JP2010066836A - タッチパネル - Google Patents

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邦彦 中田
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Abstract

【課題】 塗布法により形成された酸化チタン系透明導電性膜を用い、大幅なコスト低減を可能にするとともに、入力耐久性をも向上させた、静電容量方式のタッチパネルを提供する。
【解決手段】 片面または両面に透明導電性膜3、5を備えた透明基板2と、該透明基板2が有する一方の透明導電性膜3を覆う絶縁膜4とを備えた静電容量方式のタッチパネルにおいて、少なくとも一方の透明導電性膜を、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を透明基板上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施すことにより形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、静電容量方式のタッチパネルに関する。
タッチパネルは、指先やスタイラス(ペン先)等の接触体が接触した接触位置を検出するものであり、例えば、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話、パソコン、カーナビゲーション等の製品に広く用いられるLCD、有機EL、CRT等の表示装置に搭載されて用いられる。タッチパネルの位置検出方式としては、抵抗膜方式、超音波表面弾性波方式、赤外線遮光方式、静電容量方式、電磁誘導方式、画像認識方式等が知られている。それらの中でも、構造が単純でありパネルの薄型化が可能であるとともに、光の透過率の低下や透過光の色味変化が小さく表示装置の視認性を容易に確保でき、さらには、同時に二点以上を位置認識できるマルチタッチが可能であるといった高機能を備える点では、静電容量方式が最も適しており、種々の静電容量方式のタッチパネルが提案されている(特許文献1〜3)。
ところで、近年、急激な市場成長の下、タッチパネルの需要は増えつつあるが、汎用化されるにはそのコストが高すぎるという実情があり、タッチパネルのコストの低減が要望されている。これまで、静電容量方式のタッチパネルの材料原価構成における大部分は、透明導電性膜が占めていた。すなわち、従来、静電容量方式のタッチパネルにおける透明導電性膜としては、スパッタ法やPLD(パルスレーザーデポジション)法のように真空系で成膜する方法にて形成された酸化インジウム錫(ITO)膜が汎用されており、原料として希少金属であるIn(インジウム)を必須とすること、および成膜方法として大掛かりな装置が必要で設備的なコストが嵩むとともにバッチ生産によるため生産性も低い真空プロセスが必要であることが、コスト高騰の要因となっていたのである。したがって、透明導電性膜をITO膜から他の金属酸化物膜に変更し、かつ、その成膜方法を簡便な操作で安価に実施することができる塗布法に変更することが望まれるが、そのような透明導電性膜の成膜技術は確立されていないのが現状であり、コスト低減は実現されていなかった。
他方、静電容量方式のタッチパネルにおける透明導電性膜には、指先やスタイラス(ペン先)等の接触体により繰り返し押圧されたときにも損傷しないだけの機械的強度(すなわち、入力耐久性)が要求される。従来の真空系で成膜されたITO膜は、この点においても改善が求められていた。すなわち、静電容量方式のタッチパネルにおいては、ある程度の導電性が必要であるが、逆に導電性が高すぎても、誤動作が生じたり、タッチパネルが導通状態となり電流が流れるため消費電力が大きくなったりするといった問題を招くことになるため、その透明導電性膜は適度な表面抵抗(例えば、200〜2000Ω/□程度)を有することが必要になる。従来のITO膜は比抵抗が非常に小さい(通常、1〜2×10-4Ω・cm程度)ので、タッチパネルに最適な表面抵抗とするには、膜厚を薄くせざるを得ず(例えば、10nm以下)、その結果、機械的強度が弱くなり、入力耐久性が不充分となる場合があったのである。また膜厚が薄すぎると、成膜工程の変動や製造プロセス中の熱履歴などの変化により再現性の良好な表面抵抗を得ることができず、面内の抵抗均一性の実現が困難となる等の問題をも有する。これら入力耐久性等の問題を解決するうえでも、静電容量方式のタッチパネルにおける透明導電性膜をITO膜から比抵抗の大きい膜に変更し、その成膜方法も膜厚の設定が容易な塗布法に変更することが望まれる。
特開2008−32756号公報 特開平7−28598号公報 特開2007−280101号公報
