JPWO2012176318A1 - 窒化物単結晶の製造方法及びそれに用いるオートクレーブ - Google Patents

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Abstract

速い結晶成長速度と高い結晶品質とを両立しうる窒化物単結晶の新規製造方法、及び、該方法に使用できる新規オートクレーブを提供する。本発明は、Ga含有窒化物単結晶をアモノサーマル法によって製造する方法であって、オートクレーブ内に、原料と酸性鉱化剤とアンモニアとを少なくとも導入した後、単結晶成長部位の温度(T1)が600℃〜850℃であり、該単結晶成長部位の温度(T1)と原料供給部位の温度(T2)との間に、T1>T2の関係があり、かつ該オートクレーブ内の圧力が40MPa〜250MPaである条件下で、Ga含有窒化物単結晶を成長させることを含む、窒化物単結晶の製造方法、及び該方法に使用できるオートクレーブを提供する。

Description

本発明は、ソルボサーマル法であるアモノサーマル法による窒化物単結晶の製造方法、及びそれに用いる新規オートクレーブに関する。より詳細には、アンモニア溶媒を用いるアモノサーマル法において、酸性鉱化剤を用い、Ga含有窒化物のバルク単結晶を得ることができる、窒化物単結晶の新規製造方法、及びそのために使用できるオートクレーブに関する。
GaN(窒化ガリウム)結晶は、発光ダイオード及びレーザーダイオード等の発光デバイス用途に用いられている。このような発光デバイスは、Al、Ga、In等の周期表第13族元素の窒化物、具体的には、AlN、GaN、InN等の13族元素窒化物、又は複数種の13族元素を含む混合型の13族元素窒化物、の結晶を利用している。
発光デバイス用の窒化物薄膜の一般的な製造方法は、サファイア又は炭化ケイ素等を基板として用いたヘテロエピタキシャル成長による方法である。この方法では、サファイア基板又は炭化ケイ素基板の格子定数と窒化物膜の格子定数との間の差に起因して、窒化物膜に転位欠陥等の欠陥が生じる。この欠陥は発光デバイスの特性を低下させる。純度の高い良質な13族元素窒化物結晶が得られれば、それを基板として用いることで、基板の上に、該基板との格子定数差が無い窒化物薄膜を成長させることが可能となる。良質な13族元素窒化物結晶によれば、13族元素窒化物半導体を用いた発光デバイスの高効率化、及び13族元素窒化物半導体のパワー半導体用途等への展開を期待できる。
例えば、GaNバルク単結晶を製造する方法としては、高温高圧法、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、フラックス法、昇華法等が報告されている。しかしながら、結晶成長技術は簡単なものではなく、汎用されるには至っていない。HVPE法によるGaN自立基板の販売が開始されている。しかし、該GaN自立基板は高価格であるという問題、並びにGaNとこれを成長させるための基板との剥離方法、及び成長した結晶の反り等の問題により、HVPE法によるGaN自立基板は実用的なレベルには至っていない。
ソルボサーマル法とは、超臨界状態及び/又は亜臨界状態の溶媒を用いた結晶製造方法の総称であり、特に水を溶媒とする場合にはハイドロサーマル法、アンモニアを溶媒とする場合にはアモノサーマル法と称される。ハイドロサーマル法は、人工水晶の工業的製造方法として用いられており、高い品質の結晶が得られる方法の1つであることが広く知られている。
アモノサーマル法は、GaN等の窒化物バルク単結晶の製造方法として期待されている。アモノサーマル法は、アンモニアを溶媒として用い、温度と圧力とを調整して原料を溶解又は反応させ、例えば溶解度の温度依存性を利用することによって、結晶成長を行う方法である。ハイドロサーマル法による人工水晶と同様に、アモノサーマル法によって高品質のバルク単結晶を工業的に生産することが期待されている。
アモノサーマル法において、GaN等の窒化物バルク単結晶を製造するためには、鉱化剤の添加が有効であることが公知である。鉱化剤とは、超臨界アンモニア中への原料の溶解度を上げ、結晶成長を促進させるための添加剤である。鉱化剤は、主に、溶媒であるアンモニアに溶解させた際に、該溶媒のpHを下げる働きを有する酸性鉱化剤と、該溶媒のpHを上げる働きを有する塩基性鉱化剤とに分類される。
たとえば、特許文献1には、塩基性鉱化剤を用いたアモノサーマル法によって、種結晶上での選択的結晶化により、GaNバルク単結晶を得る方法が開示されている。
一方、酸性鉱化剤を使用する場合には、内部が白金等の貴金属でライニングされたオートクレーブを使用することによって、アモノサーマル法による単結晶成長が可能である。非特許文献1には、酸性鉱化剤であるNH4Clを用い、白金でライニングしたオートクレーブを用いて、圧力約200MPaにて、アモノサーマル法によってGaN結晶を得ることが記載されている。
特許文献2には、酸性鉱化剤を用いたアモノサーマル法が記載される。特許文献2に記載される方法においては、バッフル板によって仕切られた、下部の原料充填部と上部の結晶成長部とからなるオートクレーブを用いる。下部に主に窒化物多結晶からなる原料を充填し、上部に種結晶を配置する。上部の温度を下部の温度よりも低く保持することにより、上部の低温領域で種結晶を成長させる。
好適な結晶成長条件は、酸性鉱化剤を用いる場合と塩基性鉱化剤を用いる場合とで大きく異なっていることが知られている。例えば、アモノサーマル法において、塩基性鉱化剤を用いる場合には、150〜500MPa程度の比較的高い圧力が必要とされているのに対して、酸性鉱化剤を用いる場合には、100〜200MPa程度の比較的低い圧力でよいことが知られている。また、酸性鉱化剤を用いる場合と塩基性鉱化剤を用いる場合とでは、オートクレーブに要求される耐腐食性が異なっている。このように、アモノサーマル法による窒化物単結晶製造技術においては、利用する鉱化剤が酸性であるか塩基性であるかという違いによって、単結晶製造条件は大きく異なる。
特許文献3に記載されているように、従来、アモノサーマル法によって種結晶上に窒化物単結晶を成長させる際に酸性鉱化剤を用いる場合には、原料多結晶はオートクレーブの下部に、そして種結晶はオートクレーブの上部に、それぞれ配置する。一方、塩基性鉱化剤を用いる場合には、逆の配置とする。従来、上記の配置条件が、アモノサーマル法による窒化物単結晶の一般的な成長条件であると考えられてきた。
一方、種結晶を用いない方法、即ち、アモノサーマル法で自発核生成によって得られた微結晶を、引き続き行われる結晶成長の原料として用いる方法が検討されている(例えば、特許文献4を参照のこと)。
特表2004−533391号公報 特開2008−120672号公報 米国出願公開第20100303704号明細書 特開2008−143778号公報
X.L.Chenm,Y.G.Cao,Y.C.Lan,X.P.Xu,J.Q.Lu,P.Z.Jiang,T.Xu,Z.G.Bai,Y.D.Yu,J.K.Liang著、"Journal of Crystal Growth",Vol.209,2000年,p.208−212
しかし、自発核生成によって得られる微結晶は、数ミクロンのサイズの粉末状であるため、これらを種結晶として利用することはできない。よって、アモノサーマル法において用いる種結晶を、アモノサーマル法での自発核生成によって得ることは、従来不可能であった。
上記のような様々な検討にもかかわらず、アモノサーマル法による窒化物単結晶成長技術は、未だ十分に完成しているとは言えない。アモノサーマル法による窒化物単結晶成長技術を工業的に展開するためには、生産性を高めるためのより速い成長速度と、より高い結晶品質とを両立させなければならず、乗り越えるべき課題は多いのが実情である。
例えば、窒化ガリウムの場合、従来報告されているアモノサーマル法による窒化物単結晶成長技術においては、成長速度は30μm/日〜数ミクロン/日であり、競合するHVPE法及びフラックス法と比較して遅い。従来技術においては、速い成長速度と、平滑な面成長とを両立することは難しかった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、アモノサーマル法によって、速い結晶成長速度と高い結晶品質とを両立しうる窒化物単結晶の新規製造方法を提供すること、及び、該方法に使用できる新規オートクレーブを提供することである。更に、貴金属ライニングの剥離、亀裂発生、磨耗等が起こらず、繰り返し使用しても圧力を保持することができる、貴金属ライニング付きオートクレーブを提供することもまた、本発明が解決しようとする課題である。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究し実験を重ね、酸性鉱化剤を用いたアモノサーマル法において、従来よりも高い結晶成長温度を用い、かつ、オートクレーブ内における原料の配置部位と結晶成長部位との間の温度及び位置の関係を、酸性鉱化剤を用いる一般的な従来技術とは異なるものとすることにより、速い結晶成長速度と高い結晶品質とを両立しうることを見出した。即ち、従来よりも高い結晶成長温度である600〜850℃で、単結晶成長部位の温度(T1)を、原料供給部位の温度(T2)よりも高く設定する(T1>T2)。また、オートクレーブにおいて、オートクレーブを構成する2つ以上の部品を密着させて圧力を保持する部分であるシールド部の材料を、イリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体で構成し、かつ該シールド部の材料の構成元素全体に占めるイリジウムの割合を20質量%〜100質量%とする。これにより、該シールド部は良好な硬度を有し、貴金属ライニング付きオートクレーブの繰り返し使用回数を向上できることを見出した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] Ga含有窒化物多結晶、Ga含有窒化物及びGa含有窒化物前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料から、Ga含有窒化物単結晶を、アモノサーマル法によって製造する方法であって、
オートクレーブ内に、該原料と、1種以上の酸性鉱化剤と、アンモニアとを少なくとも導入した後、以下(a)〜(e):
(a)該オートクレーブ内には、該原料が配置された原料供給部位と、該Ga含有窒化物単結晶を成長させるための単結晶成長部位とが存在しており、
(b)該単結晶成長部位は、種結晶が配置された部位であり、
(c)該単結晶成長部位の温度(T1)は、600℃〜850℃であり、
(d)該単結晶成長部位の温度(T1)と、該原料供給部位の温度(T2)との間に、T1>T2の関係があり、かつ
(e)該オートクレーブ内の圧力は、40MPa〜250MPaである、
を満足する条件下で、Ga含有窒化物単結晶を成長させること、
を含む、窒化物単結晶の製造方法。
[2] Ga含有窒化物多結晶、Ga含有窒化物及びGa含有窒化物前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料から、Ga含有窒化物単結晶を、アモノサーマル法によって製造する方法であって、
オートクレーブ内に、該原料と、1種以上の酸性鉱化剤と、アンモニアとを少なくとも導入した後、以下(a)〜(e):
(a)該オートクレーブ内には、該原料が配置された原料供給部位と、該Ga含有窒化物単結晶を成長させるための単結晶成長部位とが存在しており、
(b)該単結晶成長部位は、自発核生成によってGa含有窒化物単結晶が析出及び成長する部位であり、
(c)該単結晶成長部位の温度(T1)は、600℃〜850℃であり、
(d)該単結晶成長部位の温度(T1)と、該原料供給部位の温度(T2)との間に、T1>T2の関係があり、かつ
(e)該オートクレーブ内の圧力は、40MPa〜250MPaである、
を満足する条件下で、Ga含有窒化物単結晶を成長させること、
を含む、窒化物単結晶の製造方法。
[3] 該種結晶は、上記[2]に記載の窒化物単結晶の製造方法によって製造されたGa含有窒化物単結晶である、上記[1]に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[4] 該原料は、孔又はスリット状の隙間を複数設けた容器内に配置されており、かつ、
該容器の側面と、該オートクレーブの内壁との間に、1mm以上の隙間が存在する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の窒化物単結晶の製造方法。
[5] 該オートクレーブは縦型オートクレーブであり、かつ該原料供給部位は該単結晶成長部位よりも高い位置に存在する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の窒化物単結晶の製造方法。
[6] 該原料供給部位は、該オートクレーブの内部底面から10mm以上の高さの位置に存在し、かつ、
