JP2011153246A - ポリエステル樹脂組成物およびこれを含有する水性塗料 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物およびこれを含有する水性塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】 水性化したときに、中和剤の添加量に影響しにくく、更に、塩基性添加剤を加えても、粘度変化、貯蔵安定性に影響しにくい樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 側鎖にポリオキシアルキレン構造を有するジオールを必須成分として含有するポリオールと、ポリカルボン酸とを反応して得られるポリエステル樹脂を含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物、これを水中に分散した水性ポリエステル樹脂組成物、前記樹脂組成物を含有する塗料、該塗料を塗装した塗装物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂を必須成分とする樹脂組成物であって、とくに、塩基性物質を添加した際にも、高い保存安定性を有する水性ポリエステル樹脂組成物に関するものである。
近年、地球環境保護の観点から、塗料から放出される有機溶剤などの揮発性物質を低減することが要求されており、各種分野で溶剤系塗料から水系塗料への置換が行われつつある。これは、多塩基酸成分と多価アルコール成分とより構成されるポリエステル樹脂に関しても同様で、塗料用の水性ポリエステル樹脂の需要は増えているしかしながらポリエステル樹脂は、その加水分解性が故に、水性化した時の貯蔵安定性が問題となってくる。
また、水性ポリエステル樹脂の需要が特に増加しているのは自動車用塗料分野である。自動車用塗料は、樹脂、顔料、添加剤など、様々な配合物から構成されるため、それぞれの相溶性が重要になってくる。例えば、耐塩基性に劣る樹脂に対して塩基性の添加物を配合すると、配合物の増粘や、分散体の沈降を生じるという問題を生じる。
前記の加水分解性や分散安定性の改善のため、低い酸価の樹脂を用いて中和に要する塩基性物質を減らし、且つ、ポリオキシアルキレン骨格を導入して分散安定性等を向上することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記の発明においては、低温下での長期保存によって凝集を起こしにくくなったものの、塗料配合時にアミンや、アルカリ性の添加剤を加えると、樹脂のpH耐性(添加する塩基性物量の増加とともに、増粘、白濁、分離等が起こること。)が低いために、非分散化するという問題があったり、当該樹脂の酸価が低い樹脂場合、顔料分散性が低下し、顔料ペーストの沈降や固化を招いたりする問題があった。また、貯蔵中に顕著な増粘または減粘を示す場合もあった。
特開2009−84380号
従って、本発明の目的は、中和剤の添加量に影響しにくく、更に、塩基性添加剤を加えても、粘度変化、貯蔵安定性に影響しにくい樹脂組成物を提供することにある。
発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討の結果、水性ポリエステル樹脂の樹脂骨格として、ポリオキシアルキレン構造を樹脂の主鎖に、導入するのではなく、主鎖にブランチした構造の樹脂が、前記問題点を解決することを見出し、発明を完成させた。
すなわち、本発明は、側鎖にポリオキシアルキレン構造を有するポリオールを必須成分として含有するポリオールと、ポリカルボン酸とを反応して得られるポリエステル樹脂を含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物、これを含有する水性塗料を提供する。
本発明のポリエステル樹脂組成物、特にポリエステル樹脂組成物を水中に分散した水性ポリエステル樹脂組成物によれば、樹脂にアミン等の塩基性物質を外部添加しても、分散体として安定であり、更に、顔料分散性、貯蔵安定性が良好な樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物に用いるポリエステル樹脂は、ポリオール成分中に、側鎖にポリオキシアルキレン構造を有するポリオールを必須成分として含有したアルコール成分と、ポリカルボン酸とを反応して得られるポリエステル樹脂である。
前記アルコール成分中の側鎖にポリオキシアルキレン構造を有するポリオールとしては、例えば、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2011153246
(式中、u、vはそれぞれ独立に、1〜4の繰り返し単位数を、wは5〜90の繰り返し単位数を表す。また、Rは水素原子、または炭素原子数1〜4のアルキル基を、Rは水素原子、または、炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。)
前記一般式で表される構造のうち、下記構造式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011153246
(式中、wは10〜30の繰り返し単位数を表す。また、Rは前記一般式(I)と同様である。)
前記構造式(II)で表される化合物としては、Ymer N−120(Perstorp社製、重量平均分子量1000)が挙げられる。
