JP2011152755A - 搬送装置、および液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】付勢回転体の回転挙動値を精度良く予測することによって、搬送対象物を搬送方向に正しく送ることができる搬送装置、およびこの搬送装置を備える液体噴射装置を提供する。
【解決手段】紙送りローラー11と、モーター13mによって回転する駆動プーリー13と、紙送りローラー11と駆動プーリー13とに掛け渡されたベルト16と、駆動プーリー13と紙送りローラー11との間に設けられ、ベルト16が張られた状態で掛け渡されるようにベルト16を付勢方向に移動して付勢するアイドラー14とを有し、駆動プーリー13の回転によって用紙Pが搬送されるように構成された搬送機構10と、搬送機構10を等価モデルに基づく状態方程式で表現し、状態方程式によってアイドラー14の付勢方向における移動挙動値を予測する制御装置20と、を備えた。
【選択図】図1
【解決手段】紙送りローラー11と、モーター13mによって回転する駆動プーリー13と、紙送りローラー11と駆動プーリー13とに掛け渡されたベルト16と、駆動プーリー13と紙送りローラー11との間に設けられ、ベルト16が張られた状態で掛け渡されるようにベルト16を付勢方向に移動して付勢するアイドラー14とを有し、駆動プーリー13の回転によって用紙Pが搬送されるように構成された搬送機構10と、搬送機構10を等価モデルに基づく状態方程式で表現し、状態方程式によってアイドラー14の付勢方向における移動挙動値を予測する制御装置20と、を備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、搬送装置、およびこの搬送装置を備える液体噴射装置に関する。
搬送対象物(例えば用紙)に、液体噴射ヘッドから液体(例えばインク)を液滴として噴射して付着させ、付着した液体によって搬送対象物に所定の画像(文字や図形などを含む)を形成する液体噴射装置が知られている。このような液体噴射装置では、通常、搬送対象物である用紙を液体噴射ヘッドに対して相対移動させる搬送装置が設けられている。
搬送装置は、液体噴射ヘッドから噴射される液体の付着領域に用紙を送る回転体(例えば紙送りローラー)と、液体噴射ヘッドから噴射される液体の付着領域から用紙を排出する回転体(例えば排紙ローラー)とを備えている。紙送りローラーおよび排紙ローラーは、駆動手段(直流モータなど)によって回転駆動される駆動回転体の回転が回転伝達手段(例えばベルト)によって伝達されて回転するように構成され、全体で搬送機構を形成している。このとき、搬送対象物としての用紙は、紙送りローラーあるいは排紙ローラーの回転に伴って搬送され、液体噴射ヘッドに対して相対的に次の画像形成位置まで搬送方向に送られる。そして、このように送られる用紙に対して、液体噴射ヘッドから形成する画像に応じた液体が噴射されることで、正しく画像が形成されるのである。
従って、用紙に正しく画像を形成するためには、用紙が搬送方向に位置精度よく送られるようにする必要がある。特に、紙送りローラーの回転挙動を直接測定できない構成を有する搬送装置の場合、紙送りローラーの回転挙動を精度良く予測することが重要課題であった。
この課題に対する技術として、直流モーターの回転トルクを制御することによって紙送りローラーの回転を制御し、用紙が所定長のピッチで送られるようにする技術が特許文献1に開示されている。特許文献1は、紙送り機構を等価モデルに置き換え、等価モデルの状態変数を用いて紙送り機構を状態フィードバック制御するものである。
ところで、液体噴射装置では、前述するように、用紙に正しく画像を形成するためには、用紙が搬送方向に精度よく、例えば所定長のピッチ間隔や所定の搬送量で送られるようにする必要がある。従って、搬送装置においては、駆動回転体の回転が正しく紙送りローラーや排紙ローラーに伝達される必要がある。特に、回転伝達手段としてベルト(無端状ベルト)を、紙送りローラーと、排紙ローラーと、駆動回転体とに掛け渡して回転駆動する構成を有する搬送装置の場合は、掛け渡されたベルトに弛みがないようにすることが重要である。弛みがあると、ベルトと各ローラーとの間や駆動回転体との間で滑りが生じたり、ベルトと各ローラーとの間や駆動回転体との間に形成された噛み合いが外れる歯飛びが生じたりする。このとき、特にベルトと駆動回転体とベルトの間において滑りや歯飛び(まとめて「滑り」と呼ぶ)が生じると用紙の搬送量に狂いが生じてしまうからである。
そこで、このようにベルトによって回転駆動力が伝達されるように構成された搬送装置では、ベルトを所定の方向に付勢する付勢回転体(アイドラーとも呼ぶ)が設けられている。アイドラーは、付勢手段(例えばコイルバネ)によって、所定の付勢方向にベルトを押し付け、ベルトに常に張りを持たせることで、ベルトの弛みを防止するように構成されている。
しかしながら、実際の搬送装置では、駆動回転体は、用紙の搬送過程における加速・定速・減速などの速度制御のために回転速度が変化することがある。あるいは用紙の搬送前後において、駆動回転体の駆動手段が、例えば両面印刷のために用紙を反転移動させる場合や、噴射する液体の供給のためのポンプの駆動手段として併用される場合、駆動回転体の回転方向が、用紙の搬送中における回転方向に対して逆回転することがある。すると、ベルトの張力は駆動回転体の回転速度の変化や逆回転に伴って変化することになる。特に、駆動回転体の逆回転によってアイドラーに対して反付勢方向の力が加わる場合は、アイドラーが反付勢方向に移動するため、アイドラーは付勢方向に沿って振動することになる。この結果、アイドラーが振動した状態で用紙の搬送処理が行われると、駆動回転体に対するベルトの付勢力が変化して付勢力が小さくなったとき、ベルトの張力が減少して弛みが生じるために駆動回転体とベルトとの間で滑りが発生してしまう。従って用紙を正しく搬送できなくなってしまうことが起こる。
そこで、用紙を正しく搬送するため、アイドラーについて、その付勢方向における移動についての挙動値(「移動挙動値」とも呼ぶ)を測定する必要がある。しかしながら、一般的にアイドラーは、搬送装置の小型化が望まれることから狭い場所に設けられることが多く、実際には構造上の制約からその移動を検出する検出手段(例えばリニアエンコーダー)を設けることが困難である。このため、直接アイドラーの移動挙動値を実測することは難しかった。
そこで、アイドラーの付勢方向における実際の移動挙動値を精度よく予測することが必要になる。なお、上記の特許文献1に開示された技術は、紙送りローラーについてその回転挙動値を予測するものであって、アイドラーの移動挙動値まで予測するものではなかった。従って、搬送装置において、アイドラーの移動挙動値を精度良く予測する技術が望まれていた。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためなされたものであり、その主な目的は、付勢回転体の移動挙動値を精度良く予測することができる搬送装置、およびこの搬送装置を備える液体噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の搬送装置は、少なくとも1つの従動回転体と、駆動手段によって回転する駆動回転体と、前記従動回転体と前記駆動回転体とに掛け渡されたベルトと、前記駆動回転体と前記従動回転体との間に設けられ、前記ベルトが張られた状態で掛け渡されるように前記ベルトを付勢しつつ付勢方向に移動可能に設けられた付勢回転体とを有し、前記駆動回転体の回転によって搬送対象物が搬送されるように構成された搬送機構と、前記搬送機構を等価モデルに基づく状態方程式で表現し、前記状態方程式によって前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値を予測する挙動予測手段と、を備えた。