該原料供給部位と該オートクレーブ内部底面との間に、該単結晶成長部位が存在する、上記[5]に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[7] 該原料供給部位と該単結晶成長部位との間に、少なくとも1枚の仕切り板が配置されている、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の窒化物単結晶の製造方法。
[8] 該単結晶成長部位は、自発核生成によってGa含有窒化物単結晶が析出及び成長する部位であり、かつ、
該単結晶成長部位に、1つ以上の孔を有する耐腐食性の板が配置されている、上記[2]及び[4]〜[7]のいずれかに記載の窒化物単結晶の製造方法。
[9] 該原料が、気相法により製造されたGa含有窒化物多結晶を含有する、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の窒化物単結晶の製造方法。
[10] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の窒化物単結晶の製造方法によって製造された窒化物単結晶からなる、基板。
[11] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の窒化物単結晶の製造方法によって製造され、かつ最大寸法が1mm以上である、窒化物単結晶。
[12] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の窒化物単結晶の製造方法において用いるためのオートクレーブであって、
オートクレーブを構成する2つ以上の部品を密着させることによってオートクレーブ内の圧力を保持する部分であるシールド部の材料は、イリジウムと白金との合金又はイリジウム単体であり、かつ、
該シールド部の材料の構成元素全体に占めるイリジウムの割合が20質量%〜100質量%である、オートクレーブ。
本発明の窒化物単結晶の製造方法によって、従来よりも速い結晶成長速度(例えば30μm/日以上)で、結晶品質に優れる窒化物単結晶の成長が可能となる。また、本発明の製造方法により得られる窒化物単結晶は、平膜状の成長層を有するため、様々な結晶方位の基板を切り出すことができるバルク窒化物単結晶として得ることができる。
また、本発明の窒化物単結晶の製造方法によって、自発核生成による、ハンドリング可能な大きさの単結晶粒を容易に得ることが出来る。得られた単結晶粒は、例えば最大寸法が1mm以上の大きさを有することができるため、種結晶として利用することが可能である。
更に、本発明のオートクレーブでは、シールド部の材料はイリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体で構成され、かつ、該材料の構成元素全体に占めるイリジウムの割合は20質量%〜100質量部%である。シールド部を上記のように構成することより、シールド部の硬度が格段に高められるため、シールド部に力がかかっても、該シールド部の磨耗及び傷が発生しにくく、本発明の方法が想定する600〜850℃という高温条件の下でもオートクレーブは繰り返し使用可能である。具体的には、シールド部の材料としてイリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体を使用すると、温度850℃以下では、シールド部が溶融して互いに密着することがないため、オートクレーブの蓋を開けた際にシールド材が剥離したり破損したりしない。従って、本発明のオートクレーブは、600〜850℃という高温条件下での繰り返しの使用においても圧力を保持できる。
本発明において、縦型オートクレーブ内で種結晶を用いて単結晶を成長させる態様を示す図である。 本発明において、縦型オートクレーブ内で自発核生成により単結晶を成長させる態様を示す図である。 本発明に係るオートクレーブの概略断面図である。 本発明に係るオートクレーブのシールド部の概略断面図である。 本発明に係るオートクレーブと接続される上部配管の例を示す概略図である。 実施例1で用いた種結晶と同等サイズの結晶粒(上)及び実施例1において成長により得られた窒化物単結晶(下)の光学顕微鏡写真を示す図である。 実施例8で得られたGaN単結晶のX線回折パターン(XRDパターン)を示す図である。 実施例8で得られたGaN単結晶の光学顕微鏡写真を示す図である。 実施例13で得られたGaN単結晶の光学顕微鏡写真を示す図である。 実施例13で得られたGaN単結晶のX線回折パターン(XRDパターン)を示す図である。
以下、本発明のより具体的な態様について詳細に説明する。なお、以下の説明は、本発明の代表的な実施様態に基づいてなされるが、本発明はこれらの実施様態に限定されるものではない。
<窒化物単結晶の製造方法>
本発明の一側面は、
Ga含有窒化物多結晶、Ga含有窒化物及びGa含有窒化物前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料から、Ga含有窒化物単結晶を、アモノサーマル法によって製造する方法であって、
オートクレーブ内に、該原料と、1種以上の酸性鉱化剤と、アンモニアとを少なくとも導入した後、以下(a)〜(e):
(a)該オートクレーブ内には、該原料が配置された原料供給部位と、該Ga含有窒化物単結晶を成長させるための単結晶成長部位とが存在しており、
(b)該単結晶成長部位は、種結晶が配置された部位であり、
(c)該単結晶成長部位の温度(T1)は、600℃〜850℃であり、
(d)該単結晶成長部位の温度(T1)と、該原料供給部位の温度(T2)との間に、T1>T2の関係があり、かつ
(e)該オートクレーブ内の圧力は、40MPa〜250MPaである、
を満足する条件下で、Ga含有窒化物単結晶を成長させること、
を含む、窒化物単結晶の製造方法を提供する。
本発明の別の側面は、
Ga含有窒化物多結晶、Ga含有窒化物及びGa含有窒化物前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料から、Ga含有窒化物単結晶を、アモノサーマル法によって製造する方法であって、
オートクレーブ内に、該原料と、1種以上の酸性鉱化剤と、アンモニアとを少なくとも導入した後、以下(a)〜(e):
(a)該オートクレーブ内には、該原料が配置された原料供給部位と、該Ga含有窒化物単結晶を成長させるための単結晶成長部位とが存在しており、
(b)該単結晶成長部位は、自発核生成によってGa含有窒化物単結晶が析出及び成長する部位であり、
(c)該単結晶成長部位の温度(T1)は、600℃〜850℃であり、
(d)該単結晶成長部位の温度(T1)と、該原料供給部位の温度(T2)との間に、T1>T2の関係があり、かつ
(e)該オートクレーブ内の圧力は、40MPa〜250MPaである、
を満足する条件下で、Ga含有窒化物単結晶を成長させること、
を含む、窒化物単結晶の製造方法を提供する。
本明細書において、Ga含有窒化物とは、GaN(窒化ガリウム)、並びに、Ga及び他の元素(典型的には周期表第13族元素(IUPAC,1989)、以下、13族元素ともいう)を含有する窒化物を包含する。すなわち、本発明が意図するGa含有窒化物とは、GaNのような単一金属の窒化物のみでなく、AlGaN、InGaN、AlInGaN等の多元化合物も包含する。なお、これらの化学式は、窒化物の構成元素を示すのみであり、組成比を示すものではない。
本発明によって製造されるGa含有窒化物単結晶としては、GaN;GaNと他の13族元素窒化物との混晶;及びGaと他の13族元素とを含む多元窒化物;が挙げられる。多元窒化物としては、AlGaN、InGaN、及びAlInGaNが挙げられる。混晶としては、BN、AlN、GaN、及びInNを含む13族元素窒化物混晶等が挙げられる。
本発明において、多結晶とは、塊状、粒状、粉状等の種々の外観で得られる固体において、多数の微小な単結晶、すなわち微結晶が互いに異なる方位を向いて分離不可能な形で存在している状態を意味している。微結晶のサイズ、及び微結晶の方位の揃い具合、すなわち配向性の程度は特に限定されない。
本発明においては、Ga含有窒化物多結晶、Ga含有窒化物及びGa含有窒化物前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料を用いる。原料は、典型的には、Ga含有窒化物多結晶を含み、そしてより典型的にはGa含有窒化物多結晶からなる。しかし、原料は必ずしも完全な窒化物のみで構成される必要はなく、例えばゼロ価の金属を含有してもよい。
また、本明細書に記載する窒化物多結晶及び窒化物単結晶は、それぞれ、ドーピング材として、マグネシウム、亜鉛、炭素、シリコン、ゲルマニウム等を、13族元素のモル数に対して1/10〜1/1,000,000の範囲の極微量含有してもよい。
Ga含有窒化物は、多結晶として又は多結晶ではない状態で、原料として供給できる。Ga含有窒化物としては、単一元素の窒化物であるGaN、及び、多元窒化物であるAlGaN等を例示できる。原料は混合物であってもよい。例えば、Ga含有窒化物とGa不含有窒化物との混合物を使用でき、BN、AlN及びInNからなる群から選択される1種以上と、GaNとの混合物を好ましく例示できる。AlNとGaNとの混合物はより典型的な好ましい例である。
Ga含有窒化物の前駆体としては、アジ化ガリウム、ガリウムイミド、ガリウムアミドイミド、ガリウム水素化物、ガリウム含有合金、金属ガリウム等を例示できる。原料は混合物であってもよい。例えば、Ga含有窒化物の前駆体と、アルミニウムアミド、アルミニウムイミド、カリウムイミド、インジウムアミド、インジウムイミド等との混合物が例示できる。これらは、超臨界アンモニア中で窒化され、単結晶を形成できる。
なお、原料として用いる各化合物は、高純度であることが好ましい。一方、原料は、使用の際アンモニア溶媒に溶解させるので、結晶性が高い必要は無い。
原料として用いる窒化物多結晶の製造方法は特に限定されない。しかし、不純物が少ない原料という観点から、原料は、気相法により製造されたGa含有窒化物多結晶を含有することが好ましい。より好ましくは、原料は、気相法により製造されたGa含有窒化物多結晶からなる。例えば、GaNを例にとると、金属ガリウム又はGa23をアンモニアで窒化する方法により、窒化物多結晶を製造できる。又は、HVPE法のように、ハロゲン化物とアンモニアとの反応によって窒化物多結晶を得ることができる。
本発明では、溶媒としてアンモニアを使用するが、アンモニアに含まれる不純物の量はできる限り少ないことが望ましい。用いるアンモニアの純度は、通常99.9質量%以上であり、好ましくは99.99質量%以上であり、より好ましくは、99.999質量%以上である。
本発明の方法は、オートクレーブ内、アンモニアの存在下、より具体的にはアンモニア雰囲気で、アモノサーマル法(すなわち超臨界結晶化法)によって、Ga含有窒化物単結晶を製造する。アモノサーマル法は、例えば、前述の特許文献1、非特許文献1等に記載される方法である。
結晶成長時間は、典型的には1日以上1年以下であり、より好ましくは2日以上6ヶ月以下である。
アンモニアは、反応中はアンモニア雰囲気を形成し、溶媒として機能する。アンモニア雰囲気は、純粋なアンモニア、並びに/又はアンモニアが熱分解して生じる窒素及び水素によって形成されることができ、更に酸性鉱化剤を含んでいる。
溶媒であるアンモニアに添加する酸性鉱化剤としては、ハロゲン元素を含有する化合物が挙げられ、例えばハロゲン化アンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アンモニウムとしては、塩化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、臭化アンモニウム、フッ化アンモニウム等が挙げられるが、とりわけ、原料としての入手のし易さ、及び取り扱いの容易さの観点から、塩化アンモニウムが好ましい。
鉱化剤の使用割合は、好ましくは、鉱化剤/アンモニアのモル比が0.0001〜0.2となる範囲である。上記モル比が0.0001以上であることは、原料溶解度を上げ、成長速度を向上させる観点から有利であり、0.2以下であることは、不純物混入レベルを下げる観点から有利である。鉱化剤/アンモニアのモル比は、0.001〜0.1となる範囲がより好ましく、0.005〜0.05となる範囲が更に好ましい。
アンモニア充填量は、選択した温度において、使用するオートクレーブ内の圧力が40MPa〜250MPaとなるように調整する。アンモニアの充填量を多くすると、単結晶をより速く成長させることができるが、圧力が前記範囲の上限を超えてしまう場合には、オートクレーブのバルブを操作してアンモニアの一部を排出し、前記圧力範囲を超えないようにする。