そこで、本発明の目的は、塗布法により形成された酸化チタン系透明導電性膜を用い、大幅なコスト低減を可能にするとともに、入力耐久性をも向上させた、静電容量方式のタッチパネルを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を透明基板上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施すことにより、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜を形成でき、この酸化チタン系透明導電性膜であれば、充分な機械的強度を有する程度の膜厚においてタッチパネルに最適な表面抵抗を発現させることが可能になることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)片面または両面に透明導電性膜を備えた透明基板と、該透明基板が有する一方の透明導電性膜を覆う絶縁膜とを備え、前記絶縁膜の表面に接触体が接触したときに、前記接触体と前記絶縁膜で覆われた透明導電性膜の一部との間に形成される静電容量を検知することによって前記接触体の接触位置を検出する静電容量方式のタッチパネルにおいて、
少なくとも一方の透明導電性膜を、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を透明基板上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施すことにより形成することを特徴とする、タッチパネル。
(2)前記絶縁膜で覆われた透明導電性膜の膜厚が20〜150nmである、前記(1)記載のタッチパネル。
本発明によれば、塗布法により形成された酸化チタン系透明導電性膜を用い、大幅なコスト低減を可能にすることができる、という効果が得られる。詳しくは、本発明によれば、従来の真空プロセスを要する成膜方法を、膜形成材料を塗布し加熱するという簡便な方法に変更することにより、設備的なコストを削減できるとともに、連続生産が可能になる。また、本発明によれば、透明導電性膜の主原料としてインジウムのような高価な希少金属を必要としないため、原料コストの面からもコスト低減を図ることができ、しかも、将来的な原料供給不安を解消することもできる。なお、本発明によるコスト低減効果は、具体的には、従来の真空プロセスを要する成膜方法で得られたITO膜を用いたタッチパネルと比較して、およそ1/30のコストで製造できるものである。
また、本発明によれば、塗布法により形成された酸化チタン系透明導電性膜を用い、入力耐久性をも向上させることができる、という効果も得られる。すなわち、本発明における酸化チタン系透明導電性膜は、比抵抗が10-3Ω・cmオーダーであるので、例えば20nm以上の膜厚でタッチパネルに最適な表面抵抗を発現させることができ、充分な入力耐久性が得られるだけの膜厚に設定することが可能であり、しかも、前記酸化チタン系透明導電性膜は塗布法にて形成されるものであるので、膜厚の設定も容易である。加えて、前記酸化チタン系透明導電性膜は、結晶性の無機酸化物膜である点でも機械的強度に優れるので、入力耐久性の向上に寄与するものである。
さらに、本発明のタッチパネルは、静電容量方式であり、例えば抵抗膜方式のタッチパネルのように複数の基板や空気層等を有さないため、光の透過率の低下や透過光の色味の変化を抑制することができ、より高い表示品位を実現することができる。また、透明基板として各種ガラス等の無機材料を用いる場合には、傷に強く汚れや湿度などにも優れた耐久性を有するという利点もある。
本発明のタッチパネルは、片面または両面に透明導電性膜を備えた透明基板と、該透明基板が有する一方の透明導電性膜を覆う絶縁膜とを備え、前記絶縁膜の表面に接触体が接触したときに、前記接触体と前記絶縁膜で覆われた透明導電性膜の一部との間に形成される静電容量を検知することによって前記接触体の接触位置を検出する静電容量方式のタッチパネルである。なお、静電容量方式は、詳しくは、容量結合式(Surface Capacitive)とGRID静電方式(ProjectedCapacitive)に大別できるが、本発明にかかるタッチパネルは、いずれの方式であってもよい。
以下、本発明にかかる静電容量方式のタッチパネルの基本構造について、図面を用いて説明する。
図1は、静電容量方式のタッチパネルの一実施形態を模式的に示す概略断面図である。図1に示すタッチパネル1は、透明基板2と、該透明基板2の片面(上面の略全域)に設けられた透明導電性膜3と、該透明導電性膜3を覆う絶縁膜4とから構成されている。
