1,1,2,2−テトラキス(p−グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(p−グリシジルオキシフェニル)メタン、トリグリシジルトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、o−フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、他にアミン型エポキシ樹脂であるエポトートYH−434、YH−434L、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の骨格中にダイマー酸を変性したグリシジルエステル等も使用できる。
本発明の光硬化性組成物には、塗布性を改良する観点から、各種の界面活性剤を用いて構成することが好ましく、前述のフッソ系界面活性剤の他にノニオン系、カチオン系、アニオン系の各種界面活性剤を使用できる。中でも、前記のノニオン系界面活性剤でパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
本発明の光硬化性組成物には、以上のほかに更に、熱重合防止剤を加えておくことが好ましく、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
そのため、良好な色特性が求められるカラーフィルタの着色領域を形成するために用いられることが好ましい。
本発明のカラーフィルタは、基板上に、前述の本発明の光硬化性組成により形成された着色領域を有することを特徴とする。
ここで、着色領域とは、3色或いは4色の着色パターン(画素部)と、ブラックマトリクスと、の両方を含むものである。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
まず、本発明の光硬化性組成物を、基板上に直接又は他の層を介して付与(好ましくは、回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布)して感光性膜(塗布膜)を形成する(塗布工程)。その後、形成された塗布膜に、所定のマスクパターンを介して露光を行う(露光工程)。露光後、塗布膜の未硬化部を現像液で現像除去する(現像工程)。これらの工程を経ることで、各色(3色或いは4色)の画素からなる着色パターンが形成され、カラーフィルタを得ることができる。
このような方法により、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタをプロセス上の困難性が少なく、高品質で、且つ、低コストに作製することができる。
以下、各工程について詳細に説明する。
まず、塗布工程で用いられる基板について説明する。
本発明のカラーフィルタに用いられる基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコーン基板や、プラスチック基板が挙げられる。
これらの基板上には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されていたり、密着促進等のために透明樹脂層が設けられたりしていてもよい。
また、プラスチック基板は、その表面に、ガスバリヤー層及び/又は耐溶剤性層を有していることが好ましい。
TFT方式液晶駆動用基板における基板としては、例えば、ガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。例えば、TFT方式液晶駆動用基板の表面に、窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を形成した基板を用いることができる。
スリットノズル塗布法において、スリット・アンド・スピン塗布法とスピンレス塗布法は、塗布基板の大きさによって条件は異なるが、例えば、スピンレス塗布法により第五世代のガラス基板(1100mm×1250mm)を塗布する場合、スリットノズルからの光硬化性組成物の吐出量は、通常、500マイクロリットル/秒〜2000マイクロリットル/秒、好ましくは800マイクロリットル/秒〜1500マイクロリットル/秒であり、また、塗工速度は、通常、50mm/秒〜300mm/秒、好ましくは100mm/秒〜200mm/秒である。
また、塗布工程で用いられる光硬化性組成物の固形分としては、通常、10%〜20%、好ましくは13%〜18%である。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタの場合であれば、塗布膜の厚み(プリベーク処理後)は、0.5μm〜5.0μmの範囲が好ましい。
真空乾燥の条件は、真空度が、通常、0.1torr〜1.0torr、好ましくは0.2torr〜0.5torr程度である。
また、プリベーク処理は、ホットプレート、オーブン等を用いて50℃〜140℃の温度範囲で、好ましくは70℃〜110℃程度であり、10秒〜300秒の条件にて行うことができる。なお、プリベーク処理には、高周波処理などを併用してもよい。高周波処理は単独でも使用可能である。
露光工程では、前述のようにして形成された光硬化性組成物からなる塗布膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行う。
露光の際に使用される放射線としては、特に、g線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましい。
なお、液晶表示装置用のカラーフィルタを製造する際には、プロキシミテイ露光機、ミラープロジェクション露光機により、主として、h線、i線を使用した露光が好ましく用いられる。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、ステッパー露光機にて、主として、i線を使用することが好ましい。
なお、TFT方式液晶駆動用基板を用いてカラーフィルタを製造する際には、用いられるフォトマスクは、画素(着色パターン)を形成するためのパターンの他、スルーホール或いはコの字型の窪みを形成するためのパターンが設けられているものが使用される。
現像工程では、露光後の塗布膜の未硬化部を現像液に溶出させ、硬化分のみを基板上に残存させる。
現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間としては20秒〜90秒である。
現像液としては、未硬化部における光硬化性組成物の塗布膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。
具体的には、種々の有機溶剤の組合せやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