単結晶の成長時のオートクレーブ内の圧力は、高い方が、単結晶の成長速度が速くなるという観点から好ましい。アモノサーマル法において、オートクレーブ内の圧力は、通常20MPa〜500MPaであるが、単結晶の成長速度が速いという観点から、30MPa以上が好ましく、より好ましくは40MPa以上、更に好ましくは50MPa以上、特に好ましくは60MPa以上、最も好ましくは70MPa以上である。一方、使用するオートクレーブに対する負荷、及び大容量のオートクレーブの生産効率を考慮すると、オートクレーブ内の圧力は好ましくは250MPa以下、より好ましくは200MPa以下、更に好ましくは150MPa以下であり、特に好ましくは130MPa以下である。
本発明において用いるオートクレーブ内の圧力は、単結晶の成長速度が速く、オートクレーブに対する負荷が低く、かつ生産効率が良好であるという観点から、本発明が規定する単結晶成長部位の特定温度範囲において、40MPa〜250MPaの範囲とする。オートクレーブ内の圧力は、好ましくは40MPa〜200MPa、より好ましくは50MPa〜180MPa、更に好ましくは60MPa〜150MPaである。
原料は、塊状、粒状、粉末状等の任意の形状であることができる。原料は、孔又はスリット状の隙間を複数設けた容器内に配置されていることが好ましい。孔を複数設けた容器は、例えばメッシュによって形成されたカゴ状容器であることができる。上記のような容器を用いることにより、オートクレーブ内の所望の位置に原料を配置することが可能である。容器の孔又はスリット状の隙間に関しては、用いる原料の形状にしたがって、好適な孔又はスリットの大きさ、メッシュの目の粗さ等を選択すればよい。容器内に入れた原料が効率よくアンモニア溶媒と接触し、速やかに溶解されることが好ましい。
アモノサーマル法を用いた本発明の窒化物単結晶の製造方法においては、原料を効率よく超臨界アンモニア中に溶解させることが重要である。そのため、使用するオートクレーブの内部において、溶媒である超臨界アンモニアの流れが滞らないよう、原料を入れた容器(特に典型的には上記した孔又はスリット状の隙間を複数設けた容器)の側面とオートクレーブの内壁との間に、1mm以上の隙間を存在させることが好ましい。
本発明において、単結晶成長部位の温度(T1)は、結晶成長速度を十分確保する観点から600℃以上であり、好ましくは630℃以上、より好ましくは650℃以上、更に好ましくは670℃以上、最も好ましくは690℃以上である。一方、単結晶成長部位の温度は、オートクレーブの耐久性の観点から850℃以下であり、好ましくは800℃以下、より好ましくは750℃以下である。
本発明の窒化物単結晶の製造方法において、アンモニア雰囲気の温度が600℃以上である場合、結晶成長速度が速くなる傾向があるため好ましい。750℃付近までは、温度が高いほど、結晶成長速度が大きくなるという傾向が大きくなるが、750℃付近よりも高温では上記傾向が小さくなる。従って、アンモニア雰囲気の温度を850℃まで上げても結晶成長は生じるが、オートクレーブの耐久性も考慮して、アンモニア雰囲気の温度は800℃以下であることが好ましく、750℃以下であることがより好ましい。
本発明においては、結晶成長部位の温度(T1)は、原料供給部位の温度(T2)よりも高く設定する。すなわち、温度が、T1>T2の関係を満たす。なお上記の温度T1及びT2は、結晶成長時間全体に亘る平均温度である。単結晶成長部位の温度(T1)は、種結晶が配置された部位(種結晶を用いる場合)、又は自発核生成によって窒化物単結晶が析出及び成長する部位(種結晶を用いない場合)である。例えば、単結晶成長部位の温度(T1)と、原料供給部位の温度(T2)との温度差(T1−T2)は、1℃〜150℃とすることができる。上記温度差を大きくすると、結晶の成長速度を大きくすることができる。一方、上記温度差を小さくすると、単結晶の品質が向上する傾向がある。したがって、単結晶の成長速度(すなわち単結晶の析出速度)、及び単結晶の品質の観点から、温度差(T1−T2)は5℃〜100℃が好ましく、10℃〜90℃がより好ましい。
本発明では、かかる温度条件を満たしている限り、原料供給部位に、単結晶成長部位が混在していても構わない。例えば、種結晶を、その表面に単結晶が成長可能な空間を保持しつつ、原料と一緒にメッシュ状の容器に入れれば、原料の配置場所に極めて近い場所での窒化物単結晶の成長が可能になり、大きな結晶成長速度を達成することができる。
本発明では、縦型オートクレーブを使用できる。図1は、本発明において、縦型オートクレーブ内で種結晶を用いて単結晶を成長させる態様を示す図である。図2は、本発明において、縦型オートクレーブ内で自発核生成により単結晶を成長させる態様を示す図である。縦型オートクレーブ1及び2において、圧力計101,201及びバルブ102,202は、本体103,203に導管104,204を介して接続されている。本体103,203内には、原料容器105,205内に収容された原料106,206が配置された原料供給部位109,209、及び、単結晶成長部位110,210が設けられている。本体103,203は、ヒーター108,208によって加熱される。図1に示すオートクレーブにおいて、単結晶成長部位110には、種結晶107が配置されている。一方、図2に示すオートクレーブにおいては、自発核生成によってGa含有窒化物単結晶を析出及び成長させるための単結晶成長部位210が存在し、この中に板207が配置されている。板207は、1つ以上の孔を有する耐腐食性の板であり、例えばメッシュ材で構成されている。
縦型オートクレーブを用いる場合には、図1及び図2に示すように、原料供給部位109,209を、単結晶成長部位110,210よりも高い位置(すなわち鉛直方向にみて高い位置)に配置することが好ましい。これにより効率的に単結晶を析出させることが可能となる。このような位置関係により、原料供給部位109,209と、オートクレーブの内部底面111,211との間に、単結晶成長部位110,210を設けることができる。この場合、原料供給部位109,209から重力により原料が単結晶成長部位110,210に落下し、対流が生じやすい。また、単結晶成長部位110に配置された種結晶107、又は単結晶成長部位210に自発核生成によって生じた単結晶を基にして、単結晶成長部位にて単結晶を効率的に成長させることが可能である。
縦型オートクレーブを用いた結晶成長法によれば、上記した対流の効果によって効率的に結晶成長を行うことができる。しかし、縦型オートクレーブを用いない場合、及び縦型オートクレーブを用いかつ原料供給部位を単結晶成長部位よりも低い位置に配置する場合であっても、上記した対流の現象が生じさえすれば単結晶の製造は可能である。
本発明においては、原料供給部位が、オートクレーブの内部底面から10mm以上の高さの位置に存在する(すなわちオートクレーブ内部底面と原料供給部位との最短距離が10mm以上である)とともに、原料供給部位とオートクレーブ内部底面との間に、単結晶成長部位が存在することが好ましい。この場合、析出した単結晶の他の単結晶粒との合一による多結晶化を効果的に防止できる。オートクレーブ内部底面から原料供給部位までの高さ(すなわちオートクレーブ内部底面と原料供給部位との最短距離)は、例えば、50mmとすることができる。縦型オートクレーブ内に、単結晶成長部位と原料供給部位とを設けるため、単結晶成長部位と原料供給部位とが占める体積の和は、オートクレーブ内の空間全体の体積を超えないが、その比率は任意に決定しうる。生産性を考慮すれば、できるだけ多くの種結晶を配置できるように、又はできるだけ広い領域で自発核生成が可能であるように、単結晶成長部位を大きくすることが好ましいが、それに伴い、より多くの原料が必要となるため、原料供給部位も大きくすることが好ましい。オートクレーブ内部底面から原料供給部位までの高さが10mm以上であれば、この空間を単結晶成長部位とすることにより、該空間で効果的に単結晶成長を行うことが可能になる。これは、内部長さ250mmの縦型オートクレーブの場合には、オートクレーブ内の空間全体の4体積%に相当する。一方、単結晶成長部位がオートクレーブ内の空間全体に占める体積は、前述の理由から、原料供給部位の大きさによって制限を受けるため、典型的には70体積%が上限となる。好ましくは10〜60体積%、より好ましくは20〜40体積%である。
本発明の重要な特徴は、酸性鉱化剤を用い、単結晶成長部位の温度(T1)を600℃〜850℃とし、かつ結晶成長部位の温度(T1)を原料供給部位の温度(T2)よりも高くすることである。本発明の一態様においては、オートクレーブの上部に原料供給部位、下部に単結晶成長部位を配置して、単結晶を成長させることができる。酸性鉱化剤を用いた従来技術における通常配置の態様(すなわちオートクレーブ下部に多結晶原料、上部に種結晶を配置し、多結晶原料の温度を種結晶の温度よりも高くする態様)では、本発明が開示する単結晶成長部位の温度領域、すなわち600〜850℃で窒化物単結晶を良好に成長させることができない。なお、本発明の方法の実施に好適なオートクレーブとしては、オートクレーブを構成する2つ以上の部品を密着させることによってオートクレーブ内の圧力を保持する部分であるシールド部の材料が、イリジウムと白金との合金又はイリジウム単体であり、かつ、該シールド部の材料の構成元素全体に占めるイリジウムの割合が20質量%〜100質量%である、オートクレーブが挙げられる。このようなオートクレーブの典型的な態様は後述の<オートクレーブ>の項にて更に述べる。
本発明の一態様で用いる種結晶としては、目的とする窒化物単結晶と一致又は適合した晶系、格子定数、及び結晶格子サイズのパラメータを有する材料を選択することが好ましい。例えば、本発明において製造するGa含有窒化物単結晶がGaN単結晶である場合、窒化アルミニウム等の窒化物単結晶、酸化亜鉛の単結晶、及び炭化ケイ素の単結晶等が利用できる。より好ましくは、窒化ガリウムの単結晶が用いられる。種結晶の製造方法については特に限定されず、例えば窒化ガリウムの場合には、MOCVD法若しくはHVPE法による単結晶基板若しくはテンプレート基板、高圧法によって得られる自立基板、又はフラックス法で作製された自立GaN結晶等が利用できる。アモノサーマル法において自発核生成によって得られた窒化物単結晶粒をそのまま、又は切断して利用することも可能である。自発核生成によって得られた単結晶が1mm以上の粒径を有する場合、これを種結晶として用いることが可能である。よって、本発明で開示したように、種結晶を用いずに、自発核生成によって1mm以上のサイズの結晶粒を作製し、該結晶粒を種結晶として利用することができる。自発核生成により生成した結晶粒は結晶品質が高いため、これを種結晶として利用することにより、高品質の単結晶が得られる。
本発明の、自発核生成に係る態様において、高品質の窒化物単結晶を得るためには、析出した単結晶粒の、他の単結晶粒との合一による多結晶化をできるだけ防ぐことが好ましい。オートクレーブの底面まで落下した結晶粒は合一して多結晶化しやすい。よって、ある程度の大きさとなって落下する単結晶粒を選択的に捕捉し、捕捉場所で単結晶を成長させることが有効である。従って、単結晶成長部位に、1つ以上の孔を有する耐腐食性の板(例えば図2に示す板207)を配置することが好ましい。該板は、メッシュ材等で構成できる。このような板を配置することにより、板上に捕捉された単結晶粒から、より大きい単結晶が成長する。
なお、上記の単結晶粒を、本発明における種結晶を用いる態様の種結晶として利用してもよい。この場合、例えば図2に示すような態様で自発核生成によって単結晶粒を製造し、これを例えば図1に示す種結晶107として用いる。
本発明においては、対流を適度に抑制し、原料供給部位及び単結晶成長部位それぞれの環境を好ましい状態に保持する目的で、原料供給部位と単結晶成長部位との間に少なくとも1枚の仕切り板をバッフルとして配置することが好ましい。
以上、本発明の窒化物単結晶の製造方法を説明した。本発明は、Ga含有窒化物単結晶の製造方法に関する。Ga含有窒化物単結晶においては、本発明が開示する方法によって得られる効果、すなわち、速い結晶成長速度と、得られる単結晶の優れた結晶品質との実現という効果が特に顕著である。しかし、本発明の製造方法は、Ga含有窒化物以外に、Gaを含有しない13族元素窒化物単結晶の製造にも適用可能であることは明白である。13族元素としては、Ga以外に、B、Al、In等が挙げられる。13族元素窒化物結晶としては、GaN以外に、BN、AlN、InN等が挙げられる。
<基板>
本発明の別の側面は、上述した本発明に係る方法によって製造された、窒化物単結晶からなる基板を提供する。本発明が提供する基板は優れた結晶品質を有し、例えば発光ダイオード及びレーザーダイオード等の発光デバイス用途に好適に適用できる。
<窒化物単結晶>
本発明の更に別の側面は、上述した本発明に係る方法によって製造され、かつ最大寸法が1mm以上である、窒化物単結晶を提供する。窒化物単結晶の具体例は、前述した通りであり、GaN;GaNと他の13族元素窒化物との混晶;及びGaと他の13族元素とを含む多元窒化物;が挙げられる。最大寸法が1mm以上である窒化物単結晶は、例えば発光ダイオード及びレーザーダイオード等の発光デバイス用途に好適に適用できる。