この搬送装置によれば、付勢回転体を有する搬送装置を等価モデルによる状態方程式で表し、この状態方程式によって付勢回転体の移動挙動値を予測することができる。この結果、例えば予測された付勢回転体の移動挙動値に基づいて、掛け渡されたベルトの張力変動を抑制することが可能になる。従って、ベルトを介して回転する従動回転体の回転挙動を安定化させるとともに、駆動回転体とベルトとの間での滑りが抑制され、駆動回転体の回転に応じて正しく搬送対象物を搬送することができるようになる。
本発明の搬送装置において、前記従動回転体および前記駆動回転体の少なくとも一方の回転挙動値を検出する検出手段を備え、前記挙動予測手段は、前記状態方程式によって前記従動回転体または前記駆動回転体の予測回転挙動値を求め、求めた前記予測回転挙動値と、前記検出手段によって検出された前記従動回転体または前記駆動回転体の検出回転挙動値と、の差異を前記状態方程式にフィードバックして、前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値を予測する。
この構成によれば、状態方程式で求められた従動回転体または駆動回転体の予測回転挙動値と、検出された従動回転体または駆動回転体の検出回転挙動値との差異を把握することができる。従って、状態方程式で求められる付勢回転体の付勢方向における予測移動挙動値は、差異がフィードバックされた状態方程式によって実際に近い値で予測することができる。この結果、予測された付勢回転体の移動挙動値を用いて、掛け渡されたベルトの張力変動をより適切に抑制することが可能になる。従って、付勢回転体の付勢方向における移動挙動を安定化させて、駆動回転体とベルトとの間での滑りを抑制し、駆動回転体の回転に応じて正しく搬送対象物を搬送することができるようになる。
本発明の搬送装置において、前記検出手段は、前記従動回転体の回転挙動値を検出し、前記挙動予測手段は、前記状態方程式によって前記従動回転体の予測回転挙動値を求め、当該予測回転挙動値と、前記検出手段によって検出された前記従動回転体の検出回転挙動値と、の差異を前記状態方程式にフィードバックして、前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値を予測する。
駆動側である駆動回転体に比べて、従動側である従動回転体の方が、ベルトを介して回転するため、状態方程式によって求められる予測回転挙動値と実際の回転挙動値である検出回転挙動値との差異が生じやすい。従って、差異の生じやすい従動側である従動回転体の回転挙動値を検出し、検出した差異がフィードバックされた状態方程式によって予測された付勢回転体の付勢方向における移動挙動値の予測値精度を高めることができる。
本発明の搬送装置において、前記検出手段は、前記回転挙動値として回転角および回転速度の少なくとも一方を検出する。
搬送対象物の搬送量は従動回転体や駆動回転体の回転角および回転速度のうち少なくとも一方に依存する。従って、この構成によれば、検出手段は回転角または回転速度を検出するので、搬送量を適切に制御することが可能となる。また、回転角または回転速度の検出に対しては、周知のエンコーダーなどを検出手段として用いることが可能であり、容易に実際の回転挙動値を検出することもできる。
搬送対象物の搬送量は従動回転体や駆動回転体の回転角および回転速度のうち少なくとも一方に依存する。従って、この構成によれば、検出手段は回転角または回転速度を検出するので、搬送量を適切に制御することが可能となる。また、回転角または回転速度の検出に対しては、周知のエンコーダーなどを検出手段として用いることが可能であり、容易に実際の回転挙動値を検出することもできる。
本発明の搬送装置において、前記予測された前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値に基づいて、前記駆動手段を制御して前記駆動回転体の回転挙動を制御する制御手段を備えた。
この構成によれば、予測された付勢回転体の移動挙動値に基づいて駆動回転体の回転を制御するので、付勢回転体の付勢方向への移動についてその挙動を調節することができる。この結果、掛け渡されたベルトの張力変動を制御することができるので、ベルトを介して回転する従動回転体の回転挙動を安定化させるとともに、駆動回転体とベルトとの間での滑りが抑制され、駆動回転体の回転に応じて正しく搬送対象物を搬送することができる。
本発明の搬送装置において、前記制御手段は、前記ベルトが前記付勢回転体側から前記駆動回転体側へ進む移動状態において、前記予測された前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値に基づいて、前記駆動手段を制御する。
ベルトが駆動回転体の回転に伴って付勢回転体側より駆動回転体側へ進むと、付勢回転体に対して付勢方向と反対の方向に引き寄せようとする反付勢力が生じる。すると、もともと付勢回転体に加わっている付勢方向への付勢力と、この反付勢力との力関係によって付勢回転体は付勢方向において振動しやすくなる。この構成によれば、予測された付勢回転体の付勢方向における移動挙動値に基づいて駆動手段を制御することによって、駆動回転体の回転を制御し、発生する反付勢力を抑制することができるので、付勢回転体の振動を抑制することができる。この結果、ベルトの張力変動が安定することから、例えばベルトと駆動回転体との滑りを防止し、搬送対象物を正しい搬送量で搬送することができる。
本発明の搬送装置において、前記制御手段は、前記状態方程式によって求められた前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値が、予め定められた移動挙動範囲内になったか否かを判定し、前記移動挙動範囲内になったとき、前記予測された前記付勢回転体の移動挙動値に基づく前記駆動手段の制御を終了する。
この構成によれば、付勢回転体の振動が大きくなり、例えば、ベルトと駆動回転体との滑りが生じやすくなる場合や、搬送対象物を正しい搬送量で搬送することが困難になる場合において、付勢回転体の振動を抑制する。従って、制御手段の処理負荷を軽減させながら、駆動手段を制御して付勢回転体の付勢方向における移動挙動を適切に制御することができる。
本発明の搬送装置において、前記制御手段は、少なくとも付勢方向における相対移動量、絶対移動量、移動速度のうちの少なくとも1つについて、前記移動挙動範囲内になったか否かを判定する。
付勢回転体の振動状態を表す値として、相対移動量、絶対移動量、移動速度のうちの少なくとも1つを用いることができる。従って、このようにこれらのうちの少なくとも1つの値を判定することによって、付勢回転体の振動の大きさを判定することができる。
本発明の液体噴射装置は、上記搬送装置と、前記搬送対象物に対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、を備えた。
この構成によれば、搬送装置によって例えば送り間隔が一定になるなど、搬送対象物を位置精度良く搬送することができる。この結果、搬送対象物に対して液体が正しい位置に付着するので、搬送対象物上に正しく画像を形成することができる液体噴射装置を提供することができる。
この構成によれば、搬送装置によって例えば送り間隔が一定になるなど、搬送対象物を位置精度良く搬送することができる。この結果、搬送対象物に対して液体が正しい位置に付着するので、搬送対象物上に正しく画像を形成することができる液体噴射装置を提供することができる。