前記アルコール成分中の側鎖にポリオキシアルキレン構造を有するポリオールの含有量は、特に限定されないが、前記ポリエステル樹脂のアルコール成分中の10〜50重量%であることが好ましい。
前記アルコール成分のその他の成分としては、ポリオキシアルキレングリコール類以外のポリオールを併用することが好ましい。
これらの例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族の3官能以上のポリオールが挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類を併用してもよい。また、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのようなビスフェノール類(ビスフェノールA)のエチレンオキシド付加体やビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのようなビスフェノール類(ビスフェノールS)のエチレンオキシド付加体等を併用してもよい。
前記ポリカルボン酸としては、酸成分として、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のカルボン酸等の、末端に2個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物などが挙げられる。また、3官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。
また、前記ポリエステル樹脂としては、酸価(固形分)として、5mgKOH/g以上であることが、水中に分散したときの分散安定性が良好であることから好ましく、50mgKOH/g以下であることが、ポリエステル樹脂の分子量が低くなりすぎず、塗料として用いたときに、得られる塗膜の密着性や耐水性が低下しにくく好ましい。更に、10〜40mgKOH/gであることが特に好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、4000〜50000であることが好ましい。
前記ポリエステル樹脂(A)を製造する方法については特に制限はないが、多価カルボン酸と多価アルコールのエステル化反応による種々のの製造方法、例えば、溶融法又は溶剤法を用いればよい。
前記溶融法に関しては、例えば、原料である酸成分(ポリカルボン酸類)とアルコール成分(ポリオール類)とを窒素気流中、150〜250℃で加熱し、生成する水を逐次除去しながらエステル化反応を行い、所定の水酸基価、酸価のポリエステル樹脂を得ることができる。
また、前記溶剤法に関しては、例えば、キシレン等の溶剤中で酸成分(ポリカルボン酸類)とアルコール成分(多価アルコール類)をエステル化反応し、次いで溶剤を留去することによってポリエステル樹脂を得ることができる。また、溶剤として、後述する親水性の有機溶剤を使用し、かかる親水性の有機溶剤中で前記した多価カルボン酸及び多価アルコールをエステル化反応することもできる。これにより、前記したエステル化反応に引き続いて後述する塩基性化合物を添加することで、本発明に使用するポリエステル樹脂の水水溶液又は水分散液を得ることができる。
さらに、前記エステル化反応の際には、反応を促進させるためにジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の種々の触媒を使用しても良い。
次に、前記ポリエステル樹脂を水性化する方法−水性ポリエステル樹脂を得る方法−に関しては、種々の方法が適用できるが、例えば転相乳化法、乳化剤を用いた乳化法、機械的乳化法などが挙げられ、好ましくは転相乳化法が挙げられる。
前記転相乳化法について説明する。前記ポリエステル樹脂を転相乳化法で水性化する方法に関しては、前記した溶融法又は溶剤法によって得られた固体のポリエステル樹脂に塩基性化合物、必要に応じて親水性有機溶剤を添加することで、前記したポリエステル樹脂中の酸基の一部又は全部を中和し水に溶解又は分散する方法が挙げられる。このとき、親水性有機溶剤及び塩基性化合物を前記したポリエステル樹脂に添加するタイミングに関しては、特に限定されるものではなく、親水性の有機溶剤と塩基性化合物を別々に、又はその混合物を適時添加して良いが、粘度の観点から好ましくは前記した固体のポリエステル樹脂(A)を親水性の有機溶剤に溶解し、次いで塩基性化合物を用いて水に溶解又は分散する方法が挙げられる。
前記親水性の有機溶剤としては、エーテルアルコール類、例えばエチレングリコールと、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールとのモノエーテル化物、プロピレングリコールと、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールとのモノエーテル化物、ジエチレングリコールと、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールとのモノエーテル化物、ジプロピレングリコールと、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールとのモノエーテル化物、1−3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル(一般名:3−メトキシブタノール)、3−メチル−3−メトキシブタノール(一般名:ソルフィット)、さらに酢酸メチルセロソルブのような20℃で水に無限可溶するエーテルエステルなどが使用できる。前記した親水性の有機溶剤の使用量としては、水中での安定的な分散及び低VOCの観点などから任意に設定できる。