<オートクレーブ>
本発明の別の側面は、上述した本発明の窒化物単結晶の製造方法において用いるためのオートクレーブであって、
オートクレーブを構成する2つ以上の部品を密着させることによってオートクレーブ内の圧力を保持する部分であるシールド部の材料は、イリジウムと白金との合金又はイリジウム単体であり、かつ、
該シールド部の材料の構成元素全体に占めるイリジウムの割合が20質量%〜100質量%である、オートクレーブを提供する。
本発明者らは、化合物半導体基板の材料として有望な、GaN、AlN等の13族元素窒素化合物を、工業的生産が期待できるアモノサーマル法で製造する方法を検討した。本発明者らはまた、貴金属ライニング付きオートクレーブの繰り返し使用における耐久性についても検討した。そして、以下に詳細に説明する構成のオートクレーブが、上述した本発明に係る窒化物単結晶の製造方法に好適に適用できることを見出した。なお、本発明が提供するオートクレーブは、本発明に係る酸性鉱化剤を用いるアモノサーマル法に加え、塩基性鉱化剤又はほぼ中性の鉱化剤を用いるアモノサーマル法にも十分適用可能であることを見出した。以下、本発明が提供するオートクレーブの典型的な態様について詳説する。
従来、GaN、AlN等の13族元素窒化物を用いてオートクレーブにて半導体基板を製造するためには、オートクレーブの構成材料からの鉄、ニッケル、クロム、コバルト、モリブデン、チタン、アルミニウム等の溶出を防ぐため、白金等による貴金属ライニングを施したオートクレーブを用いている。しかしながら、白金等の貴金属は比較的柔らかい材料であるため、オートクレーブの本体及び蓋部分のシールド部が磨耗し易い。「シールド部」とは、オートクレーブを構成する2つ以上の部品を密着させることによってオートクレーブ内の圧力を保持する部分である。即ち、シールド部にはアンモニア溶媒が接することになる。オートクレーブを繰り返し使用するにつれて、シールド部の磨耗部分から溶媒が漏れて圧力が維持できなくなり、繰り返し使用が出来なくなってしまう。また、白金等の貴金属をそのままシールド部に使用して、500℃以上の高温下で保持すると、シールド部が固着してしまい、蓋が開けられなくなるという問題もある。シールド部が固着した際、無理に開けようとするとシールド部が破損し、オートクレーブが使用不可能になってしまう。
本発明者らは、アモノサーマル法で繰り返し使用できる貴金属ライニング付きオートクレーブを種々検討した。その結果、温度400℃〜850℃、圧力40MPa〜250MPaの酸性鉱化剤含有アンモニア雰囲気において、腐食、磨耗、並びに溶融による固着及び剥がれが起こらないシールド部材料として、イリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体が適していることを見出した。
アモノサーマル法に用いるオートクレーブのライニングの材質としては、アンモニアによる腐食の防止という観点からは、白金、イリジウム、タングステン、及びレニウムが優れている。一方、オートクレーブ内面と密着するとともにオートクレーブの内側構造に追随してライニングできるという加工上の観点からは、白金が優れている。しかし、白金ライニングには以下のような問題がある。
オートクレーブのシールド部分は、オートクレーブ本体に蓋部を押し付け、高圧下でもアンモニアが漏れないようにシールドするように構成されている。よって、白金のように硬度が低い材料では、磨耗及び傷が生じて、オートクレーブの繰り返し使用ができない。これは、白金の硬度、例えばビッカース硬度が約40であり、オートクレーブを構成する金属材料に比べて柔らかいことに起因すると考えられる。
本発明では、オートクレーブのシールド部の材料として、イリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体であって、該材料の構成元素全体に占めるイリジウムの割合が20質量%〜100質量%であるものを用いる。イリジウムのビッカース硬度は約220であり、これは白金の5倍以上である。イリジウムと白金との合金では、イリジウムの含有割合を減らすと硬度が下がる傾向がある。しかし、イリジウムの含有割合が20質量%である合金であっても、ビッカース硬度は約120であり、白金単体に比較して格段に硬い材料である。従って、イリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体は、白金に比べて、磨耗等の損傷に強く、繰り返し使用に対して耐久性が高いシールド部を有するオートクレーブの実現に対して顕著に有利である。
イリジウムの含有割合が20質量%以上であれば、材料の硬度が白金と比べて顕著に高く、磨耗及び熱による融着が起こり難い。イリジウムの含有割合が高いほど、硬度が高く、磨耗及び熱による融着が起こり難い。本発明においては、イリジウム含有割合が上記範囲内であるシールド部材料を用いることによって、アモノサーマル法によるGa含有窒化物単結晶の製造においてオートクレーブを繰り返し使用する際に、オートクレーブの耐久性を格段に良好にすることができる。シールド部材料のイリジウムの含有割合は、40質量%〜100質量%であることが好ましく、60質量%〜100質量%であることが更に好ましい。
尚、シールド部の材料及びシールド部以外のライニングの材料の組成については、例えば蛍光X線分析(XRF:X-ray Fluorescence Analysis)によって定量することが可能である。より正確性の高い方法として、例えば材料を王水等に溶解させて、誘導プラズマ発光分光分析(ICP−AES:Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometer)を行う方法、又は、材料の分離精製工程を経て直接組成を求める方法が可能である。
また、白金シールド材を用いた従来技術のオートクレーブにおいては、シールド部では、例えば本体に蓋部分を押し付けて密閉する。よって、500℃以上の高温では、シールド部が溶融して密着(融着)してしまい、蓋を開ける際に白金シールド材が剥離又は破損して、繰り返し使用ができなかった。しかし、本発明に係るオートクレーブは、イリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体でシールド部が作製されていることにより、シールド部の硬度が従来のシールド部と比べて格段に高い。よって、シールド部に力がかかっても磨耗及び傷が発生せず、オートクレーブを繰り返し使用することができる。
また、イリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体をシールド部の材料に使用する場合、温度850℃以下では、シールド部が溶融して密着(融着)することがなく、蓋を開けてもシールド材が剥離したり破損したりすることがなく、繰り返し使用が可能となる。
本発明に係るオートクレーブは、結晶成長時の高温高圧条件に耐えうるものの中から選択する。本発明に係るオートクレーブは、耐圧性及び耐侵食性を有する材料で構成されている。耐圧性及び耐侵食性を有する材料としては、Ni系の合金であって、高温での強度特性が優れるものが好ましい。特に好ましくは、Inconel625(Inconelは、The International Nickel Company,Inc.の登録商標)、Rene41(Reneは、Alvac Metals Companyの登録商標)、Udimet520(Udimetは、Special Metals,Inc.の登録商標)が挙げられる。
オートクレーブの耐侵食性を向上させるために、オートクレーブの内表面の、シールド部以外でアンモニアに触れる部分を、貴金属でライニング又はコーティングすることが好ましい。酸性鉱化剤を用いたアモノサーマル法では、アルカリ金属アミド等に代表される塩基性鉱化剤を使用した場合に比べて低い圧力でも単結晶が成長しやすい。また、酸性鉱化剤は、白金等の貴金属に対する腐食性が低いため、オートクレーブの内面を貴金属でライニングすることにより、オートクレーブに起因する不純物の影響を極めて低く抑えることが可能となる。貴金属としては、白金(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)、銀(Ag)、及びこれらの元素を主成分とする合金が挙げられる。中でも、耐侵食性に優れるという観点から、白金、イリジウム又はこれらの合金が好ましい。特に、白金は比較的柔らかく、オートクレーブ内側の形状に追随することができるため、ライニング材として特に好適である。シールド部の材料としてイリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体を用い、かつシールド部以外のライニング材として白金を用いる場合、シールド部と白金ライニング材とを隙間なく溶接することができ、また溶接後の溶接部の強度も十分に高い。このような態様のオートクレーブは特に有利である。
なお、オートクレーブのシールド部と、シールド部以外のライニング部分とを常に密着させて使用する場合には、オートクレーブのシールド部と、シールド部以外のライング部分との密着部分を溶接することが好ましい。
シールド部のシールド方式は、特に限定されないが、例えばコーンシール方式、ガスケット方式、又はグレイロック方式であることができる。いずれのシール方式でも、シールド部の材料の磨耗及び融着を防ぐことが、オートクレーブの繰り返し使用に必要である。本発明に係るオートクレーブは、上記いずれのシールド方式においても、特定のシールド部材料を用いることによって、オートクレーブの繰り返し使用における耐久性が格段に良好である。
図3は、本発明に係るオートクレーブの概略断面図であり、図4は、本発明に係るオートクレーブのシールド部の概略断面図である。図3及び図4に示すオートクレーブは、コーンシール方式の装置であり、本体胴部301とコーン蓋部303とで密閉できるように構成されている。本体胴部301の上にコーン蓋部303、緩衝パッキング材306及び外側蓋部305をセットし、ねじ止め部307で本体胴部301と外側蓋部305とを固定することにより、オートクレーブが密閉される。本体胴部301には本体胴シールド部302が形成され、コーン蓋部303にはコーン蓋シールド部304が形成されている。内容物が収容される内面筒309の温度は、熱電対308A,308Bにより管理される。図3に示す例では、オートクレーブ下段の温度を、内面筒309の底から高さ方向にHA(例えば15mm)上の位置にて、熱電対308Aをオートクレーブに差し込んで測定する。また、オートクレーブ上段の温度を、内面筒309の底から高さ方向にHB(例えば150mm)上の位置にて、熱電対308Bをオートクレーブに差し込んで測定する。内面筒309は、導管310を介した接続Lにて上部配管に接続されている。
コーンシールド方式のオートクレーブにおいては、例えば、本体胴シールド部302がなす角αと、コーン蓋シールド部304がなす角βとを略同一とすることによって、オートクレーブを良好に密閉できる。好ましくは、例えば角αを60°とし、角βを59°とする等、角βを角αよりも僅かに小さくする。この場合、密閉がより良好となる。
図5は、本発明に係るオートクレーブと接続される上部配管の例を示す概略図である。図5に示す上部配管は、オートクレーブから導管310を介した接続Lによって接続されている。導管310は、三方接続ジョイント501を経て、配管502及び配管505に分かれている。配管502には、手動バルブ503を経て配管504から溶媒(すなわちアンモニア)及び置換用ガス(例えば窒素)等が供給される。配管505は、三方接続ジョイント506を経て、配管507及び配管509に分かれている。配管507は圧力センサー508に至る。配管509は、自動バルブ510を介して配管511に至る。配管511は外気に通じている。これにより、圧力センサー508が所定値を超える圧力値を検知した場合には自動バルブ510が開放され、オートクレーブ内の過度の圧力上昇を防止できる。
例えば、図3及び図4に示すコーンシール方式のオートクレーブの場合、「シールド部」とは、本体胴部側の本体胴シールド部302と、コーン蓋部側のコーン蓋シールド部304との両者を指す。この場合、両者のシールド部の材料が、イリジウムと白金との合金、又はイリジウム単体であり、かつ該材料の構成元素全体に占めるイリジウムの割合が20質量%〜100質量%である。
オートクレーブのシールド部の厚みは、高温高圧のアンモニアによるシールド部の腐食を防ぎ、かつシールド部の磨耗、破損、及び熱による融着を防止できる厚みとするのがよい。具体的には、シールド部の厚みは、0.1mm〜30mmであることが好ましく、0.3mm〜20mmであることがより好ましく、0.5mm〜10mmであることが更に好ましい。シールド部が0.1mm以上である場合には、シールド部が、剥がれ難く、また傷による亀裂が起こり難い。一方、シールド部材料は高価な貴金属材料であるため、30mm以下の厚みがコスト的に有利である。