他方、図2は、静電容量方式のタッチパネルの別の実施形態を模式的に示す概略断面図である。図2に示すタッチパネル10は、透明基板2の両面に透明導電性膜が設けられたものであり、図1に示すタッチパネル1と同様、透明基板2と、該透明基板2の片面(上面の略全域)に設けられた透明導電性膜3と、該透明導電性膜3を覆う絶縁膜4とを備えるとともに、さらに透明基板2のもう一方の面(下面の略全域)にも透明導電性膜5を備えたものである。
図1または図2に示すタッチパネル1、10は、透明基板2の上面側の透明導電性膜3の端部(例えば四隅)に電極端子(図示せず)を形成し、この各電極端子に、電極端子から流れた電流を検出する電流検出回路(図示せず)に接続された配線6の一端をそれぞれ接続して、指先やスタイラス(ペン先)等の接触体が接触した接触位置を検出する。すなわち、指先やスタイラス(ペン先)等の接触体が図中の矢印方向からタッチパネル1、10に接触すると、透明導電性膜3が、接触位置で透明導電性膜3と接触体との間の絶縁膜4により形成された静電容量を介して接地される。各電極端子と接地点との間の抵抗値は、接触位置に応じて変化するので、この抵抗値の変化を電流検出回路によって検出することにより、接触位置が検出されるようになっている。
図2に示すタッチパネル10において、透明基板2の下面側に設けられた透明導電性膜5は、表示装置からのノイズの影響を除くためのシールド電極として作用するものである。このようなシールド電極としての透明導電性膜5は、必要に応じて設ければよく、例えばGRID静電方式の場合には、このようなシールド電極は不要である。シールド電極としての透明導電性膜5を設ける場合には、該透明導電性膜5をさらに絶縁膜(図示せず)で覆うことが望ましい。
なお、図1および図2には示さないが、本発明にかかるタッチパネルには、通常、このようなタッチパネルに設けられるその他の構成(例えば、絶縁膜4の上に積層される保護膜など)を具備させることもできる。
本発明のタッチパネルは、透明導電性膜の少なくとも一つ(具体的には、透明基板の上面に設ける透明導電性膜(図1、図2中の透明導電性膜3)と、必要に応じて設けられる透明基板下面の透明導電性膜(図2中の透明導電性膜5)のうちの少なくとも一方)を後述する特定の塗布法で形成するものであり、この透明導電性膜の形成以外の点については特に制限はなく、公知の方法を採用して得ることができる。例えば、タッチパネルに用いる透明導電性膜のいずれかが、後述する特定の塗布法にて形成されない場合、当該透明導電性膜については、従来公知の方法で形成すればよい。ただし、タッチパネルに用いる全ての透明導電性膜を後述する塗布法で形成する方が、より大きなコスト低減効果を得るうえで望ましいことは言うまでもない。なお、本発明にかかるタッチパネルに用いる透明導電性膜は、いずれの成膜方法で形成される場合にも、それぞれ、単層で構成されていてもよいし、複数の層が積層されて構成されていてもよい。
以下、本発明における特定の塗布法について詳しく述べる。
本発明における特定の塗布法(以下、単に「塗布法」と称する)は、透明基板上に、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を透明基板上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施すものである。
透明基板としては、後述する焼成およびアニール処理における加熱温度において形状を維持しうるものであり、かつ透明性を有するものであれば、特に制限はない。例えば、各種ガラス等の無機材料、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ノルボルネン系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシアクリル樹脂などのプラスチック類)等の高分子材料などで形成された板状物やフィルム状物(シート状物を含む)等を用いることができるが、中でも、各種ガラスが好ましく用いられる。
透明基板の可視光透過率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上であるのがよい。また、透明基板の厚みは、通常、1.5〜6mmであり、好ましくは3〜4mmである。
前記塗布法においては、まず、膜形成材料として、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物(以下、「ニオブ化合物またはタンタル化合物」を纏めて「ドーパント化合物」と称し、「ニオブまたはタンタル」を纏めて「ドーパント」と称することもある)に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を得る。この前駆体液は、チタン化合物およびドーパント化合物がペルオキシ化されてなる錯体(ペルオキシ錯体)であり、加熱によりニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンとなる金属酸化物前駆体である。周期律表のVA族に属する5価のニオブまたはタンタルが酸化チタンにドープされた金属酸化物で形成された膜は、良好な導電性を発現させる。