また、アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する場合にはパドル現像も用いられる。
リンス工処理は通常は純水で行うが、省液のために、最終洗浄で純水を用い、洗浄初期は使用済の純水を使用したり、また、基板を傾斜させて洗浄したり、超音波照射を併用したりする方法を用いてもよい。
この加熱処理(ポストベーク)は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。
本発明のカラーフィルタは、コントラストが高く、色濃度ムラの小さい、色特性の良好であることから、固体撮像素子又は液晶表示素子に好適に用いることができる。
基板上のブラックマトリックスは、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料の加工顔料を含有する光硬化性組成物を用い、塗布、露光、及び現像の各工程を経て、その後、必要に応じて、ポストベークすることにより形成することができる。
本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子又は固体撮像素子が備えるカラーフィルタとして適用することができる。より具体的には、例えば、カラーフィルタの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間隙部に液晶を満たして密封することにより、液晶表示素子であるパネルが得られる。また、例えば、受光素子上にカラーフィルタを形成することにより、固体撮像素子が得られる。
なお、以下に示す、高分子化合物7、9及び10を用いた加工顔料を含む実施例以外は、いずれも参考例に該当する。
<合成例1:高分子化合物1の合成>
ジメチルアミノエチルメタクリレート 50.0g、メチルメタクリレート 50.0g、及び1−メトキシ−2−プロパノール 233.3gを、窒素置換した三つ口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して90℃まで昇温した。これに2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製V−65)を6.0g加え、90℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を6.0g加え、3時加熱攪拌の後、特定高分子化合物である高分子化合物1の30質量%溶液を得た。
得られた高分子化合物1の重量平均分子量をポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定した結果、2.0万であった。
ビニルピリジン 50.0g、スチレン 50.0g、及び1−メトキシ−2−プロパノール 233.3gを、窒素置換した三つ口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して90℃まで昇温した。これに2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製V−65)を3.9g加え、90℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を3.9g加え、3時加熱攪拌の後、特定高分子化合物である高分子化合物2の30質量%溶液を得た。
得られた高分子化合物の重量平均分子量をポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定した結果、2.5万であった。
特定高分子化合物である高分子化合物3〜7、比較用高分子化合物である高分子化合物C1は、前記高分子化合物1の合成において使用した単量体を、下記表1に記載の組成(wt%)となるように変更した以外は、高分子化合物1の合成と同様にして合成した。
ポリエチレンイミン(SP−018、数平均分子量1,800、日本触媒製)100gと、無水酢酸40gを1−メトキシ−2−プロパノール326gに投入し、120℃で2時間攪拌し、高分子化合物8の30質量%溶液を得た。
特表2003−531001号公報の実施例1に記載の方法に従い、2−ブチルオクタン酸のカプロラクトン10モル付加体とポリエチレンイミンとの縮合体である高分子化合物10を得た。溶媒は、1−メトキシ−2−プロパノール30質量%溶液で行なった。
特表2003−531001号公報の実施例1に記載の方法に従い、2−ブチルオクタン酸のカプロラクトン10モル付加体とポリアリルアミン(PAA−03、数平均分子量3,000、日東紡製)との縮合体である高分子化合物10を得た。溶媒は、1−メトキシ−2−プロパノール30質量%溶液で行なった。
<加工顔料の作製>
表2に記載の顔料50g、塩化ナトリウム500g、特定高分子化合物又は比較用高分子化合物の30%溶液25g、及びジエチレングリコール100gをステンレス製1ガロンニーダー((株)井上製作所製)に仕込み、9時間混練した。次に、この混合物を約3リットルの水中に投入し、ハイスピードミキサーで約1時間撹拌した後に、ろ過、水洗して塩化ナトリウム及び溶剤(ジエチレングリコール)を除き、乾燥して高分子化合物で被覆された実施例及び比較例の各加工顔料を得た。
加工顔料の1次粒子径は、得られた加工顔料を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察することにより求めた。
得られた加工顔料10gを、1−メトキシ−2−プロパノール100mL中に投入し、振とう機にて室温で3時間、振とうさせた。その後、遠心分離機にて、80,000rpm、8時間かけて顔料を沈降させた。上澄み液部分の固形分を乾燥法から求めた。顔料から遊離した高分子化合物の量を求め、処理に使用した高分子化合物との比から、遊離率(%)を算出した。遊離率は小さいほど、高分子化合物の顔料への被覆度が高い。
<顔料>
PR254: C.I.ピグメントレッド254
PR177: C.I.ピグメントレッド177
PG36: C.I.ピグメントグリーン36
PY150: C.I.ピグメントエロー150
PB15:6: C.I.ピグメントブルー15:6
PV23: C.I.ピグメントバイオレット23
ポリ臭素化亜鉛Pc:ZnPcBr10Cl4H2(Pc;フタロシアニン)
<高分子化合物>
高分子化合物1〜10、C1: 前記合成例にて得られた特定高分子化合物及び比較用高分子化合物
高分子化合物C2: ポリウレタン分散剤(商品名:Disperbyk−167、ビックケミージャパン社製)
<顔料分散組成物の調製>
下記組成(1)の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000rpmで3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