本発明に係るオートクレーブは、酸性鉱化剤を用いるアモノサーマル方法に特に適用される。しかし、酸性鉱化剤に代えて、アルカリ性鉱化剤又はほぼ中性の金属塩鉱化剤を用いるアモノサーマル法に適用することも可能である。上記した酸性鉱化剤、アルカリ性鉱化剤又はほぼ中性の金属塩鉱化剤は、アンモニア溶媒に溶解させて用い、原料である窒素化合物の溶解を促進させる働きを有する。例えば、アルカリ性鉱化剤としては、アルカリ金属元素を含む鉱化剤が挙げられる。より具体的なアルカリ性鉱化剤としては、例えば、NaNH2、KNH2、LiNH2等のアルカリ金属アミドが挙げられる。ほぼ中性の金属塩鉱化剤としては、MgCl2、MgBr2等のハロゲン化マグネシウム、CaCl2、BaBr2等のハロゲン化カルシウム、NaCl、NaBr、KCl、KBr、CsCl、CsBr、LiCl、LiBr等のハロゲン化アルカリ金属化合物が挙げられる。
本発明に係るオートクレーブを用いたGa含有窒化物単結晶の製造は、例えば以下の手順で行うことができる。まず、オートクレーブ内に、鉱化剤;Ga含有窒化物多結晶、Ga含有窒化物及びGa含有窒化物前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料;並びに必要に応じて酸素除去添加剤;を入れ、オートクレーブ内にアンモニア溶媒を導入して、オートクレーブを封止する。オートクレーブ内にアンモニアを導入する前に、オートクレーブ内を脱気して真空に保ち、酸素及び水分を除去することが好ましい。オートクレーブにアンモニアを導入するときには、オートクレーブをアンモニアの沸点以下に冷やすことが好ましい。この場合、アンモニアの蒸気圧が低いため、オートクレーブを封止するのが容易であるからである。
次いで、所望範囲に設定した温度及び圧力にて、原料から目的の単結晶を成長させる。より具体的には、単結晶成長部位の温度(T1)を600℃〜850℃、単結晶成長部位の温度(T1)と、原料供給部位の温度(T2)との間の関係をT1>T2、かつオートクレーブ内の圧力を40MPa〜250MPa、にそれぞれ設定して、Ga含有窒化物多結晶、Ga含有窒化物及びGa含有窒化物前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料から、Ga含有窒化物単結晶を成長させる。
本発明に係るオートクレーブは、上述した本発明に係るGa含有窒化物単結晶の製造方法に特に適用される。しかし、本発明に係るオートクレーブは、他の13族元素窒化物単結晶の製造に適用することも可能である。この場合、13族元素を含有する原料を用い、上記した手順に準ずる方法で単結晶を成長させることができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は、以下の実施例により限定的に解釈されるものではない。
なお、超臨界状態におけるオートクレーブの内部温度の測定は非常に困難であるので、空のオートクレーブの蓋を閉め、バルブを外した状態でヒーターにセットし、反応時と同じ条件でヒーターをコントロールした際のオートクレーブ内壁の各部の温度を、導管を通じて挿入した熱電対を用いて測定した。この温度値を、超臨界状態におけるオートクレーブの内部温度とした。
表中に示す配置に関し、「逆」及び「通常」は、それぞれ以下を意味する。
逆:原料供給部位が、単結晶成長部位よりも鉛直方向にみて高い位置に存在する配置
通常:原料供給部位が、単結晶成長部位よりも鉛直方向にみて低い位置に存在する配置
[実施例1〜7及び比較例1〜8]
実施例1〜7及び比較例1〜8は、種結晶を用いた単結晶成長の例である。
(実施例1)
気相法によって製造されたGaN多結晶を原料としたアモノサーマル法によってGaN単結晶粒を作製した。自発核生成によって作製したGaN単結晶から、長さ4mm、太さ0.7mm程度の自形が整った粒を種結晶として用いた。オートクレーブとしては、シールド部以外の内面に白金ライニングを施し、シールド部の内面に白金系の合金(イリジウムと白金との合金、イリジウム含有割合20質量%)でライニングを施した、RENE41を材料として作製された縦型オートクレーブ(内寸は、直径8mm、長さ250mm、内容積約12.5mL)を用いた。種結晶は、白金線により固定し、オートクレーブの内側底面から25mm程度の高さ位置に吊るした。
気相法により製造されたGaN多結晶(サイズ1mm〜5mm程度)5.0gを、0.3mm厚の白金板を加工して作製した円筒型容器(外形寸法は、直径5.5mm、及び高さ100mmであり、側面に幅0.5mm×長さ80mmのスリットを6本、底面に直径0.5mmの孔を5個形成したもの)に入れた。円筒型容器を、充填された多結晶で満たした。種結晶をセットしたオートクレーブ内に、オートクレーブの内側底面から高さ方向に50mmの隙間が保持されるように、該円筒型容器をセットした。
次いで、純度99.99質量%の塩化アンモニウムを0.426g入れ、オートクレーブの蓋を閉じた。容器を真空ポンプに接続し、内部を排気した。ターボ分子ポンプを用い、ポンプ直上での圧力が1.0×10-4Pa以下に到達するまで排気した。その後、ドライアイス及び冷媒を用いてオートクレーブを冷却し、オートクレーブ内容物を外気に触れさせることなく、純度99.999質量%のアンモニアを5.0g充填し、バルブを閉じた。充填したアンモニア量は、−33℃でのアンモニア密度で換算して、オートクレーブ内容積の59体積%に相当した。
次いで、オートクレーブをヒーターにセットし、オートクレーブを加熱した。多結晶配置部位(原料供給部位)の平均温度を656℃(等間隔の測定位置で681℃、663℃、645℃、646℃、及び644℃であった)に、そして単結晶成長部位の平均温度を697℃(等間隔の測定位置で698℃、699℃、及び694℃であった)に保持した。この際、オートクレーブ内の圧力は125MPaであった。
この状態で168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。図6は、実施例1で用いた種結晶と同等サイズの結晶粒(上)及び実施例1において成長により得られた窒化物単結晶(下)の光学顕微鏡写真を示す図である。図6から分かるように、実施例1においては良好な結晶成長が認められた。種結晶は元の形状から成長しており、長さ6.1mm、太さ1.1mmとなった。この時の単結晶成長速度を見積もると、長さ方向に300μm/日、太さ方向に57μm/日であった。
得られた単結晶をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。
X線回折測定より、得られた単結晶の長さ方向がc軸であることを確認した。GaN(0002)面からの回折ピークについて、X線ロッキングカーブを測定しその半値幅を評価したところ、28arcsecであり、高品質な結晶であることが確認された。
(実施例2)
充填するアンモニア量を4.2gとし、−33℃の密度換算で充填量を容器の約50体積%とするとともに、塩化アンモニウム量を0.357gに減らしたことと、反応時間を長くすること(480時間)以外は、実施例1と同様の配置及び温度条件にて、単結晶の成長を実施した。上記のアンモニア充填量によって、結晶成長時のオートクレーブ内の圧力は70MPaであった。480時間保持後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。種結晶は元の状態から成長しており、長さ7.2mm、太さ1.7mmとなった。この時の成長速度を見積もると、長さ方向に160μm/日、太さ方向に50μm/日であった。得られた単結晶をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。
(実施例3)
実施例2によって得られた太さ1.7mmの結晶粒を長さ方向に対して垂直に切断し、対辺(すなわちm軸方向の長さ)約1.5mm、厚み0.5mmのGaN単結晶基板を得た。これを種結晶として用い、実施例1と同様の配置、仕込み、温度、圧力、及び反応時間の条件によって単結晶を成長させた。結晶は元の状態から成長しており、厚み0.9mm、対辺1.8mmまで成長した。この時の成長速度を見積もると、厚み方向(c軸方向)に57μm/日、対辺方向(m軸方向)に43μm/日であった。
(実施例4)
HVPE法によって作製されたGaN自立基板(約5mm×約10mm×厚み約0.4mm、重量約0.15g)を種結晶として用いた。オートクレーブ内側底面から50mmの高さの位置に、直径7mmの円板の中央に直径2mmの孔を開けた白金板を、直径方向が水平方向となるように仕切り板として配置したこと、充填するアンモニア量を4.3g、塩化アンモニウム量を0.365g、保持時間(すなわち単結晶成長時間)を96時間としたこと以外は実施例1と同様の配置、及び温度条件で単結晶の成長を実施した。結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は80MPaであった。
成長後に取り出した種結晶は重さ0.37g、厚み0.95mmに成長していた。厚み方向の成長速度を見積もると、135μm/日であった。
成長後の結晶について、GaN(0002)からの回折ピークについてのX線ロッキングカーブを測定し、ピークの半値幅を評価したところ、Ga面側について50arcsec、N面側について30arcsecであった。
(実施例5)
充填するアンモニア量を5.0g、塩化アンモニウム量を0.426gとしたこと以外は、実施例4と同様の配置、温度、及び反応時間条件で単結晶の成長を実施した。結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は125MPaであった。
成長後に取り出した種結晶は重さ0.45g、厚み1.1mmに成長していた。厚み方向の成長速度を見積もると、175μm/日であった。成長後の結晶について、GaN(0002)面からの回折ピークについてのX線ロッキングカーブを測定し、ピークの半値幅を評価したところ、Ga面側について72arcsec、N面側について137arcsecであった。
(実施例6)
多結晶配置部位(すなわち原料供給部位)の平均温度を702℃(等間隔の測定位置で725℃、715℃、695℃、690℃、及び685℃であった)に、そして単結晶成長部位の平均温度を749℃(等間隔の測定位置で752℃、749℃、及び745℃であった)に保持したこと以外は、実施例5と同様の仕込み、配置、及び反応時間条件にして単結晶の成長を実施した。結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は140MPaであった。
成長後に取り出した種結晶は重さ0.47g、厚み1.15mmに成長していた。厚み方向の成長速度を見積もると、185μm/日であった。成長後の結晶について、GaN(0002)面からの回折ピークについてのX線ロッキングカーブを測定し、ピークの半値幅を評価したところ、Ga面側について104arcsec、N面側について61arcsecであった。
(実施例7)
多結晶配置部位の平均温度を610℃(等間隔の測定位置で615℃、612℃、610℃、608℃、及び605℃であった)に、そして単結晶成長部位の平均温度を660℃(等間隔の測定位置で662℃、660℃、及び658℃であった)に保持したこと以外は、実施例5と同様の配置、仕込み、及び反応時間条件にして単結晶の成長を実施した。結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は105MPaであった。
成長後に取り出した種結晶は重さ0.30g、厚み0.85mmに成長していた。厚み方向の成長速度を見積もると、110μm/日であった。成長後の結晶について、GaN(0002)面からの回折ピークについてのX線ロッキングカーブを測定し、ピークの半値幅を評価したところ、Ga面側について169arcsec、N面側について187arcsecであった。
(比較例1)
多結晶配置部位の平均温度を638℃(等間隔の測定位置で620℃、633℃、645℃、650℃、及び644℃であった)に、そして単結晶成長部位の平均温度を601℃(等間隔の測定位置で590℃、602℃、及び610℃であった)に保持したこと以外は、実施例1と同様の配置、及び仕込み条件にして単結晶の成長を実施した。結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は96MPaであった。
168時間保持した後、自然放冷し、アンモニアを排出後、オートクレーブ内を確認すると、セットした種結晶はすべて溶解し、消失してしまっていた。
(比較例2)