以下、本発明を、液体の噴射対象となる搬送対象物としての用紙を搬送する搬送装置において具現化した一実施形態について、図を用いて説明する。なお、搬送対象物は特に用紙に限られるものでなく、基板やガラス、あるいは木、金属、樹脂、布などであってもよい。
図1は、本実施形態の搬送装置100の概略構成を示す模式図である。図示するように、搬送装置100は、搬送機構10と制御装置20とを備えている。搬送機構10は、従動回転体としての紙送りローラー11と排紙ローラー12、および駆動回転体としての駆動プーリー13とを有している。駆動プーリー13は、駆動手段としてのモーター(ここでは直流モーター)13mの回転軸に固定され、モーター13mの回転と一体で回転する。紙送りローラー11の端部と排紙ローラー12の端部、および駆動プーリー13間には、駆動プーリー13の回転が伝達するように、回転伝達手段としてのベルト(無端状のベルト)16が掛け渡されている。なお、ベルト16の内周面と、少なくとも駆動プーリー13のベルト16と当接する外周面とに、回転伝達性能を向上するため凹凸(ギザ)が設けられ、互いに噛み合うことによって回転が安定して伝達されるように構成されている。もとより、凹凸は必ずしも設けられなくてもよい。
さらに搬送機構10には、掛け渡されたベルトが張った状態となるように、ベルトの輪の内側に向う所定の方向(以降「付勢方向」と呼ぶ)にベルトを付勢する付勢回転体(以降「アイドラー」と呼ぶ)14が設けられている。本実施形態では、アイドラー14は、その回転軸14aが、図示しないガイドなどによって付勢方向に沿って摺動できるように構成されている。そして、図示するように、回転軸14aは、コイルバネ14bの弾性力によって付勢方向に押し付けられ、その結果、アイドラー14はベルト16において張力を発生させるように構成されている。なお、付勢方向は特に限定されるものでなく、ベルト16を張った状態にできる方向であれば、いずれの方向であってもよい。
紙送りローラー11は、ローラーの一端に、ローラーの回転挙動を検出する検出手段としてのロータリーエンコーダー(以降、単に「エンコーダー」)50が備えられている。エンコーダー50は、周辺に周方向に沿って一定ピッチで多数の開口部が設けられ、紙送りローラー11と一体で回転する円盤51と、この円盤51に対して射光し、開口部を通過する光を検出する光検出器52とによって構成されている。そして、検出された光を符号化(パルス化)し、単位時間当たりのパルス数や累積パルス数を検出信号として出力することによって、少なくとも回転速度あるいは回転角を検出回転挙動値として検出できるようになっている。
また紙送りローラー11は、そのローラー面と、図示しない押さえローラーのローラー面との間に搬送対象物としての用紙Pを挟みながら、モーター13mの回転駆動に伴って用紙Pを搬送方向Yへ送るように構成されている。そして搬送方向Yに送られる用紙Pに対して、例えば搬送方向Yと交差する用紙Pの幅方向Xに沿った領域に、通常液体噴射装置に設けられている液体噴射ヘッド40から液体が噴射され、画像を形成する対象領域に液体が付着されるように構成されている。液体噴射ヘッド40は、図示するように幅方向Xにノズル列を有するいわゆるラインヘッドであってもよいし、搬送方向Yに沿った方向にノズル列を有し、幅方向Xに走査する走査型ヘッドであってもよい。
排紙ローラー12も同様に、そのローラー面と、図示しない押さえローラーのローラー面との間に搬送対象物としての用紙Pを挟みながら、モーター13mの回転駆動に伴って搬送方向Yへ用紙Pを送るように構成されている。そして、排紙ローラー12は、付着対象領域に液体が付着した用紙Pを搬送方向Yへ送ることによって、搬送機構10から用紙Pを排出するように構成されている。
さて、制御装置20は、図示しない基板上に実装された、CPU(中央演算処理装置)やメモリー、あるいはASIC(集積回路)などの電子部品で構成された回路である。制御装置20は、プログラムで動作したり、ハード的な回路構成によって動作したりすることによって、後述する状態方程式などの演算を行う挙動予測手段としての状態演算回路21を含んで構成されている。さらに、モーター13mに所定の電流を流して回転駆動させる制御回路22を含んで構成され、この制御回路22を介して流す電流を制御することによってモーター13mの回転挙動(例えば回転トルク)を制御する制御手段として機能する。また、制御装置20は、エンコーダー50から出力される検出信号を、必要に応じて図示しないインターフェイスを介して入力するように構成されている。
さて、このように構成された搬送装置100においては、用紙Pが搬送方向Yに搬送されるとき、制御装置20によって2つの制御作用、すなわち「通常制御」と「状態フィードバック制御」とが行われる。これについて以下説明する。
「通常制御」
まず通常制御について説明する。前述するように、紙送りローラー11の回転挙動値はエンコーダー50によって検出される。従って、例えば、用紙Pが、紙送りローラー11によって搬送方向Yへ搬送される状態において、検出された紙送りローラー11の回転挙動値(検出回転挙動値)に基づいてモーター13mに流す電流値を制御してモーター13mの回転挙動を制御する。こうすれば、紙送りローラー11の回転挙動値が調節され、用紙Pを設定された搬送量(搬送速度や搬送距離)で移動させることが可能になる。このように、制御装置20が、エンコーダー50によって検出される検出回転挙動値を用いてモーター13mの回転挙動を制御し、紙送りローラー11の回転挙動を制御することが通常制御である。
まず通常制御について説明する。前述するように、紙送りローラー11の回転挙動値はエンコーダー50によって検出される。従って、例えば、用紙Pが、紙送りローラー11によって搬送方向Yへ搬送される状態において、検出された紙送りローラー11の回転挙動値(検出回転挙動値)に基づいてモーター13mに流す電流値を制御してモーター13mの回転挙動を制御する。こうすれば、紙送りローラー11の回転挙動値が調節され、用紙Pを設定された搬送量(搬送速度や搬送距離)で移動させることが可能になる。このように、制御装置20が、エンコーダー50によって検出される検出回転挙動値を用いてモーター13mの回転挙動を制御し、紙送りローラー11の回転挙動を制御することが通常制御である。
「状態フィードバック制御」
次に、状態フィードバック制御について説明する。
上記構成の搬送装置100において、アイドラー14の付勢方向の移動挙動を検出するエンコーダー(例えばリニアエンコーダー)を設けることは困難であるので、その移動挙動値を実測することができない。そこで、駆動プーリー13が用紙Pを搬送方向Yへ送るときの回転(正回転)と逆の回転(逆回転)を呈したとき、状態方程式を用いてアイドラー14の付勢方向および反付勢方向への移動挙動を予測し、予測した値に基づいてモーター13mの回転挙動を制御する。この制御が、状態フィードバック制御である。以下この制御について順次説明する。
次に、状態フィードバック制御について説明する。
上記構成の搬送装置100において、アイドラー14の付勢方向の移動挙動を検出するエンコーダー(例えばリニアエンコーダー)を設けることは困難であるので、その移動挙動値を実測することができない。そこで、駆動プーリー13が用紙Pを搬送方向Yへ送るときの回転(正回転)と逆の回転(逆回転)を呈したとき、状態方程式を用いてアイドラー14の付勢方向および反付勢方向への移動挙動を予測し、予測した値に基づいてモーター13mの回転挙動を制御する。この制御が、状態フィードバック制御である。以下この制御について順次説明する。