前記前駆体液は、i)(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させることにより得られた反応生成物であるチタンのペルオキシ錯体と、(B)ドーパント化合物に過酸化水素を反応させることにより得られた反応生成物であるドーパントのペルオキシ錯体とを所望の割合で混合して得られたものであってもよいし、ii)(A)チタン化合物と(B)ドーパント化合物とを予め所望の割合で混合した混合物に対して過酸化水素を反応させることにより得られたものであってもよい。
前記前駆体液を得るに際し、(A)チタン化合物もしくは該チタン化合物由来のペルオキシ錯体と、(B)ドーパント化合物もしくは該ドーパント化合物由来のペルオキシ錯体との混合割合は、特に制限されないが、最終的に形成された酸化チタン膜におけるドーパント(ニオブまたはタンタル)の含有比率が0.1〜30モル%、好ましくは1〜25モル%となるようにすればよい。前記(B)(ドーパント化合物もしくは該ドーパント化合物由来のペルオキシ錯体)が前記範囲よりも少ないと、ドープ効果が不充分となり、導電性が低下するおそれがあり、一方、前記(B)が前記範囲よりも多いと、導電性が低下したり、膜の透明性が低下するおそれがある。
前記前駆体液を得るに際し、過酸化水素による反応(すなわち、ペルオキシ化反応)は、例えば、チタン化合物、ドーパント化合物またはこれらの混合物を適当な溶媒により溶解させ、必要に応じて攪拌しつつ、濃度1〜60重量%程度の過酸化水素水を添加することにより行うことができる。ペルオキシ化反応の反応時間は、通常1秒〜60分、好ましくは5分〜20分程度である。なお、過酸化水素によるペルオキシ化反応は、通常、激しい発熱を伴うので、反応は冷却しながら(具体的には、内温を−10℃以下に保つようにして)行うことが望ましい。反応後、さらに、−10℃以下に冷却しつつ熟成保持してもよい。
前記過酸化水素によるペルオキシ化反応に用いることのできる溶媒としては、特に制限はないが、水系やアルコール系等の水溶性溶剤が好ましく用いられる。具体的には、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール等が挙げられる。
前記(A)チタン化合物は、チタン源としてTi原子を含むものであれば特に制限はなく、例えば、塩化チタン(二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタン等)、チタンアルコキシド(メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド等)、硫酸チタニル、金属チタン、水酸化チタン(オルトチタン酸)、オキシ硫酸チタン等を用いることができる。
前記(B)ドーパント化合物のうちニオブ化合物は、ニオブ源としてNb原子を含むものであれば特に制限はなく、例えば、塩化ニオブ、ニオブアルコキシド(メトキシド、エトキシド等)、金属ニオブ、水酸化ニオブ等を用いることができる。他方、前記(B)ドーパント化合物のうちタンタル化合物は、タンタル源としてTa原子を含むものであれば特に制限はなく、例えば、塩化タンタル、タンタルアルコキシド(メトキシド、エトキシド等)、金属タンタル、水酸化タンタル等を用いることができる。
なお、上記のうち、チタンアルコキシド、ニオブアルコキシド、タンタルアルコキシドは、水分と接触すると直ちに反応する不安定な物質なので、乾燥(低湿度)雰囲気で扱うことが好ましい。
本発明においては、前記(A)チタン化合物および前記(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物として水酸化物を用いることが好ましい。すなわち、前記(A)として水酸化チタンを用い、前記(B)として水酸化ニオブまたは水酸化タンタルを用いるか、もしくは、これら水酸化物以外のチタン化合物およびドーパント化合物を用い、過酸化水素と反応させる前に予めアルカリあるいは水を加えるなどして水酸化し、生じた水酸化物の沈殿を分取、洗浄すればよい。このように、水酸化物を過酸化水素と反応させて得られたペルオキシ錯体であれば、炭素原子を含む有機部位が全く存在しないことになり、高温に加熱して有機部位を分解・揮散させる必要がないため、酸化物に変換する際の加熱温度を比較的低温に設定することができるので好ましい。例えば、水酸化物以外のチタン化合物およびドーパント化合物をそのまま用いて過酸化水素と反応させた場合には、得られたペルオキシ錯体の一部に有機部位が存在することになり、この有機部位を分解・揮散させるためには、少なくとも400℃以上、好ましくは500〜600℃程度の温度に加熱することが必要になる。