充填するアンモニア量を2.5gとし、−33℃のアンモニア密度換算でのアンモニア量を容器の約30体積%とするとともに、鉱化剤である塩化アンモニウムを0.213gに減らしたこと以外は、実施例1と同様の配置、温度、及び反応時間条件にて単結晶の成長を実施した。結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は27MPaであった。168時間保持した後、自然放冷し、アンモニアを排出後、オートクレーブ内を確認すると、セットした種結晶及び多結晶原料はほぼそのまま残っており、結晶成長は起こらなかったことが分かった。
(比較例3)
気相法によって製造されたGaN多結晶を原料としたアモノサーマル法によってGaN単結晶粒を作製した。自発核生成によって作製したGaN単結晶から、長さ4mm、太さ0.7mm程度の自形が整った粒を種結晶として用いた。オートクレーブとしては、シールド部以外の内面に白金ライニングを施し、シールド部の内面に白金系の合金(イリジウムと白金との合金、イリジウム含有割合20質量%)でライニングを施した、RENE41を材料として作製された縦型オートクレーブ(内寸は、直径8mm、長さ250mm、及び内容積約12.5mL)を用いた。
気相法により製造されたGaN多結晶(サイズ1mm〜5mm程度)5.0gを、0.3mm厚の白金板を加工して作製した円筒型容器(外形寸法は、直径5.5mm、及び高さ100mmであり、側面に幅0.5mm×長さ80mmのスリットを6本、底面に直径0.5mmの孔を5個形成したもの)に入れた。円筒型容器を、充填された多結晶で満たした。該容器をオートクレーブに入れ、GaN多結晶がオートクレーブ内側底面から0mm〜約100mmの高さの位置に配置されるように該容器をセットした。
種結晶は白金線により固定し、オートクレーブ内側底面から150mmの高さの位置に配置した。次いで純度99.99質量%の塩化アンモニウムを0.426g入れ、オートクレーブの蓋を閉じた。
容器を真空ポンプに接続し、内部を排気した。ターボ分子ポンプを用い、ポンプ直上での圧力が1.0×10-4Pa以下に到達するまで排気した。その後、ドライアイス及び冷媒を用いてオートクレーブを冷却し、オートクレーブ内容物を外気に触れさせることなく、純度99.999質量%のアンモニアを5.0g充填し、バルブを閉じた。充填したアンモニア量は、−33℃でのアンモニア密度で換算して、オートクレーブ内容積の59体積%に相当した。
次いで、オートクレーブをヒーターにセットし、オートクレーブを加熱した。多結晶配置部位(オートクレーブ内側底面から0〜100mmの高さの位置)の平均温度を698℃(等間隔の測定位置で708℃、702℃、698℃、695℃、及び685℃であった)に、そして単結晶成長部位(オートクレーブ内側底面から125〜175mmの高さの位置)の平均温度を665℃(等間隔の測定位置で675℃、670℃、660℃、663℃、及び658℃であった)に保持した。この際、オートクレーブ内の圧力は125MPaであった。
この状態で96時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。オートクレーブ内を確認すると、セットした種結晶はすべて溶解し、消失してしまっていた。
(比較例4)
多結晶配置部位の平均温度を509℃(等間隔の測定位置で548℃、521℃、500℃、492℃、及び485℃であった)に、そして単結晶成長部位の平均温度を581℃(等間隔の測定位置で583℃、581℃、及び578℃であった)に保持したこと、及び、結晶成長時間を短くしたこと以外は、実施例1と同様の配置、及び仕込み条件にして単結晶の成長を実施した。結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は100MPaであった。96時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。オートクレーブ内を確認すると、セットした種結晶はすべて溶解し、消失してしまっていた。
(比較例5)
多結晶配置部位の平均温度を697℃(等間隔の測定位置で685℃、698℃、705℃、700℃、及び699℃であった)に、そして単結晶成長部位の平均温度を661℃(等間隔の測定位置で658℃、661℃、及び664℃であった)に保持したこと、結晶成長時間を短くしたこと(96時間)以外は、実施例1と同様にして単結晶の成長を実施した。結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は125MPaであった。96時間保持した後、自然放冷し、アンモニアを排出後、オートクレーブ内を確認すると、セットした種結晶はすべて溶解し、消失してしまっていた。
(比較例6)
HVPE法によって作製されたGaN自立基板(約5mm×約10mm×厚み約0.4mm、重量約0.15g)を種結晶として用いたこと、オートクレーブ内側底面から約50mmの高さの位置に、直径7mmの円板の中央に直径2mmの孔を開けた白金板を、直径方向が水平方向となるように仕切り板として配置したこと、充填するアンモニア量を5.2g、塩化アンモニウム量を0.443gとしたこと、及び、加熱保持条件を変更したこと以外は、比較例3と同様の配置条件にして単結晶の成長を実施した。多結晶配置部位(オートクレーブ内側底面から0〜100mmの高さの位置)の平均温度を554℃(等間隔の測定位置で563℃、562℃、553℃、547℃、及び544℃であった)に、そして単結晶成長部位(オートクレーブ内側底面から125〜175mmの高さの位置)の平均温度を453℃(等間隔の測定位置で470℃、462℃、450℃、443℃、及び438℃であった)にして168時間保持した。この際、オートクレーブ内の圧力は120MPaであった。
成長後に取り出した種結晶は重さ0.23g、厚み0.57mmに成長していた。厚み方向の成長速度を見積もると、25μm/日であった。成長後の結晶について、GaN(0002)からの回折ピークについてのX線ロッキングカーブを測定し、ピークの半値幅を評価したところ、Ga面側について173arcsec、N面側について3420arcsecであった。
(比較例7)
充填するアンモニア量を4.7g、塩化アンモニウム量を0.400gとしたこと以外は、比較例6と同様の配置、及び反応時間条件にして成長を実施した。結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は90MPaであった。
成長後に取り出した種結晶は重さ0.17g、厚み0.43mmに成長していた。厚み方向の成長速度を見積もると、4.3μm/日であった。成長後の結晶について、GaN(0002)からの回折ピークについてのX線ロッキングカーブを測定し、ピークの半値幅を評価したところ、Ga面側について151arcsec、N面側について181arcsecであった。
(比較例8)
HVPE法によって作製されたGaN自立基板(約5mm×約10mm×厚み約0.4mm、重量約0.15g)を種結晶として用いたこと、オートクレーブ内側底面から約50mmの高さの位置に、直径7mmの円板の中央に直径2mmの孔を開けた白金板を、直径方向が水平方向となるように仕切り板として配置したこと、以外は、比較例3と同様の配置、仕込み、及び圧力条件にした。96時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。オートクレーブ内を確認すると、セットした種結晶はすべて溶解し、消失してしまっていた。
[実施例8〜11及び比較例9〜11]
実施例8〜11及び比較例9〜11は、種結晶を用いない単結晶成長の例である。
(実施例8)
気相法により製造されたGaN多結晶(サイズ1mm〜5mm程度)5.0gを、0.3mm厚の白金板を加工して作製した円筒型容器(外形寸法は、直径5.5mm、及び高さ100mmであり、側面に幅0.5mm×長さ80mmのスリットを6本、底面に直径0.5mmの孔を5個形成したもの)に入れた。充填された多結晶は円筒型容器に満たされた状態であった。多結晶を充填した容器を、シールド部以外の内面に白金ライニングを施し、シールド部の内面に白金系の合金(イリジウムと白金との合金、イリジウム含有割合20質量%)でライニングを施した、RENE41を材料として作製された縦型オートクレーブ(内寸は、直径8mm、長さ250mm、及び内容積約12.5mL)内に、内側底面から高さ方向に50mmの隙間が保持されるようにセットした。
次いで、純度99.99質量%の塩化アンモニウムを0.426g入れ、オートクレーブの蓋を閉じた。容器を真空ポンプに接続し、内部を排気した。ターボ分子ポンプを用い、ポンプ直上での圧力が1.0×10-4Pa以下に到達するまで排気した。その後、ドライアイス及び冷媒を用いてオートクレーブを冷却し、オートクレーブ内容物を外気に触れさせることなく、純度99.999質量%のアンモニアを5.0g充填し、バルブを閉じた。充填したアンモニア量は、−33℃でのアンモニア密度で換算して、オートクレーブ内容積の59体積%に相当した。
次いで、オートクレーブをヒーターにセットし、オートクレーブを加熱した。多結晶配置部位の平均温度を621℃(等間隔の測定位置で680℃、647℃、610℃、588℃、及び580℃であった)に、そして単結晶成長部位の平均温度を715℃(等間隔の測定位置で723℃、720℃、及び701℃であった)に保持した。この際、オートクレーブ内の圧力は115MPaであった。
この状態で168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。単結晶成長部位のオートクレーブ内壁面、及び底面に、長さ1mm〜5mmの単結晶が析出していた。洗浄、乾燥後の単結晶の重量は1.5gであった。多結晶は白金製容器中に3.0g残っていた。仕込み量と、生成単結晶及び残存多結晶の量との差0.5gは、洗浄工程で流出したか、又はオートクレーブ内部等に付着したと考えられる。
図7は、実施例8で得られたGaN単結晶のX線回折パターン(XRDパターン)を示す図である。図8は、実施例8で得られたGaN単結晶の光学顕微鏡写真を示す図である。図7に示すように、得られた結晶粒は、X線回折により、六方晶GaNであることが確認された。また、形の整った1粒の結晶粒をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。得られた単結晶の外観は、図8に示す通りであった。
(実施例9)
オートクレーブの内側底面から10mmの高さの位置に、目開き0.5mmの白金製メッシュを配置した他は、実施例8と同様の配置、仕込み、温度、圧力、及び反応時間条件で単結晶の成長を実施した。実験終了後、メッシュ上に自形が整った長さ3mm〜5mmの単結晶が析出していることが確認された。
得られた結晶粒は、X線回折により、六方晶GaNであることが確認された。また、形の整った1粒の結晶粒をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。
(実施例10)
充填するアンモニア量を4.2gとし、−33℃のNH3密度換算で充填量を容器の約50体積%とするとともに、鉱化剤である塩化アンモニウムの量を0.357gに減らしたこと以外は、実施例1と同様の配置条件にて単結晶の成長を実施した。上記のアンモニア充填量によって、結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は70MPaであった。168時間保持後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。単結晶成長部位のオートクレーブ内壁面、及び底面に、長さ0.5mm〜3mm程度の単結晶が析出しており、洗浄、乾燥後の単結晶の重量は0.9gであった。多結晶は白金製容器中に3.5g残っていた。仕込み量と、生成単結晶及び残存多結晶の量との差0.6gは、洗浄工程で流出したか、又はオートクレーブ内部等に付着したと考えられる。
得られた結晶粒は、X線回折により、六方晶GaNであることが確認された。また、形の整った1粒の結晶粒をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。
(実施例11)
気相法により製造されたGaN多結晶(サイズ1mm〜5mm程度)5.0gを、0.3mm厚の白金板を加工して作製した円筒型容器(外形寸法は、直径5.5mm、及び高さ100mmであり、側面に幅0.5mm×長さ80mmのスリットを6本、底面に直径0.5mmの孔を5個形成したもの)に入れた。充填した多結晶は円筒型容器に満たされた状態であった。多結晶が満たされた容器を、シールド部以外の内面に白金ライニングを施し、シールド部の内面に白金系の合金(イリジウムと白金との合金、イリジウム含有割合20質量%)でライニングを施した、RENE41を材料として作製された縦型オートクレーブ(内寸は、直径8mm、長さ250mm、及び内容積約12.5mL)内に、内側底面から高さ方向に50mmの隙間が保持されるようにセットした。