《等価モデル化》
まず、実際の搬送装置100(これを「実モデル」と言う)を等価モデルに置き換える。置き換えた等価モデルMDを図2に示す。図示するように、紙送りローラー11、排紙ローラー12、駆動プーリー13、およびアイドラー14との間に張り渡されたベルト16は、それぞれバネ(バネ定数K1,K2,K3,K4)とダンパー(ダンパー定数C1,C2,C3,C4)で置き換える。また、コイルバネ14bは、バネ定数K5、ダンパー定数C5で表す。そして、回転挙動の状態を示す状態パラメーターとして、紙送りローラー11の回転角をθs、排紙ローラー12の回転角をθh、駆動プーリー13の回転角をθm、アイドラー14の回転角をθiとする。また、アイドラー14の移動挙動値として、本実施形態では、アイドラー14の基準位置に対する反付勢方向への移動距離xiとする。また、モーター13mの回転駆動によってモーター13mと一体で回転する駆動プーリー13に加わる回転トルクをτとする。なお、エンコーダー50を図中破線で示している。
まず、実際の搬送装置100(これを「実モデル」と言う)を等価モデルに置き換える。置き換えた等価モデルMDを図2に示す。図示するように、紙送りローラー11、排紙ローラー12、駆動プーリー13、およびアイドラー14との間に張り渡されたベルト16は、それぞれバネ(バネ定数K1,K2,K3,K4)とダンパー(ダンパー定数C1,C2,C3,C4)で置き換える。また、コイルバネ14bは、バネ定数K5、ダンパー定数C5で表す。そして、回転挙動の状態を示す状態パラメーターとして、紙送りローラー11の回転角をθs、排紙ローラー12の回転角をθh、駆動プーリー13の回転角をθm、アイドラー14の回転角をθiとする。また、アイドラー14の移動挙動値として、本実施形態では、アイドラー14の基準位置に対する反付勢方向への移動距離xiとする。また、モーター13mの回転駆動によってモーター13mと一体で回転する駆動プーリー13に加わる回転トルクをτとする。なお、エンコーダー50を図中破線で示している。
《状態方程式の作成》
次に、等価モデルMDを用いて、紙送りローラー11、排紙ローラー12、駆動プーリー13、およびアイドラー14について、まず運動方程式をそれぞれ作成し、作成した運動方程式を変換して状態方程式を作成する。ここでは、運動方程式の一例として、アイドラー14について作成手順を説明する。
次に、等価モデルMDを用いて、紙送りローラー11、排紙ローラー12、駆動プーリー13、およびアイドラー14について、まず運動方程式をそれぞれ作成し、作成した運動方程式を変換して状態方程式を作成する。ここでは、運動方程式の一例として、アイドラー14について作成手順を説明する。
図2に示すように、紙送りローラー11とアイドラー14との間のベルト16の張力をF2、アイドラー14と駆動プーリー13との間のベルト16の張力をF3、アイドラー14に加わる反付勢方向への反力F5とする。また、反付勢方向(反力F5の方向)と張力F2の方向とが成す角度θa、反付勢方向(反力F5の方向)と張力F3の方向とが成す角度θbとする。なお、紙送りローラー11と排紙ローラー12との間のベルト16の張力をF1、排紙ローラー12と駆動プーリー13との間のベルトの張力をF4とする。
ここで、アイドラー14のイナーシャをJi、粘性摩擦をDi、半径をRi、質量をMiとすると、回転に関する運動方程式は、
Ji・d2θi/dt2+Di・dθi/dt+Ri(F3−F2)=0 …(a)
付勢方向への変位に関する運動方程式は、
Mi・d2xi/dt2+C5・dxi/dt+K5xi=F5 …(b)
このとき張力は、
F2=K2(Rsθs−Riθi−xicosθa)+C2(Rs・dθs/dt−Ri・dθi/dt−dxi/dt・cosθa)+F0 …(c)
F3=K3(Riθi−Rmθm−xicosθb)+C3(Ri・dθi/dt−Rm・dθm/dt−dxi/dt・cosθb)+F0 …(d)
F5=F2・cosθa+F3・cosθb−F05 …(e)
F05=F0・cosθa+F0・cosθb …(f)
と表される。ここで、dθs/dtは紙送りローラー11の回転速度、dθi/dtはアイドラー14の回転速度、dθm/dtは駆動プーリー13の回転速度である。またF0はベルトの初期テンション、F05はコイルバネ14bの初期テンションである。
Ji・d2θi/dt2+Di・dθi/dt+Ri(F3−F2)=0 …(a)
付勢方向への変位に関する運動方程式は、
Mi・d2xi/dt2+C5・dxi/dt+K5xi=F5 …(b)
このとき張力は、
F2=K2(Rsθs−Riθi−xicosθa)+C2(Rs・dθs/dt−Ri・dθi/dt−dxi/dt・cosθa)+F0 …(c)
F3=K3(Riθi−Rmθm−xicosθb)+C3(Ri・dθi/dt−Rm・dθm/dt−dxi/dt・cosθb)+F0 …(d)
F5=F2・cosθa+F3・cosθb−F05 …(e)
F05=F0・cosθa+F0・cosθb …(f)
と表される。ここで、dθs/dtは紙送りローラー11の回転速度、dθi/dtはアイドラー14の回転速度、dθm/dtは駆動プーリー13の回転速度である。またF0はベルトの初期テンション、F05はコイルバネ14bの初期テンションである。
詳細な説明は省略するが、同様に、紙送りローラー11について、イナーシャをJs、粘性摩擦をDs、半径をRsとすると、張力F1と張力F2との関係から、アイドラー14についての運動方程式と同様な手順で運動方程式を得る。また、排紙ローラー12について、イナーシャをJh、粘性摩擦をDh、半径をRhとすると、張力F1と張力F4との関係から、アイドラー14についての運動方程式と同様な手順で運動方程式を得る。さらに、駆動プーリー13についてもイナーシャをJm、粘性摩擦をDm、半径をRmとすると、張力F3と張力F4との関係から、アイドラー14についての運動方程式と同様な手順で運動方程式を得る。なお、エンコーダー50を構成する円盤51は紙送りローラー11と一体で回転するので、ここでは、紙送りローラー11の状態パラメーターは円盤51の状態パラメーターを含むものとしている。また、駆動プーリー13はモーター13mと一体で回転するので、ここでは、駆動プーリー13の状態パラメーターはモーター13mの状態パラメーターを含むものとしている。
次に、得られた紙送りローラー11、排紙ローラー12、駆動プーリー13、アイドラー14の各運動方程式において、張力F1,F2,F3,F4、および反力F5を式の代入によってそれぞれ消去する。こうして得られた方程式から、次の式(g)と式(h)で示される周知の状態方程式に変換して、等価モデルMDを表現する。
dx/dt=Ax+Bu …(g)
y=Cx …(h)
この状態方程式において、「x」は回転挙動の状態を表す状態変数(ベクトル)であり、「y」は出力変数(ベクトル)、「u」は入力(ベクトル)である。本実施形態では、これらは次の値になる。
y=Cx …(h)
この状態方程式において、「x」は回転挙動の状態を表す状態変数(ベクトル)であり、「y」は出力変数(ベクトル)、「u」は入力(ベクトル)である。本実施形態では、これらは次の値になる。
x={dθm/dt θm dθh/dt θh dθs/dt θs dθi/dt θi dxi/dt xi}T
y=dθs/dt
u=τ
なお、A,B,Cは行列係数であり、以下のようになる。
y=dθs/dt
u=τ
なお、A,B,Cは行列係数であり、以下のようになる。