前記前駆体液の固形分濃度は、通常、10重量%以下とするのが好ましく、特に、前駆体液の保存安定性(ポットライフ)の観点からは、2重量%以下であるのがより好ましい。固形分濃度が10重量%を超えると、前駆体液の保存安定性が大幅に低下し、塗布時に粘度が上昇するので、透明基板上に均一に塗布することが困難になるおそれがある。
なお、ここでいう固形分濃度は、前駆体液を得る際に用いたチタン化合物およびドーパント化合物の合計重量が、前駆体液の全重量中に占める割合(重量%)を意味するものである。
前記塗布法においては、次に、前記前駆体液を透明基板上に塗布し、焼成した後、特定条件下でアニール処理を施す。
前記前駆体液を透明基板上に塗布する際の塗布方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法等を採用することができる。
前記前駆体液を塗布するに際の塗布量は、最終的に形成される透明導電性膜の厚み(ドライ膜厚)が後述する範囲になるように適宜設定すればよい。なお、所望の厚みに前駆体液を塗布する際には、1回の塗布作業で行ってもよいし、複数回の塗布作業を重ねて行うようにしてもよい。
前記前駆体液を塗布した後の基板は、続いて焼成に付する。これにより、基材上のペルオキシ錯体(前駆体液)はNbまたはTaドープ酸化チタンに変化する。このときの結晶状態は、通常、アモルファス相からアナターゼ結晶相となる。
焼成の際の加熱温度は、例えば、室温〜500℃、好ましくは400℃以下とするのがよい。焼成時の加熱温度が高すぎると、安定した結晶相が析出し、アニール処理効果の発現が見られなくなるおそれがある。また、焼成時間は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよいのであるが、通常、1分〜1時間程度である。なお、焼成は、どのような雰囲気下で行ってもよく、特に制限はされない。例えば、塗布した前駆体液の固形分濃度が低い場合には、焼成に先立ち、真空乾燥や減圧乾燥等の手段によって溶媒を均一に揮散させてもよく、これにより、均一な膜を形成しやすくなる。
前記塗布法においては、焼成した後の基板に対し、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施す。これにより、膜を形成するNbまたはTaドープ酸化チタンに酸素欠損を生じさせて導電性を向上させることができる。しかも、通常、酸素欠損を導入すると抵抗の高いルチル結晶相に変化しやすい傾向となるが、本発明においては、酸化チタンにドープしたニオブまたはタンタルが、酸素欠損を導入してもアナターゼ結晶相を安定化させる作用をなすため、高い導電性を発現しうる結晶状態を維持させることができる。
前記アニール処理の際の還元雰囲気には、特に制限はなく、例えば、窒素、一酸化炭素、アルゴンプラズマ、水素プラズマ、水素、真空、アンモニア、不活性ガス(アルゴン等)、あるいはこれらの混合ガスの雰囲気など、一般的な還元雰囲気であればよい。好ましくは、強還元雰囲気である水素雰囲気(水素ガス100%雰囲気)を採用するのがよい。
前記アニール処理における加熱温度は、使用する透明基板の耐熱温度に応じて適宜設定すればよい。例えば、無アルカリガラスのような無機材料製板状物を透明基板として用いる場合には、通常550℃以下、好ましくは250〜550℃であり、また、各種プラスチック類からなるフィルム状物や板状物等を透明基板として用いる場合には、通常250〜500℃、好ましくは250〜350℃であるのがよい。アニール処理時間(加熱時間)は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよいのであるが、通常、1分〜1時間程度である。
以上のような塗布法によって、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜が透明基板上に形成される。この透明導電性膜は、NbまたはTaドープ酸化チタンの多結晶体からなる薄膜であり、良好な透明性を備えると同時に、タッチパネルに要求される適度な導電性を発現するものである。具体的には、前記塗布法により得られた透明導電性膜の比抵抗は、通常9×10-3Ω・cm以下、好ましくは8×10-3Ω・cm以下で、かつ1.0×10-3Ω・cm以上であるのがよい。ある。また、前記塗布法により得られた透明導電性膜付き基板の透過率は、可視光領域で、通常75%以上、好ましくは80%以上であり、赤外領域で、通常70%以上、好ましくは75%以上である。なお、これらの透過率および比抵抗は、例えば実施例で後述する方法によって測定することができる。
