JP2011150918A - 透明導電性基板の製造方法 - Google Patents

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Kenichiro Sugawara
健一朗 菅原
Koji Nishioka
宏司 西岡
Kunihiko Nakada
邦彦 中田
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Abstract

【課題】低コストかつ簡便な透明導電膜の製造方法である塗布法によって透明性と導電性を兼ね備えた透明導電膜を安定的に得ることができる透明導電膜形成用塗布液を用いて、透明導電性基板を製造する方法、およびこれにより得られた透明導電性基板を提供する。
【解決手段】チタン化合物、ニオブ化合物およびアルコールを混合して形成されるハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含む前駆体溶液を、透明基材上に塗布し、加熱処理後、還元雰囲気にてアニール処理し、ニオブがドープされた酸化チタン系透明導電膜を形成して酸化チタン系透明導電性基板を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化チタン系透明導電性基板の製造方法に関し、詳しくは、ガラスやフィルムなどの基板上に、透明性と導電性を兼ね備えた透明導電性基板の製造方法、およびこれにより得られた透明導電性基板に関する。
従来から、基板上に形成される透明導電膜は、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレイ等の表示素子用透明電極や熱線反射、電磁波シールド、帯電防止、防曇等の機能性コーティング材として用いられており、形成材料としては、例えば酸化インジウム・錫(ITO)膜や酸化インジウム・亜鉛(IZO)膜、酸化錫(SnO2)膜などが使用されている。近年では太陽電池等の透明電極やタッチパネル等の新規用途開拓に向けた透明導電膜の開発が著しく進展している。現状では、透明導電膜として、透明性に優れ、高い導電性を有するITO膜が市場をほぼ独占しているものの、Inの地殻含有量が50ppbと少なく資源の枯渇とともに原料のコストが上昇してしまうという欠点があるため、近年、透明導電体の材料として、耐薬品性および耐久性を兼ね備えた酸化チタンを用いた透明導電性基板の開発が進められている(特許文献1、2、非特許文献1参照)。
上記非特許文献1には、基板上に、アナターゼ型結晶構造を有するM:TiO2(MはNb、Ta)からなる酸化物薄膜(TNO膜)を成膜して透明導電膜を得る方法が提案されており、アナターゼ型結晶構造を有するM:TiO2の単結晶薄膜が、透明性を維持しつつ導電性を著しく向上させることが示されている。このように、一般的に高い導電性を有する金属酸化物の薄膜形成方法としてはスパッタ法やPLD(パルスレーザーデポジション)法のような真空系で成膜する方法が用いられている。これは金属酸化物粒子を含むスラリーあるいは溶液を基板に塗布した後に加熱する方法(ゾル−ゲル法)など、いわゆる塗布法において作製した膜はクラックが発生しやすく、緻密性に劣る傾向があり、導電性が低下しやすかったためである。
一方で、最近になって特定の前駆体液を用いることによりTNO膜を塗布法によって成膜する方法が報告されている(特許文献3参照)。この方法において使用されている前駆体液は、チタンペルオキシ錯体およびニオブペルオキシ錯体またはタンタルペルオキシ錯体からなり、これらのペルオキシ錯体は、主に、炭素成分を有しないO−O結合からなるペルオキシ基から構成されているため、加熱処理を行っても膜中から有機物除去による気孔の生成が抑制され、緻密な膜が得られることとなり、結果として高い導電性の発現が確認されている。
上述したペルオキシ錯体を用いた方法、すなわち、ゾル−ゲル法においては緻密な金属酸化物薄膜を得るに際し、前駆体分子の加水分解、引き続く脱水縮合反応を完結させるため、水分子の導入が必要であるが、ゾル−ゲル法で一般的に知られるアルコキシド前駆体などは水を添加すると安定性が低下する。その一方、上述のペルオキシ錯体は多量の水を含有した状態においても加水分解、並びに脱水縮合反応の進行を抑制しつつ、アニール処理によって緻密な膜を得ることが可能な極めて有効な前駆体である。
しかしながら、ペルオキシ錯体は熱的に極めて不安定な化合物であるため、室温(20±15℃)において長期間の保存ができないほか、液温に応じた前駆体液の粘度変化が著しく変化するため、基板への均一塗布が困難であるなど、いくつかの問題を抱えていた。したがって、前記したディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等の透明電極として適用するためには、ペルオキシ錯体と同様に、緻密な酸化物薄膜を得ることができ、且つ、室温(20±15℃)で安定であり、経時安定性も良好であることによって、基板への均一塗布が容易である、透明導電膜形成用の塗布液を用いた透明導電性基板の製造方法が要望されていた。
特開平10−226598号公報 特開2005−11737号公報 WO2009/057606号公報