このように実モデルを等価モデルMDで表し、この等価モデルMDから作成した状態方程式(式(g),(h))によって求まる状態変数の値、つまりアイドラー14の反付勢方向または付勢方向の移動挙動値は予測値である。従って、求まる移動挙動の予測値が、実モデルと近ければ、その予測値に基づいてモーター13mの回転挙動を制御すれば、適切にアイドラー14の振動を制御することができることになる。
このために、まず等価モデルMDを表現した状態方程式から求まる状態変数のうち少なくとも一つの予測回転挙動値を、実モデルでの実測値と比較演算し、演算した差異を状態方程式にフィードバックする。これは現代制御における所謂状態観測(オブザーバー)である。そして、状態変数を入力にフィードバック(状態フィードバック)することによって、状態変数の値を収束させる演算処理を行う。この一連の演算処理を状態演算回路21が行う。ちなみに、この処理は、制御装置20(状態演算回路21)において所定の時間間隔(例えば10μsec〜2msec)で行われる。
なお、本実施形態では、通常制御において紙送りローラー11の回転を制御することから、紙送りローラー11の回転挙動をエンコーダー50で検出して実測値が得られるように構成されている。また、本実施形態では、紙送りローラー11の制御対象が回転速度であり、エンコーダー50は、紙送りローラー11の回転速度を検出する。従って、状態方程式における出力変数を、得られる実測値に対応して紙送りローラー11の回転速度dθs/dtとしている。
図3に、状態方程式において状態フィードバックが行われる様子をブロック図として示した。図面上側において破線で囲んだブロック図は実モデルつまり搬送機構10の状態方程式であり、入力uすなわち駆動プーリー13に回転トルクτを与えたとき、紙送りローラー11の実際の回転速度dθs/dtが出力yであることを示している。
これに対して、図面下側において破線で囲んだブロック図は搬送機構10の等価モデルMDの状態方程式を含むオブザーバー21aである。ここで、説明の混同を避けるため、等価モデルMDで得られる状態変数には全て括弧〈〉を付して表記する。従って、等価モデルにおける出力〈y〉=〈dθs/dt〉は予測値であることから、制御装置20は、実測値yと予測値〈y〉との差異を等価モデルの状態方程式にフィードバックする。このとき、この差異に対して所定の係数Lを乗算する。この係数Lは状態変数に対応する係数を有する係数行列(オブザーバーゲイン行列)である。なお係数Lは現代制御において周知であり、その値は、一般的に差異の収束性を高めるように設定される。
従って、このように実測値yと予測値〈y〉との差異がフィードバックされた等価モデルの状態方程式において、状態変数の予測回転挙動値は実際の値に近くなる。ちなみに、このように差異がフィードバックされた等価モデルMDの状態方程式において、式(g)は次式(i)で表されることになる。
d〈x〉/dt=A〈x〉+Bu+L(y−〈y〉) …(i)
そして、図示するように、この実際の値に近くなった状態変数〈x〉を入力uに所定の係数Fを乗算して状態フィードバック(−F〈x〉)すれば、各状態変数の値を収束させることが期待できるのである。なお、本実施形態において発明の本質ではないので説明は省略するが、係数Fはフィードバックする状態変数を入力uに応じて変換する係数行列(フィードバックゲイン行列)であり、その値は、一般的に等価モデルの状態方程式の状態変数の値が収束するように設定される。
そして、図示するように、この実際の値に近くなった状態変数〈x〉を入力uに所定の係数Fを乗算して状態フィードバック(−F〈x〉)すれば、各状態変数の値を収束させることが期待できるのである。なお、本実施形態において発明の本質ではないので説明は省略するが、係数Fはフィードバックする状態変数を入力uに応じて変換する係数行列(フィードバックゲイン行列)であり、その値は、一般的に等価モデルの状態方程式の状態変数の値が収束するように設定される。
《状態フィードバック制御》
この結果、状態変数の値(予測回転挙動値および予測移動挙動値など)は搬送機構10における実際の値に近いと考えられるので、制御装置20は、状態変数のうちアイドラー14の付勢方向への移動距離の予測値〈xi〉に基づいて、モーター13mの回転挙動すなわち駆動プーリー13の回転トルクτを制御する。これが状態フィードバック制御である。この制御手順について、前述した通常制御の場合と比較しながら、具体的に図4を用いて説明する。
この結果、状態変数の値(予測回転挙動値および予測移動挙動値など)は搬送機構10における実際の値に近いと考えられるので、制御装置20は、状態変数のうちアイドラー14の付勢方向への移動距離の予測値〈xi〉に基づいて、モーター13mの回転挙動すなわち駆動プーリー13の回転トルクτを制御する。これが状態フィードバック制御である。この制御手順について、前述した通常制御の場合と比較しながら、具体的に図4を用いて説明する。
図4(a)に示すように、通常制御では、制御装置20において、紙送りローラー11の回転速度dθs/dtについて、エンコーダー50による実測値と、搬送量に応じて予め設定された紙送りローラー11の基準回転速度dθs/dt(ref)との差異を求める。そして制御回路22によって、モーター13mに対して求めた差異に応じた電流を流し、モーター13mに紙送りローラー11の回転速度が所望の(基準の)回転速度になるように回転トルクτを発生させて搬送機構10を制御する。その結果、通常制御では、アイドラー14の移動挙動が回転トルクτに反映されないことになる。
これに対して、図4(b)に示すように、本実施形態の状態フィードバック制御では、通常制御に加え、オブザーバー21aとして機能する状態演算回路21において、紙送りローラー11の回転速度の実測値dθs/dtと駆動プーリー13の回転トルクτとから実際の値に近い値で求まるアイドラー14の移動距離の予測値〈xi〉を用いる。そして、このアイドラー14の移動距離の予測値〈xi〉に係数Fxiを乗算してフィードバックする。
この結果、制御装置20は、実際の値に近いアイドラー14の移動距離を反映して回転トルクτを制御するので、搬送機構10において、モーター13mが逆回転した後であっても、アイドラー14の振動を抑制し、用紙Pを設定された搬送速度および搬送量(搬送距離)で移動させることが可能になる。このように、制御装置20が、状態演算回路21において演算された状態変数の予測移動挙動値を用いて、モーター13mの回転挙動を制御することが状態フィードバック制御である。
さて、このように通常制御と状態フィードバック制御とを備えた搬送装置100において実際に行われる用紙Pの搬送(「紙搬送」とも呼ぶ)時における制御処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。この制御処理は、本実施形態では、状態演算回路21が行う演算処理と同じタイミングで、制御装置20によって行われる。なお、ここでは、用紙Pに対して液体を噴射して画像を印刷する場合を想定している。
制御処理は紙搬送の開始に伴って開始され、まずステップS201にて、モーターは逆回転か否かを判定する。ここでは制御装置20において、制御回路22がモーター13mに流す電流の方向を判定する。具体的には、モーター13mに流れる電流の方向が、用紙Pが搬送方向Yに送られる状態においてモーター13mに流れる電流の方向と反対の方向であるか否かを判定する。この場合、制御装置20は、入力コマンドに従ってモーター13mおよび液体噴射ヘッド40を制御する構成であることとしてもよい。そして、モーター13mの回転駆動方向を入力コマンドに基づき正回転か逆回転転かを判断した判断結果に応じて、例えば正回転の場合に「0」、逆回転の場合に「1」を格納したフラグの値に基づき、逆回転であるか否かを判定してもよい。