前記塩基性化合物としては、種々のものを使用することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノールなどの第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−またはイソ−プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミンなどのポリアミン;などがあげられ、前記したポリエステル樹脂(A)の水性化能を調節するために前記した塩基性化合物を適当に組み合わせて用いることができる。中和率にについては、カルボキシル基の40〜120mol%が好ましく、さらに60〜100mol%の範囲がより好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂に、前記塩基性化合物、必要に応じて親水性の有機溶剤を添加して水に分散しても良い。
また、前記乳化剤を用いた乳化法において使用することのできる乳化剤としては、特に制限されるものではないが、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体などのノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン系乳化剤、4級アンモニウム塩含有のカチオン系乳化剤などが挙げられ、また、共乳化剤として炭素数8〜13の高級アルコールを使用することもできる。
また、前記機械的乳化法において使用することのできる乳化機としては、例えばホモミキサー、ホモジナーザー、コロイドミル、マイクロフルイダイザー、ソノレーター、キャビトロンなどが挙げられる。このとき、前記と同様の乳化剤を添加しても良い。
次に本発明では、必要に応じて硬化剤を用いてもよい。該硬化剤としては、ポリエステル樹脂の水酸基と架橋反応しうるものであれば特に制限されないが、例えばアミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネートから選ばれた1種または2種以上を使用することが好ましい。
前記アミノ樹脂とは、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン等の1種または2種以上とホルムアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂、イミノ基含有メチロール化アミノ樹脂等であり、水性化の観点からそれらのメチロール基の全部または一部分を炭素数1〜8の1価アルコールでエーテル化したものなどが好ましく、例えば、ブトキシメチルメラミン樹脂、メトキシメチル化メラミン樹脂、メトキシ・ブトキシ混合エーテル化メチルメラミン樹脂等が挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ポリオール類等の活性水素含有化合物とポリイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰な比率で反応させて得られるイソシアネート基を有する樹脂等が挙げられる。
前記ポリオール類としては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のグリコールと、ジフェニルカーボネートやホスゲン等とを反応して得られたものを使用することができる。
また、イソシアネート化合物としては、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。
これらの中でも、水分散性ポリイソシアネート組成物を用いることが、本発明の水性ポリエステル樹脂組成物と配合した際に、安定性と硬化性に優れ、或いは、可使時間の自由度が高い点から好ましい。該水分散性ポリイソシアネート組成物としては、例えば、ポリイソシアネートの一部を片末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレングリコールで変性したポリイソシアネート組成物(a)、ポリイソシアネートに含有されるイソシアネート基の一部分を片末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレングリコールを脂肪酸エステルで変性した水分散性ポリイソシアネート組成物(b)、或いは、疎水性ポリイソシアネート化合物と親水性の官能基を有するポリイソシアネート化合物を含有する組成物(c)が挙げられる。前記(c)の組成物としては、例えば、疎水性ポリイソシアネートと、ポリオキシアルキレン構造とイソシアネート基を含有するビニル系重合体とを含む組成物が挙げられる。