セラミックス 42(2007)No.1
本発明の課題は、低コストで且つ簡便な透明導電膜の製造方法である塗布法によって透明性と導電性を兼ね備えた透明導電膜を安定的に得ることができる透明導電膜形成用塗布液を用いて、透明導電性基板を製造する方法、およびこれにより得られた透明導電性基板を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、ハロゲン元素を導入したハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含む前駆体溶液(前駆体液)を作製するに至った。この前駆体液は室温(20±15℃)においても長期間安定な液であり、金属酸化物の前駆体である当該前駆体液を透明基材上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にてアニール処理を施すことでニオブがドープされた酸化チタンからなる導電性に優れた透明導電膜を安定的に形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の透明導電性基板の製造方法は、以下の構成からなる。
(1)ハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含む前駆体溶液を、透明基材上に塗布し、加熱処理後、還元雰囲気にてアニール処理し、ニオブがドープされた酸化チタン系透明導電膜を形成することを特徴とする酸化チタン系透明導電性基板の製造方法。
(2)前記ハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含む前駆体溶液が、チタン化合物、ニオブ化合物およびアルコールを混合して形成される(1)に記載の透明導電性基板の製造方法。
(3)前記チタン化合物が、一般式:
Ti(OR)n4-n (1)
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。nは0≦n≦4である。Xはハロゲン元素を示す。)で表されるハロゲン化チタン、チタンアルコキシドまたはハロアルコキシチタンである上記(2)に記載の透明導電性基板の製造方法。
(4)前記ニオブ化合物が、一般式:
Nb(OR)m5-m (2)
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。mは0≦m≦5である。Xはハロゲン元素を示す。)で表されるハロゲン化ニオブ、ニオブアルコキシドまたはハロアルコキシニオブである上記(2)に記載の透明導電性基板の製造方法。
本発明の酸化チタン系透明導電性基板は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法によって得られたものである。
本発明によれば、前駆体溶液が室温(20±15℃)で安定であるので、この前駆体溶液を用いることで透明性と導電性を兼ね備えた透明導電性基板を簡便な塗布法にて安定的に製造することができる、という効果がある。つまり、本発明によれば、真空設備を要することなく簡便な操作で安価に、透明導電性基板を提供することが可能になる。
本発明の透明導電性基板の製造方法において、透明導電膜形成用塗布液(前駆体液)は、チタンおよびニオブのハロアルコキシ化合物からなるアルコール性溶液であり、加熱によりニオブがドープされた酸化チタンとなる金属酸化物の前駆体液である。本発明によれば、前駆体中へハロゲン元素を導入することにより、ハロアルコキシ錯体として溶液状態における加水分解、引き続く脱水縮合反応を抑制し、前駆体液の安定性を向上させるほか、水の導入を行うことなく、加熱処理によって緻密な酸化物薄膜へと転換することが可能なため、長期安定性と、良好な導電性とを併せて発現させるものである。
前記ハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含む前駆体溶液は、チタン化合物、ニオブ化合物およびアルコールを混合することによって形成される。前記チタン化合物としては、一般式:
Ti(OR)n4-n (1)
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。nは0≦n≦4である。Xはハロゲン元素を示す。)で表される化合物であるのが好ましい。このチタン化合物は、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシドおよびハロアルコキシチタンを包含している。
上記ハロゲン化チタンとしては、四フッ化チタン、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等が例示できる。チタンアルコキシドとしては、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド等が例示できる。また、ハロアルコキシチタンとしては、塩化チタントリイソプロポキシド、三塩化チタンメトキシド、二塩化チタンジメトキシド等が例示できる。
上記ニオブ化合物としては、一般式:
Nb(OR)m5-m (2)