判定の結果、逆回転でない場合、つまり正回転(回転停止状態を含む)の場合は(ステップS201:No)、ステップS204に進み通常制御を行う。一方、判定の結果、逆回転である場合は(ステップS201:Yes)、ステップS202に進み状態フィードバック制御を行う。そして続くステップS203にて、アイドラーの振動抑制完了か否かを判定する。
本実施形態では、付勢方向あるいは反付勢方向に移動するアイドラー14が、所定の期間内において最も離れた状態を呈したときのアイドラー14の2つの位置間距離、つまり相対移動量が、所定の閾値以内であるか否かを判定する。例えば、制御装置20において所定の時間間隔で行われる演算処理において、演算処理回数が10回繰り返されるごとに判定するようにしてもよい。具体的に、状態フィードバック制御における演算処理が1msec間隔で行われる場合は、制御装置20は10msec間に1msec間隔で求められる10個のアイドラー14の予測移動距離〈xi〉を用いて、アイドラー14が最も離れた2つの位置を演算(加減算)によって求める。そして、この2つの位置の離間距離を算出し、算出された離間距離を閾値と比較して判定する。あるいは、演算処理毎に求められる予測移動距離の絶対値(相対移動距離)が、所定の閾値以内であるか否かで判定するようにしてもよい。
なお、ステップS203における判定処理を繰り返し行う際、制御装置20は、前回判定処理に用いた10msec間の次の10msec間に得られる10個のアイドラー14の予測移動距離〈xi〉を用いて判定する。あるいは、追加して得られる1個若しくは複数個(10個以下)のアイドラー14の予測移動距離〈xi〉を含む時系列順で10個のアイドラー14の予測移動距離〈xi〉を用いて判定するようにしてもよい。
ステップS203での判定の結果、振動抑制が完了していない場合は(No)、ステップS202に戻って状態フィードバック制御を繰り返し行う。この状態フィードバック制御によって、モーター13mの逆回転開始時にベルト16を介してアイドラー14に加わる反付勢方向の力を小さく抑制できる。従って、この反付勢方向の力が加えられたことに起因して発生したアイドラー14の付勢方向における振動を速やかに収束させることができるのである。そして振動抑制が完了したと判定された場合(Yes)、ステップS204に進んで、上述した通常制御を行う。
その後、ステップS205にて、紙搬送が終了か否かを判定する。ここでは、制御装置20は、搬送装置100に入力された印刷すべきデータによる印刷が全て終了したことを示す情報を取得して、判定する。そして、判定の結果、紙搬送が終了していない(印刷すべきデータがまだ残っている)場合(ステップS205:No)は、ステップS201に戻ってモーター13mの回転方向の判定処理以降の処理を繰り返す。すなわち、紙搬送処理中において、前述した用紙Pの反転駆動時に発生するモーター13mの逆回転に備えるのである。そして、紙搬送が終了したら(印刷すべきデータが無くなったら)(ステップS205:Yes)、制御処理を終了する。
この制御処理の一例として、用紙Pの両面に液体を噴射する場合について説明する。まずモーター13mが正回転することで用紙Pが搬送方向Yに搬送されつつ液体噴射ヘッド40による液体の噴射がなされ、用紙Pの表面の液体噴射処理が施される。このときモーター13mは正回転するので(S201でNO)、制御装置20は通常制御を行う(S204)。次にモーター13mが逆回転することで用紙Pが反搬送方向(−Y)に逆搬送されたのち、搬送方向上流側に設けられた不図示の反転装置によって用紙Pの表裏が反転される。このとき紙搬送終了前であり(S205でNO)、モーター13mは逆回転するので(S201でYES)、制御装置20は、状態フィードバック制御を行う(S202)。その後、アイドラー14の振動抑制が完了すると(S203でYES)、通常制御に切り換える(S204)。このような処理によって、モーター13mの逆回転時においてアイドラー14の付勢方向における振動を小さく抑制できるので、振動が大きくベルト16が弛むことに起因して起こりうる駆動プーリー13とベルト16との滑りや歯飛びを防止できる。従って、次にモーター13mが正回転し、反転された用紙Pが搬送方向Yへ搬送されて用紙Pの裏面に液体噴射処理が施されるときには(S204)、用紙反転過程におけるベルト16の滑りや歯飛びが防止されたことにより、用紙Pを位置精度よく搬送できる。この結果、用紙Pに画像を適切に形成することができるのである。なお、ポンプの駆動など用紙搬送以外の目的でモーター13mを駆動する際も、図5と同様の制御が行われる。この場合、図5におけるステップS205は、駆動終了か否かを判断する処理になる。
上記説明した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)搬送装置100を等価モデルによる状態方程式で表し、この状態方程式によってアイドラー14の移動挙動値を予測することができる。そして、予測されたアイドラー14の移動挙動値に基づいてモーター13mを制御することにより、ベルト16を介して回転するアイドラー14の付勢方向における移動挙動(振動)を小さく抑え、ベルト16の張力変動を抑制することができる。従って、駆動プーリー13とベルト16との間での滑りが抑制され、駆動プーリー13の回転に応じて正しく用紙Pを搬送することができるようになる。
(1)搬送装置100を等価モデルによる状態方程式で表し、この状態方程式によってアイドラー14の移動挙動値を予測することができる。そして、予測されたアイドラー14の移動挙動値に基づいてモーター13mを制御することにより、ベルト16を介して回転するアイドラー14の付勢方向における移動挙動(振動)を小さく抑え、ベルト16の張力変動を抑制することができる。従って、駆動プーリー13とベルト16との間での滑りが抑制され、駆動プーリー13の回転に応じて正しく用紙Pを搬送することができるようになる。
(2)状態方程式で求められた紙送りローラー11の予測回転挙動値と、エンコーダー50によって検出された紙送りローラー11の検出回転挙動値との差異を把握することができる。従って、状態方程式で求められるアイドラー14の付勢方向における予測移動挙動値は、差異がフィードバックされた状態方程式によって実際に近い値で予測することができる。この結果、予測されたアイドラー14の移動挙動値を用いてモーター13mを制御することにより、掛け渡されたベルトの張力変動をより適切に抑制することができる。従って、アイドラー14の付勢方向における移動挙動を安定化させ、駆動プーリー13とベルト16との間での滑りが抑制されるので、駆動プーリー13の回転に応じた設定速度および設定搬送量で正しく用紙Pを搬送することができる。
(3)駆動プーリー13に比較して、ベルトによって回転が伝達される回転従動側の紙送りローラー11は、実際の回転挙動と予測した回転挙動との差異が生じやすい。従って、回転従動側である紙送りローラー11の回転挙動値を検出することによって、状態方程式における状態変数の値を状態フィードバックによって精度よく予測できる確率が高くなる。また、紙送りローラー11の回転挙動値を検出することで、通常制御における用紙Pの搬送を設定速度で正しく搬送することもできる。
