JP2011153052A - 窒化物単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐腐食性オートクレーブ内で、超臨界又は亜臨界状態にあるアンモニアの存在下、少なくとも1種類の窒化物多結晶を原料として用い、かつ、少なくとも1種類の酸性鉱化剤を該アンモニアに添加して、アモノサーマル法により該窒化物多結晶から窒化物単結晶を製造する方法において、
該耐腐食性オートクレーブ内には、該窒化物多結晶を配置する部位と該窒化物単結晶を析出させる部位とが存在しており、
該窒化物単結晶を析出させる部位の温度は、650℃〜850℃であり、かつ、該窒化物多結晶を配置する部位温度よりも、平均温度で、高く保持され、そして
該耐腐食性オートクレーブ内の圧力は、40MPa〜250MPaに保持されている、
ことを特徴とする方法。
【選択図】なし
Description
アモノサーマル法において、GaNなどの窒化物バルク単結晶の製造のためには、鉱化剤を添加することが有効であるとされている。鉱化剤には、大きく分類して、アンモニアに溶解させた際、元の溶媒よりもpHを下げる働きのある酸性鉱化剤と、pHを上げる働きのある塩基性鉱化剤とが知られている。結晶成長を行うために好適とされる製造条件は、酸性鉱化剤と塩基性鉱化剤とで大きく異なっていることが知られており、例えば、アモノサーマル法で塩基性鉱化剤を用いた場合には、150〜500MPa程度の比較的高い圧力が必要とされているのに対し、酸性鉱化剤の場合には100〜200MPa程度の比較的低い圧力でよいとされている。また、酸性鉱化剤を用いた場合と塩基性鉱化剤を用いた場合とでは、反応容器等に要求される耐腐食性も異なってくる。このように、アモノサーマル法による窒化物単結晶製造技術においては、利用する鉱化剤の酸性、塩基性の違いによって、単結晶製造技術は大きく異なるものとなっている(例えば、以下の特許文献1、特許文献2を参照のこと)。
近年、HVPE法などによって、ホモエピタキシャル成長が可能なGaN基板の製造が可能になりつつあるが、非常に高価であることと、用途によっては未だ十分な品質を有していないことから、広く利用されるには至っていない。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、アモノサーマル法における自発核生成を利用して、最大寸法が1mm以上である窒化物単結晶を得ることができる窒化物単結晶の製造方法を提供することである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
該耐腐食性オートクレーブ内には、該窒化物多結晶を配置する部位と該窒化物単結晶を析出させる部位とが存在しており、
該窒化物単結晶を析出させる部位の温度は、650℃〜850℃であり、かつ、該窒化物多結晶を配置する部位温度よりも、平均温度で、高く保持され、そして
該耐腐食性オートクレーブ内の圧力は、40MPa〜250MPaに保持されている、
ことを特徴とする、アモノサーマル法による窒化物単結晶の製造方法。
尚、以下の説明は、本発明の代表的な実施様態に基づいてなされるが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。また、本明細書中、数値範囲A〜Bの表記は、A以上B以下の範囲を表す。
アンモニア充填量を多くすると、単結晶を、より速く析出させることができるが、圧力が前記範囲の上限を超えてしまう場合には、バルブ操作を行ってアンモニアの一部を排出し、前記圧力範囲を超えないようにする。
本発明に用いる酸性鉱化剤は、アルカリ金属アミド等に代表される塩基性鉱化剤に対して、超臨界状態のアンモニアに対する溶解度が高いため、低い圧力での反応が可能となる。また、本発明に用いる酸性鉱化剤は、白金などの貴金属に対する腐食性が低いため、オートクレーブの内面をこれらの貴金属で被覆すれば、容器の腐食によって混入する不純物の影響を最小限に抑えることが可能となる。これらの貴金属としては、Pt、Au、Ir、Ru、Pd、Ag、及びこれらの貴金属を主成分とする合金が挙げられ、中でもPtを用いることが好ましい。従って、本発明で使用する耐腐食性オートクレーブは、オートクレーブ内表面をこれらの貴金属でライニング又はコーティングしたものであることもできる。
容器の孔やスリット状の隙間等に関しては、用いる窒化物多結晶の形状に従って、好適な孔やスリットの大きさ、メッシュの目の粗さなどを選択すればよく、容器内に入れた窒化物多結晶原料が効率よくアンモニア溶媒と接触し、速やかに溶解されるようにすればよい。
例えば、窒化物単結晶を析出させる部位の温度(T1)は、窒化物多結晶を配置する部位の温度(T2)より、1℃以上、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上高く、その差(T1−T2)は、最大150℃以下、好ましくは100℃、より好ましくは90℃である。
したがって、オートクレーブの底面と窒化物単結晶を析出させる部位との高さ方向の間に、メッシュ材などの耐腐食性の複数の孔を有する板を配置することが好ましい。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は、以下の実施例により限定的に解釈されるものではない。