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。mは0≦m≦5である。Xはハロゲン元素を示す。)で表される化合物であるのが好ましい。このニオブ化合物は、ハロゲン化ニオブ、ニオブアルコキシドおよびハロアルコキシニオブを包含している。
上記ハロゲン化ニオブとしては、五フッ化ニオブ、五塩化ニオブ、五臭化ニオブ、五ヨウ化ニオブ等が例示できる。ニオブアルコキシドとしては、ニオブメトキシド、ニオブエトキド、ニオブイソプロポキシド等が例示できる。また、ハロアルコキシニオブとしては、二塩化ニオブトリメトキシド等が例示できる。
上記ニオブ化合物またはチタン化合物は、ニオブが希少金属であることを考慮すると、ドーパントであるニオブ源としては、安価で入手が容易なハロゲン化ニオブ(例えば五塩化ニオブ等)を使用し、チタン源としてチタンアルコキシドを反応させ、前駆体液を作製することが好ましい。チタンハロアルコキシド、ニオブハロアルコキシドについては高付加価値であり、入手面やコスト面からその使用はあまり好ましくない。
前記前駆体液は、(i)ハロゲン化ニオブまたはハロアルコキシニオブにアルコールを反応させて得られるハロアルコキシニオブ化合物をドーパントとして、チタンアルコキシド、またはハロアルコキシチタン化合物に添加する方法であってもよいし、(ii)ハロゲン化チタン化合物またはハロアルコキシチタンにアルコールを反応させて得られるハロアルコキシチタン化合物に、ドーパントであるニオブアルコキシド、またはハロアルコキシニオブ化合物に添加する方法であってもよい。
ここで、ハロアルコキシニオブにアルコールを反応させてハロアルコキシニオブ化合物を得るとは、例えば前記一般式(2)において、m=1のハロアルコキシニオブにアルコールROHを反応させて、m=2〜4のハロアルコキシニオブ化合物を得ることをいう。同様に、ハロアルコキシチタンにアルコールを反応させてハロアルコキシチタン化合物を得るとは、例えば前記一般式(1)において、n=1のハロアルコキシチタンにアルコールROHを反応させて、n=2〜4のハロアルコキシチタン化合物を得ることをいう。
ただし、前駆体液中へのハロゲン元素の過剰導入は作製膜中に多くのハロゲン元素を残留させる恐れがあるため、デバイス性能における影響を鑑みるとハロゲン元素の導入量は前駆体液の安定化に寄与する必要最小限であればよく、チタン、ニオブいずれかの化合物においてハロゲン元素が含まれていればよい。
すなわち、例えば上記(i)の方法において、ハロゲン化ニオブにアルコールを反応させてハロアルコキシニオブ化合物を得る際に副生するハロゲン化水素がチタンアルコキシドと反応してハロアルコキシチタン化合物を生成するのである。
前記前駆体液を得るに際し、ドーパントであるハロアルコキシニオブと、ハロアルコキシチタンとの混合割合は、特に制限されないが、最終的に形成された酸化チタン膜におけるドーパントであるニオブの含有比率が0.1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%となるようにすればよい。ドーパントであるニオブの含有比率が前記範囲よりも少ないと、ドープ効果が不充分となり、導電性が低下するおそれがあり、一方、ニオブの含有比率が前記範囲よりも多いと、導電性が低下したり、膜の透明性が低下したりするおそれがある。
前記前駆体液におけるハロアルコキシ化合物を得るに際し、ハロゲンを含有するニオブ化合物(ハロゲン化ニオブもしくはハロアルコキシニオブ)またはハロゲンを含有するチタン化合物(ハロゲン化チタンもしくはハロアルコキシチタン)とアルコールとの置換反応(ハロアルコキシ化反応)は、常温で実施してもよく、また激しい発熱を伴う場合には冷却しながら(例えば、内温を−50℃以下に保つようにして)行えばよい。また、ハロゲン化ニオブ、ハロゲン化チタンなどの金属塩は水との反応性が極めて高く、空気中においては瞬時に金属酸化物へと変化し、アルコールとの置換反応が進行しにくくなるため、乾燥空気、窒素若しくはヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガス雰囲気下にて反応を行う必要があるが、コスト面を考慮すると乾燥空気や窒素の使用が好ましい。
前記ハロアルコキシ化反応に用いることのできるアルコールとしては、特に制限はないが、配位能力によってハロアルコキシ化合物を安定化でき、且つ、不純物混入による導電性低下を懸念して、成膜した際に残留カーボン量の少ないアルコールや前駆体液塗布時における取り扱いの点から、液の粘性を制御できるアルコールが好ましく、各目的に応じてアルコールを混合したものを使用してもよい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−ブタノール、2−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の各種アルコールが挙げられる。さらに、得られた前駆体液の重合を促進させるために、水の添加による部分加水分解を行わせるようにしてもよい。また、得られた前駆体液を加熱処理することも可能である。