本発明において前記塗布法で透明基板に形成する透明導電性膜のうち、透明基板の上面側の透明導電性膜(図1、図2中の透明導電性膜3)、すなわち接触体が接触する操作面に当る絶縁膜を設ける側の透明導電性膜の膜厚は、20〜150nmであることが好ましく、より好ましくは、20〜100nmである。該透明導電性膜の膜厚が前記範囲よりも小さいと、膜の機械的強度が不充分となり、タッチパネルの入力耐久性が低下するおそれがあり、一方、前記範囲を超えると、透明性が低下するおそれがある。
他方、本発明において前記塗布法で透明基板に形成する透明導電性膜のうち、透明基板下面の透明導電性膜(図2中の透明導電性膜5)、すなわちシールド電極としての透明導電性膜の膜厚は、適宜設定すればよいが、通常50〜200nm、好ましくは、70〜150nmである。
前記塗布法によって形成された透明導電性膜の表面抵抗は、例えば、容量結合式の場合には、透明基板の上面側の透明導電性膜(図1、図2中の透明導電性膜3)を1000〜2000Ω/□とし、透明基板下面の透明導電性膜(図2中の透明導電性膜5)を100〜150Ω/□とするのがよく、GRID静電方式の場合には、透明基板の上面側の透明導電性膜(図1、図2中の透明導電性膜3)を100〜200Ω/□とするのがよい。表面抵抗が前記範囲であれば、タッチパネルに求められる適度な導電性を発現させることができる。前記塗布法によって形成された透明導電性膜は、上述したように比抵抗が10-3Ω・cmオーダーであるので、膜厚を比較的大きい前記範囲に設定しても、表面抵抗を前記範囲にできるのである。
かくして得られる片面または両面に透明導電性膜を備えた透明基板は、その上面(すなわち、接触体が接触する操作面に当る絶縁膜を設ける側の透明導電性膜)が絶縁膜で覆われてタッチパネルとなる。絶縁膜の形成材料としては、絶縁性の材料であれば特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂やウレタン樹脂等が用いられる。絶縁膜の形成方法についても、特に制限はなく、公知のコーティング方法を適宜採用すればよい。また、絶縁膜の厚みは、光透過性を損なわない範囲で適宜設定すればよく、通常は数千Å程度である。
なお、本発明にかかるタッチパネルに、例えば、絶縁膜の上に積層される保護膜や、透明基板の下面に設けた透明導電性膜を覆う絶縁膜などを具備させる場合には、それぞれ公知の手法を採用すればよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
なお、実施例における各種物性の測定は、以下の方法で行なった。
<結晶性> 透明導電性膜の結晶性は、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用いて、薄膜測定用のアタッチメントを使用して評価した。
<比抵抗> 透明導電性膜の比抵抗は、低抵抗率計(三菱化学(株)製「LORESTA−GP,MCP−T610」)を用いて、四探針法により測定した。詳しくは、サンプルに4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間に一定の電流を流し、内側の二探針間に一定電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定し、抵抗を求めた。
<表面抵抗> 表面抵抗は、比抵抗を膜厚で除することにより求めた。
<透過率> 透過率は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて、190nm〜2700nmの範囲で測定した。
(実施例1)
まず、アルゴンガス雰囲気中でチタンテトライソプロポキシド4.0gを脱水エタノール28.5g中に溶解させ、得られた溶液に濃度30重量%の過酸化水素水8.0gを攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、5分間攪拌して、ペルオキシ化反応させた。なお、反応は、溶液を入れたフラスコの周囲をドライアイスで冷却しながら行い、過酸化水素水の添加によって発熱した際に溶液の内温が−10℃を超えないように制御した。このようにして得られた反応生成物をチタンペルオキシ錯体(a1)とした。