尚、超臨界状態におけるオートクレーブの内部温度の測定は非常に困難であるので、空のオートクレーブの蓋を閉め、バルブを外した状態でヒーターにセットし、反応時と同じ条件でヒーターをコントロールした際のオートクレーブ内壁の各部の温度を、導管を通じて挿入した熱電対を用いて測定した値を、超臨界状態におけるオートクレーブの内部温度とした。
気相法により製造されたGaN多結晶(大きさ1mm〜5mm程度)5.0gを0.3mm厚の白金板を加工して作製した円筒型容器(外形寸法5.5mm、高さ100mm、側面に幅0.5mm×長さ80mmのスリットを6本、底面にφ0.5mmの孔を5個)に入れた。充填された多結晶は円筒型容器に満たされた状態であった。多結晶を充填した容器を、白金又は白金系の合金で内面にライニングを施したRENE41を材料として作製されたオートクレーブ(内寸直径8mm、長さ250mm、内容積約12.5mL)内に、底面から50mmの隙間が保持されるようにセットし、次いで純度99.99%の塩化アンモニウムを0.426g入れ、オートクレーブの蓋を閉じた。容器を真空ポンプに接続し、内部を排気した。ターボ分子ポンプを用い、ポンプ直上での圧力が1.0×10-4Pa以下に到達するまで排気した。その後、ドライアイス/冷媒を用いてオートクレーブを冷却し、外気に触れることなく、純度99.999%のアンモニアを5.0g充填し、バルブを閉じた。(アンモニア量は-33℃でのアンモニア密度で換算して、オートクレーブ内容積の59%に相当した。)
この状態で168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。結晶析出領域のオートクレーブ内壁面、及び底面に、長さ1mm〜5mmの単結晶が析出しており、洗浄、乾燥後の重量は1.5gであった。多結晶は白金製容器中に3.0g残っていた。仕込み量との差0.5gは、洗浄工程で流出したか、オートクレーブ内部等に付着したものと考えられる。
図2に示すように、得られた結晶粒は、X線回折により、六方晶GaNであることが確認された。また、形の整った、1粒の結晶粒をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。得られた単結晶の外観写真を図3に示す。
オートクレーブの底面から10mmの位置に、目開き0.5mmの白金製メッシュを配置した他は、実施例1と同様の条件で実施した。実験終了後、メッシュ上に自形が整った3mm〜5mmの単結晶が析出していることが確認された。
得られた結晶粒は、X線回折により、六方晶GaNであることが確認された。また、形の整った、1粒の結晶粒をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。
充填するアンモニア量を4.2gとし、-33℃のNH3密度換算で容器の約50%とするとともに、鉱化剤である塩化アンモニウムを0.357gに減らしたこと以外は、実施例1と同様の条件にて実施した。充填率の違いによって、保持時の圧力は70MPaとなった。168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。結晶析出領域のオートクレーブ内壁面、及び底面に、長さ0.5mm〜3mm程度の単結晶が析出しており、洗浄、乾燥後の重量は0.9gであった。多結晶は白金製容器中に3.5g残っていた。仕込み量との差0.6gは、洗浄工程で流出したか、オートクレーブ内部等に付着したものと考えられる。
得られた結晶粒は、X線回折により、六方晶GaNであることが確認された。また、形の整った、1粒の結晶粒をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。
気相法により製造されたGaN多結晶(大きさ1mm〜5mm程度)5.0gを0.3mm厚の白金板を加工して作製した円筒型容器(外形寸法5.5mm、高さ100mm、側面に幅0.5mm×長さ80mmのスリットを6本、底面にφ0.5mmの孔を5個)に入れた。充填した多結晶は円筒型容器に満たされた状態であった。多結晶が満たされた容器を、白金又は白金系の合金で内面にライニングを施した、RENE41を材料として作製されたオートクレーブ(内寸直径8mm、長さ250mm、内容積約12.5mL)内に、底面から50mmの隙間が保持されるようにセットし、次いで純度99.99%の塩化アンモニウムを0.426g入れ、オートクレーブの蓋を閉じた。容器を真空ポンプに接続し、内部を排気した。ターボ分子ポンプを用い、ポンプ直上での圧力が1.0×10-4Pa以下に到達するまで排気した。その後、ドライアイス/冷媒を用いてオートクレーブを冷却し、外気に触れることなく、純度99.999%のアンモニアを5.0g充填し、バルブを閉じた。(アンモニア量は-33℃でのアンモニア密度で換算して、オートクレーブ内容積の59%に相当した。)
この状態で168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。結晶析出領域のオートクレーブ内壁面、及び底面に、長さ1mm〜5mm程度の単結晶が析出しており、洗浄、乾燥後の重量は1.1gであった。多結晶は白金製容器中に3.5g残っていた。仕込み量との差0.4gは、洗浄工程で流出したか、オートクレーブ内部等に付着したものと考えられる。