次いで、純度99.99質量%の塩化アンモニウムを0.426g入れ、オートクレーブの蓋を閉じた。容器を真空ポンプに接続し、内部を排気した。ターボ分子ポンプを用い、ポンプ直上での圧力が1.0×10-4Pa以下に到達するまで排気した。その後、ドライアイス及び冷媒を用いてオートクレーブを冷却し、オートクレーブ内容物を外気に触れさせることなく、純度99.999質量%のアンモニアを5.0g充填し、バルブを閉じた。充填したアンモニア量は、−33℃でのアンモニア密度で換算して、オートクレーブ内容積の59体積%に相当した。
次いで、オートクレーブをヒーターにセットし、オートクレーブを加熱した。多結晶配置部位の平均温度を656℃(等間隔の測定位置で681℃、663℃、645℃、646℃、及び644℃であった)に、そして単結晶成長部位の平均温度を697℃(等間隔の測定位置で698℃、699℃、及び694℃であった)に保持した。この際、オートクレーブ内の圧力は125MPaであった。
この状態で168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。単結晶成長部位のオートクレーブ内壁面、及び底面に、長さ1mm〜5mm程度の単結晶が析出しており、洗浄、乾燥後の単結晶の重量は1.1gであった。多結晶は白金製容器中に3.5g残っていた。仕込み量と、生成単結晶及び残存多結晶の量との差0.4gは、洗浄工程で流出したか、又はオートクレーブ内部等に付着したと考えられる。
得られた結晶粒は、X線回折により、六方晶GaNであることが確認された。また、形の整った1粒の結晶粒をSi無反射板に乗せて、X線回折測定をした結果、m面からのみの回折が得られ、単結晶であることが示された。
(比較例9)
気相法により製造されたGaN多結晶(サイズ1mm〜5mm程度)5.0gを、0.3mm厚の白金板を加工して作製した円筒型容器(外形寸法は、直径5.5mm、及び高さ100mmであり、側面に幅0.5mm×長さ80mmのスリットを6本、底面に直径0.5mmの孔を5個形成したもの)に入れた。充填された多結晶は円筒型容器に満たされた状態であった。多結晶を充填した容器を、シールド部以外の内面に白金ライニングを施し、シールド部の内面に白金系の合金(イリジウムと白金との合金、イリジウム含有割合20質量%)でライニングを施した、RENE41を材料として作製された縦型オートクレーブ(内寸は、直径8mm、長さ250mm、及び内容積約12.5mL)内に、内側底面から高さ方向に50mmの隙間が保持されるようにセットした。
次いで、純度99.99質量%の塩化アンモニウムを0.426g入れ、オートクレーブの蓋を閉じた。容器を真空ポンプに接続し、内部を排気した。ターボ分子ポンプを用い、ポンプ直上での圧力が1.0×10-4Pa以下に到達するまで排気した。その後、ドライアイス及び冷媒を用いてオートクレーブを冷却し、オートクレーブ内容物を外気に触れさせることなく、純度99.999質量%のアンモニアを5.0g充填し、バルブを閉じた。充填したアンモニア量は、−33℃でのアンモニア密度で換算して、オートクレーブ内容積の59体積%に相当した。
次いで、オートクレーブをヒーターにセットし、オートクレーブを加熱した。多結晶配置部位の平均温度を638℃(等間隔の測定位置で620℃、633℃、645℃、650℃、及び644℃であった)に、そして実施例11における単結晶成長部位に相当する位置の平均温度を600℃(等間隔の測定位置で590℃、602℃、及び610℃であった)に保持した。この際、オートクレーブ内の圧力は96MPaであった。
この状態で168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。実施例11における単結晶成長部位に相当する部位周辺のオートクレーブ内壁面、及び底面には、析出物は確認されなかった。多結晶配置部位周辺のオートクレーブ内壁面、及びオートクレーブ上部の導管近くには、微粉状の析出物が付着しており、これらはX線回折によって六方晶GaNであることは確認された。しかしこの析出物は凝集物様の形状を有しており、単結晶粒として分離することは不可能であった。走査型電子顕微鏡観察によって、六角柱に近い形状のものが含まれることが分かったが、析出物はミクロンサイズで凝集しており、単結晶として取り出すことは不可能であった。
(比較例10)
充填するアンモニア量を3.0gとし、−33℃のアンモニア密度換算での充填量を容器の約36体積%とするとともに、鉱化剤である塩化アンモニウムの量を0.256gに減らしたこと以外は、実施例11と同様の配置、温度、及び反応時間条件にて単結晶の成長を実施した。上記のアンモニア充填量によって、結晶成長中のオートクレーブ内の圧力は30MPaであった。168時間保持した後、自然放冷し、内部のアンモニアを排出した。多結晶原料は4.8g残っており、若干量は溶解していたが、オートクレーブ内部には、回収可能な析出物はほとんど見られなかった。
(比較例11)
比較例6における種結晶を用いなかったこと以外は、比較例6と同様の配置、仕込み、温度、圧力、及び反応時間条件にて実験を行った。単結晶成長部位は、比較例6の単結晶成長部位と同じ位置とした。168時間保持した後、単結晶成長部位にあたるオートクレーブ内壁及びオートクレーブ上部の導管近くには、微粉状の析出物が付着しており、これらはX線回折によって六方晶GaNであることが確認された。しかしこの析出物は凝集物様であり、単結晶粒として分離することは不可能であった。
以上の実施例1〜実施例11及び比較例1〜比較例11の結果を下記表1〜3に示す。
[実施例12〜15及び比較例12〜15]
実施例12〜15及び比較例12〜15においては、オートクレーブの耐久性について検討した。
(実施例12〜15)
図3及び図4に示すオートクレーブを用いてGaN単結晶を成長させた。オートクレーブの材料はRene41(Reneは、Alvac Metals Companyの登録商標)であった。本体胴シールド部302とコーン蓋シールド部304とのシールド部材料として、イリジウムと白金との合金(イリジウム含有割合20質量%)を用いた。本体胴シールド部302の、イリジウムと白金との合金の厚みは、本体上面から高さ方向に12mm下の位置の本体胴部301の側面に対して11mmであった。また、コーン蓋シールド部304の厚みは1.0mmであった。用いたオートクレーブにおいて、シールド部以外のアンモニアが接する部分は、厚み0.5mmの白金で内張りライニングした。オートクレーブは、内面筒径8mm、内面筒長さ約204mm、容積約10mlであった。
オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底に、鉱化剤として、乾燥させた純度99.99質量%のNH4Cl粉体0.19gを置いた。次いで、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底から高さ方向に40mm上の位置に白金製網を置き、その上に、HVPE法で作製した厚み0.4mm、縦10mm、横5mmのGaN板8枚を、GaN単結晶成長用原料として置いた。次いで、図3に示すように、本体胴部301の上にコーン蓋部303を載せ、緩衝パッキング材306と外側蓋部305をセットし、外側蓋部305と本体胴部301とをしっかりとねじ止めした。さらにコーン蓋部303の上部に、図5に示す構成の上部配管をセットした。
オートクレーブ全体を覆うようにヒーターを配置した。具体的には、本体胴部の中心を境にして上下2段のヒーターを配置した。図3に示すように、オートクレーブ下段の温度は、本体胴部301の内面筒309の底から高さ方向に15mm上の位置にて、熱電対308Aをオートクレーブに差し込んで測定した。また、オートクレーブ上段の温度は、本体胴部301の内面筒309の底から高さ方向に150mm上の位置にて、熱電対308Bをオートクレーブに差し込んで測定した。
本例では、図5に示す上部配管をオートクレーブに接続した。自動バルブ510は閉めたままで、配管504から手動バルブ503を介して窒素をオートクレーブ内に供給し、一旦オートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、配管504の先に真空脱気装置を接続し、手動バルブ503を開けて、オートクレーブ内を排気して真空とした。その後、手動バルブ503を閉じて真空状態を維持した状態で、配管504及び配管511を取り外して、図3に示すオートクレーブと、配管504及び配管511を取り外した上部配管とを一体として重量を測定した。次いで、配管504及び配管511をセットして、同様にしてオートクレーブ内を真空にした後、本体胴部301の外側からドライアイスメタノール溶媒によって冷却し、配管504から手動バルブ503を介してアンモニアをオートクレーブ内に充填した。アンモニアの流量を測定して、アンモニア量が−33℃の液体アンモニア状態でオートクレーブ内の容積の50体積%になるように、オートクレーブ内にアンモニアを充填した。アンモニア充填後に、手動バルブ503を閉じて、室温に戻し、再び配管504及び配管511を取り外して上部配管付オートクレーブの重さを測定して、アンモニアの充填量が適切であることを確認した。
アンモニア雰囲気での加熱処理によってGaN単結晶を成長させるために、オートクレーブの外側からヒーターで加熱して、オートクレーブの下段及び上段の温度が所定の上段保持温度及び下段保持温度になるように12時間かけて昇温し、下記表4に示す所定の上段保持温度及び下段保持温度で24時間保持し、さらに12時間かけて60℃まで降温し、さらに室温になるまで放置した。なお、GaN単結晶成長時のオートクレーブ内の圧力に関しては、120MPaを超えないように手動バルブで圧力を逃がしながら、所定の上段保持温度及び下段保持温度において圧力120MPaを維持するようにして調整した。
オートクレーブの温度がほぼ室温になっていることを確認して、オートクレーブ全体をヒーターから取り外して、配管504の出口側をアンモニア回収用スクラバー排気に接続し、手動バルブ503をゆっくり開放して、オートクレーブ内のアンモニアを排出させた。
オートクレーブ内のアンモニアを完全に排出させるために、オートクレーブ内に高純度窒素を圧力0.5MPaで10回圧入し、その後大気開放する操作を繰り返した。アンモニアの排気は全てアンモニア回収用スクラバー排気に接続して排気した。その後、オートクレーブの蓋を開け、内部に成長したGaN単結晶を確認した。
実施例12〜15の実験結果を下記表4に示す。
実施例12〜15のいずれにおいても、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底から高さ方向に40mm上の位置に白金製網を置いてHVPE法によって作製した、厚み0.4mm、縦10mm、横5mmのGaN板8枚は、全て溶解した。また、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底部及び白金ライニングの内壁面に成長した、六角柱状のGaN単結晶が確認できた。
図9は、実施例13で得られたGaN単結晶の光学顕微鏡写真を示す図である。実施例12〜15いずれにおいても、図9の光学顕微鏡写真で示すような、長さほぼ3mm以下のほぼ六角柱状のGaN単結晶が得られた。図10は、実施例13で得られたGaN単結晶のX線回折パターン(XRDパターン)を示す図である。図10に示す結果から、実施例13で得られた六方晶GaNにおいては、結晶粒の自形により、m面の配向性が強いことが確認された。また、実施例12,14及び15においても、図10に示すのと同様のX線回折測定結果が得られた。
GaN単結晶成長実験を繰り返し、オートクレーブのシールド部の繰り返し結晶成長耐久回数を測定し、表4に示した。繰り返し結晶成長耐久回数の基準は、オートクレーブの部品を交換せずにオートクレーブ内圧力120MPaを維持できた繰り返しGaN結晶成長回数である。
表4から分かるように、本発明に係るオートクレーブにおけるシールド材は、高温高圧アンモニア雰囲気下に用いる際にも、以下の比較例に比較して、繰り返し結晶成長耐久回数が格段に多く、オートクレーブの使用耐久性が向上した。
(実施例16〜19)
図3及び図4に示す本体胴シールド部302及びコーン蓋シールド部304のシールド部材料として、イリジウム含有割合40質量%の、イリジウムと白金との合金を用いた以外は、実施例12〜15と同様の方法で、GaN単結晶の成長を実施した。実施例16〜19の実験結果を下記表5に示す。
実施例16〜19のいずれにおいても、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底から高さ方向に40mm上の位置に白金製網を置いてHVPE法で作製した、厚み0.4mm、縦10mm、横5mmのGaN板8枚は、全て溶解した。また、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底部及び白金ライニングの内壁面に成長した、六角柱状のGaN単結晶が確認できた。