前記ブロックイソシアネート樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物やキシレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネート等の各種環状ジイソシアネート類(脂環式ジイソシアネート類)、トリレンジイソシアネートもしくは4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の各種の芳香族ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類のような有機ジイソシアネート化合物、これら化合物と多価アルコール、低分子量水酸基含有ポリエステル樹脂、低分子量水酸基含有アルキド樹脂又は水等との付加物;前記した有機ジイソシアネート化合物同士の重合体(イソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物、ウレトジオン化合物をも含む。)を、オキシム類、フェノール類、アルコール類、ジケトン類等の活性水素を有する化合物でブロック化して得られるブロックイソシアネート樹脂が挙げられる。前記したブロックイソシアネート樹脂の水性化の観点から、イソシアネート基の片末端を例えばポリオキシエチレングリコール等で変性し、片末端をアルコキシ基で封鎖したものや、片末端を活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物等で変性したものが好ましく挙げられる。
更に、本発明のポリエステル樹脂組成物、或いは水性ポリエステル樹脂組成物には、更に、必要に応じて、その他の水分散性樹脂或いは、その水分散体を併用してもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物、或いは水性ポリエステル樹脂組成物には種々の顔料を使用することができるが、例えばカーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物、アルミフレーク、雲母、ケイ酸塩類、クロム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機顔料、フタロシアニンブル−、フタロシアニングリーン、キナクリドン、ベンズイシダゾロン、スレン、ペリレン等の有機顔料が挙げられ、これらを単独で、あるいは任意の組み合わせで使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、前記の添加剤を加えて塗料とすることができる。
実施例1〜3
攪拌機、温度計、脱水トラップ付き還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた3リットルの四つ口フラスコに、表1に示す組成の原料を仕込み、240℃まで昇温し、脱水縮合反応を行った。このとき、酸価測定のために樹脂溶液の一部を取り出し、N−メチルピロリドンで不揮発分が60重量%になるまで希釈した時の溶液の酸価が、表1の値になるまで反応させた。
次いで、反応終了後165℃まで冷却した時点で、無水トリメリット酸を表1に示す重量部だけ添加し、1時間反応させた。1時間後冷却を開始し、150℃以下でジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を表1に示す量だけ添加し、攪拌した。さらに90℃でジメチルエタノールアミン(DMEA)を酸基全体の85%中和に相当する量だけ加え、1時間撹拌した。その後、表1に示す不揮発分になるようイオン交換水を添加し、ポリエステル樹脂の水分散体(1)、(2)、(3)を得た。
Figure 2011153246
実施例4〜6
攪拌機、温度計、脱水トラップ付き還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた3リットルの四つ口フラスコに、表2に示す組成の原料を仕込み、240℃まで昇温し、脱水縮合反応を行った。このとき、酸価測定のために樹脂溶液の一部を取り出し、N−メチルピロリドンで不揮発分が60重量%になるまで希釈した時の溶液の酸価が、表2の値になるまで反応させた。
反応終了後165℃まで冷却した時点で、無水トリメリット酸を表2に示す重量部だけ添加し、1時間反応させた。1時間後冷却を開始し、150℃以下でジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を表2に示す量だけ添加し、攪拌した。さらに90℃でジメチルエタノールアミン(DMEA)を酸基全体の80%中和に相当する量だけ加え、1時間撹拌した。その後、表2に示す不揮発分になるようイオン交換水を添加し、ポリエステル樹脂の水分散体(4)、(5)、(6)を得た。
Figure 2011153246
比較例1〜3
攪拌機、温度計、脱水トラップ付き還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた3リットルの四つ口フラスコに、表3に示す組成の原料を仕込み、240℃まで昇温し、脱水縮合反応を行った。このとき、酸価測定のために樹脂溶液の一部を取り出し、N−メチルピロリドンで不揮発分が60重量%になるまで希釈した時の溶液の酸価が、表3の値になるまで反応させた。