・加工顔料(表3記載の各加工顔料) 95部
(但し、比較例2−1は、82.7部とした。)
・下記構造の顔料誘導体A 5部
・分散剤 表3に記載の量
(表3記載の分散剤の30%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート 750部
得られた各顔料分散組成物について下記の評価を行った。結果を表3に示す。
得られた各顔料分散組成物について、E型粘度計を用いて、分散直後の顔料分散組成物の粘度η1、及び、分散後、室温にて1週間経過した後の顔料分散組成物の粘度η2を測定し、増粘の程度を評価した。ここで、粘度が低いことは、分散剤に起因する粘度の上昇が抑制されており、顔料の分散性及び分散安定性が良好であることを示す。
得られた各顔料分散組成物をガラス基板上に塗布し、乾燥後の塗布膜の厚さが1μmになるようにサンプルを作製した。2枚の偏光板の間に、塗布した基板を置き、偏光板が平行時の輝度と直行時の輝度を(BM−5 トプコン社製)にて測定し、コントラスト=平行時の輝度/直行時の輝度で求めた。コントラストが高いことは、顔料が高度に微細化された状態で均一に分散されているため、透過率、即ち着色力が高いことを示す。
D−1:BzMA/A−1/MAA=20/65/15(質量比)、重量平均分子量:2.3万、酸価:100mgKOH/gの重合体
<顔料分散組成物の調製>
下記組成(2)の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000rpmで3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
・加工顔料(表4に記載の各加工顔料) 100部
(但し、比較例2−2、2−3は82.7部とした。)
・分散剤 表4に記載の量
(表4に記載の分散剤の30% 1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート 750部
得られた顔料分散組成物について下記の評価を行った。
評価方法及び評価基準は、実施例2−1の顔料分散組成物に対して行ったものと同じである。結果を表4に示す。
(1)粘度の測定、評価
(2)コントラストの測定、評価
<顔料分散組成物の調製>
下記組成(3)の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000rpmで3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
・加工顔料(表5に記載の加工顔料) 110部
・分散剤 250部
(表5に記載の分散剤の30%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)
・下記構造の顔料誘導体B 20部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート 750部
また、分散剤D−2の詳細は、以下の通りである
D−2: ルーブリゾール社製の「ソルスパース 24000」
上記にて得られた各顔料分散組成物を用いて、下記の光硬化性組成物を調製した。
・顔料分散組成物A(表6のA欄に記載の顔料分散組成物) 2000部
・顔料分散組成物B(表6のB欄に記載の顔料分散組成物) 1000部
・KAYARAD DPHA(光重合性化合物、日本化薬(株)製) 120部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン(光重合開始剤) 50部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=75/35[質量比])共重合体
(重量平均分子量:10,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分30%)(アルカリ可溶性樹脂、 300部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート(溶剤) 390部
得られた光硬化性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、膜厚1.75μmとなるようにスリット塗布し、90℃オーブンで60秒乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面に200mJ/cm2にて(照度20mW/cm2)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて、60秒間シャワー現像した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように露光及び現像が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ用の着色パターン(着色樹脂被膜)を形成し、着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
得られた着色フィルタ基板(カラーフィルタ)について、コントラストの評価を以下のようにして行った。結果を表6に示す。
上記で得られた着色フィルタ基板の着色樹脂被膜の上に偏光板を置いて着色樹脂被膜を挟み込み、偏光板が平行時の輝度と直交時の輝度とをトプコン社製のBM−5を用いて測定し、平行時の輝度を直交時の輝度で除して得られる値(=平行時の輝度/直交時の輝度)を、コントラストを評価するための指標とした。値が大きいほど高コントラストであることを示す。
<B1.レジスト液の調製>
下記組成の成分を混合して溶解し、レジスト液を調製した。
〔レジスト液の組成〕
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 19.20部
(PGMEA:溶剤)
・乳酸エチル 36.67部
・樹脂(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18、重量平均分子量:15,000、
数平均分子量:8,000)の40%PGMEA溶液) 30.51部
・エチレン性不飽和二重結合含有化合物
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート) 12.20部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.0061部
・フッ素系界面活性剤(F−475、大日本インキ化学工業(株)製) 0.83部
・光重合開始剤(トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤) 0.586部