実施例16〜19いずれにおいても、図9の光学顕微鏡写真に示すのと同様の、長さほぼ3mm以下のほぼ六角柱状のGaN単結晶が得られた。実施例16〜19のいずれにおいても、図10に示すのと同様のX線回折測定結果が得られた。
GaN単結晶成長実験を繰り返し、オートクレーブのシールド部の繰り返し結晶成長耐久回数を測定し、表5に示した。繰り返し結晶成長耐久回数の基準は、オートクレーブの部品を交換せずにオートクレーブ内圧力120MPaを維持できた繰り返しGaN結晶成長回数である。
表5から分かるように、本発明に係るオートクレーブにおけるシールド材は、高温高圧アンモニア雰囲気下に用いる際にも、以下の比較例に比較して、繰り返し結晶成長耐久回数が格段に多く、オートクレーブの使用耐久性が向上した。
(実施例20〜23)
図3及び図4に示す本体胴シールド部302及びコーン蓋シールド部304のシールド部材料として、イリジウム含有割合60質量%の、イリジウムと白金との合金を用いた以外は、実施例12〜15と同様の方法で、GaN単結晶の成長を実施した。実施例20〜23の実験結果を以下の表6に示す。
実施例20〜23のいずれにおいても、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底から高さ方向に40mm上の位置に白金製網を置いてHVPE法で作製した、厚み0.4mm、縦10mm、横5mmのGaN板8枚は、全て溶解した。また、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底部及び白金ライニングの内壁面に成長した、六角柱状のGaN単結晶が確認できた。
実施例20〜23いずれにおいても、図9の光学顕微鏡写真に示すのと同様の、長さほぼ3mm以下のほぼ六角柱状のGaN単結晶が得られた。実施例20〜23のいずれにおいても、図10に示すと同様のX線回折測定結果が得られた。
GaN単結晶成長実験を繰り返し、オートクレーブのシールド部の繰り返し結晶成長耐久回数を測定し、表6に示した。繰り返し結晶成長耐久回数の基準は、オートクレーブの部品を交換せずにオートクレーブ内圧力120MPaを維持できた繰り返しGaN結晶成長回数である。
表6から分かるように、本発明に係るオートクレーブにおけるシールド材は、高温高圧アンモニア雰囲気下に用いる際にも、以下の比較例に比較して、繰り返し結晶成長耐久回数が格段に多く、オートクレーブの使用耐久性が向上した。
(実施例24〜27)
図3及び図4に示す本体胴シールド部302及びコーン蓋シールド部304のシールド部材料として、イリジウム含有割合100質量%の純イリジウム材を用いた以外は、実施例12〜15と同様の方法で、GaN単結晶の成長を実施した。実施例24〜27の実験結果を以下の表7に示す。
実施例24〜27のいずれにおいても、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底から高さ方向に40mm上の位置に白金製網を置いてHVPE法で作製した、厚み0.4mm、縦10mm、横5mmのGaN板8枚は、全て溶解した。また、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底部及び白金ライニングの内壁面に成長した、六角柱状のGaN単結晶が確認できた。
実施例24〜27のいずれにおいても、図9の光学顕微鏡写真に示すのと同様の、長さほぼ3mm以下のほぼ六角柱状のGaN単結晶が得られた。実施例24〜27のいずれにおいても、図10に示すのと同様のX線回折測定結果が得られた。
GaN単結晶成長実験を繰り返し、オートクレーブのシールド部の繰り返し結晶成長耐久回数を測定し、表7に示した。繰り返し結晶成長耐久回数の基準は、オートクレーブの部品を交換せずにオートクレーブ内圧力120MPaを維持できた繰り返しGaN結晶成長回数である。
表7から分かるように、本発明に係るオートクレーブにおけるシールド材は、高温高圧アンモニア雰囲気下に用いる際にも、以下の比較例に比較して、繰り返し結晶成長耐久回数が格段に多く、オートクレーブの使用耐久性が向上した。
(比較例12〜15)
図3及び図4に示す本体胴シールド部302及びコーン蓋シールド部304のシールド部材料として、白金含有割合100質量%の純白金材を用いた以外は、実施例12〜15と同様の方法で、GaN単結晶の成長を実施した。比較例12〜15の実験結果を以下の表8に示す。
比較例12〜15のいずれにおいても、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底から高さ方向に40mm上の位置に白金製網を置いてHVPE法で作製した、厚み0.4mm、縦10mm、横5mmのGaN板8枚は、全て溶解した。また、オートクレーブの本体胴部301の内面筒309の底部及び白金ライニングの内壁面に成長した、六角柱状のGaN単結晶が確認できた。
比較例12〜15のいずれにおいても、図9の光学顕微鏡写真に示すのと同様の、長さほぼ3mm以下のほぼ六角柱状のGaN単結晶が得られた。比較例12〜15のいずれにおいても、図10に示すのと同様のX線回折測定結果が得られた。したがって、比較例12〜15のいずれにおいても、実施例12〜27と同様にGaN単結晶が得られたことが確認された。
GaN単結晶成長実験を繰り返し、オートクレーブのシールド部の繰り返し結晶成長耐久回数を測定し、表8に示した。繰り返し結晶成長耐久回数の基準は、オートクレーブの部品を交換せずにオートクレーブ内圧力120MPaを維持できた繰り返しGaN結晶成長回数である。
表8から分かるように、比較例12〜15でのオートクレーブにおけるシールド材は、高温高圧アンモニア雰囲気下に用いたところ、繰り返し結晶成長耐久回数が1回のみであり、繰り返し使用ができないことが分かった。比較例12〜15のいずれにおいても、1回のGaN単結晶成長により、シールド部の磨耗及び剥がれが見られた。この剥がれは、融着が原因と考えられる。この剥がれの程度は、比較例12に比べて比較例15ではより激しいことから、使用温度が高いほど剥がれの程度が大きいことが分かった。比較例12〜15のいずれにおいても、コーン蓋シールド部に剥がれが確認され、本体胴シールド部には磨耗が確認された。
本発明の窒化物単結晶の製造方法及びオートクレーブによれば、30μm/日以上の、従来よりも速い速度での窒化物単結晶の成長が可能となる。また、本発明の窒化物単結晶の製造方法及びオートクレーブにより得られる窒化物単結晶は平膜状の成長層を有することができる。よって、本発明により、様々な方位の基板を切り出すことのできるバルク窒化物単結晶を得ることができる。また、本発明によれば、従来のアモノサーマル法では得られなかった、種結晶としても利用可能な1mm以上のサイズの高品質の単結晶粒を、工業的に適応可能な温度及び圧力で製造できる。本発明で得られる単結晶は、発光ダイオード及びレーザーダイオード等の発光デバイス用途に好適に適用できる。
101,201 圧力計
102,202 バルブ
103,203 本体
104、204 導管
105,205 原料容器
106,206 原料
107 種結晶
108,208 ヒーター
109,209 原料供給部位
110,210 単結晶成長部位
111,211 内部底面
207 板
301 本体胴部
302 本体胴シールド部
303 コーン蓋部
304 コーン蓋シールド部
305 外側蓋部
306 緩衝パッキング材
307 ねじ止め部
308A,308B 熱電対
309 内面筒
310 導管
501,506 三方接続ジョイント
502,504,505,507,509,511 配管
503 手動バルブ
508 圧力センサー
510 自動バルブ

Claims (12)

  1. Ga含有窒化物多結晶、Ga含有窒化物及びGa含有窒化物前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料から、Ga含有窒化物単結晶を、アモノサーマル法によって製造する方法であって、
    オートクレーブ内に、該原料と、1種以上の酸性鉱化剤と、アンモニアとを少なくとも導入した後、以下(a)〜(e):
    (a)該オートクレーブ内には、該原料が配置された原料供給部位と、該Ga含有窒化物単結晶を成長させるための単結晶成長部位とが存在しており、
    (b)該単結晶成長部位は、種結晶が配置された部位であり、
    (c)該単結晶成長部位の温度(T1)は、600℃〜850℃であり、
    (d)該単結晶成長部位の温度(T1)と、該原料供給部位の温度(T2)との間に、T1>T2の関係があり、かつ
    (e)該オートクレーブ内の圧力は、40MPa〜250MPaである、
    を満足する条件下で、Ga含有窒化物単結晶を成長させること、
    を含む、窒化物単結晶の製造方法。
  2. Ga含有窒化物多結晶、Ga含有窒化物及びGa含有窒化物前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料から、Ga含有窒化物単結晶を、アモノサーマル法によって製造する方法であって、
    オートクレーブ内に、該原料と、1種以上の酸性鉱化剤と、アンモニアとを少なくとも導入した後、以下(a)〜(e):
    (a)該オートクレーブ内には、該原料が配置された原料供給部位と、該Ga含有窒化物単結晶を成長させるための単結晶成長部位とが存在しており、
    (b)該単結晶成長部位は、自発核生成によってGa含有窒化物単結晶が析出及び成長する部位であり、
    (c)該単結晶成長部位の温度(T1)は、600℃〜850℃であり、
    (d)該単結晶成長部位の温度(T1)と、該原料供給部位の温度(T2)との間に、T1>T2の関係があり、かつ
    (e)該オートクレーブ内の圧力は、40MPa〜250MPaである、
    を満足する条件下で、Ga含有窒化物単結晶を成長させること、
    を含む、窒化物単結晶の製造方法。
  3. 該種結晶は、請求項2に記載の窒化物単結晶の製造方法によって製造されたGa含有窒化物単結晶である、請求項1に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  4. 該原料は、孔又はスリット状の隙間を複数設けた容器内に配置されており、かつ、
    該容器の側面と、該オートクレーブの内壁との間に、1mm以上の隙間が存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  5. 該オートクレーブは縦型オートクレーブであり、かつ該原料供給部位は該単結晶成長部位よりも高い位置に存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  6. 該原料供給部位は、該オートクレーブの内部底面から10mm以上の高さの位置に存在し、かつ、
    該原料供給部位と該オートクレーブ内部底面との間に、該単結晶成長部位が存在する、請求項5に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  7. 該原料供給部位と該単結晶成長部位との間に、少なくとも1枚の仕切り板が配置されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  8. 該単結晶成長部位は、自発核生成によってGa含有窒化物単結晶が析出及び成長する部位であり、かつ、
    該単結晶成長部位に、1つ以上の孔を有する耐腐食性の板が配置されている、請求項2及び4〜7のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  9. 該原料が、気相法により製造されたGa含有窒化物多結晶を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法によって製造された窒化物単結晶からなる、基板。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法によって製造され、かつ最大寸法が1mm以上である、窒化物単結晶。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法において用いるためのオートクレーブであって、
    オートクレーブを構成する2つ以上の部品を密着させることによってオートクレーブ内の圧力を保持する部分であるシールド部の材料は、イリジウムと白金との合金又はイリジウム単体であり、かつ、
    該シールド部の材料の構成元素全体に占めるイリジウムの割合が20質量%〜100質量%である、オートクレーブ。
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