前記前駆体液の固形分濃度は、通常、25重量%以下とするのが好ましく、ハロアルコキシ化合物の作製時に、予め、必要なアルコール量を添加して所望の固形分濃度を得てもよいし、高濃度で作製したハロアルコキシ化合物をさらにアルコールで希釈することにより、固形分濃度を調節してもよく、前駆体作製時に使用するアルコールと希釈時に用いるアルコールは同じでも異なっていてもよい。固形分濃度を25重量%よりも高くした場合、引き続く焼成工程により、作製膜にクラックが入りやすくなる。なお、ここでいう固形分濃度は、前駆体液を得る際に用いたチタン化合物およびドーパントであるニオブ化合物の合計重量が、前駆体液の全重量中に占める割合(重量%)を意味するものである。
本発明の透明導電性基板の製造方法においては、次に、前記前駆体液を透明基材上に塗布し、焼成した後、特定条件下でアニール処理を施す。
前記透明基材としては、後述する焼成およびアニール処理における加熱温度において形状を維持しうるものであり、かつ透明性を有するものであれば、特に制限はない。例えば、各種ガラス等の無機材料、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリイミドなどのプラスチック類)等の高分子材料などで形成された板状物、シート状物、フィルム状物等を用いることができる。透明基材の可視光透過率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上であるのがよい。
本発明で用いる透明導電膜形成用塗布液は、少なくともハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブ、および一種以上のアルコールを含有するものであり、この塗布液の各種基板への塗布方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、バーコーター法等を採用することができる。
前記前駆体液を塗布するに際し、塗布量は特に制限されるものではなく、例えば、最終的に形成される膜の厚み(ドライ膜厚)が10nm〜300nmとなるようにすればよい。最終的に形成されたドライ膜厚が前記範囲よりも小さいと、基材に凹凸が存在する場合などに部分的に塗布されにくい箇所や実際に塗布されていない箇所が生じるおそれがあり、一方、前記範囲よりも大きいと、透明性が低下するおそれがある。なお、このような厚みに前駆体液を塗布する際は、1回の塗布作業で行ってもよいし、複数回の塗布作業を繰り返し行うようにしてもよい。
前記前駆体液を塗布した後の基板は、続いて焼成工程に付する。本焼成工程は、膜中の溶媒等を揮発させ除去し、膜としての形状を保持させながら、ハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブ(前駆体)が金属酸化物(Nbドープ酸化チタン)に変化する過程における結晶化の進行を促進する。結果として、膜の結晶状態はアモルファス相ないしアナターゼ結晶相となる手前の状態に留めておくことができ、引き続く、還元雰囲気におけるアニール処理によって結晶性のより高い多結晶薄膜が作製可能となり、焼成工程を省いた場合と比較して導電性を著しく向上させることが可能となる。
上記焼成の際の加熱温度は、例えば、500℃以下、好ましくは50〜400℃、より好ましくは300℃程度とするのがよい。焼成時の加熱温度が高すぎると、安定した結晶相が析出し、引き続くアニール処理による導電性効果の発現が見られなくなるおそれがある。また、焼成時間は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよいのであるが、通常、1分〜1時間程度である。なお、焼成は、どのような雰囲気下で行ってもよく、特に制限はされない。
本発明においては、焼成した後の基板に対し、還元雰囲気下にて700℃以下で加熱するアニール処理を施す。これにより、膜を形成する金属酸化物(Nbドープ酸化チタン)はアモルファス相からアナターゼ相に結晶転移するとともに、結晶相中に酸素欠損を生じさせて導電性を発現することができる。
前記アニール処理の際の還元雰囲気には、特に制限はなく、例えば、窒素、一酸化炭素、アルゴンプラズマ、水素プラズマ、水素、真空、アンモニア、不活性ガス(アルゴン等)、あるいはこれらの混合ガスの雰囲気など、一般的な還元雰囲気であればよい。好ましくは、強還元雰囲気である水素雰囲気(水素ガス100%雰囲気)、若しくは水素を含有する混合ガスを採用するのがよい。
前記アニール処理における加熱温度は、基板上に塗布された金属酸化物(ニオブドープした酸化チタン)の結晶相が高い導電性を発現するアナターゼ型に変化しうる温度であればよく、ドーパントの含有比率などに応じて適宜設定すればよい。