(TAZ−107、みどり化学社製)
6inch シリコンウエハをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に、前記レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
顔料分散組成物は、実施例3−6〜3−9、比較例3−2に用いたものと同様にして分散処理することにより調製した。
上記にて得られた各顔料分散組成物を用いて、下記組成比となるよう撹拌混合して、光硬化性組成物溶液を調製した。
・着色剤(前記顔料分散液) 600部
・光重合開始剤(オキシム系光重合開始剤)
(CGI−124、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 30部
・TO−1382(東亞合成(株)製) 25部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30部
・溶媒(PGMEA) 900部
・基板密着剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン) 1部
(1)パターン形成性の評価
上記のように調製した光硬化性組成物を、前記B2.で得られた下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に塗布し、着色層(塗布膜)を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.5μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが2μm四方のIslandパターンマスクを通して50〜1200mJ/cm2の種々の露光量で露光した。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハ基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハ基板に着色パターンを形成した。
パターン形成性は、以上のようにして形成された着色パターンの断面形状を観察することにより評価した。パターン断面形状は矩形が好ましく、逆テーパーは好ましくない。
結果を表7に示す。
前記B4.にて調製された光硬化性組成物(塗布液)を室温で1ケ月保存した後、液の粘度を測定し下記判定基準に従って評価した。結果を表7に示す。
−評価基準−
○:粘度上昇は認められなかった。
△:5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:10%以上の粘度上昇が認められた。
色ムラの評価は、輝度分布を下記方法で解析し、平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数に占める割合を元に行った。評価基準は以下の通りである。
輝度分布の測定方法について説明する。まず、光硬化性組成物を、前記B2.と同様の方法で得られた下塗り層付ガラス板の下塗り層上に塗布し、着色層(塗布膜)を形成した。この塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。この塗布済みガラス板の輝度分布を顕微鏡MX−50(オリンパス社製)にて撮影した画像を解析した。
結果を表7に示す。
−評価基準−
○:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の99%以上
△:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の95%以上99%未満
×:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の95%未満
これらの結果より、実施例の加工顔料を含む光硬化性組成物は、固体撮像素子用途のカラーフィルタを作製する場合においても、液晶表示素子用途のカラーフィルタを作製する場合と同様に、優れたパターン形成性が実現されることがわかった。
Claims (9)
- 下記(1)〜(4)から選択される少なくとも1種の、塩基性窒素原子を有する高分子化合物で顔料を被覆してなる加工顔料。
(1)数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有し、且つ、炭素数2〜6のアルキレン基を有するポリ(アルキレンイミン)
(2)数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有するポリアリルアミン
(3)数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有するポリビニルアミン
(4)エステル部に塩基性窒素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピリジン、及びアミノスチレンから選択される1種以上のモノマーに由来する構成単位を含み、且つ、数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖を側鎖に有する高分子化合物 - 前記数平均分子量500〜1,000,000であるオリゴマー鎖又はポリマー鎖が、ポリカプロラクトンである請求項1に記載の加工顔料。
- 平均1次粒子径が5nm〜25nmの範囲である請求項1又は請求項2に記載の加工顔料。
- 前記顔料が、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含む顔料である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の加工顔料。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の加工顔料を、有機溶剤中に分散してなる顔料分散組成物。
- 更に、顔料分散剤を含む請求項5に記載の顔料分散組成物。
- 請求項5又は請求項6に記載の顔料分散組成物と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する光硬化性組成物。
- 請求項7に記載の光硬化性組成物を用いて形成された着色領域を有するカラーフィルタ。
- 請求項7に記載の光硬化性組成物を直接又は他の層を介して基板上に付与して感光性膜を形成する工程と、前記形成された感光性膜にパターン露光及び現像を順次行なうことにより着色領域を形成する工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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