他方、アルゴンガス雰囲気中でニオブペンタエトキシド1.5gを脱水エタノール19.2g中に溶解させ、得られた溶液に濃度30重量%の過酸化水素水1.6gを攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、5分間攪拌して、ペルオキシ化反応させた。なお、反応は、上記と同様に、溶液を入れたフラスコの周囲をドライアイスで冷却しながら行い、過酸化水素水の添加によって発熱した際に溶液の内温が−10℃を超えないように制御した。このようにして得られた反応生成物をニオブペルオキシ錯体(b1)とした。
次に、上記チタンペルオキシ錯体(a1)と、上記ニオブペルオキシ錯体(b1)とを、チタン:ニオブ=80:20(モル比)となるような割合で混合し、固形分濃度7重量%の前駆体液(1)とした。
この前駆体液(1)を、透明基板(無アルカリガラス「コーニング社製1737」、厚さ0.7mm)上にドライ膜厚108nmとなるように、スピンコーターで1回塗布し、100℃で10分間焼成(プリベーク)し、その後、水素100%の還元雰囲気下にて500℃で60分間アニール処理を施して、透明基板の上面に透明導電性膜(1)を形成した。
ここで形成した透明導電性膜(1)の結晶相をX線回折により調べたところ、アナターゼ型であり、該透明導電性膜(1)の膜厚は108nm、比抵抗は5.4×10-3Ω・cm、表面抵抗は500Ω/□であった。また、得られた透明導電性膜付基板の透過率は、可視領域で約80%、赤外領域で約80%であった。
次に、上面に透明導電性膜(1)が形成された透明基板の下面に、透明導電性膜(2)として、スパッタリング法により膜厚13.3nmのITO膜を形成した。このとき、成膜時のスパッタリング成膜条件は、以下の通りとした。
装置:DCマグネトロンスパッタ装置
磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
基板温度:200℃
スパッタリングガス:Ar、O2
スパッタリングガス圧:0.5Pa
酸素分圧:0.0〜3.0%
DCパワー:100W
ここで形成した透明導電性膜(2)の膜厚は13.3nm、比抵抗は2.0×10-4Ω・cm、表面抵抗は150Ω/□であった。
以上のようにして得た透明導電性膜付き基板の透明導電性膜(1)側の表面に、絶縁膜として厚さ数千Åのシリコン膜を形成して、タッチパネルを得た。
得られたタッチパネルを液晶表示装置に搭載し、以下のようにして入力耐久性を評価した。すなわち、得られたタッチパネルの背面(透明導電性膜(2)側)を液晶表示装置の表示面側に配し、タッチパネルの背面(透明導電性膜(2)側)と金属からなる液晶表示装置の周辺部とを、導電性粘着剤(大日本インキ化学工業(株)製「♯8530AD」;厚み30μmのアルミ箔の両面に厚み30μmで導電性粘着剤を配したもの)で貼合装着した。装着後、ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に500gの荷重をかけ、2000万回(往復1000万回)の直線摺動させる摺動試験を行った。このとき、摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。この摺動試験後に、タッチパネルの表面を目視にて観察したところ、損傷は認められなかった。また、タッチパネルと金属からなる液晶表示装置の周辺部の静電気を測定したところ、0.0KVであり、問題なかった。
本発明にかかる静電容量方式のタッチパネルの一実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明にかかる静電容量方式のタッチパネルの他の実施形態を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
1、10 タッチパネル
2 透明基板
3、5 透明導電性膜
4 絶縁膜
6 配線

Claims (2)

  1. 片面または両面に透明導電性膜を備えた透明基板と、該透明基板が有する一方の透明導電性膜を覆う絶縁膜とを備え、前記絶縁膜の表面に接触体が接触したときに、前記接触体と前記絶縁膜で覆われた透明導電性膜の一部との間に形成される静電容量を検知することによって前記接触体の接触位置を検出する静電容量方式のタッチパネルにおいて、
    少なくとも一方の透明導電性膜を、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を透明基板上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施すことにより形成することを特徴とする、タッチパネル。
  2. 前記絶縁膜で覆われた透明導電性膜の膜厚が20〜150nmである、請求項1記載のタッチパネル。
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