アニール処理の加熱温度の上限は、アナタ−ゼ結晶相が、導電性の低いルチル結晶相に変化し始める温度未満であればよいが、ルチル結晶相に転移し始めるときの温度は、ドーパントの含有比率によって異なり、ドーパントの含有比率が比較的高い場合にはアニール処理の際の加熱温度がある程度高くても、結晶相が変化して導電性が低下することはないため、1000℃を上限として、好ましくは700℃以下の高い温度範囲で設定することが望ましい。アニール処理の下限は、通常350℃以上、好ましくは500℃以上、より好ましくは600℃以上である。アニール処理時間(加熱時間)は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよいのであるが、通常、1分〜1時間程度、好ましくは3分から30分間程度である。なお、アニール処理の加熱温度の設定は、上記に加えて、使用する透明基材の耐熱温度も考慮される。例えば、無アルカリガラス(アルミノシリケート)を透明基材として用いる場合、軟化点が975℃であるから、通常950℃以下、好ましくは800℃以下で用いる。
以上のような方法によって、ニオブがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜が透明基材上に形成される。この透明導電性膜は、Nbドープ酸化チタンの多結晶体からなる薄膜であり、透明性を備えると同時に、導電性を発現するものである。具体的には、本発明の製造方法により得られた透明導電性基板の透過率は、可視光領域で、通常73%以上、好ましくは80%以上であり、赤外領域で、通常55%以上、好ましくは70%以上である。また、本発明の製造方法により得られた透明導電性基板の比抵抗は、1.53×10-2Ω・cm以下である。いずれの特性も前駆体液作製から塗布までの時間に関わらず安定である。なお、これらの透過率および比抵抗は、例えば実施例で記載の方法によって測定することができる。
本発明の製造方法により得られた透明導電性基板は、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、LED(発光素子)、有機ELディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイ電極、太陽電池の電極、窓ガラスの熱線反射膜、帯電防止膜等の用途に好適に用いられる。さらに、本発明の製造方法により得られた透明導電性基板上の透明導電膜は、屈折率が高いという特長を活かして、反射防止機能を有した帯電防止膜としても有効である。とりわけ、タッチパネルでの用途に関しては、現在主流で用いられているITOと比較して、比抵抗が10-2Ω・cmオーダーであることから、十分な入力耐久性が得られるだけの膜厚に設定しても、使用に最適な表面抵抗を発現することが可能であり、十分にITOの代替材料となりえるものである。
なお、上述した本発明の製造方法では、前駆体液は透明基材上に直接塗布しているが、例えば液晶ディスプレイのようなデバイス等の透明電極用途においては、透明基材の上に着色膜(カラーフィルター)等の中間膜を介在させ、それらの上に直接前駆体液を塗布するようにしてもよい。このように透明基材と透明導電性膜との間に中間膜を介在させた態様も本発明の範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
なお、各例において、透明導電性基板の物性は以下の方法で測定した。
<表面抵抗・比抵抗>
表面抵抗・比抵抗は、抵抗率計(三菱化学(株)製「LORESTA−GP MCP−T160」)を用いて、四端子四探針法により測定した。詳しくは、サンプルに4本の針状電極を直線状に置き、外側のニ探針間に一定の電流を流し、内側のニ探針間に一定の電流を流し、内側のニ探針間に生じる電位差を測定して、表面抵抗(Ω/□)および比抵抗(Ω・cm)を求めた。測定は5cm角の成膜した基板内について9点測定を行い、測定値の平均(膜平均)をその膜の表面抵抗(Ω/□)および比抵抗(Ω・cm)とした。
<透過率> 透過率は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」を用いて、可視光領域については、波長360〜830nm、赤外領域については、波長900〜1200nmの光を用いて測定した。
(実施例1)
窒素ガス雰囲気下、塩化ニオブ5.12gを入れたフラスコの周囲をドライアイス/エタノールバスで冷却した後、2−エトキシエタノール150.22gを滴下し、溶解させた。得られた溶液は室温まで昇温させた後、フラスコの周囲を氷浴で再度冷却後、チタン:ニオブ=80:20(モル比)となるようにチタンテトライソプロポキシド21.35gを攪拌下で徐々に添加した。添加終了後、液温を室温まで昇温させることにより、ハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含む固形分濃度が15重量%である透明導電膜形成用塗布液を得た。
次に、上記作製した透明導電膜形成用塗布液を、一定時間保持した後、予めUV−オゾン処理した透明基材(無アルカリガラス「コーニング社製EAGLE XG」、5cm×5cm×0.7mm厚さ)上の全面に、スピンコーティング(150rpm×5sec、引き続き1000rpm×20sec)し、300℃で30分間焼成、その後、水素100%の還元雰囲気下にて600℃で30分間アニール処理を施して、透明導電性基板を得た。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視光領域におけるピークトップが、約73〜82%であり、赤外領域では、約62〜71%であった。塗布液の保持時間(液作製から塗布までの保存時間)における透明導電膜の表面抵抗(膜平均)および比抵抗(膜平均)を表1に示す。