(4)用紙Pの搬送量(搬送距離)は、紙送りローラー11の回転角および回転速度のうち少なくとも一方に依存する。そこで、紙送りローラー11の回転挙動値として回転速度を検出するので、用紙Pの搬送量を適切に制御することが可能となる。例えば、紙送りローラー11の回転速度が設定回転速度より高速側へずれると、モーター13mが駆動停止時に惰性回転して搬送量が過多になる場合がある。このような場合、本実施形態のように紙送りローラー11の回転挙動値として回転速度を検出する構成であれば、回転速度を設定回転速度どおりに制御できるので、用紙Pの搬送量を適切に制御できる。また、検出手段として周知のエンコーダー(ロータリーエンコーダー)50を用いることが可能であり、容易に実際の回転挙動値を検出することができる。
(5)予測されたアイドラー14の移動挙動値に基づいて、モーター13m(駆動プーリー13)の回転を制御するので、アイドラー14の付勢方向への移動についてその振動振幅を抑制することができる。この結果、掛け渡されたベルト16の張力変動を抑制することができるので、ベルト16を介して回転する紙送りローラー11の回転挙動を安定化させるとともに、駆動プーリー13とベルト16との間での滑りを抑制する。従って、モーター13mの回転に応じて正しく用紙Pを搬送することができる。
(6)ベルト16が駆動プーリー13の回転に伴ってアイドラー14側より駆動プーリー13側へ進む(本実施形態ではこれを「逆回転」としている)場合は、アイドラー14に対して付勢方向と反対の方向に引き寄せようとする反付勢力が生じる。すると、もともと付勢回転体に加わっている付勢方向への付勢力と、この反付勢力との力関係によってアイドラー14は付勢方向において振動が生じやすくなる。そこで、予測されたアイドラー14の付勢方向における移動挙動値に基づいてモーター13mを制御することによって、駆動プーリー13の回転を制御して反付勢力の発生を抑制することができる。この結果、アイドラー14の振動を抑制することができ、ベルト16に過度の弛みが発生することを抑制できることから、例えばベルト16と駆動プーリー13との滑りを防止し、用紙Pを正しい搬送量で搬送することができる。
(7)アイドラー14の振動が大きくなることによって、例えば、ベルト16と駆動プーリー13との滑り(歯飛び)が生じやすくなる。そこで、用紙Pを正しい搬送量で搬送することが困難になる場合を判定して、状態フィードバック制御を行うことにより、アイドラー14の振動を抑制する。従って、制御装置20での処理負荷(例えば演算処理回数)を軽減させながら、モーター13mを制御してアイドラー14の付勢方向における移動挙動を適切に制御することができる。
(8)付勢回転体であるアイドラー14の振動状態を表す移動挙動値として、相対移動量を用いた。従って、相対移動量であるアイドラー14の予測移動距離を用いることによって、アイドラー14の振動の大きさを判定することができる。そして、アイドラー14の相対移動量が予め設定された移動挙動範囲内になったか否かを判定し(図5におけるステップS203)、移動挙動範囲内になったときには、状態フィードバック制御を終了して通常制御に移行する。この結果、制御装置20の処理負荷をなるべく軽減させつつ、アイドラー14の付勢方向における移動挙動(振動)を抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、紙送りローラー11の回転挙動値の検出に替えて、駆動プーリー13の実際の回転挙動値を、エンコーダー50によって検出するように構成してもよい。上述するように、駆動プーリー13の回転挙動値となる回転角と回転速度は、状態方程式の状態変数として用いることから、これらの予測回転挙動値と実測値との差異を状態フィードバックすることによって、アイドラー14の移動挙動の予測値を、実際の値に近づけることが可能である。なお、この場合は、出力yは駆動プーリー13の回転挙動値すなわち回転角θmまたは回転速度dθm/dtになる。
・上記実施形態において、紙送りローラー11の回転挙動値の検出に替えて、駆動プーリー13の実際の回転挙動値を、エンコーダー50によって検出するように構成してもよい。上述するように、駆動プーリー13の回転挙動値となる回転角と回転速度は、状態方程式の状態変数として用いることから、これらの予測回転挙動値と実測値との差異を状態フィードバックすることによって、アイドラー14の移動挙動の予測値を、実際の値に近づけることが可能である。なお、この場合は、出力yは駆動プーリー13の回転挙動値すなわち回転角θmまたは回転速度dθm/dtになる。
・上記実施形態において、搬送装置100は制御手段として機能しない、つまり制御装置20は制御回路22を介してモーター13mの回転挙動を制御する機能を備えないこととしてもよい。例えば、搬送装置100の搬送性能を表す値として、アイドラー14の移動挙動値が用いられる場合、その値が状態フィードバックによって実際の値に近い状態で求められることによって、搬送装置100についての性能の評価精度を向上させることができる。あるいは、駆動プーリー13と駆動手段(上記実施形態ではモーター13m)が別体で構成される場合は、本実施形態の制御回路22に相当する駆動手段の回転挙動を制御する制御手段を、駆動手段の近傍に配置構成するなど、搬送装置100とは別体で構成するようにすることが好ましい。
・上記実施形態において、アイドラー14の振動状態を表す移動挙動値として、相対移動量に替えて、予め定められた基準位置からのアイドラー14の絶対移動量を採用してもよい。あるいはアイドラー14の移動速度を採用してもよい。従って、判定方法は相対移動量に限るものでなく、要は、搬送機構10において、モーター13mとベルト16との間において滑りが生じることなく、搬送方向Yに安定して用紙Pを送ることができる状態を判定する方法であれば、どのような判定方法であっても採用できる。なお、アイドラー14の移動速度を採用した場合は、制御装置20は、アイドラー14の予測移動挙動値として移動距離〈xi〉に替えて移動速度〈dxi/dt〉を用い、モーター13mの回転挙動(トルクτ)を制御する。
・上記実施形態において、エンコーダー50は紙送りローラー11の回転角を検出するとともに、制御装置20において、紙送りローラー11の回転角θsの予測値〈θs〉と実測値との差異を、状態フィードバックするようにしてもよい。通常制御における制御対象が紙送りローラー11の回転角である場合は、こうすることが好ましい。なお、この場合は、出力yは紙送りローラー11の回転角θsとなる。
・上記実施形態において、検出手段によって回転挙動を検出する対象となる従動回転体を排紙ローラー12としてもよい。従動回転体である排紙ローラー12は、紙送りローラー11と同様に、回転伝達手段であるベルト16を介して回転伝達されることから、実際の回転挙動と予測回転挙動に差異が生じやすい。従って、紙送りローラー11と同様に状態方程式における状態変数の値を状態フィードバックによって精度よく予測できる確率が高くなるので、アイドラー14の移動挙動を状態フィードバック制御によって安定化させるように制御することができる。
・上記実施形態の紙搬送時の制御処理において、通常制御を行わず、常に状態フィードバック制御を行うようにしてもよい。例えば、用紙Pの搬送方向Yへの搬送時においても、アイドラー14が振動する場合は、このように常に状態フィードバック制御を行うようにすることが好ましい。
・また上記実施形態の紙搬送時の制御処理において、通常制御を、設定された回転速度と実際に検出された回転速度との差異を用いて紙送りローラー11の回転速度を制御するフィードバック制御としているが、これに限らず、紙送りローラー11の回転速度の差異を用いて制御しないフィードフォワード制御としてもよい。