反応終了後165℃まで冷却した時点で、無水トリメリット酸を第1表に示す重量部だけ添加し、1時間反応させた。1時間後冷却を開始し、150℃以下でジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を表3に示す量だけ添加し、攪拌した。さらに90℃でジメチルエタノールアミン(DMEA)を酸基全体の85%中和に相当する量だけ加え、1時間攪拌した。その後、表3に示す不揮発分になるようイオン交換水を添加し、ポリエステル樹脂の水分散体(R1)、(R2)を得た。
Figure 2011153246
比較例3、4
攪拌機、温度計、脱水トラップ付き還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた3リットルの四つ口フラスコに、表4に示す組成の原料を仕込み、240℃まで昇温し、脱水縮合反応を行った。このとき、酸価測定のために樹脂溶液の一部を取り出し、N−メチルピロリドンで不揮発分が60重量%になるまで希釈した時の溶液の酸価が、第4表の値になるまで反応させた。
反応終了後165℃まで冷却した時点で、無水トリメリット酸を表2に示す重量部だけ添加し、1時間反応させた。1時間後冷却を開始し、150℃以下でジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を第4表に示す量だけ添加し、攪拌した。さらに90℃でジメチルエタノールアミン(DMEA)を酸基全体の80%中和に相当する量だけ加え、1時間攪拌した。その後、第4表に示す不揮発分になるようイオン交換水を添加し、ポリエステル樹脂の水分散体(R3)、(R4)を得た。
Figure 2011153246
評価例1〜6、比較評価例1〜4
顔料分散性の評価
前記実施例1〜6、比較例1〜4で得られた水性ポリエステル樹脂組成物に
樹脂組成物/酸化チタン(R-930)/水を加え、PWC=72.5%、ミルベース不揮発分が72〜74%となるよう配合し、更に、ガラスビーズを入れ、サンドミルで30分間練肉し、ミルベースを作製した。
次いで、各ミルベースを40℃にて貯蔵した時の沈降の度合いを見た。
後述する評価(表5、6)は、下記の状態を示す。
○;沈降なし
△;沈降しているが攪拌することで均一に分散
×;攪拌しても再生不可能な沈降
Figure 2011153246






Figure 2011153246
pH耐性の評価:塩基性物質を添加したときの、増粘の度合い、或いは、添加した塩基性物質量の増大とともに、水性ポリエステル樹脂液の白濁、2相分離の有無
それぞれ中和率80%に調製した高酸価ポリエステルの水分散体(実施例の4〜6)と中和率80%に調製した比較例で得られた水分散体(比較例の3、4)についてアミンを追加して、増粘の度合いを調べた。
(中和率80%のときの粘度(それぞれ25℃)を1とし、中和率95%、100%、110%の粘度の倍率を表7に示す。)
なお、表中の「非分散化」とは、2相に分離したことを表す。
Figure 2011153246

Claims (10)

  1. 側鎖にポリオキシアルキレン構造を有するポリオールを必須成分として含有するポリオールと、ポリカルボン酸とを反応して得られるポリエステル樹脂を含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記側鎖にポリオキシアルキレン構造を有するポリオールが、下記一般式(I)で表される請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2011153246
    (式中、u、vはそれぞれ独立に、1〜4の繰り返し単位数を、wは5〜90の繰り返し単位数を表す。また、Rは水素原子、または炭素原子数1〜4のアルキル基を、Rは水素原子、または、炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。)
  3. 前記一般式(I)が下記構造式(II)である請求項2記載のポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2011153246
    (式中、wは10〜30の繰り返し単位数を表す。また、Rは前記一般式(I)と同様である。)
  4. 前記側鎖にポリオキシアルキレン構造を有するポリオールの含有量が全ポリオール成分中の10〜50重量%である請求項1、2または3記載の水性ポリエステル樹脂組成物。
  5. 前記ポリカルボン酸が、芳香族カルボン酸酸と脂環族ジカルボン酸とを含有するものである請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 前記ポリエステル樹脂の酸価(固形分)が、5〜50mgKOH/gである請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 前記ポリエステル樹脂中のカルボキシル基の40〜120mol%を塩基性物質で中和した請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  8. 前記ポリエステル樹脂の有機溶剤溶液に塩基性物質を添加後、水中に分散した請求項1記載の水性ポリエステル樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8の何れか1項記載のポリエステル樹脂組成物を含有した塗料。
  10. 請求項9記載の塗料を塗布した塗装物。
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