得られた結晶粒は、X線回折により、六方晶GaNであることが確認された。また、形の整った、1粒の結晶粒をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。
気相法により製造されたGaN多結晶(大きさ1mm〜5mm程度)5.0gを0.3mm厚の白金板を加工して作製した円筒型容器(外形寸法5.5mm、高さ100mm、側面に幅0.5mm×長さ80mmのスリットを6本、底面にφ0.5mmの孔を5個)に入れた。充填した多結晶は円筒型容器を満たす状態であった。多結晶を充填した容器を、白金又は白金系の合金で内面にライニングを施した、RENE41を材料として作製されたオートクレーブ(内寸直径8mm、長さ250mm、内容積約12.5mL)内に、底面から50mmの隙間が保持されるようにセットし、次いで純度99.99%の塩化アンモニウムを0.426g入れ、オートクレーブの蓋を閉じた。容器を真空ポンプに接続し、内部を排気した。ターボ分子ポンプを用い、ポンプ直上での圧力が1.0×10-4Pa以下に到達するまで排気した。その後、ドライアイス/冷媒を用いてオートクレーブを冷却し、外気に触れることなく、純度99.999%のアンモニアを5.0g充填し、バルブを閉じた。(アンモニア量は-33℃でのアンモニア密度で換算して、オートクレーブ内容積の59%に相当した。)
この状態で168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。実施例4における結晶析出領域に相当する部位周辺のオートクレーブ内壁面、及び底面には、析出物は確認されなかった。多結晶配置部位周辺のオートクレーブ壁面、及びオートクレーブ上部の導管近くには、微粉状の析出物が付着しており、これらはX線回折によって六方晶GaNであることは確認されたが、微粉体の凝集物のようであり、単結晶粒として分離することは不可能であった。走査型電子顕微鏡観察によって、六角柱に近い形状のものが含まれるものの、ミクロンサイズで凝集しており、単結晶として取り出すことは不可能であった。
充填するアンモニア量を3.0gとし、-33℃のアンモニア密度換算で容器の約36%とするとともに、鉱化材である塩化アンモニウムを0.256gに減らしたこと以外は、実施例4と同様の条件にて実施した。充填率の違いによって、保持時の圧力は30MPaとなった。168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。多結晶原料は4.8g残っており、若干量は溶解していたが、オートクレーブ内部には、回収可能な析出物はほとんど見られなかった。
2 バルブ
3 オートクレーブ
4 導管
5 原料容器
6 窒化物多結晶原料
7 メッシュ板
8 電気炉
9 窒化物多結晶配置部位
10 窒化物単結晶析出部位
Claims (7)
- 耐腐食性オートクレーブ内で、超臨界又は亜臨界状態にあるアンモニアの存在下、少なくとも1種類の窒化物多結晶を原料として用い、かつ、少なくとも1種類の酸性鉱化剤を該アンモニアに添加して、アモノサーマル法により該窒化物多結晶から窒化物単結晶を製造する方法において、
該耐腐食性オートクレーブ内には、該窒化物多結晶を配置する部位と該窒化物単結晶を析出させる部位とが存在しており、
該窒化物単結晶を析出させる部位の温度は、650℃〜850℃であり、かつ、該窒化物多結晶を配置する部位の温度よりも、平均温度で、高く保持され、そして
該耐腐食性オートクレーブ内の圧力は、40MPa〜250MPaに保持されている、
ことを特徴とする、アモノサーマル法による窒化物単結晶の製造方法。 - 前記耐腐食性オートクレーブは、前記窒化物多結晶を配置する部位が前記窒化物単結晶を析出させる部位よりも高い位置に存在する、縦型に配置された構造を有する、請求項1に記載の窒化物単結晶の製造方法。
- 前記窒化物多結晶が、孔又はスリット状の隙間を複数設けた容器内に配置されており、そして該容器の側面と、前記耐腐食性オートクレーブの内壁との間には、少なくとも1mm以上の隙間が存在する、請求項1又は2に記載の窒化物単結晶の製造方法。
- 前記窒化物多結晶を配置する部位は、前記耐腐食性オートクレーブの内部底面から少なくとも10mm以上の高さの位置に、存在し、かつ、該窒化物多結晶を配置する部位と前記耐腐食性オートクレーブの内部底面とにより画される空間内に、前記窒化物単結晶を析出させる部位が存在する、請求項3に記載の窒化物単結晶の製造方法。
- 前記耐腐食性オートクレーブの内部底面と前記窒化物単結晶を析出させる部位との高さ方向の間に、耐腐食性の複数の孔を有する板が配置されている、請求項4に記載の窒化物単結晶の製造方法。
- 前記窒化物多結晶が、気相法により製造されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法によって製造された、最大寸法が1mm以上である窒化物単結晶。
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A521 | Written amendment |
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A02 | Decision of refusal |
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