Figure 2011150918
(実施例2)
窒素ガス雰囲気下、塩化ニオブ5.14gを入れたフラスコの周囲をドライアイス/エタノールバスで冷却した後、2−エトキシエタノール30.45gを滴下し、溶解させた。得られた溶液は室温まで昇温させた後、フラスコの周囲を氷浴で再度冷却後、チタン:ニオブ=80:20(モル比)となるようにチタンテトライソプロポキシド21.47gを攪拌下で徐々に添加した。添加終了後、液温を室温まで昇温させることにより、ハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含む固形分濃度が47重量%である透明導電膜形成用塗布液を得た。
上記作製した固形分濃度が47重量%である透明導電膜形成用塗布液を、エトキシエタノールで希釈することにより、固形分濃度が15重量%である透明導電膜形成用塗布液を得た。この塗布液を作製後すぐ(液作製から塗布までの時間が0時間)に、実施例1と同じ透明基材上の全面にスピンコーティング(150rpm×5sec、引き続き1000rpm×20sec)し、300℃で30分間焼成、その後、水素100%の還元雰囲気下にて600℃で30分間アニール処理を施して、透明導電性基板を得た。得られた透明導電性基板の透過率は、可視光領域におけるピークトップが75〜79%であり、赤外領域では、67〜70%であった。表面抵抗は、膜平均で1852.6Ω/□、比抵抗は、膜平均で1.05×10-2Ω・cmであった。
(比較例1)
塗布液を透明基材に塗布後、焼成工程を省いた以外は、実施例1と同様にして透明導電性基板を得た。得られた透明導電性基板の表面抵抗は、膜平均で6610.9Ω/□、比抵抗は、膜平均で4.66×10-2Ω・cmであり、透過率は、可視光領域におけるピークトップが79%であり、赤外領域では、69〜73%であった。
(実施例3)
固形分濃度が47重量%である塗布液を希釈する溶媒としてエタノールを使用した以外は実施例2と同様にして透明導電性基板を得た。得られた透明導電性基板の表面抵抗は、膜平均で911.7Ω/□、比抵抗は、膜平均で1.12×10-2Ω・cmであり、透過率は、可視光領域におけるピークトップが80%であり、赤外領域では、55〜62%であった。
(比較例2)
塗布液を透明基材に塗布後、焼成工程を省く以外は、実施例3と同様にして透明導電性基板を得た。得られた透明導電性基板の表面抵抗は、膜平均で3278.1Ω/□、比抵抗は、膜平均で4.41×10-2Ω・cmであり、透過率は、可視光領域におけるピークトップが76〜79%であり、赤外領域では、60〜69%であった。
上記実施例から明らかな如く、本発明によれば、ハロゲン元素を導入したハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含むアルコール溶液は、長期間安定であり、透明導電膜形成用塗布液として常に安定な導電特性を有する透明導電膜を作製することが可能であるため、その産業上の価値は頗る大である。

Claims (5)

  1. ハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含む前駆体溶液を、透明基材上に塗布し、加熱処理後、還元雰囲気にてアニール処理し、ニオブがドープされた酸化チタン系透明導電膜を形成することを特徴とする酸化チタン系透明導電性基板の製造方法。
  2. 前記ハロアルコキシチタンおよびハロアルコキシニオブを含む前駆体溶液が、チタン化合物、ニオブ化合物およびアルコールを混合して形成される請求項1に記載の透明導電性基板の製造方法。
  3. 前記チタン化合物が、一般式:
    Ti(OR)n4-n (1)
    (式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。nは0≦n≦4である。Xはハロゲン元素を示す。)で表されるハロゲン化チタン、チタンアルコキシドまたはハロアルコキシチタンである請求項2に記載の透明導電性基板の製造方法。
  4. 前記ニオブ化合物が、一般式:
    Nb(OR)m5-m (2)
    (式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。mは0≦m≦5である。Xはハロゲン元素を示す。)で表されるハロゲン化ニオブ、ニオブアルコキシドまたはハロアルコキシニオブである請求項2に記載の透明導電性基板の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法によって得られた酸化チタン系透明導電性基板。
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CN105951053A (zh) * 2016-05-20 2016-09-21 郑州大学 一种铌掺杂二氧化钛透明导电膜的制备方法及铌掺杂二氧化钛透明导电膜

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