・上記実施形態において、回転伝達手段が搬送対象物を搬送する搬送ベルトを兼ねたベルト搬送装置でもよい。この場合、搬送対象物をベルト上に負圧や静電気によって吸着してもよい。
・本発明の実施形態を、上記構成を有する搬送装置100と、用紙Pに対して液体としてのインクを噴射する液体噴射ヘッド40と、を備えた液体噴射装置の1種であるインクジェット式プリンター(単に「プリンター」とも呼ぶ)とすることもできる。
本実施形態のプリンター200について図6を用いて説明する。図6はプリンター200の概略構成を示す斜視図である。図示するように、本体背面部に斜状に配置された給紙トレイ17に載置された用紙P(不図示)が、搬送装置100によって搬送方向Yに搬送されるとともに、搬送中に液体噴射ヘッド40から用紙Pに対して液体が噴射される。すなわち、紙送りローラー11によって液体噴射ヘッド40から噴射される液体の付着領域に送られた用紙Pに対して液体が付着される。また、排紙ローラー12によって付着領域から送り出されて、図示するようにプリンター200外へ排出される。
なお、本実施形態のプリンター200において、液体噴射ヘッド40は用紙Pの搬送方向Yと交差する幅方向Xに往復移動するキャリッジ41に固定され、この往復移動中に液体噴射ヘッドから、形成する画像に応じた液体が噴射されるように構成されていても差し支えない。
このようなプリンター200によれば、例えば搬送装置100によって搬送方向Yへの送り間隔が一定にできるなど、用紙Pを位置精度良く搬送することができるので、用紙Pに対して液体を正しい位置に付着させ、用紙Pに正しく画像を形成させることができる。
・さらに上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター200に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
10…搬送機構、11…従動回転体としての紙送りローラー、12…従動回転体としての排紙ローラー、13…駆動回転体としての駆動プーリー、13m…駆動手段としてのモーター、14…付勢回転体としてのアイドラー、16…ベルト、17…給紙トレイ、20…制御手段としての制御装置、21…挙動予測手段としての状態演算回路、21a…オブザーバー、22…制御回路、40…液体噴射ヘッド、41…キャリッジ、50…検出手段としてのロータリーエンコーダー、100…搬送装置、200…プリンター、τ…回転トルク、P…用紙、Y…搬送方向、θm,θs…回転角、MD…等価モデル、xi…移動距離、dθm/dt,dθs/dt…回転速度。
Claims (9)
- 少なくとも1つの従動回転体と、駆動手段によって回転する駆動回転体と、前記従動回転体と前記駆動回転体とに掛け渡されたベルトと、前記駆動回転体と前記従動回転体との間に設けられ、前記ベルトが張られた状態で掛け渡されるように前記ベルトを付勢しつつ付勢方向に移動可能に設けられた付勢回転体とを有し、前記駆動回転体の回転によって搬送対象物が搬送されるように構成された搬送機構と、
前記搬送機構を等価モデルに基づく状態方程式で表現し、前記状態方程式によって前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値を予測する挙動予測手段と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。 - 請求項1に記載の搬送装置において、
前記従動回転体および前記駆動回転体の少なくとも一方の回転挙動値を検出する検出手段を備え、
前記挙動予測手段は、前記状態方程式によって前記従動回転体または前記駆動回転体の予測回転挙動値を求め、求めた前記予測回転挙動値と、前記検出手段によって検出された前記従動回転体または前記駆動回転体の検出回転挙動値と、の差異を前記状態方程式にフィードバックして、前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値を予測することを特徴とする搬送装置。 - 請求項2に記載の搬送装置において、
前記検出手段は、前記従動回転体の回転挙動値を検出し、
前記挙動予測手段は、前記状態方程式によって前記従動回転体の予測回転挙動値を求め、当該予測回転挙動値と、前記検出手段によって検出された前記従動回転体の検出回転挙動値と、の差異を前記状態方程式にフィードバックして、前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値を予測することを特徴とする搬送装置。 - 請求項2または3に記載の搬送装置において、
前記検出手段は、前記回転挙動値として回転角および回転速度の少なくとも一方を検出することを特徴とする搬送装置。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記予測された前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値に基づいて、前記駆動手段を制御して前記駆動回転体の回転挙動を制御する制御手段を備えたことを特徴とする搬送装置。 - 請求項5に記載の搬送装置において、
前記制御手段は、前記ベルトが前記付勢回転体側から前記駆動回転体側へ進む移動状態において、前記予測された前記付勢回転体の前記付勢方向における前記移動挙動値に基づいて、前記駆動手段を制御することを特徴とする搬送装置。 - 請求項5または6に記載の搬送装置において、
前記制御手段は、前記挙動予測手段によって求められた前記付勢回転体の前記付勢方向における移動挙動値が、予め定められた移動挙動範囲内になったか否かを判定し、前記移動挙動範囲内になったとき、前記予測された前記付勢回転体の移動挙動値に基づく前記駆動手段の制御を終了することを特徴とする搬送装置。 - 請求項7に記載の搬送装置において、
前記制御手段は、少なくとも付勢方向における相対移動量、絶対移動量、移動速度のうちの少なくとも1つについて、前記移動挙動範囲内になったか否かを判定することを特徴とする搬送装置。 - 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の搬送装置と、
前記搬送対象物に対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010016883A JP2011152755A (ja) | 2010-01-28 | 2010-01-28 | 搬送装置、および液体噴射装置 |
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JP2010016883A JP2011152755A (ja) | 2010-01-28 | 2010-01-28 | 搬送装置、および液体噴射装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112020440A (zh) * | 2018-05-17 | 2020-12-01 | 惠普发展公司,有限责任合伙企业 | 带张紧系统 |
JP7471850B2 (ja) | 2020-02-19 | 2024-04-22 | キヤノン株式会社 | 記録装置および搬送方法 |
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2010
- 2010-01-28 JP JP2010016883A patent/JP2011152755A/ja active Pending
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